Novel6 months ago · 6.2k chars · 1 pages

ハードコア見定め生活

鈴近鈴近

LunaIII更新が来たのでこれから少しスピードが落ちると思います 今までが書く速度出すぎなんだよな  今回は夢主の名前が出る頻度控えめ  出番がある人 アルベド、ガイア

アコさんへ
 はじめまして、こんにちは。あなたにはこう自己紹介した方がいいかな? クレーのママ、アリスよ。クレーと仲良くしてくれてありがとう。アルベドちゃんともね。

 今回の手紙は、アルベドから相談を受けたので書いているよ。あなたがとても賢いのは、聞いただけでわかった。テイワットのことを想ってくれてありがとう。

 結論から言うと、あなたは無害だし、拒まれてもいない。あまり心配しないで。でも、あなたの適応はある意味過剰でもあるの。あなたの存在を馴染ませるために、誰かがあなたに手を入れた可能性が高い。あなたなら気づいてたわよね。
 それはあなたの精神を歪めたかもしれないし、アコさんを深くテイワットに繋ぎ止めてしまうかもしれない。だから、少しだけ警戒心を持っておいて。

 お願いしたいのは、星海の話をあまりしないでほしいこと、それだけ。でも、あまり心配していないわ。あなたがモンドに留まる限り、その機会は限定されるでしょう? 
 それから、もしあなたがテイワットで命を落としたとき、その記憶や知識が地脈を汚染するかは現時点ではわからない。魂について詳しく分析しなくちゃいけないわ。私は忙しくて顔を出せないだろうから、いつか冒険に出られるようになったら、謎煙の主を訪ねてみて。もともとそのつもりだったでしょう? なんてね! 

 それじゃあお元気で。あなたともいい友人になりたいな。
 とってもかわいいクレーのママ、アリスより

 アリスさんからの手紙を読み終わった私は丁寧に便箋を折りたたみ、ゆっくりと背もたれに体を預け──両拳を突き上げた。
 完全勝利S。コロンビア。

「あっ、でもこれ間違っても見られるわけにはいかねえ。不穏なことも書いてあるし、ベド先に処分方法か厳重な保管方法を聞くか」

 装備を整えてドラゴンスパインに直行した。道は覚えているので迷わない。というか逆走してしまうのは、景色で道を覚えるせいで「見たことのある方」に進むからだ。何回か行き来したらざっくりと方向もわかる。わからないのは方角。

 訪問してすぐに経緯の説明と質問をしたところ、アルベドは快く方法の候補をあげてくれた。
 ついでに「キミが星海から来たことかい? うん、気づいていたよ」と教えてくれた上に、これからも頼っていいと太鼓判を押してくれたので感動した。ありがとう先生。大好き。
 さすがに口では「大好き」は言いませんでしたよ。リスクヘッジ。

 持ち込んできたココアを飲みながら話に興じる。

「最初の検診を受けたときに未知の抗体がどうのって言われるの覚悟してたんですよ」
「あれだけ受け答えの覚束ない状態でかい。キミの危機感は精微だね」
「そもそもアルベド先生が初っ端から出てきた時点で、今思い返すと妥当だったな……」
「まあね」
「実際どうでした?」
「モンド付近で暮らしていたら自然に獲得しているはずの抗体がなかったのは不自然だったけど、未知の抗体はなかったな」
「おっとラッキー。となると入れられた調整……脳は確実だし、転移のことも考えると分子レベルで分解されて再構築されたかなあ……」
「その根拠は?」
「私の実年齢、今の肉体年齢のざっくり二倍くらいなんで。細胞単位で若返らされてるなら一回バラして加工するのが現実的かなって。人形を作って精神の転写も推測してましたが、その場合は人形より人造人間か。造血されてるし」

 アルベドは少し黙った。
 打てば響くペースで切り返してくるのに珍しいな。ティーンエイジャーから三十代カミングアウトは頭バグりますかね。

「……なるほど。検証と実験をしようか」

 復帰が早い。さすがだ。

「はあい。アルベド先生は話が早くて助かりますよ」
「こちらのセリフでもあるよ」
「そうなんですか?」
「うん」

 へー。某錬金術漫画の取材がしっかりしていた証拠ですね。分解理解再構築はあれでしか知らん。
 こういうときはオタクでよかったと思うよ。ちゃんと勉強したことばかりじゃないけど、学びのフックは大量にあったからね。
 実際あるのは雑学と、なんとなくで理解してる基礎だから教令院は向いてない。レポートは書けるけどプレゼンテーションだいっきらい。指導教官に詰められ続けるのもごめんだ。勉強は好き、テストや発表は嫌い。

 生活費を稼ぐためにやりたくない研究をするって本末転倒じゃない? アルハイゼンの職業選択は合理的。

 さて、後片付けをして、また来ますと告げて下山。旅人が帰ってきたときにアルベドの付き添いありで異世界人COしようかな。伝説任務のときについでにやれたらちょうどいい。
 滑らないように慎重に歩き、ファデュイ先遣隊のテントは見つけ次第向こうから見つからないように迂回。雪のないところまで着いたら、マフラーや手袋を外して鞄にしまう。

(勢いで来たとはいえ、一人でドラスパ登山はちょっと無謀だったよな~。ベネットやレザーが知ったら怒るだろうな。そのときは大人しく謝ろうっと)

 玉霞さんたちに挨拶して無事下山しました、の報告をしてから、城内に用がある人と連れ立って帰宅。今日のタスク終わり! 

 やっぱりモンドで保護されてよかった。アルベドとクレーがいてアリスさんと繋がりがあるのはでかい。

 仮にフォンテーヌに発生していたら娼館直行コースでは? 身元不明で行方不明リストとも照合しなくて、文字が読めなくて、どうやってフォンテーヌにたどり着いたかの痕跡もないんじゃね。いい人には怪しまれるし、悪いことを考える人間からしたら使いやすい駒だ。

 メロピデ要塞で工場勤務してる方がある意味マシなんだよな。水の上は合法の範囲で人権踏みにじられるパターンが簡単に思いつく。リネリネの過去の闇がでかい。孤児でそれだったら二次性徴真っ只中の身寄りなし女なんざ売り物だっての。
 貧富の差がある法治国家の闇だわ……。逆トリップも異国情緒が溢れすぎてる顔だったら不法入国を疑われるのかもしれんね。夢、ねえ~。

 無戸籍児のことは行政がケアしてくれるらしいけど、身分証がある世界で明らか外国籍の顔と名前の人間が突然発生するのは対応が困難だろうな。ああいう設定はご都合が一番楽だし楽しい。
 もし自分がご都合を体験したら……? 怖いだろうな……。変に現実志向なのがいけないのかもね。

 おっと思考がそれた。仮定フォンテーヌに戻そう。
 正直、棘薔薇の会に保護されない限り安全なルート確保は厳しい。仮に保護されても、安心できるはずの場所で嘘の上塗りを延々やるんでしょ? ぜ~ったいストレスで自律神経ぶっ壊れるね。最悪発病。
 テイワットの精神医療がどうなってるかわからない時点でうつや躁鬱の発病は避けたい。どっちにしろストレス過多だとセンサーが過敏になって疲れやすくなったりイライラしたりするんだし。
 他で仮定しても、ギリ璃月が限界だな。軽策荘で暮らせるとなおよし。ま、今の私に言えるのは「モンドでよかった」に尽きる。

 はー、しかし肩の荷が降りた! 今日は奮発してエンジェルズシェアでフード頼もう! アヒージョや猪肉の赤ワイン煮込みが食べたい! 
 今日は週休だから食堂のお姉さんたちも休みなのだ。こういうときはみんな、鹿狩りを代表としたレストランや各酒場に行く。

 一度部屋に戻り、荷物を整理してからエンジェルズシェアに向かう。まだディナータイムには少し早いというのに、店では常連客が陽気にしていた。この人たちいつもいるな。

「チャールズさんこんにちは! ご飯のメニューください!」
「いらっしゃい。ほら」

 値段の計算をしながら食べたいものとの兼ね合いを考える。
 昼はパンと野菜スープだけだったし、今脂質とタンパク質をチャージしておいた方がいいか? 脂質ってすぐ推奨摂取量超えるんだよな~。でもアヒージョが食べたい。諦めよう。

「えーとじゃあ、キノコのアヒージョと、猪肉の赤ワイン煮込みと、カプレーゼサラダと、アップルサイダーでお願いします」
「ああ。ドリンクは食事と一緒でいいか?」
「先に出してほしいです!」
「わかった、ちょっと待ってろ」

 チャールズはすぐさまグラスにアップルサイダーを注いでくれた。
 わーい。実質ウェルカムドリンク、駆けつけ一杯。炭酸は喉越しが一番! ビールはラガーじゃなくていい。ただの好み。

 二杯目をなににしようかな~と考えている間にも、エンジェルズシェアには来客がやってくる。
「隣いいか?」と声をかけて、返事をする前に座ってくる知り合いもその一人。
 チャールズに注文を伝えてから、彼はにまっと笑った。

「よっ! 元気にやってるみたいだな」
「あれーガイアさんだ。また市民の御用聞きですか。酒場で」
「フフン、まあそんなものだ」
「勤務時間中に熱心ですねえ」
「俺ほど働き者の騎士はいないぜ。ジンを除いてな」
「そうですねえ」
「……冗談のつもりだったんだが」
「ええ? 働いてるところを見せないだけで働き者は本当でしょうに。揃ってスマートだこと。私の話は近況報告くらいでいいですか? ガイアさん聞き上手だから、毎回こっちばっかりしゃべっちゃうんだよなあ」

 ペラペラしゃべっていると案外ガイアは口を挟んでこない。これ学び。冗談を笑わなかったことにはきょとんとしてからちょっと無の顔になってたが(どういう感情? こわ)伺いを立てるとにこりと笑った。了承だな。

 この前旅人とディルックと話し込んでいたことは案の定彼の耳に入っていたらしい。旅人と仲良くなったかと尋ねられたので、文通する仲になったと答える。
 ストーリーの進行具合を確認するためにも、関係を築いていくためにも繋がりを持つことは重要だ。稲妻に行く前に私の敬語(ガチ仕様)が取れるのが目標。

 モンドの英雄に人前で馴れ馴れしくすることを避けただけで、旅人に壁を作ってたわけじゃあないんだけど、嘘の上塗りはしなきゃいけなかったので気を張っていたのは本当。旅人もパイモンちゃんに合いの手役を任せながら自分は観察に回ってたしね。お互い様でしょ。
 まあ情報とジョークで押し流しましたが……。私がわりと変なやつだということには気づいただろう。フハハその通りだ。間違っても感傷的で儚くはないのだ。
 たぶんベネットと約束した探索のときにヒルチャールの死体を見たら吐くけど。儚さの方向性が違う。
 四足歩行の死に耐えられないなら二足歩行は当然だよな! スライムは殺せるし食べられるけどヒルチャールは無理! カリベルトやったときに香菱がヒルチャール料理を考案していなかったことに感謝した。カーンルイアの血の呪いっていつからあるんだか。

 ガイアの瞳孔を眺めながら話を続けていると、次々に料理が届く。ウキウキでカトラリーを手に取る私に、彼は感心したように言った。

「相変わらず酒飲みみたいな注文してるな」
「だって好きなんですもん。あ、でもこの前アルベド先生にアルコールパッチテストしてもらったんですけど、私お酒弱いみたいです」

 キノコのアヒージョをかじる。あちち。うまい。
 ガイアはひょいっと眉を持ち上げた。

「嘘だろう?」
「ほんとほんと。お酒の香りと風味が好きなだけで実際は弱いってやつじゃないですか? あ、でも酒精は好きかも。ブランデーケーキはしみしみが最高……」
「そんなにイケる口だっていうのに、かわいそうに……」
「うわ本気の哀れみだ。その眼差しやめてくださいよ」

 まあ実際酒は好きだったが弱かった。酔ったときの状態を脳が体調不良だと認識してしまうらしい。
 そういえば手荒れがエグかったのも、現れるストレス反応に覚えがあるのも、この体はちゃんと「私の体」だな。確実に脳はいじってあるはずなのに。自己認識の保全のためか? 親切な上位者だねえ。もしかして私のこと好き?(すっとぼけ)

 ウェンティさんが蒲公英酒の甘さ爽やかさを詩にしてたから、興味あるんですけどねー。なんて、その蒲公英酒を飲んでいるガイアを見ながら言う。
 結局蒲公英酒ってアブサントなのかワインなのかどっちなんだ。アカツキワイナリーが出してるものは基本ワインで、蒲公英酒は目玉商品。今ガイアが飲んでいるものは色が淡いから、糖の源は白ぶどうもしくはリンゴ、またはその両方か。そして甘口。アブサントは薬草酒だから符号を意識しただけか、はたまた本当に蒲公英をワインに漬け込んでいるのか。それか、ビールで言うところのホップの役割を果たしている? 香りは正直スパイス次第でどうとでもなるからな……。
 あっまずい、ヴァイツェンビールが飲みたくなってきた。あの甘い小麦の香りが恋しい。
 ガイアがフフ、と笑う。あ、見すぎ? 

「熱烈だな。だがお前は未成年だ、わかるだろう?」
「飲みたいなんて言ってませんよ。ガイアさんを見ていたのかもしれないし」
「ほう」
「成人したときもモンドにいたら、ディルックさんかガイアさんに奢ってもらおうかなって」
「ははは! そのときは瓶ごと贈るさ。ディルックよりも先に」
「ワーオ太っ腹」

 濃い義兄弟感情だこと。男の人っていつになっても張り合うのが好きだね。もう君ら盃でも交わしたら? ……実質してるか……。

「だが安心したよ。お前も未来の話をするようになったんだな」
「あー、その節はご心配をおかけしまして」
「いや、踏み込みすぎたのは俺だ。お前は気にしなくていい」

 ゆるりと首を振られる。そう? と思いながら、今度はワイン煮込みを口に運んだ。
 帰りたいか問答を最初に吹っかけてきたのはガイアだった。こいつ試金石係だからな。妥当だよ。

 ガイア自身の背景事情もあるから、帰れるなら帰らせてやりたいって私情もちょっとはあったんじゃない? 好意的に考えたらだけど。どっちにしろ引っ掻き回すのもいじめるのも好きみたいだから、本当のことは知りません。
 そのときの私はそれなりにストレスがピークに達していたので、つい口が滑って「どこに帰るってんだか」と鼻で笑ってしまった。肉体丸ごとトリップで地球では行方不明の可能性や、あるかもしれない時差のことを考えすぎて自家中毒気味だった。
 さすがのガイアも真顔。「……そうか」の間、重かったねぇ~~~~!! 

 それからガイアの態度からは壁が少し消えた。苛立ち混じりの本音は、ちゃんと本音として認識されたらしい。怪我の功名だね。わざと怒らせようとするのは今後やめてね。しないだろうけどさ……。
「付き合わせた礼だ」と言ってガイアはドリンクを一杯奢ってくれた。だ~からこういうところが義兄弟「揃ってスマート」なんだよな! 

 正直ガイアと接しているときの方が、少しだけ郷愁を感じる。私は私のアカウントのガイアと最後まで旅を続けるはずだったんだ……最初に最終突破したのがガイアだったから、つい、どうしても。
 はあ。この世は無情。
 でも優しくしてくれる人は問答無用で好きなので、目の前にいるガイアも好きだ。知り合い以上友人未満として。

 奢られた紅茶は指先と胃を温め、食後の心を穏やかにしてくれた。

— End —

Comments 9

うお6 个月前
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あさみ6 个月前

めちゃめちゃ面白いです!!これからも更新を楽しみに生きます!

うるう6 个月前

本当に毎回めちゃくちゃ面白くて更新ありがとうございます!アリスからの手紙がボイス付きで再生されましたよ今回の魔神任務更新でちょうど出ましたからね。アルベドとガイアも絶妙に再現度高くて最高でした、次も楽しみにしてます。

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6 个月前

ここ最近の生きる糧です。

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6 个月前

続きをありがとうございます。

Sakuria
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