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最終章その1 聖女の選択

柏木しおん柏木しおん

イタズラ好きな女神リーベスクヒルフェの思い付きで、洗礼式直前の7歳のフェルディナンドは20年先までの記憶と知識、そしてシュタープと完全版メス書まで与えられました。これはその後のお話です。 時かけ途中の”本家”ロゼマちゃんは、女神様からたいへんな選択を迫られます。ロゼマちゃん、どうする? いろいろ捏造あり、原作との違いもあると存じますが、どうかお見逃し下さいm(_ _)m。

[i:※今回はこれまで以上に捏造超過多、および都合の良い超安易な設定に溢れておりますが、どうか突っ込みはご容赦下さいまし(^_^;。それよりも、フェルマイのお二方の幸せな行く末をお楽しみいただければ、と存じますm(_ _)m 。※]

<時駆け中(アウブアレキサンドリアの)ローゼマイン(フェル様洗礼式直前)>
小さなフェルディナンド様を乗せた馬車の姿が視界から消える。

……うぅ…………。

これからフェルディナンド様には生きるか死ぬかの過酷な毎日が待っている。本当ならフェルディナンド様をそんな立場に放り込みたくない、可能ならばあのカーオサイファを排除したい……はっきり言って今の私の能力ならば排除出来る。しかし、それをやってはいけないのだ。心が引き裂かれる様に辛く、そして悔しい。

フェルディナンド様、ごめんなさい、ごめんなさい……。

心の中で何度も何度もフェルディナンド様に謝罪を繰り返す。益体も無い事なのだけれど、止める事が出来ない。そんな事をしていると、私の身体が光に包まれた。そうか……ここでの私の役割は終わったんだな。

『マイン、お疲れ様でした。』

女神ドレッファングーア様のお声が聞こえた。次はどこに飛ばされるのだろう、と思わず身構えてしまう。すると、女神様は意外な事をおっしゃった。

『実はマイン、少々事情が変わったのよ。』

事情が変わった?もしかして、私が何かやらかした?歴史は変えていないと思うのだけれど、まさかフェルディナンド様の糸が修復不可能に!?

『いえ、マインのせいではないわ。やらかしたのは、うちのリーベスクヒルフェとヴェントゥヒーテよ。』
『またフェルディナンド様の糸を切ったのですか?』

ついつい声が尖る。ところが、

『逆よ。マインの開発した”コピーしてぺったん”を利用して、もう一枚布を複製して……』

ちょ、ちょっと待って!女神様の織布も複製できちゃうの?さすがの私もそこまで考えなかったわ……。

『複製布の方の幼いクインタに、ちょ~~っと手を加えたのよね。』

え!?何それ!?魔力を奪うとか、みにくい容姿にしちゃうとか、頭を悪くしちゃうとか……まさか、性別を変えちゃうとか……?

『マインったら何、変な事想像してるのよ?彼女達、そこまでの事はやっていないわ。もちろん、複製なんて事、今まで出来るなんて誰も考えていなかったし、どう考えてもそんな事許されないと思うわよね。だから本来ならそんな複製布は廃棄すべきなのよ。ただ、その複製布が捨て難い程の良い出来になっちゃってね。それで、女神仲間の間で今論争が巻き起こっているのよ。』
『論争ですか?』

うわぁ、嫌な予感。女神様達の困り事に、人である私を巻き込まないで欲しいんですけど……。

『複製布を廃棄すべきか否か、というか、今後織り続ける布をどちらにするかの論争に決着がつかないのよ。それでね、こうなったら”コピーしてぺったん”の開発者であるマインに選んで貰おうという事になったの!!これまで通りの織布にするか、複製布の方にするかを!』

え~~~~~~!?ユルゲンシュミットの運命が私の選択一つで変わるの!?それ、とんでもなく責任重大じゃん!!!そんな選択を[[emphasismark:しがない人間 > ・]]がしちゃって良いの?というか、女神様達、責任を私に押し付けないでよ!!私は文章や魔法陣の複写のために”コピーしてぺったん”を使い始めたのであって、まさか織布の複製なんて考えもしていなかったんだよ!!

『うん、マインが狼狽するのも解る。でも[b:今更]だわ。マイン、これまでもこの世界の運命にいろいろ関わって来たじゃないの。そのついでだと思えば、気も楽でしょう?』

そんな事聞いたって[b:全く]気が楽にならないよ……。でも、断り切れ無さそうだよね。いや、待って待って。わざわざ布を選ばなくても良いんじゃない?

『ちなみに、このまま二枚同時に織っていく訳にはいかないのですか?』
『そうは行かないよの。光の女神様に複製布を作った件でずいぶんと叱られちゃった上、もうすぐ複製布と本来の織布の時が重なるから、織布を一枚に戻さなくてはならないって厳命されちゃってね。』

だめか~~~~~……。うぅぅぅぅぅ……仕方ない、腹をくくるしかないかぁ。

『わかりました、女神様。ひっじょうに気は進みませんが、どちらかを選ぼうと思います。で、元の織布と複製布の違いを教えていただけますか?』
『そうね。織布の違いがわからないとどちらが良いかなんて判断出来ないものね。
では、あなたにとってはよろしくない点から説明するわね。まず、複製布だと下町のご家族との縁は切れてしまうわ。』
『え!?それは……両親や姉弟が処分されてしまう、という事ですか?』
『違う違う!下町のご家族は皆さんご無事で安全に暮らしていらっしゃるわ!でもね、あなたとは別人になってしまうのよ。つまり、親子・家族とはならないの。マインは別のご両親の子となるわ。』
『そ、そうなんですか!?父さんや母さん、トゥーリやカミルとは家族じゃなくなるんですか………。』

………それはかなり寂しいな。たとえ会えなくても、下町に家族がいる、と思うだけで心が温まっていたからね。

『もう一つ。アレキサンドリア建領は無いの。』
『えぇぇぇえ!?では……もしかして、わたくしはエーレンフェストではない場所で生を受け、フェルディナンド様と出会わぬ人生を送るのですか?』

それは辛い……そんな人生、絶対に嫌だよう……。絶対、元の職布の方が良いよね。

『マイン、おかしな方向に思考を持って行かないで!!そして結論は急がないで!
次に複製布で良かった点を述べるわよ。よっく聞いてちょうだい!まず、中央で政変が起こらなかったの。そして、メスティオノーラの書を持つ正式なツェントが誕生したのよ!!』

それは凄い!という事はつまり……

『そう!図書館の司書の皆さんを含む貴族の大粛清は起こらなかったし、国の礎の枯渇の危険も無くなったし、シュタープ取得の時期を早めるなどという事も起こらなかったのよ。素晴らしいでしょう!!』

確かにそれは素晴らしい……けれど……ちょっと懸念事項があるよ。

『女神様、もしかして正式なツェントってフェルディナンド様なのではないですか?』
『いえいえ違うわ。元の織布では兄に暗殺されてしまったワルディフリード第二王子よ。』

という事は、エグランティーヌ様の悲劇は起こらないのね。そして、金粉王子は次期ツェントではなく単なる傍系王族。それは良いかも!

『そしてね!マインが一番気になっているクインタだけど、洗礼式直後からヴェローニカをやり込め、貴族院入学よりもかなり前に自力で排除したのよ!』
『え!?では、毒などで酷い目に遭わなかったのですか?』
『もちろん、一度も被害に遭わなかったわ。その上早くに領主一族の一人として受け入れられ、家族として愛され、幸せな子供時代を送ったのよ。貴族院に入学する時には、ちゃんと素敵な刺繡入りのマントを身に付けていたわ!』

うわぁ!信じられない!でも、あのカーオサイファが居なかったので、フェルディナンド様はちゃんとアーデルベルトお父様とまともな親子として触れ合う事が出来て、ちゃんとした親子の絆を結ぶ事が出来たのね!

『という事で、マイン、どちらが良いかしら?』

複製布を選ぶと下町の家族と縁が無くなる、そしてアレキサンドリアを得られない。さらに私とフェルディナンド様が出会えない可能性もある。
その代わり、ユルゲンシュミットを破滅寸前に追い込んだ政変は起きない。そして、

フェルディナンド様には[b:幸せな子供時代]が齎された!!

これ、決まりよね!!

『たとえ私、フェルディナンド様と出会えなくてもよいです!彼の、あの凄まじい悪意に晒され、苦しみに満ちた子供時代が無くなる方が絶対に良いです!!

[b:複製布を選びます
!!]』

『やった!!マイン、ありがとう♪』

あら、ドレッファングーア様の声が弾んでる。そっか、この女神様、複製布を選んで欲しかったのね。

『そうそうマイン、一番大切な事を説明していなかったわね。複製布でも、あなたとクインタは結ばれるわよ!安心して。それにね、元の職布と違いあなたは他の誰とも婚約はせずに済むわ。ずっとフェルマイよ!!』

本当!?私、フェルディナンド様を諦めなくて良いのね!!……嬉しい……なんだか涙が出て来た……

☆☆☆

私の身体が再び光に包まれた。そして、私の記憶がどんどん塗り替えられて行く。

私の家族は……
両親は………カルステッドとエルヴィーラ。
きょうだいは………エックハルト、ランプレヒト、コルネリウス。
そして、領主一族の親戚の方々……ボニファティウスお祖父様と、アーデルベルト大叔父様。
ゲオルギーネ養母様。ラファエル養父様。ジルヴェスター義叔父様、

そして……

幼い子供の時からいつも優しく見守ってくれている、将来の旦那様のフェルディナンド様!!

そして、
貴族院で、いつも絶妙なタイミングで声を掛けてくれるツェント・ワルディフリード。
私の大切な専属職人、トゥーリ渾身の髪飾りで恋を実らせたアナスタージウス王子とエグランティーヌ王女。
私に無理な婚約を迫ったダンケルフェルガー、でも魔力量の違いで叩きのめした!
次期アウブエーレンフェストの婿の座を狙っていたキモ王子は、幻影に騙されてインメルディンクに婿入り!!ざまーみろ!!
そしてアーレンスバッハは外患誘致で廃領となり、エーレンフェストは海をゲット!!

私の麗乃の知識とアーレンスバッハから奪取した海があれば、領地順位1位も夢ではない!

次期アウブエーレンフェストとして、私、がんばる!!

<女神達>
「ヴェントゥヒーテ、何泣いているのよ?」
「そんなリーベスクヒルフェだって、目が真っ赤じゃない!」
「だって……マインがあまりに健気なんだもの。自分の幸せを捨ててもクインタの幸せを願うなんて。」
「『複製布を作るなんて邪道、元の織布を使うべき!』と取り付く島の無かったゲボルトヌーンも、『クインタが幸せになるなんて許せない!』と言い張っていたメスティオノーラも、あのマインのひと言で意見を変えたものね。こんなに感動したのは何千年ぶりかしら?」
「そうよね。きっと光の女神様も満足なさるに違いないわ。」
「それに布を見てちょうだい!」
「はぁ……なんて美しい……。」
「マインの優しい心が布に表れたのかもしれないわ……。」

☆☆☆

「おやおや、クインタったら始まりの庭に無理矢理突入したのね。」
「相変わらずよね、クインタは。マインの事となると、冷静さを失うんだから。」
「でも、もうすぐマインは始まりの庭に戻されるのでしょう?それなら、二人の感動再会シーンを堪能出来るわね!」
「うふふ、絶対に見逃せないわ!!」
「あら?あちらでブルーアンファとエフロレルーメが張り切って舞っているわよ。まぁ、シュテルラートまで踊っているわ……。」
「これから最高潮のフェルマイが見られるのだもの!皆、我慢出来なくなったのでしょう。さぁ、私達も楽しみましょう♪」

— End —

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Sakuria
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