注意
・自分用に好き勝手書いてる
・私が読みたい話を書いてます
・キャラ崩壊
・なにもわからん
・原作読んだのはるか昔
・中身に整合性を求めるなを合言葉にしてる
・捏造設定過多
以上で大丈夫な方はどうぞ
「君たちの感じている不便や不満、それから危機感を聞きたくてね」
「……はァ?何様のつもりだッ……!」
「はいはい、うちのご主人様へのお触りは厳禁なんでね。やめてくれや」
手の早いチンピラじみた若い男がナベルスに取り押さえられる。
「おい、俺の客だ。手ぇ出すんじゃねえと伝えたはずだ。悪いな、お客人。なってねぇ部下が多くてよ」
「構わないさ。うちの手駒は優秀だから問題にもならないよ」
こちらを試したいのだろうことが透ける悪びれもしない言葉に薄く微笑んで返す。
ナベルスが牽制で動いているけれど、本命の甥も控えていることだし。
「へえ。お前さんら、そこらのなよっちい役人共とは違うらしい」
「話を聞きに来たのに、この程度で怯えていては世話がないだろう?それともナベルスは話を聞きに来るとは言っていなかったかい」
「いいや?アイツの主が話を聞きに来ると聞いていたさ。だが、まさかこんなにお上品なのが来るとは思わなくてな」
お上品。
そんなに上品に見える服装は選んでこなかったはずなんだけれど。TPOを弁えたそこそこの布の服を用意したし、ボロに見えるように魔法だってかけているのに。
ナベルスに視線を向ける。逸らされた。
ジュニアに視線を向ける。肩を竦められた。
お前たちは分かっていたなら忠告してくれなきゃダメな立場だろう、まったく。
「そう。驚かせてしまったかな」
「とびきりな。あの一匹狼が主なんてもん見つけたのも驚きだし、お客人みたいなのに見初められてるとも思わなかったぜ」
「いい拾い物だったよ。こうして君たちと話し合う場を作れたしね」
薄暗い室内を見渡せば、真っ当な表社会で生きていないのだろうと思わせる雰囲気の男たちが集まっていた。
彼らとは魔法大臣としては接触できない。向こうからは警戒され、こちらも警戒する相手だからだ。
ゆえにこそ、身分を隠し密やかに会合を開ける様になった今は貴重だ。
「でだ。不平不満を言うのはいいさ。幾らでもある。俺たちはお前さんにそれを話して、何がもらえる?」
「ふふ、話を聞いて貰えるだけでも十分過ぎるとは思わない?」
「そりゃ無理だろ。分かってていってるな、お前」
鋭い眼光で睨まれる。
しかし、それでも手を出して来ないのはこちらの護衛の優秀さを理解しているからか、遊びに手を取られないだけの判断力のためか。
どちらにせよ、これで苛立ちが混ざらなければ完璧だった。
やはり生粋の貴族意識の塊をこの場に連れてこなかったのは正解だ。彼らにとっては耳を傾けることだけでも十分な報酬として成り立つと受け止めてしまう。本来なら関わりのない下層も下層の民ですらない者の言葉を聞く義理はないので。
でも、それも間違いではない。彼らが知ることで、改革が始まる可能性ががぐんと上がるの事実。
けれど、現場が求めるのは即物的な報酬だ。そこが噛み合わない。
「そうだね。こちらから提示出来るのは君たちの居住区だ」
「居住区……」
「んだ、それ?」
「住む場所、家だ。主様よ、あんた喋り方が一番問題だぜ?」
そう言えば、英国と言えば階級で話し方が違うのだっけ。普段耳にするのは典型的なキングスイングリッシュだったから、忘れかけていた。
魔法族は全体的に上流よりの話し方をする者が多いが、スクイブや弱い魔法力の者はまともな教育を受けられないまま下町へ流れ、裏に消えていく。訛りの強い話し方が定着するのも当然か。
取り押さえた若者の言葉に解説してあげているナベルスに軽く感謝して、少し語彙を噛み砕くことを意識して口を開く。
「気を付けるよ、ナベルス。……君たちの全体数が分からなかったから、一先ずはキャンプを立てられる土地。それから建築資材を用意させてもらう」
没落していた我が家だが売りそびれていた土地が所々に残っている。そのうち魔法動物の保護区にでもしようかとも思っていたが、交通の便が比較的いい場所はヒトの住処として利用するのも悪くない。
元々管理する人手も時間もなくて放置していた場所だ。
「ふぅん?それで、俺たちはお前の私兵の仲間入りってか?」
「ん?いいや、それはないよ。私の手駒はこの二人で事足りている。君たちに求めるのは下手にマグル界に流出しないこと、それだけさ」
「はァ?」
魔法力が強くなければ魔法界ではさほど兵力に意味はない。肉盾を用意しなければいけないほどジュニアもナベルスも弱くないし。
「君たちへの報酬だもの。うちで持て余していた土地だし、君たちが有効活用してくれるならあげるのも吝かではないんだ」
「そりゃ釣り合わねぇ。お前さんが俺らの言葉にそれほど価値を付けてるとも思えねぇよ」
「楽観的でなくて何よりだけれど。私としては君たちの統制が取れるだけでかなりの収穫なんだよ。それでは信じられないかい」
胡乱げな視線が向けられている。どうにも信用はされていないらしい。
腹の探り合いも、ちょうどよい落とし所を話し合いで見つけるのも得意ではないのだ。
私としては余っていた土地を有効活用出来るし、今後の不安が一つ無くなって万々歳なのだけれどね。
しかし、それが彼らにとって信じられないほどの甘言なのも理解は出来る。どう落とし所を見つけようかな。
「マスター」
「ネビロス、どうしたんだい」
これまで静かに私の背後に控えていたジュニアが声を通す。
「私の得意分野だ。後は私が引き継ごう、良いか?」
「……そうだね、任せよう。私では彼らの警戒は解けないようだし。君、彼はネビロス。私の腹心だ。私はこう言う話し合いが苦手だからね、彼と話し合ってみてくれるかい」
すっ、と横に出てきたジュニアの肩を叩いて前にいる男たちを見据える。
しかし、どうも私に対するものとは別の緊張感が走っているようにも見えた。だが、悪いものではない。
一挙手一投足を吸い込まれように見つめているのは、既に彼のカリスマに飲み込まれている証だ。
彼なら思うままに話を進めてくれるだろう。私は座り心地の良くないソファーへ深く座り直して、見守ることに徹する。
「ネビロス、ナベルス今日はご苦労さま。とても助かったよ」
本当にこの二人を連れてきて良かった。
特にジュニアが交渉を代わってくれたところからトントン拍子にいい方向に話が進んだ。
私でも同じ着地はできるのだろうけれど、スムーズに行けたのはジュニアの力だろう。
話し方で警戒されるのは盲点だった。魔法族ではホグワーツと言う学校に入ってしまえばエリートコースなのを改めて実感したとも言う。
前の世界でイギリスという国が身分で言葉遣いが違うことは知っていたはずなのだけれど、日常会話が出来るほどに学んだのは今世だから、どうにも実感が及んでいなかった。
庶民派のつもりでいたのがつもりでしかなかったのだなあ、と理解させられてしまうな。
「それに、護衛だけのつもりだったのだけれどネゴシエーターの真似事までさせてしまったからね。二人とも褒賞をだそうか」
二人──主にナベルスが使う様に用意したアパートメントの一室──のソファーに腰をかけ、ナベルスが率先して提供してくれた紅茶に口をつける。屋敷にいるフィンほどの腕前とは言わないが、渋みを出さないで淹れてくれた。
「褒賞?」
「太っ腹だな」
「長期休暇以外なら、私の出来る範囲で用意しよう。何を言われても一考はするし、ここで思いつかないならまた別の機会に欲しい物を告げてくれたらいい」
長期休暇はダメ。ジュニアの方が基本動かない計算なのでナベルスには働いて貰わなくてはいけない。
ジュニアもジュニアで暇潰しも兼ねて頭脳労働系の一部は本人希望で行ってもらう予定だけれど。
「……なら、私はまた別の機会に。今すぐ欲しいものはない」
「分かったよ。ナベルス、君は?」
私の対面の一人掛け用ソファーで脚を組んだジュニアは首を振った。
それを確認して、壁に凭れたナベルスへと視線を向ける。
「あ〜、…………魔法書を幾つか。取り寄せたいのがある」
「ものにもよるけれどそのくらいなら経費として扱っても構わないよ。ああ、でも自前で持ちたいと言うなら褒賞扱いとしようか」
部下が有能になることに反対するつもりはないし、むしろ積極的な学びは嬉しくもある。
ジュニアと共に行動させた事が良い方向に繋がったのだろうか。ジュニアは今の魔法界一と言える魔法使いだし。
何が欲しいのか具体的なものも決まっていそうなので問いかければ、闇の魔術に関するもの、呪文学に関するもの、古代ルーン文字に関するものなど多岐に渡る。ただ、欲してる本の幾つかはホグワーツで読んだ覚えもあり、実践に使える魔法を強化したいらしい気持ちが伝わってきた。
知らない本も幾つかあるが、タイトル的により専門的な本だろう。かなり学ぶ気持ちが強くあるらしい。
「問題ないね。すべて用意出来るだろう。……そう言えば、ナベルスにちょっと聞いてみたかったのだけれど」
「あ?何だ?」
「ホグワーツに入学する前はホームスクーリングをしていたかい?」
学びと言えば。
生粋の魔法族出身かつ、中流階級に近い育ちであろうヒトの声をあまり聞いてこなかった。
一番近いサンプルケースになるナベルスがいるし丁度よい。
「してたぜ?スクイブじゃなくとも、ホグワーツに行けるかなんて分からないからな。まあ……多分ホグワーツに行かなくても2年生くらいまでの内容なら親から教わったはずだ。後は適性を見て親の生業を継ぐなり、丁稚に行くなりするもんだ」
「なるほど。ああ、そうか。丁稚。専門性は現場で学べばいいものね……」
私が改革を行う上でいの一番に取り組んでいる問題が教育で、教職の人材不足に頭を抱えていたのだけれど、なぜこれまで表面化しなかったのかと言う答えがこれだ。
基本ホームスクーリングな魔法族の教育は各家庭で学ぶ内容も正確さもバラバラだ。だから、一定の水準まで均等に引き上げたかったのだけれど。
これはこちらでの私の社会経験の少さが視野を狭めてしまったか。
現状、魔法省に勤めるか資格試験のある専門職に就く以外では、高度な学習は求められていないのだ。教養があるに越したことはないけれど、必須ではないと言うべきか。
これも周囲にスリザリン生が多かった弊害だな。学生時代のうちにもっと他の生徒の家庭環境なんかに注意してみるべきだった。
マグル出身者や孤児にばかり注目したのは悪手だったかもしれない。
いや、マグルと魔法族の格差、親の有無によるギャップ自体も埋めるべき問題点ではあるから、見過ごしてしまった問題の発見が出来たのだとポジティブに行こう。
「……おい、ボス。これ、どうしたんだ」
「……ある程度は理解できるが、あの人の中の最低限の水準は軒並み高いからな。現実とのギャップに驚いているんだろう」
「はあ?」
「マスターの目指している世界について知っているか?」
「いや……もっと生きやすくて、豊か……とは言ってたが。詳しくは聞いてない」
「識字はほぼ100%、小児教育も同程度に。血統も貧富も関係なく。それが教育に関しての目標だ」
「……はあ?夢物語過ぎるだろ。と言うか、それに何のメリットがあるんだよ」
「メリットは確かにあるんだが……あの人にとってはそれが当たり前なんだ。当たり前のことを当たり前にするために動いている」
「…………それは」
「モーフィンと言う男にとってこの世界がおかしいのさ。世界がおかしくて、唯一自分だけが正しい。これで無自覚なのが恐ろしいところだな」
クスクスと笑う甥の声で頭を上げる。
私が考え込んでいるうちにナベルスと二人で何事か話していたようだ。近くに寄って会話している二人は随分と仲良く出来ているように見えた。
歳の差が実年齢や生前を考えるとどちらにせよかなりあるのだが、打ち解けていて良かった良かった。
さて、頭の整理もしたことだし、ナベルスにはまた一仕事頼むとしよう。
「ナベルス、君の次の仕事が決まったよ」
「……この流れでか。はいはい、なんだよ」
補足
本当は小説描写だけで全てを伝えられるのが良いのですが、難しいので言葉遣いについて補足
*興味ない方は飛ばしてください。
①言葉遣い
イギリス英語は階級によって発音が違います。
上流・中産・労働者の大きくわけて三分類。
RP(Received Pronunciation、容認発音)
イギリスの標準英語、特に王室や上流階級で話される格調高い英語。いわゆるキングスイングリッシュ。
→ホグワーツ、魔法省内でメジャーなのもこれ。かつ、幼少期主人公がマナーやイギリス英語を学ぶ参考にしたのはメディア露出の多かった王室の発言や振る舞い。身近にまともに会話する相手とマナーを教えてくれる相手が少なかったと言うのもある。
そのため、かなり根っから話し方はロイヤルめ。
コックニー(ロンドン下町訛り)・アイリッシュ訛り
労働者階級とされる下町の言葉。地元訛りが強く入る言葉は基本ここに分類。
RPとは発音どころか語彙そのものが違う場合も。
中産階級の言葉はこの2つの中間で、RPをベースに訛りも入ってくる。
日本に当てはめたイメージだと、標準語がまんま上流階級の言葉で訛りの残る発音は中産階級、地方の強い訛りのある言葉や下町言葉などの癖がある発音・言葉が労働者階級と当てはめて貰えると◯
言葉の通じなさに関しては、津軽弁やうちなーぐちしか知らない相手と標準語会話しようとして失敗しているのに近い。
→トムは元々生まれ的に労働者階級の言葉と訛りで生きてきて、ホグワーツで頑張って矯正したRP
ナベルスは中産階級出身でRPよりちょい訛り残りだったのが、裏で発音が荒れて労働者階級寄りになったイメージ。
なのでこの二人はどちらの発音・語彙も分かって合わせられる。
主人公は甥が出来るまで魔法世界をあくまで紙上の世界だと思って生きてた部分があるので、根本が浮きまくってる問題があったり。
最近、ちょっとずつ本人も問題だなぁと思っていたりなかったり。
ちなみに今話の話し合いの場でジュニアが交渉を代わらない場合は誠心誠意の力押しで結果をもぎ取る。相手が折れるまで話に付き合うとも言う。























