かぐヤチ『直接言ってよ~』彩葉『無理無理無理!』
前回までのあらすじ。私がかぐやとヤチヨの等身大人形を買ったら寝取られ認定され、人形が見ている前で徹底的に分からせめでたしされました。その後も定期的にめでたしされています。どうも彩葉です。
「本当に、凄い目に合った……」
まさか前も後ろも全部とは……この数週間で大人の階段を10段抜かしくらいで飛び上がった気分だよ。まぁ年齢的にはもう既に大人真っ只中なわけだが……それはそれとして。
「いやこれ、どうしろと言うんだよ……?」
そんな私の目の前にどんと置かれた『人と同じサイズの紙袋』。やばい、マジ震えてきやがった……一体何でこんなものが私の家に贈られてきたと言うのだ……
「……取り合えず、開封するけどさぁ……」
あまり気が進まないが開かないことには本当に中身が『あれ』なのか確認できない。よって仕方がなく、本当に不本意だが、のろのろと紙袋から中身を取り出してみれば……
「うわぁ……まじかよぉ……」
出て来たるはあまりにも見慣れたアバターの姿。そう、『いろP』等身大人形であった。
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前回の分からせから暫く経った頃、再度公式オンラインショップから流れた新商品案内。
『ツクヨミ公式オンラインショップよりご報告です。先日はヤチヨ人形及びかぐや人形及びの予約抽選に多数の応募をいただき誠にありがとうございました。この度人形企画第二弾として、『いろP』等身大人形の政策が決定しました。つきましては日本時間の明日正午より第一次受注予約を受付開始致します。なお、受注可能数上限となり次第終了となりますので予めご了承下さいますよう宜しくお願いします』
【ツクヨミ公式オンラインショップ】
案内を見た瞬間目を疑ったよね。かぐやとヤチヨの等身大人形。これは分かる。スゲー良く分かる。かぐやとヤチヨは超絶可愛いからね……だが!いろP等身大人形ってどういうことだ!?私が公式オンラインショップで販売されるほど可愛い訳ないだろうが!?売れるかこんな物!と、どっかの氷遣いみたいな発狂セリフを吐きかけたものだ。リアル絶叫を上げなかった自分を褒めたい気持ちさえある。
しかしこの等身大人形、実際には販売されなかった。と言うのも、公式オンラインショップの通知を見たかぐやとヤチヨがめっちゃ切れたのだ。
『は?かぐやたちの彩葉を?他の奴に売り渡す?』
『いと片腹痛し……許されないよ?』
との事。そしてまずはかぐやの方。どこで覚えたのかオンラインショップの予約開始時刻と同時にF5アタック。
『デュクシ!デュクシ!デュクシ!』
サーバーを負荷でもって強制ダウンさせた(犯罪だからリアルではやっちゃだめだよ?)。もと光る竹、大丈夫なの?
更にヤチヨの方はと言えば。
『FUSHI?これ、ヤチヨ、聞いてない。どういう事?』
『お、俺に聞かれても困るって!?』
『なら、今すぐオンラインショップに販売中止命令。今すぐ、ハリー、ハリーハリーハリー!』
『ひぃっ!?』
てな具合にFUSHIを脅して販売そのものを停止させた。結果、流通に乗るどころか予約注文の段階で。
『ツクヨミ公式オンラインショップよりご報告です。様々な事情が重なった結果、いろP等身大人形の販売は中止させていただくこととなりました。ご期待いただいた皆様には誠に申し訳なく思い、深く謝罪いたします』
と言う声明を発表するにまで至ったのだ。そこまでされると逆に公式に申し訳なく思ってしまい、正直、そこまでしなくても私の等身大人形を買う人間なんて居ないだろと諭したのだが。
『かぐやとヤチヨは少なくとも二人、間違いなく買う人間を知っている……』
『あの鬼兄と、目下最大のライバルのあの子は……間違いなく買うよ……』
だそうである。鬼兄がお兄ちゃんなのはすぐに分かったのだが、最大のライバルとやらが誰なのかは私には分からず。かぐやたちに尋ねても。
『『彩葉はそのまま純粋でいてね?』』
とはぐらかされてしまった。一体何だったのだろうか?
とにかく、これでとりあえずは解決だろうか?なんて甘い考えでいたのだが、本当にそれが甘かった。
『『いろP』様へ。この度は多大なご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。つきましては試作品ではありますが、一体のみ完成していた『いろP』等身大人形をそちらに送付させていただきます。今後ともツクヨミをよろしくお願いいたします』
【ツクヨミ公式運営】
見た瞬間、『は?』と思ったよね。何を言っとるのかさっぱり理解できなかった。しかし、メールの確認をしたのとほぼ同時。玄関からチャイムの音。かぐやとヤチヨは配信中のため気が付かず。よもやよもやと思いつつ玄関で対応確認すれば郵便物、しかも見覚えのあるサイズ感の紙袋。この時点でいやマジ無理と嘆こうとしたが、金銭が要求される類のものではないものだから返品するのもなんか違う気がして受け取ってしまい、二人には決して気が付かれることの無いように速やかに自室へ持ち込み……現在に至る訳だ。
─────
「ほんと如何すればいいの……?」
何が悲しくて自分のアバターの等身大人形を飾らねばならないのか?凄いナルシストな人だったらまだしも、私には別にそう言う趣味は無いんだよなぁ。ふっつうに処理と言うか対処に困る。
「と、取り合えず、かぐやとヤチヨの間に飾ろうかな……?」
本当にとりあえずの対処としてかぐや人形とヤチヨ人形の間に……おお、なんか急にリア充に見えて来たなおい。人形とは言え羨ましいぞ私。
「……」
そうなってくるとむずむずと湧き上がってくる感情がある。本来であればそうそう恥ずかしくて出来ない、あれやこれ。それを人形視点であると言う免罪符の下にやってしまおうか?みたいな良く分からない感情。そう、これは本来の私ではない、人形がやるのだから恥ずかしくないよ、と言うアホみたいな屁理屈が生まれてしまったのだ。
「……よいしょ」
まずはかぐや人形といろP人形を向かい合わせる。そしてかぐや人形の背を壁に付け、いろP人形の腕で所謂『壁ドン』の体勢を取り。
「……こほん……あ、あぁ~……『かぐや、可愛いよ……私の大事な、お姫様?』……」
うひぃ~///恥ずかし過ぎる。なんだこりゃ。誰だよ一体。こんな臭いセリフを私が吐けるものか。RPだと分かっていても羞恥心で真っ赤になってしまう。が、これまた楽しかったりもする。
「つ、次は……よいしょ……」
続いて、ヤチヨ人形を床に寝かせる。本来ならば極刑ものだろうが……ほんの少しだけ着物をはだけさせて……いや、改めて精巧に作り過ぎだよこの人形。勿論偽物だと分かってはいるのだが……なんかほんといけないことをしている気持になる。それがまた高揚感を誘うのだから救えない。そのまま今度はいろP人形をヤチヨ人形に覆い被さるように設置し。
「……こほんこほん……ぇ~……『抵抗しないで、ヤチヨ……それとも、私のキスは、いやかな?』……」
ひゃぁ~///何言ってんだ私はさ~///こんなこと私が言えるはずなかろうが~///でも言えたら格好良いかもな~……
「……よ、よっし、ちょっと大胆に……」
最後、これで最後だから、うん。そう思いながら、二人の人形を床に座らせ、その間に私の人形を座らせる。そして、二人手が私を取り合う様に両側から腕を引っ張る形を取らせる。
「おほん!えぇ~……『子兎ちゃんたち、私を取り合っちゃ駄目だよ?焦んなくても大丈夫。私は二人のものなんだからさ』……」
いやいやいや///どこのモテ人間だよ。演技過剰も甚だしいわ。全くもう!でもまぁ、楽しいか楽しくないかで言えば楽しい気がしないでもないような気がしないでもない。何を言っているのか自分でも分かんない。
「も、もう止めとこう。これ以上は恥ずかしい上にキャラじゃないしね」
「えぇ~!もうちょっと続けて欲しいな~♡」
「いと凛々しき♡ヤッチョ、胸がドキドキしちゃう♡」
……幻聴だよね。まさかそんな、現実のわけがない。羞恥心の極みに達した私が自分を戒めるべく生み出した幻聴に決まっている。断じて、断じて!本物の訳がない!だって二人は配信中だもん!
「ね~ね~♡かぐやと面と向かって言ってよ~♡『可愛いよかぐや』って♡すっごいキュンってしちゃった♡」
「ヤッチョの唇は彩葉の物なのに、も~♡嫌なわけがないよ~♡」
やべぇ、幻聴じゃあない。これは現実の声だ。そんな馬鹿な。二人は配信中だったはずでは……?
「なんか彩葉の部屋からごそごそ聞こえてきたから、また人形の方を愛でているかもって見に来たんだよ?そしたら……きゃ~♡」
「そうそう♡あんな素晴らしき場面を目撃してしまったのよ♡もう堪んない~♡」
「ち、ちなみに、どの辺から……?」
「「いろP人形をかぐやたちの人形の間に飾ったあたりから♡」」
何で気が付かないんだよ私!馬鹿なのか!?注意力散漫にも程があるだろうが!?しかも扉に鍵をかけ忘れるとか初歩的ミスかよ!?
「それで?えっと?かぐやたちは『子兎ちゃん』なのかな~♡」
「いと愛しき~♡彩葉はやっぱりヤッチョたちのものなのね~♡」
「許して、許して、出来心なんです……///」
いっそ殺してくれぇ……そう思っていると、なんか端末に通知が……っておい!?
『かぐいろやちてぇてぇ♡『赤スパ5万ふじゅ~』』
『ご祝儀です!『赤スパ5万ふじゅ~』』
『かぐいろやちはいずれ癌にも効く特効薬になる!『赤スパ5万ふじゅ~』』
『いろPを挟むかぐヤチからしか接種できない栄養素がある『赤スパ5万ふじゅ~』』
な、な、な!?なんじゃこの赤スパの数はぁ!?わ、私、配信してないぞ!?スパチャも何もあるはずが!?
「あ、それかぐやとヤチヨの配信へのスパチャが彩葉に通知されているんだよ」
「なんでだよ!?どういう技術だよ!?」
「へへ~ん!ヤッチョさんにお任せだよ~!」
いや胸を張っている場合じゃないって!早く配信閉じて!収集付かなくなるよ!?……ねぇ、なんでじりじり近づいてくるの……?なんで手をワキワキさせているの……?
「はぁはぁはぁ♡さっきの彩葉の言葉を反芻していたら我慢できなくなってきちゃったぁ♡」
「ねぇ彩葉♡このまま……良いよね♡」
「良い訳ないってば!?せめて、せめて配信閉じてマジで!シャレになってないってば」
「だいじょ~ぶ♡画面暗転と音声ミュートにするから♡」
違う!配信そのものを止めてと言っているの!ほ、本当にお願い!待って!服を脱がさないでってばぁ!?
「じゃあ、今度は彩葉が可愛くお願いしたら聞いてあげちゃうかも~♡」
「ほらほら、脱がせちゃうよぉ♡」
「う、うぅ~……『かぐや、ヤチヨぉ……恥ずかしいからぁ……やめて、ね?』」
「「……」」
う、動きが止まったぞ!成功したか!?
「「むっはぁ~♡辛抱たまら~ん♡」」
「結局こうなるんじゃないの~!?」
こうして結局今日もまた、かぐやとヤチヨによってめでたしフィーバーされてしまうのであった。しかもきっかり二時間、暗転とミュートを生配信。いっそ配信事故として処理されてくれた方がましだった……この二時間は『伝説の二時間』として切り抜きまでされてしまった……何が楽しくて音無し真っ暗画面を二時間も視聴するのだ、と思ったのだが……これまた何故か、視聴回数は100万回を超えるのであった……なんでだよぉ……
「こっちに集中しようね~彩葉♡」
「よそ見は駄目よ~♡」
「もうむりらからぁぁぁ♡」
END♡
お兄ちゃん『え~、生産中止かよ~……折角妹を間接的に愛でるチャンスだったのによ~』
最大のライバル『彩葉~……PC前でスタンバってたのに~……くすん』
どうも、レントンです!
今作は前回の続きです。コメントを頂ける『蓮夜』さんより続きの希望があり制作してみました。どうもありがとうございました。
結局どうあがこうと彩葉ちゃんは二人に愛でられる運命なのです……仕方ないよね、作者は主人公総受け主義なので!
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ここまで閲覧ありがとうございました。






















