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一週間も必要なかった

佐倉佐倉

付き合ってないプロヒ勝×兼業デ デクくんがかっちゃんに結婚を申し込む話です。会話文です。 ・ ・ ・ ・ ・ おそらくn番煎じの設定だとは思いますが、何度も擦られるということはそれだけ魅力的な設定ということでそのまま突っ切ります。 デクくんはきっと自分の命に対して誰がどんな決断をしようともありのままを受け入れそうな気がするのですが、その決断を下した人に「負担を負わせて申し訳ない」と思ってしまいそうだなあと。だけど「その負担をかっちゃんに背負って貰いたい」という甘えがあったら良いなあという気持ちから生まれました。 ヒロトラが終わるのが寂しすぎて現実逃避で書いたので、後から見直して適宜修正するか非公開にするかもしれません。フリーダムです。

「ねえ、かっちゃんって結婚の予定ある?」
「アァ?ンだよ急に」
「いいから答えて」
「別にそんなモンねーわ」
「じゃあ今お付き合いしてる人は?」
「いたらこんな頻繁にテメーのアッシーやってこうして週三でメシ食いになんて行ってねえだろうな」
「そう、それならよかった。……じゃあこれ書いて」
「なんだこれ……ってマジでなんだよこれ」
「なにって、婚姻届だけど」
「あいにく俺も字は読めンだよ。それを俺に書けっつってるテメェの真意が読めねぇって言ってんだわ」
「真意もなにもないよ。かっちゃんと籍を入れたい。それだけ」
「……おまえ、俺のこと好きなんか?」
「人間としては」
「恋愛対象としては?」
「微塵も」
「………おまえ、自分がトチ狂ったこと言ってるって自覚あンのか?」
「自分が何を言ってるのかはわかってるつもりだよ」
「トチ狂ってるってのは否定しないんだな」
「…………」
「………ハァ。念のために一応聞いてやる。なんで俺と籍を入れようなんて思った」
「話、ちゃんと聞いてくれるんだ。すぐに一蹴されて終わりかと思ってた。かっちゃんって、案外優しいよね」
「アァ?俺ほど優しい人間もそうそういねーだろォが」
「それに対しては疑義があるからここでは触れないとして」
「おい」
「この前、かっちゃん、大怪我したでしょ?」
「ア?いつ」
「敵の攻撃から市民を庇って意識不明で入院したとき」
「ああ、あん時か。つかありゃ大怪我のうちに入らねーだろ」
「……両足骨折して肋骨折って肺に穴が空いた状態は世間一般的には大怪我と呼ばれるんだよ。それでさ、僕はそのことをニュースを見て初めて知ったんだよね」
「そりゃな。両親ならともかく、普通は身内でもねぇ奴に個別で連絡はいかねーからな。知ってるとしたら同じ現場だったヤツらくらいだろうよ」
「……まあその時に思ったんだよね。かっちゃんがいつか僕の知らないところで死んじゃっても、僕はそれをこうやってニュースで知るのかなあって。……それは、とても嫌だなって」
「……なんとなく話は読めてきた。でもってやっぱテメェがイカれてるってこともわかった」
「なんだよひどいな」
「あのな、普通はそう思っても恋愛感情も抱いてねぇ幼馴染相手に籍入れようなんて提案しねーんだよ。せいぜい緊急連絡先にしとけって伝えるくらいだ。今どきは身内以外も指定できるらしいぜ。テメェを緊急連絡先にするって話なら検討してやらんこともない」
「……でもさ、仮に緊急連絡先に指定してもらったとしても、ただの幼馴染のままだと、いざっていうとき取れる手段が限られてくるよね?たとえば手術の同意書なんかは基本書けないだろうし」
「アァ?死に目に会いてぇって話だろ。ならそんなん関係ねーだろォが」
「ううん、あるよ。というか僕は死に目に会いたいわけじゃない。……君が命の危険に晒されているとき、何もできないのが嫌なんだ。君の命の責任を、僕も負いたいんだよ」
「ハァ?なんで」
「君に僕の命の責任も負って貰いたいからかな。たとえば僕が命に関わる大怪我を負って自分で意思表示ができない状況になったとして、僕の処遇をどうするかは君に決めてもらいたい」
「……どうして俺だ?もっと相応しいやつがいんじゃねーの」
「ううん、君しかいない。……君が決めたことなら、それがたとえどんな結果になろうと納得できるから。君は絶対に最善を選んでくれるって信じてる。だからもし君の選択の結果自分がどうなろうとも、それは仕方のないことだったんだと心から納得できる。でも、たとえ僕がそう考えていても一方的に君に僕の命を背負わせるのはフェアじゃないでしょ?だから僕も君の命の責任を負いたいんだ」
「つまり、テメェの命を俺に預けたいから俺の命も預けろと」
「そういうこと」
「……ハァアア」
「え、なんで深いため息?」
「あのよォ、それで籍を入れるってことはつまり、おまえは自分の一生を俺に捧げてもいいって考えてるってことだよな?他の男や女と結婚するつもりはねーって、そういうことで合ってるか?」
「そういうことになるね」
「で、それを俺にも強いると」
「………そういうことになるね」
「ハァアア」
「だからなんでため息?」
「おまえさァ。そういうこと俺に強いるならよ、もっと頼み方ってモンがあるだろォが」
「……僕の一生を君にあげるから、君の一生を僕にください、とか?」
「……そのセリフを恋愛対象でもなんでもない幼馴染に言えるテメェは尊敬に値する。間違いなく脳みそバグっとるがな。だけどバグっとるついでにもう一段階バグらせろ。俺ァよ、こう見えて倫理観はまともな方なんだわ。浮気や不倫なんかは絶ッ対ェにしねぇしするヤツはクソ野郎だと思っとる。つまり俺は、結婚したらその結婚相手以外とはそーゆーコトはしねぇ主義の人間だってことだ」
「………それって、僕と結婚したらかっちゃんは今後一生誰ともそういうことができなくなっちゃうから、僕と結婚することはできない……って、そういうこと?……僕が他の人としても良いよって許してても?」
「ア?テメェが許そうが許さまいがそんなのカンケーねぇんだわ。"俺の"価値観では結婚相手以外とそーゆーコトはしねえって話だ。そんで、別におまえと結婚できねえとは言ってねぇだろーが」
「……んん?」
「おまえは俺と結婚してェんだよな?でも俺はさっき説明した通り、結婚相手以外とはセックスはしねぇ主義だ。もしお前と結婚したとして、まさかテメェは俺に童貞のまま生涯を終えろって言うつもりか?」
「えっ、かっちゃん童貞なの!?」
「ピッカピカのな。ちなみに交際経験もねぇ」
「………ごめん、かっちゃん。まさかかっちゃんがそこまでピュアだとは思わなくて……。それなら、とりあえずこの婚姻届は今日は一旦持ち帰るね。それで、脱童貞してからもう一度僕と結婚しても良いかどうか検討してくれる?」
「アァ!?違ェだろ、テメェが言うべきセリフはこうだ。『かっちゃんの童貞は僕が責任を持って貰うので、僕と結婚してください』」
「………ごめん、かっちゃん。ちょっと頭が混乱してるからひとつだけ聞かせて。とても初歩的な質問なんだけど、かっちゃんは僕とそういうことができる……ってこと?」
「つかむしろお前としかしたくねぇ」
「へ?」
「……俺ァ、お前に言わせると"最善の選択"ができる人間なんだよな?そんな人間が恋人も作らず同性の幼馴染のアッシーやって週に三回も晩メシ一緒に食ってるような生き方を選択してるって、それがどういうことかわかるか?」
「えっ、え?」
「俺にとっちゃ恋人作るより童貞捨てるより何より、お前と一緒にいることの方が大事だってことだ。もし俺と結婚してぇっつーんなら、きちんとした夫婦生活も込みだ。浮気も不倫もゆるさねェ。それでも良いなら結婚したる」
「……かっちゃん、僕のこと、好きなの?」
「じゃなきゃお前に操立ててこの歳まで童貞なわきゃねェな」
「へ、へぇ……」
「おーおー顔が赤ェぞ出久さんよォ」
「なっ、ぼ、僕も童貞だからさあっ、そういう話に耐性ないんだよ……っ」
「本当にそれだけかァ?今までそういう対象として見てなかった幼馴染を意識しちまったって顔じゃあねェんかァ?」
「う〜、揶揄うなよ……」
「で、どうすんだ。俺ァただ同意書にサインするためだけに籍入れるのはごめんだが、ちゃんとした夫婦になるってンなら大歓迎だぜ」
「あの、その……。僕は今までかっちゃんのことをそういう目で見たことがなかったと言いますか……。だからそういうことができるかどうかはまだちょっと未知数な部分が多くてですね……。……とりあえず、そういうことができそうか見極めるためにも一旦恋人から始めても良いでしょうか……お試しで……」
「……ほーん」
「な、なにニヤニヤしてるんだよ」
「いやァ?俺のことそういう目で見たことねーって言う割に、俺とそーゆーコトしてんの想像して赤くなってンの、すげえカァイイなあと思ってよォ」
「かっ、かわ……っ!?」
「ま、じゃあ今日から恋人っつーことで。お試し期間は一ヶ月な」
「一ヶ月!?み、短くない……!?」
「いーんだよ、どうせ一ヶ月経つ頃には『ごめん僕もかっちゃんのことが好きだったみたい……』ってお前の方から言ってくンだから」
「すごい自信だ……」
「根拠もある」
「え?根拠ってな………、っ!?!?な、なな、なんで今キスしたの!?!?」
「………ハハ、すげえ顔真っ赤」
「だってかっちゃんが急にキスなんてしてくるから……ッ」
「お試し期間一週間でもいーかもな」
「なんで!?」

 ーーー二週間後。
 そこには電撃結婚したヒーロー二人の姿があったそうな。ついでに言えば、この二人は数十年後お互いが老衰で死ぬまで、大層仲睦まじく生きたという。

おしまい

— End —

Comments 3

はー15 天前

最高です。ありがとうございます🙇‍♀

ミッチー26 天前
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