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個性:"支配"の普通科少女の話11

田中田中

書きたいこといーーーーーーっぱいあるよ!!終わらないね!!!!結末は思いついてるから後はどうにかなれーーーーっっ!!!! 成り主もがっつり溜め込むタイプだしどの口が?って感じはある。でも心操君との喧嘩からちゃんと改善しようと努力してるし、みんな成長してる。みんなのヒーローアカデミアだよ。 マキマさんに性格引っ張られてると思ってたけど、案外そんなことはなかったのかもね。

※キャラ崩壊あるかも

※解釈違い注意

※救済してます

.

「君がマキマか」

『はじめまして。エッジショット』

他のヒーロー達の多くの視線を感じながら、エッジショットに穏やかな笑みを贈る。

『私を信じてくださって、ありがとうございます。』

「俺は君の父上を信じたのだ。君が信用するに値する人物であるかどうかは、君自身が証明すべきだ。」

『ふふ』

『貴方は信頼出来る人だと、父の言う通りでした。』

「そうか」

周囲から感じる、私を推し量る目、目、目。
岸辺の予想通り。学生の、しかも普通科である私が前線に立つことに思うことがある人もいるのだろう。しかも自分達は一度待機で、たかが学生がこの作戦の重要なキーパーソンとして扱われている状況も彼らの心を逆撫でた。

『ハッ』

知ったこっちゃない

『私はマキマ。雄英高校普通科1年、個性は"支配"です。』

『私の役目は貴方方の体力を少しでも温存させ、これから起こりうるあらゆる事態への速やかな対処を促すこと。』

突然自己紹介やらを話し出した私に各方位から驚きと戸惑いの視線が集まる。
その中には見慣れた顔もあり、頬が緩んでしまいそうなのを無理矢理抑え込んだ。

『私を信用しろなど、傲慢なことは言いません。』

『ただ、見ていてください』

そこまで言い終わり、エッジショットに目線を向ける。

彼は一度頷くと、他のヒーロー達のように私から距離を置いた。

『…』

ねえ、緑谷君

私はね、君の力になりたいんだよ。

『"眠りなさい"』

『ただ、眠っていて。』

ばたり、と、何かが床に落ちる音が遠くから聞こえた気がした。

目を開いてエッジショットに合図を送る。

「…どうだ?」

『成功です』

「承知した」

「直ちに敵の確保を!!」

エッジショットが待機していたヒーロー達に指示を出す。刹那、エッジショットが私に目配せをした。その瞳は真っ直ぐ私を捉えた後、またすぐに目の前の建物を映した。
信用出来るか、証明になりましたか?

出来ていたら、私は嬉しいです。

選手交代。待機していたヒーロー達は私が眠らせた敵を捕えに建物へと向かう。
ミッドナイト先生が緊張を解いてくれたお陰で今は自分でも驚く程心が穏やかだ。先生はもう一度建物へと足を向け、私はもう少しだけ休憩を取らせてもらうことにした。

私に出来ることは、全てやってみせるって決めたの。

「マキマちゃん!!」

『えっ、燈矢君?』

「さっっっすが俺の妹!!俺の最高のインターン生!!!敵は漏れなく全員すやすや眠ってたよ!!俺らに捕まったことにも気付かねぇでなァ!!!ほら見てみろよこのアホ面!!傑作だろ!!!!なァ!!!!」

「見てみろちゃうねん」

「いてっ」

「君もやで、なに素直に眺めとんねん」

『てへ』

「かわいこぶってもアカン!」

私のこの可愛さが通じない…!?ファットガム恐るべし…
両脇に拘束した敵を抱えたやたらとテンションの高い燈矢君が私に良く見えるよう敵の顎を掴んで上を向かせる。相変わらずマシンガントークだなぁと思いながら眺めているとファットガムがすかさずツッコミを入れた。えっなにおもろ。君ら知り合いだったの?

「マキマちゃんのお陰で俺らただの見学だったぜ〜?」

「まさかあの数を相手にしても尚瞬殺とはな…」

「見せ場取られちゃったノコ!」

「え待って早川ってトーヤの妹なの?」

『ファットガム、貴方のお腹どうなってるんです?』

「FATAXIや!マキマちゃんも乗り!」

でん!と効果音が付きそうな勢いでファットガムが腰に手を当ててお腹をこちらに向ける。乗り心地良さそぉ…いいな乗ってみたい…上鳴君、常闇君、小森さん、骨抜君が揃って私に声をかけてくれた。みんな仲良くファットガムのお腹に埋まっててかぁいいね。

ヒーロー科の1年生達はここで撤退。後方支援に回ることになっている。
荼毘が存在しない今、ホークスの心配は不要と考えていい。荼毘による身の上話の公開も無い。原作と比べたらかなり被害は抑えられている。問題はギガントマキア、そして、Mr.コンプレス

「ん?マキマちゃん?」

『ファットガム。FATAXIは大変魅力的ですが、まだやり残したことがあるんです』

「うん?1年生は後は後方に…ってオイ!?マキマちゃん!?どこ行くん!?」

「えっ、マキマちゃんどしたの?トーヤくんとデートしたいの?」

『そ。付き合ってよおにーちゃん』

「おにっ…!?!?」

「なにしてんねん!!止めろやトーヤ!!!」

「バカかファット!!お兄ちゃんは妹の可愛い我儘は聞いてやるもんだろォが!!」

「兄貴なら叱ってやれや!!てかお前兄貴ちゃうやろ!!!!」

ファットガムには悪いけど、まだやり残したことがあるんだ。何も言わずに燈矢君の腕を引いて走り出すと意外にもノリノリでついてきてくれた。流石おにーちゃん。でも事務所の代表としてはそれで良いのか?有難いけども。
ファットガムは理解不能な行動を取る私達のことは諦めたのか、1年生達を送り届ける為反対側に走り出した。

「で?やり残したことって?」

『"支配"しきれなかった奴がいるの』

「それって、」

次の瞬間、大きな地響きが鳴った。

クソ、思ってたよりもずっと早い

「…あのデカブツのことか。マズいな、動かないんじゃなかったのかよ、」

『アレには主の声しか届かないようになってるんだと思う。私の個性も通じなかった』

支配出来なかった、と言うか、まず声が届かなかった。アイツは主の声以外には反応しないように出来てる。ほんと、都合良くて呆れるわ。
私1人でどうにか出来る状況じゃない。エッジショットの手は空いているだろうか、リ・デストロも眠らせたことだし出来るなら力を借りたい。ヒーロー達は今、眠っている敵達の拘束を行なっている。しばらくは目覚めないが全員がギガントマキアの方に行くのはリスクがある。でも全ての力を注いだ所でアイツを止めることが果たして可能なのだろうか

それよりも、私が一番しなくてはいけないことは、

『これから、ミッドナイト先生を救いに行きます』

先生を救う。これが最重要事項だ。

「ミッドナイトって、雄英の教師の?なんでそんなピンポイントで…」

『燈矢君、お願い。私について来て』

「…まァ、聞きたいことはいっぱいあるけど、」

「ここまで来たらとことん付き合うよ」

『ありがと、』

「お礼はデートでいいよ」

『ふ、』

普段と変わらない燈矢君に思わず吹き出した。

その時だった

『…あ、?』

気配がする。
全員眠らせたのに…まさか無理矢理起こしたのかよ、

『ッ、アレの背中!連合が乗ってる!!』

「は、連合!?」

『アイツが連合だけでも無理に起こしたんだ…トーヤ!!急ごう!!』

「言われなくてもっ、!」

どう足掻いても原作にぴたりとハマる現実に、抑えきれなかった舌打ちが溢れた。

.もう一度

十分に警戒していた。

「俺達に気が付かなかった?」

していたはずだった

「(連合が背中に、!)」

「、クソッ!!」

不甲斐ない、浮かぶのはそれだけだった。

『_________トーヤ!!!!!!』

「分かってるッ!!!!」

蒼炎が、視界一面に広がった。

「マ…キマ、?」

『ミッドナイトっ!!!!耐えてください!!!』

「ぅ"、あ"ッ!!」

連合の出した瓦礫を蒼炎が溶かす。シンリンカムイが急いで私を支えようとしてくれたが間に合わず、体に強い衝撃が走った。
酷く痛む体を押さえながら考えた。マキマが、2人が居なければ今頃どうなっていた?

力を少し借りるつもりが、命まで救われるなんて。

『背中に連合が隠れています!!数は恐らく2名!!各位警戒を!!!』

「なんでバレてんだよッ、!!」

遠くで揺れる赤を眺め、心の中でもう一度誓った。

ええ、絶対に、勝ってみせましょう。

.

『っは…、と、やくん…』

『血…つかいきっちゃった…』

近くに倒れている燈矢君を見つけ、腕を伸ばしかけてようやく体に力が入らないことに気が付いた。コートに忍ばせていた輸血パックも既に使い果たし、助けを待つしかない状況となった。

上手くいっていたはず。

ミッドナイト先生を助けることに成功した。無傷とはいかなかったが、きちんと意識もありひとまずは無事であることを確認した。治療を受ければヒーロー活動も問題なく行えるだろう。
エッジショットをはじめとする多くのヒーローがギガントマキアを止める為に駆けつけ、皆全力を尽くした。アイツの動きも私が知っているものより遅かった。A組とB組の作戦は原作よりも成功していて、麻酔も確実に多く飲み込んでいた。今ある戦力は全て注いだ。それなのに、それなのになんで?

『…、……っ、くそが、』

この世界は物語の中で、多少の違いはあれどきちんとレールに沿って進んで行く。誰を救おうが関係ない。どれだけ力を注いでも関係ない。全ては決まっていることなのだ。私の存在だけで何かが変わる程、世界はやさしくはなかった。

緑谷君は、爆豪君は、相澤先生は、

みんなは無事なのだろうか?

燈矢君の怪我の状態は?ファットガムは?天喰先輩は?ギガントマキアはどこまで進んだ?街への被害は?住人の避難は間に合った?既にどれだけの人が犠牲になった?

『…、ハハ、』

思考のまとまらない頭に浮かぶのは人の心配ばかりで、なんだ、私って案外人間らしい所あるんじゃん、なんて呑気なことを思った。
微かに聞こえた救助隊の声を待つことなく、私の意識はそこで途切れた。

.悪魔の取引!

ずっと練習してたんだ

俺は超えられる、だから、

「ぉれを、みて……」

懐かしい夢を見た。

思い出した所で、気持ちの良いもんなんかじゃねえけど。

「ッ、ぅ"、!!」

待て、ここどこだ?俺はマキマちゃんとあのデケェのを相手してて、他のヒーロー達も加勢して、それで…それで?

「まだ寝ていてください。貴方も軽傷じゃないんだから」

「…起きて早々、なんで鳥野郎の顔なんか見なきゃなんねぇんだよ」

「ヒドイなぁ、心配してたのに」

勢いよく起き上がったことで体中が悲鳴を上げ、唸り声が出る。病室…と言うことは、俺達の作戦は失敗して、ヒーローは仲良く病院に放り込まれた訳だ。そして外が随分と賑やかなのを見るに、世間サマの俺達への反応はかなり厳しいものだったようだ。俺達がどれだけ頑張ったって、結果が伴わなければそれは意味を成さない。

普段と変わらない飄々とした態度で俺を見つめる鳥野郎を睨み付けた後、奴の話した言葉が頭の中で引っかかった。

「"貴方も"って、どういうことだよ」

「エンデヴァー班では多くのヒーロー達が犠牲になりました。助かった方の中にも重症者は多い…エンデヴァーさんと焦凍君はトーヤさんよりも一足先に目覚めています。幸い、2人とも軽傷で済みました」

「エッジショット班では重症者こそあれ、死者は1人も出ませんでした。あの状況下で、奇跡としか言いようがない」

「全ては、彼女の協力あってこその結果です」

重症者、彼女、協力_________

「…マキマちゃん、」

「ちょっ、トーヤさん!まだ寝てなきゃダメですって!!」

「っ、るせぇ、」

ホークスに腕を掴まれ痛みが走る。思わず顔が歪むがそんなことは気にしていられなかった。
最後まで付き合うって、約束したのに。

「マキマちゃんは無事です!!貴方よりも先に起きてますから!!!」

「はぁ!?それを先に言えよ!!」

「最後まで聞かなかったのはアンタでしょ!!」

『ははっ、2人って仲いーんですね』

「マキマちゃ、」

『おはよ燈矢君。元気そうで安心したよ』

扉の前で口元に手を当てて笑うマキマちゃんは、ぱっと見た所大きな怪我はなくホークスの言う通り無事なようだった。

「よ"かった…………」

「泣いた、!?」

『あらら。燈矢君って案外泣き虫よね』

「えっ、なんで普通に対応出来るんですか。というか慣れてません?というかトーヤさんって貴女の前だとこんな感じなんですか?」

『ハハハ』

「ええ……」

ベッドに座ってボロボロ泣いている燈矢君の頭を優しく撫でる。
隣ではホークスが目をこれでもかと見開いて驚き、なんなら若干引いているがこんなの慣れだよ慣れ。燈矢君は昂るとすぐ泣いちゃう子なので珍しいことでもないしね。さっき寝言で俺を見てとか言ってたし、夢見が良くなかったっぽいのも1つの原因かな。

よちよち、と既に泣き止んだ燈矢君を撫で続けているとホークスが一瞬だけ鋭い瞳で私を見た。

「さ!マキマちゃんはこれから診察があるのでトーヤさんも大人しく寝ていてください」

「ア"?なんでテメェが俺に指図して、」

『ごめんね燈矢君、また後で来るから』

「ウン…」

一瞬で大人しくなった燈矢君に再び笑いが込み上げた。
その余韻も消えないままで廊下に出ると、ホークスはいつかの日と同じ、温度のない瞳で私を見つめた。その視線を微笑んで誤魔化し、私の病室まで静かに2人で歩いた。

『ご用件は。』

「話が早くて助かります」

1枚の羽が扉の隙間から廊下に出る。監視役を置くということは、人に聞かれると不味い内容か。

「俺の本名、一体どこから調べ出したんです」

「今更、って思うでしょう。俺も思ってます。追及するのが遅くなり過ぎた」

「前はこちらに非がありましたし、怒涛の展開で俺も混乱していたので。まあ、これを知られたら貴女のお父さんには笑われるでしょうが。」

『ふふ』

互いに貼り付けただけの笑顔を浮かべた後、ホークスは言葉を続けた。

「今回俺は解放軍にスパイとして潜り込んでいました。その中で、連合のある敵の個性が厄介なもので動きを見張っていました」

「本題は作戦決行の日です。奴を追い詰めた時、本名で呼ばれ思わず動揺してしまいました。そして貴女を思い出した」

「詰めが甘いって、また笑いますか?」

『そうですね』

ホークスは今回、分倍河原仁の拘束に失敗している。
原作よりも遥かに動きやすい状況だったはずだけど。これもギガントマキアの目覚めが早かったことが原因かな。ミッドナイト先生の元へ行った時、ギガントマキアの背中には本当は連合が3人乗っていた。それなのに私はMr.コンプレス、そしてスピナーの2人だけだと見誤った。原作の先入観が邪魔をした。詰めが甘いのは私も同じだった。

「本当のことを教えてください」

「貴女は、何者なんですか」

既に彼の瞳は棘を失っていた。そんなの、疑っている奴に向ける視線じゃないよ、No.2?

『疑いをかけている人物を相手にしている割には、情報を開示し過ぎだと思いますよ。』

「……バレてた?」

『回りくどいです。まどろっこしいのはお嫌いでしょ?』

「耳が痛いな…」

内通者と疑われているのかとも思ったけど、裏切り者に向けるにはホークスの目は優し過ぎた。内通者かを炙り出すのが目的だったんだろうけど、ホークス自身が私は白だと確信していたみたい。No.2に信頼される女なんて背負うものが大きすぎるな。
となると、ただ真実を知りたいだけなのか、それとも協力を得たいのか。
燈矢君に続き、どうも原作の展開に被っているのが気になる。燈矢君は過去の夢を見ていた。ホークスは本名の件で母親を思い出したのだろうか。

『調べたのではありません。最初から知っていたんです』

「それは…貴女の個性が関係あるんですか?」

『いいえ』

『私はこの世界の正しい未来を知っていました』

知っていた、過去形だ。
どう足掻いても原作通りになる現実と、ピースが足りないことで少しずつズレている出来事。最早私の前世の記憶は頼りにはならない。この先何が起きるか分からない。なら、使えるものは全て使いたいと思うのは自然なことでしょう。

『私は支配の悪魔』

「…悪魔、って」

『ホークス』

『私と取引をしませんか?』

悪魔の取引を、ね。

.誰も彼も

「「早川!!!!!!/マキマ!!!!!!」」

『ぐえ』

「「おかえり!!!!!」」

『た、ただいまぁみんな…』

退院して雄英に戻った日、寮に入った瞬間にクラスメイト達から気持ちの籠り過ぎた"おかえり"を貰った。

「みんなすっごく心配してたんだよ、!!急にっ、あんなニュースが、流れてきて、!!」

『うん』

「ッ、ぶじでよかったぁぁ〜〜〜!!!!!」

『…うん、ありがとう、みんな』

当然ニュースを見ていただろうに、彼ら彼女らの口から出るのは心配と激励の言葉のみだった。ヒーローの不足、敵の暴走、市民達の行き過ぎた自己防衛、これらの情報を得ても尚マイナスな内容は一切話さない。ヒーロー科編入を目指す私や心操君への気遣いかとも思ったが、ただみんなの心が強いだけのことだった。
ヒーローや、ヒーローを目指す者だけが強い訳じゃない。

みんなにもみくちゃにされてご飯を食べてあったくして眠った後。寝起きで意識がふわふわとする中、友達が遠くから私を呼ぶ声が耳に入った。

「おーいマキマー、なんか手紙っぽいの届いてたよー」

『手紙?…ぽいのって?』

「ほらこれ。封筒とかに入ってないし手紙って言うにはあれかなって」

「一応早川さん、とは書いてあるけど差出人もわかんないし、とりあえず中身確認する…って、ちょっと大丈夫?」

『……』

「マキマ?」

『………ぅそ、』

受け取った物は確かに私宛だった。無意識に震えていた両手で折り畳まれた手紙を開く。

『緑谷、くん……』

私にも、教えてくれたんだ。
彼の一番の秘密であり、必死に隠し背負ってきたものを。

「ちょっ、!マキマ!?えっ、!?どうしたの!?」

『っ、ごめ、いま、頭の中ごちゃごちゃで、!!』

「そりゃあんな敵と戦ったらそうでしょうよ!!とりあえず座って!!」 

『う"ん…、!!』

自分が今嬉しいのか悲しいのか、それとも悔しいのか分からなかった。ただ、秘密を打ち明けてくれたことは確かに嬉しかった。そして同時に、彼の力になりたいと、強くそう思った。

ヒーロー志望の生徒はどうしてこうも1人で抱え込む奴が多いんだよ、

『…ふは、』

なんて、誰が言ってるんだって話だよね

.緑谷side

「デク君、お客さんだよ」

「え、僕に?」

寮に戻り一晩が経った朝。
まだ寝起きで頭がぼんやりとする中、僕の目の前に現れたのは意外な人物だった。

「早川さん、!?」

『…』

「デク君、マキマちゃんにもちゃんと個性のこと伝えてたんだね」

「う、うん!早川さんには何かとお世話になっているし、今回のことも伝えなきゃって…」

『ッ…、ぅ"、』

「エ"ッッッッ!?!?!?早川サン!?!?!?」

『っ、このバカっ、!!』

「ごっ、!!ごめんなさい……」

僕の顔を見た途端泣き出した早川さんに驚いて変な声が出てしまった。体育祭や授業での隙のない態度の印象が強く、初めて見る彼女の幼い一面にみんな開いた口が塞がらなくなった。
その次に続いた彼女の声はとても震えていて、それを聞いた僕は大人しく謝ることしか出来なかった。

『ッ、きみには、!頼れる仲間がいるでしょ、!』

『全部は話せなくても、すこしだけでもっ!私たちを頼っていいんだよ、!!!』

早川さんの両手には折り畳まれた手紙が握られていて、すぐにそれは僕が彼女に渡した物だと分かった。

「…うん、そうだね、そうだよね。心配かけて本当に、」

『っ、ほんとバカ!!!ばーーーーか!!!!』

「ぅ"、ハイ…自分でもよく理解しています……」

「マキマちゃん、罵倒の語彙がワンパターンね」

「こればっかりは早川の言う通りだぜ、緑谷」

「ハイ…」

三度目の"バカ"を僕にぶつけた後、落ち着いたのか早川さんは眉を下げて笑った。
夏頃から彼女が見せるようになったこの笑顔は、早川さんの心からの気持ちを表したものなんだろうなと勝手に思っている。どこか吹っ切れたようにも感じるその姿は、支配という強い力を持つ彼女が僕らと同じ高校生であることを証明しているようだった。まるで小学生のような語彙に思わず笑ってしまうと、早川さんもつられたのかもう一度笑ってみせた。
共有スペースにいたみんなが気を遣ってくれて、話しやすいようにと部屋には僕と早川さんの2人になった。

『ほんとはね、私も君のこと言えないの。』

「それは、?」

『私も1人で解決しようと考えちゃうタイプなんだ。ギリギリまで自分を追い込んで、人を頼るなんて選択肢も思いつかないような』

体育祭で見せた冷たい表情が嘘と感じるくらい、静かに語り出した早川さんの瞳は柔らかなものだった。

自分を追い込む、と聞いて2人で話したある夏の夜のことをふと思い出した。早川さんが今の姿を見せるようになったのも、あの日からだったように思う。

『だからね』

『個性のこととか…私にも教えてくれてすごく嬉しかったの。自分が抱えているものを人に話す行為が、どれだけ勇気のいることなのか私にはよく分かるから』

「早川さん…」

『ふふっ。私ね、今の緑谷君みたいに1人で突っ走って、それで心操君と大喧嘩したことあるんだよ。お互い本音で叫んでさ』

「エッ、大喧嘩…!?しかも心操くんと、!?」

『そ。何様だよって思うだろうけど、緑谷君も本音でみんなと話せて良かった、って本当に思う』

「いやそんな、!…僕も、もっと早く言えば良かったって思ってるよ、」

『ね。本当のことを言うのって、案外簡単なことなんだよね』

僕の瞳を真っ直ぐ見つめた早川さんは、自分に言い聞かせるようにそう話した。

そろそろ戻るね、と席を立った早川さんを追い、玄関で感謝の言葉と別れの挨拶を伝えた。

「早川さんありがとう、そして、ご心配をおかけしてすみませんでした!」

『あははっ、もういーよ。君のつむじ見飽きた』

『…おかえり、緑谷君』

「、ただいま!!」

その言葉を聞いて頭を上げると、早川さんは僕の顔の前に拳を作った右手を掲げた。

『全部、取り戻そうね』

『プルスウルトラだぜ、ヒーロー!』

「っ、うん!!」

不敵に微笑む彼女に倣い、コツン、と拳をぶつけてみせた。

— End —

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