とあるダンジョン地下5階 とある屋敷 拠点(仮)
家入硝子は拠点と言われた場所に到着する。ドアの向こうから料理のいい匂いがした。
「チーズの焼けた匂い?」
硝子は少し空腹になった。ミイラの姿で発見されたと言われたので身体は何も入っていないのだろう。
ドアを開けると料理がテーブルの上に広がる。チルチャック達が皿を出していた。
「おかえりザイン、キルコ!どうだった調査の成果?」
チルチャックが聞くとザインが硝子達を見せるとチルチャックが「なんか増えてる」っとつぶやいた。
伊之助が鼻息を荒くしてテーブルに飛びついた。
「肉!!」
腹を空かせた伊之助が飛び出て肉を掴もうとしたが、センシが腕の筋肉で伊之助の体をはさむ。
「食事は皆が揃ってからだオーク」
「オークじゃねぇ!伊之助だ!」
「なんだよ?見たことねぇな」
デンジがそう言うとクロエは指を鳴らす。
「私達と同じ迷子だね!」
「ハズレ、最深部にあったミイラが蘇った人達だよ、それよりピザ!」
ピザとテールスープにドラゴンの焼いた肉がテーブルに並ぶ。
「お嬢さん…ボクは善逸といいます」
伊之助がそう言うと善逸がファリンに近づき手をとる。
「善逸さん?」
「はい、これは運命の出会いです…」
「ふん!」
「ふん!」
キルコは手をパーでマルシルが杖でおもいっきり善逸の頭を叩いた。
気絶した善逸はキルコに引きずられて椅子に座らせられる。
硝子はクロエ達の姿を見て少し気になった。
(私と同い年?エルフにドワーフとか本物はじめてみた)
ライオスは硝子の方にくると椅子を引いてくれた。
「俺はライオス!とりあえず事情はドラゴンの肉を食べながらで聞きたい」
「わたしは硝子!もうお腹空いて動けないから有り難い」
全員が集まると乾杯を上げた。久しぶりの食事を楽しむクロエ達は満面の笑みを浮かべる。
「ピザすげぇうまい!」
「おうよ!牛か豚かわからねぇが!とにかく美味い!」
デンジと伊之助の二人がそう言うとマルシルとフェルン、硝子の3人はライオス達について話していた。
「マルシル様のお母様は宮廷魔術師だったのですね」
「うん!聖都に用事で寄ったときに財布を落としたときに通りすがりの若い僧侶に助けてもらったの」
「若い僧侶?お名前はお聞きしたのですか?」
「確か?ハイターって人だったかな、無事に財布を見つけてくれて」
「ハイター様!」
フェルンは驚くクロエが隣で口をはさんだ。
「マルシル、それ多分、フェルンの親父だ」
「えぇー!ハイターってフェルンのお父さん!?」
「それ詳しく聞きたーい!」
硝子がマルシルとフェルンの間に入って伝える。
センシはファリンと伊之助と善逸の食欲を見てウキウキしていた。
「うむ客人は食欲旺盛だ」
ザインは果実酒を飲み干すと立ち上がりチルチャックとセンシの席の横に座る。
「こいつら見つけた時はミイラだったからな」
センシはびっくりした顔を浮かべる。
「なんと!では3人はゾンビか!」
「ゾンビではないな。しかしマジかよ?ミイラで思い出したがまさか【ポジションミイラ】じゃあないだろうな」
「聞いたことあるな、自分の位置とは違う場所にいれかえる魔法道具、売れば大金持ちだな」
ザインはそう言うとセンシは少し考える。
「ファリンを連れて地上に戻っても、この島はワシらの知らない土地であろう、しばらくはワシも共に行動するとしよう」
「いいのか?センシ」
「デンジ、マル、キルコ、クロエはまだ育ち盛り、そんな時期に満足に食事が出来ないのは堪えられん」
センシの言葉にザインは何か重みを感じた。それはいつもの雰囲気が違う。
(いつもの彼とは違う、過去に一体なにがあったんだセンシ…)
ライオスがファリンにケン助を紹介しているとチルチャックが少し頬をふくらませる。
「で…どうするつもりだ」
「しばらくは、他に武器がない内は使わせてほしい」
「けどよ、クロエの簡易召喚石あるからそれ使えば、武器出せるじゃん」
「デンジ、俺はケン助を使いたいんだ」
デンジが呆れた顔を浮かべた。
「駄目だ頑固だライオス」
「魔物は危険だと言ったのはお前だろ、ライオスよ、それに武器は無くともシュタルクとキルコがいる」
いつものセンシの戻りライオスに伝える。だがライオスは嫌がる。
「それを忘れたつもりはなかった。でもやっぱりダメだった魔物を生かして利用するのは危ない」
「どんな味がするの?」
「食べてみたいのか?ファリン」
「食べたい食べたい!ドラゴンの肉すごく美味しかった。違う魔物を食べたらどんな味するか気になる!」
無邪気な子供のようにファリンは笑顔をむける。
食事を終えた皆は今晩泊まる場所で見張り番を決めてからライオス一行は眠りについた。
フェルン…起きてください
聞き覚えのある声が眠りについたフェルンは目覚めた。
「ハイター様…」
フェルンはふらふらと起き上がり、ファリンから離れて窓を開けて地上に降り立った。
街の中を迷うことなくフェルンは進むと転移魔法陣にたどり着いた。
淡い光の中をフェルンは包み込まれると景色が変わった。
地下ダンジョンの天井が無くなり、満月が空に浮かんでいた。
夜空と砂浜のある場所にフェルンは転移したようだ。
「あれ?私どうしてここに」
フェルンは、ここまできた記憶が無い。外の世界に戻ってきたことは理解した。
近くから魔力を感じたフェルンはすぐに動いた。
真紅色の糸がフェルンの立っていた場所に展開されていた。
目の前に白い肌と赤い目をした少年がフェルンの少し離れた場所にいた。
「法術士か…」
「あなたは誰ですか?」
「ボクは累…君は何処からきた?近づく気配が全く分からなかった」
「…人を喰う鬼」
フェルンは杖を持っていない。戦うことは出来ない状態であった。
「まぁいいか、丁度ためしたい事があったから」
累の後ろから狐の面を被った少年と少女が現れた。刀を持っている。
その隣に累と同じ鬼が現れる。少し累より背が高いそして嫌な気配をかんじとれた。
「おや?お客様がきたようだね〜累」
「魘夢、【腕輪】がどこまで動かせるか試すぞ」
魘夢と呼ばれた青年は手を前に出した。
「判ったよ、じゃあ錆兎、真菰!あの法術士を倒して」
錆兎が刀を取り出す青色の刀身、真菰は碧色の刀身であった。二人はフェルンに向かって走り出す。
(どうすればよいのでしょう…二人を相手は難しい)
金属の千切れる音が鳴り響いた。クナイが二人の刀に当たるとフェルンの前に獣人の少女が現れた。
耳が生え猫のような姿をしている。
「無事か?」
「はい…あなたは?」
「私の名前はイヅツミだ覚えておけ、加勢してやるから代りに、ここが何処なのか教えろ」
獣人の少女の名はイヅツミと名乗った。どうやらイヅツミも転移かクロエ達のように飛ばされたようだ。
今は戦力がほしいとフェルンは承知してイヅツミと手を組むことにした。
「フェルンです、それでお言葉に甘えさせていただきます」
(マルシル達の匂いがする。間違いない!近くにライオスがいる!)
すると錆兎は刀の持ち方を変えイヅツミと対峙する。
真菰がイヅツミの懐に入ろうとしたが爆薬クナイが体に命中して吹き飛ぶ。
砂浜のクッションでダメージはなかったが真菰は立ち上がる。
錆兎は斬撃をイヅツミの腕を命中させるが全く効いていなかった。
蹴りと爪で錆兎の身体を引き裂いたが間一髪で致命傷を避けた。
「二人だけじゃあ難しいな、仕方ない」
魘夢と累が前に出る。連携してイヅツミとフェルンを倒すことに決めたようだ。






