Novel3 days ago · 3.2k chars · 1 pages

花柱スペックで転生した話・十四

みすずみすず

【キャプション必読】




※注意※




この作品は作者の趣味と妄想による二次創作物であり、ご都合主義や捏造設定・独自解釈などが多分に含まれております。


原作とは違う展開になるかもです。


あくまで二次創作ですので誹謗・中傷はご遠慮くださいますようお願いします。

薄明の空。夜と朝の境界が、静かに滲んでいく時間。拠点の門の前に、二つの影があった。

「姉さん、本当に行くの?」

小さく震える声。カナエは振り返り、そっと微笑んだ。

「ええ」

その答えは、優しくて、残酷なほどに揺るがない。カナヲの手を取り、しゃがみ込む。

「カナヲ。貴方にはね、いつか一人で歩けるようになってほしいの」

「、、、ひとりで、なんて、、、」

「大丈夫よ」

ふわり、と頭を撫でる。

「今すぐじゃなくていいの。ゆっくりでいい。でも、いつか“自分で選んで進める人”になってほしい」

カナヲは俯いたまま、唇を噛む。

「、、、ねえさんが、いなくても、、、?」

その問いにほんの一瞬、カナエの瞳が揺れた。けれどすぐに、柔らかな光を宿す。

「、、、ええ」

優しく、けれどはっきりと。

「私がいなくても、大丈夫なように」

その言葉に、カナヲの手がぎゅっと強く握られる。

「でもね」

そっと額を合わせる。

「“一人になる”わけじゃないわ。貴方は、ちゃんと誰かと繋がって生きていける子だから」

「、、、っ、うん」

「いい子ね。、、、貴方達、見送りに来てくれたの?」

「、、、はい」

人の気配を感じて顔を上げると、国長をはじめとした隊士たちが並んでいた。

誰もが、何かを堪えるような顔をしている。

「、、、行かれるのですね」

「ええ」

私は、短く答える。国長は一歩前に出ると、深く頭を下げた。

「我らは、貴方に救われました」

「どうか、どうか、、、」

声が震える。

「いつか必ず、この恩を返させてください!」

その言葉に、周囲の者たちも一斉に頭を下げた。

「必ず、、、!」

「貴方に救われたこの命に恥じぬ生き方をします!」

「だから、、、!」

顔を上げた国長の目は、涙で滲んでいた。

「どうか、ご無事で、、、!」

カナエは一瞬、言葉を失う。それから、ゆっくりと微笑んだ。

「ありがとう」

その一言に、すべてを込めるように。

「ねぇ、国長君。、、、今度また会えたら、ゆっくりお茶でもしましょうね」

国長の目が、大きく見開かれる。

そして、ぎゅっと拳を握りしめた。

「、、、はいッ!」

門が、ゆっくりと開く。朝日が、二人の背を照らした。

カナエは一度だけ、振り返る。もう戻らない場所。けれど、確かに“守りたかったもの”があった場所。

「行きましょう、カナヲ」

「、、、うん、姉さん」

二人は並んで歩き出す。その背を、誰も呼び止めなかった。

その頃、カナエの部屋では。

「、、、なんだ、これ」

机に綺麗に置かれた紙を手に取ったのは、坂田銀時だった。隣では、桂が静かにもう一枚の文を広げている。

銀時は目を細め、読み進める。

“銀時へ

貴方はいつも、私に前を向く力をくれた。どんな時も、進むことをやめない貴方に、何度も救われたの。だから、どうかこれからも、そのままでいて。

貴方の進む道が、誰かの光になることを、私は知っているから。”

紙を持つ手が、わずかに震える。

「、、、あの野郎」

小さく、吐き出す。笑っているのか、怒っているのか、自分でも分からない声だった。

「、、、行っちまったのか、、、」

ぽつり、と零す。

一方、桂は。

“小太郎へ

貴方は、私の自慢の親友よ。どんな時も真っ直ぐで、誰よりも優しくて、強い人。貴方がいてくれたから、私は何度も立ち上がれた。だからどうか、自分の望む道を進んで。

貴方の信じる正しさを、貫いて。”

読み終えた桂は、静かに目を閉じた。そして、ゆっくりと息を吐く。

「、、、ああ」

小さく、しかし確かな声。

「その信頼に、応えねばな」

目を開いたその瞳には、揺らぎはなかった。

「、、、ヅラ」

「ヅラじゃない、桂だ」

いつものやり取り。けれど、どこか静かだった。銀時は天井を仰ぐ。

「、、、あいつ、勝手すぎんだろ」

「、、、そうだな」

「、、、でもよ」

ぽつり、と。

「らしいっちゃ、らしいか」

その言葉に、桂はわずかに微笑んだ。

風が、やけに冷たく感じた。静まり返った場所で、高杉は一人、空を仰いでいた。

もう、あの背はここにはない。笑っていた顔も、穏やかな声も、手を伸ばせば届いた温もりも、全部、遠ざかっていく。

「、、、チッ」

舌打ちが、やけに乾いて響いた。最初は、ただ隣にいられればそれでよかった。あいつが笑えば、それでよかった。

誰かと話して、嬉しそうにしている顔を見るだけで、胸の奥がじんわりと温かくなった。ああ、こいつはちゃんと、生きている、と。

そう思えた。

それで、十分だったはずなのに。

、、、いつからだろう。

あいつが、誰かに笑いかけるたびに。あいつが、誰かの名を呼ぶたびに。胸の奥が、ざらつくようになったのは。

カナヲに向ける優しさ。銀時に向ける信頼。桂に向ける、気安い親しみの混じった言葉。

どれも、見慣れているはずのものなのに。

「、、、気に食わねェ」

低く、押し殺すように吐き出す。

本当は、分かっていた。あいつは、最初から誰か一人のものじゃない。誰かに縛られるような女じゃない。

それでも。

そうだとしても、、、

「、、、欲しい」

喉の奥から、掠れた声が漏れる。

綺麗だと思った。壊したくないと、思った。守りたいと、思った。

なのに同時に、壊してしまいたいとも思った。

その翅を、もいで。どこにも飛べなくして。自分の手の中だけで、生きさせたい。

「、、、ハッ」

自嘲の笑いが漏れる。

なんだそれは。あまりにも、醜い。あいつが嫌うものを、全部詰め込んだような欲だ。

「、、、クソが」

拳を握る。血が滲むほどに力を込めても、消えない。

むしろ、強くなるばかりだ。

最初は、ただ隣で笑っていられたのに。あいつが嬉しそうにしていると、自分も同じように嬉しかったのに。

いつからだ。その笑顔を、他の誰かに向けるのが、許せなくなったのは。

「、、、俺は」

低く、呟く。

「カナエを、誰にも渡したくねェ」

渡さない。誰にも。銀時にも。ヅラにも。あのガキにも。

「、、、全部、奪ってやる」

静かに、目を細める。その瞳に宿るのは、狂気と執着。だが同時に、壊れそうなほどの切実さが滲んでいた。

思い出す。あの夜の言葉を。

『今は、行けない』

あっさりと。けれど、決して揺るがない声で。

「、、、分かってるくせに」

自分が何を望んでいるか。それでも、選ばなかった。

あいつは、そういう女だ。

誰かに縛られない。けれど、誰かを見捨てもしない。

だからこそ

「、、、気に食わねェんだよ」

手を伸ばせば、届きそうで。でも、絶対に掴ませてはくれない。

「、、、迎えに行くっつったろ」

口の端が、僅かに歪む。

「その時、泣こうが喚こうが、、、」

静かに、言い切る。

「連れてく」

何も持たず。何も捨てられず。ただ一つだけ。どうしようもなく、手放せないものを抱えたまま。

高杉はカナエ達が消えてゆく姿を見続けていた。

歩き続ける二つの影は振り返らない。それぞれの想いを背負って、前へ歩く。

カナエは、カナヲの手を握っていた手に少しだけ力を込めた。

「ねえ、カナヲ」

「なあに?」

「これから、たくさん選んでいきましょう」

柔らかく微笑む。

「貴方の人生を、貴方自身で」

カナヲは少しだけ考えて、そして、小さく頷いた。

「、、、うん」

その一歩は、まだ小さい。けれど確かに、“誰かに決められたものじゃない歩み”だった。

— End —

Comments 11

A
alice1 天前

新たな旅立ちですね!何年後に再開する予定でしょうか?続きが楽しみです!

���
🍒*˖°1 天前
Sticker
R
reppa-1 天前
Sticker
光寿1 天前
Sticker
大庭葉子2 天前
Sticker
花翡翠2 天前
Sticker
H
hina2 天前
Sticker
E
E.nono3 天前
Sticker
0
0vd3263-18206s3 天前
Sticker
N
n3 天前
Sticker
3 天前
Sticker
Sakuria
Where every work blooms
Click anywhere to skip