注意書
このお話は名探偵コナンのアニメがある世界で生きてた前世の記憶がある米花町民な小説家(名前は中禅寺秋子)(生粋の米花町民故に殺意が高い)(幼馴染みというブレーキがあるので辛うじて一般人してる黒幕&番犬系乙女)が。事件発生率バリ高な米花町で幼馴染みの爆処の萩原さん(現在は捜査一課の刑事さん)とショック・スリル・サスペンスなラブコメをする話。
これは自認が怪物で番犬な幼馴染みの萩原さんの強火担な主人公(番犬というかケルベロス)と年上の幼馴染みにベタ惚れだからこそ外付け良心にしてブレーキ役をしてる萩原さんの事件簿です。
なお、ヒロイン枠に収まってるのは萩原さん。
一話目。書き癖が強め。
たぶんあるだろう誤字脱字は読み流してください。
ミステリ作家として探偵小説という分野を開拓したアーサー・コナン・ドイルはその卓越した洞察力と推理力を見込まれ警察から難解な事件の解決を依頼されたという話はミステリ好きな人間ならば一度は耳にする話であり。
現代においてもミステリの大御所として知られる工藤優作が警察に捜査協力をしていることも有名な話だ。
工藤優作の秘蔵っ子、顔をメディアに一切出さない覆面作家、ミステリ界の怪物。そんな呼称を捧げられた中禅寺秋子もまた警察に捜査協力を依頼されるミステリ作家の一人であった。
解決した難事件は数知れず。
ミステリ作家でありながら探偵としても名が知られる秋子の許には時に事件の解決を依頼する手紙が届くことがある───。
コール音ひとつで電話に出た相手に秋子は助けてくださいと書かれた手紙に目を通しながら話し出す。
「あ、研二君?今度、福井県の美國島ってところにコナン君と一緒に行くんだけど着いてきてくれないかな。」
そう、江戸川コナン。毛利探偵事務所の。うん、KIDキラーで新一君の従兄弟のあのコナン君だよ~~。
「事件のフラグが立ちました。あとなんか、殺人トリックで幇助せよって私の本能が申しておりまして。」
『ステイ、ステイ。有給もぎ取ってくるから秋さんは待機!!秋さんの本能が仕事しないように絶対に一人にさせないからな!!ミステリ作家と探偵が揃ってて事件が起きない訳がない!!』
「研二君。メタいよ。」
『俺、秋さんと江戸川少年が揃う度に何かしらの事件に巻き込まれてるの知ってるんだからな?』
「なんでだろうね。コナン君も私も模範的な米花町民なのにな~~!!」
『心に修羅を飼ってる生粋の米花町民だからこそ不安しかないだよ···!』
case1 人魚の哭く島
米花町を離れ船上に居る中禅寺です。隣には私服の研二君がコナン君。そしてコナン君の友達でありライバルな西の名探偵服部平次君とガールフレンドの和葉ちゃんと挨拶してるよ。
流石のコミュ力。もう既に会話が弾んでる。何故か女子高生の和葉ちゃんとコスメの話で盛り上がれる研二君。君の話題のストックはどうなっているんだい。
和葉ちゃんと盛り上がりつつも服部君やコナン君も置いてきぼりにしない話術。非常に見習いたい。
和葉ちゃんと服部君とは今日が初対面なんだけどね。あっという間に頼りになるおにーさんポジになってる研二君が到着時間を確認しに行くのを見送ると。
服部君にそんなら中禅寺センセイにも例の手紙がきとったんやなと聞かれ、私は船酔いしつつ。胸ポケットから出版社宛に届いた手紙を取り出した。
震えた手で書かれた『このままじゃ人魚に殺される 助けて』という文章に服部君はオレんとこに届いた手紙と同じや!と頷く。
手紙には電話番号が書かれてあり、電話すれば潮騒と女のうめき声がしたというのも同じだった。手紙の送り手は門脇沙織と言い。住所によれば福井県の美國島に住んでいるという情報しか手元にはない訳だけども。
肩を軽く叩かれて振り返ると研二君が美國島について少し聴き込みしてきたと船に乗り合わせた美國島在住だという御婦人がたに人懐っこい笑顔で手をひらりと振る。
沸き上がる歓声。
研二君がまた女性がたのハートを撃ち抜いてる···。
研二君は美國島には三年前に人魚ブームがあったらしく、人魚の肉を食べて不老長寿になったって言う島袋弥琴。通称命様というおばーさんが居ること。年に一度儒艮祭りが開催されていて、それが今日だと聴き込みの成果を話す。
儒艮とはジュゴン。人魚のモデルになった海中に暮らす哺乳類のことだろうか。研二君はそのジュゴンだと警察手帳に味わい深いジュゴンの絵を描いた。服部君と和葉ちゃんがジュ、ゴン···?と宇宙を背負う。
研二君のジュゴンは外宇宙にいるような、或いは深き海底に居る大変いあいあなアレだった。ジュゴンというよりもダゴン。
ようはSAN値が減る仕様だ。
うまく描けたと笑う研二君に伸びやかな画風がイイネと褒めるとコナン君に、時には真実を告げる必要があるんだよ中禅寺先生···とジト目で言われたので私は褒めて伸ばす方針だからと顔を逸らした。
中禅寺先生が褒めて伸ばした結果がいあいあ仕様のジュゴンだよとコナン君は切れ味鋭く私に突っ込んだ。
話は戻して、美國島は風光明媚な島ではあるけれども島の経済はこの儒艮祭りで回っているような状態らしい。元々は小さな祭りだったのだけれども三年前の人魚ブーム以来、規模が拡大。
島全体で儒艮祭りを盛り上げていて、美國島は人魚がいるかもしれない島として観光客を呼び込んでいると。
(人魚もある意味怪物だけども···。)
遠くに見えてきた美國島を眺める。居る気がするのだ。怒りで怪物になってしまった人間が、あの島に。気のせいであれば良いけれども。
探偵が二人も居るからなーとボヤくと研二君は秋さんは俺から離れちゃダメだからな。松田にもリードで繋いどけって言われてると研二君は真顔で語る。
「リードを。」
「たぶん松田は秋さんをケルベロスかなんかだと思ってるんだろうな。」
「確かに研二君の番犬ではあるけれども。」
「先ずはケルベロスなことを否定しよう。なんでちょっと嬉しそうなのかな、秋さんは···。」
「だってケルベロスは飼い主に忠実でしょ。研二君の言うことしか聞かない私にはピッタリだ。」
「犬扱いなのは良いのか秋姉ちゃん。」
「吝かではないね。」
「吝かであってくれ。秋姉ちゃんを犬扱いする気はないからな。秋姉ちゃんは。秋さんは獰猛な番犬じゃなくて俺の可愛い可愛い恋人でしょうが。」
「···番犬であり恋人じゃダメかな研二君?」
「可愛い顔してもダメなものはダーメ。番犬にはキス出来ないだろー?」
つい何時ものノリで研二君と話してたら和葉ちゃんが顔を真っ赤にしてらぶらぶや~っとはわはわし、服部君とコナン君が馬鹿っプルめという目で見てきたので。
君らも何時かこうなるんだよと返すと服部君とコナン君は噎せた。うんうん、君らが幼馴染みに惚れていることはまるっとぜんぶお見通しなんだぞ~~!!
「よし、研二おにーさんがモテるテクを授けてやろう。その一、意中の相手と一緒に地獄に落ちる覚悟を決めろ。話は先ずそこからだ。」
その二、出来るだけ長生きをすること。自分が死んだら暴走する相手を残して死ぬんじゃない。その三、連絡はこまめにしろ。
「目を離すと犯罪に走る。もとい難解な殺人トリックを実践するからな──!!」
「萩原刑事。それモテのテクじゃなくて中禅寺先生の取扱い説明じゃないかな??そのテクが通用するの中禅寺先生だけなんじゃないかな~~?」
「俺は秋さんにモテればそれでいーの。」
「連絡をこまめにするっちゅうアドバイスしか役に立ちそうにあらへんのやけど。」
というかあんたは萩原研二でこのねえさんが中禅寺先生ちゅーことは。あの中禅寺先生なんか!?ミステリ作家の中禅寺秋子!?
「そんならそうってはよ言えやくどう、やなくてコナン!」
「分かってて中禅寺先生のこと先生呼びしてたんじゃないのかよ服部。」
「くど。もといコナンが先生、先生ゆうとるから学校の先生かとばかり···」
「え!?ミステリ作家の中禅寺秋子先生ってことは児童小説の『おまえはおれの。おれはおまえのものだから』の作者さんてことやんな!?アタシずっと前から先生のファンです!!サイン貰ってもええですか~~!!」
「いいよー。」
「ほんならオレもサイン貰って良いか!!オレもやけど親父が中禅寺先生と萩原さんのファンなんや···!」
親父なんかは古参勢ってヤツでな。親父の書斎に『桜、未だに五分咲き』の初版があんねん!!
「あ、今度ドラマ化するちゅー話は本当ですか?なんやお袋が若手アイドルが主演をはるゆーてましたけど···!」
「いいよーって。君のお父さん大阪府警の偉いひとでは···。やったね研二君。大阪府警の偉いひとが研二君のファンだよ!!」
というか初版本まで持ってるのか。かなり古参だね。初版は刊行数が少なかったのに。
「あとドラマ化の話は確かに来てる。まだ企画段階。」
「あー、初版は工藤先生のツテで日本じゃなくてアメリカの出版社で刊行された上にミステリ好きの口コミで徐々に広まって直ぐに重版されたけれど部数が少なかったって言ってたっけか。ん?待てよ。服部少年のお父さんってまさか···。」
「平次のお父さんは大阪府警の偉いひとです。本部長なんよ萩原さん。」
「よりによって大阪府警の服部平蔵本部長!!秋さんのファンなのは分かるけど服部本部長が俺のファンってどういうことかな服部少年──!?」
「ファンの間では有名というか。中禅寺先生の幼馴染みが『桜、未だに五分咲き』の主人公五人組のモデルの一人やって話はファンの常識。」
名前も主人公と同じとくればおのずと萩原さんがモデルの幼馴染みってことが導き出される。親父は中禅寺先生の新刊買うついでに用があって東京の警視庁に寄った時に。
「爆処に萩原ゆう警察官がおるって聞いて所属も一緒やし小説内で描写されてる容姿そのまんまやから。ああ、萩原研二のモデルはコイツかーって目星をつけたいうとったで!!」
「目星をつけないで欲しかったなぁ~~!!待ってくれ。今度研修で大阪府警に行くんだけど。」
「親父がてっちり奢ったるって言うとったな。」
「···まさか大阪府警の本部長と一対一か。」
「おう。場所はオレんちや。オレんち広いし。泊まれるで。それにお袋のてっちりは美味いから期待してくれてええで。」
「······よし。当日は松田を道連れにしよう。」
「服部君、服部君。ちなみに松田君も五人組の一人のモデルさんだよ。」
「ほんまか!?」
「やったやん平次!平次のお父さん喜ぶなぁ!」
若者。主に男子に研二君が恋のアドバイスというか、米花町民的恋愛テクを授けたりしながらやって来ました美國島。儒艮祭当日とあって観光客が犇めいている。
先ずは門脇沙織さんの消息を知る為に島の役場に向かうと三日前から行方不明だとかで。ならばと門脇さんが勤めていたという島のみやげ店に行き。
不老長寿の御守りだという儒艮の矢なるアイテムを無くし、怯えていたという情報を門脇さんの幼馴染みだという黒恵奈緒子という女性から得た。
儒艮の矢とは島袋弥琴という人魚の肉を食べて長寿となったというおばーさんが念を籠めたモノだそうだ。この儒艮の矢を無くしたことで、人魚の祟りがあると門脇さんは酷く怯えていたと。
なんや眉唾みたいな話やなと服部が呟く。門脇さんは何故そこまで祟りを恐れたのか。
引っ掛かるなと研二君を見ると門脇って子の幼馴染みが島袋弥琴ておばあさんと一緒に住んでるって話だったし、ちょっと今から話を聞きに行こうかと片目を瞑った。
「───明治2年6月24日生まれ!ウチの大おばーちゃんは今年で丁度130歳。戸籍を調べればすぐにわかります!」
もォ──。ちょっと長生きしてるからってみんな大騒ぎしちゃってと嘆息するのは美國島の神社を管理する島袋家の一人娘の島袋君恵さん。門脇さんの幼馴染みの一人だ。
「ほんで···?その大おばーちゃんどこにおんねん?」
「今、部屋で祭りで授ける三本の矢に念を込めているところです──!」
「へぇ···。みやげ店の黒江ってひとは命様は人魚の肉を食べてたって言ってたけど。実は本当のことだったりして。」
服部君と研二君の問いに島袋さんは目を小さく瞬かせ。一瞬、瞳を翳らせたあと明るく笑い。この世に人魚なんているわけないじゃないですか!と目に浮かんだ涙を指で拭う。
儒艮の矢は元々は呪禁の矢という魔除けのお守りだったのに大おばーちゃんはが長生きだったのをいい事に。昔、島の人が勝手に儒艮の矢にしたらしいって死んだ母が言ってましたと島袋さんは苦く笑う。
「亡くなられたというと病気だったのかな?」
「···いえ、五年前に父と一緒に海で。祖父と祖母も私が生まれる前に海で行方知れずに。残ったのは大おばーちゃんと曾孫の私の二人だけ。」
まるで人魚の肉を食べた呪いみたいだって言う人も居ますけど。ありませんよ、呪いなんて。
この前も沙織と本土に行きましたものと語る島袋さんに研二君と顔を見合わせた。服部君が何時かと聞くと四日前に本土にある歯医者に付き合ってくれたと島袋さんは語る。
「その時の沙織さんの様子は?」
コナン君の問いに儒艮の矢をなくしてすごく怯えていたわと島袋さんは苦笑し、大おばーちゃんに頼んでなんとかならないかって聞かれたと。
島袋さんが祟られやしないと宥めても「いや、あれは本物。人魚に呪われる」と恐れていた門脇さんに。
島袋さんは矢を渡すとき、不老長寿を信じて手にいれた人から早死にした時の苦情を避ける為に。矢を失したり矢の力を疑えば人魚の呪いが降り掛かると言っているせいかもしれないと眉を下げた。
そんなことあるわけないのに···と呟いた島袋さんにおバカさんねェ···それは君恵が命様のパワーを信じてないからでしょ──?とくすくす笑いながら現れた女性。
やはり門脇さんの幼馴染みの海老原寿美さんが否定し、彼女はマジ本物。本当に人魚の肉を食べちゃったのよとうっそり微笑む。
三年前に人魚の死体が出てきたのだからと。
研二君が顎に手を添えて、三年前にそんなニュースがあったなと記憶を掘り出す。奇妙な焼死体が発見されたんだったなと。
「···あれはTVが大げさに言ってるだけで。」
「なーに言ってるの?あんたも見たでしょ。骨が奇妙な形に砕けているあのグロテスクな···」
「──ッ」
「よせ、寿美!島以外の者にそれ以上話す事はない···」
「禄郎君、」
島袋さんに目で問うと門脇さんの幼馴染みの福山禄郎という青年が。あんたら東京から来た探偵らしいが沙織を探しているならこんなところでさっさと沙織の家に行け。
まあ、あの飲んだくれの彼女の親父が歓迎してくれたらの話だがな···と意味ありげに語って海老原さんと去っていく。
服部君が人ひとりおらんようになったっちゅうのに誰も心配してへんのやとジト目になると島袋さんは沙織はよくお父さんとケンカして家出してたからと補足する。
消えた依頼者、儒艮の矢の呪い、人魚の祟り、三年前の火事で見つかった奇妙な焼死体、人魚を頑なに否定する巫女、調査に非協力的な住民etc.
ポソリと厄ネタの気配がする···とボヤくとコナン君にまだ事件だと決まった訳じゃないから心を強く持って中禅寺先生と励まされた。
探偵が二人も揃ってなにも起きないハズがなく···。思わずナレーション染みたことを呟くとコナン君は沈痛な顔で。ボク、たまには普通の旅行がしてみたいなって思うんだよねと影を背負った。
「中禅寺先生とボク。まあまあな頻度で事件に遭遇してるような気がする。」
というかいく先々で事件に遭遇してるからボクのスマホに刑事さんのアドレスばかりが増えていくし、ボクが来た=事件の方程式が出来て刑事さんたちがざわつくけど。
ボクが行くから事件が起きるワケじゃないよね、中禅寺先生!?と遠くを眺めるコナン君に私は肩に手を置いて。
鶏が先か、卵が先か的な話になるから深く考えたらダメだよと私なりに励ましてみたけどコナン君はとうとう顔を覆った。
門脇さんの自宅はお祭りが終わったら島袋さんが案内してくれるということになった。島袋さんは今朝、急にキャンセルした老夫婦が居たからと儒艮の矢の抽選券を私と和葉ちゃんにくれた。
私は儒艮の矢を研二君に渡した。当たるか分からないけれどもこれは研二君が持っとこう。永遠の美貌はともかく長生きするようにと私が言うと研二君はあやかれるものはあやかるかと真剣な顔で抽選券を受け取る。
そこ、普通は反対とちゃうか?と突っ込む服部君に研二君には私より長生きして貰わないといけないからねと私は笑う。
私はわるーい怪物だから研二君は見張ってなきゃいけないんだよと研二君と腕を組む。という訳で抽選券、当たりますよーにとおどけて笑うと。
研二君は当たるも八卦、当たらぬも八卦とは言え。縁起は担いどかないとなと笑う。意外ちゅうか、萩原さんはそーいうの信じる質なんかと不思議がる服部君に。
俺に出来ることはなんだってやるさ。秋さんをひとりぼっちにしない為になと研二君は片目を瞑る。
和葉ちゃんに中禅寺先生って大事にされてるんやな~っと微笑ましげに言われたから。私の方が大事にしてるんだぞぅ。だって研二君が死んだら。私、なにするかわからないもん。
世界を滅ぼしちゃうかもよと研二君に張り合ったらコナン君にまた馬鹿っぷるめとジト目で言われた。大変に遺憾である。なお研二君は本気で捕まえるべきか、人魚と真顔で呟いた。研二君、目があまりにも真剣(マジ)ですよ。
なにはともあれ儒艮の矢の抽選の為、神社の周辺の出店を回ったり境内で時間を潰すことに。両片想いの服部君と和葉ちゃんが良い雰囲気にならないかなーと服部君と和葉ちゃんに二人でみておいで~と送り出して。
研二君とコナン君と福山さんの許に凸しました。何故かって?ミステリ作家と探偵と刑事の勘が色々情報を握ってると言っていたからね。
出店の店番してた福山さんが私たちを見て俺はなにも話さないが?と睨んで来たので。研二君は警察手帳を見せる。
ハッとした福山さんに「話、聞かせて貰えるか?」と人好きのする。けれども有無を言わせない眼差しで研二君は福山さんから門脇さんを含む幼馴染み勢の話や。それぞれの経歴に特技など。世間話を交えて聞き出した。
研二君のすごいところは会話すれば大抵のひとの心を開かせることが出来ること。島外の。しかも警察官ということで警戒心強めにピリピリしてた福山さんと話を弾ませて、かなり立ち入った情報まで引き出せてる。
ほうほう、幼馴染み勢は大学まで一緒で映画研究会に所属。門脇さんは特撮、島袋さんが特殊メイクを担当。島袋さんの特殊メイクもあって映画は金賞かー。
アンタたちも幼馴染みなのかと研二君が話を聞き出す為に私たちが幼馴染みなことや付き合ってることを明かしたら福山さんは羨ましい話だなと溢し、神社の境内で参拝客に甘酒を配ってる島袋さんを見る。
研二君が。ああ、島袋さんが好きなのかと手を打つと福山さんは頬に赤みを差して。
そんなに分かりやすかったか···?と顔を片手で覆うから。私とコナン君は顔を見合わせてそうじゃないかなーって思ったのは人魚の焼死体の話が出たとき。
あれは島袋さんが嫌がる気配を感じたから海老原さんの話を遮ったんだよね。島袋さんの為にとコナン君が問うと福山さんは小さく頷いて。
君恵は人魚の話をされるのが嫌なんだ。昔はそうでもなかったんだがなと島袋さんを眺めた。まあ、自分ちの倉から身元不明の焼死体が出た上に。
墓泥棒が出てその騒ぎを落ち着かせる為に苦労したから人魚が嫌いになっても仕方がないと言えばそうなんだが。
なら一緒に本土で暮らさないかと誘ったんだが断られたと福山さんは苦笑した。
「君恵の特殊メイクの技術は埋もれさせるのは惜しいし。そんなに人魚が嫌いなら。いっそ本土で暮らそうと何度も誘ってるが。命様を──。曾祖母を置いて島は離れられないの一点張りでな。」
日が沈み、いよいよ命様が儒艮の矢を授ける時間になった。神社の神楽殿の障子に小柄過ぎる老婆が、命様が儒艮の矢の抽選券の数字を炎で次々に描くと歓声が沸き。研二君は惜しくも外れたけど和葉ちゃん。
そして偶々近くに居てはしゃぐ姿を見せたことからして海老原さんが当選したらしい。
一時間後、儒艮の矢を人魚の滝で授けるという話だったので観光客と島民に混じって人魚の滝に行く。
「えへへ~。永遠の若さや!美貌や!アタシのもんや──!!」
「止めとけ和葉···。長生きしてもええことないぞ···」
「心配しいな!萩原さんみたいにな。うんと長生きして。平次の骨はアタシが拾ったげるから。」
「ハ、さよか···」
「服部少年。そこはそんなものに頼らなくたって遠山ちゃんは可愛いって思ってることをちゃんと言うべきじゃないか。」
「そうそう。和葉は今のまんまで十分にって。なにを言わすんじゃ萩原のにーさんは~~ッ!?」
「平次。そんな風にアタシのことを想ってん?」
「ぐっ···。それはその。アレやアレ。そんなもんがなくてもな。和葉のちんくしゃぶりは変わらへんちゅー話や!!」
「平次の阿呆!!長生きしたって平次の骨なんて拾ったげへんからな!」
んべっと舌を出し。和葉ちゃんは滝の前で儒艮の矢の抽選に当たったひとを呼ぶ島袋さんの許へと向かう。
当選者は和葉ちゃんとみやげ店の黒江さん。そしてお酒の匂いを漂わせた壮年の男。コナン君が変だな。もう一人は海老原さんだと思ったのにと辺りを見渡す。
研二君はコナン君を肩車して、海老原って子は来てるか?と問うとコナン君はきょろきょろと視線を動かし。ううん。居ないよ、萩原さんと眼鏡を弄りながら返す。
人魚の呪いを。儒艮の矢の効力を信じている様子だったのに···?研二君と顔を見合わせた時だった。
地上から空に走った光の柱。一条の花火が照らし出した滝のなかに、首を縄で繋がれゆらゆらと舞い踊る人魚のように海老原さんの亡骸が揺れていた。
研二君が服部君とコナン君を連れて滝の上部に行くのを見送り、私と和葉ちゃんは祭りの実行委員会と役場のひとに本土から警察を呼ぶよう指示を出しておく。
研二君は警視庁の刑事なので本土の。福井県警の人たちが来るまでは研二君の指示に従って欲しいとも。
「人魚の墓?」
「黒江って子が言うには死んだ海老原さんは三年前に発見され。島袋の大おばーさんが人に頼んで隠した人魚の墓を探してたって話だ。」
福山青年曰く。墓を探して居る時に誤って川に落ち。川沿いに張られたロープに掴まるも。
「流れが早かったことからロープの杭が抜けて首に絡まって死んだ。」
「うん、矛盾はない。まるで綺麗に整えられた文章のように粗が無さすぎるのが引っ掛かるね。」
「関係あるかわからないけど。三年前に発見された人魚の骨は本土から来た警察は中年女性の焼死体だと発表していた。」
「中年女性の···。研二君。焼死体が発見された場所は。」
「神社の倉。焼死体は倉の太い柱に押し潰される形で。腰のあたりに落ちたらしく骨は粉々。その上、本来足があるべき所に骨がなかった。」
警察は出火の原因は倉に予備があると思われていた儒艮の矢を盗ろうと忍びこんで、倉の蝋燭に火をつけたことだと判断。
「身元不明の焼死体は島袋家に引き取られ埋葬されたが盗難騒ぎがあって墓荒しを避けるため。森のなかに命様。島袋の大おばーさんが人に頼み身元不明の焼死体の墓を移した。」
「中禅寺先生!」
「コナン君。それは浮き輪かな。」
《二話目に続く》

























