___それは、一本の映画のようだった。
つい先日、決着がついた未曾有の大規模テロ事件。
連日、ヒーローたちは全国を飛び回り、
何とか大きな被害に至る前に、解決する。
これを繰り返していた。
国民たちはこの現状を、象徴の不在によるものだと認識し、不安を煽られていた。
そんな大事件の最高幹部二名と、主犯である犯罪組織のトップが、日本のとある島で捕縛された。
それについて、具体的な内容は公式には明かされていなかったが、その島で、カメラだけは止めなかったというローカルテレビ局が、
当時の映像を全国テレビ局と掛け合って報道した。
一連の映像は、ドキュメンタリーの一種として全国放送された。
大きく話題を呼んだそのドキュメンタリーを作った製作者であるローカルテレビ局の担当者は、こう回答している。
[b:「あの状況で、私たちに希望を持たせてくれた素晴らしいヒーローたちの功績を世間に知ってほしかった。」]
それは、轟々と燃え盛る街の様子から始まる。
[i:
「街が、燃えている、」
「ヴィランだ!!ヴィランが出たぞ!!!」
「逃げて!!」
「お母さーん!!」
「ヒーローなんてこの島にいねぇんだ!!
俺たちで、子供を救え!!!」
]
島の人々の絆によって、ほとんど全ての島民が協力して、避難所に避難した。
その島には、島の東西南北にかつて使用されていた防空壕が実在しており、ヴィランから逃げる様に息をひそめていた。
[i:
「・・・私達、これからどうなるのかしら。」
「ヒーロー、が来てくれる、はず、」
「馬鹿野郎!こんな辺境の地に、ヒーローがくるわけねぇだろ!!」
「ただでさえ、本土がテロで忙しいってのに、」
「これ、気づかないままだったら、俺たち、」
「子供が、あの子達、ちゃんと逃げてるの!?」
「学校の地下に北の避難所はあるんだ。先生方もいるし、大丈夫だよ。」
「ッ、心配ね、」
「東の方は、足腰の悪いおばあちゃんやおじいちゃんがいっぱい集まってる、」
「もし救助が来なかったら、」
]
テレビ局員は西と東の防空壕に両方居たらしく、両方の映像が交互に流れていた。
人々の表情は不安と絶望で一杯で、
空気はとても暗かった。
どうすればいいのか、考える人はいない。
ただ、現状を嘆き、
ヒーローが来れないことを悟り、絶望するのみ。
そんな場所に光は差し込んだ。
[i:[b:
「!皆様!!もう大丈夫ですわ!!」
「皆!もう大丈夫だよ!!」
「「私達ヒーローが来た!!!」」
]]
その言葉だけで、どれだけの人間の心が救われただろうか。
例え、それが、プロのヒーローじゃなくたって、
不安でいっぱいの島民は良かったのだ。
[b:「・・・ああ、ヒーローが来てくれた。」と。]
雄英高校ヒーロー科と名乗った彼らは、
学生であることが嘘のようにプロ顔負けの
行動をみせた。
[b:西側では、]
ヒーロー・クリエティの指示により、次々と避難環境が整っていき、チャージズマのおかげで、電気まで一時的に普及した。
身体を冷やした老人や子供たちが温かい毛布に包まれて、息を吹き返し、
[i:
「北側の子供たちは、全員無事だよ!!
私たちの頼れる仲間が守ってくれてる!!」]
インビジブル・ガールの一言で、子を持つ親たちが胸を撫でおろした。
避難所に設置されていた倉庫から、物資を取り出しキビキビと動いていく、
慣れた様子で、迅速に対応していく若きヒーローたち。
テキパキと恐るべき速さで、救護所が設営され、逃げる途中で怪我をした島民たちが、きちんとした治療を受けられる。
まだ子供といっても過言ではないヒーローの背中は驚くほど逞しく、
勇気づけられた動ける大人たちも、
[i:
「手伝うよ!」
「俺も手伝わせてくれ!!」
「何をすればいい!?」
「私は、医者だ!怪我人の治療なら、任せてくれ!」
「看護師です!!」
「応急手当なら、私にも!!」
]
と、動き始めた。
協力的な島民たちの様子に、ヒーローたちは笑い。島民の人たちにも笑顔が伝染していくのだ。
[b:一方、東側では、]
島を覆う、崖から、防空壕にいた島民たちの救助が行われた。
防空壕の一部に大きな穴をあけ、現れたヒーローたちに、同じく島民たちは安堵した。
[i:
「雄英高校ヒーロー科!インゲ二ウムです!!これから、皆さんを、避難環境が整えてある北の避難所へとお連れします!!
足が悪いお年寄りの方!妊婦の方は、こちらへ!!台車に乗ってください!!」
「他の動ける皆はアタシについてきて!!」
]
ピンキーの指示通りに防空壕をでると、目の前に作られた氷の道に島民たちは唖然とする。
崖の絶壁に造られた、橋のような氷の道が、島をぐるっと囲む様に北へ伸びていた。更に、そこには、氷のソリのようなものまであって、ショートよりソリに乗り込むように指示がある。
恐る恐る乗り込むと、フロッピーがソリを動かして、一瞬で北側に回ったかと思うと、滑るソリを、シュガーマンとレッドライオットがしっかり受け止めた。
見習いヒーロー達の恐るべき発想の柔らかさにより、驚くほど早く北側への避難が完了した。
避難が完了すると、
島に配属されていたヒーロー達が集まり、
作戦会議を立て始めた。
後に分かったのは、
この時、同時進行でヴィランに探りを入れていたプラタとダイナマイトが、ヴィランたちの狙いを掴んでいたと言う。
「島にかつて住んでいた科学者が残していたとされる、発動すれば一国が消え去ると言う爆弾の設計図」
ソレを、ヴィラン達は探していたそうだ。
そんなものがヴィラン達の手に渡り、製造されてしまえば、高確率で日本がその被害に遭う。
そう悟った若きヒーロー達は立ち上がった。
更に、プラタとダイナマイト両名は、
ヴィラン達の明確な個性についても把握。
逃げる用の船を切り刻んだ「糸」の個性、
街を燃やした火を吐く「恐竜」の個性、
街を監視する「人形」の個性、
ヒーロー達はこの3名のヴィランに対抗するべく、計画を練り始めた。
真剣な顔で作戦会議をするヒーロー達、
眠らず病むこともなく叩き続けるヒーロー、
不安がる子供達に優しい言葉をかけるヒーロー、
そのどの姿も、カメラはら捉えていた。
そして、ヴィランとの戦闘の場面までも。
[i:
「糸は兄で慣れてる。」
「生憎!オレの師匠も糸を使うんでなぁ!」
]
プラタとダイナマイトが「糸」のヴィランに向かう。
[i:
「お前の火は俺の氷で消してやる。」
「これ以上、島の人たちの思い出が詰まった街を壊すなよ!!」
「許せねぇ、」
]
ショート、デク、セロハンが「恐竜」のヴィランと対面。
[i:
「デクくん達の邪魔はさせない。」
「島民には誰1人として近づけさせない!!」
「全部ぶっ倒す!!」
]
そして、それぞれの防空壕を守る、
テイルマン、インビジブル・ガール、
アニマ、テンタコル以外のヒーローたちが、
一体一体がとんでもない強さを持つ千体の人形に立ち向かった。
[i:[b:「・・・凄い、」]]
それは、その様子を決死の覚悟で撮っていたカメラマンが零した言葉だった。
ヒーローたちは、ヴィランの分断に成功。
恐竜のヴィランは、海に。
糸のヴィランは南東の丘の上に。
人形のヴィランは市街地の近い広場で。
拳一つで建物に大きなヒビを入れるような屈強な人形の兵士たちに、立ち向かっていく。
[i:[b:
「”安無嶺過武瑠”!!」
「”深淵闇躯 夜宴”!!」
]]
硬化した己の拳を振り上げる烈怒頼雄斗、
そして、
黒影を纏い鋭い爪を振り下ろすツクヨミ
[i:[b:「”レシプロ・エクステンド”!!」]]
個性:エンジンによる超加速によって、一発で人形を破壊してしまう蹴りを入れるインゲニウム
[i:[b:
「”解除”。フロッピー!」
「ええ!」
]]
個性:無重力によってウラビティが人形を浮かせ、フロッピーが長い舌を使って地面にたたきつける。
[i:[b:
「峰田ちゃん!」
「お、おう!!」
]]
そして、その人形をグレープジュースのモギモギで拘束。
[i:[b:
「青山!南西から、複数体!!」
「Can't stop twinklingだってば!!
”ネビルレーザー”!」
「芦戸!」
「はいよ!!”アシッドショット”!!」
「こっちは、ウチが”ハートビートサウンド”!」
]]
イヤホン=ジャックの索敵の元、ヒーローたちに指示が下される。
Can't stop twinklingが、レーザーを出して人形を破壊、
ピンキーは酸を銃弾のように放出し人形を解かし、
残る広大な範囲をイヤホン=ジャックが超音波で破壊していく。
[i:[b:
「電磁投射砲!いいですか!?チャージズマ!」
「ウェイ!!」
「撃て!」
「”130万ボルト”ォ!!」]]
先の避難所での設営で摩耗していたクリエティによって、電磁砲が想像され、同じくチャージズマが電力を注ぐことによって、レーザービームが放出し、人形たちが焼き付くされていく。
そうして、1000体の人形が散り散りに焼け崩れようとしていた時、
[i:[b:
「居た!!常闇!!飯田!!10時の方向!ビルの屋上に、人形を操るヴィランを発見!!」
「「了解!」」
]]
ヴィランが発見され、早急に捕らえられた。
海の方では、暴れまわる災害のような怪獣を、
[i:[b:「止める!」]]
セロファンが固定し、
[i:[b:「”赫灼熱拳”!!」]]
エンデヴァーのような炎の拳による圧倒的な火力量の放出に、恐竜の火が塗り替えられていく。
[i:[b:「”マンチェスタースマッシュ”!!!」]]
デクの、超パワーによるかかと落としが、恐竜の脳天に突き刺さった。
そして、
[i:[b:
「フッフッフッ・・・伝説の巨悪といわれたオール・フォー・ワンが倒れた今、次の悪の帝王は俺だァ!・・・・・・邪魔してくれるなよ!ヒーロー!!」
「だぁってろ!!”ハウザーインパクト”ォ!!」]]
ダイナマイトがかなりの威力の爆破で上から襲い掛かるが、男は宙に浮いてそれを避けた。
[i:[b:
「なっ!?浮いてやがる!」
「見ろ。」
]]
プラタが指示した先、
島の上空には、まるでドームのような形をした、恐らく糸で作られた鳥かごのようなものができていた。
[i:[b:
「なっ、なんじゃありゃぁ!!?」
「恐らく、アレの範囲内であれば、そこから糸を垂らし自由自在に空中を動けるという仕組みだろう。」
]]
[i:[b:
「フッフッフッ、正解だ。”羽撃糸”!」
「避けろ!ダイナマイト!!」
「わぁってる!」
]]
2人のヒーローに、凄まじい早さで襲い掛かる千の糸。それを二人が避けると、糸は地表をズタズタに切り裂いた。
常人であれば、まず間違いなく避けることも叶わず、身体が切り裂かれ絶命していたであろう、その攻撃一つ一つに、カメラマンたちが引き攣ったような息をこぼした。
[i:[b:
「ジーパンや、センパイを見てつくづく思うが、糸ってのは本当に厄介な個性だなァ!
オイ!!”A・Pショット”!!」
「”盾白糸”」
]]
地面から大量の糸がまるで防御壁となるように、現れる。
[i:[b:
「チッ、防御もできんのかよ。」
「・・・どの範囲までそれが使えるのかは分からないが、避難民や他の仲間たちにそれが届く前に、終わらせなければ。」
「俺が爆破し殺してやらァ、プラタは俺の援護をしろ。」
「分かった。周囲の糸は気にするな。ヤツを潰すことだけ考えろ。」
]]
プラタとダイナマイトが走り出す。
男は大量の糸を形状を変え、大きさを変え、硬度を変えながら地面から放出し、ヒーローたちを襲い始めた。
糸のスピードは速く、ややスローモーションに編集しざるを得ない程、糸は見えないし、
それに反応し、対応するヒーローたちの姿もまた見えなかったという。
[i:[b:
「ンフフフフッヒーローは大変だなぁ!市民に、仲間まで守る者が数えきれねぇぐらいある。
__だから、オールマイトは潰された。」
「!・・・あんだとぉ!?もういっぺん言ってみろォ!!」
「ダイナマイト!攻撃の手を緩めるな!」
「チィッ!!もういっぺん言ってみろや!!
クソヴィランが!!!」
]]
そう、オールマイトが、
__平和の象徴がいなくなったから、
ヴィラン達が一気に反旗を翻した。
それは、今、この世のほとんどの人間が思っていたことだった。
[i:[b:
「オールマイトのせいで、平和な世界は終わったんだ!馬鹿な大衆たちはそれも理解できちゃいねぇ!!
お前らの顔、見たことあるぜ。
雄英の見習いヒーローじゃねぇか。
可哀想になぁ。
一番取り締まらねぇといけねぇヴィランの相手をさせられて、うじゃうじゃいるプロ共は助けに来られねぇ、束になっても代わりにもなれねぇヒーローたちのせいで、お前らはこんな状況になってんだぜ?」
]]
男は、可笑しくて堪らねぇな!と笑い続ける。
笑い転げるヴィランを、
[i:[b:
「__”月光”」
]]
美しい静かな無数の光を持つ斬撃が襲った。
[i:[b:
「”ハウザーインパクト”ォ!!!」
]]
ドォンッ
地鳴りがした。
咄嗟に用意した盾をも超えて、
切り刻まれ、爆破され、
ボロボロになったヴィランが、
唖然と居た様子でプラタとダイナマイトを見上げる。
[i:[b:
「ちげぇだろ!!
オレたちのオールマイトは、今まで平和のために頑張ってきてんだよ!!
オレたちは、今までオールマイトに守られてきた!!
平和の象徴が終わったから、テメェらみたいなのが出てきて治安が悪くなったんじゃねぇ!元から悪かった治安をオールマイトが正していただけだ!!」
]]
ダイナマイトの言葉が、
それまでヒーローの活躍を純粋に楽しんでいた視聴者たちの心に強く響いた。
そう、我々はもう十分長い間、
オールマイトという存在に頼り切ってきた。
ただの「観戦者」でいた。
2人の頭上に、すでに幹部二名を捕縛したヒーロー達が集まり、倒れ伏す最後のヴィランを捕縛する。
夕日を背に、ヴィランを見つめるヒーローたちは、とても頼もしく、格好良かった。
[i:[b:
「今まで、個々の個性を生かす動きをしてきたんだ。今更連携を取り協力しろ、と言われたって急には難しい話だろうな。
だが、オールマイトはこの事態について恐らく誰よりも心を痛めている。」
]]
[i:[b:
「一番、どうにかしたいと思っているのに、
彼はもうこれまで十分すぎるほど守り、
だからこそ、もう動けない。」
]]
オールマイトが、
今まで、守ってきてくれた、
私たちのスパ―ヒーローが、
胸を痛めている。
ヒーローたちが、プラタとダイナマイトの傍に並んだ。
[i:[b:
「俺は、この島に行くように要請があった時の、
先生たちの顔が忘れられない。」
「オールマイトも、相澤先生も、ゼファー先生も、やるせない顔でアタシ達を送り出してんの!」
「プロヒーローも、
警察も、
雄英も、
逆境に立たされていますわ。」
「俺たちが過去にあった事件のせいで、
オールマイトや、
相澤先生もな!」
「ウチらを育ててくれたヒーロー達が、
先生方が、
オールマイトがしてきたことが無駄じゃなかったと思えるように。」
「僕たちは闘う。」
「人を救い続けるわ。」
「お前たちのようなヴィランがどれだけ現れようと。」
]]
プラタが、刀を鞘に納めながら、仲間たちの言葉に小さく笑みを零した。
[i:[b:
「お前たちがバカにしたオールマイトに、
プロヒーローたちに、守り育てられてきた
我々に敗北した気分はどうだ?」
]]
沖から、大量のヒーローたちが救援に駆けつけてくる様子が映っている。
[i:[b:「”新時代”に敗北した[[emphasismark:旧時代の残党 > ・]]よ。」]]
島民たちが次々とプロヒーローたちに救出される中、多くの有名ヒーローが彼らの元に駆け寄っていた。
[i:
「凛!!」
「爆豪!!」
「兄さん!」
「ジーパン!どうだ!!アンタと似た個性だったからなぁ!完璧に、しばき倒してやったぜェ!!」
「無事でよかった。」
「・・・ああ、よくやったな。」
「!・・・うん。」
「!!?・・・オレを抱きしめんじゃねぇえ!!」
]
プラタの兄であるエッジショットと、
ダイナマイトの師匠であるベスト・ジーニスト。
[i:
「ショートォォォォォ!!」
「ち、近づくな!親父!!!」
「なんでだ!ショートォォォォォ!!?」
]
ショートの父親、エンデヴァー。
[i:
「大活躍だって聞いたよ。ツクヨミくん。
よく頑張ったね。」
「お褒めに預かり光栄の極み。」
]
№.2ウィングヒーロー・ホークス。
[i:
「よくやったな、イヤホン=ジャック。」
「!はい!」]
№.10のギャングオルカ。
[i:
「本当に無事でよかった。」
「リューキュウ!」
「来てくれて、嬉しいわ。」
]
№.9ドラグーンヒーロー・リューキュウ。
[i:
「よく頑張ったな!緑谷少年!皆!!」
]
オールマイトに
[i:
「なかなかに、良い判断だったぞ!お前ら。」
]
伝説のヒーロー・Z。
[i:
「先生~!!俺らめっちゃ頑張った!!」
「てか、働きすぎて眠い!!」
「アタシも寝てないよ~。」
「今回、修正すべき動きはまだまだあるな。」
「真面目すぎん!?飯田くん!!」
「島民の皆さんが無事でよかったですわ。」
「ヤオモモはちょっと休んで!!」
「ウェイ~」
「上鳴も、寝ろって!!」
「災害救助となると、どうしても二人にウェイトが傾いちまうからな。」
「せんせ~、褒めて!!」
]
そして、1-A担任プロヒーロー・イレイザーヘッド。
[i:
「本当に、よく、頑張ったな。お前ら。」
「「「「「「「「はい!」」」」」」」」」」
]
[b:
___「新時代の英雄たち」より]
「私たちは、彼らに新たな希望の光を見ました。」
「私たちの”本当の現状”を見つめ直すきっかけとなって欲しい。」
それが、製作者らが残したコメントである。






















