「天女様、彼らが二年生の」
「フシャーーーーーーーッッッッ!!!」
滝夜叉丸の肩に手を置いて背後に隠れている天女は全力の威嚇をした。
ふーむ、と滝夜叉丸は思案する。
「勿論こいつらもまた優れた成長を遂げるだけのポテンシャルを持つ存在ですが、私程の輝きを持っているかと言えば否! やはり駄目ですか」
「駄目っていうか輝き以前にトラウマがあるんじゃい」
「あの、俺は特に何かした覚えは」
「だぁってろ゛や池田三郎次! お前に自尊心めっためたにされた事は忘れねえ!! その程度も出来ないのかと嘲笑って来るテメェの面忘れねえぞこん畜゛生゛!!!」
「身に覚えがない」
「いや天女様にやらないだけでお前わりと一年相手にやってるぞ」
「「うん」」
「そうなんですか?」
「何でお前らが俺の敵に回るんだよ!」
確かに態度悪い自覚はあるけど天女相手にやった事無いしそもそもこの天女様とは今が初対面だろうが! 三郎次はそう主張したかったが日頃の行いにより却下された。ぐぬぬ。
「ちなみに天女様、大丈夫な二年生は居ますか?」
「居るわけねえだろ」
「あだだだだ」
この天女様握力強いな。滝夜叉丸は肩にめり込む指の感触に悲鳴をあげた。めりめりいってるめりめりいってる。
「川西左近には意味の解らん依存をされ、能勢久作には自由を奪われた……忘れはせ゛んぞどいつもこいつもォ゛!!! 最初は可愛い反応だなとか思ってたのに!! 純粋に仲良くなれたかなと思ってたのに!!! 情緒の急カーブやめろオ゛!!!!」
「左近、お前天女様に依存したのか」
「全然覚えがない。久作こそ天女様の自由奪ったのか?」
「借りた本の返却延滞さえしなければ別に俺もそこまで言わないと思うんだが……」
そんな事しませんよと言いたいけど、まずどういう何があって並行世界の自分達がそんな事をしたのかがわからな過ぎる。え、僕依存するの? 俺だって自由を奪うらしいぞ。一体何があったっていうんだ。そういう発想自体が正直皆無なので想像もつかん。弁明も何もいわれが無さ過ぎて感想しか出てこないな。
「編入生である羽丹羽、そしてこの私が居る学園の花形である体育委員会所属の時友四郎兵衛は見るからに無害ですが」
「お前無責任にそういう事言うんじゃねえ!!! 私はもうこいつらを信じない!!!!」
「一体何をしたんだお前達」
「全然わからないんだなぁ」
「僕に至っては天女様はお噂しか聞いた事がないくらいですし……」
「寧ろ滝夜叉丸先輩は、どうして天女様に怖がられないんですか?」
「ふ、愚問だな四郎兵衛。いやいっそ一周回って良い質問だなと言わせてもらおう! それはやはりこの私、平滝夜叉丸という素晴らしい輝きを持つ存在は特別だからと言う他あるまい! 学園のスーパースターであるこの私、輝かせたら他に並び立つ者はいないだろうこの私ともなれば、天女様も怯えを抱かず心開くに値するは至極当然!!!!」
「この自分愛が間違いないという確信。私への何かしらの念を向ける事は無いという安心感。コイツなら私に万が一は無い」
「どうしよう説得力があり過ぎる」
「確かにどう足掻いても自分の事以外にそれ以上の念を向けるとは思えない」
「周囲を見てはくれてるけど、根源にはいつでも滝夜叉丸先輩自身が居るんだなぁ」
「勉強になります」
「勉強しなくて良いぞ」
つまり警戒されてる我々二年生は他の何かよりも天女相手に強い念を向ける可能性があるという疑惑を抱かれているのでは。
二年生はわりと察しが良かったのでその事を察したが、滝夜叉丸並みに強い念を向ける何かを提示出来る気がしなかったので弁明を諦めた。あれと同等とか無理。というか正直並び立ちたくない。
「しかし天女様、僕は編入生というのもありますし、時友くんも優しい性格で」
「ギシャアアアアアアアア!!!!」
「ひぃっ」
「騙されん!! 騙されんぞホラー空間生成小僧めが!!!!」
「何ですかそれ!?」
「お前と出かけたら十回に八回はトラウマホラーを叩きつけられた私の気持ちがわかる゛かあ゛!!!!!」
「わかりません!」
「お、落ち着いてください! 天女様の知ってる羽丹羽くんと違って、この羽丹羽くんは良い子なんだな!」
「お前も信用しねぇぞ時友四郎兵衛!!!! 純粋で可愛い天使かと思ったのに!! 思ったのに!! 暴君だったり普段の様子を逆手に取ってこっちの行動を縛ってきたりしやがってェ゛!!!」
「僕、暴君になったりしないんだな!」
「そうです! 時友くんは優しい人ですよ!」
「天女様、心を鎮めて。私の顔を見て落ち着かれますか?」
「お前の顔は見せるな。トラウマがぶり返す」
「この私の美しい顔を見て癒される事が出来ないだなんて可哀想な天女様……」
「何だあの空間」
「よくわからないけど滝夜叉丸先輩が天女様担当になってる理由はよくわかった」
全方位敵みたいな状態である天女なので、自分自身しか見ていない滝夜叉丸ならセーフなのだろう。先生方の中には同じくセーフ枠の方も何名か居るようだけど、先生方は忙しいので中々時間が取れないという。
「そう思えばこうして出歩けてるのは良い事……なのか?」
「健康を考えると部屋に籠ってるよりは良いと思うけど、人間不信を拗らせたみたいな様子だからなあ……」
「天女様がわりと会話出来るし接触も出来るっていう特別扱いを滝夜叉丸先輩が満足そうにしてるなら良い、んだと思うけど」
「あんなにも怯えられると、大丈夫なのか心配になってくるんだなあ」
「先生をお呼びして、安心出来る大人も居ますよとアピールするのはどうでしょう!」
「見られるのが恥ずかしいとかいう理由で監禁された挙句に目玉抉られたのは忘れてねえ゛ぞ松千代万ウ゛!!! 人の予定勝手に埋め尽くして外堀埋めるわ先回りするわで逃げられなくしやがった事も忘れてね゛え゛ぞ野村雄三ォ゛!!!」
「駄目だ、先生達も天女様から見ると加害者らしい」
「寧ろ松千代先生にまでよく被害受けれたなこの人」
「一周回って可哀想になってきた」
二年生は最早憐憫の眼差しを天女へと送っていた。片っ端から酷い目に遭ったらしくて可哀想。
天女
周囲が敵状態で一人では出歩けないらしい。
二年生
一周回って同情した。
滝夜叉丸
まともに交流出来る枠。天女があまりにも引きこもってる状態なので時々連れ出して忍たまは怖い存在じゃないと教えてやってくれと言われた。やはり私程の存在ともなるとこういう事を頼まれてしまうな!! 嗚呼、私が優秀で美しくて天女にも通じる素晴らしさなばっかりに!!
悩んだ書き手
二年生ってどんなルートがあるんだ……? と正直悩んだ。
ゲームを終了する。そうして思いっきり伸びをして、
「おっまえ今回は病みルートめっちゃ少なくしたよって言ったじゃん!!!!!」
「はー? 超減らしましたけど。お前からの苦情多いし、二年生ともなると流石にネタ作り辛いし。雇い主やぞこっちは」
「いつも報酬しっかり払ってくれてありがとうございますだけどこれはこれ!!」
「だから何さ」
んもー、とトッモはジャーキーを齧りながら面倒臭そうに肘をついた。
「言っとくけどめちゃくちゃマイルドにしたのは本当だからな。三年生時同様に疑いによる殺害コースは無くし、尚且つ病みルートも三割減! これ以上どうせいってくらい減らしたぞこっちは」
「緑髪のクソガキに自尊心フルボッコだドンされたんだけど???」
「三郎次がクソガキ扱いされててウケる」
「何なんだよあの小僧!! 可愛い十一歳なんて幻覚だった!! 事あるごとに険悪な姑よりもしつこく指摘しやがって!! お前が老後の介護を必要とした時には相応の復讐をしてやるからなア゛!!!!」
「十一歳のショタ相手に老後の介護が間もなく必要になるだろう姑扱いしてんのウケる。錯乱し過ぎじゃない?」
「アイツ口を開けばこっちの心抉ってくるもんもうヤダァ! 何なんだよお口にナイフ搭載しとんのか!?? 子守歌なギザギザハートかお前は!!!」
「触れるもの皆傷付ける系ってか」
何をケタケタ笑っとんじゃいこのトッモは。
「先輩扱いよりも素が見れるかなと思って基本同級生設定にしてあるから、生意気小僧な感じは確かに強めかもだけどさあ。それでも憎めない感じにしたんだけど」
「わりと頼れる感じのガキ大将かなって思える時もあったけど最後の最後で部屋に不法侵入して私物叩き壊して来たから嫌い」
「うーん、ランダム会話で一発アウトな選択肢を選ばない限り行けないエンド。久作は?」
「他のキャラとの付き合い方を教えてくれるお助けキャラかと思ったら久作に何かを聞かないと行動が取れなくなりました」
「決まった通りにエンドが出たかあ」
「あと、お前が勝手な行動をするとこういう事が起きるんだからまずは俺に聞くようにな、とか何とか言われて自主的行動出来なくなる主人公ちゃんのヤツとか」
「序盤で久作に頼りまくった上で途中から久作に助言聞かなくなる+久作の言う事に反した行動取る事でしか行けないルート~~~~。もう狙ってんだろ」
「私は普通に可愛げのある子に癒されたかっただけなのにあんまりだア゛!!!」
最早泣くしかねえ。可愛い少年と思ったのに酷い裏切りだ。
「左近は? 看病イベントとか多めだし、ランダムによる不運イベントでドキッ急な密着!? みたいなのもあるよん」
「お前が居ないと生きられないようにしたのはそっちなんだから責任取ってくれるよな、って病んだ笑みで手を恋人繋ぎされましたが???」
「不運イベントを五回発生させた上で左近の落ち込みイベント時に励まさない事で行くルートでーす。強めに激励するとか無言で隣に座るとかの選択肢選んだっしょ」
「そんなんで病まれたくねえよお!!!!」
「だはははは」
笑いやがってこんちくしょう。置いてあるプリングルズ食べてやる。ポテチも好きだけどこのマッシュされてる感が好きなんだよなあ。
「羽丹羽くんは?」
「ホラー、トラウマ、私、恐怖」
「片言になってやんの。正直そんな気はした」
「なんっでちょっと一緒にお出掛けしただけで怖い話が発生すんの!?? 一緒にお出掛けしてるはずなのにどんどんよくわからない方に行くわ、よくわからない会話があるわ、その挙句に真っ暗背景の中でいつも通りの笑みな羽丹羽石人から放たれる、さて僕は本物かな? って……こっえーーーーんだわ!!!」
「お前図書室で本読む時にはむこ参るを読む選択肢選んだろ。源氏物語とか徒然草とかもあったのに」
「え、うん。他に比べてあんまり真面目そうじゃない雰囲気だったから」
「あーあ」
「あーあって何!???」
怖いんだけど! 何だよそのワード何かあんの!??
「でもちゃんと普通のルートも作ったよ。主人公ちゃんの事を好きになって、意識して欲しくて格好いいと思った人の行動を片っ端から真似てみるも状況と一致しないもんだから空回りしまくりつつも最終的にいつもの羽丹羽くんが一番、みたいな」
「そんな青春知らない」
「ん゛ははははは」
八割方ホラーだった。種類を変えたホラー出された。時々ホラーじゃないルートもあるけど知らない間に相手の実家に送り届けられてるとかだった。川向こうみたいな名前の城しやがってよ。
「結構純粋で可愛いイベント多めにした四郎兵衛は?」
「誘い断ったら真顔で壁壊してそんなの許さないんだなとか言われて主人公ちゃん怯え過ぎて逆らえなくなる暴君エンドでしたけど????」
「四郎兵衛との会話やイベントで委員会とか特訓頑張れ系を選びまくって四郎兵衛のステ底上げされてる+告白イベントは出てないけど実質恋人かなくらいまで好感度上げてる状態で誘い断った時のみのエンド~~~~」
「可愛い笑顔でごり押ししてくるな~~と思ったら何故かどんどんアイツが主人公ちゃんの代わりに答えるようになってって、流石に違和感抱いた主人公ちゃんが問いかけたら明らかに企んでるような顔で人差し指口元に添えてるスチルのヤツとか」
「秘密エンド行ってら。四郎兵衛が天然ほわわんじゃないかも的なレアランダム会話を三回出さないと無理なルートでーす」
「癒しが欲しい……」
「突っ伏してやんの。言っておくけど今回めちゃくちゃ気を使ってマイルド度高めてあんだかんな。それなのに病みルート総なめしてるのはお前の才能だ。誇るが良い」
「要らねえこんな才能!!!!」
「ふははははは酒が美味い」
愉悦愉悦じゃねーーーーーんじゃ!!!!
天女
マイルドとか嘘だろってくらいハピエン以外を網羅した。ぴえん。でもトッモによるバイトはかなり良い報酬なので釣られてしまう。
トッモ
間違いなく愉悦部。通常のデバッグ作業では出ないだろう再現が難しいタイプのバグを大体見つけてくれる+悲鳴が素晴らしいという理由で親友にはバイト代に色を付けて渡している。この金で心を回復させたらまた次も頼むぜ。ふははは。
こんなんだがちゃんとマイルドにしてくれたり拒否権はくれてたりする。なのに病みルート勝手に突っ走ってるのお前だからな。マイルド気遣いはもうやめようかなと考えている。どうせこいつ病みルート行くもん。
性癖に忠実なので範囲外はズバッと切り捨て御免だが、松千代先生は範囲内だった。もじゃもじゃはあんまりだけど恥ずかしがり屋で生徒思いなとこは美味い。
今から怖い書き手
え、一年ってい組四名とろ組四名に加えては組が十一名……???(私が書くのかこれ)(書くとしても何段階かに分けたい)(尚リア充かつトッモの性癖外なしんべヱはセーフ枠とする)
キャプションにおまけあります。




























松千代先生と野村先生までwww 結構見境ないなトッモwww 一年達も病みルートあるのかぁ…主人公ちゃん、どんまい