[i:[b:
ーヒーロービルボードチャートJP]]
[i:
事件解決数
社会貢献度
国民の支持率などを集計し____
毎年2回発表される現役ヒーロー番付
すなはち上位に名を刻んだもの程、
人々に笑顔と平和をもたらしたヒーローだ。
]
来賓として、私たちの元に訪ねてきた
プッシーキャッツが、下半期411位であるために復帰を決めたそうだ。
「………ラグドール、すみません。
たらればの話ではありますが、もう少し早く起きれていたら、」
私が、AFOと対面した時、ラグドールはすでに個性を奪われていた。
もう少し、早くに起きていれば、
個性は奪われずに済んだかもしれない。
「なっ!何を言うんだにゃん!」
「そうだよ!こっちは命助けてもらってるんだよ!?」
「プラタが居なければ、ウチのラグドールは命も危なかった。」
「ええ。貴方のおかげよ。私たちが感謝するならともかく、謝られる謂れはないわ!」
「……そう、ですか。」
[i:オールマイトのいない、ビルボードチャート]
「そういえば、下半期まだ発表されてなかったもんね。」
「色々あったからな、」
「オールマイトのいないビルボードチャートか、どうなってるんだろう!楽しみだなぁ」
不動のNo. 1は事実上引退。
なら、次は、
次のNo. 1はどうなる。
生徒達が盛り上がりを見せる中、
静かに佇んでいた先生とオールマイトが口を開いた。
「そのことなんだがね、」
「お前らに、[b:今期のヒーロービルボードチャート発表の式典への招待状]が来ている。」
「「「『招待状!?』」」」
ほう、
「お前らが先日活躍した事件を大々的に発表することになった例のドキュメンタリー知ってるだろ?」
「ああ![b:[i:『新時代の英雄たち』]]ってやつだ!」
「すっごい綺麗に撮られてたよね。」
「しかも、編集もカッコよかったよな!」
「映画みたいだったよな!!オイラも、何割か増しでカッコよかったゼ!」
「?」
「首傾げんなヨォ!」
「アレ、ネットですごい反響だったよね!」
「ホント!!すっごい有名人になった気分!」
「凛さんのおっしゃっていた言葉、[b:[i:『新時代』]]がカテゴリーとして流行していますわね。」
みんなの言葉に、「そうだ。」と先生は頷いた。その表情は決して晴れやかなものでない。
「あの件については、俺たちも誇らしく思っている。今回の一件で、[i:『新時代』と称される若手ヒーロー達]に注目が集まっている。
ヒーロー公安委員会は、これに際して、
学生をも含めた若手ヒーロー達の、[[emphasismark:未来期待値 > ・]]を国民から集計し、社会貢献度も含めた
[i:[b:U20ヒーロービルボードチャート]]の作成を発表した。」
「「「『!?』」」」
オールマイトも、重たく口を開いた。
「その発表も、プロヒーローと同じ場で行われることが決定したんだ。そのチャートに、先のテロ事件の功労者である君たちが軒並みランクインしている。中でも、ヴィランとの交戦で華々しく活躍した、[i:プラタ、ダイナマイト、ショート、デク]はTOP5入り、TOP 10には、[i:クリエティ、チャージズマ、イヤホン=ジャック]が入り、[i:ツクヨミ]、インターンで活躍した[i:レッドライオット]や、[i:ウラビディ、フロッピー]が続いて、全員が上位に入ってるんだ。」
「スッゲェ!!」
「マジかよ!?」
「なんか、こう言う形ででるの、嬉しいなぁ。」
「ねっ!!」
憧れのチャートに、U20とはいえ、入ったことに盛り上がりを見せるのが大多数。しかし、先生方と同じようにハッと何かに気づき沈黙したのも複数。
「ああ、誇らしいよ。[[emphasismark:お前らがしたこと > ・]]は、な。」
含みのある相澤先生の言葉に、騒いでいた大多数も気づいて、不思議そうに顔を上げた。
「これは、単純に喜んで良いお話では、ありませんわね、」
「……どう言うことだ?八百万くん。」
「…うまく、言えませんが、ヒーロー公安委員会の、何か[[emphasismark:思惑 > ・]]のようなものを感じますわ、」
ヒーロー公安委員会の現状については、
神野のでの一件の時に既に知っている。
はっきり言って、公安委員会にあまり信用のない状況で、百と爆豪、緑谷は懐疑的な様子だ。
「目的はおそらく、新しい象徴をでっち上げることだろ。
……テメェの見解は、」
爆豪が私の前にやってきて問いかける。
みんなの視線を一斉に感じた。
「少し長くなる。座って話そう。」
「そうですわね。皆様、お茶の準備を手伝ってくださいます?」
「あ、俺さっき焼いたマドレーヌがある!」
頷いた百がお茶子たちに声をかけ、砂糖がオーブンに向かっていく。
「では、俺たちは会議の準備をしようか。」
「俺!ホワイトボードとって来る!」
飯田がみんなに呼びかけて、切島と瀬呂が会議用のホワイトボードを取りにいく。
◇
「さて、では私のこれまでの見解と、
これからの推測について話そうと思う。
あくまでこれは、推測だからね。」
「フンっ!テメェの推測はほぼ未来予知だろうが!さっさと喋れや!」
凛は立ち上がり、ホワイトボードに
[b:「神野事件」]と記載した。
「神野事件でヒーロー社会全体が失ったもの、それは、みんなも知っての通りオールマイトという[[emphasismark:絶対正義の象徴 > ・]]だ。」
[b:「オールマイト」]とまた記載される。
「オールマイトにとっては、あんまり良くない表現になるけど、」
「良いんだ。遠慮なく言ってくれ。」
「ん。
私たちの個性社会は実のところオールマイトという象徴の存在が大きかった。
黎明期が昔の時代となり、今一般の人たちが比較的平和に生きていけているのは、当時のヒーロー達がヴィランに[[emphasismark:勝ち続けて > ・]]、必死に築き上げた"正義"のおかげだ。
オールマイトというアイコニックな存在のおかげで、人々はヒーローが勝つと信じて疑わない。それは、[i:ヒーローが勝者であり続けた]からだ。」
私は今から、この平和ボケした社会ではあり得ないほど異端なことを言う。
「正直、この言葉は好きじゃないが。
[b:正義]とは勝者にだけ与えられる[b:武器]だ。
[i:ヴィランが悪?ヒーローが正義?]
それは、先人が築き上げてきた[b:固定概念]。
今のヒーロー社会の[[emphasismark:根源 > ・]]にあるものだ。」
ジェンガのような図形を凛はボードに書き記していく。
「……その、根源が今揺らいでいる、」
緑谷がポツリとこぼした。
「ヒーロー社会が終わってしまうってこと?」
「でもソレって、」
芦戸が補足し、ようやっと事態がつかめてきたのか上鳴が顔を真っ青にして言葉を詰まらせた。
[b:[i:「頂点に立つものが善悪を塗り替える。」]]
[b:[i:「「「「『!』」」」」]]
「今、この状況で、ヴィランが勝ってしまえば、この世は簡単に[i:"最悪"]に導かれる。」
「そんな!」
「ですが、凛さんの言うことは、」
「ああ。……紙原くんの言っていることはもっともだ。」
「ああ、俺も納得できる。」
「その当たり前を、
普通ならばソレに怯えて生きる日常を、
ヒーロー達は塗り替えてきた。
[i:ヒーローは負けない、
ヒーローさえいてくれたら、]
人々はそうやってヒーローに頼り、
[[emphasismark:傍観者 > ・]]でいれたんだ。」
「絶対的な勝利を[[emphasismark:完全なもの > ・]]としていたのが、
[i:オールマイト__平和の象徴]だ。」
みんなが、オールマイトに目を向けた。
オールマイトは、険しい顔をして、静かに話を聞いていた。
凛は、遠慮なく話を進める。
ジェンガの土台である[b:「根源」]と書かれた文字をトンと差した。
「新たな象徴を作り、コレを補強する必要がある。良いか、オールマイトと言う人身御供で成り立っていた社会、その象徴の[[emphasismark:重圧 > ・]]は重いぞ。」
重たい沈黙がその場に続いた。
ケッと爆豪が悪態をついた。
「つまり、[i:公安はオレらを新たな象徴として祭り上げ、その重圧をオレらに被せる上に、
大衆の目をオレ達に向けさせて、オールマイトの喪失から目を逸らさせる]っつー魂胆かよ。」
「……そう言うことですわね。」
「単純に、[i:新たな希望として、僕たちで国民を活気づける]って言う思惑もあるんだろうね。」
「……そうだな。人間は、精神が不安定だと何か良くねぇモンに釣られやすい。しっかりした縋れるもんが必要なんだろ。」
「ヴィランの牽制として、ヴィランにも狙われやすくなると言うわけだな。」
爆豪、百、緑谷、轟、飯田の言葉に、
皆んなが真剣に考え始める。
「つまり、私たちが選べる選択肢は二つ。
[b:まずこのチャートを辞退する。]
これは、雄英が公安に圧力をかければ、成立するはずだ。私が思うに、まだ未成年であり、雄英生という立場の私たちはまだ守られる立場にある。社会の矢面に立つには、まだ猶予を用意されて然るべきだ。
[b:二つ目、チャートを受け入れ、プロヒーローとして、いやそれ以上の覚悟を決める。]
こちらを選択する場合、同じく雄英には公安に圧力を掛けてもらい全面的なサポートをさせる。例えば、[[emphasismark:家族 > ・]]の護衛、とかな。」
「紙原の言う通りだ。各自、じっくり考えてくれ。
今、校長が公安に問い合わせと、圧力を掛けている最中だ。
時間はある。」
相澤先生の言葉に、会議は打ち切りとなったが、皆んな沈黙したまま、真剣に事態を考え始めた。
その中で1人、
[[emphasismark:周囲とは違う反応を見せるモノ > ・]]に、
凛はうっすらと目を細めた。
「さて、指示通りみんなを集めたのさ!」
凛は今、
雄英の根津校長、オールマイト、ゼファーを始めとして、
プロヒーローのイレイザーヘッド、ブラドキング、ミッドナイト、13号、プレゼントマイク、スナイプ、エクトプラズム、セメントス
そして外部のプロヒーローのエッジショット 、ベストジーニスト 、ホークス、エンデヴァー、サー・ナイトアイの前に立っていた。
「………若手No. 1とはいえ、まだ見習いのプラタが何の用だ。それに、そんな子供まで、」
エンデヴァーが腹立たしそうに凛を睨みつけ、その腕の中にいるローを見る。
「ウチのコに話しかけないでくれ。」
「うむ、教育にnotデニム。」
「ブフッ、フルスロットルすぎやしませんか。でも、俺も気になります。このメンツ、何かあるんですか?」
ホークスの言うことは、尤もだ。
凛はそれに対して、真剣に頷いた。
「今後の、[b:ヴィランの動き]について。」
「後、ヴィラン連合の[b:とあるヴィラン]について、テメェに用がある。エンデヴァー屋。」
「………て、………オイッ!?お前達の教育はどうなってる!?」
「「さすがウチのコ。」」
「エンデヴァーさん、話進まないんで、黙っててください。」
だが、その前に、
「恐らく先生方が血眼になって、探しているであろう[i:”裏切り者”]についてですが、」
「!分かったのか!?紙原リスナー!!」
ダンっと立ち上がったプレゼントマイクの言葉に静かに頷く。
[i:「裏切者は、
___1年A組出席番号、」
]
「ッ、」
先生が立ち上がった。
私はまっすぐ前を向いたまま、そちらに目を向けることなく口を開く。
[i:[b:
「1番。
___青山優雅。」]]
雄英の教師陣が息を呑んでいた。
それはそうだろう、考えたくもない、生徒達から裏切者がでたのだ。
「なんて、こと、」
「青山が、」
「何故、こんなことに、」
先生が手で顔を覆った。
「・・・どうして、分かったんだ?」
「まず、疑問に思ったのはUSJ事件の時。
青山だけ、比較的安全な場所に放置されていました。その後シレッと戻ってきていましたが、被害にあってもおらず、誰もあの時青山がどこに居たか、知らないようでした。」
「・・・そんなに、前から、」
「ローについてもそうです。
ローと私、そして兄さん達以外誰も知り得ないローの個性の使い方についてオールフォーワンは知っていた。」
「ただ1人俺の個性について聞いてきて怪しかったからな。適当に一つ教えてやったんだ。ソレをヴィランは知っていた。」
ローの機転の効いた[[emphasismark:小さな罠 > ・]]に、
青山はすっぽりハマったと言うわけだ。
「林間合宿の時も、1人だけ明らかにルート外である被害範囲の外に居ました。そして神野事件後に時々向けてくる何か言いたげな顔……エッジショットに事情を話し、調べてもらいましたが、時々どこかに不審な様子で電話をかけているようです。」
「事実だ。ここまで揃っていて、逆に裏切り者でない可能性の方が低い。」
エッジショットが、そう断定した。
先生が、力なく席に座り込んだ。
本当ならもっと早く、
だけど、不確定な情報で生徒を疑うことに、
彼はきっと自分を責める人だから。
黒だと断定できるようになるまでは、黙っていた。
傷ついた顔を、見たくなくて、目をそらし続けた。
「………プラタは彼をどうするつもりなんだ。」
ローの件に次、死穢八斎會でも、
かなり私を買ってくれているらしいサーが話を進めた。
「泳がせます。」
「何故だ、尋問して死柄木たちの居場所を突き止めるべきだろう。」
まあ、そう言う意見が出るとは思ってたよ、エンデヴァー。
だけどね、
「死柄木達の居場所についてですが、[[emphasismark:大体 > ・]]割れてます。そうですよね?ホークス。」
「…ここで、オレに丸投げ。相変わらず、容赦なか、」
ホークスが渋々立ち上がって私の隣に並んだ。
「はい、てことで、死柄木の居場所についてですが、先月、とある山奥で起こった事件の調査と、そして、プラタとエッジショットから情報提供を頂き調査を進めてきました。改めて、[[emphasismark:公安直属ヒーロー > ・]]のホークスです。」
「!ホークスが、公安直属、」
そういえば、雄英側は知っていたけれどエンデヴァーとサー・ナイトアイは知らなかったな。
「二か月前、ナイトアイ事務所を主導として捕縛に成功した指定敵団体”死穢八斎會”の元若頭[i:治崎廻]を尋問し、連合とどういう取引があったのか聞き出しました。」
治崎については、カイドウと戦っている間、緑谷がかなり苦労して捕らえたという話を聞いた。その後、敵連合が護送車に接触を図ってきたという話だったが、リューキュウらが、付いて行き敵連合は、退散しているそうだ。
「話によると、どうやら死柄木たちは、指導者であるオール・フォー・ワンを失い、孤立しているようで、今は仲間集め、もしくは大きな敵犯罪組織との同盟を計画しているようです。」
「・・・オール・フォー・ワンを失った敵連合に、何のために、」
・・・エンデヴァー、アンタはもっと複雑に物事を考えられないのか。
「馬鹿か、使いたい放題だろうが。」
「ロー?」
何故、そんなに攻撃的なの?
あ、兄さんたちが邪険にしてるから?
エンデヴァーが、暴言を吐いたローを見て、それから、エッジショットとベスト・ジーニストを見る。まるで悪いことをしてきた子を、先生に告げ口する子供みたいだ。
「・・・まあ、[[emphasismark:便利な存在 > ・]]ではあります。
ご存じの通り敵連合とは色んな意味で、表の社会、裏の社会両方で[i:注目を集めている組織]ですから。
それを矢面に出せば、社会に蔓延っている行き場のないヴィランたち、反社会的勢力たちが集まりやすい。
それに雄英に2度も襲撃するという事件を起こしており、ある意味[i:実績]もあります。
元締めのオール・フォー・ワンもいないとなれば、[[emphasismark:使い捨て > ・]]にも便利ですし、そのまま乗っ取って、支配下に加え、悪の頂点に立とうと考える[[emphasismark:ならず者 > ・]]もいるでしょう。
現に、死穢八斎會がそうであったように。」
ずっと表で生きてきた人間には、分かりずらいだろうが。裏の人間というのは、そうやって自分たちが生き残る、もしくは自分たちが得をするためならば、なんだってする。
そういう狡猾な人間が多い。
「そう。そんで、死穢八斎會も、まあ色々面倒だったわけなんですが、今、[[emphasismark:さらに面倒な組織 > ・]]が敵連合に近づこうとしてまして。その件について、プラタとエッジショットさんが手がかりをつかんできてくれたんスよ。」
指名が飛んできて、兄さんがコクッと静かに頷いて口を開いた。
「その通り。
先月あたり、インターン中でのことだ。
地方の任務に向かっていた時、現地の警察署から妙な通報が相次いでいると情報を受け調査した。
それが[i:、_脳無の目撃情報]だった。」
『!!?』
「ですが、実際調査してみると、それらしいものは発見できず、そのような不安を煽る噂が一部から流出していることが判明しました。」
それは、何もその地域だけではなく、全国区で広まりつつあるというのはホークスやベスト・ジーニストとも連携し確認済みである。
「そして、エッジショットさんとプラタの根気強い調査のおかげで噂の根源を辿ることに成功しました。氷山の一角みたいなものでしょうが、それでもかなり重要な情報が手に入ったんです。」
噂を追っていく、かなり大変な作業だった。
たどり着いたのは、とある宗教団体。
違法な個性使用をしている証拠が手に入ったため、現行犯逮捕し、情報を吐かせたところ。
「___今、大昔の犯罪者の自伝[i:[b:『異能解放戦線』]]が再出版されていて、結構売れてるんですよ。ソレに感化されたと思われる市民たちが、[i:半ヴィラン化]してしまう事件が全国で多発してますよね?」
ホークスの言葉に、プレゼントマイク、ミッドナイト、校長を始めとした先生方も、「ああ、」と心当たりがある様子で頷いた。
「・・・確かに、最近は素人ヴィラン予備軍が増えたと思ってはいたが、」
「ええ、私も。夜の見回りで補導する子供が増えたわ。」
「ちょっとした社会問題として取り上げられ始めているよね。」
ホークスは、そこで初めてどこか軽薄な笑みを消した。
「それが、[[emphasismark:組織化された > ・]]行為だとしたら?」
息をのむ声が聞こえた。
眉間の皺を深くしたサーが小さく呟く声が、会議室にイヤに響いた。
「・・・[[emphasismark:社会問題 > ・]]として片付けていい事では、到底ない。」
サーは、相変わらず事態の把握が早くて助かる。
「どうやら、連合のヴィラン名スピナーがそうであったように、その犯罪者の意思を継ぐという者が現れ、[i:[b:”異能解放軍”]]なるものを決起しているようでして、[[emphasismark:公安の捜査員 > ・]]を使って調べたところ、すでに総勢は5万人にも上ると。」
「ごっ、五万だと!?」
「なっ、それは早急に対処しなければならない問題じゃないか!!」
「なんて桁数だよ!!オイ!!」
「その中には、多くの民間人、そして[i:ヒーロー]まで紛れているという調査結果が出ました。」
「なにッ!!?」
「ヒーローまで紛れているですって!?」
「なんという、」
ヒーローたちの驚きはもっとものことだ。
五万という数字に、ヒーローまで。
だが、驚くにはまだ早い。
[i:「ここに、敵連合が付けばどうなると思います?」
]
騒いでいたヒーローたちが一斉に口を噤んだ。
想像もしたくないだろう。
だけど、これが現実だ。
「捜査員の情報によると、組織上層部は敵連合と接触する意向であるとのこと。そして、敵連合が接触した場合、軍全体の規模はさらに巨大化。[[emphasismark:ヒーローとの全面戦争 > ・]]が起こるでしょう。」
「だからといって、いますぐ奴らを捕えてしまうと、[b:敵連合]、さらに、[b:脳無の製造元]も逃してしまいます。」
私の言葉にホークスが続ける。
サーが「なるほど。」と頷いた。
「奴らを一時野放しにし、タイミングを見計らって一斉検挙。[[emphasismark:逆に仕掛ける > ・]]、ということか。」
「ええ。その間に、こっちの公安の捜査員たちに情報を収集してもらい、精査の方も頑張ってもらいます。・・・これ以上、奴らを野放しにしておくわけにはいかない。」
◇◇◇
ヒーローたちの間で、しばらく、今、怒涛の勢いで伝えた情報についての意見交換が行われていた。
「紙原。」
先生がこちらを見てから、一度部屋を退室した。
おそらく、付いて来い、という意味だろうと判断し、その後を追う。
会議室の隣の部屋に先生が入っていった。
私が入ったのを確認すると同時に、部屋に鍵がかけられて、先生が私を腕の中に囲った。
首元に頭を埋めて、ゆっくり、落ち着いて息を吸って吐くを繰り返す。
小さく震えるその背中を、抱きしめた。
「・・・・・・俺を気遣って言わなかったんだろう?」
・・・さすが、バレてるか。
「・・・うん、
消太さんは、誰がなんと言おうと生徒を信じる優しい人だから・・・
不確定な情報で、貴方に生徒を疑ってほしくなかった。疑う自分自身を、貴方は責めるような人だから。」
本当に凄く[i:やさしいひと]なのだ。
彼は。
今まで、人を疑うことしかして来なかった私とは違う。
彼は、身内に居れた人間に、とことん甘い。
それは、私達生徒も同じ。
例え、大衆にどんなことを言われようと、
彼だけはきっと、生徒を信じ続ける。
本来ならば、真っ先に彼に言わなければならない。
「・・・ごめんなさい。」
「・・・・・・怒りたくても、怒れないよ。」
ぎゅう、と抱きしられる力が強まる。
「・・・・これからはちゃんと全部、教えてくれないか。」
「・・・・・・」
「凛がお兄さんたちを第一に頼って信頼しているのは、分かる。
だけど、俺もお前が心配なんだ。
お前は、何でもできてしまうし、そうやって大人の輪の中に入って活躍できる能力も持ってる。でも、それには同じくらい危険が伴ってる。」
身体を離して、私と顔を合わせた彼の目や、声は、まるで懇願するように訴えかけてくる。
「もう、知らない所でお前が危険な目にあっているのは、耐えられない。」
「俺もお前を守りたい。」
「俺は、お前の恋人だろう?」
「お前を守る権利は、お前に頼られる権利は、
俺にもある。」
息つく暇もなく、言葉が被される。
「・・・分かった。」
[[emphasismark:ある程度は > ・]]、
ほっ、と緩んだ表情に、私の胸が少し痛んだ。
◇
青山のことについて話し合った。
結局、今まで通り、青山は泳がせておくこと。
重要な機密情報の取り扱いには十分に気をつけること。
青山は少なくとも良心が痛んでいる、ということも伝える。
裏切った事実は大きいが、それは、皆と交友関係を築く前からのことだとすれば、また話は変わってくる。
してきたことは、許されないことだ。
USJでも、林間合宿でも、
クラスメイトたちは、命の危機に瀕していた。
だが、それが、AFOに強制され、行ってきているとすれば、家族などを人質に断ることのできない状況にあるとすれば、
まだ、青山は更生の余地があるのだ。
だが、最終的には、死柄木たちを罠に呼び出すための駒として使うことになるだろう。
その覚悟は、先生にもしておいてもらわなくてはならない。
◇◇◇
教師陣、プロヒーローたちで白熱した30分ほどの話し合いが終わり、先生の精神状態も何とか安定し、落ち着いてきたところで、
会議は第二フェーズへと移る。
「今後の方針が決まったところで、次はエンデヴァーさん。貴方に、話があります。」
「なんだ。」
顔を顰めるエンデヴァーを無視して、ホークスは飄々とした態度で、こっちを見た。
「その前にロー君の個性についての説明を、プラタ、頼める?」
「はい。おいで、ロー。」
大人しく会長の膝の上に鎮座していたローが手を開いた。
[i:「ROOM”シャンブルズ”」]
『!』
青いサークルが広がり、一瞬でローが腕の中にやってくる。代わりに私のボールペンが消えた。
「さっき、見てもらったように、
[b:ローの個性は手術。]
ROOMと呼んでいる青いサークルの中が[[emphasismark:オペ室 > ・]]、ローを[[emphasismark:執刀医 > ・]]とし、ROOMの中に存在する生物や物を自由自在に操り改造できるというもの。」
「・・・たとえば、あらゆるものを生かしたまま[b:『切断』]し、数分間は接合可能な切り口として、そこから直接的に治療することができる。あとは、[b:『スキャン』]や、[b:『電気ショック』]。生かしたまま、人間の臓器を抜き取ることもできる。医学知識が必要ではあるが、[[emphasismark:どんなオペでも > ・]]可能だ。」
ローの補足説明が入り、ヒーローたちは、訓練に付き合っている、おじいさま、や兄さんたちを覗いて目を見開いている。
[i:凄く便利な個性だろう。
だからこそ、狙われる。]
「え~、だからこそ、AFOに狙われたわけなんですが、そのロー君が、捕まっている間に、敵連合のヴィランたちの髪をね、人知れずとってきてくれていまして。[[emphasismark:素性の分からなかったヴィラン > ・]]について情報が掴めたわけです。」
流石、ロー。
四皇を二人引きずり下ろしただけのことはある。
ホークスは、一度沈黙して、
静かに口を開いた。
「・・・そして、荼毘の素性が判明しました。」
[i:[b:「___轟燈矢。
エンデヴァーさん。
貴方のDNAと99・9%の確率で親子であると判定されました。」
]]
◇◇◇
会議が終わると、もうお昼ごろで、ランチラッシュが用意してくれたお昼を食べて解散という形になった。
今日は、休日、会議は教員寮で行われた。
ランチラッシュは食堂勤務であり、
雄英全寮制になってからは、
さらに生徒達の食事事情に尽力してくれているので、教員寮で暮らしている。
このまま作戦本部に深く関わっていくならばと、私もその場に残った。
兄さん達と一緒に一角に座ると、サーとホークスという不思議なメンツが集まってきた。
エンデヴァーは意気消沈中のため放置だ。
「………式典挨拶、?」
「お忘れかも知んないけど君、若手No. 1だからね。」
…………!
「兄さん。」
「原稿か?会長にプロットを考えてもらうか。」
「任せろ。」
「うわー、ちょっとお二人さん甘やかしすぎじゃないです?」
「?」
「?」
「これのどこが甘やかし?って顔しないでもらって良いですか?」
ホークス、いらないことを。
スピーチを考えるだなんて面倒だ。
「美しければ何をしても許されると聞いた。
姉さんは美しい上に、性格も良いし、可愛いんだから、甘やかされて当然だろう。」
「ロー?誰から・・・あ、(察し)」
十中八九、ハンコックだ。
王下七武海、海賊女帝ボア・ハンコック。
歳の離れた友達である。
会うと毎度の如く可愛がられて、なかなか離れられない。
[[emphasismark:たった一度 > ・]]、ヒューマンショップから助けただけだというのに・・・
「え、なんすかその暴論。」
「・・・的を射ている。」
「うむ。ウチのコたちを見ていると、どうにも甘やかしてやりたくなる。」
「おいが、おかしかと?」
「私に聞くな。
それにしても、緑谷たちはチャートを認めるつもりなのか?」
サーにぶった切られたホークスが、「ええ、」と遠い目をしている。
「はい。もう、覚悟は決めているようでした。
オールマイトを身近で見ているからこそ、その覚悟は相当なものです。」
「・・・そうか。」
サーの声色はどこか暗い。
この国の未来という重圧を子供達に背負わせることに、後ろめたさを感じているのだろう。
話しを聞いたばかりの日は、
皆の目には、戸惑いや言い知れぬ不安が見え隠れしていた。
当然の話である。
彼らは、まだ大人でもない、プロヒーローでもない。
守られるべき、子供達なのだ。
校長は、公安と話しをつけ、
生徒達の家族の護衛について検討を始めさせた。
事情については、ご家族とも話しをし、
ローや兄さんたちのように雄英に居住区を設営する計画も出ている。
すでに、ゼファー先生のご家族が雄英で暮らしている前例もある。
先日の休日、生徒達は、それぞれ自分たちなりに考え、結論を出した上で、一度自宅に帰省し、その旨についてご家族と対談している。
ご家族の皆さんは、勿論、不安を抱えていたが、その件については、当然学校とヒーロー公安委員会からの説明があることを前提に、結局は、子供達の決断に任せるという選択をしたそうだ。
今、公安委員会と雄英の教師陣がそれぞれのご家庭に出向いて話しを詰めているところである。
「・・・子供達に、そげな重たいもん背負わせたくなかったんやけどね。」
ホークスが、情けなか・・・と俯いた。
その言葉に、室内にいた雄英の教師陣までも沈黙し暗い雰囲気になっていく。
・・・エンデヴァーがずっと暗いけど、
「あの子たちは、ちゃんと考えてますよ。
貴方たちが思っている以上に、現状をきちんと理解し、それでいて[i:自分がそこにどういう役割]を振り当てられていて、全うしなければならないのか[i:最適解]を出している。」
「・・・」
「確かに、不安に思っていないわけではありません。きちんと理解できているからこそ、[b:リスク]もしっかりと認識している。」
だけど、
それでも、[b:「ヒーローになる」と笑っていたあの子たち]に、私は不安を感じない。
「ですが、自分の覚悟に後悔をするほど、
弱い人間ではありません。」
「!」
ホークスとサーが目を見開いた。
おじいさまが、後方で腕を組みウンウンと頷いているのが見える。
「・・・・・・強いッスねぇ。彼ら。」
ハハッとホークスが笑った。
「強いけれど、子供です。
私が言うのも何ですが、私たちはまだ15、16歳、義務教育を卒業したばかりのほんの子供です。
ヒーローたちと同じく、覚悟を決めても弱音を吐きたいと思うときはきますし、不安な時もあると思います。そこは、あなた方がしっかりとサポートしてください。」
兄さんたちを見つめると、力強い頷きが帰ってくる。
「私は、身近に頼れるヒーローがたくさんいます。家に帰れば、NO.3,4のヒーローが心配してくれます。
そういう風に、
彼らがもっと身近にプロヒーローを感じて頼ることが出来るように
・・・お忙しいとは思いますが、生徒たちとふれあえる機会を作って欲しい、そう思ってます。」
「勿論、私に出来事であれば最大限の力を貸そう。」
「ええ。同じく。どっからでも、飛んできますよ!」
「そうだな。凛も含めて、彼らはまだ学生。」
「この事態となっては、既に[[emphasismark:雄英だけの問題 > ・]]というわけにもいかないだろう。私たちも、彼らを守り育てる義務がある。」
「そう言って貰えるとありがたいのさ!」
サーにホークス、エッジショットにベスト・ジーニストの力強い言葉を聞いてテクテクとやってきたのは、校長だった。
円らな目で私をジッと見つめてくる。
「君の意見、直ぐさま他トップヒーローたちにも打診する形で実現させて貰うね。
紙原凛さん。
君は、周囲より一歩引いた立ち位置に立って我々と共に動こうとしてくれている。けれど、君もまた雄英の学生であることに変わりはない。困ったことがあれば、お兄さん達を通してからでも良い。私たちにも教えて欲しい、君も守りたいと私たちは考えているのさ。」
「・・・ありがとうございます。」
























物間、此れでまた拗れそう・・・(ー_ー;)