どうしてこうなった!
ーボニファティウスー
臨時領主会議から戻り、急いで城に戻ったのだが、急にジルヴェスターが中央の者とダンケルフェルガーの者に付き添われ、帰領したそうだ。
ジルヴェスターと話をと、転移の間に行くと、今は接触しないでくれと中央の者に言われ、眉を顰めてしまった。
ツェントからの命と言われてしまえば、一介の領主候補生では何も言えない。
ジルヴェスターの側近も一緒に戻ってきているが、誰も気を利かせてこちらに情報を残そうとする者もいない。
そのうち、ジルヴェスターと中央の者で白の塔に行き、ヴェローニカを出して中央へ連れて行く事にしたようだ。
それ以外にフェルディナンドも呼ばれていると言う。
何がなんだかさっぱりだ。
女性騎士を呼んで欲しいと言われ、古株の旧ヴェローニカ派でない者を呼んだ。
ヴェローニカの身体から持ち物を確認と言われ、ヴェローニカが持ったままの魔石なども取り上げられた。
ヴェローニカの罵りが酷かったようで、お前の顔は覚えた。戻ってきたら、覚えていろや、家の者が健康を崩さないと良いなども言われたそうだが、その際には中央の者もダンケルフェルガーの者も扉を少し開けて聞いていたそうだ。
中央の者から、これはヴェローニカの持ち物だったと儂に渡された。
ヴェローニカの魔力の籠った魔石と数個の名捧げ石。
ジルヴェスターたちが中央へ転移した後、儂はヴェローニカの魔石を持って、ヴェローニカの部屋に走った。
異性の儂が入るのもと思ったが、今はそれどころではない。
以前ひ孫たちに聞いた、ヴェローニカの名捧げ石を取り上げなければと、自分の側近と一緒に隠し部屋を探した。
木箱に綺麗に並べて名捧げ石が50以上。
まだあるかもしれんが、後の捜索と誰も部屋に入れるなと命じて、その石を持って神殿に飛んだ。
神殿には、儂の孫娘とひ孫たち、エルヴィーラとランプレヒト、コルネリウス、アンゲリカ、ダームエル、しかいない。
ラザファムは今、フェルディナンドの館に一旦戻っていると言う。
「お祖父様、どうされましたか?」
ローゼマインが私が突然来た事に吃驚している。
「ジルヴェスターが一時帰領し、ヴェローニカとフェルディナンドを連れて貴族院に行ったのだ。
儂はジルヴェスターと話す事も出来なかった。だが、ヴェローニカの魔石を取り上げ、渡されたので、ヴェローニカの隠し部屋に走り、名捧げ石を取り出してきた!
ローゼマイン、どうしたら名捧げ石から魔力を抜く事が出来る?」
儂は焦ってローゼマインに早口で要件を伝えた。
「えっと、そもそも名捧げ石とは、どんなものですか?」
ローゼマインの質問を聞き、そうだ、ローゼマインはまだこう言った魔力や魔術の細かい事を習っていないのだ!
名捧げ石については、簡単には教えたが、どうやって契約するかは教えていない!
フェリックスとフェルローズが、名捧げ石の説明をしている間に、フェデリーコがダームエルに礼拝室から闇のマントの神具持って来てと話す。
その間にランプレヒトとコルネリウスで、残った人員での防衛を考え出した。
「ひいお祖父様、もしかして失敗したらごめんなさい。だから、一番罪の重そうな名捧げ石って分かりますか?」
ん?一番罪の重そうな名捧げ石か・・・。
「それなら、本人がずっと肌身離さず持っていた名捧げ石ではないか?
木箱に並べていたのは、どうせ戦利品扱いだ。
一番命じる回数が多かったから、持ち歩いていたのだろうし、そんなのは側近や重大な命を下す相手じゃないか?」
「そうですね!ひいお祖父様冴えてる!
母上ー、闇の神のマントに名捧げ石置いて魔力抜いて良いですか?
もし処刑されるなら急がないと!」
フェデリーコは、闇のマントの神具で名捧げ石から魔力を抜くつもりか?
「そっか、とりあえず魔力抜かなきゃね。
急いでいるけど、焦らずに一つ一つ魔力抜いて行きましょう。
ごめんなさい、手足の動き鈍いから私はやめた方が良いと思うの。
ここは慎重なダームエルと素早さでアンゲリカ、それに騎士で動きが機敏のコルネリウスとランプレヒトかな?」
ローゼマインの人選で良いだろう。
机の上にマントを広げ、それぞれが出来るだけ離れて抜くことにした。
「とりあえず、ランプレヒトやってみろ!」
儂が自分の孫に命じる。これがエーレンフェストの貴族の命だと思うと躊躇うが、やるしかない。
ランプレヒトが慎重にマントの上に置く。皆でジーッと見ていると、突然名捧げ石に覆われた繭が消えた!
サッとランプレヒトが拾いあげる!
魔石が砕けていないから大丈夫だ!
包んでいた魔力は、繭と共に消えた!
「良し、行けるな?子どもたちは補佐をしなさい。とにかく、全部抜こう」
そこへ儂にオルドナンツが飛んできた。
『ボニファティウス様、領内で突然高みに上がった者が多数出たようです。
ギーベゲルラッハとギーベヴィルトル他10名ほどです。
城が混乱しています、直ぐにお戻りください』
「ひいお祖父様!ゲオのババアが処刑されたんだ!ゲオのババアに名捧げしてるエーレンフェストの貴族だもん。
こっちはやっておくからお城行って!」
フェデリーコにそう言われ、これは本当に急がないとダメだなと、儂は直ぐに城に蜻蛉返りした。
城では大混乱中で、直ぐに半分ほどの側近と合流。
儂の指示通り、旧ヴェローニカ派の行動を注視していたら、目の前でグラオザムが魔石になったそうだ。
残りの側近半分は、まだヴェローニカの隠し部屋の捜索中と、部屋に誰も入れないようにしているとのこと。
本当に人手が足りない!
側近たちは、何故ギーベのグラオザムが城にいるのか?と、不審に思っていたそうだ。
何かするつもりだったのだろうな。
そのうちに他の場所にいたギーベヴィルトルも魔石になったと分かり、他にも数名突然目の前で魔石となり、何処も混乱していた。
魔石は直ぐに集められたが、直ぐなら魔石から記憶を見ることが出来るが、記憶を見る魔術具は、ジルヴェスターの管理なのだ。
時を止める魔術具の中に、魔石を仕舞う。
城の混乱を落ち着かせ、魔石は誰の者か書き出したり、それぞれの場所で何をしていたかを調べている間に、ランプレヒトからオルドナンツ。
神殿では、全て魔力を抜く事が出来たそうだ。
先程から旧ヴェローニカ派の者たちが、不安そうな顔をしている。纏っていた魔力が無くなったのだろう。
ゲオルギーネの処分もあったのだ。
貴族院に報告を上げた方が良いと勘が言っていると決断。
アウブを飛び越えるが、ツェントに報告の木札を書く。
直ぐに貴族院に転送して貰い、中央からの連絡に備えて城で待機。
そこにヴィルフリートがやって来た。
「大伯父上、お祖母様が白の塔から出たと聞きました。何処にいるのですか?」
ヴィルフリートの後ろには、ジルヴェスターがつけた筆頭側仕えのオズヴァルトがついている。
こいつは絶対にヴェローニカに名捧げしていただろう。自分に纏わりついて?縛り付けて?いた魔力が無くなったのだろう。
だから突然ヴェローニカが塔から出た事が理解したのだろうな・・・。
「ん?ヴィルフリート。それは誰に言われたのだ?」
「オズヴァルトです。それに他の側近も言っていました」
バカだ、バカだと思っていたが、本当のバカだった。がっかりだな。
オズヴァルトもヴィルフリートに知らせるために取り繕う事もしなかったのか?
「そうか。
儂も良く分からないのだ。だが、ジルヴェスターが一回戻ってきて、ヴェローニカを連れて行ったそうだ」
「お祖母様の罪は許されたのですね?
これでまた一緒に暮らせるのだな!」
ヴィルフリートは、本当にヴェローニカを慕っているのだなぁ。
どうなるのであろうか?
ゲオルギーネが処分された今、ヴェローニカが戻ってくるのかも分からん。
「どうだろうな・・。
エーレンフェストに中央の者とダンケルフェルガーの者も付き従っていたそうだ。
中央からの、ツェントからの呼び出しなのではないか?
儂もそれ以上は分からん。
臨時であれ、領主会議中は自室で過ごさねばいけないのではないか?
今、城は混乱しているのだ。
部屋に戻っていろ」
「そんな城の中で危険などないのに、大袈裟ですよ、大伯父上!
お祖母様が許されたなら、私はお祖母様をお迎えしたいです!」
許されるわけないだろうが。
はぁ。ジルヴェスターに続いて、ヴィルフリートもマザコンとか言うのなのか?
だが、ここでヴィルフリートの側近に自由に動かれると面倒だ。
「とにかく、戻ってくる時には連絡するから。今は北の離れで待っていろ。
わかったな?」
ゲオルギーネに名捧げした者たちが大量に魔石になったのだ。
それを知って出て来たのか?
エーレンフェストの事は後回しだな。
今はとにかく人が足りないのだ!黙って北の離れにいてくれ。
「ですが、・・・。
お祖母様はきっと私に会いたがると思うのです。直ぐに戻ってくるでしょうか?
必ず連絡ください」
「あぁ、必ずヴェローニカが戻ってくる時に連絡する。ヴィルフリートにオルドナンツを飛ばそう」
戻ってくるのであろうか?
それに何故ヴェローニカを連れて行ったのだ?
中央への転移陣は、フェルディナンドが回収しているだろうからな。
こちらからは貴族院に行けない。
だが、長引くようならきっと誰か戻ってくるだろう。
出来れば儂も神殿にいたいのだが。
この状況で城を留守にする事は出来ないな。
ヴィルフリートは、納得して部屋に戻って行った。
儂から見れば、アーデルベルトの孫にあたるヴィルフリート。
情がない訳ではないが、儂は自分の孫たちやひ孫を守る。
アーデルベルトの孫にまで手は伸ばせない。薄情ではあるが、仕方ない。
そんな事をしている間にカルステッドがジルヴェスターを伴って?連行して?帰領した。
「父上、フェルディナンド[[emphasismark:様からの > ﹅]]手紙です」
カルステッドが、公的な立場でフェルディナンドを呼んだと言う事は、臨時領主会議で何か決定事項があったのだな・・・。
フェルディナンドの手紙には、臨時領主会議での決定事項が書かれていた。
そうか、ジルヴェスターは白の塔。
その上、3人の子どもは神殿入り。その上、フロレンツィアは、離婚してフレーベルタークに戻るのか・・・。
フレーベルタークに魔力の補填をと言われたが、ヴェローニカを白の塔に引き取れないかと代案を出したと書いてある。
ヴェローニカには、毒杯の判断が出ているから、どうなるか分からないが、フレーベルタークに魔力を融通するのは、今後も続く道筋を残したくない事と、この魔力が足りない状況がお互いの領地の処罰のため、受け入れたくないと書かれていた。
その上、このままエーレンフェストの代表として臨時領主会議に残ると。
カルステッドを見ると夜と口だけで告げてくる。
夜に一回フェルディナンドは戻ってくるのだろう。
多分神殿にだろうがな・・・。
私が手紙を読み終わるのを待っていたのだろう。
「ボニファティウス、どうしたら良いのだ?
ゲオルギーネ姉上がアウブアーレンスバッハに毒を盛っていたと!
母上がフロレンツィアとフェルディナンドに毒を盛っていたと言われた!
私は、姉上と母上のせいで白の塔と!
何故だ、何故私は家族に恵まれなかったのだ?
私は、本当に白の塔に入らなくてはならないのか?」
哀れだな、ジルヴェスター。
ここまで来ても責任を取ろうと思わないのだな。
まだゲオルギーネとヴェローニカの[[emphasismark:せい > ﹅]]と思い込むのだな。
儂はジルヴェスターの質問には答えずに自分の側近の護衛騎士たちに、ジルヴェスターの持ち物検査をする事、そして城の牢にジルヴェスターの側近と共に入れておくように命じた。
白の塔は、礎を染め替えなければジルヴェスターは自由に出てしまう可能性があるからな。
まだ、儂かフェルディナンドが継ぐか決めていないし、染め替えも出来ていない。
だから城の牢だ。
それに罪を犯した者の側近は、記憶の確認をして、罪が確定されるまで牢入りだ。
臨時領主会議が終わらなければ、罪を確認することさえ出来ないのだ。
とにかく人がいないのだ!足りないのだ!
「そんな!ボニファティウス、私は何もしていないのだ!何故白の塔なのだ?
フロレンツィアも離婚など、ツェントも横暴だ!子どもたちも神殿入りなど、何故だ?
子どもたちが可哀想ではないか?
話せばわかる!
私は何もしていない!」
ジルヴェスターが喚いている。
本当にヴェローニカと母子だな。
思考論理が一緒だ。
「ジルヴェスター、残念だ。
ここまで来ても其の方は分からないのだな。
ユルゲンシュミットは、連座がある。
ジルヴェスターの実姉や母親が罪を犯していれば、連座だ。
ジルヴェスターはアウブだった。
唯一連座を逃れるのなら、自分がアウブになった際に[[emphasismark:素早く > ﹅]]母親の罪を告発し、罰を与えなければならなかった。
このユルゲンシュミットの法律の中で、それが一番ジルヴェスターが母親の罪による連座が軽かったかもな。
いや、アーデルベルトがアウブの間に進言することも出来たかもな。
アウブなのに、ユルゲンシュミットの規範や法律を守らなかった。[[emphasismark:だから白の塔なのだ > ﹅]]。
アウブなのに、何もしなかったから罪に問われたのだ」
儂にも罪があるのだ。
ヴェローニカを野放しにし、フェルディナンドが辛い思いをしたのだ。
それを見逃し、ジルヴェスターを本気で叱って来なかった。
アーデルベルトの罪もある。
儂にも罪がある。分かっている。
だが、アウブであるジルヴェスターの罪の方が重いのだ。
弟の息子であるジルヴェスターに情だってある。
だが、初ひ孫を、産まれる事のなかった初ひ孫を偲ぶ気持ちの方が強いのだ!
「身体検査をし、規定通り牢に入れろ。
ジルヴェスターの側近たちもだ」
自分の側近に命じる。
何処から間違えたのだろうな・・・。
エーレンフェストは、長い間違いをここで正そう。
何人の貴族が牢入りする事になろうとも、どれだけの罪人による連座が出ようとも。
もう未来に憂いを残してはならない。
エーレンフェスト寮
ーフェルディナンドー
ジルヴェスターとその側近に、フロレンツィア様とフレーベルタークからの側近が居なくなったエーレンフェストの寮は、閑散としてしまった。
フロレンツィア様にエーレンフェストからついた側仕えたちに、フロレンツィア様の寮内の荷物の纏めと、側仕えの半分は、領地へ戻りフロレンツィア様の荷物を纏めるように指示を出す。
他の護衛騎士と文官とも話をしなくてはならないな。
「エーレンフェストからの移領が認められるかは分からない。
それに家族持ちもいるだろう?
一応、それぞれの希望をユストクスに書面で出してくれるか?
この臨時領主会議が終われば、一回はフロレンツィア様もエーレンフェストに戻ると思うが、早急にフレーベルタークに行かれるはずだ。
それまでは、フロレンツィア様の側近だ。
だが、この臨時領主会議の間だけは、エーレンフェストの護衛騎士と文官として明日からの会議に出席して欲しい。
今、エーレンフェストの貴族を呼び寄せるほども人数がいないからだ。
その分の手当は、私から別に出す。
流石に私と私の側近として3人では少ないからな。良いだろうか?」
フロレンツィア様の側近たちは、了承して、主の荷物を纏めるのを手伝い、ユストクスに今後の希望を出す事になった。
談話室に残ったのは、ユストクスとエックハルトだけだ。
ユストクスに残った人数の食事の手配を頼む。
臨時領主会議から一気に動いたな。
将来、これがアレキサンドリアにどんな影響となるのだろうか。
後戻りは出来ない。
ゲオルギーネとラオブルート、それにヴェローニカも排除出来た。
後は王族に神々か・・・。
ユストクスに私の寮の部屋を開けて貰い、そこで話した方が良いな。
それに急いで転移してきたから、転移陣しか持ってきていないのだ。
今後の事を考えなくてはならないな。
「フェルディナンド様、フェルディナンド様の部屋を開けました。移動しませんか?」
ユストクスが開けてくれたようだ。
とりあえず移動しよう、ゆっくり話すことも出来ないからな。
2階のいつも使っていた部屋に入る。
一番奥のジルヴェスターの部屋は施錠したとのこと。
そのうちカルステッドも戻ってくるだろう?
「これからどうしますか?フェルディナンド様の荷物も何もありません。
領地からラザファム呼びましょう」
ユストクスに言われ、そうだラザファムを呼ぼうと思うが、領地はそれで大丈夫なのか?
「だが、領地も人が足りないだろう?」
範囲指定の魔術具を展開して、3人で話す。
「ですが、フェルディナンド様は荷物も何も持たずに来たのですよね?
この部屋には、衣装さえありません。後から神殿に取りに行くにしろ、一応建前として、持ち込んだ風にしなければなりませんから。
通常の転移陣が動いている間にラザファムを呼ぶしかないのではありませんか?」
ユストクスに言われ、それもそうかと思う。
「とりあえず、その内容で領地に木札を送ってくれ。転移陣は持ち込んだから、エックハルトに今から、一回神殿に戻って貰って、私の荷物は、神殿の側仕えに頼む。
エックハルトの分は、エルヴィーラに頼んでくれ。
今夜鐘7つ過ぎたら皆で一回神殿に戻ろう。
そこで皆で話し合おう。
子どもたちには、昼寝?
もう夕方だが、一回寝かせて夜の話し合いに参加して貰おう。
それでどうだ?」
2人が頷いたので、隠しから転移陣を出し、扉からは見えにくい一角に広げる。
エックハルトが直ぐに転移して行った。
ユストクスも、寮の転移の間に行くと部屋を出て行った。
この部屋を使うのも、貴族院卒業以来か?
隠し部屋の作成をし、設定をする。
寮を引き上げる時に、全て中身を出し隠し部屋を閉鎖したからな。
本来なら、ここはこの冬ヴィルフリートが使うはずだった。
私は神殿にいるし、領主会議の時も留守番をする事が当たり前だったからな。
昔は、2階の一番奥の部屋は、一番地位が高い者の部屋は、アウブである父上。その隣はずっとジルヴェスターだった。ここは、3番目の部屋。
父上が高みに上がり、父上が使用していた一番地位のある部屋にジルヴェスターが移り、隣がボニファティウス様の部屋になった。
神殿にいる私の部屋は、この寮になくなり、ヴィルフリートが使うはずだった。
今も2番目の部屋は、ボニファティウス様が使用している。荷物もそのままあるのだろう。だからユストクスは開けなかった。
アウブの部屋は広いし、側近部屋も他より広い。
ボニファティウス様は父上の筆頭護衛騎士としてついていたからな、その頃は側近部屋にいたのだ。
今、考えなくてはならない事が、他に沢山あるのだが、ジルヴェスターが白の塔に入ることになり、フロレンツィア様はフレーベルタークに戻る。
子どもたちは神殿入りと処遇が決まり、心がついていかない。
何故こんな事になる前に手を打ってくれなかったのだろうかと思ってしまう。
ジルヴェスター、私も家族を知った。
異母兄であるジルヴェスターをただ慕っていた頃には戻れないのだ。
未来のアレキサンドリアで、子どもたちが感じるほど、私とローゼマインに色々と頼っていたジルヴェスター。
子どもたちが、あれだけジルヴェスターに文句を言っていたのだ。
エーレンフェストの憂いをここできちんと精算しなければ、[[emphasismark:また > ﹅]]未来に憂いが残る。
父上、エーレンフェストを守るためには、ジルヴェスターは切らなければなりません。
エーレンフェストとジルヴェスターを同時に支えることは、不可能でした。
アダルジーザの離宮から連れ出して頂いたのに、申し訳ありません。
私は、愛される事を知りました。
男女の愛とは違うかもしれません。
ですが、家族の愛を知りました。
愛されたから、人を愛すると言う気持ちを知りました。
誰かに大切にされる自分だと知れば、命を軽く扱う事が出来なくなりました。
父上、私は貴方にとって家族ではなかった。アウブである父上に、父親らしい事を求めるのは、我儘なのだろうと思っていました。
でも同じアウブでも、ローゼマインは違った。そしてアレキサンドリアの私も違ったようです。
何故なら、3人の子どもが愛情いっぱいに育っている様子なのです。
手探りしながらもアレキサンドリアの私は家族であろうと努力をしたのだと分かります。
だから、私は未来の憂いを失くすためにジルヴェスターは切ります。
私は、私の家族のために進みます。
ジルヴェスターともここでキッパリと線引きします。
気まぐれに私に齎してくれた父上とジルヴェスターの家族の[[emphasismark:ような > ﹅]]情ではなく、本物の家族の情を大事にしていきます。
心の中で父上へ約束を破ることを宣言する。
私を縛りつけていた父上との約束は、もう要らない。
いってらっしゃいと家族に送られ、無事に戻る約束をし、そして私のための刺繍がある。
どんなに小さくても良いのだ。
習ったばかりで、ユレーヴェから上がったばかりのローゼマインと、3歳の娘のフェルローズが私を思って刺してくれた。
やっと・・・、やっと初めて刺繍入りマントを身に着ける事が出来たのだ。
もう私は間違えない。
私を軽んじ、私の尊厳を傷つける者には、こちらも全力で叩く。私は、本当の強さを知りましたと、心の中で父上との決別を伝えた。
ユストクスが、カルステッドとラザファムと一緒に部屋に戻ってきた。
私が貴族院に呼ばれたので、もしものために着替えや持ち物を荷造りに館に戻って用意していたそうだ。
カルステッドから報告を聞く。
「フェルディナンド、父上からの伝言だ。
あちらでは、ジルヴェスターはとりあえず一旦城の牢に入れてある。
ジルヴェスターの側近もだ。
それから、ギーベゲルラッハ、ギーベヴィルトル他10名ほどが突然魔石になったそうだ。
今日はギーベ領から何故か城に来ていたようで、父上の側近たちに見張られていたらしい。側近の目の前での出来事だったそうだ。
その時、父上はヴェローニカの名捧げ石を神殿に持って行って、名捧げ石から魔力をなんとか抜けないかと相談に行ったんだとか。
ヴェローニカの身体検査をし、ヴェローニカの魔石と数個の名捧げ石を渡され、以前聞いたヴェローニカの隠し部屋から名捧げ石を回収したそうだ。
全部で50以上だったそうだ。
魔力を抜く方法をローゼマインに相談したら、フェデリーコが闇のマントから魔力を抜こうと進言してくれ、急いで魔力は全部抜くことが出来たと連絡が来たそうだ。
あとは、ヴィルフリートがお祖母様が白の塔から出たようだと聞いた、何処にいるのだと父上に聞いて来たそうだ。
誰に聞いたと尋ねると、筆頭側仕えのオズヴァルトだと言ったそうだ。
こいつと他にも数名賛同したようなので、ヴェローニカに名捧げしていたのだろうな。
ジルヴェスターの側近で旧ヴェローニカ派の者、ヴィルフリートの側近の旧ヴェローニカ派の者、それにアーデルベルト様の側近だった旧ヴェローニカ派。
あとは、ヴェローニカ自身の側近は当然と考えているそうだ。
これで大体40以上の名捧げ。後は、ギーベ領に第二夫人として入れた者なのではないか?と。
旧ヴェローニカ派と呼ばれながら、隠れゲオルギーネ派がいたのだが、これで旧ヴェローニカ派と呼ばれる派閥の者は網羅されていると思うとの事だ」
「ヴェローニカの持っていた名捧げ石やゲオルギーネの側近?ゲオルギーネに名捧げしていた者の魔石は?」
「神殿で魔力を抜いた名捧げ石は、一旦子どもたちの部屋の隠し部屋に。
ゲオルギーネに名捧げしていた者の魔石は、時を止める魔術具に入れ、父上の隠し部屋だそうだ」
「そうか。
記憶を見たいが、まだ先になりそうだな。ジルヴェスターの魔石はあるのか?」
「ある。牢に入れる前に身体検査をして取り上げてあるからな。
ボニファティウス様にジルヴェスターの隠し部屋から記憶を確認する魔術具を出しておいて貰おう。
今夜にでも確認しておけば、明日その情報が使えるかもしれんからな。
時間があれば、それをしたいのだが・・・」
ユストクスに木札で良いからボニファティウス様に連絡を頼む。
その頃には、エックハルトも神殿から戻ってきた。
「フェルディナンド様、今夜の事を伝えてあります。子どもたちにも昼寝をして備えるように伝えてきました」
「神殿との転移陣は、とりあえず私が隠し部屋を作成したので、そこに入れておく。
魔力設定は、解除しておく。
ラザファム、とりあえず我々は食事にしてしまおう。
厨房に連絡してくれ。
皆、食事をして休もう。夜は神殿に戻るぞ」
夜中の会議
ーローゼマインー
私たちは、エックハルト兄様に言われて、今日は夕方から皆と一緒に昼寝?夕寝?をした。
朝早くから緊張続きだったからね!
私もフェルローズと一緒にグッスリ寝てしまったけど、今日ばかりは仕方ない。
鐘7つ前に起こされ、簡単に食事をし、ヴァッシェンでお風呂は済ませた。
鐘7つには貴族院からフェルディナンド様たちが戻ってくるから、急げ急げ!
神殿長室の隠し部屋にいつものように皆で入り込み、今日の皆の活躍と皆の暗躍による影響と処遇を聞いた。
ふーん。思ったよりもアーレンスバッハの動き早かったね。
ゲオルギーネ様は処分されたのか・・・。
エーレンフェストで沢山暗躍してたし、私だって2年もユレーヴェだった。
神殿に入り込んだガマガエルのせいで、父さんもダームエルも怪我をした。
癒しの魔術があるから、直ぐに治っただけ。もし魔術がなかったら?後遺症が残るレベルだったかもしれない。
私はあれで下町に居られなくなったしね。厳しい処分と思うけど、ユルゲンシュミットの規範を守っていれば良かっただけ。
ルールや法律は守らなきゃ秩序は守られない。
お祖父様とフェルディナンド様と話し合ったから間違わない。
あれで父さんやダームエルが、もし死んでいたらゲオルギーネ様の処分は当たり前と思っただろう。
それに未来での身代わりの身食い兵の話も聞いた。
その人たちにだって、家族がいたはず。
一歩間違えたら私も同じだった。
日本にだって死刑判決はあった。
先進国の中で唯一死刑という罰則がある国と言われ、野蛮だとか言われていたのは知ってる。
それだって自分は平民と言うか一般人だから、ふーんって。
特別にネットとかを使って反対運動も擁護運動もしなかった。
今でもハッセの町の事はちょっと心が苦しくなる。
でも悪い事をしたら、相応の罰則がある。
あの時だって、特別に酷い罰だった訳じゃない。
ユルゲンシュミットの規範の中で、身分制度を理解していなかった、元神殿長と悪巧みをしていた人だった。
フェリックスとフェデリーコに色々説明を受けて、私も理解した。
日本での気分?日本の意識で?ユルゲンシュミットを見ようとしてたって。
その上、自分が裁く側の地位にいながら、その地位に見合う責任から逃れようとしてたって。
領主候補生になりたくてなった訳じゃないって、何処か拗ねて甘えていた。
私が、一番安全に暮らせるようにとフェルディナンド様が考えてくれた地位。
そうじゃなかったら早々に死んでいたくせに。
小さな子どものように駄々を捏ねて、責任逃れしようとしてたことを理解した。
理解したら恥ずかしくなった。
ジルヴェスター様の事、偉そうに批判してる場合じゃないよね?
だから分かってる。ゲオルギーネ様のことは当然の結末だって。
ゲオルギーネ様の話や名捧げ側近たちが突然魔石になった事の報告を聞く間、皆が心配そうに私を見てる。
フェルディナンド様は、ずっと私の背中を撫でてくれている。
お祖父様もお父様もコルネリウス兄様も心配そうに私をチラチラと見ている。
私は大丈夫と皆に向かって頷いておくことにした!
話が今後?明日についてになった。
明日は臨時領主会議で、話す内容は、国境門についてだけど、子どもたちがグルトリスハイトは偽物だって言ったようだし、国境門を開閉したのは神々だって言ったからね。
もう隠し持ってるとか、自分とこも開けて欲しいとかは言えない。
言えないはず!多分。
厚顔無恥なユルゲンシュミットの者たちが理解できるか心配だけど、言えないはず。
あ、一つ心配な事がある!
「臨時領主会議で撒いた自白剤って何時間くらい有効ですか?
明日だともう効果切れちゃいますか?」
フェルディナンド様に聞いてみよう!
「いや、大体48時間だとメスティオノーラの書に書いてあった。
だから、明日も効いている。
ただ、中和剤は12時間だ。
会議の前に一応また飲んでおくか。
部屋にこびりついている匂いもあるからな」
「今日の王族は誰が出席してましたか?」
カルステッドお父様に確認しておこう。
「ツェントとツェントの第一夫人に第一王子だ。第一王子は、魔獣を見て壁際で震えていたぞ。
ツェントの第一夫人は、ラオブルートをツェントの護衛に推薦したようだったな。
ツェントは第一夫人と離婚し、夫人は出身領地に戻る。
この第一夫人との間に産まれた2人の王子も王位継承権も無くなり、王族から離籍、夫人と共にギレッセンマイヤーに戻る。
明日はどうだろうか?会議には出席しないのではないか?」
はい!とフェリックスが手を挙げた。
「元々この王子たちは、大神全属性でもなく今この時にも、クラッセンブルクのエグランティーヌと婚姻した方が次期ツェントと言われ、この時期も牽制しあっていたらしいです。
アレキサンドリアの織地?未来?では、母上がエグランティーヌと第二王子であるアナスタージウスのオルドナンツの役割をさせられ、2人は婚姻しました。
ですが、ギレッセンマイヤーに移領と言う事は、アナスタージウスはエグランティーヌと婚姻は不可能。
なんせ、エグランティーヌは大神全属性で、しかも前第三王子の娘です。
2人の王子が脱落?したので、王族に取り込まれる可能性があります。
元々王族であったエグランティーヌを王族に戻したいと思っていたのが、前アウブクラッセンブルクです。
血筋としても可能なため、この案が出てくるのではないか?と思います」
「それなら大神全属性であるこのエグランティーヌがメスティオノーラの書を取得し、ユルゲンシュミットの礎を満たせば良いのではないか?」
お祖父様の案は、正攻法としては100点満点の答えだよね?
ありゃ、今度はフェルローズが話すらしい。
「未来でもこのエグランはツェントでした。
元々の性格?と、本人を取り巻く環境のせいか?分かりませんが、争いを好まないのです。
私は平穏を望みますが口癖のような方です。
一番分かりやすいのは、ツェントはこのエグランでしたが、夫はアナッターバカ。こちらはツェント配です。
身分は当然エグランの方が上なのに、アナッターバカを立ててしまうのです。
いや、おうちの中なら良いのですが、領主会議などでもそうだったようです。
うちと同じ状況だったのですが、うちはおかぁしゃまにおとぅしゃまは、呼び捨て強要させてましたし、婚姻するまでは徹底的におとぅしゃまは、おかぁしゃまをローゼマイン様と呼んでいたそうです。
婚姻してからは、おかぁしゃまが泣いて嫌がったためにお互い呼び捨てだったのですが。
このツェント夫婦は、エグランはアナッター様呼び、そしてアナッターは、エグラン呼び捨てでした。
それは領主会議中も変わらなかったようです。まぁ、公には、違っても会議の場の私語がそうだったようです。
ある時の王族との商談で、アレキサンドリアからの商品をアナッターバカが、購入し、エグランにプレゼントしている風にしていたそうで、おかぁしゃまとおとぅしゃまは、とても冷めた目で見ていたようです。
これ、素敵ですわー。
それなら買えば良い。
え?良いのですか?
あぁ、エグランに似合いそうだ。
嬉しいですわ、アナッター様。
私はエグランが喜ぶことをしたいのだ。
こんな感じ。
ですが、金額的にもどちらの資産で買うと言うより、服飾代として組まれた予算からの購入だなと予想がつく額だったらしいです。
大体、ユルゲンシュミット内で、自己資産のあるアウブとアウブ配などうちの両親くらいですから!
それを冷めた目で見ていたのが気に入らなかったアナッターバカが、
ローゼマインも夫を立てるべきだな。
女は一歩控えるぐらいでないと可愛げがない。
フェルディナンドは、随分年上だから余計に腹が立つのではないか?
そう言うところが昔からローゼマインは気が利かないよな。
突飛な行動でフェルディナンドに迷惑ばかりかけていないで、少しはいい加減大人になれ。
そんなだから、フェルディナンドを助けるために礎を奪って野蛮だなどと他領の者に言われるのだ・・・と、悦に浸るが如く滔々とおかぁしゃまに言ったそうです。
当然、その商談はおとぅしゃまによりその場で終わり、アレキサンドリアの商品は売らなかったそうです。
要するに馬鹿なのですよ!この夫婦。
ユルゲンシュミットがランツェナーヴェに外患誘致されそうになり、その時だって、おとぅしゃまとおかぁしゃま、それに側近たちに、アーレンスバッハの一部の騎士にダンケルフェルガーの騎士たち、おかぁしゃまのお友達のハンネローレ様やアウブディッターが貴族院に入り込んだ者たちとやり合い、神々との話し合いをおとぅしゃまとおかぁしゃまでつけ、その際にメスティオノーラがおかぁしゃまの記憶を弄ったり、おかぁしゃまの魔力に神々の魔力が入ったり、本当に大変な事をこちらはしたのに!
喉元過ぎれば熱さを忘れる者たちなのです。
確かにいつまでも恩をきていろとは言いませんが、そもそも本来なら外患誘致を許した時点で元の王族など白の塔か処刑です。
なんて言うのですか?
周りが困った事は先に片付けて当たり前なんです。
そう言う意味では、ジル馬鹿と一緒なんです!」
その話を聞いて、あー、養父様のもそうだったなと思い当たった。
んー、要するに綺麗な物だけ見て、周りが傅いてくれて当たり前の生粋のお嬢様気質と、俺様王子の傲慢夫婦って事かぁ。
あれ?皆私を見てるよ?
「ローゼマイン、声に出ている。確かに傲慢夫婦なのだろうな」
フェルディナンド様に残念な者を見る目で同意されてしまった。
お、お母様が発言するらしい。
「フェルローズは、だから信用ならないと言うのですね?
私もそう思いますわ。
領地順位一位の領主候補生だったにしては、そう言った詰め?身分制度の理解が甘いですわね。
それに私もアレキサンドリア物語を読みましたが、ローゼマインの音楽の教師たちとのお茶会にも突然参加して来ましたよね?
このエグランティーヌ様。
そして、エグランティーヌ様が参加するからと第二王子も参加していました。
現実のお話なんでしょう?」
フェデリーコが話すようですね。
「はい、私が答えます!そうです。アレキサンドリア物語では、随分王族に気を遣って控えめでした。お祖母様と母上で、真アレキサンドリア物語と言う裏側の本当の話を書いた暴露本をこっそりと作成し、部数限定の紹介でしか売らない本を出したのです!
100部限定、高額本が売れに売れ完売しました。
そこには、突然母上の髪の艶を誉めるエグランティーヌ、そして、アナスタージウスが母上にリンシャンを売れと強要してました。
貴族院での売買は禁止されているのに王子自ら破ってました。
そのお茶会で、アナスタージウスが母上にエグランティーヌのために曲を作れとも強要!母上はお前の楽師か!
曲をその場で作り、それをエグランティーヌが褒めたら、白けたとばかりにお茶会を途中退場。
もう売買禁止のため、母上から少し自分の分からリンシャン分けると返事も聞いたし?曲だって一度聞けば、自分で譜面に起こすことだって可能です。
用は済んだとばかりにアナスタージウスに続いてエグランティーヌも途中退室したそうです。
フェルローズが言ったのも別に大袈裟ではないのです。
この2人は、常に自分たちは忖度されて当たり前、自分たちは、偉いのだと心底思っているのだと思います」
「流石に酷いですわね?
それはローゼマインが貴族院一年の時の最上級生で、王族と領地順位一位の学生って事ですね。
このままその第二王子はギレッセンマイヤーに移領しても、この冬最終学年で貴族院にはいますわ。
そして、エグランティーヌ様も最終学年。
この余波を受けないようにエーレンフェストも手を打たないとですわね。
それに、将来的にこのエグランティーヌ様にツェントを任せるのは無理ですわ」
ん?じゃ誰がツェントするの?























話し合うのかな?一先ず王族達を何とかしないと、神々への対処に移れないからねぇ…。 アレキに子供達を返す為に、頑張れ!人手が足りなさ過ぎて大変だろうけど…(>_<)