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犯罪もTPOを考えろ

岡野花月岡野花月

*名前変換あり *救済 *作者は原作を最新話まで読破していますがアニメ・映画は飛び飛び視聴です *矛盾や捏造、原作改変が多々あります 上記許せる方のみお読み下さい 読了後の苦情受け付け出来ません 少し間が開きましたが5話目です。 いつ同期に会わせようかなと考えてますが、あんまり引き伸ばすのもなあの気持ちでいます。 あむぴは原作軸に入らないと出てこれません。 次は伊達の兄貴を出したいのですが、どうしようかなーと思ってます。 2月の原稿の4分の1が終わりました。 このペースで行けばR18の新刊2冊目が出せます。 頑張れ自分。 いつもコメントやスタンプありがとうございます。励みになります。 10/21追記 主人公の家にエレベーターは無い設定のはずなのにこの話で家にエレベーター設置されてしまっていました。完全に設定忘れていました。コメントにて教えて頂き誠にありがとうございます!ミスなので2人はお引越ししてません。 X→ https://x.com/makotoniikan123

*名前変換あり
*救済
*作者は原作を最新話まで読破していますがアニメ・映画は飛び飛び視聴です
*矛盾や捏造、原作改変が多々あります
上記許せる方のみお読み下さい
読了後の苦情受け付け出来ません

野良猫男性こと、諸伏景光さんとの同居生活が始まった訳だが、端的に言おう。
滅茶苦茶暮らしやすい。
居候させてもらう代わりにと彼が家事を担ってくれるお陰で、社畜を極めている私のQOLが爆上がりした。
掃除も料理も完璧で、クタクタになって家に帰ると温かいお風呂と美味しいご飯を用意して待っていてくれるなんて、最早新妻と言っても過言ではない。
しっかり景光さんに胃袋を掴まれました。悔いはない。
今日も新妻の如く甲斐甲斐しさで手料理を作る景光さんの後ろを、お預けを食らったペットのようにうろついておこぼれを待っている。

「もう出来上がるから座って待っててくれ」
「......景光さん」
「あと少しだから」
「............くぅ~ん」
「...仕方ないな。ほら、もう」
「やった~~! あ~ん」
「現金だな。はいあ~ん」

フライパンの上で、美味しそうな匂いをさせていたお肉を一切れ頂く。
うまうま照り焼きが良いお味をしておりますな。美味なり。
景光さんの手ずから食べたお肉は、より一層美味しく感じられた。
ほくほくとしてリビングに戻る後ろ姿を、生温かい目で景光さんが見ていた事に、口の中のお肉に夢中な私は気付かなかった。

「ほら出来たぞ~」
「わぁ美味しそう! へへ、いつもありがとう!」
「いいって。俺の方が迷惑かけてるしな」
「迷惑なんかじゃないよ~。景光さんと暮らすの楽しいもん」
「...君結構のうて....いや楽天家って言われないか?」
「能天気って言おうとした?」
「いや? ほら冷めないうちに食べようか」
「はぁい。いただきます!」
「召し上がれ」

テーブルに並べられた色とりどりの料理に舌鼓を打つ。
一人暮らしの時とは比べ物にならないくらい、景光さんの手腕で食生活が改善されている。
もう景光さんのいない生活には戻れないかもしれない。
まだ同居生活1ヶ月も経ってないけど。
今年も終わりに差し掛かって来ていて、かく言う私も昨日仕事納めをしてきた。
今年最後の仕事を終わらせて、会社を出た時の解放感は半端なかった。
自由だと叫ばなかっただけ偉いと思って欲しい。
仕事納めをした足で正月前の買い溜めの為か、人がごった返すスーパーで大量の酒と食品を買い込んだ私は浮かれきっていた。
今回の年末年始休暇は帰省の予定もないし、景光さんとお家で寝正月するんだ。
景光さんにお雑煮を作ってもらおうと、切り餅もしっかり購入した。抜かりはない。
大量の買い物袋を抱えて帰宅した私を見た景光さんは、やれやれだぜといった顔をしてました。

「もう大晦日か~一年早スンギ...」
「あっという間だなぁ。そういや優花は年越しそばは食べるのか?」
「年越しそば? あ~実家では食べてたけど一人暮らしだと緑色のたぬきでいいかなって思っちゃって...へへっ」
「インスタントは栄養偏るから食べ過ぎはダメだぞ」
「うぅ~忙しい人の味方なのに...」
「ともかく、年越しそば食べるなら俺が作るけどどうする?」
「景光さんの手作りなら食べる!」

景光さんが年越しそばを作ってくれるなら緑色のたぬきの出番は無さそうだ。
先日買った炬燵(景光さんが組み立てた)に入ってぬくぬくしながら答えると、景光さんも入ってきて炬燵の上に置かれた蜜柑を剥き始めた。
景光さんは白いピロピロも全部取る派らしい。
分かる気になるよねそれ。面倒くさい時はそのまま食べるけど。
全部剥き終わると剥いた1つを口元に運ばれたので、ぱくりと遠慮なく頂く。
気分は餌付けされている鳥の雛である。
実際は炬燵に入って動かない怠惰な成人女性だけれども。
炬燵に入りっぱなしだと、知らないうちに脱水症状になっている事もあるらしく、景光さんは時折こうして水分補給をしてくれる。
偶に唇に触ってくる意味は知らないけれど。
乾燥して皮剥けてたんかな。恥ずかし!

「年越しそば作ってもらうなら買い出し行くかぁ~」
「ありもので作るよ? 外寒いだろ」
「え~優しい.....いやアイス食べたくなったからついでに買ってこようかなって」
「そういう事か。寒いからちゃんと防寒して行くんだぞ」
「はぁい」

炬燵から出て、いそいそと支度をする。
とは言っても近所のスーパーに行くだけだから、部屋着の上にコートを着てあったか靴下から外行き靴下に履き替えるだけだが。
玄関に行くと、景光さんが部屋から取ってきたマフラーを巻いてくれた。
至れり尽くせりである。
自分の部屋まで取りに行くのが面倒くさかったのがバレているのは割愛する。
景光さんのいってらっしゃいを受けて家を出ると、寒波が到来したのか風の冷たさが尋常じゃない。
自転車なら速いが、手と顔が凍りつきそうだったのでやめた。
歩いてもそう遠くない距離だし、徒歩で行く事を決意して巻いてもらったマフラーに顔を埋めていざ行かんと歩き始めた。
ものの数分で身体が冷え切った。クソ寒いなおい。
家で待つ景光さんを思い、早歩きでスーパーに辿り着いた。
悪い人に追われている景光さんは、そう簡単に家から出られないのだ。
別に引きこもりでもニートでもない。彼は立派な公務員だ。
それに今はもう使っていない大学時代にお世話になったノートパソコンを貸して欲しいと言われ、快く貸したところ何やらあれこれしているようだったからリモートで仕事でもしているのだろう。
詳しくは知らない。多分あまり聞いたらダメなやつだと思う。
因みに貸したノートパソコンは、卒論を共に乗り越えて松田さんにあられもない姿にされたアイツである。
分解された時に色々魔改造されたようで、お前本当にノートパソコンか?と聞きたくなるスペックを有している。
今のところ私は使う予定がないので、そのスペックをぜひ景光さんの手で活かしてやって欲しい。

買い物かごにポイポイ材料を詰めて、最後にアイスを選ぶ。
大福系も捨てがたいがバニラアイスも魅力的だ。
悩んだが結局どちらもかごに入れた。
景光さんと分けっこすればいいもんね。
シェアハウス万々歳だぜ!

「あ、現金ないじゃん」

レジの列に並んで財布を確認したところで、己の愚行に気付いた。
年末年始は銀行も営業していないし、スーパーの入口にあるATMで下ろしておく他ない。
流石に年を越すのが憚られる金額しかないのは心許ない。
普段は電子決済が多いから、どうしても現金のチェックが甘くなってしまう。
大晦日だからか最後の買い出しで混んでいるレジを通って、ATMでお金を下ろしていると、ドカドカと大きな音を立てて入店してくる団体が視界の端を通った。

「てめぇら大人しくしろ!! 金を出せ!!!!」

強盗である。
いや大晦日なんだけど。しかもここスーパーだし。
強盗って普通、銀行とか狙わない?いや強盗の普通を知らないけども。
なに年の瀬に最後の犯罪やらかしてんだ。警察だって暇じゃないんだぞ。
心の中で罵倒しながら、大人しく強盗の言う通りにその場で大人しく縮こまっておく。
強盗の手には包丁が光っており、レジの店員に向かってバッグに金を詰めろと要求していた。
絶対にスーパーで強盗は間違っていると思う。
どこでやるのも犯罪だからダメだけど、絶対ここじゃない。
人の出入り激しいし強盗向きじゃないでしょ。
入口付近にいた人達に紛れて、そっと外へ出てしまおうかと考えていた時だった。

「きゃああああああっ!!」
「舐めた真似しやがって...サツに通報した奴はこうなるからなぁ!!」

強盗の一人はそう言って、赤く染まった包丁を高らかに掲げた。
そこからポタポタと地面に赤が垂れていく。
自然と呼吸が浅くなる。
いくら治安があまりよろしくない世界とはいえ、目の前でここまでの血を見るのは初めてだった。

怖い、助けて、景光さん―――

震える手を握り締めて、心の中で祈る。
私のスマホには景光さんの連絡先は入っていない。
景光さんが元々持っていたスマホは仲間の連絡先も入っていて、追われている身である今は余程の事がない限り使用出来ないらしい。
なので私と景光さんは連絡する手段がないのだ。
貸しているノートパソコン宛にメールをする方法もあるにはあるが、彼がノートパソコンを開かないと見てもらえないし、今日は大晦日だから仕事はしないと言っていた。

つまり、詰んだ。
終わった、私の命日は今日らしい。
ごめん実家の家族、あとどっかにはいる兄、そして景光さん。
私の雀の涙しかない貯金は使っていいから生き延びて幸せになってくれ。

覚悟を決めた時、マナーモードにしていたスマホがぶるりと震えた。
画面にはポップアップが出ていて、メッセージを受信した事を伝えてくる。
メッセージを送ってきた相手の名前を見て、無意識に流れていた涙が引っ込んだ。
天はまだ私を見放していなかった。
私のスマホには、頼りになる人の連絡先が入っているじゃないか。
強盗犯から見えないように、前に座る人の背中に隠れてメッセージを打ち込んで送信する。
あとは彼が来てくれる事を祈るしかない。
強盗犯達は金を詰め終わると、何やら仲間内でひそひそと話し合いをし始めた。
逃走の計画でも話しているのだろうか。

「おいお前」
「............」
「そこのお前だよ! 立て!」
「え、わ、私.......?」
「そうだ! オラ立て! お前は人質だ。俺らが逃げる手助けをしてもらうぜぇ」

下卑た笑い声を上げた強盗犯に、腕を掴まれて無理やり立たされる。
痛みと恐怖で膝が笑う。
人質って、私はどうなってしまうの。
ガクガク震える私を引きずってスーパーの入口から出た強盗犯達は、すぐそこに停められていたワンボックスカーに乗り込んでいく。
ここに私も乗ったらもう帰って来れなくなるんじゃないか。
そんな考えが頭を過って足で踏ん張るが、震える身体では碌な抵抗もできない。

「ほら早く乗れ!」
「や、やだ......! 景光さんッ.........!!」
「テメェ何してやがる!!!」

ドスの効いた声が聞こえたと思ったら、鈍い音と大きな音がして、気付いたら地面に座り込んでいた。
目の前には大きな黒い背中があった。
先程メッセージを送った相手だ。
送信してからそう時間は経っていないのに、もう来てくれたらしい。
ジワリと滲んだ視界で、黒い背中が強盗犯に向かって飛び蹴りしたのが見えた。
ちょっとやり過ぎじゃないですか松田さん。

「優花! 無事か!?」
「ま、松田さん........ッ、うぅ......」
「どこか怪我したのか? 病院連れてってやる。車乗れ」
「怪我はしてない......こ、怖かった....! 殺されちゃうかもって......人も刺されて....!」
「遅れて悪かったよ。まぁ無事でなによりだ....年末に強盗に遭うなんて、マジでお前ツいてねぇな」
「う、うるせぇ~~~!! 怖かったぁ~! お家帰るッ!!」
「はいはい、送ってやっから中で待ってろ」

わしゃわしゃと頭を撫でられて、ポイと車の鍵を投げられる。
なんとかキャッチしたが、突然物を投げるのは止めて欲しい。
よろよろと松田さんの車に向かい、鍵を開けて後部座席に座ると、一気に身体から力が抜けた。
買い物袋を持つ手は小刻みに震え、先程の恐怖がぶり返しているようだった。
折角アイス買ったのに溶けちゃったかもなんて、場違いな事を考えて気を紛らわせた。
コンコンと窓がノックされて慌てて顔を上げると、綺麗な顔の美女がこちらを見ていた。

「ごめんなさいね疲れているでしょうに。少しだけお話聞いてもいいかしら?」
「あ、はい...」

警視庁捜査一課の佐藤と名乗った女性は、隣に座ってゆっくりとこちらを気遣った様子で今回の事件についての聴取を進めてくれた。
美人で気遣いもできるなんて、なんて良い人なんだ。
さぞおモテになるだろう。

「...成程、分かりました。ご協力ありがとうございます。帰りなんだけど...1人で帰れそうにないわね。さっき聞いたのだけど松田君と知り合いなのかしら?」
「あ、はい....そうです。あの、1人で帰れます」
「ダメよ! 顔色も悪いし、怖い思いもしたんだから1人で帰すなんてできないわ。松田君と知り合いならこのまま車で送ってもらってちょうだい」
「え!? いや、松田さんに悪いですし......それにまだ仕事残ってますよね?」
「大丈夫よ。彼まだ新米刑事だしそんな重要な仕事ないわ」
「あ、そですか......」
「あなたを送り届ける事が、彼の1番重要な仕事よ」

そう言ってパチンとウィンクをした佐藤刑事の眩しさたるや。
絶対にこの人はモテる。はっきり分かんだね。
佐藤刑事の良い女っぷりに目が眩んでいると、音を立てて運転席のドアが開かれた。
ぬっと全身黒い装いの松田さんが入ってきて、こちらを振り返った。
こうして見ると本当に警察官らしくない見た目をしている。
夜なのにサングラスかけるのは止めた方が良いと思う。
絶対見づらいでしょ。

「待たせたな。佐藤、聴取終わったか?」
「ええもう済んでるわ。松田君はこのまま彼女を送ってもらえる? 私は目暮警部と犯人を護送するわ」
「元々そのつもりだ。おい優花、助手席に乗れ」
「...いつも一言多いのよね。じゃあ井口さん、気を付けて帰ってね」
「あ、あの! ありがとうございました...」

車を降りた佐藤刑事は、にっこり笑って手を振ってくれた。
スマイル0円ありがとうございます。
松田さんに言われた通り後部座席から助手席に移ると、横から伸びてきた手にわしゃわしゃと頭を撫でられた。
大型犬にやる撫で方のせいで、首がグワングワンする。
目を回していると、カチッという音がして煙草の匂いが一気に充満した。
ヘビースモーカーの松田さんの車だから、元々煙草の匂いがするとは言ってはいけない。
因みに手に握られたライターは、ちゃんとプレゼントした物だった。

「..........お前さぁ」
「は、はい」
「何巻き込まれてんだよ! ハァ~~~~.....マジ肝冷えたわ、クソッ。ひったくりに遭うわ爆弾見つけるわ、その次は強盗の人質だぁ? なめてんのかテメェは!」
「私のせいじゃなくない!? 勝手に犯罪起きてるのが悪くない!?」
「もっと気を付けて生きろや!」
「アバウト過ぎるんですけど! 松田さんにすぐ連絡したファインプレーを褒めて欲しいんですけど!?」
「それは褒めて遣わす。でも、今後危ねぇ事はナシだ。分かったな?」
「いや私だってもう人質なんて懲り懲りなんですけど......」
「萩原にも連絡したから叱られる覚悟は決めておけよ」
「な、なに勝手な事....!」
「当たり前だろうが。アイツ今日は雑踏警備で持ち場離れられねぇけど、後日説教2時間コースだな」
「私のせいじゃないのに!? 横暴だ....! ワ、ワァ....!」
「車出すからシートベルト締めろ」

小さくて可愛い生き物の真似をして泣いてみたがダメだった。
松田さんに可愛いは効かないらしい。
私自身が可愛くない可能性もあるが、それには目を瞑る。
シクシク泣いていたらあら不思議。いつの間にか自宅の前まで来ていた。
松田さんは運転が上手いから、リニアモーターカーですか?ってレベルで静かに止まる。
萩原さんはあれだ。運転は滅茶苦茶上手いけど、それ故にとんでもねぇ事してくるので乗ってる間は気が休まらない。
この間乗った時に、道路に飛び出してきた猫を避ける為にドリフトした事は絶対に忘れない。
慣性ドリフトだと!?じゃねぇんだわ。
頭文字にDはつかないし、峠も攻めないでもらいたい。

「送ってくれてありがとうございました。ではよいお年を~」
「おい待て」
「え? なんですか」
「...事件に巻き込まれた後に1人っつうのもあれだろ。1回本庁戻らねぇとだがその後家行ってやろうか?」

松田さんがデレた。いや、そうじゃなくて。
それは非常にマズい。
松田さんは事件に巻き込まれて、しかも年越しぼっちの私を気遣ってくれたのだろう。
それは大変サンキューだが、家には景光さんがいる。
しかも彼は正体がバレたらダメな人だ。
誠に申し訳ないがここは丁重にお断りするしかない。
許せ、松田さん。

「あ、あ~1人で全然大丈夫ですよ。それに寂しかったら実家に行きますし...」
「前に今年は実家の両親が旅行に行っちまうから、年越し1人って言ってなかったか?」
「ぐぅっ......! いやそれはそうなんですけど...」
「何今更遠慮してんだよ。それとも、俺を家に上げれない理由でもあんのか? 最近お前飲みの誘いに来なくなったよなぁ? 萩が寂しがってたぜ」
「そ、それは.......!」

家で景光さんが待ってるから真っ直ぐ帰っていただけなんだ。
あれだけ頻繁に飲みに集まったりお泊まり会をしていたから、2人に不審に思われるのも当然だろう。
しかも松田さん、なんか確信があって問い詰めてきている気がする。
だって目が刑事っていうか、取り調べモードだし。
いや取り調べされた事はないけども。
どう誤魔化そうか考えるも、この人にはバレるだろう。野生の勘すごいし。
萩原さん相手だったら、私に滅法甘いから分かってて騙されてくれるのにな。

「おい何黙ってんだ...........まさかお前、」
「か、彼氏が出来たんです!!」
「.............はあ?」
「だから彼氏です。男女のお付き合いを始めたので、松田さんを家に入れられなくなっちゃったんですよ」
「...お前この間まで男っ気なかったろうが」
「いや突然の出会いでして。恋はハリケーンって言うでしょ? それですそれ。てな訳で彼ピが待ってるので私はこれにて! あ、助けてくれてありがとうございました!」
「あ、おい!」

まだ後ろで何か言っている気配がしたが、サッとオートロックを通り抜けて階段を駆け上がる。
あれ以上踏み込んで問い詰められたら、噓がバレるところだった。
咄嗟に景光さんの事を彼氏にしてしまったが許して欲しい。
家に入れられない理由が他に思い付かなかった。
多忙を極めて部屋がとっ散らかってても、あの人達普通に家に来てたし片付いてないからは理由に出来なかったのだ。
通路を早歩きして家の鍵を開けると、内側から勝手に扉が開いた。
うちの扉って自動化してたっけ。

「優花! 良かった....ちゃんと帰って来たな。あまりにも遅いから心配してたんだぞ」
「ひ、景光さん~~!! 聞いてよぉ!」
「どうした? ほら寒かったろ。中入りな」
「うぅ~~......犯罪撲滅しろ」
「本当に何があったんだ?」

スーパーでの一件を話すと、景光さんは怖い顔をして溜息を吐いた。
そうだよね、この年の瀬になに強盗なんてしてんだよって思うよね。私もそう思う。
溶けてしまったアイスを見てがっくりと肩を落としていると、景光さんの腕が身体に回った。
おや、と思った時にはしっかりとホールドされていて、身動きも取れないくらいには力が込められていた。

「.........優花が無事で良かった。もう危ない目に合わないでくれよ」
「私ももう人質なんてやだよ」
「怪我はしてないか? 確認するから上着脱いで」
「だ、大丈夫だから! どこも怪我してないし、すぐに知り合いの刑事さんが助けてくれたから!」
「知り合いの刑事?」
「うん。昔知り合ってそれから仲良いんだぁ」
「..........そっか。どんな人?」
「え? えっと、口も態度も悪いけど、なんだかんだ面倒見てくれる人かな。誕プレ交換する位には仲良しだよ」
「それは仲良しだな」
「あとその人の親友とも仲良しだよ。元々先にその人と知り合ったんだけどね」
「随分警察官の知り合いがいるんだな」
「その2人だけだよ! その親友の人は私が高校生の時に家に爆弾仕掛けられて出会ったんだよね」
「家に爆弾!?」
「うん。しかも爆発したよ」

遠い目で当時を思い出す。
受験生だというのに家が爆破された私の心境を述べよ。最低だよコノヤロー。
あの時の犯人はまだ捕まってないが、私はまだあの日の恨みを忘れてはいない。
コツコツお小遣いを貯めて集めたオタグッズも、家と共に爆散したのだ。
絶対に許さん。松田さんもあの時の犯人を追ってるみたいだし、見つけたら一緒にボコろうと思う。フルボッコだドン!
実家に爆弾が仕掛けられるという不運さに、景光さんの顔は同情通り越して哀れみさえ感じた。
私も他人からそんな話聞かされたら哀れむ。南無三。

「......優花はもう夜に家出るの禁止ね」
「何故!?」
「今の話を聞いたら安心して送り出せません。仕事以外はダメ。分かった?」
「で、でも友達と遊んだりもするし、もう大人だから.....」
「ダメ」
「の、飲み会とかも?」
「ダメに決まってるだろ」
「え~~~! やだ、他にストレス発散方法ないのに!」
「そんな不健康なストレス発散は止めなさい。俺が美味しいご飯作ってあげるから」
「.............ほなええか」
「チョロいなぁ。俺は心配だよ」
「景光さんにだけだし。ちゃんと知らない人は警戒するよ」

当たり前だと鼻をつままれた。
ぶすっとしていると、手から溶けたアイスが入った袋を取られて炬燵へ入れられた。
暖かい炬燵に安心する。漸く帰って来た感があるな。
くぁっと欠伸をしながら、キッチンで動く景光さんを見つめた。
要望通り年越しそばを作ってくれるようだ。
強盗犯のせいで、カウントダウンまでもう残り僅か。
のっそり立ち上がってキッチンへ向かうと、蕎麦を茹でていた景光さんが振り返った。

「どうした? まだ出来ないから炬燵にいていいぞ」
「いやちがくて。あ、もう少しだよ」
「もう少し?」
「カウントダウン! 5、4、3、2、1…….あけましておめでとう~今年もよろしくお願いします!」
「あけましておめでとう。今年もっていうかこれからもだな」
「あははっ確かに」

年明けの挨拶をして、なんとなくそのまま料理をする景光さんの傍にいる。
年の瀬に酷い目にあったが、景光さんが家に居ると思うとなんだかすごく温かい気持ちになる。
実家のような安心感というか、なんというか。
彼からマイナスイオンでも出ているのかもしれない。
ジッと見てたら味見待ちかと思われて、一口だけだからなと言われあーんで食べさせてもらった。
とても美味だった。
年越しそばだが既に年が明けてしまったからただの蕎麦になってしまったが、炬燵で2人で食べる蕎麦は大層美味しかった。
そうしてマッドタウンらしい年の瀬を過ごした訳だが、その後の正月休み中は家で寝正月だった事もあって事件に巻き込まれる事はなかった。
だが松田さんから情報をリークされた萩原さんからの連絡が頻繁に来ていて、次に会った時問い詰められるなと遠い目をした。
今のうちに上手い言い訳を考えておかねば。
松田さんに彼氏できたって言っちゃったからもう覆せないしどうしよ。
出会いとか捏造した方がいいよね。チャリでぶち轢いたとか言えないし。

「優花~餅焼いたけど食べるか?」
「食べる!!」

とりあえず今は正月休みを満喫しようと思う。
後で考えればいいよね。
餡子、きな粉、醤油、大根おろしと最強の組み合わせを用意してくれた景光さんに、ありがとうの気持ちを込めて合掌した。
今もなおスマホにアホみたいに通知が来ているが、餅の方が優先である。
甘いのと塩っぱいの交互に食べたら永遠に食べられる。永久機関が出来ちまったな。
正月休みはまだまだこれからである。

年の瀬に巻き込まれた人

不運が過ぎて年の瀬に強盗に遭った
兄貴分に助けを求めたファインプレー
兄貴分の優しさに触れ、マドンナにトゥンクした
ドカ鬱だったが家に帰ってメンタルケアされてSUN値回復
結構いやかなりタフネス
メンタルだけはどこぞの100億の男と張るレベル
正月休みを満喫した

救援要請に秒で駆け付けた兄貴分の鑑

大晦日であっちこっちで起こる喧嘩やらなんやらで駆り出されてたが妹分の救援要請に秒で駆け付けた
なんでお前そんなに巻き込まれてんだよ
頼れる男は秒で事件解決するし妹分を気遣う事も出来る
扱いが雑なのは好感度が高いから
男出来たとか聞いてねぇけど
兄貴分に紹介するのが先だろうが
そのうち家凸して妹分の家に転がり込んだ野良猫男性兼有能家政夫とエンカするかもしれない
運転技術は親友の影響で高め

捜査一課のマドンナ

ペアは言う事聞かない、独断専行と傍若無人を絵に描いたような男
そいつが柄にもなく焦ってるから気になっていたら人質の女性と仲良さそうで驚いた
憔悴している様子だったので聴取は早めに切り上げてペアに家まで送らせるしごできの人
ペアの事は良いなとは思ってるけど恋愛感情と言えるのかはまだ微妙なところ
まだ捜査一課にいない彼が頑張れば高佐になる未来もある

有能家政夫にジョブチェンジした元公安刑事

料理洗濯掃除なんでも熟す家政夫
家主が不運過ぎて心配
お迎えに行きたいけどまだお外出れないのでやきもきしてる
もっと頼って欲しいけどまだ踏み込むには時期尚早かなと思ってる
潜入捜査してただけあって間の取り方が上手い
恩を返す為という名目もあるが普通に甘やかすのが楽しい
そのうち同期に家凸されてシメられる可能性がある

出番がなかったもう1人の兄貴分

俺が最初の兄貴分なんだけど?って思ってるけど最近その座を親友に奪われそう
可愛がり担当
今回は雑踏警備で渋谷に配置されていた
寒いしはしゃぐ若者が言う事聞かないしはよ帰りたい
親友から妹分が強盗の人質になった事と彼ピが出来た事を聞かされておこ
事務所(兄貴分)通してくれる?
妹分に連絡しても無視されて悲しい
痺れを切らして家凸したら妹分の家に住み着く同期に遭遇する可能性がある
運転技術は頭文字がDの主人公並
ここでアクセル全開!インド人を右に

— End —

Comments 20

猫好き1 个月前

強盗である。 でバカ笑いました!!

K
KK6 个月前
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きよみ7 个月前

一気読みしました(*^^*) とても面白かったです!! 出番なかったもう1人の兄貴分の紹介が…ツボにハマりました笑 続き、ゆっくりお待ちしてます🌟

さく7 个月前

続きを待ってます!!

紫陽真7 个月前
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雪姫(ゆい)7 个月前
Sticker
V
vin7 个月前

すみません、ちょっと気になって…。いつの間にか引っ越しました? エレベーター無かったような…。 景光、兄貴分のダブルチェックに合格すると良いですね (excited)

N
neneka7 个月前
Sticker
S
SOO7 个月前

無事に家凸してエンカウントしてくださるの待ってますねwww

まり7 个月前
Sticker
稚那7 个月前
Sticker
たなちゃん7 个月前
Sticker
Sakuria
Where every work blooms
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