彼女に差し伸べた手を払われたのは、初めてだった。
驚いたが、それ以上に払った本人が一番
傷ついた表情をしているが見えてしまった。
・・・なんで、お前がそんな顔を、
[b:[i:【ヴィランにより大規模テロが発生。
建物倒壊により傷病者多数。
走路の損壊が激しく救急先着隊の到着に著しい遅れ。
到着するまでの救助活動は、その場にいるヒーローたちが指揮を執り行う。
一人でも多くの命をすきだすこと。】]]
「そろそろか、」
周囲には、ジョークに、ウチの奴らにやられた傑物学園の生徒達。
それから、ウチの生徒たちを評価している公安の役員が20名。
「・・・なんで、ここに座るんだ。」
「別に良いじゃないか!
勉強になるしさ!!」
コイツ、
まだウチの生徒たちを救助に関しては経験不足だとか思ってるな。
・・・だが、それは大きな間違いだぞ。
【START】
救助に関しては、言葉も評価対象となるためか、生徒たちの声が観覧席にも届いている。
『ヴィランがまだ捕縛されたとは言って無いな。
爆豪くん!紙原くん!緑谷くん!轟くんは注意しておいてくれ!』
『『『『了解!』』』』
「・・・良い目のつけどころだ、飯田。」
『まずは、開けた場所に救護所をつくるぞ。
ここらに、要救助者はいない。
やってくれ、紙原。』
やはり、初動がかなり早い。
状況の理解も、……おそらく休憩中にすでに推測していたのだろう。
『___”月粉流流・極”』
その場にあった瓦礫が全て塵となり、風圧によりそれが川の流れのように綺麗に退かされ、開けた場所が確保された。
「・・・すごい、コントロール、」
「あれを全て計算して、?」
「紙原の武器は勿論、剣技の技巧もそうだが、
個性による斬撃の効果範囲の緻密な計算とコントロールだからな。」
クラスの奴らは当然のように、そこに救護場を作成していく。
なるほど、荷台。
それを麗日が浮かせて、飯田が運び屋か。
考えたな。
合理的で効率がいい、
耳郎が足元のスピーカーにイヤホンを繋ぎ、
他校の生徒達にも協力を要請する。
八百万と瀬呂が協力して、即席テントを素早く立てていた。
[b:
[i:【雄英のイヤホン=ジャックです!
救援テントを設営しました。
治療に必要な物資も取り揃えてあります。
連絡用のトランシーバーを用意したので、協力してくださるヒーローはこちらまで取りに来てください。
負傷者の措置、索敵が得意なヒーローは、
どうか協力お願いします。】]]
その言葉に、瞬時に状況を把握した優秀な他校の生徒たちが集まってくる。
動きが迅速で大変よろしい。
[i:『ー倒壊ゾーン、要救助者の反応、10名確認。』
『ー水難ゾーン、要救助者5名!
チャージズマ!クリエティ!身体を温める準備を!』
『ー火災ゾーン、火災が激しい場所に要救助者二名。対応できるヒーローはいませんかっ、』
『ー〇〇校の、ウォーターフォール!すぐ向かいます!』
『ーおなじく、スイレンも向かいます!』
]
『もう大丈夫!ヒーロー達が到着したよ!!』
『よし!兄ちゃんと一緒にあとちょっと頑張ろうな!』
『落ち着いて、避難してください!前のヒーローの方へ!!』
『こちらに毛布が!!』
『ショート!こっちも固めてくれ!』
『ウラビティ!これ浮かせられるか!?』
『レッドライオット!ピンキー!ここ壊してくれ!!』
アイツらを中心に、他校の生徒達が協力している。
「すごいな、雄英、」
「まだ、一年生だと言うのに、」
「ここまでの連携。」
「予測と対策も見事だ、」
「さすが、あのヒーローZが育てているだけはある。」
「受け答えも、丁寧で、被害者の心に限りなく完璧に寄り添っている、」
「動きが早すぎないか!?」
「他校の生徒達まで、纏って行動している。」
「統率力が群を抜いているな。」
「統制がきちんと取れている。」
あんだけ頑張ってきたんだ、当たり前だろう。
[i:『!!
ー全ヒーローに通達!!
ヴィランらしき反応あり!!!
水辺ゾーンの近くだ!!』]
あれ、ギャングオルカか、
やはり、ヴィランも出てくるか、
かなりレベルの高い試験だな、
[i:
『ー了解。こちら、雄英のプラタ、近くにいるダイナマイトと共にそっちに急行する。あと、30秒で到着。』
『ーデクも!すぐ向かいます!』
『ーショート、到着。』
『ー士傑のチューイー、捕縛に向かおう。』
『ー同じく!レップウも向かうっす!!』
]
[i:
『ー雄英のインゲニウムです!万に一つも救護所にヴィランが向かうことのない様に、ヴィランがいる場所との中間距離で、予防線を張ります!足止めに対応可能なヒーローは応援よろしくお願いします!』]
『『『『『『了解!』』』』』』
「完璧な対処だ、」
「素晴らしい、」
先に到着したのは、近くにいた轟と夜嵐イナサか。
轟が、氷で足場を固めヴィランを拘束、
「・・・はあ?」
それを何故か夜嵐イナサが吹き飛ばして壊した。
なんで、わざわざ吹き飛ばした!?合理的じゃないにもほどがある!!目の前のヴィランはただのヴィランじゃない。ギャングオルカ、NO.10のサイドキックたちだぞ!?
あんな風では、また起き上がってくるだろうが!
轟が炎を放出したが、それを夜嵐の攻撃が反らした。
「・・・何をやってんだ、」
『なんで炎だ!熱で風が浮くんだよ!!』
いや、先に攻撃を仕掛けてたのは、轟だろうが。普通はお前が合わせるんだ、
何で、夜嵐は轟の妨害をする!?
『氷結が利きそうになかった!ギャングオルカには、適正的にも、炎の方が適正だ!
合わせる気がないのか!?オレの炎がお前に飛ばされてる!!』
『アンタが手柄を渡さないように合わせたんだ!』
『なんで、そんなことを、・・・って言い合いをしてる場合じゃないぞ!協力する気がねーなら、救助の方へ行け!!』
『するね!!だってアンタはあの!エンデヴァーの息子だ!!!』
「・・・・はぁぁ?」
あれ、試験妨害じゃねぇのか。
!
紙原と爆豪、それに緑谷も来たか!
『”A・Pショット”!!』
『”月光”』
『”デトロイト・スマーッシュ”!!』
爆豪と紙原の広範囲攻撃が降り注ぎ、緑谷がギャングオルカに一発入れる。
そのまま、紙原が轟の傍に降り立った。
『ショート、足元凍らせて拘束を頼む。』
『分かった!』
『それから、レップウ。協力する気がないなら、出ていけ。邪魔だ。』
『なっ、俺は!!』
『この場で、そんなくだらない私情のために我々の妨害をするなと言っている。
[i:ーチューイー。レップウの回収を頼む。]』
[i:『ー手間をかけさせて本当にすまない!』]
サイドキックのほとんどを轟が捕縛、
すり抜けたサイドキックは予防線のヒーローたちが捕縛。
ギャングオルカは、緑谷と爆豪、紙原が相手取り、完封した。
そうして、すべての救助が完了した。
アイツら帰ってきたら、ちょっと褒めよう。
比較するとよくわかる。
俺は本当に誇らしいよ。
「合格者は後方モニターに50音順で名前が表示されます。」
轟が少し不安げな顔をしている。
「あれは、明らかにあっちの妨害だった。
その点について不合格にするなら、俺はオールマイトさんやゼファーさんに話を通して公安に抗議する。」
「!・・・はい!」
「どうぞ、ご確認ください。」
轟、
よし、あるな。
ウチの奴らは全員名前がある。
「先生!!」
「受かってるぞ!」
「俺ら、全員合格だ!!」
生徒たちが、無邪気に喜びを見せて俺を振り返る。
それに少し笑みがこぼれた。
「頑張ったな。」
「「「「「「「「!!」」」」」」」」」
成績についても、軒並み90点台か、
ほんと、申し分ないな。
「すご、凛。100じゃん。」
「百と響香も100だったよね?」
「うん、でもなんかウチ、実感湧かない、」
「いえ、響香さんは素晴らしかったですわ。もっと自信を持ってください。」
・・・・・・凛と、視線が合わない、
避けられてる、
「ッ、かみ、「イレイザー!」・・・」
凛に声をかけようとしたところ、後ろから声がかかる。
まだ、いたのか、コイツ。
「あのさ、ウチの子たちが、雄英の子たちに謝りたいって言ってて、」
後ろにぞろぞろ引き連れているのは、傑物学園の生徒達だ、
真堂が、紙原の前に歩み寄る。
爆豪が庇うように、対抗して前に出た。
「・・・俺は、謝りに来たんだ。」
「あ?」
「・・・勝己、」
紙原が爆豪に呼びかけると、爆豪は渋々ながらも大人しく引き下がった。
「すみませんでした!」と真堂を先頭に、生徒たちが、ウチの奴らに頭を下げた。
「君の言う通り、俺はヒーローにあるまじき発言をして、君たちを不快な気持ちにさせてしまった。
こんなんじゃ、ヒーローどころか、セミプロにもなれなくて当然だ。本当に申し訳なかった。」
・・・確かに、最初の言葉には俺も少々イラっとしたな。
「・・・反省して、謝りに来たなら十分だ。
能力も、せっかく良いものを持っているんだから。もっとコントロールに磨きをかけるべきだと思う。」
「全くもってその通りだ、
君のコントロール、本当に素晴らしかった。」
真堂の個性、地を割っていたが、周囲を巻き込む広範囲攻撃で、かなり使い勝手は悪そうだ。
紙原の言う通り、コントロールにもっと磨きをかけた方がいいだろう。
「私たちは先に行くけど、今度はヒーローとして一緒に戦えるのを楽しみにしてる。」
「!!・・・はいっ!」
「勝己、仮免許の写真。会長に送ってあげて。」
「はぁ?なんで、」
「多分、気にしてると思うから、」
「………チッ、」
「(本当は、送りたかったくせに、)」
「凛、ウチもクソ親父からメールが凄いんだが、どうしたら良い?」
「……送らなくて良いんじゃない?」
「だよな。俺もそう思った。
エッジショットには送ったのか?」
「ん。もう、返信きた。」
「はえーな、」
「(多分、焦凍も送ったら、秒でくるよ、)」
◇◇◇
ヒーロー仮免試験、
帰りの賑わうバスの中、隣に座る耳郎と百に挟まれ、温かさで微睡んでいた凜は突然携帯が振動したことで、うっすらと目をあけた。
着信表示:兄さん
その表示に、一気に目は覚めて、
まじまじと携帯を開いた。
「・・・もしもし?」
『凛!ヒーロー仮免許おめでとう。』
「ありがと。」
『すまない。本来ならば、豪華な料理を用意して待っているつもりだったんだが、急にどうしても行かねばならない急務が発生してしまって・・・』
「そうなの?全然大丈夫。じゃあ、お祝いはまた今度してね。」
『勿論だ、袴田会長も予定通り任務でな、絶対近いうちに祝うから。』
「分かってるよ、兄さん。じゃあ、ローは。」
『ゼファーさんに預けている。
恐らく、クラス寮の方に居る筈だ。』
「ん。分かった。・・・気を付けてね。」
『ああ、いってくるよ。・・・あ、冷蔵庫にケーキを入れてきたままだった、良ければローと寮で食べてくれ。』
「了解。ありがとう。」
ケーキは絶対取りに行かないと・・・
あとは、ローのお泊りセットもだ。
多分、兄さん、急いででてきただろうし。
学校に到着し、ハイツ・アライアンスに向かうと
言った通り、おじいさまとローが待ち構えていた。
「姉さん!仮免、受かったって聞いた。おめでとう。」
「ありがと。」
飛び込んできたローを抱き上げると、
手慣れたようにガルチューをしてくるので、
返す。
「お前ら!よく頑張ったと聞いたぞ!
今日は、俺の奢りで焼き肉だ。
存分に筋繊維を労え!」
『「「「「「やっほーい!」」」」」」』
喜ぶ皆を後目に、部屋へ向かう。
・・・やっぱ、着替えはないか。
医学書は一杯あるけど・・・
「兄さんが本当にすまない、って言ってた。」
「うん、電話でも何度も聞いたよ。」
さっと制服から部屋着に着替える。
「ロー、ちょっと荷物取りに行ってくるから、
勝己のとこ行っててくれる?」
「分かった。・・・おい、その恰好で行くのは流石にまずいぞ。」
・・・タンクトップと、ショーパン、
寮の中では普通だけど、確かに、
敷地内とはいえ、外にでるにはマズイか、?
「上着、」
差し出された白色の上着を羽織る。
「・・・なにこれ、猫耳ついてる、」
「維にいの新作らしい。」
「・・・癒しが欲しいのかな、」
「ちなみに、俺とお揃いだ。」
「うん、飢えてるんだね。
・・・似合うね。」
「・・・兄さんの作った服だから、着てやるんだからな。」
「はいはい、」
ローを爆豪の部屋に連れて行くと、爆豪は快くローを招き入れた。
「お前、一人でいけるんか。」
「何歳だと思ってるの、大丈夫、」
「・・・まあ、敷地内ならいいか。」
だから、何歳だと(以下略)
ケーキは、多分有名なパティスリーのヤツだろうなぁ。ローは幼少期海軍元帥センゴクの元で育ってるし、私も主に父の影響で、舌は結構肥えてるから、兄さんたちも良い物ばっかり買ってくるんだよな。
それだけは、絶対本日中に食べなければ、
寮の外に出たところで、
「!」
先生とかち合った。
今日の朝、手を払い落としてしまったことを
思い出して、ゴクリと息を呑む。
先生は寮から出てきた私に驚いて目を見開き、そして、服装を見て首を傾げた。
「!紙原、・・・どこか行くのか?」
「っ、あ、・・・ローのお泊りセットを取りに、」
「ああ、そういえばエッジショットは緊急案件だったか。」
「ん。・・・ちょうどストック切らしてて、」
「成程な。・・・俺も一緒に行く。」
「一人でも大丈夫」と言おうとして、
やはり今日のことは謝っておきたくて、
開いた口を閉じて、静かにうなずいた。
並んで、それなりに距離のある家まで向かう。
流石にベストジーニストとエッジショットなどの人気ヒーローが暮らしているとなると、
その場所は隠さなければならない。
消太さんが静かに隣に並ぶ。
私が今日、手を払ってしまったからか、
手を握ることを躊躇っている様子だった。
「・・・怒ってないの?」
心配して、差し伸べてくれた手を払ってしまったのに、
ちらりと見上げると、彼は私の言葉に小さく目を見開いて、それから私の手を掴み、「怒ってないよ。」とほほ笑んだ。
やっと握られた手から、じんわりと手の温かさが伝わってきて、どこか張り詰めていた空気が霧散した。
「・・・ごめんなさい。」
「朝も聞いたな。」
「・・・・・・聞かないの、?」
不思議に思って、首を傾げると、
「気にはなる。」と彼は優しく言った。
「・・・聞いてもいい?」
決して急かすような声ではない、
子供のようにぶっきらぼうに、
どこかあどけない顔で。
その優しさに、心がぽかぽかして、
凛はこくんと首を縦に振った。
「きいてほしい、」
ぱちり、と目を瞬いた彼は、
どこか嬉しそうに、顔を綻ばせた。
・・・たった、これだけのことで、
私の気持ちを伝えようとしただけで、
この人はこんなにも、
嬉しそうな顔をしてくれる。
なんで、こんなに優しいんだろう。
家について、一息つくために、
消太さんにコーヒーを用意して、
自分用には紅茶を用意して、
ソファで話を聞く態勢に入ってる、消太さんの隣に腰を下ろした。
「・・・今日、先生に話しかけてた女の人、」
「・・・・・・ああ、ジョークのことか?」
「ん。
・・・・・・なんだか、凄く嫌な気持ちになった、」
「まあ、アイツと噛み合う人間はそういないだろうが、ああいう人間が好きじゃないのか?」
どこか遠い目をしてる彼に、「違う」と声をかえる。
「・・・消太さんが、あの人と、仲が良さそうだった、から・・・」
「俺と、ジョークが、?」
「すごく、モヤモヤして、」
「もやもや、」と小さく繰り返すように溢す様子は何だか可愛らしかったけれど、あの時の感情がぶり返してきてそれを愛でる余裕は長続きしなかった。
「・・・ここが、ちょっと痛くなって、すごく、気分が悪くて、・・・消太さんとあの人が一緒に居るの、それ以上見たくなくて・・・」
「!それっ、て、」
何かに気づいたらしい消太さんが、目を見開いた。
[i:
『好きな人が、他の、それも親しそうな女の人と話してて、「好きな人がその人に盗られちゃうかも、好きな人には自分だけを見ててほしい」っていう心の表れだよ!』]
「・・・・・・・・・なんか、嫌だった、」
「凛、」
消太さんが呼びかける様に私を呼んで、
手を握った。
「・・・・・・嫌なのに、試験中もなんでか隣に居るし、・・・気になって見ちゃうし、・・・・・・二人で話してるし、」
少しずつ怒りを露にする凛とは違い、
相澤は少しずつ嬉しそうに笑う。
「・・・なんで、笑ってるの、
私はちょっと怒ってる、」
小さく睨むと、彼は突然ガバッと腕を広げて、凛を抱きしめた。
ぎゅうぎゅう、と感情の表れのように力いっぱい抱きしめられて、少し苦しい。
「三奈に聞いたら、これ嫉妬っていうって、」
「うん、」
どうして嬉しそうなのか、分からず凛は困惑したまま、彼の身体を突き返そうとするが、びくともしない。
「・・・どうして、嬉しそうなの、?」
「どうしてって、そりゃ嬉しいに決まってるだろ。」
・・・意味が分からない、
「・・・・・・勝手に嫉妬して、嫌な気持ちになっておいて、それをぶつけて怒ってるんだよ、?」
ただの、面倒臭いヤツだろう。
「嫉妬してくれるほど、俺のこと好きっていってくれてるようなもんだろ。」
「えっ、」
確かに、・・・・・・言われてみれば、
他の人に盗れたくないほど、・・・そうだ、
この人への、独占欲、みたいなものだ、
唖然とする凛の真っ赤に染まった顔をみて、
相澤は愛おしそうに眦を下げた。
「可愛い。
・・・本当に、愛おしさでどうにかなりそうだ。」
頭を撫でられて、額にキスが降ってくる。
「・・・俺だって、大人げないとは思ってるが、
距離の近い爆豪や轟に嫉妬してる。
それに、仲の良すぎる凛のお兄さん二人にも」
「!・・・・・・知らなかった、」
「言わないだろ、普通。
いい年して、大人げないからな。
・・・だが、人気があって、人との距離にあまり頓着がないお前に関しては、大人の余裕なんて、簡単に崩れ去る。
時々、睨んでしまっていて、よくゼファーさんに注意されてる、」
「・・・・・・そうなの、?」
全然知らなかった、
彼は、どこか恥ずかし気に目を反らして、小さく頷いた。
・・・・それだけ、この人が私を好き・・・ってこと、
「・・・ふふっ、確かに、嬉しい。」
「!・・・まじで、いい加減にしろよ。お前。」
「えっ、」
「・・・前、玄関先で急に仕掛けてきたことも、
まだ根に持ってるからな。俺は、」
「・・・・・・ああ、アレ、」
「アレって、・・・随分余裕だな、」
「俺は、しばらく教員寮に帰れなかったってのに」と身体を離して、こちらを見下ろす目が、スっと細められた。
・・・なんだか、急に雲行きが怪しくなってきた、
一旦離れるべきか・・・
「そろそろ、寮に「まあ、待て。」ええっ、と、」
ソファから立ち上がって逃げようとした凛の腰と後頭部に、相澤の手が回っていた。
胸の間に手を挟み全力で押してみるが、
不思議なことにびくともしない。
ニヤリと悪い笑みを浮かべて、相澤は真剣に言った。
「今度は、俺の番。」
これまでの人生で初めて腰が抜けるという体験と、酸欠という体験を同時に経験した凛は、結局しばらく帰れなかったという。
それが、治るまでの間。
相澤は、猫耳フードであることに気づき、
それを被せて写真撮影に勤しんだとか、
・・・めでたしめでたし、























