[b:
ヒーロービルボードJP
授賞式
当日
]
「・・・うわぁぁぁ、テレビの先で見てた景色が、今目の前に!・・・僕、心臓、止まりそう、」
「エッ、大丈夫!?デクくん!!」
「ノミの心臓と言うヤツか!大丈夫か?緑谷くん!?」
「・・・それ、ちょっとディスってねぇか。飯田。」
「ナチュラルにディスってんな。・・・轟、紙原の隣りに座るのはそろそろ諦めろよ!?主賓席に座ってるエッジショットとベスト・ジーニストの目が見えねぇのか!?」
「瀬呂さん、そのまま轟さんを捕縛して座ってくださいませ。」
「そして、ちゃっかり紙原の隣りに座る爆豪、と。」
「ア?なんか、悪ィんか。テメェだって、耳の隣りに座ってんだろうが、」
「・・・・・・エッ、ウチ?」
「ちっ、ちが!」
「うるさいぞ、お前ら。そして、漢らしくねぇぞ、上鳴!」
「・・・そういう、切島ちゃんも、流れるように三奈ちゃんの隣りに座ってたわ。ごめんなさいね、思ったことは何でも言っちゃうの。」
「エッ、きりしま、?」
「・・・・・・恐るべし、娃吹。・・・待て待て待てェイ!!これ以上リア充増やすんじゃねェよ!!!爆発しろ!!!」
「峰田。騒がしいぞ。そして、恥ずかしい。」
「ド直球かよ、常闇。」
「・・・師が見ている。」
「あー!照れ隠しだ!!」
「・・・葉隠さん、落ち着いて座ろうね。」
「常闇も、落ち着けって。ほら、クッキーいるか?」
「お前達、そろそろ大人しくしろ。来賓席から、相澤先生が睨んで居るぞ。」
「(コクコク)」
[i:シーン、]
「・・・っふ、」
「何笑ってんだ、凛、テメェ。」
「面白いから、」
「フン・・・てか、なんだ、コレ。」
ちょっとキレる寸前の爆豪が見下ろしているのは、団扇である。
爆豪のものには、
[i:”ジーニスト!きっちりデニムポーズして!”]
と書いてある。
そして、私の手元には、
[i:”エッジショット!大好き!”]
と書いてあった。
轟が破り捨てようとしているのには、
[i:”エンデヴァー!顔怖い!”]
と書いてある。
常闇のには、
[i:”ホークス!眉毛ふさふさ!”]
と書いてある。
「・・・ゼファー先生とミッドナイト先生が作ったんだって、」
ゼファー先生、と聞けば粗末には扱えない彼らである。
鬼教官には、
逆らえないらしい。
登壇したヒーローたちが、こっちを見て、主に、ホークスと、ベスト・ジーニストとエンデヴァーの団扇を見て全力で笑いを堪えている。
当人たち、
ジーニストは、嬉しそうにノリノリでポーズを決めた。
ホークスは、困惑して何度も団扇を見返し、
そして、眉を少し揉んでいる。
小さく「オレん褒めるとこ、そこしかなかと?てか、褒めとーと?」と呟いていた。
兄はめちゃくちゃ嬉しそうなのを必死にかくしつつ微笑んでいるので、私も嬉しくなって笑顔を返すと一瞬フラついたため、会長に支えられていた。
エンデヴァー?
・・・顔が怖い・・・・・・
[b:
NO.1 エンデヴァー
NO.2 ベスト・ジーニスト
NO.3 エッジショット
NO.4 ホークス
NO.5 ミルコ
NO.6 クラスト
NO.7 シンリンカムイ
NO.8 ウォッシュ
NO.9 ヨロイムシャ
NO.10リューキュウ
]
「見ていてくれ」・・・か。
荼毘、轟燈矢の一見で、エンデヴァーは心が折れかかっていたそうだが、ホークスに喝を入れられ、もう一度立ち上がったそうだ。
親として、きちんと己の罪に向き合っていく。
そう、話しているらしい。
[b:
『そして、ここからは!!
大注目!
新たに作成されたU20ヒーロービルボードチャートの発表ですよね!!』
『先日収束した未曾有の大規模テロ。
そこで活躍したのは、仮免を取得したばかりの見習いヒーローたちでした。
【新時代の英雄たち】というドキュメンタリー映画が大きく話題を呼び、若手ヒーローたち”新時代”への感心が急速に高まっています。』
][b:
『それを受けて、ヒーロー公安委員会は、
若手ヒーローたちへの未来期待値を元にしたU20ヒーロービルボードチャートの発表を決定。予定されている上位ランク者の内、先の一見で社会に大きく貢献した雄英高校ヒーロー科1年A組が会場に招待されております!!』
『一体、どんなランキングとなるのでしょうか!?
今、モニターに、ランキングが明かされます!!』
]
[i:NO.10 チャージズマ]
「うおっ、マジで入ってる、」
[i:NO.9 サンイーター]
・・・大阪の方で、ファットガムと大活躍していると聞いている。
本人は、不本意そうだったけれど。
[i:NO.8 イヤホン=ジャック]
「・・・マジ、で、」
[i:NO.7 ネジレちゃん]
こちらも、リューキュウのところで、事件解決数はかなりのものだ。
[i:NO.6 クリエティ]
「この評価に恥じぬ行いを。」
[i:NO.5 デク]
[b:『NO.5は、圧倒的なパワーによる攻撃が、とても鮮やかで、子供達からの人気を集めているデク!!諦めない姿勢も、とても評価されているようです!』
]
[i:NO.4 ルミリオン]
[b:
『NO.4は、あのオールマイトの元サイドキック、サー・ナイトアイのもとでインターンを行い、事件解決数若手NO.1を誇るルミリオン!!』
]
[i:NO.3 ショート]
[b:
『NO.3は、炎と氷両方を使いこなし、攻撃だけではなう、被災者の救助にも多大なる貢献をしたショート!!クールでありながら、少し天然なところがイイ!!』
]
[i:NO.2 ダイナマイト]
[b:
『NO.2!雄英体育歳では、準優勝、荒々しい発言が目立ちますが、その火力と戦闘能力はピカイチ!!NO.2ヒーロー、ベスト・ジーニストに指示しており、事件解決数も急上昇中!!
一部からは、子供にはぶっきらぼうだけど、優しくてギャップ萌!!と密かに人気を集めています!!』
]
[i:NO.1 プラタ]
[b:
『栄えあるNO.1はやはりこの人!!
剣士ヒーロー・プラタ!!
NO.3ヒーロー・エッジショットに指示しており、兄妹揃って次々と事件解決に貢献。
その圧倒的人気と、クールな性格!
ふとした瞬間に見せる笑顔から、支持率は急上昇!!人気は若手トップです!!
女剣士ということで、刀を使った戦い方も、子供達からかっこいい!と憧れの的!!
新時代を代表するヒーローと言えるでしょう!』
]
・・・持ち上げられているな、
[b:
『代表して、若手NO.1のプラタから、
壇上で挨拶が行われます。』]
恐れ多くも、プロヒーローたちの目前での
挨拶だ。
兄さんに考えて貰った当たり障りのない、挨拶をしようと思っていた。
そう、思っていたのだが、
口を開こうとした瞬間である。
[i:
「プラタがヒーローを目指す理由は!?」
「8年前の事件を受けて、どう立ち直ったんでしょうか!?」
「ステインの主張について、賛同する声が多いようですが、プラタはどう思われますか!?」
「新時代と評した理由は!?」
「NO.1としてのこれからをお聞かせください!」
]
今まで、静かだったはずの報道陣による集中攻撃が始まった。
抑えきれなかったのだろう、
何せ、雄英バリアによって、生徒達へのインタビューは一切禁止されている。
今回の会場入りについてもかなりの警備の数だった。
「取材については、固く禁じているはずですよ!!」
「座ってください!!!」
「これ以上続けるのであれば、強制退場もやむをえません!!」
公安委員会の人員が血相を変えて、
報道陣を押さえ込もうとするが、
これは収まらないだろうな。
質問の一つ一つに明確な悪意がある。
こうなってしまった以上、それについて答えなければ、微妙な雰囲気と不完全燃焼のまま終わってしまう。
それだけは、避けなければならない。
「勝手なことを、」
「未成年に向かって、何という卑怯さ。」
ホークスやリューキュウが止めようと、
兄さん達がブチ切れて、怒鳴ろうとしているのを制した。
雄英の教師陣も怒りを露わにしていた。
「顔と会社を記録しておいておくれ。」
「はい。」
「顔は、覚えたからな、」
「あまりにも、卑劣な行為だ。」
「雄英に対する侮辱だぞ。」
その中で、ただ一人、ゼファーだけが笑っていた。
知っているのだ、ゼファーだけは。
[i:[b:
紙原凛
いや、”プラタ”という人物を。
]]
[i:
ただ圧倒的な強さだけで
”英雄”が務まるか?
バラバラになった戦場が一つに纏まるか?
分断された国家が、一つに統合されるか?
そんな簡単な話ではないのだ。
]
[b:『戦場の英雄』]はそんな、薄っぺらい存在ではない。
王下七武海とはいえど、
海賊の娘、それも四皇と引けを取らないとまで囁かれた大物海賊であるプラタに[[emphasismark:懸賞金をかけることが出来なかった > ・]]理由。
それを、元海軍大将ゼファーは知っている。
彼女一人の力で纏まった国が、あまりにも多すぎた。
それはつまり、多くの国々が、彼女を「英雄」として崇め、恩恵を受けてきたということ。
人々は、「英雄」に心酔し、
苦楽を共にし勝利し、また絆されてきた。
彼女が「英雄」と呼ばれるのは、
その圧倒的な強さによる安心感を人々に与え、
そして人々を引きつける圧倒的なカリスマ性、
さらには、
[b:___「言葉」に力があったからである。]
実力が、経験が、それともカリスマ性が、
どれが要因であるかは、分からないが、
[b:[i:”英雄プラタの言葉には、
人々を奮い立たせ、動かす力があった。”]]
それは、後に、
ニュースクーから、インタビューを受けた
戦時中の指導者、はては王族、
全ての者が語っている。
[i:[b:『かまいません。』]]
プラタの一言に、騒然と居ていた会場が静まりかえった。
『・・・色々ご質問があるようですね。
神野事件の後、報道陣が雄英に詰め寄ったのは私もテレビで見ていました。
兄さん達、エッジショットやベスト・ジーニストについて、誹謗中傷の記事を出した〇〇出版社の〇〇さん。
ヒーロー公安委員会から、未成年に対する直接のインタビューは禁止されている中での行動、実に勇猛果敢で驚きです。』
皮肉交じりの言葉に、渦中の人物がヒクリと口元を引きつらせた。
いくら若手NO.1とはいえ、まだまだ子供、
それも未知数のプラタについて知るチャンスだ。
感情を揺さぶり、報道のネタになりそうな姿を見たかっただろう。
だが、その程度の陽動、どうだっていい。
まあ、釘は刺しておくけれど。
『ですが、一つ忠告を。
国民の皆様に娯楽を届ける姿勢はご立派ですが、事実無根な過ぎた報道は幾ら言論の自由とはいえど、違法になります。
不届者になりたくなければ、行動を改めることをお勧めします。
それと、幾ら私の周りを粗探ししようと、
ただの敵犯罪被害者育ち、ぐらいしか出ませんので。非合理的な取材はおやめになった方がよろしいかと。』
冷静かつ、念入りな、
[i:一正義側の人間としての言葉]に、
報道陣は肩身が狭い様子で、縮こまった。
完全に鎮火されたマスコミたちに、ヒーローたちは胸がすく思いだった。
怒り心頭の、ジーニストも、エッジショットも、
深いを露わにしていたホークスもリューキュウも、その表情を少し柔らかくして、
光を浴び続けるプラタの頼もしい背中を後ろから見守った。
ミルコに至っては、「ハッ、ざまぁねぇな!」と笑っていて、エンデヴァーに窘められている。
バッと立ち上がり、マスコミに立ち向かおうとしていたA組の生徒達が、怒りを一旦のところは、押さえて、立ったまま、凛を仰いだ。
「さて、」と凛はマイクを取って口を開いた。
[i:
『ステインでしたか?
確かに言っていましたね。
ホンモノとニセモノのヒーローについて、
社会のヒーローに対する不信感が煽られたのは、私も知るところです。』
]
ヒーローは、
ただの目立ちたがり屋
人助けをして高額な収入を得ている。
テレビを通して、社会の目がプラタに集まっていた。
[i:
『中には、目立ちたい、お金が欲しいと思ってヒーローをしているヒーローもいるかもしれません。
でも、それの何が悪いんですか?
その人達は結局人を助けているんです。
悪いコトなんてしていない。』
]
ヒーローたちが、思っていたけれど、言いにくいことを、プラタは公然と言い放った。
動揺を露わにする視聴者に、プラタはさらに言葉を重ねた。
[i:
『それに、目立つことも、大事なことであると、私は先日知りました。
たとえば、
壇上に立つヒーローたちを見てください、
「エンデヴァーが来た」
「ジーニストが来た」
「エッジショットが、ホークスが来た。」
それだけで、人々は安堵を覚えるんですよ?
私も子供達に言われました。
「プラタが来た!」って。
不安そうな顔が安心したような表情になっていくことに、驚いた。
存在だけで、人を安心させることができるのか、と。
そして、それは勿論、自分のこれまでの実績が知名度となって評価されているから。
だから、知名度も功績も、私は必要だと思います。』
]
凛は、一人一人、壇上のヒーローたちを振り返って、そう断言した。
ヒーローたちは、それぞれ、向けられた目に、
姿勢を正し胸を張った。
それは新鮮な視点であった。
ヒーローたちの誰もが一度は感じたことのある喜び。
[b:__存在自体が、人々に安心を与える。]
その事実に、ヒーローは誇りと使命感を感じてきた。
[i:
『それは違うと思った人は、どうか若輩者の戯れ言だと思って聞き流してください。
でも、私は勝手に言わせて貰います。』
]
プラタの表情は、少し真剣な表情になった。
その表情に、会場の中に居てソレを直接受けている人間だけでなく、テレビを通した視聴者たちの背筋も自然と伸びた。
[i:[b:
『ヒーローを神格化したいなら、どうぞお好きに。
ですが、ヒーローは超人じゃありません。
彼らだって人間なんです。
ヒーローだって、泣きたいときはあるし、辛いときだってある。怖いときだって、怖いんです。
”ヒーローが絶対助けてくれる”
そうしたいです。
でも、出来ないときだってある。
あの島で、もし、ヴィランを前に島民の皆さんが、協力して逃げてくださっていなかったら。
そこで立ち止まってしまっていたら。
私たちは、すべての島民を救うことなどできなかった。
たくさんの方々が「頑張ってね」と応援してくれた。
その声が聞こえたから、私たちはヴィランに立ち向かえた。』
]]
ヒーローたちの真実を、
ヒーローたちの重責を、
ヒーローたちが言いたかったことを、
普通ならば、社会のバッシングが怖くて言えないようなことを、
全て、プラタは口にした。
諭すように、一言一言、丁寧にゆっくりと。
驚く程、堂々たる姿で。
その一言ごとに、
社会の凝り固まった固定概念が、
次々と解されていくような、
切り離されていくような衝撃であった。
[i:[b:
『だから、もしこれから先、不安なことが起きたとしても、まずは貴方が助けられる範囲でいいです、余裕がありそうなら、身近な人を助けてあげてください。
ヒーローたちが、皆さんを守り切れるように。
そして、これからも応援してください。
その声はヒーローたちに届いています。
私たちは、守る人々の声に背を向けません。
絶対に諦めません。』
]]
言葉一つ一つに、重みがあった。
一言一言が、空間を超えて、
直接人々の心に語りかけてきた。
ぼーっとテレビを見ていた人も、
片手間にラジオを聞いていた人も、
交差点で立ち止まって生中継を見ている人も、
訴えかけられる思いに、
その覚悟に、
言い知れぬ感動、
自分たちでも感じたことのないほどの熱量が漲ってくるのを感じたのだ。
まるで目の前で語りかけられているかのような錯覚を覚え、
紡がれていく言葉に、全神経が集中していく。
[i:[b:
『皆さん。
立ち止まらず、前を向いていきましょう。
私もそうして、生きてきました。
さっき、エンデヴァーが言っていたように
ちゃんと、見ていてください。
ヒーローたちが未来を切り開くため、
尽力している、その姿がきちんと見えるはずです。
皆さんの見てきたものを信じて、
前を向いて走り続けてください。』
]]
高ぶった熱量が、周囲と共鳴し合っていく。
その感動を、人々は一度感じると、もう忘れることはできない。
簡単な話で言うと、
「一度同じ話で盛り上がると友達」という
社会的風潮がある。
あれと、原理は同じだ。
そうやって、プラタの言葉は人々を感動させ、
多くの国々を結果的に救ってきた。
そんな救国の英雄が、[[emphasismark:現代社会 > ・]]に語りかけている。
特に、今日の社会では、
人々は、[[emphasismark:仲間はずれ > ・]]、を異常に怖がる。
そんな社会で、
一度、大衆の全てが同じ感動を憶え、
その熱量に湧き、打ち震えた。
手っ取り早いのはスポーツだ。
サッカーワールドカップに置いて、
死の組を首位で通過したスペイン戦を見ていた時、
人々の注目が集まった日本男子バレーのネーションズリーグ、フランス戦、
ラグビーワールドカップ、
人々の熱狂が溢れ出て、共鳴する瞬間の感動。
その体験は、一生忘れられないものとなるだろう。
このスピーチを人々は、忘れない。
プラタは壇上を降りて、A組の皆と同じ位置に並んだ。
[i:[b:
『私たちはこれからも邁進してまいります。
どうか、温かく見守ってください。
応援よろしくお願いいたします。』
]]
プラタを含め、A組全員が頭を下げる、
その姿に、
拍手喝采が、日本中に鳴り響いた。
[i:[b:「言葉は、適切なタイミングで使われれば、文字通り世界を揺るがすことができる。それは、すでに用意されている爆薬に点火する火花のようなものだからだ。」
—— ウィンストン・チャーチル]]
























