衣織side
私の彼女、佐々木舞香は、隠れ子犬系彼女である。
“隠れ”と言うように本当に、隠れなのだ。
メンバーとかみんなの前ではすました顔して私に一切近づかないけど、家だと180度人が変わる。
“家”だとね。
だからメンバーからもよく、
瞳「衣織と舞香って全然付き合ってる感じしないよね」
沙夏「確かに。衣織が舞香好きなのは見るからに伝わってくるけど、舞香の方は衣織のこと好きなのか全然分かんない。」
って言われる。もう何度目かも分からない。仕事中の舞香見てたらそう思っちゃうかもだけど、みんな騙されてる。
「舞香はちゃんと私の事好きでいてくれてるよ。それは私だけが知ってればいい。」
瞳「うっわぁ、衣織のくせに惚気やがった!」
沙夏「全くタラシのくせに舞香一筋なのは昔から変わらないよね!」
だから私もこうしていつもお決まりの返しをする。
だって、私の言ってることは嘘偽り何一つないもん。本当に舞香は私の事大好きだし、みんなに見せている姿と全然違う。
「あ、もうこんな時間だ。舞香別仕事から帰ってくるまであと少ししかないから私帰るね。」
とりあえず、舞香が帰ってきたらさっき私の言ったことが分かるよ。
それまでにご飯作り始めたりとかしないと。
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ジューーー
「うん、いい感じ。」
これをあと少し焼いたら晩御飯完成。
“19:30”
「……そろそろ帰ってくるかな」
多分、さっきの連絡だと舞香ももう帰ってくる。
ガチャ
ほらね。
舞香「ただいまぁ〜」
「おかえり〜」
帰ってきてまず、舞香は手を洗いに行く。で、手を洗い終わったら、
舞香「いーおりっ。」
ギュッ
「わっ、もうっ、危ないからいつも料理してる時はやめてって言ってるでしょ〜」
このように必ず後ろから私を抱きしめてくる。
舞香「だってそんなこと言ったって、楽屋とかでは全然くっつけないし、衣織いつも私が帰ってくるタイミングでご飯作ってるんだもん。」
そりゃ舞香が帰っくる時間に合わせて晩御飯作ってるからね。
舞香「んーいい匂い。今日の晩御飯なあに?」
「舞香の好きなハンバーグだよ」
舞香「え!本当?やったぁ〜」
そう言って後ろで嬉しそうにする舞香。
すごく可愛いけど、離れてもわらないと。
「ね、舞香。後でいっぱい抱きしめていいから今は離れて?」
火使ってる時は本当に危ないからね。フライパンから火が燃え上がったら舞香も私も丸焦げになっちゃう。
舞香「やだ、私衣織みたいにうるさくないしこのままでも十分料理できるじゃんか。」
「んーでも万が一の事があったら嫌だから」
舞香「……わかった。まぁいいや。あとで本当にいっぱい抱きしめるから。」
舞香はそう言うと、大人しく離れて行って最近録り溜めてあったドラマを見始めた。
「……ふぅ。」
あと少しで完成だし舞香も離れてくれたし、最後の仕上げしちゃおっと。
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……。
「……舞香ちゃん、何してるの?」
ご飯も食べ終わってお互いお風呂入るのに私が先に入ってるんだけど、この状況はなに。
舞香「ん?衣織があとでいっぱい抱きしめていいって言ったから抱きしめてる。」
……いや、そうは言ったけど、お風呂までついてきて抱きしめられるとは思わなかったんだけど。
舞香「私は毎日お仕事で衣織にくっつけなくて夜は衣織不足なの。なのに衣織があとでいっぱい抱きしめていいとか言うから。自分で抑えようって思っても衣織のこと好きすぎて歯止め効かないし、衣織があんなこと言ったから自業自得だと思う。」
と、何ともよく分からない舞香論を言われた。
でも言わせてもらいたい。毎日夜衣織不足ってどの口が言ってんの?って。……まあこれも後でわかるよ。
舞香「んふふ、こうして衣織抱きしめながらお風呂入ってると、今日あった嫌な事とか仕事の疲れが全部嘘みたいに消えてくね。」
「……っ///」
きゅーん。
私の彼女こんな可愛い事言って私をキュン死にさせる気なのかな。お風呂までついてくるなんて信じられないって思ってたけど、こうして抱きしめられてるのも可愛いから許しちゃうじゃん。
で、その後あのまま何でもない話をしながらゆっくり湯船に浸かって、お互いの髪を乾かしあって、今はまったりテレビを見ている。
もちろん舞香は私とソファーの間の定位置に座って、またもや私の事を抱きしめてる状態。
テレビ「〜♪〜」
舞香「ねえいおり〜、もう寝よう?」
少しテレビに夢中になってたらいつもの如くそう言ってくる舞香。
今日は絶対その手に乗らないぞ。
「え、まだ21時だよ?それに今これ見てるし。」
舞香「ここから録画しとけばいいじゃん。私早く寝たい。」
なんと言っても舞香は手強い。でもここで負けたら明日の私は死ぬ。
「じゃあ舞香先に寝てていいよ。私これ見たら行くから。」
このテレビが見たいのは本当。録画してあとで見るんじゃなくて、今続き気になるから今見たい。それにこんな早い時間に寝室行ったら死ぬどころじゃない。
舞香「ねぇ衣織、私眠いから寝たいわけじゃないよ?」
「……」
うん、だよね。舞香の考えてる事はわかってるよ。
舞香「今日もしたい。」
「……」
……ここだけの話、舞香の性欲は馬鹿みたいに強い。
私も性欲強いってみんな分かってると思うけど、舞香はそれ以上に強い。
2日に1回とか普通に求められるし、それも1回じゃ終わらない。何回も何回もやられる。だけど最近はより強くなったみたいで毎晩のように求められてる。
だから、正直今日は勘弁してほしいんだけど……
舞香「わたし衣織のこと食べてからじゃないと寝たくない。」
と、性欲丸出しなことを言ってくる。
だけど、毎晩毎晩激しく抱かれる私の身にもなってほしい。毎朝腰痛すぎてやばいんだから。
「じゃあ寝なければいいんじゃない?私はこれ見たら寝るけどね。」
本当に今日は絶対しないぞ。許可してたまるか。
舞香「……」
私がそう言ったら急に静かになった舞香。
……もしかして怒らせちゃった?
怒った時の舞香って結構大変なんだよな。んー、でも、これに関しては私悪いこと何も言ってない気がするし、舞香が抑えればいいだけなのでは?って思う。
「……舞香?」
ちょっと心配になって声をかけてみる。
だけどそんな心配必要なかったのかもしれない。というか自分の心配した方が絶対よかった。
ピッ
「あれ」
テレビが消された。
そして、
フワッ
「え」
舞香「衣織がいいよって言ってくれないなら勝手に食べるからいいよ。」
何が起こったのか。
私は今、後ろに居た舞香にお姫様抱っこをされて寝室に運ばれている。
ガチャ
ドサッ
そしてベッドに寝かしつけられ、上に覆いかぶさってくる舞香。
……ああもうこれ逃げられないやつだ。本能的にそう悟った。
目の前の隠れ子犬系彼女は可愛いきゅるんっとした目から、ギラギラと獲物を見つけたような目に変わり、このように時々オオカミさんになる。
いや、違う。
時々じゃなくて、毎日可愛い子犬から夜はオオカミさん化。
舞香「じゃあ今日もいただきます。」
食べられることに変わりはないなら少しでも短くなるように時間稼ぎしとけばよかったと後悔する衣織ちゃんなのでした。
おわり。
〜おまけ〜
ー翌日の朝ー
ズキッ
「いっ!!」
目覚ましの音で目が覚めベッドから体を起こすと、腰に激痛が走った。
……すっっごく痛い。ちょっと動いただけでこの痛さとか……昨日いつもより激しかったもんね……そりゃこんぐらい痛くなる……はぁぁ、今日はレッスンも雑誌の撮影も両方あるのに……。
舞香「……んっ…あ、おはよう〜いおりぃ」
「……」
舞香「……いおり、?」
……何が呑気におはようだよ。私はこんなに痛い思いしてるのに。
「……しばらくえっち禁止ね。」
舞香「え。」
「自業自得だから」
舞香も少しは我慢するべき。私ばっかり辛い思いしたくない。
そう言って痛いのを我慢しながらも用意しなきゃだからリビングに行く。その後ろをこの変態バカ舞香もついてくる。
舞香「ちょっと待ってよ衣織!しばらくっていつ!」
いつ。うーん、手始めに、
「1週間。」
舞香「え……」
普通だったら短すぎるかもしれないけど、2日に1回してた私たちからしたら、いや、私は全然大丈夫なんだけど、舞香からしたらきっと1ヶ月禁止されてるようなもの。
ほら、予想通りこの世の終わりって顔してる。
「ちゃんと守ってくれないと一生禁止にするからね。」
そう言って昨日みたいに無理やり抱かれることがないように釘刺しとく。
舞香「……い、1週間?」
「そう、1週間」
舞香「……っ、わかった。」
あ、よかった。わかってくれたみた……
舞香「1週間経ったらすぐ襲うから。」
“じゃあ顔洗ってくるね”
「……」
洗面所に向かう舞香を見て思った。
……あれ、私これ1週間後死ぬんじゃない……?
禁止令は無闇に出すものじゃないと頭を抱える衣織ちゃんなのでした。
おわり。



















