注意
・自分用に好き勝手書いてる
・キャラ崩壊
・なにもわからん
・原作読んだのはるか昔
・中身に整合性を求めるなを合言葉にしてる
・捏造設定過多
以上で大丈夫な方はどうぞ
忙しくて時間が走るように過ぎ去っていくから12月を師走と言うのだったか。
その通りに毎日毎日が高速で過ぎ去って、いつの間にやら年越しだ。
11月のサンクスギビングの辺りから政府職員たちにウィンターホリデーを付与していたのも、自分の首を絞めている自覚はあるのだけれど必要な事だったので。
魔法族にマグルの宗教観はないので時期設定はもう少し見直す必要はありそうだが、休暇は大事だ。
なにせ休暇を明けた部下の結婚や婚約、恋人獲得の報告などが聞こえだしている。
目論見通りだ。このままホワイト省庁へ改革していくので職員たちは順調に出生率に貢献してほしい。
私自身も貢献すべきではあれど、如何せんちょうど良い相手と言うのが難しく、未だ独り身だ。
そろそろうちの女主人が欲しいし、相手探しをしていないわけではないけれど、一番ツテのある純血名家たちから紹介して貰えないのがネックとなっている。
「……はあ」
思考が脇に逸れだしたのを自覚してペンを置く。
人間の集中力の限界は90分だったか。
壁際の柱時計へ視線を向ければ、最後に確認した時点よりも針は二つ分ほど進んでいた。
「おや、もうこんな時間か。……しまったな」
流れだした時間を理解すると肩が急に重たくなったように思えてしまう。ぐるぐると肩を回せば、ゴリゴリと音が鳴る。
ぐんと背筋を伸ばすと、心地よく身体が解れた。
書類仕事はここで一区切りだ。
そろそろジュニアとの約束の時間も迫っている。
「食事をとってから行くつもりだったのだけれど……フィン」
小さく名を呼べば、バチンとゴムの弾けるような音と共に小柄なしもべ使い妖精が現れた。
「フィンがお呼びされました、旦那様」
「簡単に食べられる軽食と紅茶を持ってきておくれ。30分後にジュニアの元に行くから、その間に」
「承知いたしましたです」
来る時と同じように戻って行くフィンを見送りながら、目頭を揉む。前世のように電子画面を見つめているわけではないから、眼精疲労は比べ物にはならないが少し目が乾いていた。
何度か瞬きをして、机の引き出しに入っている両面鏡をただの鏡として顔を写し出す。
何時もと変わりのない顔色だが、目元にほんの少しだけ隈が出来ているようだ。
今は私自身もウィンターホリデーなのだが、魔法大臣が長期休みをして問題ないと言えるような体制は生憎まだ整っていない。そのため、リモートワークに近いことになってしまっている。
しかも、部下たちの人目もないので自分の好きな時間まで働けてしまうからことさら社畜染みてしまったか。
「流石にジュニアやメローピーに心配をかけそうだ。今日のところはこれで誤魔化して、明日は少しゆっくりしよう」
仕事の予定と現状の残りを考えれば、少し余裕がある。緊急の案件が入ってこない限りはゆっくり寝むる時間を取れるだろう。
両面鏡を取り出したのとは違う引き出しを開けて、小さな小瓶を拾い上げる。
とろりと濃い青緑色をした薬が中を満たしているそれは、自作の魔法薬の一つ。即効性の疲労回復効果を強めに持たせることに成功したもので、薄い隈なら直ぐに消すことが出来る。
常備薬の一つとして置いてはいるものの、お守り程度の気持ちだったこれを使うことになるとは。
一昨年までなら考えられないほど働いている。こうなる未来が分かっていれば、もっと早い段階から動いていた、と思うのは傲慢だろう。
流石に未来を視ることは出来ないのだから。
「っ、ふぅ…………。味の改良が出来るほどの腕があれば良かったんだけれど」
小瓶を傾けて、舌に残らないように一気に喉奥へと流し込む。
それでも薬草特有の苦味がえぐ味を残して舌を痺れさせる。
私の魔法薬学の腕前は平均的なもので特別才能があるわけではない。もっと腕があれば飲みやすく副作用のない薬を作りたかったものだ。
今の魔法界は薬は個人商店で買うか自作するかのどちらかが主で、品質がマチマチ。ならばまだ自分で作る方が安定供給出来るため、味が改善された薬を手にするのは暫く先だろう。
魔法保健部で品質の等級分け、査定ルールづくりなどをさせてはいるが実際の施行と浸透までは数年かかる。
ああ、でも。うちの分だけならメローピーに改良を頼んで見るのも面白いかもしれない。あの子は魔法薬学が得意だったから。
今度メローピーの魔法界調査報告を聞く時にでも依頼してみよう。
「旦那様、お待たさせいたしました」
バチン、と音が弾けてフィンがトレーに乗せられたサンドイッチと紅茶のセットと共に現れる。
「ああ、おかえり。助かるよ」
寒さを気遣ったのか、焼きサンドイッチが美味しそうなバターの香りを漂わせた。その香ばしい香りが、空腹を刺激する。
思っていたよりもお腹が空いていたらしい。
フィンが紅茶をサーブするのを尻目に、いそいそとサンドイッチをぱくつく。
サク、と焼き上がったトーストの間には塩気の強いハム。それに合わせるように癖のないモッツァレラチーズとレタスが一緒に挟まって味の調和を作り上げている。
「フィン、また腕を上げたね。やはり、腕を振るう機会が多いと違うのかな」
「ありがたきお言葉です、旦那様!」
「メローピーもお前たちの作るデザートが美味しいと言っていたからね、励みなさい」
一切れ食べ終わった手をナプキンで拭き、紅茶に口を付ける。食事時と言うこともあってスッキリとしたダージリン。
口の中に残るハムの味をリセットしてくれる。
ほわりと胃の辺りが温かい。
マナーを気にしなくていい食事の場、かつお腹が減っていたのも手伝ってあっという間に皿に盛られたサンドイッチと紅茶は空になってしまった。
追加を用意するかとの問いかけには首を振り、フィンを送り出せば、もう約束の時間が直ぐそこだ。
「やあ、ジュニア。こんばんは、いい夜だね。さて、話し合いと行こうか」
そう声をかければ、すっかり首がすわって、起き上がれるようになった子どもが顔を上げた。
最近は掴まり歩きまで出来るようになったのだとメローピーが嬉しそうに教えてくれたのはつい先日の事だったか。
くりくりとした瞳を見つめながら、最近は視線だけで掛けられるようになった開心術を使う。
『ごきげんよう、伯父上。一月ぶりだな?確か、あなたは今ウィンターホリデーだったと記憶しているのだが』
『はは、なかなか顔を見せられずにすまないね。人手が足りなくてね』
ウィンターホリデー期間中は同じ屋敷には居ると言うのに家族団欒に参加することが出来なかった。
チクチク刺さるような視線を向けてくる甥に平謝りしつつ、今日の本題へと移る。
『前に裏の人間について聞いただろう?どうにか頭目らしい相手と話をつけられてね』
『…………報告と言っていたのはそれか。それで?』
『ジュニア、寝てばかりで暇じゃないかい?』
『……どう言う意図だ?』
探るような甥の視線を受けつつ、胸元のポケットから小瓶を一つ取り出す。繊細なガラス細工に包まれた薬は、煮詰めたヘドロのような黒さをしている。
因みに、見た目の割に飲みやすい味をしていて、炭酸の抜けたコーラのようだった。
『何かの役に立つかも、と貰ったものでね。老け薬の改良版と言えばいいかな。一時的に肉体を二十年分程加齢させる薬だ』
『それを私に?』
『ああ。きちんと用法用量をまもる分には赤子でも使用に問題がないものでね。もっとも、赤子に使ったとして知識も経験もない木偶の坊が出来上がるだけだが。君なら上手く使えるだろう?』
用法用量を適切にまもるにはO.W.Lレベルの魔法薬学の知識が必要な成分が使われているので、後五年もすれば規制品となる。が、今はまだ法規制が間に合っていなくて合法だ。
笑ってそれを告げればジュニアも笑った。
『いい誘い文句だな、伯父上。勿論、私なら誰よりも上手く使える』
伸ばされ、広げられた紅葉のような掌にそっと小瓶を握り込ませる。
『希釈度合いで効果持続時間が変わって、原液では20時間ほど。今度の話合いの場にお前も一緒にきてほしい』
裏の人間との話合いに連れていくにはいつもの二人ではお上品過ぎるし、役人なんてもっと連れていけない。だからといって一人で行くのは後が不味い。
なので、私の懐刀として実態を持てる信用の置ける誰かが必要だった。
そんなところに転がり込んできた、本来なら大した意味のない魔法薬は天啓の様にも思えた。
子どもを使うのはどうかとも思うけれど、かつての自分も幼い頃は自由に動けない身体と身分が煩わしかった。それはきっと、彼も同じだろうから。
『歓迎しよう、と言いたいが……日中はナニーと彼女がいる。どう誤魔化すつもりだ?』
『……彼女、ああ、メローピーかい?あの子はその日には街へ出掛けて貰う予定だから問題ないよ』
『なるほど。では、私の立場は?』
やはり乗り気らしい。
ジュニアの問いかけの言葉に、彼の懸念するだろうことも交えて説明する。
『私が拾ってきた在野の魔法使い。経歴と名前は突飛過ぎなければ好きに考えておくれ。表舞台に立たせる予定はないけれど、護衛が必要な場所かつ、他の家の力を使いたくない場所には同行させる可能性が高いかな。顔については、この魔道具を使って、第一印象以外を記憶に残さないようにする。ここまでで質問は?』
一息に続けた言葉に、パチパチと瞬いて思考する甥を見下ろす。
取り出した眼鏡型の魔道具に彼の視線は集まっていた。
『一度きりではないんだな?』
『幼い身体で無理をさせる気はないけれど、君を暇にさせるのも損失だろう?』
頬を紅潮させた子どもの顔は期待に満ちている。勿論、と頷けばルビーのような赤い瞳が輝く。
『近日中に杖を用意しよう。グレゴロビッチの店に行けるように予約を取っているんだ』
『ニワトコの杖か?』
『さあ。まだグリンデルバルドの物になっていないなら可能性はあるけれど、私としてはあまりニワトコの杖には惹かれないね』
そう呟けば、かつてニワトコの杖を求めたジュニアが瞳を瞬かせた。
何故だ、とでも言いたげな顔に言葉を続ける。
『結局のところ、ニワトコの杖による力は外付けだろう?それに持っている限り狙われ続けると言うのは、一時的な強さの為の損にしては大きくないかい。決闘狂だったりすれば別かもしれないけれど、私には魅力が足りないな』
『……そう、だな。死を経験してしまえば私もそうかもしれないと思える』
『ああ、そう言えば……ヴォルデモート卿は死を恐れていたようにも見えたね』
ハリー・ポッターと言う作品自体に死への忌避感は強くあったような気はするけれど、分霊箱を幾つも作り復活を果たした存在がヴォルデモートだ。死を恐れないものは復活の手段なんて遺さない。と言うことはそういう事なのだろう。
そうか、死にたく無かったのか。
『一度目の時、あなたは死が恐ろしくなかったのか?』
腑に落ちた事実は声に出ていたらしい。
ぱちりと瞬いた赤い瞳が私を映した。
『どう、だったかな。あまり覚えていないけれど……死を日常的に意識したことなんてなかったからね。……ああ、今もそうだけれど、生を主軸にしたことはあっても死を主軸に考えたことない、と言えばいいのかな』
死の要因は色々あるけれど、それが何時来るかだけは誰にも分からない。特に魔法なんてなかった前世は未来を知る術もなかったのだし、余計だ。
そんな中で、何時なのかもどうすれば良いのかも分からない抽象的な終わりを特別意識することはおそらくないだろう。
私の記憶にもそこまで前世で死について考えたことは覚えがない。
いつか来ることが決まって先延ばしにはできるかも知れないが、なくならないものはどうしようもない。なら、出来るのはせめて後悔が無いようにするだけだ。
私がどれだけ私らしく生きていけるか。考えるのはそれだけでいい。
『私はそう思っているんだ』
『……伯父上らしい、とでも言えばいいのか』
『私が恵まれた環境に居たのだとは思うよ。少なくとも君の生まれた時代よりずっと平和で安全な世界に私はいた。だからこその考えだろう』
思想は自由で不可侵のもの。押しつけるつもりは毛頭ないし、理解されなくともいい。
ただ、私にとって死は恐ろしいものではなかったと言うだけの話だ。
そう締めくくれば、ジュニアは考え込むように瞼を閉じる。
『…………眩しい、な。あなたの見つめるものは平和だ。どこまでも、豊かさがある。私には、おれには理解が出来ない』
『私も君を理解できないからね』
『だろう。だが、おれがそうあれなかったのは……かなしい。おそらく、そうなのだろう。それでも、そのあり方は尊いのだと、そう思うんだ』
とつとつと溢れるような心が言葉を紡ぐ。開心術だからこそ拾われるやわらかな心の声が、瞳を揺らす彼の心境をよくよく教えてくれた。
『そう思うのであれば、お前はこれからそうなればいいさ。まだ赤子なんだよ、お前は。これから生き方も思考も定めていけば良い。望む理想を望むように追いかけなさい』
この世界ではヴォルデモート卿なんて存在は影も形もない。トム・マールヴォロ・リドルと言う存在もだ。
彼の生まれ変わりを知った時から私の考えは変わらない。悩む必要なんて欠片もないのだ。
好きに生きれば良い。
私の力に及ぶ範囲なら庇護し、見守ろう。そこから外れるのであれば自らの力で道を切り拓けばいい。
なんにせよ子どもである間は子どもの特権をひたすらに使えば良いとそう思う。
『お前が退屈しない世界を、お前が死に怯えなくていい世界を見せてあげるから』
私の知る安寧と平和が、それ以上となってこの魔法界に浸透すればきっと。
こんなにも幻想的で美しい世界なのだから。
ああ、本当に、これからだ。
まず手始めに、一緒に出掛けよう。少し初めてにしては刺激的だけれど、そのくらいが楽しいだろう?
笑って手を差し伸ばせば、小さな手が握り返してきた。

























