Novel1 years ago · 1.3w chars · 1 pages

個性:"支配"の普通科少女の話 4

田中田中

なんかめっちゃ続いてるなこの話。どんどんアホの子になっていく。 辻褄合ってないしヘンテコな文章だなこれ。 うわっ一万文字超えちゃったまだまだ書きたいのあるのに足りないな絶対 異能解放軍のとこ書きたいけど上手くまとめられそうにないのでしまっておきます。 心操君が大好きなので絶対登場させたい。

*マキマさん成り代わり

*書きたいとこしか書いてない

*岸辺さんの呼び方修正済

.主人公君と一緒‼︎

「あれ、早川さん?」

『あ、緑谷君』

『奇遇だねこんな時間に』

「ちょっと考え事してて…早川さんは?」

『私も同じ』

夏休みも終わり数日後の夜、寮を抜けて外に涼みに来たら緑谷君と出会った。前にA組に突撃!!緑谷君に個性相談をしよう!!(狂)をした後、LINEを交換し、緑谷君とはたまにお話をする関係になっていたのだ。話と言っても個性関連ばかりだけど。1行くらいの短い質問をするとありえない長文が返ってくるので質問の仕方には気を付けている。まあ、メッセージでしか会話していないので実際に会うのはあれ以来だ。
いつもは私の顔見るとドギマギするくせに、夜のお陰か今日はそんなこともなくスムーズに会話出来た。

「えっ、僕とかっちゃんが喧嘩したってC組にまで噂届いてるの…?」

『あの学校結構みんな噂好きだから気をつけな?特にA組の噂はいつも鮮度良いのばっかだよ』

「明らかに敵視されている……」

『あの寮新築でしょ?あれも個性で作ったんかな』

「大急ぎで作ったらしいしそうだろうね。広いし設備も充実してるしその個性があれば色んなことに役立てそうだよね!例えば災害時の仮設住宅もこの個性があれば被災者の方達も快適に過ごせるしそれに普通の住宅地にも活用出来るだろうし可能性は無限大だ!衣食住として人間が常に必要とする家に関する個性は…」

『あーうん、ストップストップ。それはおうち帰ってから1人でしてね』

「早川さん、なんか雰囲気変わったね」

『え?』

「え、あっいや!?ごめん急に馴れ馴れしく!!その、前に会った時よりも雰囲気が、なんというかスッキリ?してる感じがして…あと口調もちょっと違うから前よりも親しみやすいと言うかっ、あっごめん勝手に親しみ感じられても迷惑だよねごめんね本当に!僕達話すのだってこれが数回目なのに早川さんのこと知ったような口を聞いて…ハッ、これ物凄く失礼なのでは…この度は本当に申し訳なく…」

『個性マシンガントークの方ですか?』

普通に会話してたのになんで急にマシンガントークになるターンがあるんですか???なんかそういうスイッチ持ってます???

ひたすら謝る緑谷君を落ち着かせながら言われたことを頭の中にぼんやり浮かべる。神野区の悪夢から、というか私が無茶して先生方に怒られた日から確かに吹っ切れた感じはある。自分でも変わったなとは思ってた。まずマキマさんっぽく振る舞うのをやめた。嫌になった訳ではなく、私はただの普通の女の子なんだと再認識してからは取り繕う必要性を感じなくなったのだ。まあ元々する必要は一切なかったのだが。

あの後私にはあれ以上のお咎めはなしだった。まあその代わり保護者でもある岸辺はそれなりの罰を喰らったそうだけど…これからもヒーロー育成をしていくのは許可されたらしい。根津校長に頭の良い人特有の詰め方をされた後、オールマイトには頭を下げられて感謝され、相澤先生は今後の事について早速頭を使うお話をしてきた。お話というのはヒーロー科への編入についてで、試験のことや訓練などうわめんどと思わず言いたくなる内容ばかりだったので割愛させて頂く。うわーん編入めんどくさいよーう。
ヒーローを目指すからにはヒーロー科への編入は真面目に考えなければならない。勿論簡単なことではない。いくら私に実力があるからと言ってはい良いですよと編入の許可は降りない。そこで心操君と一緒に相澤先生のスパルタ特別訓練を受けることになったよ!!うわあ!恐ろしいハッピーセットだね!!辞退します!!という訳にはいかず、何故か私まで捕縛布の訓練させられることになりました。もうめんどいので割愛させてね。

『私、ヒーロー目指すことにしたの』

「!」

「そうなんだ!早川さんならきっとすごいヒーローになれるよ!」

『そうかな…マ、ありがと』

『なりたいものが決まったからかな、私の中で吹っ切れたというかなんというか…』

『あと、背負わなきゃいけないものが出来たの』

「…!それって、」

『私の致命的な選択ミスだった。もうあんな方法はとらないって誓ったの』

『戦いとか、殴り合いとかそういうのは嫌い。』

『だから、みーんな無傷のまま救えないかなって、そんなこと考えてたの』

口にするとますます綺麗事だなぁ…
人の命を奪う感覚はもう二度と味わいたくなかった。心からそう思った。あの日からたまに夢にみる。死体が私をその虚な瞳で見つめ、ゾンビのように起き上がって襲いかかってくる夢だ。目覚めると嫌な汗が身体中に流れていて、気持ち悪さと吐き気でその後は眠れなくなる。もうリカバリーガールにカウンセリングをお願いしちゃうか迷っている所だ。でも頻度で言えばそう多くはないので決めかねている。
これが罪の重さなのかと、諦めの気持ちもある。

「早川さんなら出来るよ」

『でもそんな綺麗事…』

「綺麗事とか慰めじゃなくて、現実問題として早川さんの"個性"なら実現可能だよ」

『え』

「心操くんの時も思ったけど、相手の精神に影響を与えられるのはとても強い力になる」

「支配出来てしまえば後は早川さんの思う通りに相手を動かせるんだよね?なら敵を見つけさえすれば後は敵の動きを止めるよう命令をして、そうしてしまえばその場ではもう被害者は増えない。」

「争いや攻撃なしで事件を止めることが出来るんだよ、早川さんの力があれば」

「綺麗事なのかもしれないけどさ、でもそれってヒーローとして最高にカッコいいことじゃないか」

『…!』

忘れてた。
マキマさんが使っていた方法や神野区のことが足を引っ張ってそのことを忘れていた。なんだ、出来るじゃん。支配の力は人を殺すんじゃなくて、助けることの方が向いてるんじゃん。あーあ、なんで忘れてたんだろう。心操君じゃないけど、敵向きの力だって自分の中で無意識に思っていたのかも。ほんとはすごく強いのに、強さ故のデメリットにばかり目を向けていた。

『…私、相澤先生の特別訓練受けることになったの』

「へ、?あ、うん!!大変そうだね…!!」

『ヒーロー科に負けてるとは思わないけど、経験の差はやっぱりすぐには埋められない』

『でも』

『すぐ追い越すから。覚悟しといてよ』

「っ、ああ!」

君のように全員を救いたいと心から願う正義感溢れるヒーローにはなれない。

でも、私は私のなりたいヒーローを目指すから

今は先に行ってて、すぐ追い越すから。

.主人公君と一緒‼︎の数日前‼︎

「おい、後ろ詰まってんだけど」

「すみません!」

始業式の朝、グラウンドに向かう途中玄関でA組とB組が騒いでいて後ろが詰まってしまった。
ヒーロー科に当たりの強いことで定評のある普通科の皆さんはここぞと文句を言っている。心操君は自己主張は得意な方らしく、割といつも代表してズバズバ言ってる。うわーなんか10代っぽいわこの感じ。ミッドナイト先生好きそ。

『顔こわっ。』

「生まれつきこうなんでね」

『表情の話してんだよ』

「心操…と、早川か」

「心操って、体育祭で緑谷と戦った人?」

「早川さんと仲良いんだ…羨ましい…」

「あれ、てか何となくゴツくなった気が…」

A組横目に前へ進むと、探していた人物が一向に現れないことに気が付いた。

『あれ、緑谷君いないの?』

「へっ」

「お前緑谷と仲良かったっけ」

『割とね。この前LINE交換したし』

「なっ、」

「あー、緑谷なら爆豪と喧嘩して謹慎処分中だよ」

『は!?謹慎処分…!?あの優等生代表みたいな顔した緑谷君が…!!??』

『しかも喧嘩って青春っぽ……なんかいいな。ねえ心操君私と喧嘩しない?個性使っていいからさ』

「喧嘩にならないだろ」

『確かに……』

「噛み締めるように言うなよ。腹立つな。」

「あれ、早川さんってああいうタイプだったっけ…?」

「2人かなり距離近いなァ…??」

「(デクくんと早川さん仲良いんだ…)」

緑谷side

「今日は事前に伝えたように特別講師を呼んでいる」

「つっても、面識は全員あるがな」

「入ってきてください」

相澤先生の声かけで体育館の扉が開いた。

「あ!岸辺先生だ!」

「特別講師って岸辺先生だったのね」

「林間合宿はなんつーか消化不良っつーか、もっと学びたいこといっぱいあったしな」

「相変わらず顔怖ェ…」

「…あれ?後ろにいるのって」

「________早川さん?」

今日の授業には特別講師を呼ぶと事前に聞かされていた。なんとなく今人気のヒーローが来たりするのかな、と考えていたのでこの人の登場は意外だった。
林間合宿で特別講師としてお世話になった元プロヒーローの岸辺先生________の後ろに、いつもの柔らかな笑顔を浮かべた早川さんが並んで歩いていた。

あれ、特別講師ってまさか…
クラスの人も同じことを思ったのか、先ほどよりも声のボリュームが上がっていた。まあ、すぐに相澤先生によって静かになったんだけど…

「林間合宿でもお世話になった岸辺さんと、」

『普通科C組、早川マキマです』

「…と、まあ、知らない奴は居ないよな。特にA組は体育祭で彼女にとことん折られたし」

そこまで言うと相澤先生は僕達に目配せをした。僕達、と言うか、かっちゃんや飯田くん…体育祭で彼女に負けた生徒達に。
かっちゃんは案の定顔を鬼のようにして早川さんを睨んでいた。意外だったのは轟くんが分かりやすく表情を変えていたことだった。何というか、かっちゃんのような悔しさではなく焦りの色が強かった気がした。
体育祭後、各メディアは早川さんを大きく取り上げもはや知らぬ人などこの学校には誰一人として居ないだろう。そのくらいインパクトのある戦いだった。

「久しぶり。何故普通科の奴が、と思っただろう。コイツは事情があって俺が特別に目をかけてる生徒だ。」

「ケロ、事情って?」

「あー…まあいいか。大したことじゃない。」

「俺の娘だ」

「えっ」

「「「えええええーーーー!?!?!?」」」

『血縁関係はないので、そこだけ勘違いしないでください』

「そこ修正する必要ないだろ」

『もし岸辺が致命傷で死にかけても私は彼に輸血しません』

「ひっでぇ娘だぜ」

この場にいる本人達と相澤先生を除いた全員がたった今聞かされた事実を自己処理出来ずただポカーンとしていた。そして初めて見る早川さんの姿にも驚いた。
えっ、意外と口悪い…っていうかこの二人仲悪い…??まさかの父親のこと名字呼び…??
親子喧嘩と言うには温度がなく、冷戦状態のような二人の空気に例外なく全員が困惑していたと思う。あれ、二人名字違うな…ちょっと複雑なのかな…

「マジかよ…!元プロヒーロー"クァンシ"に娘が居たのかよ…!!」

『………クァンシ?』

「あ」

「違う。これには訳が」

『………』

「言いたいことは分かってるからそんな汚物に群がる虫を見る目で父親を見るな」

突然岸辺先生に冷たい目線を送る早川さん。あの瞳を冷たいと言うには優しすぎる表現かもしれないが、かなり怖かったのでこれ以上は言わないでおく。

「…埒が開かないから進めるが、早川はヒーロー科への編入を視野に訓練を受けることになっている。時々こっちの授業に混ざることも増えるから仲良くしろよ」

『…、……今日はよろしくお願いします』

「マキマ、これは俺が決めた訳じゃなく」

『弁明の余地がありません。これ以上生き恥を晒す前に黙って。』

「…」

「「(娘の尻に敷かれてる…)」」

何が彼女の琴線に触れたのかは分からないけど、岸辺先生が可哀想になるくらい早川さんの表情は恐ろしかった。美人の真顔は圧が凄い。

「今日は特別訓練だ。早川対A組。早川の体力が許す限りトーナメント戦の時のように一対一で戦って貰う」

「え、体力が許す限りって…」

「ちょっとそれは…」

「先生」

「なんだ、飯田」

「いくら体育祭優勝者と言えど早川さんは普通科生徒。ヒーロー科のように普段から訓練している訳ではありません」
「彼女の実力は身を持って知っています。ですが、このルールではあまりにも不公平ではありませんか」

「問題ない」

「お前ら、ビッグ3の通形にボコされたばっからしいな。なのにまだ分かんねぇのか」

「こっちは最初から色々配慮した上で決めてる。それを不公平だと感じるんなら、」

「自分の実力を過信し過ぎだ。」

「先に言っとくが、強いぞ。コイツは。」

早川さんに目線を向けた岸辺先生。

『…』

誘導されるように僕らも視線を向けると、体育祭の時と変わらぬ微笑みを浮かべた彼女が僕らを見つめていた。

『あーあ…』

足元に転がる人、人、人…

その光景はあの日を彷彿とさせ、ただただ不快だった。

『通形先輩に話を伺いました。』

『始めに遠距離に強い"個性"を潰し、次に近接に強い"個性"の相手をしたと』

『通形先輩は"個性"も勿論強いですが、それよりも鍛えられたあの身体だからこそ成せる技術の高さが目立ちました。』

『対して私は"個性"頼りの経験の浅い普通科生徒。勝敗なんて、決まっているも同然でしょ?』

「ッ…」

『どうして生き残っているのが君しかいないの?』

『緑谷君』

普通科一年 早川マキマ 

個性:"支配"

自分よりも程度が低いと認識した者を自在に操ることができる。

「…やっぱアイツ独裁者の方が向いてるな。」

「お前ら出ないのか?体育祭のリベンジは?」

「仮免取ってないんで」

「ケッ」

「律儀だなお前ら」

「開始1秒で緑谷以外ダウン。まあ、アイツ相手に1人でも生き残っているだけ凄いよA組は」

「緑谷出久。アイツの何がマキマを上回ったのか…」

『…』

父親のヒーロー名が昔惚れた女の名前だった話、聞く?
ドン引きですよドン引き。なにヒーロークァンシって。学生の時に周りに勝手に決められて改名する間もなく今日まで来てしまったらしいけど、ちょっと流石にキモい。父親のヒーロー時代の活躍なんて興味ないのでヒーロー名すら知らなかった。ていうか岸辺が私に知られないよう排除してたなこれ。
それで精神乱されて調整ミスって緑谷君以外ダウンさせてしまった。というか一対一のはずだったのに岸辺に好きにやれって言われて通形先輩式で一対多になってしまったのだ。いやーん私つよーーい!!本当は全員の意識飛ばすつもりだったのに緑谷君だけ耐えて何か生き残ってた。テンションおかしくなってお喋りし過ぎたしなんかもうイヤーーーー!!!!!

「やっぱ強いねッ…!早川さんは…!!」

「君の個性を聞いてからずっと思ってた、相手を判断する基準があまりにも甘過ぎる、って」

「それじゃ瞬殺されて終わり…君に手も足も出ない」

「でも、」

「君の独断と偏見は、僕が君よりも程度が高いと判断した」

「一度手合わせしてみたかったんだ!早川さんと!!」

『…』

真っ直ぐでキラキラ輝く瞳。その瞳が綺麗なことだけを見てきた訳ではないって、知ってる。

「ッ、速っ、」

「(動きに無駄がないしスピードも速い、そして明らかに"慣れ"てるし個性だけじゃなく近接もすごく強い…!!)」

『ははっ、』

『強いね!緑谷君!!』

「君こそ!!」

うーーん、考える隙を与えない為にとにかく攻めて攻めて攻めまくってるけど、全然体勢崩れないし速度も落ちない。きっと押されてる今の状況でも私に勝つ為にその賢い頭を働かせ続けてるはず。
近接は得意だよ。マキマさんの身体能力がそのまま引き継がれているから能力なしでも超強いもん。おまけに相澤先生の特別訓練にも参加し始めたからどんどん磨きがかかってきてる。でも君の個性とは相性最悪だから、"支配"出来ないんじゃちょっと不安かも。
こんな無駄なことを考えながらも緑谷君に攻撃を続け、フェイントで次の動きを誘導した後彼の頭目掛けて蹴りを入れた。あ、モロに受けたな。

ヤッッバ、これ楽しいな…!?

「ぃ"、〜ッ…」

「("支配"が効かない以上後は僕と早川さんの力比べ…!!それなら、)」

『!』

「負けっ、ない!!」

『ぅわ、』

「ッッ、よしっ!!!」

いきなり背負い投げかよ、しかも緑谷君個性使ってないし…
確かに、単純な力技じゃ敵いっこないよ。君はヒーロー科で鍛えまくってる男の子で、私はあくまで自己流の訓練してる普通科の女の子だもん。それじゃあ緑谷君よりも背の高い私との体格差を考慮したとしても勝ち目はなし。
受け身を取りながら緑谷君を視界に入れた。

『"伏せ"』

「っ!!」

『やっぱ効き弱いな…』

床に伏せた後、すぐに起き上がり私と距離を取る緑谷君。
完全に支配出来なくても、一瞬の隙を付けば動きくらいなら止められるんだよ。一本取ったからって油断しないでよね。簡単に程度が低いとか高いとか言ってたけどね、相手によっては勝てる所も負ける所もある。普通のことでしょ?君には思考や判断力、前向きなその姿勢、精神的な所は負けてばっかり。でも、個性抜きの単純な技術なら負けてるとは思ってないよ。

君の強い精神力を崩すのは骨が折れるけど、頑張ってみようかな。

『ねえ』

『私が普通科の生徒だからって手抜いてる?』

「えっ、?そんなこと」

『なら何で個性使わないの?私が君を"支配"出来ないのは気付いてるよね?』

『身体強化の個性…君に"支配"が効かないんじゃ私は圧倒的に不利な立場にある。それなのに決着は付かないし君は引きの姿勢が目立つ…』

『手を抜かれているか、遊ばれているとしか思えない』

『…天下のヒーロー科様は随分と余裕そうだね、羨ましいよ』

「は、ハハッ…余裕なんて、最初からないよッ…!」

「君の周り、」

「わざとか分かんないけど、仲間が敵の周りに何人も倒れてる…こんな状況で100%の力で敵に攻撃は出来ない、!」

『…!』

「その顔、気が付いてなかったんだね」

「ヒーローはいつだって救助優先だろッ、」

『ぁ』

私の動きが止まった隙をついて、私の半径1メートルに倒れていた生徒は緑谷君によって避難させられた。

救助とか、考えられてなかった。いくら今が一対多の状況で、倒れている人達が私の仲間じゃなかったとしても、緑谷君が本気を出せない理由に気付けなかった。

『…、』

「隙、だらけ…!!」

『ッ、"伏せ"!!』

「効かない!!」

『ぅ"、』

彼を支配は出来なくて、防ぐことも出来ずお腹に彼の一撃を喰らった。

「きっと、技術や能力の高さじゃ僕は君には敵わないっ、でも!気持ちは今の僕の方が強かったッ!」

「無傷のまま全員救うんだろ!!」

「そんな志を持った人間がッ、救助のことを忘れてどうするんだ!!!」

『…ッ、』

「そこまで」

「緑谷の勝利」

「早川、立てるか」

『ぅ…』

「あっ、早川さん駄目だよ、ゆっくり起き上がらないと、」

「大丈夫?ごめん、力込め過ぎたよね…!?」

『ううん、平気。私も鍛えてるから』

勝者は緑谷君。まともに私と戦ったのが緑谷君だけだったので他のA組生徒は今回は負けとなった。
支配を解くと、他の生徒達が目を覚ました。眠っていたので何が起きたのかさっぱり把握していないようだ。相澤先生に負けだと伝えられてみんな驚きの声を上げていた。

「何が不公平だって?」

「「……」」

「見学の爆豪と轟、今回唯一まともに早川と対戦した緑谷を除いた17名。お前らこれが実際の現場だったら即死だぞ。分かってんのか」

「「はい……」」

「この結果を考慮して、今回は早川の勝利とする」

『!』

『せんせ、』

「これが合理的な判断だ。悔しい気持ちもあるだろうが、実際お前は17人を開始早々戦闘不能にした。当然の結果だよ」

「今回はお前の勝ちだ。早川マキマ」

「以上、今日の授業はここまで」

『…』

嫌な勝利だなぁ…私、緑谷君に負けたのに。
岸辺は私に目配せをして、相澤先生と話があるのか今は体育館を後にした。彼なりの配慮だろうなぁ。私、負けず嫌いだからこんな結果で終わって納得してないって分かってるだろうし。あれ、てか八つ当たりされるのが嫌で逃げたのでは???
はあ…まあいいか。切り替え切り替え。

『緑谷君』

「早川さん!どうかし…」

『ん?』

「ヒュッ」

『…そろそろ慣れてよ。』

「ご、ごめん!き、緊張して…」

『この前はありがとね、あれ嬉しかった。』

「この前って…あ、あの夜の?」

『うん』

「そんな!改めて感謝されるような立派なことは言ってないし、むしろ上から目線だったなってあの後かなり後悔したくらいで…」

『あーうん、ストップストップ』

緑谷君に声をかけるとA組の人が揃って私達を見た。
なんか変に注目されがちだなぁ…?私の行動そんな気になります??あ、私美少女だから美少女の動きはそりゃあ気になっちゃうよねぇ!仕方ない仕方ない!!

ま、そんなのは置いておいて。緑谷君、君教師とか向いてると思うよ。私夏って気が沈みやすいんだよね。あの夜も結構調子悪くて困ってたんだ。
君には大したことじゃなかったかもしれないけど、私は救われたよ。

『私も君と手合わせしたいなって思ってたの。だから、今日すごく楽しかった』

『あと、隙を作ろうと思って酷いこといっぱい言っちゃったの謝りたくて。ごめんね』

「いやいや!そんな、わざわざ謝らなくても!」

『ダメ。こういうのはちゃんとしなきゃ』

「律儀だ…」

『緑谷君のお陰で一番大切なことが分かったよ。もう見失わないから』

『君はすごいね、流石だ』

流石、主人公サマ。けどそうじゃないよね。主人公でも主人公じゃなくても、君が元々そういう人なんだよね。

「ん、?」

『握手、してくれないかな』

「! もちろん!」

『あと、』

「?」

『サインも欲しいんだ』

「……んん???」

『私、緑谷君のファンになっちゃった』

「えっ」

この後、A組生徒の叫び声が校内に響いたのは言うまでもない。

最初は強い子だと思った。

恩師が一人で育て上げたというその少女はやけに大人びていて、特徴的な瞳は何を考えているのか分からず心を閉ざしているようにすら見えた。
成績優秀、品行方正、絵に描いたような優等生。体育祭では普通科でありながら圧倒的な実力で優勝して見せた。轟と対戦した際、途中から柔らかな笑みが抜け落ち心底つまらなそうな表情をしていた。上鳴の時と同じ技を使った瞬間は彼女の怒りを感じた気がした。あれは轟の炎を使わない戦い方に対してのものだったと予想していた。相手の事情はどうであれ、あれでは手を抜かれたと感じてもおかしくはないからだ。

『________え?あの時?別に怒ってませんでしたよ』

『私では彼の本気を引き出せなかった。それだけのことです』

後日、それとなく本人に尋ねるとそんな答えが返ってきた。彼女が答えたことはそれ以上でもそれ以外でもなく、不思議そうにこちらを見つめる金色の瞳に思わず目を逸らしてしまった。

そこまで関わりがある訳でもなく彼女の今しか知らない俺だが、早川はどうも物事を自分と切り離した物として見ている節がある、と思う。まず感情の起伏が少ないし、俺が知る限りでは常に冷静だった。父親である岸辺さんの前では確かに普段より年相応な態度だったが、それ以外があまりにも冷静過ぎた。それが顕著に現れたのは、やはり神野のことがあった時だろう。

『私を処分してください』

『私はこの世界には必要ありません』

思わず息を呑んだ。
金色の瞳は相変わらず何を考えているのか読めなかった。だが、早川が心からそう思っているのは嫌でも伝わってきた。彼女の感情はそこには存在していなかった。ただこの世界へのメリットを考えた結果そうなったと、それを受け入れている彼女の姿勢があまりにも痛々しかった。

『ッ、ヒーローにっ、なっても、いいですかッ!!』

あの時、あの言葉が彼女が人間になった瞬間だっただろう。オールマイトの涙。それが早川の感情を呼び起こした。自分ではそうは出来なかっただろうなと、教師として悔しい気持ちが僅かに浮かんだ。

その後の早川の様子は何かに吹っ切れたようにスッキリとしていた。校長に改めて注意喚起されている時も、オールマイトに感謝されている時も、そして俺に今後の訓練などについて聞かされている時も、それぞれの感情が表情に分かりやすく表れていた。特に俺と話している時は「うわめんど」という言葉が顔に浮かんでいるようだった。そんな顔するなお前のことだぞ。
今までの態度は素ではなかったんだと分かった。岸辺さんが言っていたマキマ被り…というのが何かは未だに理解は出来ていないが、それがなくなった彼女は健全な10代の姿と言って良いだろう。

『せんせぇわたし捕縛布いらないですぅ…』

『心操君が捕縛布使う理由は分かるけど私要らなくなぁい…??近接めちゃ得意なんですけど…??」

「緑谷に負けたくせに」

『ブーメランだぞそれ』

「はぁ……」

お前今までよく隠していられたなその性格。

元々行っていた心操への特別訓練に早川を迎え早数週間。あの大人びていて感情の起伏が少なかった早川はどこへやら。うちのクラスの問題児に負けない口の減らなさが目立つようになった。素でいられるのは望ましいことだが、以前との差が激し過ぎて最初は対応に困った。心操はだいぶ前から知っていたようで動揺したりせず、たまに反応してやったりもして2人の関係は良好のようだった。

「立て早川。俺は非合理的なことはしない。意味分かるだろ」

『はい……』

「緑谷のような"個性"が効かない相手や、単純にパワー差で負けるオールマイトみたいな敵が現れたらどう対処する」

「前回みたいに殴られて終わるか?」

『……』

「分かったなら再開しろ」

嫌々、という顔で捕縛布を手に持った早川。顔に文字が書いてあるかのように考えていることが伝わってくる。本当によく隠していられたな今まで。
口では嫌だ何だと言っているが、覚えは早いし容量も良く、この調子ならあっという間に扱えるようになるだろう。あとは本人のやる気次第と言ったところだ。

『…??これどうなってるの…あれ、ちょ、心操君、』

「おい、待て動くなそれ以上触るな」

「なんでこの一瞬でそんな絡まり方するんだよ…」

『私が聞きたいんですけど』

「…お前意外と不器用なんだな」

『先生まで…!!』

やはりまだまだ時間がかかるかも知れない。

早川マキマ(成り主)

心機一転ヒーロー目指して頑張る所存。
神野のことが結構トラウマになっている。ガワはマキマさんでも中身は一般ピーポーなので度々悪夢にうなされる。でもすぐに見なくなりそう。中身もマキマさんに引っ張られつつある。
緑谷君とは割と仲良し。正義感溢れる感じがなんとなく苦手だなぁと思ってたけど実際会話してたら気にしなくなってきた。定期的にマシンガントークのターンがあるのがツボでおもろい。長話は嫌いなので早い段階で止める。
実力はあるし強い。緑谷君には精神的な面では勝てそうにないと思っている。主人公に勝てない=その他の方々には勝てる=緑谷君以外は支配可能 という考えで落ち着いた。最強の阿保の再来。
捕縛布とかただの布だろこんなんで人を捕まえられるかよ。とスパルタ訓練の時常に思っている。

岸辺さん

成り主のパパ。たまに雄英で特別講師してる。
神野の時偉い人に結構怒られた。なんとか許してもらえた。公安の時(前世)の記憶有り&倫理観はあまりないので成り主が神野の件でしたことは気にしてない。逆に悪夢見るくらい気にしてるのか、ってびっくり。本来のマキマを知っているので成り主なんて可愛いもんだと思ってる。
でも成り主に八つ当たりされるのはマジ勘弁なんでさりげなく退出。触らぬ神に祟りなし。
学生時代ぽろっと口にした昔惚れた女の名前を友人に聞かれており、ヒーロー名に悩んだ際に勝手に決められた。娘にドン引きされた。

緑谷君

なんか授業で手合わせした他クラスの美人にファンになりましたとか言われて言葉が出なかった。マシンガントークを定期的に成り主にぶつける。個性関連やメッセージ上なら普通に会話出来るけど面と向かって話すのは緊張して変な声が出る。
君教師向いてるよって何の脈絡もなく成り主からメッセージ来て何かの隠語かと無駄な深読みをした。

相澤先生

気にかけてやれと言われたのでたまに成り主に声をかけてる。感情の起伏が少なくて冷静な子供だと思っていた。そんなことは全然なかったと最近思い知った。
今の方が学生らしくて好ましいなとは思ってる。

心操君

コイツにも苦手なことってあるんだなと思った。
成り主は仲良い友達と思ってる。一緒に訓練してるので仲間意識も強まってきた。でも喧嘩に勝てないのは分かっているので丁重にお断りしている。

— End —

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