ヴェローニカ
ージルヴェスターー
臨時領主会議は、波乱に満ちたものとなった。国境門が開閉出来るようになった事で、この先のエーレンフェストの国境門をどうしたら良いのか?など、呑気に考えていたのが遥か遠く感じる。
会議場に魔獣が現れ、そしてそこに子どもなどいないのに、子どもの声が聞こえてきた。
しかも内容が酷かった。
王族は、偽物のグルトリスハイトを作成したとか、神々はツェントが不在と思っているとか・・・。
もっと酷いのは、姉上がアウブアーレンスバッハを毒殺しようとしていて、ランツェナーヴェと繋がっているとか。
その上、あれは姉上の姿をした魔獣だとか・・・?
いや、魔獣のような考えだと言う神々の言葉を子どもだから魔獣と勘違い?したのだったか?
その上、あの腹の出ている中央騎士団団長もランツェナーヴェと繋がりがあるとか。
もう訳が分からない!
だが、そんな事を言って傍観していれば良い状況ではなくなったのだ。
もし、姉上、ゲオルギーネが罪を犯していたら?
私は、どれだけ姉に虐げられていようとゲオルギーネとは実の姉弟になる。
そうなれば、私も連座だ。
しかも、エーレンフェストから事情を聞くからと母上とフェルディナンドまで呼ばれてしまった。
先程エーレンフェストに戻った時もボニファティウスとはゆっくり話す時間も貰えず、しかも会う時間すら持てなかったのだ。
中央の者とダンケルフェルガーの者も一緒だったし、ブローチもなくエーレンフェストに入り込まれ、礎の魔術を行使している私には不愉快だった。
だが、不愉快だとも言えずに母上とフェルディナンドを伴い、蜻蛉返りで貴族院に戻ってきたのだ。
母上がいる時には、こんなもんだと思っていた態度も、中央の者とダンケルフェルガーの者の前でやられると、胃が痛くなった。
何故私は母上を処分しとかなかったのだろう。
母上は、中央の者に連行された。
どうしたら良いのだ?
母上の不敬で、私は連座か?
何故、フェルディナンドやカルステッドに色々と言われている時に母上を罪に問わなかったのだ?
何故、領内が疲弊している時に皆の声に耳を傾けなかったのだ?
面倒だからと何もしなかったのだが、まさかこのようなことになるとは・・・。
ここで、無事に母上の尋問が終わるなどと安易に思えない。絶対に上位に対しても不敬な事を言うに決まっている。
先程だって、罪人のくせに着替えさせろとツェントを待たせても良いと喚いていた。
それを中央の者とダンケルフェルガーの者も聞いていたのだ。
揉み消す事も出来ない。
フロレンツィアが近づいてきて、盗聴防止魔術具を渡してきた。
「ジルヴェスター、ゲオルギーネ様の記憶の確認をコンスタンツェ様が行いました。
もし、先に記憶を確認したマグダレーナ様と違う事を言ったり隠蔽したりしたら・・・。
私もジルヴェスターもコンスタンツェ様の連座も有り得ます。
私とジルヴェスターは、二重にフレーベルタークとの縁がありますから。
もしかしたら、私はそこまでの罰ではないかもしれませんが。
私はフレーベルターク出身ですが、コンスタンツェ様と血の繋がりはないので。
そして、ゲオルギーネ様が、本当にアウブアーレンスバッハに毒を盛っていたりしたら・・・。
それをコンスタンツェ様が見逃したりしたら・・・。
その上、白の塔から出してまで尋問するなど。ヴェローニカは、既に罪人でエーレンフェストで裁いているのに。
他領を巻き込んだ罪を犯していたら・・・。
エーレンフェストは、廃領も有り得ますわ。
「廃領など・・・」
エーレンフェストの領主一族は、まだいます。ボニファティウス様の血統に領主一族を移すことが出来ます。
ですから、廃領はよっぽどの罪でなければないでしょう。
ですが、ゲオルギーネ様がアウブアーレンスバッハに毒を盛っていて、過去にヴェローニカが、他領を巻き込んで何かをしていたり、記憶の確認の際に見たものをコンスタンツェ様がもし誤魔化したりしたら・・・。
ジルヴェスターは確実に連座です。
そして、貴方と私の子も連座となります。
先程、側近に言われたのです。
フェルディナンド様は領主候補生。領主候補生に手を出した事が中央に暴露たら、ヴェローニカに生き残る道はないと。
そして、それを罰して来なかった領主は、連座どころか罪があると。
私は、その領主であるジルヴェスターの妻です。私も連座ですわ。
「そんな・・・。
だが、母上がフェルディナンドに多少厳しいくらいで・・・」
ジルヴェスター、私もお茶会などでヴェローニカに毒を盛られた事ありますわよ?
貴方はいつも大袈裟だと取り合ってくださらなかったですが・・・。
もう楽観的に自分の都合良く運ぶとは思わない方が良いと思います。
記憶の確認で何か出ない事を祈るしかないのでしょうね」
フロレンツィアは、そう言って私に盗聴防止魔術具を返せと手を差し出した。
私は何も言えずに渡す事しか出来なかった。
私は、フロレンツィアに言われた事を考えていた。
母上が罪を犯しているとして、それは自分と関係ないとは言えないのだと、初めて自覚したのだ。
私は今まで、母上が五月蝿くフェルディナンドの事を言ってきても、五月蝿いからと母上から躱しきれなくなれば、フェルディナンドに我慢を強いてきた。
本当に五月蝿くなったので、神殿にも入れた。
あれは、まずかったのでは?
神殿に罪もないのに異母弟を入れ、母上から守った[[emphasismark:つもり > ﹅]]だった。
だが、他領や中央から見れば、それは賛同を得る行為ではない。
自分の母親が五月蝿いからとアウブと言う身分で、よく考えもせずにその方が楽だからと異母弟を神殿に入れているのだ。
フェルディナンドが、中央からの状況説明を受けた時に、神殿入りの理由を聞かれたら?
私はどうなるのだ?
フェルディナンドに罪があった事にしてくれと頼むか?
いや、神殿に入るような罪を犯していないフェルディナンドにこのような事を頼めない。
だが、そうしたらどうしたら良いのだ?
母上は、先程も庶子を連呼していた。
庶子はフェルディナンドの罪にはならない。
それに、アウブである父上に他の妻を許さなかったのは母上だ。
母上は、アーレンスバッハの後ろ盾があるとずっとエーレンフェストで口にしていた。
だが、ゲオルギーネがアウブアーレンスバッハに毒を盛っていたら?
アーレンスバッハは、母上など見捨てる。
それに母上はずっとアーレンスバッハが後ろ盾だと言っていたが、実際にアーレンスバッハが母上に力を貸したのか?
そんな事今までない。
エーレンフェストにアーレンスバッハが無理を言って来た事はあったが、母上に便宜を図ったか?
唯一思いつくのは、ゲオルギーネの嫁入り。
当時底辺領地のエーレンフェストから、アーレンスバッハへ嫁入りしたのは、便宜と呼べる?かもしれん。
だが、それもアウブアーレンスバッハに毒を盛っていたとすれば・・・。
ゲオルギーネは、姉上は、アウブアーレンスバッハに毒を盛ったりしたのだろうか。
もし、そんな事があったなら、私もコンスタンツェ姉上も、お互いの子どもたちも連座だ。
毒を盛ってなくとも母上まで呼ばれたのだ、母上が罪を犯していれば、実子として、アウブとして連座だ。
当然子どもたちも連座だ。
何故私は、人の話を軽く聞き流すのだろう。もう後悔しても既に遅い。
ヴィルフリート、シャルロッテ、メルヒオールも殺されてしまうのか・・・。
嫌だ!嫌だ、死にたくない。
母上は無礼な事をしないだろうか?
ゲオルギーネは、罪を犯しているのだろうか?
私は何故家族に恵まれなかったのだ?
あぁ、胃が痛い。
痛いが、そんな自分に構っている場合ではない。
自分も連座、子どもたちも連座になるかもしれないのだ。
フェルディナンド、どうしたら良いのだ?
「フェルディナンドはどうした?」
側近にフェルディナンドの居場所を聞く。
側近たちは、フェルディナンドが何処にいるのかも把握していなかった。
そして、母上の派閥の者なので、蔑んでいる表情をしている。
私が母上の[[emphasismark:せい > ﹅]]で連座になるかもしれないのに、全く気にしていない。
母上ならどうにか出来るとでも思っているのか?
アーレンスバッハの後ろ盾があるとばかりに威張り散らしていたが、そんなものは幻想だったではないか?
私は、何を見ていた?
これからどうなるのかも予想出来ない側近たちを見て、同じように安易に捉えていたのか?
「シュタープ オルドナンツ
『フェルディナンド、ジルヴェスターだ。
今何処にいる?至急相談したい事がある』
面倒があちらから
ーフェルディナンドー
『フェルディナンド、ジルヴェスターだ。
今何処にいる?至急相談したい事がある』
会議室で今までの様子とエアヴェルミーンからの呼び出しを4人で話し合っていたところにジルヴェスターからのオルドナンツ。
4人で揃ってため息を溢したが、答えぬ訳にはいかないのだろうな・・・。
『ジルヴェスター、フェルディナンドだ。
私は小会議室にいる』
側近やフロレンツィア様の前で話す事ではないだろうと、小会議室で待っているとジルヴェスターがやってきた。
小会議室に新たに筆頭護衛騎士となった者が一緒に入って来た。
私たちは別にジルヴェスターと話がある訳ではないので、護衛騎士はそのままにしたのだが・・・。
「フェルディナンド、ゲオルギーネの記憶からエーレンフェストに良からぬ内容が出たようだ。
それに多分フェルディナンドの神殿入りの事も触れてくるはずだ。どうしたら良いと思う?」
エーレンフェストが現在危機であるのは理解しているようだが、私の神殿入りの事はありのまま話すが?
自分や母親に不利になると思って、私に振っているのだろうな?
「そのまま話すが?
アウブに命じられたから神殿入りしたと。
その通りだろう?」
「・・・・・・・。
だが、罪もないのに神殿に入れたアウブなど、他領のアウブは私の事を非常識なアウブと思うのではないか?」
ジルヴェスターは何を言っているのやら。
しかし、祝福をかけておいて良かったのかも知れぬ。
これが結局ジルヴェスターの本音だと分かるからな、迷う事なくジルヴェスターを庇わなくて構わないと思えるからな。
「そうか?
仕方ないだろう?それが事実なのだから」
「なぁ!そんな!
「アウブの名誉が傷ついても良いと言うのか?」
筆頭護衛騎士になった者が我々の話に口出してきたな。
「ツェントの前で嘘を吐けと言うのか?
何故、私がジルヴェスターの非常識のツケを払わねばならぬ?
母親に五月蝿く言われたからと、罪もない領主候補生を神殿に落としたのは、アウブだがな。
大体、その母親は上級貴族出身だ。
「ヴェローニカ様を愚弄するのか?」
愚弄も何も事実だろう?
何か?私が無実なのに罪を捏造しろとでも?
上級貴族出身の母親に言われたからと、領主候補生の異母弟を神殿に入れたのは事実だ。
領主候補生に対する排斥行為も沢山ある。
ユルゲンシュミットの規範で、許されるとでも思っているのか?
ヴェローニカが不敬を働いたとしたら、実子のジルヴェスターは連座だ。
ユルゲンシュミットの規範を勝手に曲げて、好きにしていたのは、其の方だろう?
ヴェローニカに罪がある事は、とっくに進言していたぞ、私は。
証拠も提出していた。
それなのにいつまでも手を打たなかった。
今困っているからと、ジルヴェスターの罪を私が庇う必要性を感じないがな。
第一、私の神殿入り云々の前に、ゲオルギーネがローゼマインの毒殺の指示を出しているようではないか?
「そんな、何故姉上は、そこまで記憶を
なんだ?記憶を晒した事を言っているのか?
マグダレーナ様は、ダンケルフェルガーで騎士訓練も受けている。
記憶を確かめる訓練もしているだろう。
騎士の訓練には、しっかりとそれも含まれているからな。
ゲオルギーネがローゼマインの毒殺の指示を出していれば、他領の者が領主候補生殺害を示唆したのだ。
ゲオルギーネは、ジルヴェスターの実姉だ。
ヴェローニカ云々の前に、ジルヴェスターは連座ではないか?
その記憶があるからこそ、ヴェローニカと私は貴族院に呼ばれたのだろう?
今更、私の神殿入りを誤魔化したところで、母親と実姉が罪を犯していれば同じだ。
もうエーレンフェストは、崖っぷちなんだろうからな」
ジルヴェスターは、ずっと甘やかされ、甘えれば許される環境で過ごした事で、都合の悪い事を軽く考え、そのうちそれを事実と変換する便利な思考を持っている。
だが、それはエーレンフェスト内だけでしか通用しないのだ。
どんなに私の事だけ取り繕うとしても、他が破綻していたら、[[emphasismark:同じだ > ﹅]]。
「アウブに従わないと言うことですか?フェルディナンド様」
また、筆頭護衛騎士が口出ししてきた。
ここはもうはっきりと言おう。
「其の方こそ、アウブと領主候補生の会話に先程から口出ししているが?
筆頭護衛騎士だと言うなら、護衛に徹しろ。
それこそアウブの品位を疑われる行為だ。
エーレンフェスト内で、どの様に取り繕うとも、ユルゲンシュミットの規範から逃れることは出来ない。
エーレンフェストのアウブだからこそ、今責任が追及される立場なのだ。
誤魔化したところで、ヴェローニカの罪が無くなる事はない。
ゲオルギーネの記憶の確認があったのだぞ?ヴェローニカが他領を巻き込んで、ユルゲンシュミットの規範から外れていたら、取り繕ったところで後から暴露たらどうするのだ?
其の方が責任を取れるのか?
「いえ」
責任も取らない、領主候補生でもない者が口を挟むな」
「フェルディナンド、ちょっと言い過ぎただけだ。私からも言っておく。ここは
「ジルヴェスター、そうやって罪を見逃してきて、連座になるかもしれないのに、其の方は寛大だな。
それなら、今更私の神殿入りもそのまま報告させて貰う。
そろそろであろう?
フロレンツィア様のエスコートに行った方が良いのではないか?」
事なかれ主義は変わらぬな。
其の方の側近の不始末までこちらに振るな!
ジルヴェスターの相手は疲れる。
早く部屋から出て行け。
召喚 ーヴェローニカー
臨時の領主会議の場に[[emphasismark:ツェントから > ﹅]]呼ばれたと白の塔から出されました。
ですが、シュタープ封じはそのまま。
全く、ジルヴェスターは分かっていませんわね。
ツェントがお呼びと言うのです。
私が不当に[[emphasismark:あの庶子 > ﹅]]に貶められた立場だと言うのが、判明したのでしょう!
ゲオルギーネの記憶からとか言っていましたが、ゲオルギーネが気を利かせて、私を出したのでしょう。
全く[[emphasismark:遅すぎますわ > ﹅]]。
それでもアーレンスバッハの力も借りて長女が便宜を図ったのですから、まぁ良いことにしましょう。
こう言う時、息子はダメね。
だからフレーベルタークなんて弱小の領地の嫁は嫌だったのよ!
次女だって、あんな弱小領地に嫁入りして、何も便宜を図りもしない。
所詮政変で負けた領地。
こんなものかもしれませんわね。
あの時も私は[[emphasismark:あれだけ > ﹅]]言ったのに、アーデルベルト様は病床だからと中立を表明してしまって。
本当に男性は気が利かないわね。
ツェントが許せば、私はもうあんな白の塔になど居なくて良いのだわ。
こんな猿轡などした役人は、責任を取って頂きましょう。
何処に領主一族にこんな扱いをする中央の者がいるのかしら?
顔は覚えたわ!今に見ていなさい!
「エーレンフェストの前第一夫人であったヴェローニカ、連行致しました」
会議の場の側近?が使う控えの間のような部屋?に入れられましたわ。
椅子もない。
まさかこの私に、ここでずっと立って待たせると言うのかしら?
「あぁ、来たか。
どうであった?」
中央の騎士たちとダンケルフェルガーの騎士たちが集まる。それなら私に椅子ぐらい出しなさいよ!
「あぁ、最悪だった。ツェントの召喚だと言うのに、着替えさせろやツェントも女性の着替えくらい待つとか、フェルディナンド様の事もあの庶子と呼んで蔑んでいた」
「アウブはどうしたのだ?いたのだろう?」
「アウブも止めに入っていたが、全く本気で止めていなかった。
最後には、私の城に無断で我々が入っているとかも言っていたな。
こいつ、頭がおかしいのではないか?
自領のアウブが例え息子であろうと、あそこまで自分勝手な事は言わないと思う。
流石は非常識なエーレンフェストであった。アウブの側近たちも、この罪人を止めようともしていなかったからな」
何ですってー!私を頭がおかしいなどと!
こんな無礼は許しませんわよ!
猿轡されているので、うーうーと唸るしか出来ませんわ!淑女になんてことを!
「うるさい!罪人の分際で唸るな!」
騎士に怒鳴られても引きませんわよ!
ツェントの召喚からさっさと連れて行きなさいよ。絶対ツェントに言いつけますわ!
「まぁ、ゲオルギーネの罪も確定のようだ。
先程シュタープ封じがつけられた。ゲオルギーネの記憶の中で、旧ベルケシュトックのターニベスフェレンを頼まれた記憶があったから呼んだそうだ。
他領を巻き込んだことがこのババアにあったなら、そこで処刑が決定だ。
そして、あの実子のバカアウブも連座だな」
え?処刑?
ジルヴェスターも?
「そうなったらエーレンフェストはどうなるんだろうな?」
「前アウブの兄にあたる者もフェルディナンド様もいるのだ。なんとかなるのではないか?
大体、あのアウブをアウブにしたのが間違いだ。貴族院始まって以来の優秀なフェルディナンド様を差し置いて。
それにもし廃領になったとしても、罪のない者は何処かの領地が引き抜くのではないか?
第一、ユルゲンシュミットの規範も知らないようなこんな者が領主一族だぞ?
いくら白の塔に入れていたとは言え、罪人のくせに弁えた振る舞いも出来ずに、今だに高圧的な態度で。
所詮田舎領地のズレたババアだから仕方ないのかもしれんな」
部屋にいる騎士たちが笑って、私のことを蔑んでいますわ。
本当に、ツェントに罪を許されたら覚えておきなさい!
でもゲオルギーネもシュタープ封じをつけられたと言ってなかったかしら?
ゲオルギーネは何か罪を犯したのかしら?
私は母親として、ゲオルギーネの連座?もあるの?
突然、ここはエーレンフェストでない事が不安になってきたわ。
もし?ゲオルギーネが私に不利な事を言っていたら・・・。
私はどうなるの?
死にたくない!
「あぁ、それとこの者がずっと隠し持っていた自分の魔石は、隠し部屋を開けるのにと向こうの留守を預かっていた領主一族のボニファティウス様に渡して来た」
「そうか、身柄がもう生きたまま領地に戻るか分からないからな。
良いのではないか?」
もうエーレンフェストに生きて戻れないのかしら?・・・・・・
「さぁ、女性騎士に頼んで記憶の同調をしてしまおうか」
臨時領主会議
ーフェルディナンドー
さて、休憩も終わり、また領主会議の場へと戻ると言うので、私は初めてのフリをしてエーレンフェストの集団についていく。
私は領主候補生なので、側近として、ユストクス、エックハルト、カルステッドを従えている。
ジルヴェスターもカルステッドが私についている事に気づいてないしな。
しかも、ジルヴェスターの側近はとっくに辞任しているのだ、私についていた方が今後どう転んでも動きやすい。
領主会議の場には、アウブとアウブ配の席しか用意されていないからな、どうせ、2人の後ろに立っているしかないのだ。
エーレンフェストに割り当てられた区域に居れば問題なかろう。
「午後の臨時領主会議を開始します」
中央の文官の司会者の宣言により始まった。
「今日は、本来の予定から随分横道に逸れましたが、先程、皆の前で記憶の確認を行いました。2名の事でツェントから話があります」
ツェントが2人について話すようだ。
「まず、私の筆頭護衛騎士をしていたラオブルートについてだ。
あの者は、以前の政変を陰で主導していた。まず、当時の第一王子を唆し、前ツェントより指名のあった第二王子を刺殺するように仕向けていた。
また、第一王子と第三王子の共倒れを狙っていた事も判明した。それにランツェナーヴェの王となった者に忠誠を誓っており、いずれは外患誘致し、ユルゲンシュミットの王となるように呼び寄せるつもりだった。
まず、この王宮にトルークと呼ばれる思考誘導が出来る薬物を持ち込み、それらを使い、中央騎士団に造反者を作ろうとしていたり、王子たちの教育、果てや私の思考誘導もしていたと判明!
ラオブルートの記憶により、ラオブルートの処分は確定とする。
またラオブルートの処分に伴い、ラオブルートを私の身近に勧めた私の第一夫人は、離婚し領地に戻す。
そして、第一夫人との間の2人の息子も王位継承権を剥奪。夫人と共にギレッセンマイヤーに戻す」
随分祝福で薬物が抜けていたのだな。
順当な処分ではないか?
「王子たちの王族籍は剥奪。
夫人と元王子たちの処遇については、ギレッセンマイヤーに一任する。
アウブギレッセンマイヤー、良いだろうか?」
王族籍も剥奪。それで、夫人の元領地に戻されても、アウブも困るな。
だが、ラオブルートの出身領地であるのだ、仕方あるまい。
「畏まりました」
アウブギレッセンマイヤーが、恭順の姿勢を取った。
「そしてアーレンスバッハの事だ。
アウブの第一夫人であったゲオルギーネは、謀反を企んでいた。
先程、皆も聞いたように子どもの声が聞こえただろう?
ゲオルギーネは、アウブアーレンスバッハを毒殺しようとしていて、その上で旧ベルケシュトックの者たちと手を組み、エーレンフェストに侵攻しようとしていた。
ゲオルギーネは、幼少期から次期アウブとして厳しい教育をされていたようだ。
この辺りは、各領地の教育方法なので、ツェントと言えど、色々と口出し出来ぬ事項ではあるのだが・・・。
だが、この教育を施していたのが、前第一夫人で、3人目に男児が産まれた事で、この次期アウブ候補から下された事を逆恨みしていたようだ。
また、この前第一夫人は、アウブの妻は自分1人とアーレンスバッハを後ろ盾にし強要、前アウブエーレンフェストの第二夫人予定であった者を毒殺した疑いが浮上した。
この第二夫人予定者は、前アウブの異母妹にあたる領主候補生だった。領主候補生殺害の疑いが出たため、領地で白の塔に入れられていた前第一夫人を召喚した。
また、アーレンスバッハ第一夫人は、エーレンフェストに混乱を呼ぶため、自身の名捧げ側近に命じて、現アウブエーレンフェストの実子や養女に対して色々と策を用いりエーレンフェストに混乱を呼んでいた事も判明。
現在もアウブエーレンフェストの養女は、ゲオルギーネの策により毒を飲まされ、ユレーヴェ治療中だそうだ。
その他にも、ゲオルギーネにエーレンフェストの前第一夫人が、ターニベスフェレンの幼体を頼んでいる記憶の確認も出来た。
ゲオルギーネは、アウブアーレンスバッハの毒殺未遂、エーレンフェストへ侵攻するためにエーレンフェストの領主候補生への毒の投与命令の確認も出来たため、こちらも処分となる。
そして、召喚したエーレンフェスト前第一夫人の記憶の確認が今、行われている。
もう少ししたら結果が知らされるだろう。
アーレンスバッハは、第一夫人のゲオルギーネが、罪を犯していたので、こちらも当分中央からの援助はなし。領主一族が少なくなるのは、自領でどうにかしてくれ。
ゲオルギーネの連座対象として、ゲオルギーネの娘2人は同じく処分であるが、これは毒杯とする。
もし、長女に子どもがいれば、その子どもは神殿入り。
エーレンフェスト前第一夫人は、内容によるが、毒杯は決定。領主一族に排斥行為を行っていたのだ、当然だな。
エーレンフェストのアウブ、フレーベルタークの第一夫人もゲオルギーネと前アウブエーレンフェストの第一夫人の行いにより連座で白の塔。子どもたちは神殿入りとする。
もし、前第一夫人が、罪を犯していたら・・・
あぁ、終わったようだな。
報告を頼む」
ジルヴェスターは、ゲオルギーネの連座で白の塔?子どもたちは神殿入りか。
ヴェローニカの罪が明らかになれば、どうなるのだ?
思った以上にツェントは早く決断したな。
「エーレンフェスト前第一夫人ですが、まず前アウブエーレンフェストの第二夫人予定の者をお茶会の菓子に毒を混ぜて毒殺。
その他として、その第二夫人の子どもとして洗礼式を上げるはずであったフェルディナンド様に過度な排斥行為、毒の投与複数、その上罪もないのに神殿に入れるように何度も現アウブエーレンフェストに強要していた記憶を確認。
また、フェルディナンド様が貴族院在学中に貴族院でターニベスフェレンをけしかけ、高みにあげようとし、ゲオルギーネにターニスベファレンの幼体を頼んでいました。
実際にこのターニスベファレンは、貴族院で放たれたようです。
自分の側近の子どもに命じていますが、フェルディナンド様が生きている事で、この側近の子どもは、前第一夫人の怒りに触れ高みに上げられています。
領内の派閥強化のために名捧げ強要もしていたようです。
これはアーレンスバッハから嫁入りした母親から聞いた派閥作りでした。
記憶で確認しました。
要するに、前アウブエーレンフェストの第一夫人であったヴェローニカは、前アウブエーレンフェストの第二夫人予定の領主候補生を毒殺。
現エーレンフェストの領主候補生のフェルディナンド様にも毒殺未遂多数。
その他として、現アウブエーレンフェストの第一夫人もアーレンスバッハから妻を娶らせようとしたのに、現アウブエーレンフェストがフレーベルタークから妻を娶った事が面白くないとして、お茶会などで第一夫人に毒を盛っていました。
本人は、フェルディナンド様にしろ、第一夫人にしろ、ちょっとした嫌がらせのつもりだったようです。ですが、かなりな毒を仕込んでいます。
確認出来たのは、領主一族とは言え、上級貴族出身の者が、産まれながらの領主候補生に手を出し毒を盛っていました」
ついにヴェローニカの罪が、ユルゲンシュミット中に暴露たな。
まさかこんな日が来るとは思っていなかった。そして、こんな穏やかな気持ちで聞いていられるとも思っていなかった。
「それでは、ゲオルギーネにターニスベファレンの幼体を頼んだ事実はあるが、それは上手くいかなかったのだな?」
ツェントの質問にこの騎士はなんと答えるのだろう。
「どうも通年フェルディナンド様が貴族院にいる間に、高みに上げてしまおうと思っていたようですが、貴族院にターニスベファレンが出現した記録もなく、学生たちは黒の呪文も知りません。
学生だけで討伐出来るものではないので、命じられた者が、貴族院に放したと虚偽報告をし、こっそりと処分したものと思います」
「もうその者は殺されているのだな?」
「はい、フェルディナンド様暗殺が上手くいかなかった腹いせに殺されていました」
いや、貴族院にターニスベファレンは放たれたがな。
過去にローゼマインが来てくれて、討伐方法を教えてくれたのだ。
あのままローゼマインが過去に来てくれなければ、あそこで命を落としたのだろうな。
「そうか。
ターニスベファレンの幼体はわかった。
だが、前アウブエーレンフェストの第一夫人の罪は確定したな。
アウブエーレンフェスト。
フェルディナンドは神殿にいるそうだが、なんの罪があったのだ?
貴族位を取り上げるほどのどんな罪だ?」
ツェントからジルヴェスターに質問が来たが。
私の罪を捏造するか?どうする?ジルヴェスター。
「いえ、あの。私は、異母弟であるフェルディナンドを守るつもりで・・・」
「守るとは?何から守るのだ?守るつもりで罪も犯していない領主候補生から身分を剥奪したのか?」
「いえ、・・・はい。母上は苛烈な性格なので、少し神殿に居れば、母上の言動も落ち着くかと・・・」
「アウブエーレンフェスト、異な事を。
其の方はアウブではないのか?何故罪も犯していない領主候補生を神殿に入れなければならないのだ?
自分の母親であろうと、其の方がアウブであるのに・・・!
呆れたな。この親にしてこの子ありか?」
その時、領主会議の扉が開かれた。
ツェントの側近が、木札を手に入ってきて、ツェントに渡した。
「今、エーレンフェストより連絡が来た。
留守を預かっているのは、誰だ?」
「前アウブエーレンフェストの兄にあたるボニファティウスです」
「そうか。その者からの連絡だ。
領内で突然高みに上がった者が10名ほどいたそうだ。
そして、前アウブエーレンフェストの第一夫人の魔石で、前アウブエーレンフェストの第一夫人であったヴェローニカの隠し部屋から名捧げ石を50以上発見。
神殿の闇のマントを使い、魔力を抜いたそうだ」
ローゼマインだな。子どもたちと名捧げ石から魔力を抜いたのだろう。
処分
ージルヴェスターー
どうしたら良いのだ?!
何が起こっているのだ?
ゲオルギーネは罪を犯していた!
その上、母上も罪を犯していた。
フェルディナンドの事は、私の罪になるのか?
母上が罪を犯してなくとも私もコンスタンツェ姉上もゲオルギーネの連座で白の塔と言われてしまった。
子どもたちは神殿入りだと!
何故だ!姉上の罪なのにと思うも、ゲオルギーネの事を領主会議で訴えることも母上を抑えることも出来なかったのだからか?
その上、母上は名捧げ石を50以上も。
私の側近も皆旧ヴェローニカ派が殆どだ。
母上に名捧げしていたのか?
ボニファティウスが、名捧げ石から魔力を抜いてくれたらしいが。
「先程のゲオルギーネの連座での処分の他にヴェローニカの連座も追加となる。
フレーベルターク第一夫人は、白の塔。フレーベルタークの第一夫人の子どもたちは神殿入り。これは変わらぬ。
だが、アウブエーレンフェストは違うな。
現在エーレンフェストの領主一族は、何名だ?フェルディナンド」
「お答えします。現在は、成人した領主一族は、アウブであるジルヴェスター様とその妻のフロレンツィア様。それに先程話に出た前アウブの兄のボニファティウス様に私の4名に、アウブと第一夫人の間に実子が3名。
年齢は、10才と9才と5才。それに以前の養女契約を解除し、前アウブの兄のボニファティウス様の孫娘にあたる養女のローゼマイン10才の8名です」
「成人が4名しかいないのか・・・。
その上、先程の処分によれば、現アウブとその実子3名が抜けると4名。
しかし、アウブの第一夫人もお咎めなしとはならないか・・・。
その第一夫人は、何処の領地出身だ?」
「フレーベルタークです」
「アウブフレーベルターク、フレーベルタークの領主一族は何名だ?」
「現アウブの私。第一夫人のコンスタンツェ。実子が2名の4人です」
「そうか。
それなら現アウブエーレンフェストの第一夫人は、どう言う関係になるのだ?」
「私の妹になります」
「アウブエーレンフェストと第一夫人の離婚を認める。アウブエーレンフェストの第一夫人は、フレーベルタークへ戻る意思はあるか?」
「はい、あります」
「では、戻ってフレーベルタークの領政と魔力供給を手伝うように。
足りない領主一族は、領内で補うように!
また、エーレンフェストも前アウブエーレンフェストの兄とフェルディナンドとユレーヴェ中のローゼマインで行い、足りない領主一族は領内で補うように。
どちらも領主一族が少ないため、先程の処分で良いが、早急に領内を立て直しするよう努力してくれ。
領主一族が少なくても、連座は変わらぬ。
エーレンフェストは至急どちらがアウブになるか、春までに決めるように!
どちらの領地も良いな?」
「「畏まりました」」
「区切りが良いので、続きはまた明日鐘3つから始めよう」
ゲオルギーネとヴェローニカが消えたが、同時にジルヴェスターもフロレンツィア様もエーレンフェストの領主一族で居られなくなったな。
まさか ーユストクスー
まさかここへ来てあっさりとバカアウブと子どもたちの処遇も決まってしまった。
今日の臨時領主会議の乱入で、当初の予定通りに進んだものもあれば、ボニファティウス様とフェルディナンド様、姫様がエーレンフェスト唯一の領主一族になってしまった!
エーレンフェストの貴族たちを鍛えるにしても今までの事があるから、先が長そうだし、子どもたちの側近も足りない。
いや、子どもたちはアレキサンドリアに返すつもりだから、これで良いのか?
アレキサンドリアの憂いは、後は王族と神々か・・・。
まだ大物が残っているな。
エーレンフェストの寮に戻り、フェルディナンド様は至急でとボニファティウス様に領主会議で決定した事を手紙に書いてカルステッド様に持たせて、ジルヴェスターを領地に戻した。
今は、フロレンツィア様と話している。
「フロレンツィア様、まだ離婚は成立していませんが、フレーベルタークの席で明日からの会議に出席した方が良いのではないですか?
もちろん、会議終了後は一緒にエーレンフェストに戻って、今後どうするのかを話し合わなければなりませんが・・・。
とりあえず、フレーベルタークから連れて来た側近と共にあちらの根回しも必要かと」
「そうですね。このような事態になり、今後を考えれば、その方が良いのでしょう。
あちらもお兄様しか領主一族がいなくなりますし・・・。
フェルディナンド様、私いつかはこんな事態になるかもと思っておりました。
子どもたちは、神殿入りとなりますが、・・・」
フロレンツィア様も今後が不安なのだろう。だが、それもヴェローニカを長年野放しにしていたエーレンフェストのせいだからな。
「神殿は、そこまで酷い所ではありません。ローゼマインが教育も出来るようにと整えてあります。
身分は今よりぐっと下がりますが。
ジルヴェスターが長年申し訳なかったです。私にもどうする事も出来ず・・・」
フェルディナンド様がフロレンツィア様に説明と謝罪をしたが、これはフェルディナンド様が悪いのか?
まぁ、もう縁が切れるのだし、良いのかもしれないな。
そこへフロレンツィア様へオルドナンツ。
アウブフレーベルタークが、フェルディナンド様とフロレンツィア様との会合を願ってきたので、直ぐにお茶の用意をして待つ。
「フェルディナンド様。明日からの会議は、フロレンツィアはフレーベルタークから出席させたいのだが・・・。
それからフレーベルタークは今回の件で多大な被害があった。
エーレンフェストと縁を結び、近隣領地で助け合っていくつもりが、まさかの親や姉の連座で妻も子どもたちも今後は領主一族でさえいれなくなりました。
フロレンツィアが戻って来るが、以前お願いしていたようにまた小聖杯の援助をお願いしたいのです」
「アウブフレーベルターク、それを願うならエーレンフェストでなく、アーレンスバッハなのではないですか?
確かに出身領地ではありますが、今回の一番の連座は、姉のゲオルギーネのアウブアーレンスバッハ毒殺未遂とエーレンフェスト侵略に向けての動きでした。
出身領地だからと言われても、本来魔力のやり取りは他領とは行いません。
それが中央に暴露たら、もう両領地終わりではないですか?
なので、それは出来ません。
エーレンフェストも同じように領主一族が少なく、大変になります」
キッパリとフェルディナンド様が断ったが、どうにかしてフレーベルタークは援助が欲しい?援助と言うより補填か・・・。
「ですが・・・」
「はい、分かっています。それなら白の塔にヴェローニカを入れるようにしたいと中央に願うのは如何ですか?
ヴェローニカは、アーレンスバッハの領主候補生の娘で、魔力は豊富です。
エーレンフェストが引き取って白の塔に入れるとは言えません。自領に連れ帰るのは認められないと思います。
ですが、フレーベルタークならどうでしょう?
領地間の魔力のやり取りはしないで済みますし、ヴェローニカの魔力はフレーベルタークで使う事が出来るのではないですか?」
アウブフレーベルタークが考え込んでいるが、白の塔は、アウブの魔力量に依るところだ。
ヴェローニカの魔力が、アウブフレーベルタークを超えていたら、ダメだ。
エーレンフェストでは、どうしていたのだろう?
「ですが、もし私の魔力よりヴェローニカの魔力が多かったら・・・」
「あぁ、それはシュタープ封じからと白の塔の建物と二重に魔力を搾り取れば大丈夫です。
元々白の塔は、中からの脱出は難しいのです。常に魔力を建物に取られますから。
そうですね、大人と子どもくらいの魔力差があれば可能かもしれませんが・・・。
それでも心配ならシュタープ封じにも同じような機能を付ければ、二重に魔力を搾り取れますよ?」
フェルディナンド様、魔力援助の代わりにフレーベルタークにヴェローニカをやり、矛先を変えるつもりだな・・・。
その後その気になったアウブフレーベルタークがツェントに話してみると話し合いは纏った。
























エーレンの領主一族、リンクベル家から何名か追加する事に成るかな? カル・エル夫妻は領主候補生の資格取得が必要、ランプとコルは…どうするか…(;-_-)=3ロゼマ側近が減るのはなぁ~…。