作兵衛としては、凄く困った。
「あのぅ、食事の時間らしくて」
「来るなア゛!!!!」
「手負いの獣???」
学園長の庵近くにある部屋で事務員仕事をしていたはずの天女は、作兵衛が部屋の戸を開けて声を掛けた瞬間に部屋の隅へと瞬間移動していた。何今の移動速度。目で追えない程の移動速度。全身の毛を逆立てている獣か何かか。迷子探索のプロとして時々生物委員会に助っ人を頼まれた時に見かけるヤツ。
ちなみに天女が何故学園長の庵近くに居るかと言うと、他の部屋が軒並み駄目だったからである。
というのも、
「こんな何をしでかしてくるかわからん教師や忍たま共と同じ屋根の下で寝られるか!!!! 私はもうヘムヘムの背中に住む!!!!!」
「ほんとに何をしたんじゃおぬしら」
「ヘムゥ」
そんな感じで忍たまと同じ屋根の下に寝泊まりするくらいならヘムヘムのノミになる宣言をする程だった。今までの天女と全然違う。普通なら若者の気配が全然ない、加えてそうは見えずとも凄腕である学園長が居る近くなんて避けるだろうに。
だが彼女は学園長の庵の近くを選んだ。基本的にそこで寝泊まりしつつ事務員仕事、という感じらしい。何故事務員室じゃないかと言うと小松田さんへの警戒は勿論、
「その面忘れはせんぞ吉野作造ゥ゛!!!! 自分の事は自分でやれと言ってる内は安全だった!!! 何で好感度上がると人の自由を一から百まで制限してくる゛んだこの野゛郎゛!!!!」
「冤罪です」
「知らん間に私服も私物も何から何までテメェセレクトに変えられた事忘れてねェ゛ゾォ゛!!!!」
「無実です」
「すっとぼけんじゃねエ゛!!! 簪の一つ一つすら手作りでそっくり作り替えて全てをテメェの手が掛かった物にすり替えた上、いやに圧のある顔で元の持ち物は全部燃やした宣言されたの忘゛れ゛て゛ね゛え゛ぞぉ゛……!!」
「あの、先程から喉は大丈夫ですか。こちら蜜を入れた茶なので飲んでください」
「あ、これはありがとうございます新野先生」
「何で私はこれだけ酷い冤罪を掛けられてるのに新野先生は平気なんですか!!」
「うるせえ信頼の差じゃボケナス!!!! 新野先生には何度助けられたか!!!」
「それはそれで身に覚えが無いんですけどねえ」
「新野先生だけずるい!!!」
うん、話を聞いた時はそれ何てカオスと思ったものだ。あまりにも酷い。ちなみに助けられたというのは、他の忍たまや教師に薬を盛られた時に治療してくれたり、食事に何か盛られているのを見かけたら忠告してくれたり、といったものらしい。それは確かに信頼する。そして盛った人間を警戒する。さもありなん。
が、呼びに来た自分にまで叫ばれるとどうしたものか。
忍たまの居る食堂になんざ行けるかと叫ぶ彼女の為に忍たま達が食事を終えた頃、最後に食事した者が呼びに行くというシステム。部屋まで食事を運ぶのは何かが盛られる危険性がある為天女が拒否したらしい。言動からして何度か盛られた実績があるのだろう。
「えーと……私は怖い者ではありませんよ。富松作兵衛と言いまして」
「知ってるに決まってんだろうがすっとこどっこい!!! テメェに自尊心へし折られた事忘れはしねえし許しもしねえ゛!!!!」
「じ、自尊心??」
どうしたら良いんだ。俺はここでどうすべきなんだ。あまりにも見知らぬ冤罪過ぎる。初めて行った店で食い逃げ犯と間違われたくらいには交通事故。
「折った覚えがありやせんが……」
「こっちにゃ折られた覚えがあるんじゃ小僧!!! 小6の歳でも許゛さ゛ん゛!!! 最初は髪の毛ちょっと跳ねてますよとか襟のとこ着崩れてますよとかだったのが気付けば顔合わせる度にどこそこがどうだのこうだのと姑以上に喧しいん゛じゃ!!!」
「知りません存じません!!」
「うるせえお陰で心折れたわ!!! 自分で自分の事を何一つとして出来ないような出来損ないなんだと思い込む羽目になった事は忘れんぞ!!! お前本当に忘れねえ゛からなそれはそれとして近寄るな゛あ゛!!!!!」
天女に対象外として邪険な扱いされる事はあっても、ここまで本気の警戒されるのは初めて過ぎる。一体どうすればいいのやら。
「ほーら食堂行きますよー」
「フシャアアア゛アアア゛!!!」
「うーん。完全に手負い」
困ったね、と孫兵はジュンコに話しかけた。ジュンコも困った様子でため息を吐いている。
「すまん孫兵。俺にはどうにも出来なかった。かといってあんな様子で食わねえままなのも体に悪いだろうし、手負いの動物も相手する事が多いだろう孫兵に頼むしかねえんだ」
「飼ってるペットたちが迷子になる度にお世話になってるからそれは別に良いけど……」
そう思って快諾したが、まさかここまで本気に威嚇してくるとは思わなかった。しかも動物ならこちらから心を開けば傷付けた人間とは違う人間とわかってくれるけど、相手は人間。心を開いても効果があるかどうか。何なら別の時空とはいえ向こうからすればこちらは加害者本人のようだし。困った。
「食べないと体力持ちませんよ」
「だろうなあ゛!!!! テメェにバラされてテメェのペットの餌にされた事忘れてねえぞ!!! 好感度上げてまともに会話出来るようになったと思ったらいきなりバラされたのは忘れん!!! しかもこうすれば一緒に居られるし皆とも一緒とか意味の解らんふざけた事を言って餌にしやがって!!!! 虫がウゾウゾと私だったパーツに群がって皮膚食いちぎって肉をじみじみ千切る感触のおぞましさよ!!!!」
「しませんよそんな事。人間の肉なんて食べさせて病気になったらどうするんですか」
「………………」
うわあ、酷い疑いの目。
しかし叫ぶのではなく疑いの目になったという事は、信じて良いとは思わないけど警戒する程の脅威ではないな、と思われた証拠。獣は大体そういうものだ。
「僕の最愛はペットたちです。嫌いなものは僕のペットを傷付ける者です。貴女が僕のペット達を故意に踏み潰そうとしたり殺虫剤を撒こうとしたり虫かごごと燃やそうとしたりしない限り、こちらから敵意を向ける事はありません」
「ジュンコを見過ぎてたって理由で人の目ん玉くり抜いたりは」
「しません。ジュンコが人の目を奪う程可愛いのは自然の理です」
「きっと虫と仲良く出来ますよと無理矢理連行する気は」
「ありません。虫達に怪我させる可能性を考えれば近付いて欲しくないので」
虫にぎゃあぎゃあ騒ぐ癖に生物委員会で世話している虫達に会いたいと騒いで孫兵らが大事に愛している彼ら彼女らの心を掻き乱す天女は多かった。向こうからお断りならこちらも助かる。
「…………」
天女はまだこちらを疑いの目で見ている。だが先程に比べて警戒は薄い。あと一歩、彼女にとって有害ではない存在だと告げる事が出来ればいけそうだ。
「…………好感度上げた結果手足捥いで皮膚剥いで目玉も耳も削いで喉潰した挙句、もう人としての形を保ってないから僕のペットとして生きるしかありませんねとかほざかねえだろうなぁ゛……!!」
「誰が言うんですかそんなこと。好きになったなら一緒に居たいとは思うでしょうが、流石にそこまではしません。そもそも人間の形を保ってないなら良いっていうのもおかしいじゃないですか。幾ら虫が好きだからって好きな人を虫に寄せる気は無いですよ」
まあ自分がジュンコに寄せていくのは全然有りだが、それを強要する気は無い。というか寄せたところで結局人だし。その人を好きになったなら人であるその人を好きになったんだろうからわざわざ加工する意味もあるまい。
「…………人に毒を盛って精神的に崩壊させた後にどっから持って来たかわからん女の手足縫い付けて手足総合八本にして愛でるとかも……」
「されたんですか?」
「されたんだよテメェに゛!!!!」
「する気無いです。幾らその人を好きになったからといって、人の手足を増やしたところでマリーの美しい手足には敵わないし、人の手足を捥いだところでジュンコのしなやかな体にも敵いません。そう、この美しく無駄のない体はジュンコだからこそ、蛇だからこそ……! 人間を加工したところでまがい物でしかないのに……!!」
シャーと鳴いているジュンコに頬擦りしながらうふふと微笑む。今日も綺麗だよジュンコ。どれだけ人間が猿真似をしたところで決して敵うはずもない程に素敵だ。
「…………」
「お」
天女が部屋の隅で中腰になりながら威嚇していた体勢を解除し、まだ少し腰が引けているもののこちらに来た。
「……お前がペット好きなのは筋金入りでそこだけは世界がどうなろうと不変だってわかってるから信じるけどさあ……出来れば顔合わせたくないっていうか……」
「あ、じゃあ麻袋被りましょうか」
「お前が被るの??」
「顔が良いから人攫い避けで」
「自分で言うかコイツ」
人攫い避けというか天女避けだ。顔が良い生徒は狙われやすく、狙われにくい下級生の中でも孫兵は狙われがちだった。その対処としての麻袋である。毒虫を咄嗟に捕獲する時にもお役立ち。ちゃんと向こう側が見える仕様になっているので問題も無い。
「さ、これで顔は見えないでしょう。僕は今通りすがりの三年生Mです」
「……確かに、これなら大分マシかな。うん、それじゃあ周囲に忍たま居ないかどうかの確認+食堂までの動線確保ヨロシク。ジュンコもお世話掛けます」
ジュンコにもきちんと挨拶する辺り、根は良い人らしい。
そんなわけで話し合いさえ出来れば大丈夫かと思ったのだが、
「寄るな予習小僧!!!! 手裏剣の予習に巻き込まれたと思ったら手からすっぽ抜けた手裏剣が頭部に貫通した事は忘れ゛ねぞオ゛!!! 好感度上がったら上がったで予習予習とうるっせえんじゃ初夜の予習だのほざいて付き合ってもねえのに夜這いし掛けやがったクソ野郎がア゛!!!」
「いや幾ら何でもそこまで実践的な予習はしませんて」
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛迷子退散迷子退散迷子退散!!! 敵意も好意も須らく迷子野郎!!! 迷子の巻き添え食らって置いてけぼりにされて遭難したまま白骨化したのは忘れねえ!!! 何故か漂着した無人島でポコスカ産まされたのも忘れねえ゛!!! 何なら意味の解らん超ホラー空間に連れてかれ゛た゛のも忘れねえ゛か゛ら゛な゛!!!!」
「まったく身に覚えが無いんだけどなあ」
「出やがったな迷子その2!!! 素直かと思ってた!!! 素直かと思ってたのに!!! 全ての言葉を鵜呑みにしてたら知らない間に外堀埋めやがって兵法がどうだの知るかあ゛!!! 進退がどうのとか言って夜這い掛けて来たのも許せんがその後どれだけ逃げてもどんな空間にも鉢合わせた恐怖は忘れねえぞそれ以上近付いたら石投げるぞオ゛!!!」
「うむむ……! 天女様が知っている僕の方が賢そうなのは何故だ!」
「見えてんぞ見えてんだぞ寄るな来るな三反田数馬ぁ゛……!! お前基本的には完全に空気で顔を合わせる事すらなく関わり皆無で終わる癖にうっかり遭遇したが最後みてぇな状況に持って行きやがってェ゛!!! テメェ゛に依存された回数も存在確認させられた回数も数知れず!!!! 逃げた先で背後に居た恐怖忘れられねえんだぞコンチクショーーーーーーーッッッ゛ッ゛!!!」
「存在を認識されていて嬉しいやら悲しいやら……」
「テメェもだ富松作兵衛他人事みてぇ゛な顔しやがって!!! 今後も一緒に居る約束ですよ迷子にならないようにとか言ってミサンガ持って来た時点では可愛かったのに!!! 可愛かったのに!!!! 赤毛だの赤縄がどうだの言って行く先々で他人との会話に割り込んでくる恐怖!!!! 何だよ髪の毛練り込んだミサンガって!!!! 委員会で手先使う事が多いとか言ってる時はまだ平和だったのに゛!!!!」
「ほ、本当に身に覚えがねえ……!!」
「うーん」
麻袋を被ったままの姿で天女に盾扱いされながら、孫兵は首を傾げた。
「駄目そうだね?」
「人に興味皆無なオメェですら麻袋被らねえと駄目なのに俺達が真正面から会話試みてどうにかなるわけねえだろうが!!」
作兵衛の言葉がもっともだったので、おお、と孫兵は手を叩いた。それもそっか。
天女
三年生からすら被害に遭った事があるらしい。
三年生
めっちゃ警戒された。先輩方に比べて殺しがどうのとは言われなかったものの冤罪が酷い。
吉野先生
忍たまや小松田くん目当てで天女に猫なで声を使われる事こそあれど、喉が裂けんばかりの威嚇声を出されたのは初めて。つらい。
新野先生
天女から信頼されているので困った事はないか聞く相談役ポジション。
学園長
天女から信頼されているので天女の見張り兼忍たまが何かしでかそうとしてもすぐわかるぞという(天女のメンタル用)安全バー役。
ヘムヘム
危うく背中に住まれるところだった。
シリーズ化した書き手
夏は納豆とめかぶととろろと卵豆腐を混ぜたものをめんつゆに薬味扱いでぶち込んで冷やしそうめんを啜りがち。
エンド画面を見届け、セーブし、フゥとため息を一つ。
「オメェはよォ!!!!!」
「うわビックリした何急に。セミファイナルかよ」
「お前のせいでメンタルごりっごりに削られまくってHPマイナスみてーなもんだわほぼセミファイナルよこっちゃ!!!」
「ウケる」
「ウケんな!!!!」
ほんっとーにイイ趣味しやがってよ!!!
「十二歳って言ったじゃん!! 十二歳って言ったじゃん!!!」
「言ったよ。十二歳だったっしょ」
「十二歳なだけじゃあん!!!」
酷い! 詐欺だ!! 詐欺に遭った!!!
「十二歳の子達だからマイルドにするって言ってたのに!!!」
「マイルドだったじゃん。好感度マイナスになる事による疑いからの殺害コース無しにしたんだから」
「今までのはエスプレッソ。私が期待してたのはカプチーノ。お前が出したのはブラックコーヒーだ」
「んはは」
「んははじゃねーしぃ!!!」
本当にこのトッモはよお!!!
「どいつもこいつも素直な良い子だと思って油断した……くそう……」
「ちゃんとハピエンも友情エンドもあるっつってんじゃん。手数と言えばのこの私だよん」
「バドエンの手数が問題なんだよなあ!!!」
「だっはっは。一緒くたにすんなよバドエンと病みエンだ」
「実質同じじゃろがい!!! 何なんだよ練習中の手からすっぽ抜けて手裏剣が頭にぶっ刺さってピューッて血が出るスチルのエンドは!!」
「ああ、予習注意手裏剣編エンドね」
やっぱあれシリーズだったか。吹き矢編とか手料理編とかあるから嫌な予感はしてた。
「やっぱ藤内は予習が個性だからさあ」
「知らねえよ」
「ただ流石に六人+ゲストは数がキツいから若様は出せなかったや。ごめんね」
「知らねえんだよ若様をよ」
誰だよ若様。私の脳裏には余の顔を見忘れたかの人とこの桜吹雪が目に入らねえかの人と婿殿と叫ばれる人の三人が浮かんでいた。三人中二人が同一人物なんだよなあ。あの人とサンバが同一人物なのバグだろ。
「予習予習とうるっさいし何なんだ浦風藤内……予習しかないのかお前……」
「ないよ」
「断言してやるなよ可哀想じゃん。未来も夢も膨らみまくりのお歳なのに予習で未来を囲わないでやって」
「公式でそうだもん」
「公式で……?」
公式でキスの予習とか言って許可無く唇奪ったりお出かけに誘って来たと思ったらデートの予習だったりするの?? アイツ予習はまず予定通りにやらなくちゃとかいって格好良く団子を注文する予定だったのに団子が売り切れってだけで主人公ちゃんを片道一時間の方の団子屋まで連行してく男よ???
「しかも夜這いの予習とか言って恋人でもねえ男がのしかかってるのはアウトでしょ。十二歳を何だと思ってんの」
「左上に押し倒されているとわかる主人公の手をカットインさせ、暗い室内の中で見下ろしているのを下から見上げるアングル……我ながら良い出来のスチルだった」
「文才も画力も発想力もあるのは良い事だけど夜這いをさせるな」
「ここからは成人向けで~~~すみたいなとこは完全カットで暗転させてのエンド名表示だから全年齢じゃん。流石にエロまで書くと成人向けになるし、エロってシチュがそこまで浮かばないし、その分に回す脳の容量を省く事で大量生産分の余力に使えるっていうのがね??」
「聞いてねーんだわそういう事を!!!」
投げたクッションは再び北斗神拳で返された。おのれ。
「予習だなんだ言ってちゃんとしたデートだとわくわくしてた主人公ちゃん悲しませやがって!!!」
「だーからちゃんとその後本命のデートイベントあんじゃん。お前にガッカリさせたくないから完璧に予習を終わらせたんだ、って微笑む藤内のイベントはしっかりハニトー級の糖度ですわよ」
「なにそれ」
「あれ?? あれあれ??? もしや??? 到達???? してない????」
「ニヤニヤ顔で覗き込むのやめんかいそうだよ見れてねえよ!!!」
「んぶぐははははは」
ひっでぇ笑い方で笑い転げられた。ぐぬぬ。
「寧ろデートの予習イベント行っててどうやってこのイベント見ないで居られるのかわからん。ウケる」
「到達出来ないようバグ出てるって絶対。プログラムおかしいって絶対」
「あ、さては予習からの本命デートまでの間に他のキャラと出かけたりしてる?」
「学園長にお使い頼まれたり、買い出し誘われたり、町に繰り出した迷子を探したりなら」
「それ~~~~~~~~」
げっらげら笑われた。
「予習からの本命デートイベまでに他のキャラとお出かけしたりすると病みルート入りま~~~す」
「いや違うって絶対おかしいってランダム設定狂ってるって」
「残念ながら確認しても確率はちゃーんと合ってるんだよなあ。つまりお前の運が病みルートを引き寄せてる。病み集めなハーメルンの笛吹き女」
「誰がネズミならぬ病みを集める笛吹きだ!!」
ネズミという名の病みを沈めるどころか沈められとんじゃい!!!
「作兵衛は~? 男前な頼もしイベント目白押しにしてあるよん。頼れる背中を複数ご用意してみました」
「アイツ人の不注意を教えてくれる良いヤツかと思ったらそのせいで主人公ちゃん病んだ許さん」
「んはははは」
「アイツが!! アイツのせいで!! アイツがいちいち細かいところに気付くし段々とエスカレートしていって少しの髪の乱れすら指摘してきて手ずから整えてきてさあ!!!! 主人公ちゃんがさあ!!!!」
「備品の私エンド行っててウケる」
「ウケねんだわ!!!」
心に傷負ってんだよこっちはよ!!!
「というかアレはさあ、好きな子の事だから気付ける作兵衛が主人公ちゃんに触れたいけど中々出来なくて、せめてもの接触理由を見つけて、っていう甘酸っぱいイベントなのよ」
「嘘吐け主人公ちゃんがメンタル病んで身嗜み整えられなくなっていって毎朝作兵衛に全身の身嗜み任せるようになってたぞ」
「は~~~~い超レアランダムイベ必須のルートで~~~~す。自室の文箱に親からの手紙入ってるけど基本二種類、+超レアなお前は何も出来ないんだから何もかもを親の言う通りにしなさい系毒親一種類。その毒親版な手紙を読まないと絶対行けないルートっていうね」
「そんなはずは!!! その手紙しか見た事無いのに!!!!」
「プログラム的に問題皆無なのにあんたがプレイするデータだけ乱数バグってんの??」
「いっそバグってて欲しいくらいには病んでたわい!!」
「親にいーっつもお前は何も出来ないんだからって言われてたのを思い出して身嗜み整えられなくなった主人公ちゃん、それを見て事情を聞いて自分のせいでそんな状態にしちまったなら責任取らねえととなる作兵衛、そんな作兵衛にお世話してもらうのを申し訳ないと思いながらまるで用具委員会が扱う備品みたいと自嘲する主人公ちゃん……これがエモです」
「これがエグの間違いだろ」
エモーショナルが無いんだよエグみしかないんだよ灰汁を取れ。
「てかそんな説明あった??」
「あー、作兵衛あのルートだとあんま喋らないしね。エンドスチル確認出来るとこで解説入れてあるのよん」
「あのトラウマルームか」
「病みエンド殆ど踏みまくってるもんねえ」
「今回ハピエン殆ど行けなくて難易度最悪」
「前よりイージーにしてあるはずなんだよなあ」
それなら何で何十回も絶望を見せられとんねん。教えてお爺さん。教えてアルムのもみの木よ。
「伊賀崎孫兵もさあ、何なの。直接的に顔の事言ったらまた変なルート行くかなと思ってジュンコ関係の話題選択しまくってたら僕からジュンコを奪おうなんてとか言って目玉くり抜かれたのマジ許さん」
「それ孫兵が相当機嫌悪い特殊会話時のみに発生するエンドなんだけどなあ」
「手足も目も耳も皮膚も削がれて百鬼丸スタート地点みたいな状態にさせられたり」
「良いよねどろろ。でもアレ相当に好感度と病み度を上げる+特定イベント三つこなさないと駄目なんよ」
「毒盛られて心神喪失状態な上にどっから持って来たかわからん女の手足繋げられて作り物の蜘蛛女にされるヤツとか」
「僕だけの蜘蛛エンド行ったかあ。ランダム会話で蜘蛛の話題が出て来た時に蜘蛛を褒めたり蜘蛛に憧れるとかの選択肢選ばないと行けないルートなんだよなあ」
「ひたすら恍惚とした顔を強調しやがってよぉ……! 最早あの顔見るだけでヒエッてなるわ」
「イケメン過ぎて?」
「トラウマに限りなく近い反応ですけど!!??」
あんだけ顔良いんだからダウンロードコンテンツとかにすれば良いって絶対。そうすれば私は逃げられたかもしれない。くそう。
「迷子組は?」
「巻き添え迷子で置いてけぼり食らって白骨化」
「はーいバドエン~」
「巻き添え迷子で何故か無人島漂着して子沢山エンド」
「三之助のアレかあ。あれ普通にプレイしてれば作兵衛との会話で救出フラグ立つんだけど」
「……直前で作兵衛のミサンガエンド行ったから避けてた」
「作兵衛の赤毛で作った赤縄のアレかあ。そのイベント発生すると確定赤縄エンドなんだよね」
「言っとくけど無自覚迷子野郎のせいでトラウマホラー空間強制されたのも忘れてねえから」
「忍たま長屋と食堂と町でそれぞれ怪異話を聞くイベント起こらないと発生しないんだよなあ。レアイベントだから超気合い入れて描写したし背景とかもめーっちゃ頑張りました。どだった?」
「しばらくお泊まりするから」
「一人で寝れなくなってんのウケる」
「夜廻りみたいな雰囲気と絵柄のやべーヤツらが常識を侵食するかの如くじわじわ背景に滲んだり消えたりした挙句に突然の化け物に食われ、ドコカ、とかいう文字が浮かび、セーブして……からの上から超怖い化け物が一瞬振って来る仕様やめろや!!! 夜中に本気でエーンて泣いたわ!!!」
「かわいそ」
「顔がかわいそがってないんだよなあ」
何だよそのにまにま顔は。バスローブ姿で優雅にソファに腰掛けながらワイングラス揺らしてるような顔しやがってよ。
「左門は?」
「アイツ嫌い」
「あっれー。男前パート2のめちゃくちゃ胸キュンイベント多めにしたのに」
「外堀埋め名人がよ」
「ああ、知らない間に周囲に僕の恋人だ宣言してて勝手に祝言の日まで決められてるエンド?」
「隈野郎は嫌だけど上司に直訴が大事と思って根も葉もない噂に超困ってますと苦情入れたら翌日には隈野郎から恥ずかしさのあまりそういった言い方をするのはよくないなとか言われたし、早めに形式だけでもやった方が良いだろうとか言って式挙げられたエンド」
「紋付き袴の左門が白無垢姿の主人公ちゃんの手を取って笑ってるエンド行ったかあ。文次郎に相談しなきゃ入れないルートなんだけどなあ。でもスチルは綺麗だったっしょ」
「ふわふわほわほわ綺麗なスチルで状況との差が酷過ぎてグッピー死ぬわと思ってたら急に全体が赤黒い色合いに変化するし目ぇ見開いてるし台詞が赤文字になってもうどこにも行かせないとか言って来たの最悪」
「わあ。主人公ちゃんが地元に婚約者居るって会話作兵衛とした?」
「したけど」
「はーい超レアランダム会話でーす。その会話をした上で特定のルートへ行くと特殊スチルと会話が見れまーす」
「要らないそんなランダム封入特典なんて!!!!」
「流石ランダム系は必ずシークレット当てる女」
「お前に出品サイトで意味わからん値段がつけられてるシークレットを初手で当ててしまって盗人が入らないか怯える私の気持ちがわかるものか」
「だからって私のとこに置いてくのもどうかと思う」
良いじゃん別にきちんとトレードだったろ。私は推しキャラ一人狙いで一つを引いたのにゲロ吐きそうな程シークレットなヤツが出るんだぞ。泣きの一回でもう一度やるとまた別のシークレットが出たりするんだぞ。でも推しじゃないの。三等の米が欲しかったのに一等のハワイ旅行が当たっても困るんだぞ。
「あとの数馬はさー、特定イベントで出すかランダム遭遇で出すかしかないんだよねー。それやんないと話題に出る事はあってもずーっと出ない。ランダム過ぎるとアレかなと思って特定イベントさえやれば出せるようにしてあるけど、どう? 数馬出て来た?」
「アイツ出て来ると確定でアイツのルート行くから嫌です」
「お゛ははは」
「もう嫌だ!! 五回に三回アイツが来る!!! そしてアイツが出て来ると確定でアイツのルートだ!!! 僕の事が見えるんですねとか覚えててくれたんですねとか言って場所移動する度に声掛けてくんの何!!?? 見えると言えば依存されるし見えないと言えば病まれる!!! 地雷やめろ!!!」
「あれ三十秒放置するとフラグ全消滅になって再び最初からをプレイするまでその周回では出て来なくなるんだよなあ」
「もっと早く知りたかった」
「貴女が僕に気付いてくれるから僕もちょっと自信がついてきたんです、とかの胸キュンイベントあったっしょー?」
「貴女が僕に気付いてくれるから僕の世界は貴女だけで良いんですエンドしかありませんでしたが」
「爆笑&爆笑」
「お前のハーゲンダッツ食ってやる!!!」
トッモの家の冷凍庫からハーゲンダッツのクリスピーサンドキャラメル味を強奪した。これだけ高級で美味くて甘いご馳走でも強奪しなきゃやってらんねーぜ。トッモはこちらの嘆きを見て愉悦に浸ってるから適切な対価です。バイト代以外にもこのくらいのオマケは妥当じゃい。
「てか特定イベントって何? アイツ毎回どっかから出て来るじゃん」
「三年生との会話で三反田数馬って名前が出てから保健室行けば会えるのが特定イベント」
「知らないイベントですね」
「ウケる」
「ウケねんだわ」
「ちなみにだけどランダム遭遇で出会った場合は当然病みルートに行きやすくなりまーす」
「もーやだ」
ハーゲンダッツのクリスピーサンドだけじゃ足りん。鳥貴族じゃ。鳥貴族を持てい。
「鳥貴族のいちごミルクとハツと砂肝とやげん軟骨と山芋焼きでしか癒せない心がある」
「結構色々頼む気過ぎる。あといちごミルクメニューから消えたらしいよ」
「は??? いちごミルクの理想を体現したかのような味の激ウマが??? 鳥貴族行きたい理由の三分の一くらい担ってるのに???」
「メシウマ」
「人を肴にすんな焼き鳥食え焼き鳥!!!!」
何で望んだハッピーエンドがことごとくどっか行くんじゃ!!!
天女
とても辛い。ひいん。三年生は全方位敵しか居ねえ。好感度上げる方がアウトなのでひたすら威嚇した。
しかしそれぞれの特徴はしっかり出てる為、孫兵の動物愛は間違いないものというのは把握してる。スチルで顔面に気合い入れて書かれてたもんだから孫兵の顔面は苦手なものの、麻袋で隠されてれば手を繋いで一緒に歩くくらいは出来る。お互い手を握るタイプじゃないので特にやらないけど。
彼女のトラウマやらは全てトッモ次第。トッモ的に性癖外だったキャラは名前のあるモブキャラくらいの扱いだった為、非攻略キャラにしか心を開けない。
トッモ
愉悦部以外の何者でもない。でもちゃんとハピエンとか胸キュン多めにしたのは本当。親友が地雷しか踏まなくてウケる。
幸いな事にNTR趣味は皆無な為、既婚者は非攻略キャラ。病みが好きなのは一途が好きだからなんだわ。既婚者が主人公ちゃんに惚れて駆け落ちとかやらせるわけねえ~~~~あり得ねえ~~~~私が推すのはそんな姿じゃねえ~~~~~妻をこそ最愛であり続けろ既婚者~~~~~~~!!!!
悲しい書き手
書いてたら勝手に文字数多くなりました。その内また鳥貴族行きたいなーとか現実逃避しながら天女に言わせました。あれいちごミルクじゃない名前だったっけ? ちゃんとした名前で書いた方が良いかな? と思って検索したら終了のお知らせ出てて遠い目になりました。いやこれは私が知らんかっただけとはいえ、言わせたそばからお前……ほんとにそういう運無いのなお前……。
キャプションにおまけあります。



























孫兵の「ダメみたいだね?」がどこまでも他人事みたいな感じの態度で本当に好きすぎる…これを麻袋被りながら言ってると思うとますます笑いが止まりませんわ😂