注意
・自分用に好き勝手書いてる
・私が読みたい話を書いてます
・キャラ崩壊
・なにもわからん
・原作読んだのはるか昔
・中身に整合性を求めるなを合言葉にしてる
・捏造設定過多
・主人公が成り代わりではなかったら?
・もし、本編と真逆のような生立ちだったなら?
・出会いが違ったら、彼との関わりはどうなる?
ifだよ!
以上で大丈夫な方はどうぞ
ハリー・ポッターと言う児童小説の世界に生まれたのだと理解したのはかなり遅かった。
なにせまあ、スラムの様などこの街かもわからない薄汚い路地で転生したことに気が付いたのだ。親も家族も何もなく、必死に生きるだけの子どもに世界なんて大きなものは目に入らなかった。
ただひたすら我武者羅に生き延びて、生き延びて、ようやくその道を振り返る時にただの現代ファンタジーだと思った世界に名前を見つけた。
「ハリー・ポッターか、ここ」
情報と金のどちらもを手に出来るだろうと人の流れを追ってたどり着いた街がロンドン、ひいてはこの国がイギリスだと知れたその時だ。
寂れた薄霧の路地裏に蹲り、思い出した拍子に痛み出した頭を抱える。
呼び覚まされた情報量に傷む頭と引き換えに、これまで何となく便利に使っていた力が魔法であるとすとんと理解出来た。
「何だっけ。あ〜、……ウィンガーディアム・レビオーサ」
記憶に残っている呪文を一つ、立てた指先に乗せた鳩の綿毛に意識を向けて唱える。
すると、綿毛は風のない裏路地で僅かにふらりふらりと宙に浮く。
これで確信できた。
なんと奇妙なことか。生まれ変わりなんてしてしまった自分は物語の中に生まれてしまったらしい。
「とりあえず、新聞かなんか落ちてないかな。テレビがあれば良かったんだけど」
ここに来るまで漁ってきた廃棄ゴミの中にテレビらしきものはなかったし、街頭放送くらいならと思ってもそもそも街頭にモニターを見つけることも出来なかった。
嫌な予感がヒシヒシとする。イギリスのテレビの普及が何時からなのかは知らないが、前世で英国女王の戴冠式の映像を何処かで見た記憶があった。つまり、彼女の即位の時期にはテレビ放送の概念は恐らくあったはずだ。
いや、しかし即位の時期とは。さすがに自分の国の王族ではなかったしそこまで詳しく知らないんだよな。
若い時に即位してかなり長く玉座に就いていたのは分かるが、そう考えると、20世紀前半のどこかだろうか。
「……いや、これ不味い」
20世紀前半はかなり不味い。世界を巻き込む大不穏イベントが揃ってる。
ボサボサの頭を掻きむしりながら、歯噛みする。
正直物心ついて数年しか経っていないから、今のご時世が不景気なのか常通りなのかも良くわかっていないのだ。危うい。
個人的な感覚で言えば不景気よりだと思うが。
焦りつつ、路地裏から人気のある広場の方向へと走る。
「っと、あ、あったあった」
食料ではなく新聞に注力して探せば、それほど時間をかけずに一面が載っているらしい大判を手に入れることが出来た。
英語はあまり得意ではないが、どこが見出しで、どこが日付なのかくらいは流石に分かる。
「…………1946年………」
戦争は終わっていたらしい。一先ず最悪は脱した。
しかし、とは言ってもこれから冷戦だとかブラックマンデーだとか諸々のマイナスが襲いかかってくるわけだ。
現状ただの孤児かつ後ろ楯のない子どもは一番割を食う立場のはず。魔法が使えるのはプラスだが、ホグワーツに通えるとして何年先だ?
自分の年齢すら分からないから、凡そ十年くらいと言う曖昧な時間をどうにか生き延び行かなければホグワーツの迎えは来ない。
そもそも、ホグワーツは奨学金とかあるのか?
ほぼ無一文の孤児に通えるのか?
少し世界が分かってもほとんど前向きになれる状態ではなかった。
「……どうする?魔法が使えれば生き残る術は確保しやすいけど」
目当てのものを見つけてすぐ引っ込んだ人気のない裏路地で、転がっていた空箱の上に座りながら唸る。
呪文を思い出せばきっとまあ、火くらいはそのうち自前で出せるようになるし、清めよなんかを使えばきっと病気にもなりづらいだろうし、野宿もそこまで厳しくはないだろう。
だが、このプランには確実性がない。これを本命にするには行き当たりばったり過ぎる。
「それは最悪の択。────さて、思い出せ。この世界を、この未来を」
かつて読んだ本の中身を。
ハリー・ポッターの作中史を。
ひっそりと暗がりの中で誰にも見つからないようにといつものお呪いを念じながら、自分の中へと意識を集中させた。
*
1946年と言う時代は実に微妙だ。
必死に思い出して感じるのはまずそこだった。
「原作が1990年代。一世代を25年と考えると、所謂親世代が1965年前後に学生と言うことになる……ああいや、卒業してすぐ子どもが出来てるっぽかったから、それを計算に入れると1970年前後になるのか?」
もし自分がホグワーツに行くなら、1960年前後の7年間。25年換算なら親世代にワンチャンがあるかどうか。
まったく被らない可能性もあるし、被ったところで学年が離れすぎている確率が高い。
ガッツリ被せられているなりそれなりに学年の近い先輩か後輩になれば、スネイプやポッター、ブラックあたりにアプローチをかけることも出来た可能性もある。
下手に原作を変えてギリギリだったハリー・ポッターシリーズの結末が変わる可能性もあるので実行するかは兎も角として、取れる選択肢に幅はあったほうがいい。
「親世代が生まれていない今、メインで動いているキャラクターは誰だ?……ダンブルドアや教授陣か?」
ダンブルドアは個人的な主義として頼る気がないが、そもそも他の教授陣も頼れない。日常的にホグワーツにいる相手を見つけられる気がしないだろう。
原作で実家のおよその住所がバレているのは幼少期回想があるスネイプくらいだが、彼はまだ生まれておらず彼の生みの親すらまだ学生でプリンス家のお嬢様をしているんじゃなかろうか。
「とは言え、この時代に存在して、かつ居場所の分かる相手……」
住所の話で言えばブラック家も分かる。だが、純血至上主義の家に見ず知らずの孤児が駆け込める理由はない。原作描写的に近付くことも出来ないだろう。
「……んんん、リトル・ハングルトン……ん〜?あれ、この時代ってヴォルデモートはもうヴォルデモートなんだっけ?」
作中に出てきた住所をツラツラ思い出していたら、物語の大筋に関わる存在が連鎖的に思い浮かんだ。
マグル界が不況の中、では魔法界が安全かと言われればそうではないと言える原因の一つ。
「んんん〜?いや、年代換算なら……1940年代の7年感前後が所謂爺世代の学生期か?」
まだヴォルデモートはヴォルデモートでない可能性がある?
「…………確かめてみるのはありだな。今は……7月。ホグワーツの入学は9月と考えれば8月頃には学生ならダイアゴン横丁で新学期の買い物をしているだろうし、卒業していたなら……たしか、ノクターン横丁のボージン・アンド・バークスで働いていたはず」
働いていた時期は短かった覚えがある────まて、初めての能動的殺害の疑惑があったな。
名前はうろ覚えだが、ハッフルパフのカップの入手元の人物が殺されて、それを疑われて行方知れずだったか。
「うん。行くなら、ノクターン横丁だ」
気が付けば頭痛も止まり、頭がスッキリとしていた。
目的地を決めて立ち上がる足に自然と力が入る。
さて、魔法界に行くなら……確か……マグル界と繋がっているのは覚えている限り、魔法省行きか、ダイアゴン横丁行きは描写されていたはずだ。
魔法省行きは電話ボックス──だが、どこの電話ボックスかいまいち分からないのが問題か。
であれば、ダイアゴン横丁行き──チャリング・クロス通りの漏れ鍋の裏口にあるレンガ塀。
道の開き方は指定のリズムで塀を叩く、だったか。
リズムなんて覚えているわけはないので、一先ず1週間を目処に張り込んでみよう。マグル向けの目眩ましは恐らく効かないし、漏れ鍋周辺でそれっぽい人間が来るのを見つける方向で。
いつも通りの退屈な日のはずだった。
自分でなくても良い低レベルの仕事を生きるためだと、ただいつか正当な評価を浴びるために熟していく日々。
そんな日々が変わる音がした。
「やあ、お兄さん。ちょっと聞きたいんだけど」
ガラン、とドアベルがなり、そんな声がかかる。煩わしいが、店主が不在で店にいるのは自分一人切り。
カウンター越しに顔を上げれば、見窄らしい小さな人影があった。
甲高い声に背丈は小人族だろうか。
「…………誰だ?」
客にしては貧相だ。
裏の商売であるから、薄汚い客も存在するがそう言う客特有の草臥れ感が薄かった。
しかし、であれば何なのか。こんなところで迷子だとしたら面倒過ぎる。
追い払おうかと声を上げようとした。
しかし。
「君、トム・マールヴォロ・リドル?」
フルネームを告げられて、杖に手が伸びる。
「何者だ?」
子どもにも小人族にも縁はない。縁もゆかりも無いのに何故か名前が把握されている事実に警戒心が湧き上がる。
「ただの子どもだけど。ねえ、あたり?」
だが、小さなそれは何の気負いもなくこてりと首を傾げた。
子どもなのだと証明するように少し舌足らずの言葉と簡易な語彙で問いかけてくる。態とらしいその態度に誰が警戒を解くだろう。
「何故、名前を知っている?俺はお前に見覚えがない」
けれど心当たりがない。
言ってしまえばトム・リドルはただのノクターン横丁で働く市民なのだ。
ホグワーツでは名前が通っていたとしても、客観的にみてごく一般的な何者にもなっていない魔法使いが今の自分。
就職難にさらされて、認めたくなくとも現実がそうであると理解させられていた。
「有名人、だからかな。おれの中では、だけど」
苦い心境を裏切るように自称子どもは滑らかにそう告げた。
「……どう言う意味だ」
「おれは、ヒトよりちょっと先を知っているんだ。……はは、信じられない?そりゃ当然。別に信じなくてもいいよ」
まじまじと眺めた子どもは薄青い瞳を細めて自嘲気味に笑う。
髪も肌も艶がなく、痩けて汚れて見窄らしさしかないのに、不思議とその顔が嘘だと否定する言葉を吐けなくさせた。
「…………」
「でも、君がおれを信じてみそうになることを言ってみよう。例えば……そうだな。ハッフルパフのカップ。知ってる?」
何を言うのかと思えば、虚を突かれる。
「……ホグワーツの創設者たちの遺した宝の一つだ」
「見たことある?」
「……ない」
それはホグワーツには残らなかった宝だ。
「そう。なら良かった。近いうちに見れるよ。君の働いてる店で縁ができる」
子どもは軽やかに告げてくる。
孤児同然の見た目に反して、堂々した自信溢れる言葉。浮かべた笑みには余裕すら感じさせた。
「は?」
「君、人の懐に入るのが上手いよね。カリスマ性ってやつかな?」
何を知っていて、何を見ているのか。
ぐるぐると頭が回る。
信じられないくらいの混乱が正常な思考をかき乱して、やっと吐き出した言葉は拙い悪態だけだった。
「知ったような口を利く……」
「でも否定できないだろう?じゃあ、いつかのヴォルデモート卿、ハッフルパフのカップを目にする日が来たらまた会おう。因みに、思い留まることをオススメするよ」
何故。
その名を何処で。
驚きに掠れた喉が音を絞り出す前に、ばーい、と手を振った子どもは来た時と同じようにガラン、とドアベルを鳴らして扉の向こうへと消えていく。
呆気に取られて動き出しはじめた頃には、店の前の通りの何処にも子どもの影はなくなっていた。
「…………思い留まる、こと」
最後に告げられた言葉を反芻するように呟いた。
あの子どもは既にただの子どもには分類出来ない。確かに何らかのことを知っている。
だとすれば。
どこから知られたのだとか、ハッフルパフのカップと出会う日だとかそういう事に疑念を抱く段階は等に過ぎていた。
*
「やあ、お兄さん。約束通りに来たよ」
数カ月前に訪れた店の扉をガラン、とドアベルを鳴らして開ける。
ついこの間の様にも思える邂逅の時と同様に、今日も彼一人で店番をしているらしい。
カウンターからちらりと扉を見つめた青年は、こちらに目を留めると勢い良く身を乗り出した。
「お前……!」
きちんと記憶には残れたらしい。
笑みを浮かべて手を振ってみる。
「おれのオススメ、覚えててくれてたみたいだね。おれの言葉なんて利かないかと思ってたんだけど」
「…………俺がお前の言葉で止まらなければここに来るつもりはなかっただろう。ごく限られた相手にしか伝えていない名前を言われた時点で、お前の言葉を聞かない選択肢を奪ったくせに」
そんな風に受け止められていたのか。
ちょっとインパクトを残していかないと記憶に残れないかなと思っただけだったんだけど。
「言い掛かりじゃない?別に、おれの言葉の結果は気にしてなかったし」
そうなればいいとは思ったけどね。
ハッフルパフのカップのために人殺しをしていたら、きっとこの店では会えなかっただろうし。
そうなると、探し出すのが難しいし、見つけられない可能性の方が高かった。
「ふん。で、また来たお前は今度は何を言いに来たんだ」
「そんなに構えないでよ。おれ、非力な子どもだよ」
「どの口が言う」
なんでこんなに警戒されてるのやら。
「君の目ん玉不良品じゃない?まあいいけど。今日はお願いがあってさ」
「……俺に?」
「そう。おれ的魔法界一の魔法使いだからね」
なんたって作者のお墨付きだもの。
この世界が小説準拠なのか映画準拠なのかで魔法界のレベルは変わってくるけど、どちらでも間違いなくトップをひた走るのがヴォルデモートという存在だ。
「…………俺が?ダンブルドアや、グリンデルバルドではなく?」
「間違いなくこの世界で一番才能がある。ダンブルドアやグリンデルバルドが君に勝っているのは年の功だけだよ」
それに嫌いだしね、ダンブルドア。
そう続ければ、トム・リドルの切れ長の目が分かりやすく丸くなった。
「何故だ?」
「おれ、教師は聖職だと思ってるんだ。公平で公正にあるべき。だけど、彼はそうじゃないだろう?彼がヒトより何倍も強く、公的に認められた人間であるなら、より一層、自分を戒めなきゃダメじゃない」
求めるのは平等ではない。贔屓でもない。
公正と公平だ。
ダンブルドアの動きはあまりにも贔屓に寄りすぎている。そう思ってしまう。だから、嫌い。
「…………そう、か」
「ダンブルドアって正しそうなこと言うし、目的は善だけど、世の中って善悪だけじゃないからね。おれは相容れないんだ。だから、おれは彼のとこには行かないわけ。OK?」
びっくりした拍子になんだか大人しくなったトム・リドルに畳み掛ける様にそう告げれば、こくりと頷かれる。
第一段階はクリア。
後は最後の承諾へのハードルを下げていけばいい。
「で、だ。これから魔法界一になれるお兄さん」
「…………なんだ」
「君の未来は二つある。どちらも強大なものになれることは約束してあげる。けれど、その二つは方向性の違う道のりだ」
預言者のように語りかける。
目の前の彼は固唾をのんで見つめてきた。
「一つは歯向かうものを殺し、抗うものを殺す血に塗れた覇道を往き、誰かの用意した英雄に滅ぼされるもの」
「一つは困難と苦難に抗い、不可能を打破しながら王道を往き、君の在り方自体を歪めて君自身が英雄となるもの」
どちらがいい?と青年に択を突きつける。
「…………選ばせる気がないだろう」
「いいや、選ぶのは君じゃなくちゃダメだよ。言ったよね、ちょっと聞きたいことがあるって」
ねえ、と笑いかければ苦々しいと言いたげに顔を歪ませながら、彼は答えを口に出す。
「……満足か?」
「勿論。トム・マールヴォロ・リドル、君の選択は聞き届けた。それじゃあこれからよろしくね」
「は?」
「おれはアスタ。親なし家なし後ろ楯なしのただの子ども!」
選んだ未来にはもれなくおれもついてくると言うことで。
呆気に取られる青年を前ににっこり微笑んでみせる。
もしもの叔父甥話でした。
主人公(if)
保護者が欲しかったので世界を変えるついでにゲットした。
本編より自由かつ口調が粗雑。
作中でも話している通り、立場がないのと学ぶ土壌がなかったので。
代わりに原作知識は思い出したばっかりなので本編よりハッキリしてる。
ただ根本は同じなので自分の生きたい世界にしようとするし、まったくの嘘や自分の考えと違うことを言う腹芸も苦手。
ネーミングはいつものやつ。
*入れれなかった一節
「おれ?公平で公正なのは正しいと思うけど、その正しさを発揮するべきなのは支配者だよ。おれ、そこから一番縁遠いのにそんな風に生きるわけないでしょ。高貴なものの義務(ノブリス・オブリージュ)って言うじゃん」
もしも、自分に立場があって、守りたいものがあるならそういう風に生きたかも知れないけど。
トム・リドル(人生1回目)
運命をねじ曲げる悪魔と出会ってしまった。
























