Novel10 months ago · 1.1w chars · 1 pages

個性:"支配"の普通科少女の話7

田中田中

まためっちゃ書いちゃった。エリちゃんかわいいな 出てくるキャラに偏りあり過ぎるけどまあしょうがない。心操君だいすき

*捏造注意

*書きたいところしか書いてない

.鳥ちゃんと遊ぼ!

「うちにインターン来る気になりました?」

『しつこい男は嫌いです』

「ありゃ。また振られちゃった」

ご自慢の羽で私の横をふわふわ飛びながら着いてくるホークス。ニコニコな笑顔が腹立たしいまである。なんでいんの?ほんと目障りです。

おっと口が滑った。

雄英は文化祭の準備が始まっており、いつもよりも浮ついた楽しげな空気が校内に流れている。かく言う私もその空気に飲まれており放課後や休日は文化祭の準備に時間を当てている。1年C組はお化け屋敷を催すことになっているので、最近はみんなで寮の共有スペースで様々なホラー映画を観てアイデアを貰っている。心霊から殺人鬼、日本から海外まで、本当に様々だ。ホラーが苦手だと言っていたはずの学級委員長の子も「全校生徒を恐怖で染め上げて最低でも1週間は悪夢で眠れないくらいのクオリティにしよう」と瞳孔が開いた状態で映画を観ている。根が真面目な子だから何事においても手を抜けないんだろう。その様子が既にホラーかなと私は思ってる。
ちなみに私が特に好きなのはエスター。あの人間的な怖さが堪らないよね。逆に心霊系はあんまり

で、

そんな楽しい青春を過ごしている高校生に懲りもせずこの鳥ちゃんは、

『学生1人の為にわざわざこっちに来る時間なんて無いでしょ。そちらの事務所は随分とホワイトなんですね』

「だったら良かったんだけどね。で、そんな俺が殆ど存在しない合間を縫って会いに来てるんですけど」

『恩着せがましくて嫌です。モラハラの気質がお有りで?』

「まさか!お手を取って頂けるなら精魂込めて尽くしますよ。」

『ふぅん。じゃあ犬になれって言ったらなるの?』

「…俺鷹なんですけど」

『いいえなんて言う犬はいらない。』

小鴨のようにいつまでもピヨピヨ着いてくるので一旦人気の少ない位置にある自販機で時間を潰すことにした。一緒にいる所を見られるとまた厄介なことになりかねないので。ホークスがジュースを奢ってくれると言うので遠慮なく2本ポチッとしました。へえ、気が効くじゃん。

「俺のこと嫌い?」

『別に』

「じゃあインターン来てよ」

『適任が他にいますよ』

「あ、勘違いしないで欲しいんだけど、これは公安とは一切関係ないからね。俺が君に惚れ込んで口説きに来てるだけ」

『なるほど』

「お、来る気になった?」

『一つお願いが』

「何でも言ってよ」

そうなると話が変わってくるな。公安が諦めずに勧誘しに来たのかと思ってた。そうだったらマジ死んでもお断りだけど、直属の上司がホークスなら悪くはない。
ま、ホークスが委員長になった後の公安なら働いてあげてもいいけどねぶっちゃけ。今の、ってか、ヒーローをヒーローとして扱わない公安が嫌いなだけだから。例の彼女の件もね。胸糞悪いよあれ。でもホークスならどうにかしてくれるでしょ。
優しくて正義感溢れる青年が、身をもって知っている辛い経験を、まさか次の世代にまで味合わせようなんて考えないよね。

『約束してください』

『これ以上、貴方のようなヒーローを増やさないと』

「それは、」

「…約束してみせるよ」

正義を志し人を助けたいと願う若人には、耐え難い苦痛でしょうから。

『ヒーローが暇を持て余す社会でしたっけ。素敵ですね』

「本当どこまで知ってんの…」

『ふふ』

「で、インターンなんだけど」

『私別に行くとは言ってないです』

「ジュース奢ったでしよ」

『対価が釣り合ってないんですけど』

この鳥ちゃんほんとしつこいな?そろそろ戻らないとサボりだと思われるんだけど?私は多忙を極めたJKなのでこんな所で遊んでいる暇はないのです。

『私これからミスコンの衣装合わせがあるのでホークスもおうち帰ってください』

「へえ!優勝スピーチは考えてる?」

『ナチュラルに私が優勝する前提で話すじゃん。もう優勝者は決まってますよ』

「え、なに出来レース?」

『学校のアイドル的なウルトラかわいい先輩が出場するのでその人が優勝する運命なんです。私も先輩に投票します』

「それ何で出場したの」

『仲良しなカァイイ友達から代わりにエントリーしておきました!って昨日電話きたので』

トガちゃんから突然電話が来たと思ったら「マキマちゃんの代わりにエントリーしておきました!!プロデュースは任せてください!!」ってウッキウキの声でそう伝えられたのでもう頷くしかないよね。せめて一言かけて欲しかったな。かけられた所で結果は変わらないと思うけど。なので私はこれからプロデュースと言う名のトガちゃんの着せ替え人形になりに行くのだ。トガちゃんが楽しそうなら私は何も言うことはないです。

しっしっ、と手を払ったらホークスは笑いながら飛んでいった。雄英に不法侵入出来るはずがないしきちんと許可取って入って来てるんだろうなあの人。そんな姿は見かけなかったけど流石は速過ぎる男といったところか。

「あ!マキマちゃん遅いです!!ずっと待ってたんですよ!!」

『ごめんねトガちゃん、ちょっと鳥に捕まってて。これお詫びに』

「鳥さん…?わ!これ私が好きなジュース!ありがとうございます!」

待ち合わせの場所へ行くと私を視界に入れたトガちゃんがほっぺを膨らませて怒っていた。なにそれカァイイ。鳥さん呼びなのも得点高いです。鳥???と頭にハテナを浮かべて居たけどジュースを渡したらキラキラ笑顔を見せてくれた。ちなみにさっきホークスに奢ってもらったやつだけど私が買ってきたことにしておいた。ありがとうホークス。お陰でカァイイ女の子を笑顔に出来たよ。

「絶ッッッ対マキマちゃんを優勝させてみせます!!体育祭もミスコンも1位を総ナメするのです!!!!」

『えっ、いや、私は別に優勝は、』

「絶対です!!!まずはこのドレス着てみてください!!!」

『わあ力強い』

そこから2時間程トガちゃんの着せ替え人形となり様々なメイクも施されましたとさ。トガちゃんが楽しいならいっか…めでたしめでたし。

『黒のドレス着たいな』

「シックなのですね!マキマちゃんに似合いそうですしそれ名案です!!」

『あ、まってもう試着は、』

「着てみてください!!」

『はい…』

.文化祭準備とエリちゃんと、

『私が個性使ってお客さんを金縛り状態にするから、その内にみんなで死ぬ程怖がらせるってのは?』

「うわそれ良い!!身動き取れないのが何気に一番恐怖心煽るし!!じゃあじゃあ!みんなでお客さんの手足掴んで引き摺り込もうとするのは!?」

『なにそれ超おっかないじゃん。はい採用』

「あざす!!」

「眩しい笑顔でえげつないこと決めたなあの2人…」 

「C組に来た人達、本当に悪夢に魘されるようになるんじゃないか」

「まあそれが目標だからな…心操はどーする?おばけ役か裏方か選べるよ」

「俺は裏…」

『おばけ役で』

「OK!おばけ役な!!」

「おい何勝手に決めてんだ」

『心操君は天井から逆さまで驚かしてくるおばけね。死んだ顔でいることと血糊も忘れちゃダメよ。異論はなし』

「俺だけ解像度高いな」

お化け屋敷の準備はクラス一丸となり着々と進んでいる。例の学級委員長と驚かせ方の案を出している途中だけど中々良いものになる予感。相変わらず瞳孔は開いているけど本人が楽しそうだしまあいっか。
裏方に逃げようとした心操君をとっ捕まえておばけ役にしておいた。さっきまで心操君と話していたクラスメイトも笑顔で「心操はおばけ役の才能あると思うぜ!」って言ってたしあいつも共犯です。心操君も意外と素直におばけ役を受け入れたのでヨシ!!

一旦昼休憩を挟むと呼びかけたけど、みんな取り憑かれたように作業を続けるので最早狂気の域まで来ているなと思った。私はオンオフ切り替えるタイプなので取り敢えず心操君だけ引っこ抜いてお昼を食べることにした。話し相手は欲しいしね。
心操君はれっきとした成長期男子なので私の倍は食べてる。私も食は細い方じゃないのにな。

『あれ、緑谷君?』

「あ?どこに?」

『あぁごめん。LINEね』

『えーっと、なになに?また個性の話かね…』

『_________わ、』

.

「今連絡したよ。きっとすぐに来________」

『来たよ』

「えっ、速ッッッ!?!?!?まだ30秒も経ってないのに…」

「やあ!早川さん、足速いんだね!」

『ふふ、足には自信あるんです』

『こんにちは、エリちゃん。私のこと覚えていてくれて嬉しいな』

「ぇっ、と、あの!ま、まきま、さん、」

『うん、なあに?』

緑谷君からメッセージが届いたのでまた長文かな…と覚悟して通知を押すと、なんと内容はエリちゃんが私に伝えたいことがあるので今食堂に来れないか、というものだった。それを見た私は食べかけのおにぎりを心操君に託してホークスじゃないけど飛んで来た。こんなに急いだの久々だよ。3人のいる食堂まではまあまあの距離だったけどそんなの関係ねぇ。

照れ屋さんなのか、エリちゃんは頬を赤く染めながら私の名前を呼んだ。彼女の視線に合わせてしゃがみ込み、怖い印象を与えてしまわないように最大限の優しい笑顔を浮かべて向かい合った。

「ぁ、あのねっ!マキマさん、私を助けてくれたときに、すごく大きな怪我しちゃったから…その、えっと、」

『ゆっくりでいいんだよ。エリちゃんのお話、私に聞かせて?』

「っ、ぅん、!」

「あのね、わたし、ずっと謝りたくて、」

「ごめんなさいっ!!私のせいで、マキマさんにたくさん痛い思いさせちゃって、」

「エリちゃん…」

『…』

『謝ってくれて、ありがとう。きっと私のことをたくさん考えてくれたんだよね。エリちゃんはとっても優しい女の子だね』

『でもね、エリちゃんが謝る必要はないの』

『エリちゃんが今何にも怯えることなく毎日平和に暮らせているのなら、どんな怪我だって一瞬で治っちゃうんだから!』

「でも、」

『ね、ちょっと手借りるね』

涙の膜できらりと輝く大きな瞳に笑いかけて、左腕の服をまくって彼女の小さな手をそっと触れさせる。

『ここね、本当はちょっとだけ怪我しちゃったの。でもほら、今は傷なんてついてないでしょ?』

「うん…」

『だから大丈夫なんだよ。私はエリちゃんが無事ならなーんにも痛くないの!』

『あなたがこうして私とお話してくれることが、なによりも嬉しいの!』

「…!わたしも!…ぅれしい、」

『んふふ、一緒だね』

「うん…!」

小さなおててを包み込むように握って、大丈夫と伝わるように体温を送った。エリちゃんは笑いこそしないものの、先程のような悲しい顔ではなくスッキリとした表情をしていた。
そうだよね、目の前で人が倒れる所を、しかも血を沢山流している所なんて見たら自責の念に駆られてしまうよね。でもあなたはちっとも悪くないの。あなたが心から笑えるようになれるなら、あんなの痒くもないのよ。

声をかけてからエリちゃんの頭をゆっくりと撫でた。くすぐったそうに私を見上げる瞳に何度目か分からない笑みを贈った。

『ねえねえエリちゃん、私のクラスではお化け屋敷をするんだけど…ちょっとエリちゃんには刺激が強いかもしれないから、当日はミスコンの応援に来てくれたら嬉しいな』

「うん、!応援行く!」

『ふふ、ありがとう』

エリちゃんとは当日まで一旦さよならをしてクラスに戻った。その途中は緑谷君と一緒に行き文化祭のことを話した。お化け屋敷の詳細は一切話さずとにかく当日来いと言っておいた。恐れ慄く顔が楽しみだね…!!

「あの、早川さん、聞きたいことがあるんだけど…」

『なに?』

「…あの日のこと、なんだけど」

『うん』

「早川さんの"個性"って、もしかして治癒能力もあったりするのかな…!?」

『…うん?』

「体育祭に轟くんとの試合の時に見せた銃のような攻撃も"支配"の個性とは違う気がしたしそもそも早川さんの"個性"は用途の幅が広くてまだまだ披露していない技が沢山あるんだろうけどあの驚異的な回復力も"個性"の一部なのかなって思ってそれで、」

『あーうんストップストップ』

『…岸辺から聞かされたんでしょ?あれなんて言われたの?』

「へっ?「マキマは死なない。心配するな。あとこれは他には言うな。」って…」

『んな雑な…』

君らよくそれで納得したね。てか多分2人とも思う所があっただろうに聞かないでくれたんだな…やさし…
まあ、個性だって考えなきゃ辻褄合わないよね。リカバリーガールですら無くしたものは治せない。私の欠陥した腕も臓器も、回復力うんぬんだけじゃ説明が付かない。本音は私が悪魔だからなんだけど、治すのに血液が必要だしこれを言うのはかなり勇気いるなあ。話してドン引きされて距離置かれても仕方ない内容だし、君と気軽に話せなくなるのは結構辛いし…うーん、

君なら、怖がらないでくれるのかな。

『まあ、そう思ってくれていいよ。実際大抵の傷はすぐ治るし』

「…でも、あの時、左腕が…、」

『うん。吹っ飛んでたね』

「そんな軽々と…」

『…血がいるの。治すには。』

「へ、」

『あの後岸辺が輸血…というか血を飲ませてくれて、なんとか助かったの。私ね、血を飲みさえすれば致命傷だって治せちゃうの。』

『気味悪いって思うだろうけど、』

「すごい…!!」

「血液"だけ"であんな大怪我をなかったことに出来るなんて…!本当にすごい能力だよ早川さん!!!」

『…はは、敵わないな』

血液"だけ"なんて、よくもまあ言い切れたもんだよ。こっちの心配なんて知りもしないで、君はいつもその人にとっての正解を導き出す。心の底から思っているだろうその瞳の輝き。
君に嫌われるかもとちょっとでも心配した時間を返して欲しいくらい。

『もし死にかけてたらちょっとだけ血分けてほしいな』

「死にかけるような状態にならないで欲しいかな!?」

『お、それ君が言う?腕ぶっ壊して戦ってたくせに』

「う"っ、返す言葉がない…」

緑谷君ともさよならをした後、結構時間が経ってしまったのですぐにクラスに戻った。既に準備を再開していた心操君が私を見て少し怪訝そうな顔をした後、託していたおにぎりを返してくれた。

「急に飛び出して行くなよな。」

『私のおにぎり!守ってくれてありがとうヒーロー!!』

「はいはい。で、何してたんだ?」

『可愛い女の子と交流深めた後緑谷君に自己肯定感を爆上げしてもらった』

「本当に何してたんだ?」

.本番前のお話!!

ミスコンの控え室でトガちゃんに髪を結ってもらいながら緑谷君にメッセージを送る。エリちゃんのことで聞きたいことがあったんだけど、まあ既読にならないよね。彼は今、例の敵の足止めに必死だろうから。私が手伝おうかなとも考えたけど、あの人は力で捩じ伏せても意味がないからやっぱり緑谷君には頑張ってもらわないといけないかな。

「出来ました!!」

『わぁ…かぁいい!』

「はい!とってもカァイイです!!」

「あとは昨日話した通りにお願いしますね!これでパフォーマンスもプロポーションも完璧です!!」

『ふふ、完璧なプロデューサーのお陰だね』

「プロデューサートガに任せてください!!」

トガちゃんの器用な手によって複雑な編み込みを施された髪を確認しながら2人で笑い合う。
少し離れた所では先輩達が優勝争い、と言うか女の戦いのようなものを繰り広げているけどそんなの関係ないもんね。こういうのは楽しければ良いのよ。
トガちゃんに撮ってもらった写真をクラスLINEに送ると怒涛の褒め言葉が返って来た。「優勝争い一抜け確定」「体育祭前みたいな氷のような微笑みが性癖ですありがとう」「わたしのことも支配してー!!」とか癖の強い褒め言葉ばっかだったけど。そして「美し過ぎて妖怪の域まで来てる」と貶してんのか褒めてんのかわからん言葉をくれたのは我らが委員長です。あの人今すぐ子猫の癒し動画とか見せたほういいよ。

「マキマちゃん綺麗〜!!通形に聞いたよ、私に投票するの?自分も出場するのになんで他の人を応援するの?ねえねえなんで?」

『あはは、ねじれ先輩のファンなので。私。』

「不思議〜!!」

「学年で噂される程の美貌のC組の早川マキマさん…ッハハ!!確かに美しいが、美しさなら我らB組も負けていない!!!優勝を飾るのはもちろんBくみっ、」

「失礼だろうが」

「ガッ、」

「…あの人何なんですか?」

『…触れないでおこうか』

「早川さんごめんな、コイツちょっと性格がアレで」

『気にしないで拳藤さん。そういうの慣れてるから』

「慣れるもんじゃないけどな…」

ねじれ先輩や拳藤さんと話しているとスマホの通知が鳴った。お、緑谷君帰ってきたのかな。そろそろ良い時間だしね。
A組の出し物見たいけど時間的に無理そうかも。私も八百万!!八百万!!!って掛け声したかったのに。てかあの掛け声何。青山君の人間ミラーボールも見たかった…えーん。
そんなことを考えていると控え室に心操君がやって来た。

『来た来た私のかわいいパシリちゃん』

「お前なぁ…」

『ありがとー心操君!鈴カステラ食べたかったの!はいお金』

「良いよ別に。それよりミスコン頑張れよ」

『わーい人の奢り大好き。Chu!愛してるよ♡』

「そういうのは結構です」

『受け取れよ』

ドーレミファソラシド♪心操君はじめてのおつかい♪
おつかいと言う名のパシリにされた心操君は溜め息を吐きながらも鈴カステラをきちんと買って来てくれたししかも奢りだって!!ふーん?お前さてはモテるな?モテる面と行動だ!!
チュ♡と投げキッスを送ったけど手で振り払われた。前言撤回お前絶対モテないよ。

「も、もしかしてマキマちゃんの彼氏さんですか…?」

『「違う」』

「あれ?」

息ぴったりですね!と輝く笑顔で言うトガちゃんに2人で苦い顔をした。ち、ちがうのトガちゃん…!!ただの相棒なの…!!と修羅場ごっこをしたら心操君にデコピンされた。相棒なのは否定されなかったからただの照れ隠しだと思うこのツンデレめ。

.エリちゃんside

「お次は普通科1年C組早川マキマさんです!!」

「わぁ…!!」

真っ赤なドレスを着たマキマさんがステージに歩いてくる。
きらきらしていてとてもキレイだけど、マキマさんはこの前見せてくれた優しい笑顔とは違う笑い方をしていて、ちょっとだけ胸がきゅっとなった。あの日、いろんな人が私を助けようと頑張ってくれていた日。マキマさんが沢山血を流して倒れた時の、無理して笑っていた顔に少し似ていた気がしたから。

パチン、

「きゃっ、!」

「エリちゃん!見て!ワクワクさんだよ!!」

「なに、?」

マキマさんの指からぱちん、と音がなった。と思ったら空から黒い鳥がいっぱいマキマさんのまわりに集まって来た。すごく沢山いるからマキマさんが見えなくなっちゃった。ばさばさ、と鳴る鳥の羽の音にびっくりして目を閉じるとルミリオンさんが声をかけてきた。

パチン、

「…きれい、!」

さっきと同じ音が聞こえてマキマさんの方を見ると、出て来た時とは違う、真っ黒で足の方がヒラヒラしたドレスに変わっていた。髪型もこの前会った時と同じでなにも結んでいないさらさらのままだった。
赤のドレスもすごく似合っていたけど、私は今の真っ黒でさっきの鳥たちとお揃いみたいなドレスの方が似合っていて、すごく、すっごくキレイだと思った。

まわりの人達もびっくりしたみたいでみんな声が大きくなった。

「早着替えってやつだね!早川さんすごいね!!」

「うん…!!」

「おっと、!」

「マキマさんっ!!!」

黒のドレスが似合っていることを伝えたくて思わず名前を呼んじゃった。
マキマさんはもう帰ってしまうところだったけど、私の声に気が付いてこっちを見てくれた。

「すっ、すっごく、!!きれいだよっっ!!!」

『…!!』

私の声を聞いたマキマさんの目がお月さまみたいにまあるくなって、その後すぐにこの前みたいな優しい笑顔を見せてくれた。手を振って何かを喋っていたけど、私には何を言っていたのかは分からなかった。
そしてマキマさんの出番が終わってちょっとだけ寂しい気持ちになった。

「早川さん気付いてくれたね!」

「うん…でも、なんて言ってたのかわからなかった、」

「ああ、あれはきっとね、"ありがとう"って言っていたんだと思うよ」

「ありがとう、?」

「そう。褒めてくれてありがとう、って」

"謝ってくれて、ありがとう。"

マキマさん、前にもありがとう、って言ってた。そう言われるとさっきまで心配していたものがなくなって、胸がぽかぽかしてくる気がした。

このぽかぽかをマキマさんにも分けてあげたくなった。

.

『エリちゃん!』

「マキマさん、!」

ミスコンが終わり着替えも後回しにエリちゃんの所へ走った。気分はさながらシンデレラ。ちょっと足が速過ぎて王子が見失うレベルだけど。

トガちゃんに昨日伝えられたようにパフォーマンスは早着替えにした。ついでに着替えている間は体育祭の時のようにカラスを操って試着室代わりにさせて貰った。演出の派手さとマキマさんの美しさのお陰で結構盛り上がったと思う。赤や黒の強い色を選んだのは、ねじれ先輩と正反対の印象にすることで先輩を際立たせたかったからだ。これがどう左右するかは分からないけど、まあ優勝はねじれ先輩で確定だろ。
私は本物のマキマさんの笑みを真似していたから、美しいことに変わりはないけど、どこか近寄りがたい雰囲気を出していたと思う。対してねじれ先輩は妖精のようなやわらかな雰囲気とあのかわいさ。思わず先輩に投票したくなるはずだ。

さっさと帰ろ、と考えながら歩き出した時、背後から私を呼ぶ声が聞こえた気がした。

『え、エリちゃん、?』

「すっ、すっごく、!!きれいだよっっ!!!」

『…!!』

『ありがとう、』

まさかエリちゃんがあんな大きな声を出すとは思わなくてマキマさん被りが解けてしまった。

ほっぺを真っ赤にして一生懸命に伝える姿がいじらしくて、思わず素の笑顔で手を振っていた。

『応援ありがとう!エリちゃんの声、ちゃんと届いたよ!!』

「うん!」

「あのねっ、あのね!そのドレスマキマさんにすごく似合ってる!!さっきの鳥とおんなじ色で、きらきらで、つやつやしててキレイだから!」

『エリちゃん…!』

感極まってエリちゃんを優しく抱きしめた。
エリちゃんが年相応に笑う姿を見て、通形先輩達のように泣いてしまいそうだった。この子が笑顔になる理由になれたのなら、それが何よりも嬉しかった。

「あとね、マキマさん!」

『なあに?』

「私を救ってくれて、ありがとう、」

「私のために戦ってくれて、ありがとうっ、!」

「マキマさんが私に"ありがとう"をくれるから、私もマキマさんにお返ししたいな、って思って、」

「ここがね、ぽかぽかするの!マキマさんもした、?」

『…ぅん、!ありがと、エリちゃん…!ぽかぽかだよ!』

キラキラ輝く赤の瞳が、今は太陽よりも眩しかった。

「お疲れ」

『つめたっ!…どーも。』

文化祭後、私を祝おうとテンション高めのクラスメイト達にもみくちゃにされた。怒涛の褒め言葉再来。圧で死んじゃいそう。ありがとうねみんな。
少し落ち着いて寮のソファに座っているとほっぺに冷たい物が押し付けられた。なんだ喧嘩売ってんのかと思って後ろを向くと心操君がジュースを持って立っていた。普通に渡せよ。いやありがたく頂きますけど!!!

ミスコンの結果は優勝がねじれ先輩、準優勝がまさかの私だった。いや名前呼ばれてほんとにびっくりした。マキマさん被りで投票数減らす計画だったのに全然効果ないじゃん。聞くところによると、私が最後エリちゃんに向けた素の方の笑顔が観客に刺さったらしい。さっきまで冷たい笑みだったのが一変甘々で優しい笑顔になったのが脳に来たって。なんだよ脳に来るって。超音波かよ。
ミスコン後、エリちゃんと話して泣きそうになって思わずハグをして隠した。でもエリちゃんの後ろにいた通形先輩と緑谷君には丸見えで2人とも微笑ましそうな顔してた。その後はお化け屋敷のシフトが入っていたので着替えて血塗れになってお客さんの魂食ってやる勢いで驚かせた。廊下にいる人がビビるくらいの悲鳴を引き出すことが出来ました。満足満足。

『終わっちゃったなぁ…』

「来年もあるだろ」

『そーだけど…』

この先で待っている地獄のような現実に、目を向けないといけない。
私の手の中にある平和を守りたい。みんな、みーんな傷付いて欲しくない。学校生活を送るうちに、私の守りたい平和は両手から溢れ落ちるほどのものになってしまっていた。なーんにもしたくないし、傷付きたくないし…でも誰のことも失いたくない

『しんそー君、』

「なに?」

『がんばって、立派なヒーローになろうね』

「…当然」

『ふふ、』

わたしが、みんなを助けるからね

— End —

Comments 10

C
carpaccio8 个月前
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生姜。9 个月前
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ネコザムライ9 个月前

めちゃくちゃ面白くて一気に読んじゃいました!!続きお待ちしてます!エリちゃんが可愛いし緑谷が光属性すぎる……

金魚ばち10 个月前
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マリ10 个月前
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10 个月前
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10 个月前
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R
Ria10 个月前
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チャウ10 个月前
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Sakuria
Where every work blooms
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