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俺がタバコを吸う理由

レナレナ

ご都合時空 シガーキス増えろ コメント待ってます

開拓の旅を続けていると何となく、何となくだけどしんどくなる時がある。そんなときは誰もいない場所で過ごすようにしている。
夜風に当たりながら気持ちの整理がつくまで煙を吹かすのが習慣になっていった。
だから今日も独り、ルトロで過ごすものだと思っていた。

 扉が開く音がする。
「こんばんは、穹。今日は夜風が気持ちいいですね」
「誰にも言ってないはずなんだが」
後ろめたい気持ちがあるわけではないのだが持っていたタバコを後ろに隠した。
「ええ、アナタが誰にも言わずに何度もここを訪れていることは知っていました」
「……そうだったな」
「最近はよく訪れていたのが気になったので」
「して、穹。今その後ろに隠したものは?」
「つまらないものだよ」
「そんなにコレを私に見られたくなかったのですか?」
いつの間にか縛られ彼女の前へと腕が引き寄せられていく。
「なぜそんなものを吸っているのですか」
口調はいつもと変わらなかったが、こちらを見つめる目は真意を問いただそうとしていた。
答えるつもりなんて無かったが、静かにこちらを見つめる彼女の目線に耐えられなくなり、彼女の問いに渋々答える。
「たまに何もかもを放り捨てたくなる日がある。そんな時だけ吸うようにしているんだ」
「……そうでしたか」
「止めないんだな」
「もしアナタが興味本位で吸っているというのであれば、今すぐにでも吸えないように両腕を縛り上げます」
「ですが、自分の苦痛を和らげるために吸っているアナタをどうして私が止められるというのでしょう」
少し気まずい雰囲気になり、彼女から目をそらして外を眺める。
ふと気づくと、指に挟んでいたはずのタバコがアグライアの口にくわえられていた。
「これがタバコの味ですか…… 私の口には合わないですね」
「そんなに見つめてどうかしましたか穹」
「いや、その、絵になるなと」
「ではアナタの前では吸っていましょうか」
「それは、止めてほしいかな」
「そういうことです」
「分かった。控えるようにするよ」
「理解してくださったようなのでお返しします」
タバコがアグライアの口から離れ、自分の口の中に移っていた。
驚いて彼女の顔を見るとほんの少し赤く染まっている。
『照れるならしなければいいのに』なんて言ったら怒られるだろうか。

 それから静寂の時間が少しの間流れた。
自重すると言った手前目の前で吸う訳にもいかず、ただ灰が地面に落ちていくのを眺める。
そんな俺を見かねてかアグライアが囁いてきた。
「その一本だけだけですよ。今宵は私も共犯です」
アグライアは箱からとっていたであろうタバコを口にくわえ、準備万端といった様子だ。
不味いからと止めてみても「先ほどまで未練がましくタバコを見ていた方はどなたでしょうか」と反論される。
ライターで火をつけようとしたら『火ならあるじゃないですか』とでも言いたいのか、アグライアがくわえているタバコをこちら向けている。
制止すればするほどこちらにぐいぐいと迫ってくる。
彼女の可愛らしいわがままだと諦め、突き出された口先にそっと近づく。
ライターと違って上手く火を点けられない。
先が赤くなるまでタバコに空気を送る。うまく点かず二、三度繰り返す。
点けるのに手間取っている間も、彼女はこの距離を楽しんでいるようだった。
火が点いて初めて近くの彼女の顔に意識が向けられる。
透き通るような白い肌、作り物のように整った鼻、目に影を落とすまつ毛。彫刻に恋をした人がいると聞いたことがあるが、今ならその人の気持ちがよくわかる。とても綺麗だ。
「やはり私の好みではありませんね」
「ろくなもんじゃないだろ」
「そうですね。ですがアナタがタバコを吸うときに今日という日を思い出してくれるでしょう?」

 今日以降タバコを吸うたび、彼女の匂いを、距離感を、この胸の高鳴りを思い出してしまうだろう。
「タバコを吸う理由が増えたかな……」
彼女に聞かれないようつぶやいた。

— End —

Comments 3

I
iso1 天前

穹がタバコ吸う系のssほんま好き

I
ih1 天前

最高でした。

N
noimage1 天前
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Sakuria
Where every work blooms
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