注意
・自分用に好き勝手書いてる
・私が読みたい話を書いてます
・キャラ崩壊
・なにもわからん
・原作読んだのはるか昔
・中身に整合性を求めるなを合言葉にしてる
・捏造設定過多
以上で大丈夫な方はどうぞ
そわそわと脚を組み替える。
私が動くことにはなんの意味もないのだけれど、心が逸ると動いていた方が気が紛れるもので。
命に関わることでもなんでもなく、純粋な楽しみと好奇心だけの情動とは良いものだ。
純粋な欲に近い衝動は感情に鈍い私でもそれなりの精度で自分のものも他人のものも把握できる。だからこそ、余計に普段よりも浮ついているのだろう。
理屈が分かっていても、動きを止める気が起きるわけではなく、ただただ行儀悪く脚を崩し、肘をついてみたりする。
そんなことをしていれば、ガチャリとドアノブが捻られた。
「……伯父、上?何をしているんだ、あなたは」
鍵の掛かっていない扉をくぐり現れた白皙の青年が秀麗な眉を顰めて首を傾げた。
大人としての私らしくない姿を見せている自覚はあるので、微笑みでごまかして立ち上がり、頭の天辺から爪先まで視線を動かす。
公式で美貌を描写された人間とは凄いものだ。トム・リドル・シニアと顔を合わせたことはあったが、荒れていた彼と比べて手入れの行き届いた青年は若々しさがある事もあるのだろうが光り輝いているようにも見える。
「ああ、少し、そわそわしてしまって。大きくなったね、ジュニア。服のサイズが合っていてよかったよ」
前世の時の服のサイズと言う参考はあったが、全く同じに成長するかは分からなかったので幾つかサイズを用意して着替えて貰っていた。
だが、どうにも前世よりも少しだけ身長が伸びているらしい。用意した服の中でも大きめのサイズのものを着ている。
まあ、孤児院育ちと貴族育ちでは栄養状態が違いすぎるから、想定の範囲内の変化だろう。
「そうだな。……今だと伯父上より身長は上か?」
「そのようだ。私は大柄、と言うわけではないしね」
少し嬉しそうなジュニアに微笑ましくなる。この姿の時に頭を撫でたら少しむさ苦しいかな。
ジュニアの現在のサイズは180半ば、くらいだろうか。正確な測りはないので目測だが、私よりも数cmは高いだろう。
「着替がてら、少し身体を動かして見たが運動も問題ないはずだ」
「それは良かった。それじゃあ今日の段取りは事前に話をしていた通りだよ。私はうちで仕事をしているから、緊急の時は直ぐに連絡をおくれ」
今日は私のウインターホリデー最終日にして、ジュニアの大人の姿のデビュー日でもある。
本当なら私が共について行く予定だったのだけれど、ジュニアにお手製魔法薬で労働を詰め込んでいたことがバレてしまったため、大人しくしている様に言い含められてしまったのだ。
その為、少し早いがジュニアとナベルスの2人で動いて貰うこととなっている。
ジュニアは外側は兎も角中身は大人であるし、ナベルスの腕もかなりのもので心配する必要はないのだろうが、やはりどうしても少し不安だ。
下手な事にはならないだろうが、初対面の二人であるし、今のジュニアの初外出であるし。
「伯父上」
ごちゃごちゃと考えていると少し真剣な顔をしたジュニアと目が合う。
華奢でアンティーク調のフレームをした眼鏡は人を選びそうなデザインだったが、ぴったりと似合っていた。
「どうしたんだい?」
緊張すら感じる面持ちでこちらを見つめる甥の様子は珍しい。首を傾げれば、意を決したように口火が切られる。
「名前を。あなたに名を貰いたい」
────ロンドン、郊外。
人気のない街外れが待ち合わせの指定先だった。こんなところに来るのは近隣住民か、もしくは男の待ち合わせ相手。
だからこそ、すぐにそれが件の人物であると理解できた。
非常識な男の繋げる縁もまた非常識らしい。
ナベルスと呼ばれるようになった男は、仕事だと指定された場所に佇み頭を掻いた。
ついこの間まで、魔法界にまばらに点在する弱者コミュニティの調査やら裏社会全体への影響力を持つ存在へコンタクトを取れやらと動き回っていた日々。
そんな中で雇い主より上司になる男と対面も兼ねた任務だと告げられたのが今日の仕事だった。
上司なんて付くのか、とボヤキながら向かったのだが。
「ああ、貴様がナベルスだな?」
ひっそりとした陰の中に立つ男が一人。男、と形容するより青年と言う言葉が似合う瑞々しい若者の姿をしたなにか。
歳の頃は確かに二十歳前後の幼さすらも残っていそうな青年なのだ。しかし、纏う雰囲気がその見た目を正しいものと判別させない。
インクのように黒い髪と白皙に配された輝かしいばかりの美貌。そして両眼鏡の奥だと言うのにそこに視線を集めるような赤い輝石染みた瞳がナベルスを見つめていた。
「……そうだ。あんたがオレの上司ってやつか」
目を逸らしたくなる圧の強さに怯みそうになるが、弱さを出さぬように見つめ返す。
猛獣を前にした心地だ。喧嘩は売らずに、ただ自らが弱っても弱くもない事を示さなければいけない。
すると、どうにか初動は合格ラインを超えたのか息を止めそうなほどの圧が緩まる。
「なるほど。あの人の事を疑うわけではないが、確かにいい拾い物のようだ。──貴様の想像通り、私が上司となる」
ネビロスだと名乗った男は口角だけを上げて微笑んだ。
全く嫌になるくらいの色男ぶりだ。その辺の役者なんかが比べ物にならない暴力のような美しさ。
雇い主はいったいどこでこんなのを見つけてくるのか。見た目だけでなく感じる圧から実力も魔法界上位に相当しそうな男に全く見覚えがないことに、ナベルスは首を傾げたくなる。
まあ、自分を見つけたのと同様に自らの足で探し出したのがありありと想像ができてしまうのだが。
この男もきっと訳ありだ。
「ネビロスね。……なんて呼ぶのが好みだ?」
「呼び捨てで別に構わん」
「ならボスとでも呼ぶわ。そういや、あんたも悪魔の名前なのか?」
あの雇い主は自らの名付けに悪魔の名で意味を持たせていた。恐らく偽名だろう目の前の男も同様なのだろうか、なんて気持ちでナベルスは問いかける。
すると、ネビロスと名乗る男は一度瞬いてから頷いて口を開いた。
「そうだな、私の名も悪魔から取ったものだ。地獄の軍勢を監視するもの。そのネビロスの部下にナベリウス……貴様の名の元となった悪魔がいる」
「へえ。じゃああんたありきでの名前だったわけだ」
まるで本物だものな、と言う感想は口の中に留めながら頷く。
とは言え、ホグワーツ卒業程度の学はあるが、ナベルスが人より真面目に勉強したのは闇祓いになるための科目と魔法動物学くらいだ。悪魔だのと言う単語は占い学や魔法史に出てくる存在で詳しくない。
だが、どこか淡々とした口調で話す男の姿に角や羽根が合っても違和感がないと思うのだ。
「………… まあ、いい。ナベルス、移動するぞ」
「はいよ」
何処からともなく呼び寄せられたポートキーに触れれば、世界は瞬時に回り出す。
ぐるりと一巡した頃に、足元の平衡感覚が戻ってくる。
「っと、ここは……」
辺りを見回せば、街外れの人気のない路地から深いシラカバの森の中へと移ったようだった。
白い木が乱立する森の中では黒い服装に身を包んだ自分たちはあまりにも分かり易すぎる。
闇に紛れるにはいいが、こう言う時、黒は目立つ。
ナベルスは舌をうち、杖を振るう。
危うげなく隣に立つ男は杖を取り出す素振りもなく、服の色を替えだしていた。
「どう言う技術だよ、それ」
「杖無し魔法だ。便利だから覚えておけ」
「…………へいへい」
ひょい、と振るった杖を片手にナベルスは頭を掻く。簡単に言ってくれる。
杖はヨーロッパ圏の発明だから、ヨーロッパ外では杖を使わない魔法もあるとは知っている。知っているが、それと行使出来るかはまた別だ。
無言呪文でさえさほど得意な訳では無いのだから。
これに関しては別にナベルスの能力が低い訳では無い。むしろホグワーツでは優秀な部類だったからこそ一度は魔法省の花形の闇祓いになれているのだ。
だが、無言呪文も杖無し魔法もどちらも安定した魔法力と精神が求められる技術で、両方を掛け合わせるとなればその難易度はひとしお。
彼の年齢であればそこそこの難度の魔法を無言呪文で使えれば上々とも言える。まあ、目の前の若者の皮を被った上司はそれ以上のことを軽々と行っているので立つ瀬がないのだが。
コソ練か、とナベルスが肩を落としていると辺りを確認していたらしいネビロスが口を開いた。
「ここから暫く移動だが…………ん?そう言えば貴様は飛べるのか?」
「あ?ホグワーツじゃクディッチの選手はしてたぜ」
「ふむ……今後のためにも見て学べ。箒は呼び寄せるなら呼寄せろ、行くぞ」
は?とナベルスが返事をする前に青年の身体がふわりと浮かび上がる。
各種の浮遊呪文とは違い、空に浮かび上がった身体を自在に動かしていた。
「は?飛行呪文?そんなもん、……は?実用化されたのか?」
「私の開発だ。公表はしていないからな、知らなくて当然だろう」
愕然と、当たり前の常識を打ち砕いていく男が背を翻して飛んでいこうとするのにナベルスは慌てて箒を呼び寄せる。
「待て!オレに情報整理の時間をくれよ!?あ、くそ、速いっ」
「時間は有限だ。こんなところでのんびりするわけがない」
予約を受けているのだと歓迎された狭い店の中でネビロスが一人の壮年の男と向かい合う。
「今の杖は?」
「イチイに不死鳥の尾羽根だった」
「ふぅむ、珍しい資質の持ち主だな。だが、…………」
その答えを聞いてゴソゴソと杖の山に向き合う店主を眺めながら、後ろに控えたナベルスは僅かに首を傾げる。
ここに来るまでの間一度も杖を見ることがなかった。過去形の発言と言い、今回の短い旅路はこの青年の杖の調達が目当てだったのかもしれない。
如何に杖無しで魔法が使えたとして、ヨーロッパ生まれの魔法使いであるなら杖があった方が安定する。
一番上の上司となる男はその辺りは気に掛けるだろう。
「これは?」
「……ダメだな」
「んん、こっちでは?」
「っ、持つこともか」
「杖が怯えているな……」
杖選びは難航しているようだ。
自分も2本目の予備の杖を買えばいいと言われているものの、派手な火花を散らす男に店主は掛かりきりである。
適当に見回し、化粧箱の空いている杖を眺めても惹かれるものはない。
「おい、そこの!そこにある薄い色の杖を持ってきてくれ」
「あ?オレ?」
店主の指示にナベルスはパチ、と瞬いて自分の近くにあった化粧箱の中に収まる杖へと視線を向けた。
比較的短めで、白っぽい無垢の杖。なんの変哲もない杖に見えるが、眺めていた杖の中で一番直視したくないと感じていたものだった。
そう言えば、ボスと呼ぶことにした男も似たような印象だったか。
「持ってきたぜ」
「ああ、助かる。こいつはサンザシにセストラルの尾毛の杖だ。奇妙で複雑な杖になりがちな木で、例外に漏れずこれもその通り。元々死に近い杖だが、芯材の影響で特にその特徴が強く表れてしまった。この杖の忠誠を得られる魔法使いがいるとは思っていなかったんだがな」
「セストラルの…………」
そりゃ死にも近くなるだろう。セストラル、と聞いてナベルスは思わず唸る。
ホグワーツくらいでしかまともに存在を認知したことのない魔法生物だが、死を身近にしたわずかの間にしか見ることの叶わない生き物。
出来ることなら見えないほうが幸せな生き物だ。
感じた忌避感は生物として当たり前のものだったらしい。
「これか」
するりと伸ばされた手は何にも遮られることなく杖の柄を握り込んだ。
先程まで触れた瞬間に弾けたり、火花を散らしていた杖たちを見てきた分、見つかったのだと言う感覚が強くあった。
白い手が軽く振られた瞬間に、歓喜するような光が花開く。
「お前さんの杖は決まったな。で、そこの。見ていた中で気になったのは?」
ほう、と息をついた店主がナベルスに水を向けてくる。だが、ピンとくるものはイマイチない。
「や、特になかったけど」
「……今の杖は?」
「クリに不死鳥の尾羽根」
「ふむ…………お前さん最近、運命が変わったな。その杖も悪くはないが……」
運命が変わった、と思える出来事はただ一つ。
森の中で燻り続けていた自分を見つけ出し、強引に新たな居場所を創り出した男との出会いか。
ナベルスは既に半生を共にしている自分の相棒足る杖へと視線を落とした。
これを手にしたのはホグワーツに入学するその時。自分だけの杖を手に入れるのだと期待で胸を膨らませた幼少の自分を選んだ杖だ。
あの頃から、怒涛のように人生は過ぎて、立場も性格も変わってしまったように思う。変わらぬ忠誠を尽くすこの杖はどう思っているのだろう。
もしも、この杖よりも新たな杖がしっくりきてしまったらそれはそれでショックかも知れない。
「店主、スギ材の杖はあるか?この男の運命を変えたのは主になる男だ」
「……ああ、なるほど?忠誠を誓ったのか、ふむ、まあ試してみるのも悪くはないだろう」
「は?いやいやいやいや、スギは無理だろ。オレにゃそんな忠誠心なんてもん無縁だ」
ゴソゴソと裏へ杖を探しに行った店主を止める間もなく、ナベルスは頭を振った。
元凶となった青年はしれっとした顔であの人が言っていたのだと、スギが的外れではないと思っている理由を告げる。
「貴様が犬のようだ、とな。正確には野犬だが、犬は自らが定めたヒエラルキーの上に置いた者に逆らわない。貴様の名の別の呼び方はケルベロス。地獄の三頭犬だ」
「……オレ、あの人に犬だと思われてるわけ?しかも三頭犬かよ」
ギリシャ原産の魔法生物の名を出され、さらにナベルスは顔を顰めた。
だが、それが上司評とされれば何とも言い難い。高評価であるのも違いないのが余計だ。
「あの人の他者を見る目はかなりのものだぞ。人に対して興味がないクセに、ハズレだけは引かん」
「ああ、それは分かる。あの人、身内以外の人間を有象無象としか思っていないだろ。存在は認識しても心を配る対象にしてない気がする」
「個としての認識をしないからな。市民や国民としてなら気遣っている」
「……天性の暴君か?」
「……ッ、く、ハハハハッ、そうかそうか、やはりあれは暴君か」
「自分を中心に世界を回そうとしてる男は暴君以外にないだろ」
やけに楽しそうに声を弾ませるボスはわりとあの上司に心酔しているように見える。
ナベルスに踏み込む気はないが、かなり親しい身内の中に当てはまる立場なのだろう。だが、今までこうして自分に近い感想を持つ相手を見つけられなかった、のかもしれない。
「だが、それだからこそ貴様はついてきたのだろう?」
絶対これ身内だろ。表に出せない異母弟か何かかよ。
ナベルスは口を曲げた。
「あんたがボスじゃなきゃド突いてた」
「貴様に一撃を入れられるほど弱くはない」
「…………今に見てろ」
「期待しておこう」
そう言うところだぞ。
「おい、取り敢えずこれらを試してみろ」
化粧箱を何箱か持ち込んできた店主が帰ってきたのを、ナベルスは助かったとばかりに素早い身のこなしで杖を試しに向かう。
スギは無理だろ、とブツクサ言うものの先ほどまでのネビロスの杖選びほど激しい拒絶はどれも見られなかった。
ただしっくり来ないと言うだけだ。
「ふむ。今の杖に合わせて不死鳥の芯を持ってきたが……、杖木自体はハズレではないが……ふうむ?ドラゴンか?」
「は?え、嘘だろ」
「スギにドラゴンの心臓の琴線。気骨と忠誠心を高く持つものを主に選ぶ。ドラゴンの心臓の琴線の芯材は特に我が強く主に求めるものは多くなるが、それに不足なく応えるものには最高の忠誠を示すだろう」
「…………あ〜〜〜〜う、あ〜〜〜、まじかよ」
店主が新たに持ち込んだ1本に手を触れた瞬間、ナベルスが顔を覆ってしゃがみ込む。
髪の隙間から見える耳は僅かに赤い。
「これだな。店主、この2本だ」
「はいよ。そんじゃまたご贔屓に」
「おい、ナベルス。行くぞ」






















