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生まれ変わったらラスボスの伯父だった件 2

ザクロザクロ

久しぶりの投稿だったんですが、楽しんでいただいてる方がいるようで良かった。これは二、三年前に書いてたものでストックが切れると更新が遅くなるタイプなのでゆるゆる見ていただければ。 前作へのいいね、ブックマーク、スタンプ等ありがとうございます! 過去作についたコメントなども今更ですが返信はしていく予定です。 *近況 最近FGOに再熱しまして、久しぶりにストーリーを走りました。 もともと終局のあたりでとてもハマっていたんですが、二部七章という好きなもの詰め合わせセットみたいな内容に頭が焼かれた気分です。 恐竜、銃、神話、宇宙人、地下世界、古代文明。夏休みの自由研究で博物館、科学館に行くみたいな気持ちですごく楽しかった。 特にlb7主従が癖に刺さりすぎていて、これも書きたいなあとなってます。 ◇1/18追記 ありがたいことにランキングに載りました。 2024/01/17の[小説] 女性に人気ランキング69位です。 いいね、ブックマーク、コメント、スタンプ等改めてありがとうございます。 ◇1/19追記 また別のランキングにも載ることが出来たようです。 2024/01/18の[小説] デイリーランキング70位です。 本当にありがとうございます。

注意

・自分用に好き勝手書いてる
・キャラ崩壊
・なにもわからん
・原作読んだのはるか昔
・中身に整合性を求めるなを合言葉にしてる

以上で大丈夫な方はどうぞ

「ええっと、もう一回言ってくれるかい」

きっと聞き間違えだ。そう。きっと。
そう心の中で唱え、目の前のベッドについた妹にもう一度尋ねる。

「トム・リドル・ゴーント、この子の名前」
「……そうか、トム・リドル・ゴーント……」

そっかあ……聞き間違えじゃなかったのだね。その、名前なのか……。未来のラスボスの本名とニアピンどころじゃないんだが。
 憂いの篩の手配は間に合わなかったから、結局原作について思い出すことはなかったのだけど。もしかしてうちの甥って、ラスボスになるのか。
 どう育てたら良いんだろう。

「トムと言うのは父親の名前からとったのだろうけど……それでいいんだね?」
「……はい。私のせいで父親のいない子にしてしまうのだから、せめて名前くらいは父親の繋がりにしたくて」
「そうか。良いとも悪いとも言えないが、まあ分かった。このリドルと言うのは?」
「向こう方の姓です」

それにしてもメローピーの方もちょっとどうにかしないといけないな。引きずり過ぎだろう、これ。捨てられた男にすがりすぎの名前じゃないか。
確かに、ミドルネームに相手方の姓を付ける事もあるけれど、それは基本的に嫁入りした側の姓を残そうと言うもので離婚した今リドル姓付けるのはちょっと。ただこれをはっきり言うと妹の今ボロボロの精神はまいってしまうのが分かるからなんとも言えない。
それに、私自身のネーミングセンスの無さは自分が一番良く知っているので、なら代わりの名前は?なんて聞かれてしまうと困る。

「……まあ、お前が親だ。決めたのならそれでいいよ」

後年、名前に悩んでいると相談された時には改名手続きの手助けくらいはしよう。メローピーの腕の中でタオルに包まれて眠る小さな産まれたばかりの甥っ子にそう誓って、これ以上名前についての言及は避ける。

「ありがとう、お兄さま」
「構わないよ。それより、お前も疲れただろう?乳母も雇ってあるからゆっくり眠りなさい」
「はい、おやすみなさい」

まあ、乳母が到着するのは明日以降の話なんだが、一応妹が産まれたばかりの頃に面倒を見ていた事もあって私も赤ん坊を見ている事くらい出来る。
眠っている甥を受け取って、部屋を出る。と言っても向かうのはメローピーの寝室の隣、産まれてくる赤ん坊にと用意していた部屋だ。
扉を開けば、真新しいベビー用品が出迎えてくれる。どれも今日からの日々の為に買ってきたものだ。一先ず、ベビーベッドに甥を寝かせよう。

「……?」

奇妙な感覚。

「……魔力?」

魔力が無理やり押し入ってくるようなこの感覚には覚えがある。けれど、そうなる理由が見当たらない。ここには自分と産まれたばかりの甥しかいないのだから。

「……もしかして、お前が?」

そう、甥しかいないのだ。この奇妙な感覚が私の知るものと同じであるなら、甥が私に対して開心術を仕掛けてきた事となる。幸いにも貴族社会チックな魔法族社会に生きる者としてこの手の術には耐性をつける意味で、閉心術は得意であるから心の内をみられることはなかっただろうが。

「……レジリメンス」

ベッドに寝かせた甥に向けて杖を振るう。年端もいかない甥に杖を向けたくはなかったが仕方がない。

「……!おや、防がれた。……やはりお前には確固たる意志があるね、けれどこのままでは会話にならない。話をするためだ、次の術はレジストしないでおくれよ」

もう一度杖を振るう。さて、受け入れられるだろうか。これで受け入れられれば、この甥はただ頭が良いだけの子どもではない事になるけれど、どうなるかな。

『……うん、受け入れてくれたようだね。さあて、どうにも冷静なようだしお話をしようか。なにがどうであれ君は今、私の甥なのだから』

心のごく表層に迎え入れてくれたからにはやはり、ある程度以上の魔法の知識、力量がある存在である。
警戒すべきは赤子に取り憑くような闇の魔術だが、メローピーのお腹にいるころからそんな魔術の痕跡はなかった。妹は確かにいささか精神が弱いが魔女としてはそこそこの腕前であるし、妊婦と言うのは子の害になることに鋭いのだ。しかしそんな反応はなかった。
と言うことは、同類だ。再び生まれ落ちる際に不具合があったらしい。つまりは、前世持ちだ。しかも、私のような異物ではなくこの世界の魔法使いの前世。まったく私より健全で安心した。

『……』
『黙りかい。いや、何を話すべきか困っているのかな。……安心すると良い。君は間違いなく私の甥として生まれてきた魂であるし、どんな過去があろうと今はただの新生児だ。私は君を受け入れる』

さてさて、この警戒心の塊のような彼は私を受け入れてくれるだろうか。こちらとしてはせっかく出来た前世持ち仲間でもある甥っ子なんて仲良くしたいのだけれど。
もう一押しすべきかな。誠実に対応しなければね。

『私にもね、こうして26年生きた人生の前の記憶があるんだよ。妹にも言っていない私のとっておきの秘密でね、実は結構な年寄りなんだ』

茶目っ気にウインクも飛ばしてみるが、顔をしかめられてしまった。お茶目な老人は駄目らしい。
嫌な思い出でもあったのかも知れないな。配慮にかけてしまったか。

『……そのふざけた態度は不愉快だ』
『すまないね、配慮に欠けたよ。それで君は何が聞きたいんだい?私に開心術をかけたのは状況把握のためだと解釈したのだけれど』
『…………私の立場を』
『ふむ。君は私、モーフィン・ゴーントの妹であるメローピー・ゴーントとマグルのトム・リドルの息子だ。今はメローピーが家に戻ったからゴーントの分家筋にあたるね。さて、君に魔法族の前世があることは分かるが、我がゴーント家の血筋は知っているかな』

イギリス魔法界の知識は彼にどれだけあるだろうか。魔法族であり、英語圏の人間であるだろうことはこれまでの会話で分かっているのだけれど、それだとわりと範囲としては広い。

『……おおよそは把握している。スリザリンの末裔の純血一族』
『ふむ。前世はイギリス魔法界出身かな?そう、我らはスリザリンの末裔。勿論我が甥である君もね。故にパーセルタングが生まれながらに身に付いているけれど、これは血筋のためだから驚かないでくれ。我らゴーントは蛇を友とし生きてきた家系なんだ』

赤子には少し刺激的かと思って今日は連れていないが、いつも私は蛇を連れていたりする。遠慮なく話すことが出来る上にそうそう他人に情報が流れないなんてとびきりの友だろう。
生まれた時からパーセルタングな我々の一族の家族のようなものなのだ、蛇は。

『……そうか』
『少し話がずれてしまったが、他に聞きたいことはあるかい』
『私は半純血だろう。何故受け入れる』
『純血主義の話か……』

自分の身の安全を確信したいのか。彼は考えていたより随分と冷静でイギリス魔法界に詳しい。そのうえ考えが読めないな。私の事も年代も聞いてこないし。
難しい。恐らく彼の前世はそこそこ高齢なイギリスの魔法族。純血主義者だったりする可能性もあるが、半純血である今の体を害そうとしていないからそこまで過激ではない。
ゴーントの血筋を知っているのと、言葉遣いが綺麗なことからそれなりに魔法界の上流側の人間だろうけれど、純血云々と言うのだからわりと最近の時代な気がする。
少し前まではマグルとの壁は薄かった筈だし。恐らくここ二百年内のイギリス魔法族の純血一族かな。
であれば、彼の問いにどう答えようか。

『私の考えとしては適度な純血主義には賛成だね。魔法族である家族から知識を伝達出来るのは効率が良い。血統主義は概ねそこから始まっているのだろうしね。ゆえにマグル生まれの魔法族より優位に立ち、彼らを導く存在として純血は必要だと思っている』

純血を続けるのは途中で非魔法族とならないための処置だ。必要な知識が断絶しかねないリスクは背負うべきではないだろう。
人間は古い教えを大事にする反面、必要ないと判断すれば容赦なく棄ててしまうから。

『なんと言うかな。私は種族としてマグルより魔法族が優れていると思う純血主義ではないんだ。ただお互いに知識の方向性が違うから、純粋に魔法族としての知識を探求する立場に純血一族が存在するようにしたいと考えている』

伝わっただろうか。純血主義に関して言葉にすることはあまりなかったから、少し纏まっていないのだけれど。

『……つまりは貴様は純血一族を一種、役職として見ていると言うことか』

可愛らしい赤子の顔をしかめて、彼はそう返してきた。

『そう言うことになるかな。だから、私は君が半純血である事を問題とはしない。むしろ、血の濃くなりすぎたゴーントの血筋としては良い選択であったとすら思うよ』
『……どういうことだ』
『近親相姦が何故禁忌とされるか、考えたことはあるかな?』

問いかけてみて気がついたけれど、少し前の人間だと禁忌とされていない可能性あるな。質問間違えた。
ああ、怪訝そうな気持ちが伝わってくる。

『……いや、むしろ血を護るために良く取られる方法だろう』
『すまないね、時代を考慮し忘れたよ。ええっとそうだな、血を護ると言うのを考えなければ親兄弟をパートナーとして選ぶ事は少ないだろう?ある程度の自由な交流の中であれば他人と血を繋ぐのが一般的だ』
『……ああ』
『それは本能的に近い形質の人間と交配するのを避けているのが理由となる。何故だかは……薬草だとか、鼠だとか世代交代が早いものを育てた経験はあるかい?』

魔法族はマグルとの関わりが薄れていこう本当に科学知識が更新されていない。専門に学んだわけでもない私の知識にすら追い付かない事が結構あるのだ。まあ、遺伝子分野に関しての知識は近代に発見されたものだし、私の知識がオーパーツの可能性もあるけれど。
ああ、ちょっと失敗した。この時代だと何となくの慣習くらいの禁忌だったかも知れない。

『……同じ株の系統で数世代育てると極端に弱い個体が出来るとは薬草学で……なるほど、これが動物、ひいては人でも起こると』
『その通り。人は家系的に似たような特徴を持つことが多いだろう?それは外見だけでなく内側の部分にも言える。我が家で分かりやすいのはパーセルタングだね。そう言う遺伝する形質は時に長所となり、短所となる。環境により何が長で短なのかは変化するから一概に何が優れてるとは言い切れない。……ここまではいいかな』
『……その時の環境要因の中で遺伝形質の優れているものが生き残れる、弱肉強食が理であると言う認識でいいのか』
『優秀な生徒は良いね。そう、変化する環境の中で生き残るのには一つの形質を持つのではなく様々な形質を持ち合わせた方が都合が良いんだ。ここまで言えば、近親相姦が勧められない理由はわかるね?』

私は後から疑問が出てくる事の方が面倒だと思う質だからどうしても必要な知識全てを説明しきりたくなってしまう。長々とした説明になったけれど、これで血が濃くなる欠点は判明するはずだ。
彼は随分と頭の回転が早いから説明が楽で良い。養子に迎えて次の当主を彼にするのでも良い気がしてくる。

『……形質が多用である方が環境要因で絶える可能性が低い。子孫を残すと言う原始的な種族の繁栄目的であるならそちらの方が優れていると言える』
『良くできました。環境要因に適応出来なくなる可能性が高くなる事が近親相姦の欠点だ。ああ、もちろん広く活用されているだけあってきちんと利点もある。出会いに時間を取られず心を通わせる時間も短い。故に次世代が早く生まれるし外部接触によるリスクがない……っとこれは関係ないね、すまない』
『……貴様の話が全て正しいとすれば、近親相姦を繰り返したゴーント家は形質が固定され、環境要因に弱い為にまったく血の交わりがない外部からの形質を受けいれることが最良であったから、どこかで交わっている可能性がある純血一族ではなくマグルから血が入ったことは歓迎するべきであると言いたいのか』

ここまでの話を纏めればそう言うことになるが、それだけならまだ弱い。纏めた彼も不服そうである。

『それもあるけれど、血が濃くなるとリスクは環境要因だけではなくなるんだ。生物の遺伝はそうだね、情報なんだ。何に弱く、何に強いと言った情報の塊。魔方陣でも思い浮かべると分かりやすいかな。ある特定の形を保つとそこに描かれた情報に意味が出来ると言う類いのものだ』
『……それで?』
『私たちの全てが五体満足、生命維持機能に問題なく生まれるわけではない事は知っているね?』
『……ああ』
『それは先ほど言った遺伝する情報が不完全であった為に起こる。一つの魔方陣に人体の全てが詰まっているようなものだから、どこかしらの文字列、模様に抜けや書き損じがあれば不具合が起こるのは想像できるだろう』
『……これまでの話から想像するに、その遺伝情報の魔方陣のようなものの欠陥の可能性もまた遺伝形質によるものか』

頭が良い相手は本当に説明が楽だ。

『そう言うことだね。ああ、先の薬草の説明はこちらのほうが適切だったな。ともかく故に、同じ形質……血の濃くなりすぎた存在は身体に異常がみられる可能性が高くなる。目に見えなくとも脳の異常として精神疾患もだ。そうして、我らゴーントには精神疾患としてこの異常が生まれた』
『……なるほど。すでに異常がみられる血を薄めるには純血ではまだ血が濃い可能性があるのか』
『長い説明となったけれど、君の疑問は解決したかな?』

久々に昔の知識を話した。今の時代ではなかなか証明が面倒な話だから友人にも言ったことはない。けれどまあ、前世と言うファンタジーを共有できる相手なら未来人と言うファンタジーも受け入れてもらいやすいだろう。
それに彼は今赤ん坊で、調べものなんて出来ないしマグルの専門知識なんて魔法族が手に入れるには難易度が高い。今この話が科学で解明されていなくとも問題はないだろう。

『……貴様の思考は理解した。矛盾もない、嘘でもない』
『余計に混乱させてしまったかな。私としては情報収集がしたい気持ちはわかるから協力したかったのだけど……初めての同族に少し気持ちが高ぶって長々話してしまって悪かったね』

初めての甥っ子にして前世持ちなんてとびきりのプレゼントを貰った気分だったから。混乱を圧して冷静に話を聞いてきた彼には申し訳ない事をしてしまった。
昔からの悪い癖だ。話始めると長くなってしまうのは分かっているんだけれど。

『……貴様は何者だ。先ほどの知識は魔法族のものではない。少なくともこの時代にその類いの思想は存在しなかった』

彼はまだ年代の確認をしていない。私は生まれ変わった時にすぐさま把握したかった項目だと言うのに。しかし、この言い分は。
年代の確認がすでに出来ていると言うことに他ならない。つまりは、この少ない時間のうちに見た、知ったことで彼はおおよそを把握出来たと言うことだ。
つまりは、私かメローピー、もしくは彼自身を彼が知っていたことに他ならない。まあ、私のような異分子が100年以上遡って転生することだってあるのだし、彼が過去の人物であると言う仮定は不十分だったと認めるべきだろう。

『私は少々異分子であるんだ。通常、前世の記憶と言うのは過去の人物の記憶を持つ事を想像しやすいだろう。しかし、私は今から一世紀は先を生きた記憶がある。故に、君に語ったものは未来の知識と言うことになるね。この時代ではまだ形にもなっていないオーパーツかもしれない』
『……ではヴォルデモートと言う名を知っているか』

ちょっと想定外。彼は魔法族だ。私のような読者の異分子ではない。魔法力と言う我々視点での未知のエネルギーを当たり前のように振るったのだから。
これは自分の体がそのヴォルデモートだと言う事に気がついての問か否か。ハリー・ポッター本編以降にどれほど悪の帝王ヴォルデモートが民衆に掘り下げられたかは想像が付かない。どこまで話すべきか。

『ゲラート・グリンデルバルドを「歴史上最も危険な闇の魔法使い」リストの玉座から蹴落としたイギリスの闇の魔法使いだね』

当たり障りのないところではこんなところだろうか。一読者であった私としては判官贔屓の気があったから、どうにもダンブルドアの被害者のような気もして純粋な悪として見ることが出来なかった存在だ。

『それだけか?』
『ふむ、どの程度の情報開示を望んでいるのかな。私はまあ一般民衆よりかは詳しい部類であるから、当たり障りのない話をあげたけれど、未来の知識があることは確信出来ただろう?』

ハマっていた頃はウィキだって覗いていたから思い出していけばそれなりに詳しい話は出来る。だが、これは未来の知識が正しく存在しているかのテストのようなものだ。少なくともそう判断したけれど。

『……そうだな。貴様の話が正しいかはともかく、この時代より先の知識があることが真実であると認めよう』
『ありがとう。そう言う君も先の知識があるようだけど、ヴォルデモートと名が出るようだし前もこの辺りで生まれたのかい?……ああ、これは単純な興味だ。話したくないなら別に強要はしないよ』
『…………貴様が俺を甥と認識し害そうと言う気がない事は理解出来ている。しかし、何故そうも無防備に情報を開示する?』

ああしまった。まだ腹をわって話すには関係性が足りないのに、無条件過ぎたか。こう言うのはある程度五分五分にしないと警戒されるだけだ。
こう言う腹芸は苦手でどうにも最初から全開にしがちになってしまう。

『ああ、単純に苦手なんだ。何かを秘めていると言うのがね……。後々話す必要があるのであれば全て話してしまった方が楽だろう?』
『それで良くこの時代を生きていけるな……』
『話す相手を選ぶくらいの思慮はあるのさ。それに、君は私の甥だし、何より頭が回る。下手に隠すよりマシだと思ったんだ』

笑みを浮かべてうっすらと柔い毛の生えた頭を撫でる。まだふやふやで小さな体だと言うのに、ほのかに赤い瞳には確固たる理智が宿った甥。
前世なんて、軽々しく話すことの出来ない話題の共有者。それがこんなに近くにいるのだから、捕まえておかないと、ね。
今は私の有用性を示す段階だ。警戒される下手はあまり打つべきではない。発言には気を付けないと。

『……生前の私の名はトム・マールヴォロ・リドル』

爆弾がきたな。

『……いやあ……もしかして君はあれか。自分に転生しなおした口か。なるほど、そう言うこともあるのだね。……うん、つまり、さっきのヴォルデモートの件は私の反応を見たかったと言うわけか』

どうしよう。ラスボス疑惑の甥っ子がラスボス(真)の記憶持ちに。
別に甥っ子が可愛くなくなる訳ではないんだけど、どう扱うべきか悩む。

『……恐ろしいと思わないのか?』
『……いやまあ、べつに?今は赤子だし、いくら知識と記憶があろうとも後れをとるつもりはないよ。それに、ある程度詳しいと言っただろう?君がロード・ヴォルデモートとなった背景を考えるとただ君だけが悪いわけではないと私は思っていてね』

 少しずつ昔の記憶が蘇る。人の記憶っていうのはきっかけがあるとそれなりに思い出せるらしい。
そうだ。昔の私はスリザリン贔屓だった。そしてスリザリン寮卒業生の私も変わらない。まあ、私が卒業したホグワーツは多少グリフィンドール贔屓はあったけれど原作ほどではないし、スリザリンを悪とする慣習もなかったからどの寮にだって友人はいるのだけど。

『貴様はどこまで知っているのだ』
『君を孤児院に迎えに行ったダンブルドアの対応がまあ、マグル出身の孤児には最悪のものだったこととか……かな』 

自分が特別であることで精神安寧を諮っている子どもにする仕打ちではないよね、原作の対応。周りに同族はおらず、不安定な社会情勢のマグル界の一等煽りを受けているだろう孤児院育ちな子ども相手だぞ。何を考えなくとも配慮が必要なことは分かるだろう。孤児院なんてすがれる大人がいると限れないし、異分子となりやすい魔法族の子どもに友人がいるとも思えないのだから。
孤独を抱える子どもに上げて落としっぱなしなんて、言語道断だ。
ああ、文句を言い出すと色々と沸いてしまう。ホグワーツはわりと配慮にかけているんだよなあ、色々な面で。
少なくとも学校にどこにも属さないカウンセラーの一人や二人置いても良いと思うんだよね。思春期の子供の溜まり場だぞ。
 ふつふつと前世の疑問が浮かび上がった。

『おい、落ち着け。こちらは脆弱な赤子だと忘れているだろう』
『……ああ、すまない。感情を荒立ててしまった。君の精神は問題なくとも、魔力の影響が体に出てしまうのか……ごめんよ』

魔力の制御が甘くなってしまったようだ。赤ん坊は特に魔力耐性が低いのだから、気を付けなければいけないと言うのに。
本当に申し訳ない。

— End —

Comments 32

かきピー4 个月前
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カキツバタのらもも11 个月前

面白いです!

一夜1 年前
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機械式時計1 年前
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オリガミ2 年前
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上谷深凪2 年前
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みっち2 年前
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猫と星屑2 年前
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Sakuria
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