舞香side
きあらと莉沙に今までの事を謝って楽しく話していたその時。
瞳「っ、だから!!嫌いじゃないって!!!」
誰かがそう叫ぶ声が聞こえた。
樹愛羅「え、今誰かめっちゃ叫んでなかった?」
莉沙「ね、莉沙も聞こえた」
どこか聞き覚えのある声で、だけどそれが誰なのかまでは思い出せなくて。
樹愛羅「ん?あれ? 舞香ちゃんと一緒に居た女の子誰かと話してない?」
「え?」
莉沙「あ、ほんとだ。お友達かな?でもなんか空気悪そうじゃない?」
私はきあらと莉沙がそう言ってるのを聞いて、まさかと思い衣織の居る方へと目を向けた。
そこには。
「っ!!!!」
瞳、ちゃん、、、?
なんで瞳ちゃんが衣織と居るの…………?
「あっ……」
“嫌いじゃないって!!!”
そうだ、あの叫び声は瞳ちゃんの声だ、
「っ、ごめん2人とも、私ちょっと今日は帰るね」
樹・莉「え?」
いつまでもきあら達と話してちゃいけない、早く衣織の元に行かないと、
2人の姿を目にしたら瞬時にそう思い、早々に話を切り上げて衣織と瞳ちゃんの元へと向かう。
………あの空気感に瞳ちゃんのあの叫び……
まずい、いけない、絶対良くないことが起きる。
焦りとも言える感情が私の心の中をグルグルと駆け巡る。
「……何話してんの?」
早足に衣織たちの元へと向かい二人の会話を割って入るようにすれば、少し驚く衣織と私を見て帰ろうとする瞳ちゃん。
だけどそんな瞳ちゃんを引き止める衣織。
っ、なんで引き止めてるの、、帰ろうとしてるんだからそのまま帰らせたらいいじゃん、、、
こんな時まで私は性格が悪いらしい。でもしょうがない。今まさに好きな人が奪われようとしいるんだから、冷静でなんかいられない。
だけど衣織も衣織で、どうしても避けられている理由が知りたいのか、瞳ちゃんの腕を掴んで明日話せないかって聞いてる。
だけど、そんな衣織の言葉たちを全て無視して衣織の腕を強く振り払った瞳ちゃん。しまいには衣織を傷つけるような一言まで言って。
瞳「っ、もうあたしに関わらないで!!!」
倒れそうになる衣織を咄嗟に支えるけど、衣織の顔を見て、今まで感じたことのないほどの怒りが瞳ちゃんに対して込み上げてきた。
今ので倒れて衣織が怪我してたらどうするの?
それもあるけどそれよりももっと重要なこと。
…………衣織が酷く傷ついた顔をしていたから。
好きな人のそんな顔を見て黙っていられない、衣織の事を傷つけるなって文句のひとつでも言ってやりたい。そう思ったんだけど、言えなかった。
何故なら、瞳ちゃんが衣織に好きだと告白してしまったから。
瞳「好きだから、佐々木さんと付き合ったって聞いてすごい傷ついたし悲しかったっ、でも、大好きな衣織だから幸せになって欲しくて諦めようって思ったのに…………全部、衣織が悪いんだよ!!」
そう叫び泣きながら走り去っていく瞳ちゃん。
衣織「あっ、瞳!!」
そしてそんな瞳ちゃんを追いかけようとする衣織。
……っ……このまま衣織を瞳ちゃんの元に行かせちゃだめだ。
冷静じゃない私の頭でもそれだけは分かった。
このまま衣織が瞳ちゃんの所に行っちゃったら、衣織は瞳ちゃんのものになっちゃう。
っ、それだけは嫌っ……
「待って、衣織!」
だから、走り出そうとする衣織を引き止めた。
「っ………」
……衣織の事が好きだって言いたい、瞳ちゃんの所に行かないでって言いたい、本物の恋人になりたいって伝えたい……
頭の中で駆け巡る言いたいことと言わなきゃいけない事がたくさんあり過ぎて、なかなか上手く言葉が出てきてくれない。
だけど、そんな私に衣織は。
衣織「ごめん、舞香、、瞳の所に行ってくるね、」
「っ、衣織!」
いつまでも何も話さない私の掴んでいた手を離し、瞳ちゃんの元へと走っていってしまった。
その瞬間、全てを察した。
引き止める私の手を離した衣織。
「……衣織は…瞳ちゃんを選んだんだ……」
偽りでも恋人の私ではなく、瞳ちゃんを選んだ。
ずっと気にしていた瞳ちゃんを。
それはきっと…………衣織も瞳ちゃんのことが好きだから。
“3つ目の約束は、野口さんに好きな人が出来たらこの関係は終わりにすること”
「っ、」
なんで、今に限ってそんなこと思い出すんだろ、、
「……っ……」
衣織が瞳ちゃんの事を好きなら、この関係の私の存在は邪魔になる。
「っ、……っ……うっ……」
もっと早く私が衣織の事を好きだって認めてたら、こんな事にならなかったのかな。本当の恋人になれてたのかな。
…………私が遅すぎたんだ、衣織に出会うのも、好きになるのも、全部………遅かったんだ………
………………終わりにしなくちゃ、
衣織の事手放すのはすごく嫌だけど、私じゃない誰かの彼女になるのは死にたくなるほど嫌だけど、、好きな人には幸せでいてほしいから。
「……別れよう……」
さっきまで瞳ちゃんの元に行かせたくないとかそんな事ばかり思ってたのに、この言葉はすんなりと出てきた。
きっと私の選択は間違ってない。
初めから私が決めた約束事なんだし、衣織だって大好きな瞳ちゃんと付き合いたいに決まってる。
悲しいけど仕方がない。
大好きな衣織の幸せを後押しするのが、今できる私の役目だから。
「っ…ッ……衣織と瞳ちゃんが………やだなぁ……嫌だよ………」
本当はこんなことしたくないけど、嘘でも衣織の恋人のままでいたかったけど。
その日の夜、私は衣織に別れのLINEを送った。
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衣織side
「はぁ、はぁ、、瞳!!」
瞳「!!」ビクッ!
少し走ったところでやっと瞳に追いついた。
瞳「いお、り……どうして……」
「どうしてじゃないよ、、ちゃんと話そう?」
告白だけして逃げるとか、だめだよ。
ちゃんと話したい、好きになってくれてありがとうって伝えたい、気持ちには応えることできないけど、これから先も瞳と仲良くしたいから、ちゃんと話したい。
瞳「あたしはもう話すことなんて……」
「私があるの!!」
瞳「っ、」
瞳の中ではもう私に伝えたいことはないのかもしれない、私と一緒にいたくないかもしれない。
だけど私は違う。伝えたいことがたくさんあるんだよ。
「まず、瞳。」
瞳「なに……」
「……私の事好きになってくれてありがとう。」
瞳「っ!!」
心から思ってること。それがちゃんと伝わるように瞳にお辞儀をして伝える。
「瞳が私の事好きになってくれたのは嬉しいし、幸せな事だなって思う。恋する相手に私を選んでくれた事が本当に嬉しい。」
瞳「衣織……」
ありがとうって感謝を伝えるけど、伝えなきゃいけないのはそれだけじゃない。
「だけどね、瞳の気持ちは嬉しいけどその気持ちに応えることはできない。」
瞳「っ…うん……」
ごめんね、そんな顔させちゃって。悲しい思いさせてごめん。辛い思いさせてごめんね。私にとって瞳は大切な人なのに泣かせるようなことして本当にごめん。
でも、私が好きなのは舞香だから。舞香だけだから。
「私、舞香の事が大好きなの。」
瞳「っ、そんなの言われなくても知ってる、」
「え……?」
舞香の事が好きなんだって言えば、そう返してくる瞳。
瞳「佐々木さんと居る時の衣織、ずっと笑顔で楽しそうで、幸せそうで……佐々木さんの事が好きって想いが衣織全体に表れてるから、」
「え、そ、そうなの?」
舞香を好きって想いが私全体に表れてるって……それを指摘されるなんて、この状況に似つかわしくないけど何だか恥ずかしい。
瞳「ほんと見たくなくても見えちゃうぐらい、好きって気持ちが溢れ出てる」
「っ、そうなんだ……///」
瞳から見てもそう見えてるってことは、私自分でも自覚してないぐらい結構舞香のこと好きなんだ……
瞳「だから、佐々木さんから衣織を奪おうなんてできなかった。そんなことしたら衣織が悲しむから、」
「瞳……」
瞳「 佐々木さんと居ることが衣織の幸せなら、、あたしはこの気持ちを諦められる。」
「っ……」
そう言いながら微笑む瞳は、私が想像もできないほど大人な心を持っていて、絶対こんなこと言いたくないはずなのにそう言ってくれる瞳に涙が溢れそうになる。
「っ、ありがとう瞳、好きになってくれて本当にありがとう、」
瞳「ふふっ、何で衣織が泣きそうなのよ」
「っ、だって……」
瞳「振られちゃいはしたし、こんな事今までの態度であたしが言うのもおかしいんだけど、」
「ん…?」
瞳「あたしは衣織の前から消えたりしない。 衣織がいいって言ってくれるなら、あたしはこれからも今まで通り衣織の大好きな親友で居たい。」
「!!」
本当だった私が瞳を安心させるのにそういうこと言わなくちゃいけないのに、瞳はどこまでも私より大人みたい。
でも、そんなこと言われなくたって、
「いいに決まってるじゃんっ、、! 私だってずっと瞳の大好きな親友で居たいっ、 瞳との関係が無くなるなんて絶対いや!!」
瞳「…………んふふ、うん。なら良かった。」
瞳からしたらこんなの我儘だって思われちゃうかもしれないけど、私は瞳からそう言われなくても、私からずっと仲良しでいたいって言うつもりだった。
ずっとずっと瞳と親友でいたいって。だけどそれを先に瞳に言わせちゃったなんて、私だめなやつだ。
瞳「……初恋が衣織で本当に良かったよ。」
「え、初恋だったの……?」
瞳「ふふ、うん。 恥ずかしい話だけど、衣織が初恋の人なんだ。でもことわざ通り初恋は実りはしなかったけど、いい恋ができた。衣織を好きになれて幸せだった。」
“好きにさせてくれて本当にありがとう。”
そう言い気づいたら瞳は帰っていた。
「っ、ありがとうって、こっちの方こそありがとうだよ……」
……瞳、私の事好きになってくれて本当に本当にありがとう。
「……すぅーーーー、はぁーーー……」
深呼吸をして泣き出しそうな自分を落ち着かせる。
泣いていいのは私じゃない、泣きたいのは瞳のはずだから私は泣かない。
「…………よし、泣かないぞ。」
瞳に好きだと言われて、こんなこと思うのは違うかもしれないけど、改めて私は舞香の事が好きなんだって事を自覚した。
「…………」
舞香が好き。
大好きって、伝えたい。
舞香の事が好きって言って本物の恋人になりたい。
その想いが今、私の胸の中で零れ落ちそうな程に溢れている。
「…………」
今日は舞香の手を離すようなことをして悪いことをしちゃったから、明日ちゃんと謝って、それで、伝えよう。
舞香の事が好きですって、告白しよう。
そう思っていたのに。
〜夜〜
ピコンっ
ん?あ、舞香だ……!
珍しく寝る時間帯に舞香からLINEが来た。
こんな時間にどうしたんだろ、舞香の事だからたわいもない話かな?
舞香からLINEが来て嬉しい気持ちと、何てLINE来てるんだろってわくわくする気持ちを抱きながら舞香とのトーク画面を開くと。
舞香 “衣織、もうこの関係はおしまいにしよう。今までありがとう。”
「…………え…………?」
舞香からそう、別れを告げているらしきメッセージが来ていた。
「え……え……?」
なんで急に……? この関係おしまいにしようって別れるってこと、だよね……?
なんで、どうして?
今私の頭の中にあるのはその2つの思い。
どうして別れるの……? 私なにかしちゃった……?
舞香、前にこの関係が終わる時は私に好きな人が出来た時だって言ってたじゃん、、私好きな人出来たなんて一言も言ってないよ……?
「っ!あっ……」
もしかして、好きな人が出来たのは私じゃなくて舞香の方……? だから、その人と付き合うのに私の存在が足枷になるから別れるってこと……?
っ……なにそれ…………そんなの、、、
「……そんなのやだよ…っ…」
私まだ舞香に好きって、伝えたいことたくさんあるのに、何も伝えられてないのに、、
「っ、」
…………明日、舞香に直接聞こう。舞香の口から聞かないと納得できないし、認められない。
「…………」
舞香からしたら私はただの偽りの恋人かもしれないけど、私の舞香に対するこの気持ちは、こんなLINEの文面だけで終われるような軽い気持ちじゃない。
とにかく、明日話そう。LINEでのやりとりじゃちゃんとした気持ちが伝えられないから。
それまで私は別れるなんて絶対受け入れない。

















