Novel7 months ago · 1.3w chars · 1 pages

個性:"支配"の普通科少女の話9

田中田中

わーいいっぱい書いたぞー。 これどうなるん?全面戦争まで行くの?救済しまくってんのに展開どうすんの? エンデヴァー難し〜〜〜。確かにコイツが全ての元凶だけど嫌いになれないかも。ライナーに似た何かを感じる。 自分で書いておいて設定忘れてるので辻褄合わないところもあるかも。まあ二次創作なんてそんなもん。 今期のアニメに追いつく為必死にインターンからの回をみてます。地獄の轟家が好き。ほんとはホークスと燈矢君の絡みを書きたかった。また今度書きたい。2人はライバルってショート君言ってたけど真実は燈矢君が勝手に張り合ってるだけ。原作よりちょっと精神年齢低い。まあ24歳だし。 オリキャラを沢山出すのには抵抗があるけどサイドキックにちょうど良い人材が思いつかなかったので苦渋の決断でイレミア君出しました。丁寧な口調を心がけているけどたまに砕けた感じになる男が好き。個性も迷ったけど無難に治癒系で。燈矢君の体質が改善されない以上治癒系がどうしても必要だと思う。イレミア君は小言言いながら毎回火傷治してくれます。マブダチ。

※キャラ崩壊注意

※解釈違い注意

※救済してます

※自我の強いオリキャラいます

岸辺さんの解釈かなり間違ってると思います。自己責任で見てください。

.プレゼントは俺!!

『________ありがとうございました。先生方のお陰でだいぶ落ち着いてきました』

「それは良かった。もしまた思い悩んだ時にはすぐに声をかけてね。私でも、相澤君でもいいから」

『はい』

優しい笑顔であたたかい言葉をくれるオールマイト。その眼差しだけで心の重りがスッと消えていくような安心感を感じた。

ヒーロー科との授業後、夜中に心操君と本音で喧嘩をして相澤先生に縛られて、更にキツキツトレーニングで白目を剥いた後。相澤先生にカウンセリングを受けるよう勧められた。専門的な所はリカバリーガールに、人に話して解決することなら自分や他の教師でも良いから頼って欲しい、と。初めはあまり気が進まなかったけど、先生の本気で心配している瞳を見たら体は自然と動いていた。ここには善い人ばかりだね。
今は定期的に相澤先生やリカバリーガール、オールマイトに話を聞いてもらっている。みなさん超忙しいだろうに私の為なんかに申し訳ない、とそれとなーく話したらリカバリーガールから抱え込むなとお叱りを喰らい口にハリボーを詰められた。おいしかった。

今日はオールマイトの都合が良かったので悪夢が減ったことや普段の生活のことなどほぼ雑談だけど聞いてもらった。
ふとオールマイトの笑顔が強張り、少しだけ悲しそうに私を見た。

「君の悩みや辛さに、少しも気付くことができなかった。不甲斐ない大人で本当に申し訳なかったと思っている」

「それでも、この先もし立ち止まってしまいそうになった時は私のことも頼って欲しい。今も昔も、私は君の味方だよ」

『…ありがとうございます』

『耳に届いていると思うんですが、先日友人と少し喧嘩しまして』

「ああ、聞いたよ。相澤君が頭を抱えてた」

『それはほんとに申し訳ないですまじで』

『私が1人で悩み苦しんでいる状況を、同じくらい苦しいと感じる人がいるんだと気付きました』

『人を救う側に立つのなら、自分に差し伸べられた手はちゃんと掴まないといけませんよね』

「…うん。そうだね」

「君は良い友人を持ったね」

『…はい!』

2人で顔を合わせて笑い合った。こんな日が、ずっと続いて欲しかった。

「あ!そういえば、相澤君から伝言を預かっていたんだった…」

『相澤先生から?』

「そう。うっかり忘れる所だったよ」

「インターンについてなんだが、ヒーロー科と同様に今回は早川少女にも参加してもらうことになったんだ。だからインターン先の候補を…」

『エ"ッ!!!』

「え、そんなに嫌だった…!?」

『イエ…先生ガオッシャルナラ…』

「そ、そうかい…?」

なんてこったい……私の冬休み…最後の安寧の休暇が…
涙を堪えてオールマイトの話を伺うと、体育祭の影響で直接指名があったりして行く先の候補は沢山あるとのこと。好きな所を選んでねと渡された資料には有名なヒーローの名前がびっしり書かれていた。やだ私ったらモテモテね今すぐこれ燃やしていいですか。

このインターンって裏に公安がいるよね。じゃなきゃこんな中途半端な時期から始めないし。先を見据えての判断か、元々目をつけられていたんだからこの展開も当然…なんにせよ気が重いことに変わりはない。

資料を睨んでいるとオールマイトが「ハッ…!!」と突然息を飲み口元を手で覆った。

「もう1つ…言い忘れていたことが……」

『? はい』

「…実は、早川少女に…その、プレゼントが届いていて、いや、届いたというか来たと言うか…」

『プレゼント?』

気まずそうに目線を逸らして人差し指同士を合わせるオールマイト。えっ、なにプレゼント???てかどうしましたその焦りまくった顔。それ爆弾でも詰まってました…???なんか恨みを買うことしたかな…うーん、心当たりがあり過ぎて分からない…

謎のプレゼントを確認する為会議室に向かう。頭の中はハテナで埋まっていたけど、扉を開けたらそれも一瞬で吹っ飛んだ。

「久しぶり、マキマちゃん。鳥野郎の所にインターン行くって本当?」

『わあ…』

来客用の椅子に足を組んで我が物顔で座り頬杖をつく燈矢君ことプロヒーロートーヤ。ニッコリ笑うその顔は人形のように精巧で逆に不気味ですらあった。

なんで貴方がここにいるんですか???

『…もしかしてプレゼントって、』

「俺♡」

『わあ』

甘ったるいケーキみたいな声で答えた燈矢君。私の隣ではオールマイトが目元を押さえて溜め息を吐いた。

人気上昇中のイケメンプロヒーローがクリスマスプレゼントで届いたんですけどこれ返品可能ですか?とりあえずエンデヴァー事務所に着払いでいいかな。

.

「マキマちゃん寮生活始まってから全然俺と会ってくれないし夏休みに関しては未読無視ばっかで何かあったんじゃないかってどんだけ心配したと思う?あと俺があの手この手で勧誘しても1ミリも頷かなかったのにどこの馬の骨の影響でヒーロー目指そうと思ったわけ?いや、ヒーローを志してくれたことに関しては勿論大賛成だし全力でサポートするけどさぁ。あ、もしかしてあの鳥野郎の影響?は?あんなぽっと出のフライドチキンのどこが良いんだよ?アイツなんてミーハー相手に媚び売ってるようなクソ、」

『よしよーし、さみしかったねぇ燈矢君。私のいちごちゃんあげるから機嫌治して?』

「あーんして♡」

『長男とは思えないくらい甘え上手ね』

さっきまで瞳孔開き切って真顔で詰めてきてたクセに私のデザートのいちごを差し出したらファンが黄色い声で叫んで喜ぶような甘い笑顔を向けてくれた。相変わらず激情家だしチョロい長男だこと。
会議室からずっと私の隣で笑顔の圧をかけているしちゃっかり昼食にも着いてきた。お陰で食堂にいた全生徒達から注目を集めた。やめて、こっち見ないで。燈矢君さあ自分が人気ヒーローなの知ってる?特に女性ファンが多いから良かったらエゴサしてみてね。

『そもそも、ホークスにインターン誘われたとは伝えたけど行くなんて一言も言ってないでしょ』

「ごめんごめん。焦凍もクソ親父のとこに行くとかワケ分かんねぇこと言い出してちょっと焦ってさ」

『いきなり雄英凸って先生方フル無視して会議室に居座っておいて"ちょっと"?』

「マキマちゃんが心配で来たんだぜ?俺って優しさの化身だろ?」

『それ過保護って言うんだよ。もしくはモンペ』

どうしてこんな過保護くんになっちゃったんだろ。ちょっと記憶弄っただけなんだけどなぁ。不思議不思議。

マシンガントークを吹っかけてくる輩が多過ぎる…と思ってたら突然先程のようにニコリと笑って食堂内を見渡す燈矢君。

わあ、すごく嫌な予感。

「_________で、マキマちゃんの彼氏ってどれ?」

『…、』

嫌な予感が的中したので目線を逸らす。が、逃すまいと私の肩を優しく掴んだ燈矢君。

絶対本題こっちだったろ。幼馴染の彼氏見る為だけに学校に凸ってくるゲロ甘激重イケメンヒーローって誰得???てかこれタレコミしたのトガちゃんでしょ。

「そいつの何処が好き?顔?性格?個性?家柄?そのどれか一つでも俺に勝ってる?もしマキマちゃんが危険な目に遭ったら身を投げてでも救う覚悟ある?何不自由なく暮らすくらいの経済力は?いや、こんなん口で言ったって意味ねぇな。彼氏ここに呼んでよ。俺が見定めてやるから。」

『トガちゃんの勘違いだよそれ』

「…」

『本当に。』

もう1個いちご口に突っ込んだら大人しくなった。
目がガチ過ぎて怖。てかたかが高校生の彼氏に経済力とそんな覚悟求めんなよ。

『あ、その条件で言ったらホークス合格じゃない?』

「あ"?俺がアイツより劣ってるワケねぇだろ。」

『ビルボードチャート、ホークスの方が上だったじゃん」

「…」

てか何でホークスにそんな対抗心燃やしてんの?ライバル?仲良いね。
その後今度こそ落ち着いた燈矢君からインターンについて割と真剣な話をされた。私がトーヤの元で学ぶメリットと未来のビジョンを簡潔且つ分かりやすくプレゼンされ普通に納得したので承諾した。やったーインターン先決定。

「てか焦凍と付き合いなよ。アイツ結構優良物件じゃん?んでそのまま結婚して俺と本当の兄妹になっちゃおうぜ」

『散歩に行くノリで婚姻結ばされるの怖。普通に嫌だし』

「じゃあ俺と結婚する?」

『燈矢君が岸辺に勝ったら考えてあげる』

「……一旦持ち帰って検討します。」

『あれ?振られちゃった。』

.れっつごー!いんたーん!

『"おすわり"』

「ハァ?テメェ何言っ_______な"ッ、!?」

『うん、良い子だね。』

先程までの勢いはどこへやら。命令通り素直に正座したイカつい見た目の敵を捕縛布で縛りつけ手早く拘束する。おすわりの次はリード装着、じゃあその次はお散歩かな?犬の世話は慣れているからこのくらい朝飯前だね。

『プロヒーロートーヤの見立ては間違っていませんでしたか?』

背後で目を見開いて私を見つめる2人に笑ってみせる。

少し挑発的かなとも思ったけど、初めの印象は強気なくらいがちょうど良いよね。

「…被害はほぼゼロ、敵の逆上や暴走もなし、冷静な判断且つ迅速な対応にスムーズな拘束、」

「うーん完璧。俺から言うことは何もないや。てかもうマキマちゃんうちに就職しない?ボーナス弾むよ」

『わーい』

相澤先生!!!やっと捕縛布使えるようになったよ!!!!ねえ褒めて!!!!!!
燈矢君はニッコニコで腕を組みながら褒めてくれた。後方兄貴面ですか?相変わらずブレないね燈矢君。まあ実質兄みたいなもんかもう。

インターンが始まり、今日はその記念すべき初日である。
燈矢君の事務所に着いたと思ったら速攻ヒーロースーツに着替えてはい敵捕まえてねって放り出されて今に至ります。一瞬宇宙猫になったけどまあ現場はこんなもんかと納得し、その辺に湧いて出た敵を犬の世話の要領でサクっと捕まえました。それに付き添い兼指導者の燈矢君とサイドキックの方は目を丸くしていた。もっと手こずると思った?ご期待に応えられそうで嬉しいな。

「可愛くて強くて即戦力にもなるって…なにそれ最強じゃん!流石俺の妹!!」

「違うだろ。…待て、君の前だとトーヤはずっとこんな感じなのか?」

『あはは』

「うっそだろ」

ドン引き顔で燈矢君を見つめるのはトーヤ事務所サイドキックの"イレミア"さん。黒髪に夕焼けのような瞳を持つクール系のイケメンさんである。個性は"癒し"。その名の通り人を癒すことが出来る個性の持ち主。精神的にも身体的にも癒すことが可能なようで、トーヤとツーマンセルで活躍しているプロヒーローの1人である。ちなみに戦闘スタイルはひたすらにフィジカルゴリ押しの脳筋で個性とは正反対なヒーローで有名でもある。

未だに1人で私を褒める言葉をつらつら話している燈矢君を横目にイレミアさんが死んだ顔で話しかけてきた。分かるよその気持ち。事務所で軽く自己紹介をした程度の関係だけど既に気持ちは通じてる気がする。

「まァ、アレは放っておいて…」

『(放っておくんだ…)』

「改めて、これからよろしく頼む」

『こちらこそよろしくお願いします』

「君の活躍については今ここで事細やかに全て暗唱出来るほどトーヤから聞いているが、まさかここまで"出来る"とは思わなかったよ」

『ありがとうございます。最初の部分は聞き流すべきですか?』

「聞いて貰えると助かる」

『なるほど。不本意ですがこの事務所大丈夫ですか?』

「実力は確かだからそこは安心して欲しい」

遠い目をしたイレミアさんが頭を抱えたくなる話を教えてくれたんでもう帰ろうかと思った。この事務所のトップの方本当に大丈夫ですか?当の本人は敵を警察に引き渡したり細かい作業をしたりする内にファンに囲まれており分かりやすく眉を顰めていた。そんな姿を2人で眺める。君人気者だもんね…ファンは大事にしなよ。

「僕としては君にやっと会うことが出来て心から嬉しいよ。トーヤの今までの努力がようやく意味を成したし」

『あの、努力って?』

「うちはサイドキック、特にインターンの受け入れ実績が他よりも多いんだけど、どうしてだか分かる?」

『そういえば…うーん、より有能なヒーローを育て将来的に事務所に引き入れるため、とか?』

「確かにそれもある。他でもないトーヤが決めた方針だが、アイツは大勢と仲良しさんになれるタイプじゃない。なんなら人との関わりを嫌っている方だし付き合いも悪い。昨日も飲みに誘ったけど聞き終わる前に断られた。」

『はぁ、』

「そんなアイツが何故、まだ未熟で成長途中な教えることも多い学生を自ら受け入れているのか?」

夕焼けのように輝く瞳が真っ直ぐ私を見る。

……まさか、

『……もしかして、私のため、とかだったりしちゃいます?』

「しちゃうんだよなァそれが」

『嘘だろ…』

「状況が状況だし、雄英は近頃外との関わりに慎重な訳だが…こうなることまで見据えて早い段階から事を進めていたらしい。」

『ええ…もし私がヒーロー目指さなかったらどうするつもりだったんです?』

「本気で泣き落とすつもりだったらしい」

『えぇ…』

今回のインターンはヒーロー科のカリキュラムに組まれたもので任意ではない。よってインターン受け入れ実績の多いヒーロー事務所でなければ許可は降りない。生徒の成長よりもまずはある程度確証された安全が必要だからだ。その事を元雄英生の燈矢君なら勿論知っていただろう。しかも今の社会は何かと不安定だし雄英は尚更。つまり燈矢君は私の気が変わっていつかヒーローを目指した時、インターン先に真っ先に自分の事務所を選ぶよう年単位で準備をしていた、と言う訳だ。

えっ怖。

好かれてるのは知ってるけどなんでそんな面倒なことしてんの?君人付き合い嫌いなんでしょ?確かに前々からヒーローなりなよとか勧誘は受けてたけどそこまでガチだとは思わなかったわえっ怖。
私は無事ヒーローを志し飛び入り参加ではあるけどインターンに参加した訳だけど、もしヒーローを目指さずずっと普通科だったらどうなっていたんだ。24歳轟家長男の本気の泣き落としを見せられていたのだろうか…寒気がしてきたな。
私の何とも言えない顔を見たイレミアさんは少し笑って口を開いた。

「僕も少し前まで今の君と同じ顔をしていたが、君の実力を見たら納得したよ。」

「確かに、その個性は"欲しい"」

「アイツ、インターン受け入れる癖に終始スパルタ指導で学生達はいつもヒィヒィ言ってたんだ。今日の単独での敵の確保も実は毎回やってるんだが、上手く出来た学生は今まで1人もいなかったよ。ほんの少しでも動きが遅れたらトーヤが自分でとっ捕まえちまうからな。」

『私が初めてってことですか?…プレッシャーえげつないです…』

「トーヤは君を認めているし、途方もなく面倒な準備をしてまで自分の元で育てたいと思わせる力が確かにある。」

「マキマ。君の成長が楽しみで仕方がないよ」

ゆっくりと細められた瞳は夕日が沈む瞬間を彷彿とさせた。

拝啓、相澤先生へ

インターン先間違えちゃったカモ!!!!!!

「なぁに2人きりで仲良く話してんだよ。なぁ?イレミアちゃん?」

「嫉妬か?余裕のない大人は見てるこっちが恥ずかしくなるぜトーヤくん」

「あ"?何調子乗ってんだへべれけ野郎が。べらべら余計なこと喋りやがって、安い酒のせいで脳みそ溶けたのかよ可哀想に」

「はァ?いっつもお前の無駄に増やした火傷を治してやってんのは誰か忘れたかストーカー予備軍が」

「んだとコラ」

「やんのかよ」

「あ、見て見て!トーヤとイレミアまた喧嘩してる!」

「ほんと仲良いよね〜」

『……』

インターン先間違えちゃったナ……

.ほんのり地獄な轟家

インターン初日から知りたくなかった事実が発覚してどうなるかと思ったけど、流石はプロヒーロー事務所、仕事は完璧だった。トーヤは上位に食い込む人気上昇中のヒーローであり、そんな人が代表の事務所の実力はイレミアさんの言う通り確かなものだった。エンデヴァー事務所程の大手ではないけど規模はそれなりだし、インターンにサイドキック、事務員まで全員が有能。鳴り止まない電話がその証拠だろう。
こんなインターン生に構ってる時間ないだろ、と思ったけど「俺が1から100まで全部教えるから!」とニッコニコの燈矢君が言ってきて頷くことしかできなかった。君この事務所のトップだよね?インターン生相手に1から教えてる時間ある?まあ私の為だけにクソダルい準備してたくらいだしそりゃあ自分が教えたいよね…

ま、気持ちを切り替えて。

よし!!緑谷君に負けないくらい頑張るぞ!!!

「教えることもうない……」

『えっ』

燈矢君がしょんもりした顔でそう告げた。え?嘘だろ?

「もうプロ顔負け…ってかその辺のヒーローよりよっぽど動けてるし…俺の出番は……?」

「あとは実践あるのみだな。凡そ普通科とは思えない能力値だったが、君のお父様のことを聞いたらそれも納得出来る」

『はぁ、』

燈矢君に続いてイレミアさんもベタ褒めしてくれて困惑と歓喜が一気に来た。私って思ったより有能だったみたい。
前回のヒーロー科との訓練で岸辺に鬼のように詰められたからほんのちょぴっとだけ自信無くしてたけど、冷静に考えてマキマさんの身体なんだからそりゃ能力は高いよね。中身が一般ピーポーの私だからその力を最大限に活かせていないだけの話。調子に乗らず相手を舐めず何が起きても冷静に、これを意識してお仕事してたら前より成長出来てたみたい。やっぱ変えるなら意識からだね。

とはいえ過大評価されてる感は否めないかな。
今回は相手がモブキャラばっかだから感情的になることもなく冷静に対応出来ただけ。これから先原作のシーンに遭遇しちゃったら軽率に発狂する自信がある。そこんとこは頑張って抑えなきゃ。

「技術的には十分過ぎるくらいだが、ヒーローとして活動する上での事務的なことや細かい部分はまだまだ教えることあるだろ。」

「あァ?…そーじゃん!!マキマちゃん!!全部俺が教えるから!!!」

「チョロ…」

『はは』

「じゃあ早速…っと、悪ぃ、電話」

「_____冬美ちゃん?」

電話の相手は妹さんだったようで、会話の途中燈矢君は驚いたような声を出した。
家族のことなので少し離れていると、電話が終わりなんとなく気まずそうな顔をした燈矢君が私達の方を向いた。

「あー、明日さ、俺ン家に飯食いに来ない?」

「お前の家か?珍しいな。」

「まぁな、」

「すまん、明日は夜まで仕事が入ってる。…空けるか?」

「いーよそんなの、ちゃんと仕事しろって」

「マキマちゃんはどう?」

「いや、家っつっても実家の方だし、家族もみんな来るらしいから嫌なら全然良いんだけど、」

『行きたい』

「、ほんと?」

『うん。私も一緒に行って良い?』

青の瞳が僅かに揺れていた。
家族について、エンデヴァーについて、完全に吹っ切れた訳ではないみたい。それも当然か。あの頃の燈矢君は本当にギリギリの状態だったんだし。確かに、人は変われる。けど、その変化を受け入れられるかはまた別の話。

「…ありがと、」

『…うん!』

.

「…クソ、」

「あれ、夏くんもう食べ終わったの?」

「燈矢兄…!俺、」 

「いいよ。どうせ親父だろ?後は兄ちゃんに任せろって」

「…ごめん」

「空気最悪だと思うけどあんま気にしないで」

『うん、』

轟家に到着後、廊下で燈矢君の弟さんの夏雄さんにバッタリ会った。燈矢君は穏やかな表情で夏雄さんに笑いかけ、少し落ち着いた夏雄さんは足早に自室へと向かって行ってしまった。挨拶をしようとしたけどとてもそんな雰囲気ではなかった。

うーーーん、覚悟はしてたけど…轟家闇深…ちょっと遅れて着いたら既に修羅場ってたし…どうか平和に終わりますように…

「今度は何言ったんだよオッサン。ホンット、口を開けば失言しかしねぇな。もっと思慮深くなってくれよNo.1?」

「燈矢兄…!!」

『…』

だよね、うん知ってた。燈矢君は轟家の中で一番エンデヴァーに当たり強いもんね。うん、知ってる。

みなさんが食事をしている部屋に着いて早々燈矢君のチクチク言葉がエンデヴァーに投げかけられた。お陰で空気はピシリと固まり、私の足も止まった。目が合ったから助けを求めるつもりで爆豪君に手を振ったらフル無視された。えーい歩く度に足の小指をタンスの角にぶつける呪いにかかれ!
わぁ、料理美味しそう。お腹空いたよお。

「…あれ、早川さん!?」

『こんばんは』

『お邪魔します。冬美さん、今日はお招き頂きありがとうございます。雄英高校1年の早川マキマです』

「あっ、丁寧にどうも…!!あなたがマキマちゃんね…!燈矢兄から話は聞いてるよ!」

「とりあえず座って。ほら、マキマちゃんこっち」

緑谷君が気付いてくれたお陰でとりあえず空気が切り替わり無事着席出来ました。君こそがヒーローだよ。

「は、早川さんはトーヤの所にインターンに行ったんだね!僕はてっきりホークスのっ、」

「あ?あんなフライドチキンのとこになんて行く訳ねぇだろうが」

「何故トーヤが怒るんですか…!?というかフライドチキンって…!?!?」

「ホークスは燈矢兄のライバルなんだ」

「えっ…!?!?」

『わっ!!冬美さん!!この竜田揚げ超美味しいですね!!』

「本当?良かったぁ!」

「マイペースしかいねぇな」

料理うまっ。気まずいからとにかく竜田揚げ口に突っ込んだけど美味し過ぎてびっくり。さっくさく…どう揚げればこんなに美味しく…???緑谷君は燈矢君と初対面だろうに一発で地雷を踏み抜いたんで流石主人公だなと思った。勘が鋭過ぎるのも困るねえ。

『…』

「、…」

ふと、エンデヴァーと目が合ったのでニコリと笑っておいた。そしたら一瞬だけ彼の眉に皺が寄った。
燈矢君の件で色々あったし、岸辺のことはお嫌いですか?まあ、家庭の事情にズカズカと踏み込んだし嫌われる理由には十分なり得るか。だからって娘の私にまで嫌悪感抱かないでね。No.1に睨まれたらたまったもんじゃないし。

そんなことを考えながらもう一度目を合わせると、エンデヴァーは存外温かな瞳をしていた。

「君の、…お父上は元気か」

『…!』

『えぇ。相変わらずの酒癖ですが、あの調子じゃ当分死にはしないと思いますよ』

「ふ、…そうか」

人は変われる。

そして、どう足掻いても過去は消えない。

轟家が地獄であることに変わりはないけど、"最悪"の状況ではないことも確かだと思った。

「早川は燈矢兄の所にインターン行ってたんだな。そういや誘われたって言ってたもんな」

『うん。轟君も燈矢君の所来るのかなって思ってたよ。No.1の所はやっぱすごい?』

「そうだな。まだ親父より速く動けねぇし…」

「なあ、呼び方なんだが…燈矢兄も轟だし俺のことも名前で呼んでくれねぇか。なんか違和感ある」

『そ?じゃあ焦凍君で』

「ああ」

「え、何それ距離感近くね?マキマちゃんやっぱ焦凍と結婚しなよ」

「けっ、!!」

「結婚…?」

「そんで俺と本当のきょッ、!」

『燈矢君うるさい』

「「「(どんな関係性…?)」」」

早川マキマ

相澤先生の勧めでカウンセリングを受け始めた。借りるべきは専門家と大人の手。最強メンタルを手に入れるべくオールマイトとの会話に花を咲かせている。悪夢は段々見なくなってきている。
燈矢君に後方兄貴面をされたと思ったらインターン誘われてころっと了承。よし!!インターン頑張るぞい!!!と思ったら事務所のトップからもう教えることはないと言われ軽くショックを受けた。先日の訓練での失敗を繰り返さないよう意識していたので本物のマキマさんに近い感じでお仕事をしていた。ニッコリ笑ったと思ったら次の瞬間には敵がおすわりして気絶してる。これには燈矢君もびっくり。

燈矢君

プロヒーロートーヤとして活動中。持ち前の顔の良さと個性の派手さと裏は努力家な所が人気。口は悪い。ファンには塩対応。そこが逆に受けている。
成り主のことは妹のように思っているし、あわよくば弟と結婚して本当の妹になんねぇかなとも思ってる。腕組んで後方兄貴面してる。たまに感情が昂ってマシンガントークするし突っ走る。そういう時は成り主の手元にあったお菓子を口に突っ込まれる。
兄弟とは割と良好な関係。末の弟に対してだけは真っさらな純粋な感情だけではないけど、そこはお兄ちゃんパワーで表に出さない。突然夜に電話して2時間話し続けるくらいには仲良し。だけど両親に対してはかなりドライ。反抗期死ぬまで続きそう。エンデヴァーは頑張って歩み寄ろうとしてる。けど、エンデヴァーが1歩近付くとコイツは10歩引くので溝は深まるばかり。

イレミア

24歳。黒髪で夕焼けのような色の瞳を持つクール系イケメン。一人称は僕。個性は癒し。酒大好き。
燈矢とは高校の同級生。よく喧嘩するけど相性は良いので卒業後はサイドキックに。人の上に立つのは性に合わないけど燈矢の下にいるのは癪に障る。せめてもっと飲みに付き合って欲しいと思ってる。
多分コイツはもう出ない。ので、詳しくは書かない。

その男は突然目の前に現れた。

あれは、焦凍が生まれて2、3年経った頃のことだった。

「お前、"それ"はもう辞めた方が良い。」

「は?」

「お前の夢はお前だけで完結させろ。次の世代に、ましてや自分の子供に託すな。」

「……は、」

"それ"が何を指しているのか理解した瞬間、頭にカッと血が昇るのが分かった。
目の前に現れた男をよく観察する。少し遅れてコイツが元プロヒーローの、確か本名は岸辺だったな、と言うことを思い出した。ヒーローよりも敵を思わせる真っ黒な瞳にじっとりと見つめられ、何故だか後ろめたくなり手に嫌な汗が滲んだのを鮮明に覚えている。

お前に何が分かる。

ただひたすらそう思った。No.1と肩を並べたにも関わらず早々に引退し、若手の育成に逃げたお前に。どうせ自分と同じだろう。No.1との差に気付き、絶望し、次世代に夢を託したのではないか。何故お前に説教などされなければならない。
心の中の怒りは表情にそのまま映し出され、自身のその顔を見た男は深い溜め息を吐いた。

「子供は大人が思うよりも賢い。知恵が足りない分本能で理解している。」

「本来する必要のない酷な経験をさせるな。その傷は将来身を滅ぼすことになるぞ」

「何、が…」

「お前に何が分かる…!!!」

「心の内を誰かに理解されるのを望んでいるのか?なんだ、お前自身がまだ子供だな」

「ッッ!!!」

怒りに任せて炎の威力を上げる。
赤色が反射したその瞳は変わらず自分を見つめていた。その様子を見て自分の行為が酷く子供じみたものであると自覚した。これでは癇癪を起こした幼子と同じだ。そう思っても尚怒りは収まらなかった。
分かっている。このままでは駄目なことも、段々と亀裂が大きくなっていることも。でもどうしろと言うんだ。どうすれば、良かったんだ。

「信念も志しも無いようなお前に説教される筋合いはない。引退してからふらふらと歩き回っている所を見るに、子供どころか結婚もしていないのだろう」

「ひでぇ言い様だな。確かに結婚はしていないが、お前の末の息子と同じ年の娘が1人いる」

「まあ、お前の所とは何もかもが違うが」

「…個性をお前の理想通りに受け継いだか?幼くしてヒーローを志したのか?人には説教をしておいて自分はどうなんだ」

"俺とは違う"。その意味を上手く受け取れなかった。1人目で自分の望んだような理想的な能力を持つ子供が生まれた、とその時の俺は解釈し、目の前の男を嘲った。
そしてすぐにそれは間違いだと自分を恥じた。

「ん?ああ、血の繋がりはないよ」

「個性だって俺とは全く種類が違うし、アイツはヒーローに微塵も興味ない。別にヒーローになって欲しいなんて思ったこともないしな」

「、」

「だから、これはただの年寄りからの警告だ。今すぐ対処しろ。手遅れになるぞ」

自分よりも背の低いその男が、何故かとても大きな化け物に見えた。
薄々感じていたのだ。きっとこのままでは取り返しのつかない事態になると。そして、自分ではそれを回避することは出来ないと。
年寄りと言うには幾分若い男を見下ろした。年の功か、有無を言わせぬ男の雰囲気には凄みすら感じた。

「対処、って、」

掠れる声で問うた。それは日々自分が救ってきた市民達が助けを乞う声に似ていた。

「俺に任せろ」

ただ一言、男は告げた。

その時、一瞬だけ瞳に光が差し込んだ。そんな気がした。

「…」

向かい側に座ったあの男の娘は、父親によく似た瞳で笑って見せた。

ああ、確かに。何もかもが違うなと、10数年越しにそう思った。

— End —

Comments 20

アリスティア2 个月前

差し出がましいとは思いますが失礼ながら誤字を発見してしまったので御報告させて頂きますm(__)m 拝見、相澤先生へ❌ 拝啓、相澤先生へ⭕ なのではないでしょうか?

謌反6 个月前
Sticker
綿
綿ノ6 个月前
Sticker
アルストロメリア6 个月前
Sticker
ちー6 个月前

続き楽しみに待ってます🛐🛐

ラグ4587 个月前

見つけて一気読みしました!マキマさんが良い感じにヒロアカに異物ながらも馴染んでいく感じが良いです! そして、トウヤが生きてヒーローやってても夏と親父は揉めてんのね。

あまね7 个月前
Sticker
蒼奇 朔7 个月前
Sticker
紫苑7 个月前
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黒猫_故7 个月前
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E
Els 4 Gats7 个月前
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ごりん7 个月前
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Sakuria
Where every work blooms
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