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萩原家長男の日常 Part5

ライムライム

注意 捏造過多 口調迷子 時系列迷子 ネタ切れです。なのでちょっと《if》Part書いていこうかなーとは思っている。 ワンチャン《if》Part書いたら思いつくかもだけど、まぁネタが出てくるまでは《if》Part書いていきますかね。 《if》なのに本編より多くなるかもしれないとはこれ如何に……。 感想【https://marshmallow-qa.com/ramune_sub1?t=6O8XoF&utm_medium=url_text&utm_source=promotion】

「あ、昴さん、良かった。ここにいた」

「? どうかしたか?」

怪盗キッドの騒動の翌日、コナンは学校帰りに工藤邸を訪れた。
理由は勿論沖矢こと赤井に作之助は信用出来ると話す為である。

「作之助さんのことなんだけど」

「あぁ。何か進展でもあったか?」

「うん。あの人とまた会ったんだけどさ。……あの人は、凄く優しい人なんだ。オレの頭を撫でる手が凄く温かかった」

コナンの言葉に沖矢は頷き、少し考え込む素振りを見せた。
そしてコナンを一瞥する。
彼の目は真っ直ぐに沖矢を見ていた。どこまでも真っ直ぐで、分かってはいたが嘘をついている様子は見られない。

「そうか。こちらでも再度調べたが、やはり経歴はどこまでも白く、怪しい部分はない。裏の人間と関わっている様子もない」

「じゃあ!」

「あぁ。そこまで警戒するに値する人間ではないだろう。あの子が反応したのは気のせい、とまでは言えないが、ボウヤにもそこまで言わせるなら警戒するのもバカバカしい」

「ありがとう! じゃあこっちは灰原に伝えてくる!」

「そうだな。安心させるといい」

「うん!」

コナンが出ていくのを見て、沖矢は自室に向かって腰を下ろした。
そして小さく息をつき、萩原作之助についてのネット記事に再び目を向ける。

「全く不思議な男だ」

彼の小説を実際に手を取って読んでみた。
内容はネットの評価通り、妙に没入感のある面白いものだった。
そう、一般人にしてはあまりにもマフィアという組織や、裏社会について精通しているのだ。
それが今でも沖矢に引っかかりを覚えさせる。だがコナンは見事に絆され、警戒の欠片もなくなってしまった。
いや、いいことではあろう。コナンが怪しくないと断言したのだから。
だが、それでも。
違和感を覚えたという事実がある。たとえ過敏だったとしても、実際に作之助から威圧されたこともある。
コナンには悪いが、警戒は未だに解かない方が懸命だろう。

「………やはり、様子見が1番か」

それに1度敵意を向けられてしまった。コナンが穏便に済ませたいならば、下手に手を出せば痛い目を見るのはこちらである。
ならば、様子を見て敵対するのを避けるべきだろう。
そこまで考えて、沖矢はそのサイトを閉じた。

「灰原ーいるか?」

コナンが阿笠邸を訪れると、灰原がランドセルの荷物を整理していた。
灰原はコナンの来訪に気づき、顔を上げて素っ気なく言った。

「何の用? 今は博士いないわよ」

「いやお前に用事」

「あら、何か頼み事かしら」

どうせそうだろう、なんて思っていると、コナンは灰原に近づいて肩に手を置いた。
一体何なのだと首を傾げていると、コナンは灰原を真っ直ぐ見て言った。

「この前さ、作之助さんにぶつかった時のことなんだけどさ」

「……前にも言ったけど、あの人は只者じゃないわ」

「そうだな。でもオレも色々と調べてみたけど、怪しい所は何もなかった。そしてちゃんと向き合ったんだ」

「そう、なの」

「あぁ。それでようやく作之助さんの人となりが分かった。あの人は、子供には決して危害を加えない。経歴も真っ白で、孤児院などにも積極的に寄付している。それに、あの人のオレを撫でる手は、スゲー温かかったんだ」

コナンは相変わらずこちらを真っ直ぐと見ている。
きっと心の奥底から作之助のことを信じているのだろう。そうじゃなければこのような目はしない。
灰原とて、コナンの人となりはよく知っている。
だからこそ、彼は信用出来るのだ。

「………分かった。あなたがそう言うのなら、私も変に警戒しないわ」

「それがいい。何より、あの人はさっきも言ったけど子供には絶対に手を出さない。むしろ守ろうとしてくれる人だ。だから万が一の時はあの人を頼ることも視野に入れておいた方がいいかもしれない。作之助さん、小説家なのに妙に強いしな」

コナンの言葉に灰原は素直に頷いた。
そしてなるべく過剰に怯えないように心がけることを決めた。
それを察してか、コナンは眉を下げて小さく笑った。

「あんま無理すんなよ。無理して会話する必要もないし、会う必要もない。ただお前が危ない目に遭うことがないってだけだし」

「……そうね。ありがとう」

「よし! じゃあそんだけだから! また明日学校で!」

「えぇ、また明日」

コナンが出ていくのを見送った灰原は、ソファに座って軽く息を吐いた。
そして作之助に初めて会った日のことを思い出す。
第一印象は背の高くて静かな人、だった。
でも子供に向ける目はコナンの言う通り優しくて、それを見るだけで絆されてしまいそうだった。
だが店頭でぶつかった時に、全身の毛が逆立つような感覚に襲われたのだ。同時に、心臓が激しく音を立てて、全身に血液を激しく巡らせた。
あの時の恐怖は正にジンと出会った時のような、そんな感じだったのだ。
その感覚を思い出すだけで少し震えてしまう。

「………まぁ、そんなに接する機会はないでしょう」

むしろそう願うばかりだ。
多分次会っても、上手く取り繕うことは出来ないだろうから。

現在、作之助はなぜか正座していた。
しかも目の前には家主である姉と双子の弟、そして幼馴染の3人が仁王立ちしている。3人とも警察官だからか、妙に強いプレッシャーを放っている。
まぁそうは言っても作之助にとってはそよ風に当たるようなものだが。
そんな舐めた思考をしていることがバレたのか、3人に強めに名前を呼ばれた。

「作之助」

「兄ちゃん」

「作」

思わず顔を上げると、そこには笑顔を浮かべた鬼がいた。

「「「詳しく聞かせてもらおうか」」」

事の始まりは、そう。
昨日の怪盗キッドの騒動だ。
そこで作之助は蘭から頼まれていたことを達成しようと、静かにコナンを見守っていた。
しかしその途中で怪盗キッドに眠らされ、作之助の担当である安川に起こされたのだ。
まぁ当然安川はプンスカ怒っており、いや激怒しており、家族にチクられたのである。
なぜか松田込みで。
そのせいで、緊急の家族会議を行うことになり、研二と松田に引きずられて千速の家に強制送還されたのである。
全くもって遺憾の意。
幸い仕事は終わらせていたので良かったのだが、もし仕事の途中だったらどうしたのだろうか。
……きっと安川が何とかするだろうな。と考えてチラリと3人を見る。
3人はニッコリと笑っているが、目は全く笑っていなかった。
作之助にとっては怖くないが、きっと一般人が見たら即座に逃げ出すレベルだろう。
なんてまた別のことを考えていたら、千速が強めに作之助の肩を掴んだ。
爪がくい込んでおり、若干痛い。いや割と痛い。

「さぁ、何か言いたいことはあるかな、作ちゃん?」

「……俺は無実だ」

「いや有罪だから」

正直な気持ちを述べると、3人の額に血管が強く浮き出たような気がした。
どうやら相当お怒りらしい。

「作之助〜、お前まっったく反省してねぇな」

「千速、上に重し乗せようぜ」

「確かに。採用!」

「ういー」

「何か重いもんあった?」

「……うーん、なかった気がするな。あ、もう今では使っていないダンベルがあったな」

「よし採用! 取ってこい陣平ちゃん!」

「は? ふざけんなテメーが取ってこい!」

「陣平」

「ラジャー」

俺は今何を見せられているのだろうか、と1人で考えていると、松田が作之助の太ももの上にダンベルを遠慮なく置いた。
一寸痛かった。もう少し優しくして欲しい。そういう思いを込めて3人を見るが、彼らの表情は変わらない。

「コイツ余裕そうだな。ダンベル追加で」

「ラジャー」

松田が更にダンベルを置いた。
だが作之助の表情は変わらない。いや、いつもより死んだ魚の目をしているような気がする。

「……姉さん、研二、松田」

「遂に己の罪を自覚したか!」

「姉ちゃんなんか変なドラマでも見た?」

「忍に見せられたドラマが意外と面白くてだな」

「あーさいですか」

なんか妙に話が進まないな、と思っていると千速がコホンと小さく咳払いをした。
どうやらようやく本題に入るらしい。

「さて、作之助。お前、昔から私たちは何度も言っているよな。あんまり危ないことはするなって。そりゃあ研二の命を救ってくれたことには感謝しているが、危ないことに自ら突撃するな。私は、私たちはお前がいなくなるのが嫌なんだ。誰1人そんなことは望んでいない。それをもっと自覚してくれ。頼むから、」

千速の言葉が、かつて研二に言った自分の言葉と重なった。
今でもあの時の事件はよく覚えている。だからこそ、鮮明に重なった。

「……ごめん、姉さん、研二、松田。俺は、多分……自分で命の優先順位を決めているんだ。そのトップは勿論お前らで、俺はいない。そして次点で子供たちのことを考えている」

「お前……」

「じゃあ無理やりねじ込め。お前の命を無理やりランクインさせろや」

「陣平ちゃん言うねー。でもその通りだよ。そんな思考回路は俺たち警察官がやることだし。なーんで兄ちゃんは昔からこうなんだか。まぁそれも作ちゃんの良さなんだけどね。行き過ぎるとダメだから」

そう言って研二は作之助の上に置かれているダンベルを退けて、頭を撫でた。
何だか擽ったいような気がして、身を捩りたい思いに駆られた。

「お、作ちゃん珍しく照れてない?」

「ホントだ」

「写真を撮っておこう」

唐突に撮影会が始まり、黙々と3人が写真を撮る。本当に何の時間だ、と思っていると、松田に立ち上がるように促され、それに素直に従う。
すると今度は千速がニヤリと笑ってポンと作之助の肩に手を置いた。

「作之助、今日は私の買い物に付き合って貰うぞ」

「え」

「お前この後暇だろう?」

「まぁ」

「なら決まりだ。ほら昼飯食ったらさっさと行くぞ!」

「俺らは今日夜勤だから帰るわ。またね作ちゃん、姉ちゃん」

「またな」

「え」

今日はやけに展開が急である。
気づけば部屋の中には作之助と千速のみが残されていた。

「……作之助、お前なんかリクエストでもあるか?」

「俺が作るよ。姉さんは何か食べたいものでもあるか?」

「ん〜、じゃあ寿司だな!」

千速の言葉に思考が停止した。
そして次第に寿司の作り方が脳内に浮かんでくる。
作之助は千速の様子を伺いながら、控えめに言った。

「……俺に握れと?」

「あはははっ! そんなわけないだろう! 食べに行くぞ! 今日は特別に奢ってやろう! 2人には内緒だからな」

「………ふ、分かった」

千速は元から寿司を食べにいくつもりだったようだ。
だが作之助の言葉がツボに入ったようで、まだ身体を震わせて笑っている。
それを見て何だかホッとし、出来るだけ自分の身も大事にしようと誓ったのだった。

「姉さん……」

「ん? どうかしたか?」

「…………いや、」

「そうか?」

作之助は現在、姉である千速によって着せ替え人形が如く弄ばれていた。
千速は寿司を食べたあと、そのままショッピングモールの服屋に駆け込んだのだ。
そう、作之助を引きずって。
作之助は最初、言葉通り荷物持ちとして千速の買い物に付き合わされるかと思っていた。
しかしそれは全く違ったようだ。
服屋に来たかと思えば、作之助を試着室へと押し込み、店員を連れてきて一緒に服を選び始めたのだ。

そして現在で既に5着目である。
流石の作之助も、こういう経験は滅多にないためなんだか精神的に疲労してきた気がする。

「姉さん……」

「作之助の服は同じようなものばかりだろう。たまには別の系統の服も着たらどうだ? ほら、このパーカーなんかいいんじゃないか?」

「とてもお似合いでございます!!」

作之助が遠回しにもうやめてと言うが、千速は聞く耳を持たない。そして言わずもがな、店員はニコニコとして褒めてきた。
もう帰りたい、と珍しく陰気になっていると、千速がこれ全部買いますとレジで会計をしていた。
いやいつの間に、と思いながらも、急いで服を着替えてレジへ向かった、が既に手遅れである。

「郵送で頼む」

「かしこまりました〜!」

勝手に住所まで記入し終えたようで、もう購入は完全に完了してしてしまったようだ。

「いや、姉さん。全て買ってもらうのは、」

「はぁ? 何を言っているんだお前は。こういう服もたまには着ろ。そして私に見せろ」

「えぇ……」

「よし、いい買い物をしたな。次はアクセサリーを覗くぞ」

「まだ行くのか……」

千速はガシッと作之助の腕を掴んでいる。
外そうと思えば外せるが、そうすれば千速の機嫌が明らかに悪くなるので辞めておいた方が懸命だろう。

「当たり前だ。作之助は全くアクセサリーを身につけないからな。なんならその無精髭もむしってやりたいくらいだ!」

「怖い……」

何だか聞きたくなかった言葉だ。
一方千速は、こちらをジッと見て爽やかに笑って言った。

「そんなに申し訳なく思うなら、今度美味い所で奢ってくれ。そうだな、焼肉がいい」

「分かった」

「うんうん。特別に頭を撫でてやろう。ほら、少し屈め」

千速はまるで犬を撫で回すかのように作之助の頭を撫でるので、髪の毛が乱れた。
まぁそんなことを作之助は気にしないため、されるがままだ。
そんなこんなで千速が満足するまで撫で回されていたのだが、前方からこちらをジッと見つめる男を見つけた。
その男は驚愕のあまり目が取れてしまうのではないかと言えるほど、瞠目しており、何だか慌てたようにこちらに向かってきた。

「おい千速! コイツ誰だよ!?」

「あ? 重吾じゃないか。何でこんな所にいるんだ。1人で買い物か? 寂しい男だなお前……」

「何で1人で買い物に来ただけでこんなにも言われなきゃならねーんだ!? てか、この男は誰だって言ってんだ。見たところ、随分と仲が良さそうじゃないか」

重吾と呼ばれた男に対して千速は、ニッコリと笑って作之助の肩にポンと手を置いて言った。

「作之助のことか? ふは、そんなに仲が良さそうか? まぁ実際仲良しだからな。なぁ、作之助」

「そうだな。大切な人だ」

「やっぱりお前は素直でいいやつだな。研二も見習ってほしい所だ」

「研二は十分素直じゃないか?」

「お前の目にはそう映っているのか……」

なぜか何とも言えない目で見られてしまった。
どうやら千速にとって研二は素直ではないらしい。
あまりよく分からなかったので、この場で追求することは辞めておこう。
それよりも、重吾が混乱してしまっているようだ。

「仲良し、大切な人……????」

「そりゃあそうだろ。私にとって作之助は可愛い可愛い弟なんだからな」

「お、弟!? お前、まだ弟いたのかよ!」

「そういえば言ったことなかったか?」

「ねーよ!」

「初めまして。弟の作之助です。研二とは双子で兄だ。文字書きとして今は奮闘してます」

「文字書きって、小説家か? 随分と変な言い回しだな」

「そうですか?」

作之助の言葉に重吾は困ったように眉を下げながらも、彼と握手を交わした。

「まぁいい。俺は横溝重悟。神奈川県警捜査一課所属だ。千速とは、まぁ、なんだ。仲良くさせてもらっている」

「……そうですか」

「……なぁ千速。コイツ本当にお前の弟か? なんか、妙に大人しいぞ。お前のじゃじゃ馬成分はどこに行ったんだよ」

「ほぉ。私のことをじゃじゃ馬と称するか。私はそんなにお転婆じゃないぞ」

「いや、……もういいわ」

千速の言葉に何か言おうとしたが、何を言っても無意味だと察した重吾は早々に閉口してしまった。

「ていうか、重吾お前も中々鈍いなー。作之助は私たち姉弟の中で1番強いんだぞ。なんならお前も余裕で負ける。あまりうちの可愛い弟を舐めるなよ」

「普通可愛いやつは強くねぇよ」

そうは言いつつも、千速の言葉に疑いを持ちながら改めて作之助を見た。
確かに、千速の言う通り体格がいい。身長は大体研二と同じくらいだろうか。

(兄弟揃っていい体格してやがるな)

そう思いながらも、全身を舐めるように眺める。
そして観察の結果、確かに千速の言う通り強そうだ。
パッと見は何とも思わないが、いざこうしてじっくり見てみると、何となく格闘術を嗜んでいるような気がしてきた。

「ま、いいわ。あとは姉弟水入らずで楽しめよ」

「おう!」

「…………姉のこと、宜しくお願いします」

「任せろ、ってマジで言ってんのか?」

「はい」

作之助の言葉に重吾は大袈裟に驚いてみせた。
きっと急にこんなことを言われても困るだろう、と思いつつもつい言ってしまったのだ。
理由は分からない。ただ、勘が働いただけである。

「おい作之助。何を言うんだ急に」

「何となく、そう思っただけだ」

「へぇ……」

「……お前の姉貴のことは俺に任せとけ。つっても、部署が違うからそんな役には立たないかもな」

「そうですね」

「ほら重吾、もういいだろう! 私と作之助の貴重な時間を邪魔するな!」

「へーへー。じゃあまたな、2人とも」

「はい、また」

重吾は軽く手を振ってその場を去り、その場には作之助と千速の2人が残される。
そして重吾が人混みに紛れて見えなくなった瞬間、作之助は千速をジッと見つめた。
そんな作之助を少し変に思いながら、どうした? と尋ねると、作之助は小さく笑いながら言った。

「二人は仲が善いんだな。互いを信頼している」

「小っ恥ずかしいことを言うんじゃない。まぁ確かに信頼はしているよ」

「……ふは、今日のことを話せば松田が怖い顔しそうだな」

「はぁ?」

「姉さん、そろそろ帰ろう」

「? まだ帰るわけないだろう」

作之助は、いい雰囲気にしてさっさと帰ろうとしたのだが、そうは問屋が卸さなかった。
千速はまだ買い物をする気満々のようで、目が爛々と光っている。

「ほら、お前のアクセサリーを選びに行くぞ」

「……はい」

どさくさに紛れて帰ろうとした作戦は無事に失敗し、その日は千速が満足するまで付き合わされたのであった。

「……………………疲れた」

あの後、結局アクセサリーは買わされたし、家では千速に料理を振舞ったりしたため、帰る頃には既に日付が変わる手前となっていた。
こうなるんだったら泊まっていけば善かった、と少し後悔したが仕方あるまい。
明日も仕事があるのだから、この家にいた方が楽だろう。

作之助はポストを覗いて、ゆったりとチラシなどを取り出す。
しかしその中に不在票が入っていた。

「……面倒だ」

だがこういうのは早めにやった方がいい。
作之助は自分のことをきちんと理解していた。きっと面倒だからと言って放置すれば、絶対にずっと放置し続けるだろう。
それを回避する為にも、毎朝見る机の上に置いておこう、と決めてその日はシャワーを浴びて就寝したのだった。

千速の買い物に付き合わされた日から2日が経った。
作之助が家でボーッとテレビを眺めていると、チャイムが鳴ったため、きっと荷物が届いたのだなと鈍い頭で考える。

そして荷物を受け取ると、差出人は不明だった。
強いていえば、イニシャルのKと書かれただけだ。
不思議に思いながらも、不審物かどうかを確かめるためにそっと開封した。
すると、そこには一升瓶の日本酒が丁寧に包装されていた。
そして手紙まで添えられている。
作之助は慎重に手紙を読んでみるが、その内容に拍子抜けしてしまった。
なぜならそこには、「先日眠らせてしまったお詫び」としか書かれていなかったからだ。
というか、その内容からして差出人のKとは明らかに怪盗キッドのことであろう。

「……意外と善いやつなのか?」

いや盗みを働く時点で善いやつとは言えないな、と考えながらもジッと酒瓶を観察する。
見たところは毒も無さそうだし、何より異能が発動しない。
それに怪盗キッドは人を殺さないし、傷つけないことで有名である。
ならばその点は信頼しても大丈夫だろう。

「研二と松田も誘おうか」

心配させた詫びとして、乾杯するのも悪くないだろう。
作之助は早速メッセージを打ち込んで、2人の元へと送ったのだった。

▽成り主
弟と幼馴染に突然有無を言わさずに連行されたかと思えば、仁王立ちの姉が目の前に立ちはだかり、めちゃくちゃ説教された。
ダンベルとかは全く何とも思わなかったが、心配させたのは申し訳なく思っている。
しかしその後、姉に振り回されており、知り合いが見たら2度見するレベルでゲッソリしていたかもしれない。
重吾のことは、なんか優しい目で姉のこと見てるなーと思った。
料理の腕前は中の上。レシピ見ながらなら多分美味いのが出来上がる。料理は嫌いじゃない。

▽沖矢昴(赤井秀一)
コナンの言葉に驚いたか、自分はまだ警戒を解くつもりは毛頭ない。
なんなら小説を読んで違和感が増した。
今後はちょっかいをかけることはないが、様子は見続ける予定。

▽江戸川コナン
ちゃんと成り主と向き合ったりした結果、陥落した。
それを沖矢と灰原に伝えることが出来て満足はしている。
だが灰原が怯えた事実に変わりないので、成り主と灰原は出来るだけ接触しないように努める予定。無理はしてほしくない。

▽灰原哀
コナンがそこまで言うなんて、と驚いたが、彼の言う通り成り主の目が優しいものだったのは知っているので、何とも言えない気持ち。
でも次会う時は、警戒しすぎないように努める予定。

▽萩原研二
安川から連絡を貰ったのはこの人。見事に連絡網が完成してしまっている。
安川の正体は知らないが、何となく察しているかもしれない。
連絡を受けて笑顔でブチ切れながら、姉と幼馴染に速攻で連絡した。
成り主には自分のことも考えてほしいのに、全く考えてくれなくてそれが悩み。

▽萩原千速
久しぶりの登場。
弟から連絡を貰って、笑顔でペットボトルを潰したかもしれない。
背後に般若を背負いながら仕事を終わらせ、休みをもぎ取り全員集合を叶えた。
そういえば成り主に何かを買うということがなかったな、と思い出して買い物に連れ出し、盛大に振り回した。
多分成り主を振り回せるのは現時点でこの人だけかもしれない。
アクセサリーはちゃんと自分で買わせた。

▽松田陣平
幼馴染から連絡をもらって(ry
千速の言うことには速攻で聞くイケメン。成り主の頼みも断れなさそう。まぁ成り主が滅多に頼ることはないので、それはそれでやきもきしていそうではある。

▽横溝重悟
あんま似てねーなーとは思うものの、直感で怒らせたらダメなタイプだと悟る。大正解。
後日、小説家ということを思い出して検索してみたら、中々の有名人でビックリした。言えよ! という気持ちを持ちながら、試しに小説を1冊買ってみることに。

▽怪盗キッド(黒羽快斗)
寺井に頼んで酒を購入し、宅配業者に変装して直接お届けした。
何気なく成り主の住所をゲットしているし、業者として対面しており、内心ちょっとテンションが上がっていた。

— End —

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