SIDE:フェルディナンド
やっと頭の整理ができたので、まだ話せていないという情報を聞くべくローゼマインを呼び出した。
「その顔はヴィルフリート兄様と礎の件を確認されたということですか?」
「ああ、君の言っていたことは本当だった」
「知りすぎているわたくしは危険だからと処分されるのでしょうか?」
「いや、君が話してくれたお陰で礎は護られた。ヴィルフリートの教育も今からなら君の助けなしでも何とかなるかもしれない。君が以前のマインと別人であることや未来の情報を持っていることについては他言するつもりはないし、正しい情報を伝えてくれた君を処分するつもりはない。ジルヴェスターにも改めて記憶を見たが危険はなかった。前世では平民かつ未成人だったという情報だけ伝えている」
「それなら良かったです。安心しました。では、今日のお話というのは先日の続きを聞きたいということでしょうか?」
「ああ、少しずつ話してくれるとありがたい」
「わかりました。では、前回礎の話をしましたので、エーレンフェストの礎を狙っている人物がいることからお話します」
「誰だ?君か?」
「もしわたくしでしたら先日礎のお話はしていません。しれっと神殿長に就任して、鍵を手に入れて、礎を奪いますよ」
「確かに…」
「その人物とはゲオルギーネ様です」
「なに!?」
「前神殿長は礎のことをご存知ですので、まだご存命でしたら記憶を確認されてください。恐らく偶然鍵穴か入り口を見つけたのでしょう。しかし、シュタープをお持ちでないため自力では礎を奪えず、ゲオルギーネ様に情報を漏らしたのだと推察します。現時点であれば、恐らくゲオルギーネ様に礎の情報が暗号で書かれた手紙が神殿長の聖典の鍵で開く書棚に残っていたと思います。手紙が残っていれば、まだ情報は漏れていないはずです」
「……なるほど……手紙については後ほど確認しておこう」
「わたくしは礎を奪おうとしていたゲオルギーネ様が本当に根っからの悪人なのか甚だ疑問なのです」
「どうしてそう思う?」
「だって、ゲオルギーネ様は元々アウブになるために厳しい教育を受けられていたのですよね?それなのに男性と言うだけで弟が大した努力もせずにアウブに指名され、必死で努力してきた自分は大領地とはいえ、かなり年上のアウブの第三夫人に追いやられてしまったのですよ。弟を恨むのは自然なことじゃないですか?6つも年下のジルヴェスター様の方が魔力量が多かったというのも普通に考えると不自然です。ヴィルフリート兄様のことも然りですが、態と優秀ではない者をアウブにして傀儡にしようといったヴェローニカの意図を感じます」
「……一理あるな……」
「わたくしにも前世で弟がおりましたので何となくゲオルギーネ様の居た堪れない気持ちが分かるのです。わたくしも女というだけで、勉強で1番になっても女が学をつけても可愛気がなくなるだけなどと言われて努力を否定され、両親が可愛がるのは努力もせずに遊んでばかりの弟でしたから…。ですからヴィルフリート兄様のことも助ける気にはなれないのです」
「……」
「フェルディナンド様はアウブになりたいというお考えはないのでしょうが、例えば、自分ではどうしようもない性別や生まれなどを理由に努力を否定され、自分より能力が劣る者が優遇されていたら腹が立ちませんか?」
「そうだな、そういう気持ちになるかもしれない…」
「わたくしはゲオルギーネ様にお会いしたことはありませんし、小説を読んでそう感じただけですが、ゲオルギーネ様は普通の優秀な女性なのではと思うのです。ただ、ゲオルギーネ様が既に明らかな犯罪を犯しているという事実もございます」
「犯罪とは?」
「ゲオルギーネ様には優秀だったからこそ、未だにゲオルギーネ様をアウブにと願う信者がエーレンフェスト内に多くいらっしゃいます。問題はその信者たちの名捧げ石を持ったままアーレンスバッハに嫁がれたという点です。名捧げ石を多く所持ているのはヴェローニカも同様です。ですから安易に処分できませんし、ヴェローニカは高齢ですから多くの者の命が危険に晒されています。ヴェローニカに関しては脅して名捧げさせた者が多く含まれている点が問題ですね」
「…………問題が多すぎて混乱してきたので、頭を整理するための時間がほしい。続きは後日でも良いだろうか?」





















