お祖父様との話し合い
ーローゼマインー
お祖父様は今何処に?と、隠し部屋から出てギルに聞くと、今子どもたちと子ども部屋で話し合っていると言う。
それならこちらは先に送らせて来た魔法陣を調べてしまおうと、冊子ほどの羊皮紙をフェルディナンド様が持って来た。
羊皮紙には、用途に魔法陣に材料。
冊子にはなっているが、読むところがない!けれど、フェルディナンド様は楽しそうだ。
まぁ、向こうのフェルディナンド様が、こちらのフェルディナンド様の力を理解して書いて来たんだから、きっとこれで通じるのだろう。
「フェルディナンド様、私の魔力を流すと文字が浮き上がるんですよね?
先にそれを書き写しませんか?
多分、表で書かれているものより、他の者に見せられないものだと思うのです」
「あぁ、そうだな。
ローゼマイン、紙を貰って良いか、魔法陣などを書き写してしまいたいから。
ローゼマイン、冊子の上に手を置いて魔力を流して見てくれ」
言われたように魔力を流す。
まぶし!
「フェルディナンド様、これ魔力が多いから光り輝いてるのですか?
目に優しくないのですが」
「ローゼマイン、流す魔力を増やしたり減らしたり出来るか?
あぁ、少し魔力を絞れば眩しさは減るな。私と同魔力だと言うのに、これは何故私じゃ光らないのだろう。
不思議だな。
そのままドンドン絞れ、糸のように魔力を細くする感じだ。良いぞ、そのままだ」
「え?ちょー大変です。早く書き写してください!」
「表の文字の下にあるから、邪魔して読みにくいのだ。それから言葉遣いが乱れているぞ!
魔紙なら裏にこの文字が書けたが、まだこの頃には魔紙が開発されていないから無理だそうだ。
あまりアレキサンドリアの技術を過去に送りたくないそうだ。
不燃紙なら出来ただろうが、向こうにはトロンベがないから無理と書いてある。
ローゼマイン、魔力が多くなってきたぞ。
魔力制御の練習も兼ねて頑張れ。
よし、このインクのレシピは書き写した。
私がアーレンスバッハに行ってからは、このインクで表には書けない事をお互い書いていたようだ。
ローゼマイン、次だ。今度は自白剤だ。
ほぉー、面白いレシピだな」
フェルディナンド様を刺激する魔法陣や調合が沢山あったようで、喜々として紙に急いで書き写している。
消える文字のレシピに自白剤、それに姿を隠せるフェアベルッケンのお守りに、反対にフェアベルッケンのお守りを使ってる者が見えるアンハルトゥングのお守り、それに通信の魔術具の調合方法に、図書館のシュミルの調合方法、春を呼ぶ魔法陣←アーレンスバッハの戦闘中はこれを書き換えて冬を呼んだそう。
それに子どもたちのブローチの秘密も・・。あれは、他領に入り込めるだけでなく、フェルディナンド様とお祖父様の血でエーレンフェストの領民の証のメダルに相当するものが付与されていた。
それに最高級の魔紙の作成方法もあった。
一体この2人はどれだけ大変だったのか。
その他に使えそうな物の案は私に聞くと大抵色々な案を出すと書いてあった。
表の魔法陣でもフェルディナンド様は、ウズウズしてたのに、隠れていたのはもっとフェルディナンド様を刺激したようだ。
「フェルディナンド様、まだですか?
そろそろ限界です」
「ん?水鉄砲と言う武器をローゼマインは開発したそうだ。
中から魔力が私の真似して出ると書いてある」
全然聞いてないよ、この人!ふんぬぅ!
あ、怒ったら魔力多くなっちゃった。
「うぅ。目が!」
聞いてないフェルディナンド様が悪いよね?めちゃくちゃ睨まれてるけど!
「だってもう限界だったのです。ごめんなさい」
「ローゼマイン、明日から手足のリハビリの他に魔力制御の訓練もしよう。
子どもたちもやらねばならないからな!
一緒なら泣き言も言えないだろう?」
「えー、手足のリハビリもランプレヒト兄様厳しいのに!魔力制御もするのですか?」
「明日からは私も色々作成しなくてはならないからな。
そうだ、不燃紙は作れるのか?
ランプレヒトとエックハルトに付き合って貰って大量に欲しいのだが・・・。
ローゼマインはまだ表に出せないからな。
一度は私も見てみるか・・・」
ダメだ、マッドが刺激されてしまった。
これは当分隠し部屋に篭りそうだな。
「フェルディナンド様、先にユストクスにアーレンスバッハに行って貰わなきゃなりませんよ?
それに気付いたのですが、あのガマガエルじゃなくて、えっとタルクロッシュに似てたアーレンスバッハから入り込んだ貴族なら、アーレンスバッハのブローチ持ってませんか?
大体、あの人どうやってエーレンフェストに入り込んだのですか?
アウブの感知に引っかかってないのですよね?」
「あぁ、あれはヴェローニカの側近のブローチで感知を免れたようだ。
アウブの感知とは、入り込む時に感じるものだから、入ってしまえば分からない。
領内には沢山魔力持ちがいるからな、そこまで常に気にしてはいられないのだ。
だが、あの貴族は白の塔にまだ入っているのか?それならアーレンスバッハのブローチがありそうだがな。
カルステッドに聞いてみなければならないな」
お祖父様との話し合いは夕食後に行う事にした。
子どもたちも含めて皆で夕食を一緒に摂り、子どもたちは子どもたちの部屋で今カルタやリバーシをユストクスやエックハルト兄様、ランプレヒト兄様、コルネリウス兄様、ラザファムとしている。
ずっと緊張状態の子どもたちに少しでも気晴らしになればと、遊んであげたいとエックハルト兄様に相談されたので、カルタとリバーシを渡した。
子どもたちは、アレキサンドリアでもちろん遊んだことはあっても、大人が付き合ってくれた事は少なかったようで、とても喜んでいた。
まぁ、兄様たちが子どもたちにコテンパンにやられる未来しか見えないけどね。
その間にお祖父様と色々と話し合ってしまおうと言う事にしたのだ。
「シュティンルークから話は聞いたか?
儂も子どもたちから色々と細かい事を聞いた。
先にシュティンルークの話を聞かせて貰って良いか?」
お祖父様に先に話さなきゃね。
このままお祖父様を騙しているのは、流石に心苦しい。どちらが先に話すか?と、フェルディナンド様と視線でやり取りをする。
どうも私かららしい。
確かにややこしい話は後回しにした方が良いか・・・。
「あの、お祖父様。先に私とフェルディナンド様の秘密をお話ししても良いですか?
お祖父様に内緒のままなのは、心苦しいのです」
「なんだ?2人の秘密の話か?
フェルディナンドの出生なら知っているぞ?」
2人で吃驚してお祖父様を見つめてしまった。
「なんだ?知らないと思っていたのか?儂はアーデルベルトの筆頭護衛騎士で、実の兄だ。離宮に通うアーデルベルトに付いて行ったからな」
「ローゼマイン、少しボニファティウス様と盗聴防止魔術具で話して良いか?
「はい」
ボニファティウス様、すいません。少し良いですか?
『「子どもたちに言われました。王族にローゼマインを取り込もうとした第一王子は、ローゼマインを第三夫人にして、アダルジーザの離宮に幽閉しようとしていたそうです。」
「なんだと?まだあの離宮の建物は残っているのか?
あそこに入れたら、昔を知る者たちがローゼマインをどの様に見るか。
そこまで王族は愚かなのだな?」
「はい。ローゼマインはまだ気付いていないのですが。なんとしても王族を叩きたく」
「分かった。この件はローゼマインに内緒で儂とフェルディナンドで対処しよう。良いな?」
「はい」』
ローゼマイン、すまなかったな」
「いえ、大丈夫です。
このままお話進めますね。
フェルディナンド様のその事も含めてなのですが。
実はですね、私、カルステッドお父様の娘じゃないのです。
「は?」
えっと、実は平民の身食いで、平民の洗礼式に神殿に来て、具合が悪くて倒れてしまい、その時に神殿で図書室を見つけて。
どうしても本が読みたかったので、神殿に入れてくれと前神殿長にお願いをしまして。
「本を読みたいから?」
はい、前神殿長は、私が姉のお古の衣装で洗礼式をしたのですが、体が小さかったので色々と詰めていたので、布がたっぷりに見えた事から平民でも裕福な娘と勘違いしたようでして。
寄付金も当時カルトカールのレシピなどを商店に売ったりして稼いでいたのですが、いざ神殿に入りたいと親に言ったら凄い怒られてしまいました。
私はずっと具合が悪く、家から殆ど出た事がなく、神殿が巷でどの様に言われているか知らなかったのです。
ですが、私はとても不思議でした。洗礼式、婚姻式、それに記念式に収穫祭と人生の節目や生活に密着する神殿を何故貶めるのかが。
その後、両親と神殿に行き、私が平民の貧民の娘だと分かると前神殿長が豹変し、娘を置いて出て行けと、平民の分際で貴族に楯突いたらどうなるかと両親を脅したのです。
私は外に出るまで、自分の体調の悪さやこの身を焼くような熱の正体を知りませんでした。
私が髪飾りの手法とリンシャンの製法を売った商会の主人に、それは魔力だと私は平民では持つはずのない魔力持ち、身食いだと教えて貰いました。
ですが、魔力だと言われても扱い方が分かる訳でも、この熱が楽になる訳ではなく。
あー、きっと私は来年の今頃はもう生きていられないだろうと思っていました。
それなら好きな事をしようと思いました。
私の熱が下がるようにと両親は、薬を買って飲ませてくれたりしましたが、魔力なら薬が効く訳もなく。
そんな虚弱な私に手がかかり、母は仕事も休みがち。その上私の薬代で、働いても働いても貧乏でした。
それでも私の事を大事にしてくれる家族に、愛してくれる家族に、少しでも稼いで残したいと動いていた頃に洗礼式だったのです。
前神殿長が豹変し、両親から私を取り上げようとし、そんな前神殿長に父は楯突きました。そんな前神殿長に私は怒りの余りに威圧してしまいました。
その時、前神殿長と私の間に入って威圧を止めてくれたのがフェルディナンド様でした。
私はフェルディナンド様の庇護の元、神殿に入り、神具に魔力を奉納する事で生きながられました。
ですが、前神殿長は私の存在が面白くなくて、領主会議の頃にアーレンスバッハの貴族を神殿に入れ、私に従属契約させてアーレンスバッハに行かせようと神殿の廊下で迫られ、また私は威圧で退けたのです。
でも、もう神殿の者でなく、本物の貴族に威圧してしまい、私は家族ごと連座になる運命でした。
その前から、フェルディナンド様には私の魔力が多すぎて、シュタープを持たなくてはダメだと言われ、何処かの貴族の養子になるように言われていました。
ですが、私は家族と離れる事を躊躇し、ずっと嫌だと言っていたのです。
私の魔力が多く、このまま魔力暴走になれば下町は吹き飛ぶと教えて貰ったのですが、決心がつきませんでした。
フェルディナンド様は、従兄弟のカルステッド様に頼んでくださり、カルステッド様の家庭に入れようとしてくださっていたのですが、アーレンスバッハの貴族に威圧した事で、もうエーレンフェストの上級貴族では危険だとなり、ジルヴェスター様の養女となると決まったのです。
お祖父様?まだお祖父様と呼んで良いのか分かりませんが、私はカルステッド様の娘ではありません。
本来は平民の身食いです。
ずっと騙していて申し訳ありませんでした。お祖父様に可愛がって頂く度に心苦しく、お祖父様の養女にしてくださったのに後出しのようにこんな事を今更告白して申し訳ありません」
お祖父様についに私が平民の身食いだと伝える事が出来たけど、これも私の自己満足なのかも?と、言いながら思ったけど、もうお祖父様を騙し続ける事は嫌だった。
「ボニファティウス様、大変申し訳ありませんでした。
最初はローゼマインの魔力を魔力不足のエーレンフェストで使う事にばかり意識がいき、私もリンクベルク家に対する配慮が足りず、申し訳ありませんでした」
フェルディナンド様もお祖父様に謝ってくれた。確かに私の魔力があれば、フェルディナンド様はほっとしただろう。
あの頃、フェルディナンド様は礎への魔力供給に神殿での魔力奉納に執務にとやる事が積み上げられていて、とても疲れて見えた。
だって20歳なのに30歳かと思ったくらいだったしね!
「・・・。カルステッドの子ではないかな?とは、思っていたのだ。
それほどの魔力と優秀さだからな。
まさか平民の身食いとは思っていなかったがな。
だが、貴族は洗礼式で身元が決まる。
だから、ローゼマインは儂の孫娘で養女は変わらぬ。
はぁ、カルステッドとジルヴェスターはローゼマインが平民の身食いだと知っているのだな?」
「「はい」」
「だからか、ジルヴェスターがローゼマインから搾取するのが当たり前だと思っているのは・・・。
フェルディナンド、今後は異母兄であろうとジルヴェスターに大事は教えるな。
余計にややこしい事になる。良いな?」
「はい」
神妙そうにフェルディナンド様が返事をした。確かに!ジルヴェスター様が入るとややこしくなるんだよねー。
「それではローゼマインは洗礼式を2度したのか?では、夏産まれではないのか?」
「いえ、夏産まれです。本来の年齢は11歳です」
「はぁ。女児の年齢を実年齢より一つ下に見るなど・・・。
これだけローゼマインに3人もついていながら。それなのに衣装の用意も誰も気付いていないとは・・・。
ローゼマインは儂の孫娘だ。そして儂の養女なのは変わらぬ。
ローゼマインに要らぬ苦労ばかり押し付ける愚かな保護者から解放されたが、まさか息子ともう一人の甥までが愚かとはな!
それでは、ローゼマインには平民に家族がいるのだな?その家族は無事か?」
お祖父様が下町の家族の事を直ぐに心配してくれた!凄い嬉しい!
「アーレンスバッハの貴族が捕まった後に、神殿に下町の家族が呼ばれて・・・。
契約魔術を交わしてあります。
もう2度と私の家族であった事は話さないと言うことで」
「フェルディナンド、どう言う事だ?エーレンフェストの魔力不足を補うために、ローゼマインの魔力を使おうとして、なんだ?ローゼマインから家族を其の方は奪ったのか?
子どもたちは知っているのか?」
「アレキサンドリアでは、子どもも側近もボニファティウス様も知っていたそうです。
向こうで契約魔紙を交わしたそうですが、子どもたちは契約魔術を交わしたのに、ローゼマインが平民だった事を口に出来てしまうと相談がありました。
これは多分、契約魔術には日付けを記入するので、その日より以前のため、話せてしまうのだと思います。
ローゼマインの平民の家族との契約魔術ですが、本来なら今後を考えて家族を始末すれば後腐れないのだが、それではあまりにもだからとジルヴェスターの温情で契約魔術で済ませました」
温情?契約魔術を結んだ事は温情だったの?いざとなれば、始末すると言う私に対する人質でしょ?
「え?人質じゃないのですか?」
あ、いけない。言葉に出ちゃった。
「いや、人質ではないが?何故あれが人質だと?ジルヴェスターが始末すれば簡単だが、契約魔術でと話していただろう?」
「いつでも処分出来るぞと、私を縛りつけるための人質だと思ってました。
私が貴族社会で失敗したら、家族は専属は殺されると・・・。
だから、だから私は・・・
ちょっと待ってください。ふー、はぁー、ふー、はぁー。
どうしようもない理不尽で自分の大事にしているものが、壊される恐怖があります。
私が魔力を持って産まれたこと、それにより長く生きられないことは、悲しいけど仕方がないことだって思ってました。
皆が死ぬ時納得している訳ではありませんから。
だから、幸せに暮らしていた家族と離れなくてはならないことはまだ納得したんです。
私は生きていたかったから。
家族と離れてお貴族様にならなきゃいけなくて、そこで成果を上げなくては、父さんや母さん、トゥーリにカミルが殺されるかもって。
ずっと怖かった。
考えないようにしたし、言われるまま魔力奉納、魔力供給もしたし、お城では窮屈だった。
それでも逃げ出したら、投げ出したら下町の家族が私のせいで殺されたら、もう生きていけないって。
私が魔力を持って産まれたのは、父さんや母さんのせいじゃないし、まして私のせいじゃないけど、そんな私を一生懸命育ててくれたから。貧乏になって、お水とパンしかなくても、薬を用意してくれるほど、私を大事にしてくれたから、・・・。
良かった、人質じゃないんですね?
私が上手く出来なくても、家族は殺されない?のですよね?」
「[b:フェルディナンドー!
お前たちは何してるんだぁー!]」
お祖父様が急に大きな声を出して、フェルディナンド様を怒鳴り、フェルディナンド様が止める間もなく、お祖父様がフェルディナンド様から私を抱き上げた。
「ローゼマイン、大丈夫だ。お祖父様がちゃんとローゼマインの下町の家族も守る。
フェルディナンドもカルステッドも、ローゼマインが上手くやらなかったからと下町の家族を処分するような事はしない。
それは分かっただろう?
「はい」
だが、もしローゼマインの素性がバレたら大変な事になるな?
「はい」
だから、下町の家族たちと契約魔術を結んだのだ。
ローゼマインも知っているように、世の中は理不尽だ。話さないつもりでも、人が黙っているつもりでも、話させようとする者がいるかもしれん。
そうなれば、下町のローゼマインの家族もローゼマインも危険だ。だから、契約魔術を結んだのだ。
分かるか?
「はい」
ジルヴェスターの言う、下町の家族を処分すれば楽と言うのは、確かだ。
何故なら、高みに上がってしまえば話すことが出来ないからな。貴族は平民の命を軽く扱う。
だがな、ジルヴェスターは領主で、そしてあれはある意味狡猾な立ち回りだけはする時がある。
それはあれの母親がそう言った面が上手かったからな。それを見て学習?しているのだ。
唯一、母親の態度を真似ているのだ。
真似ることで起きる弊害は全く考えていないがな。
それでも領主は、昼間話した通り、ただの貴族ではない。領主なら、自領の領民の安全を図り、先を予測すること。その上で領民を大事にしなければならないと思うのだ。
ローゼマインを貴族にし、養女にしたなら、搾取するだけではダメなのだ。
ローゼマインも元はエーレンフェストの領民で、ローゼマインの下町の家族も領民なのだ。
だが、ジルヴェスターはアウブである覚悟も自覚も能力もない。
そのジルヴェスターにとって、ローゼマインは便利な存在なのだ。
だから母親の真似をして、そんな言葉で説明する。
あれの言った事は気にするな。だが、愚かな人間は何をするのか分からない。
ジルヴェスターには、油断するな。
ジルヴェスターは既にフェルディナンドと言う便利な異母弟がいる。問題が起きたら、なんとかしてくれると思っている。
そのフェルディナンドが連れて来たローゼマインは、初めから軽く扱って良い存在で、更に平民だったという事を知っているから、余計に気を回さない。
ジルヴェスターは、ローゼマインが言っていたように、学習も躾もされてない上に、奔放に振る舞っても構わないと自覚のあるアウブなのだ。
フェルディナンド、分かっただろう?
子どもたちの忠告をよく聞いて、ローゼマインとは細かく話し合わなければならない。
ローゼマインは、貴族の基礎がない。その上ユレーヴェだった。
フェルディナンド、上手く話せなくても良いのだ。ローゼマインには、言葉を尽くさなければ伝わらないと分かっただろう?」
「はい、分かりました。ローゼマインとは、きちんと話し合います。
大変申し訳ありませんでした」
「それで?
まだ2人からの秘密の話はあるのか?」
共有
ーローゼマインー
そこから、お祖父様にフェルディナンド様は、自分が好奇心からメスティオノーラの書と言うグルトリスハイトの原典となる書を取得した経緯に、アレキサンドリアのローゼマインとフェルディナンド様から齎された情報を全部話した。
お祖父様の顔色が青くなったり、白くなったり、赤くなったり色々忙しかったが、とにかく最後まで全部話した。
「まず、フェルディナンドの出自は、このエーレンフェストで知ってた者は儂だけだ。
その点は安心しろ。
フェルディナンド、父親から出自について何も説明はなかったのだな?
はぁ、アーデルベルトが申し訳なかったな。
先程、ローゼマインにも言ったが、フェルディナンドもエーレンフェストで洗礼式をしたのだ。フェルディナンドもエーレンフェストの者だ。
そして、儂もただの娼館かと思っていた。
そんな裏があると知らず、フェルディナンドの事を遠巻きに見ていた。申し訳なかった。儂の態度もフェルディナンドにしたら、納得出来なかっただろう。
謝って済む事ではないが、王族のツケをフェルディナンドに向けていたのだなと気付いた。
こう言った理不尽が沢山あったのだな」
フェルディナンド様に謝るお祖父様は、今まで見た事がないほどの痛みを抱えたような顔をしていた。
「いえ、私の存在がエーレンフェストに不和を呼んでいると分かっていたので。
それにジルヴェスターがアウブになるのに、私は本来なら対抗馬になります。
ですから、ヴェローニカが私へ排斥行動をしたのもそう言う事かと・・・」
「フェルディナンド、それ本気で言ってるのか?たまにフェルディナンド、周りとズレた事を言うな?
そんな訳あるかぁ!
あれはただのヴェローニカの我儘だぁ!
子どもたちではないが、あいつは本当に碌なもんじゃない!
まぁ、良い。
それで本当は子どもたち3人をユルゲンシュミットの礎に入れろと言う事だったと言うのだな?」
「はい、私とローゼマインならまだ子どもが産まれるのだから、居なくなっても良いだろうと。
本当は私とローゼマインの魔石が良いが、私たちの子どもなら全属性だから、私たちがいなくなると全属性が産まれないからと言ってました」
「よし、それなら未来のローゼマインとフェルディナンドの策に乗ろう。
アーレンスバッハの国境門を閉めて、他の国境門を開けてしまわないか?
貴族院が始まる前なら、既に大混乱から貴族院が始まるように。
それにローゼマインの言う何者かの介入の件も納得した。確かにエーレンフェストはまだ7代目だ。
礎情報を全領地知らないなどはおかしい。
だが、領地に礎を置くのは、誰だ?
この場合は、エーレンフェスト領主の初代なのか?
アイゼンライヒの礎はその場合、誰がどうするのだ?」
フェルディナンド様が顳顬トントンしながら、考え込んでいる。
「はぁ、そう言えばそうです!お祖父様凄い!まぁ礎情報はフェルディナンド様に悩んで頂いてですね、その上でですが最終到達地点を考えませんか?
私はですね、アレキサンドリアのフェルディナンド様案をやりながら、ユルゲンシュミットの礎問題も考えなくてはいけないと思うのです。
ほっといたら礎に魔力無くなってしまいますよね?」
「あぁ、そうか。ユルゲンシュミットの礎にどれだけ魔力が残っているのかも分からないな。
あぁ、どうして私たちがエーレンフェストだけでなく、ユルゲンシュミットの事を。
だが、子どもたちが狙われているのは、変わらぬ。
それに愚かなジルヴェスターに領地の者たち。そして他領に王族。最後は神々か・・・。
ローゼマインやフェルディナンドは最終到達地点を考えているのか?」
フェルディナンド様は礎のことを考えるのを一旦やめたようだ。フェルディナンド様も私を見ている。
荒唐無稽な案
ーローゼマインー
「子どもたちの話で私の教育不足や無知が知らされ、そして知らないからこその案がユルゲンシュミットの打破に繋がるのでは?とフェルディナンド様に言われ、私なりに先程から考えていたのです。
私の考えとしては、まず第一は子どもたちの安全と今後安心出来る環境を整えてあげる事だと思うのです。
これは大丈夫ですか?
「ああ、そうだな。儂も賛成だ」
「私もそう思う」
では、子どもたちの身元の問題、子どもたちの魔力問題、そして子どもたちの家族、子どもたちの将来を考えなくてはならないですよね?
貴族は魔力の釣り合いが大事なのですよね?」
「そうだ。エルヴィーラからそのうちきちんと、淑女教育と言うものがあるが、貴族は魔力が釣り合っていないと婚姻しても子どもが産まれないのだ。
そして、お互いの魔力を寄せて子どもが産まれる。
詳しい話は、儂やフェルディナンドに聞いてはならぬぞ。そう言うものだとだけ今は理解してくれ」
お祖父様とフェルディナンド様が、私への返答を譲り合い、それでもお祖父様の孫で養女にしたのだからとお祖父様が説明してくれたが、[[emphasismark:あの > ﹅]]お祖父様が顔を真っ赤にしながら早口で教えてくれた。
なるほど?ユルゲンシュミットでは、異性と子作りや魔力を寄せる話は、タブーなんだね?こちら風に言うなら破廉恥。
ふーん?と考え込んでいると、2人が心配そうに私の事を見てる。
あぁ、こんな話を若い?女性としたから?か?
まぁ、良いや。とりあえず話そう。
「それでしたら、子どもたちは未来に返してあげるべきではないですか?」
「ローゼマイン、子どもたちをアレキサンドリアに返すと言うのか?
そうしたらあの子たちは皆アレキサンドリアと共に高みに上がってしまう。
そんな事は出来ない。
何故そんな事を言うのだ?」
フェルディナンド様が、私の事を睨みつけて、一気に話す様子から、いつの間にか子煩悩な父フェルディナンド様になってたんだなと思う。
「いえ、そうではなくてですね。
あの子たちの魔力だと、この今のユルゲンシュミットでは、お相手が見つからないじゃないですか?
私にはフェルディナンド様がいます。
ですが、子どもたちと私の年齢が近く、大きくなれば子どもたちは、フェルディナンド様並みの魔力になるのは確定ですよね?
フェルディナンド様並みの魔力の人いなかったから、フェルディナンド様は独身だったのですよね?
それにですね、このユルゲンシュミットは、アレキサンドリア風に言うなら、違う織地ではなく、過去なんです。
それなら、先に問題となる者や事が分かっているのです。
それを先に排除してから、子どもたちを戻してあげれば、戻ったアレキサンドリアの問題もユルゲンシュミット内の問題も回避されてますよね?
その上、先の未来にいるのも私たちなんです。私たちが、未来で本来の年齢で子育て出来ませんか?私たちの子だと胸を張って。
今のままじゃ、フェルディナンド様と私の子どもだと公に出来ない。
パトリツィオだって、同じ父親でもエックハルト兄様は今までと同じエックハルト兄様じゃないんです。
オルフェーロなんて、両親共に違う事になるじゃないですか?
子どもたちが可哀想ですよ」
「待て、混乱している。ローゼマイン、儂に分かるように話してくれ」
お祖父様に止められたので、フェデリーコが持って来た年表を広げる。
「お祖父様、年表の見方は大丈夫ですよね?
今現在がここで、ここにアレキサンドリアから沢山のこれから起きる問題が書かれていますね?
この今のずっと先のここ。
ここがアレキサンドリアだとは分かりますよね?
ここからここまで子どもたちは送られてきました。13年前に。
それならどれくらい時間がかかるか分からないけれど、この一番端のアレキサンドリアが崩壊しないように、私たちがこちらで問題を解決させ、この一番端のアレキサンドリアが存続するようにして、最後に子どもたちをここに送り出せば、子どもたちも私たちも生き残れるし、皆でまた幸せに暮らせませんか?」
お祖父様もフェルディナンド様も呆然としながらも、考え込んでいる。
「ローゼマイン、だが、事が解決したユルゲンシュミットと子どもたちのいたユルゲンシュミットは同じにはならないのではないか?
現在がここで、この年表のアレキサンドリアになるためには、同じ道筋を辿らないとならないのではないか?
こちらで問題解決したら、第一に私がアーレンスバッハに行かない。そうなると、アーレンスバッハの地であるアレキサンドリアは建国されないだろう?」
「そうなんです、本来ならここから歴史?は分岐し、新しい歴史を刻む事になるのです。
ですが、大体においてここ、アレキサンドリアで産まれた子どもをここ、13年前のエーレンフェストに送り込んできた神々がいますよね?
安易に神々に近づくのは、絶対にまずいと私でも分かりますが、この事態を回避する手を打つならユルゲンシュミット流に言うなら、利には利を寄越せ!が出来ないかなぁと思うのです。
大体、私の家族に手を出したのです。
神々であろうと私は、家族のためなら手を尽くしますよ?私の持てる力全てを使って」
「どうなんだ?フェルディナンド。儂には荒唐無稽過ぎてついて行けないのだが、神々にそんな要求出来ると思うか?」
お祖父様がここは安定の知識人フェルディナンド様に話を振っている。
まぁ、私の案だってフェルディナンド様と詰めなきゃならないけどね!
「・・・。神々に送られて来たのだから、上手く交渉すれば可能なのか?
だが、未来のローゼマインは神々に振り回されて大変だったと子どもたちは言っていたので、この件は子どもたち交えて話さないか?」
「そうですね?ただ、子どもたちに希望を持たせて、やっぱりダメだったは、可哀想じゃないですか?
何か違う理由が欲しいです」
「大体、神々とはそんな簡単に接触出来るものなのか?
それに神々問題、ユルゲンシュミット問題、それにエーレンフェスト問題と問題が多く、儂の頭はもう一杯だ。
子どもたちの話を聞いたが、アレキサンドリアでは確かに王族に元王族、エーレンフェスト、他領と言葉巧みにローゼマインとフェルディナンドに集っていた。
神々までユルゲンシュミットの存続を2人にどうにかしろと言っていたのだ。
何故、他の者たちは、2人を自分たちの自由に利用出来ると思い込んでいるのか?
大体他領の者を好き勝手出来るものじゃないだろう?
ユルゲンシュミットの者たちの意識が低いと一言で片付けられるとは思えないのだ。
とりあえずだ、子どもたちには国境門の開閉には、魔力が必要じゃないか?その辺りの事で神々に見つからないかと聞く事が出来ないか?」
「ボニファティウス様、それは確かにそうですね。その件で子どもたちにそれとなく聞いてみますか?」
私が案を出し、お祖父様とフェルディナンド様で、現実に可能かを考えるこのやり方は良いのではないか?と思う。
だけど、神々との取引出来そうかは子どもたちに聞いてもわからなそうだな?と思った。
ボニファティウス様との話
ーフェルディナンドー
神殿の執務も行事も待ってくれない上に、考えなくてはならない事、その上作らなければならないお守りや魔術具もあり、私の身体が一つでは足りない状況になりそうだ。
この際、魔力を使うところは、ローゼマインにも手伝って貰い、同じ魔力という利点を使い作成するしかないか・・・。
しかし、ローゼマインを私の工房に入れるには、執務室を通る事になるため、どうしたら良いのか。青色神官さえ、なんとかなればローゼマインを私の部屋に入れても良いか?
何もかもが時間も人手も足りず、後4巡り程で貴族院は始まるし、その前には始まりの宴がある。
それまでにハルトムートの件もどうにかしなくてはならないな。
ローゼマインとボニファティウス様との話し合いの後は、子どもたちが寝る時間のために、次の日の朝からまた話し合う事になった。
子どもたちの事は良いが、お守りだの魔術具だのに大量に素材が必要だ。
そちらをどうするのかも相談した。
「フェルディナンド、魔力は大丈夫なのか?
神殿の魔力は、リンクベルク家が魔力と加護を増やすために皆で協力するが。
だが、魔術具作成も国境門の開閉もある。
実際のところ足りるのか?」
「アレキサンドリア物語の中で、ローゼマインが私の遺言を受け取り、エーレンフェストの国境門からダンケルフェルガーの国境門に転移、その後アーレンスバッハの国境門に転移してます。
エーレンフェストの国境門は少なくとも転移陣に魔力を籠めて転移し、次にダンケルフェルガーの国境門でも転移陣に魔力を籠めて転移陣を動かし、そしてアーレンスバッハでは大領地の礎を鐘一つ分で染め切ったということです。
この転移陣ですが、転移する人数によって転移にかかる魔力負担は当然多くなります。
その頃、私と魔力が釣り合う事になったローゼマインという事は、私もローゼマインと同じことが出来るのではないか?と思っています。
ただ、出来れば今回は魔力は籠めずに国境門の開閉だけしたいと考えています。
エーレンフェストの国境門の転移陣を動かす時に、アレキサンドリア物語ではローゼマインが国境門に魔力を流していると言う一文もあったのです。
国境門が七色に光輝いたとありました。
これは物語として書かれたのか、国境門の転移陣のある場所まで行くのに、魔力を流す必要があるからなのかが分かりません。
ですが、私のメスティオノーラの書では、そのあたりの記述が抜けているのです。
何かあった時のために同魔力だと言うローゼマインも連れて行きたいと思っています。
それに国境門に魔力が籠もれば、神々も流石に気付くだろうと思うのです。
国境門の開閉には、開閉するための魔力は必要ですが、国境門全体に魔力は流さないでも国境門から国境門には転移出来るはずなのですが・・・。
なので、国境門には魔力を流さずに国境門と繋がっているランツェナーヴェとの魔法陣を書き換えてしまい、ランツェナーヴェとは繋がらないようにする事も可能だと思うのです。
アーレンスバッハの国境門とランツェナーヴェとの魔法陣だけ書き換え、門は開けたままという事も可能だと思っています。
未来の情報から神々避けのお守りと姿を隠す隠蔽の魔術具の作成をしたら、ローゼマインだけ狙われないように一緒に行動するべきだと。
未来情報からも、ローゼマインはこのユルゲンシュミットの存続に必要な鍵だと思うのです。
ボニファティウス様、私たちが出掛けている間、子どもたちをお願いして大丈夫ですか?」
「あぁ、もちろん大丈夫だ。
それならユストクスに先に魔魚だったか?をアーレンスバッハに購入に行って貰った方が良くないか?」
そうだ。レーギッシュが大量に必要なのか・・・。
「それなら、騎獣でアーレンスバッハとの境界門まで行き、平民の商人のふりで、ユストクスはアーレンスバッハに入り込み、その魚を大量に購入して、急いで戻ってくればどうですか?
あー、ユストクスだけじゃそんなに購入出来ないですよね?
目立ちませんか?」
「それは大丈夫だ。ユストクスは、変装も得意なのだ。だが、そうだな。レーギッシュを大量購入したら目立つか・・・」
「何度も境界門越えたら、アウブの守護に触れないようにブローチあっても目立ちますよね?
んー。
子どもたちが5人だから、ブローチは5個。それなら、変装して買い物するのはユストクスだけど、魔魚を持ち帰るのは5人分まで行けますよね?
もう買い物出来ない者は隠蔽の魔術具で、姿消して荷物持ちとか・・・。
ベンノに連絡し、誰か旅商人を紹介して貰って購入して貰う事も出来ます。
ただ、こちらは時間かかりますが」
「ローゼマイン、魔魚はそもそも新鮮でなくては意味がない。なので、ローゼマインとフォンテドルフに行った時に弁当を入れて行った箱があっただろう?
あれは魔術具なのだ。時を止める魔術具だ。魔魚は購入したら、直ぐにそこに入れる。そうなると、魔術具を動かすための魔力持ちか時を止める魔術のための魔力の籠った魔石が必要になる。
魔力の籠った魔石やシュミルなどの魔獣の小さな魔石ならともかく、貴族が持つ大きさの魔石を平民が持っていたら、襲われてしまう事もある。
それに貴族は、私的な場として隠し部屋を持っているだろう?
隠し部屋を開ける事さえ出来る魔力の籠った魔石を無防備な状態の者に持たせる事はしない。
分かるか?」
こんなに丁寧にローゼマインに説明した事がなかったなと、子どもたちやボニファティウス様に言われた反省を踏まえて、ローゼマインに説明した。
ローゼマインは私の説明を聞いて、眉間を少し寄せながら、ジィーっと考えている。
「それなら、フェルディナンド様の館と神殿の間にある転送・・陣?を使って、アーレンスバッハから神殿に送ることは出来ますか?」
「それは無理だ。領内だけの転送陣なのだ、あれは。領地を超える転送陣に使う事も出来るが・・・。
転送する側も転送される側も感知するのだ。
領地を超える転送陣は、送る側と受け取る側とに分かれている。収穫祭で見た事があるだろう?」
「はい、あります。それなら混乱を呼ぶために、ユルゲンシュミットの礎の間にその受け取る側を置いておけば?どうですか?
王族はユルゲンシュミットの礎の場所も知らないのだし、染めていないならアウブの感知みたいなのをしないって事だから、バレないし。
エーレンフェストへ疑惑の目が向けられる事はないですよね?」
「そうだが、アーレンスバッハ側は自領から領地を超えて物が移動した事は分かるが、何処に移動したかまでは分からない。
だから、わざわざユルゲンシュミットの礎の間に隠すなら、国境門に隠せば・・・。
そうか。
アーレンスバッハの国境門ならアーレンスバッハ内だ。そこに転送陣で送り、そこからエーレンフェストの国境門に送り、エーレンフェストの国境門から神殿に物を移動させれば良いのかもな・・。
ユルゲンシュミットの礎の間には、ここにいるボニファティウス様、ローゼマイン、私以外の者はまだ入れるべきではない。
礎は領地の中でも最重要事案だ。
例え、側近たちにもだ」
「いや、それならそんな面倒はせずに、一回話題になっても構わないから、一気に購入しないか?
子どもたちのブローチを使い、荷物持ちを最大限連れて行き、隠蔽の魔術具で、控えさせて。
その隠蔽の魔術具持ちが何度も境界門を通り、エーレンフェストに入ったら、何処かの場所で転送陣を広げて神殿に送れば良いのでは?」
ボニファティウス様の案が一番無理がない気がする。
「けれど、1日でそんなにレーギッシュが購入出来るか分かりませんよ?」
「それもそうか・・・。
他に必要そうな物をアーレンスバッハで買うか。レーギッシュだけ購入では、目立たないか?」
3人の話し合いは鐘二つ分近くかかった。
その頃の子どもたち
ーユストクスー
フェルディナンド様とボニファティウス様、姫様が話し合いの間、子どもたちに少しでも息抜きをさせたいとエックハルトが言い出したため、皆で子どもたちと遊ぶことにしたのだが・・・。
今目の前では、コルネリウスとラザファム対オルフェーロとパトリツィオでカルタをやっている。
アレキサンドリアでもカルタで遊んでいるのだろう。子どもたちは小さな身体を上手に使ってカルタに触れてくるのだ。
対するコルネリウスも子ども部屋やアンゲリカの勉強対策でカルタをした回数が多い。
ラザファムは、自分の周り?手の届く範囲のカルタは確実に取る。まさかラザファムにこのような特技?があったとは・・・。
見習い騎士の機微さで、遠くのカルタに目を光らせるコルネリウスと近くのカルタは確実に取るラザファムに、子どもたちも翻弄されながらも、コルネリウスの動線の下を狙いパトリツィオが阻止している。
オルフェーロもラザファムと同じように自分の周辺カルタは、素早く取っている。
なかなか良い勝負なのだが、流石はリンクベルク家。パトリツィオとコルネリウスが、バチバチと睨み合い、闘志を剥き出しにしていた。
「パトリツィオ、次は右側が読まれるのではないか?」
「ふふ、コルネリウス叔父上、私に心理戦ですか?残念ですね?
叔父上から見た右ですか?それは私からは左になりますよ?
ローゼマイン様の心理戦は、既に私も知っています、その手には乗りません。
叔父上こそ、身の乗り出し方がラザファムの邪魔になっていませんか?」
相手を翻弄させようと舌戦まで繰り広げている。
私はフェデリーコ様とリバーシをしているが、角を対曲線で取り合い、互角の勝負中。
姫様に勝負のコツを聞いていなかったら、無様に負けていただろう。
まだ5歳にもならない子に負ける訳には行かぬ。
エックハルトとランプレヒトは、早々にリバーシで負け、エックハルトはフェリックス様相手にゲヴァンネンで勝負している。
バカアウブより魔力があるのだ、魔力を使う勝負も出来る筈だと・・・。
そして伯父の貫禄もなく、かなり押されている。エックハルトは、ランプレヒト伯父上に相談しても良いですよーとか言われ、歯軋りしながら追い詰められている。
そのランプレヒトは、カルタの読み手をしている。
「ユッスーが負けたら、明日のおやつは私にくださいね?」
「勝負が始まってから賭けに出るとは・・。
そんな事は認める訳にはいきませんね。
アレキサンドリアでは誰が一番強かったのですか?」
「リバーシの単純勝負なら父上ですが、ゲヴァンネンになると母上ですね。
カルタなら父上と母上の2人に私たちでやってました。
運動はからっきしの母上ですが、心理戦や作戦が奇抜なのです。
あ、ユッスーそこで良いですか?
本当に良いのですね?待ったはなしですよ?」
これは姫様の心理戦なのか?本当にまずい状況なのか?
その後は、子どもたちに翻弄されながら、大人の惨敗で終わった。
























大人組惨敗に爆笑でしたww 心理戦仕掛けてくるお子さますごいwユッスー、どんまい! ……ほんとなんとか子どもたちを帰すことができますように!(祈