Novel4 days ago · 7.1k chars · 1 pages

「ちょっと殺気見してくんねぇか?」

好事家好事家

原神の二次創作です。ロエ蛍です。 注意事項を読んで自己防衛してください。 タグ表記や内容に問題がある場合や恥ずかしくなったら消します。 ロエ蛍いいぞー!!!(叫び) 前にXで呟いた蛍の殺気が見たいロエの話です。 ロエさんの戦闘狂に振り回された蛍の話なので糖度低い。そして残念クオリティは平常運転ですすみません(土下座)。 次は砂糖吐くくらいの糖度の話を書きたい気がするが書けるか分からないですすみません(土下座)

【注意事項!】
・原神の二次創作です。
・主人公(妹)はデフォルト名(蛍)を採用
・メインは蛍とローエン
・独自解釈要素強め
・捏造が多く含まれている
・原作に忠実でない
・キャラ崩壊や口調迷走あり
・ネタバレあり
・誤字脱字あり
・予告なく加筆訂正あり
・物書き初心者が書きました
以上の内容とキャプションの内容で1つでも不快感がある方はブラウザバックを推奨します。
大丈夫!の方は自己責任でお進みください。

「──なぁ」
「なに?」

「ちょっと殺気見してくんねぇか?」

「……え?」

 そんな「写真見せて」みたいな軽いノリでびっくりすることを要求してきたのは、西風騎士団第5小隊副隊長のローエン。私たち、数秒前まで雑談してたよね? 思わず変な顔で聞き返してしまった自覚がある。パイモンも変な顔をして固まっているよ。

「……はっ?! 思わず放心しちゃったぞ ……それ、蛍に言ったんだよな? いや、オイラの聞き間違いの可能性も……? んん?」

 私よりも先に声を上げてとても困惑しているパイモンを横目に、私もローエンに改めて聞いてみる。パイモンが言っている通り、聞き違いだと思いながら。

「『さっき』って所謂、敵に向ける『殺気』のこと?」

 敵や魔物、他人に害を与えようとする空気感──『殺気』という言葉を強めて尋ねると……彼はニヤリと口角を上げた。

「ああ、その『殺気』のことだぜ」

 その言葉とは裏腹に、なんで爽やかな好青年のような笑顔ができるのだろう?

「合ってたのね……」
「いきなりがすぎるぞローエン! なんで蛍の殺気?を見たいんだ?」

 合っていたことに軽い絶望と頭痛を感じて頭を抱える。その間にパイモンが理由を聞くと、ローエンは世間話をするかのように話し出す。

「なんとなくだ」
「……なんとなく?」

 思った以上に中身のない理由に私は脱力した。そんな私の様子を見てなのか、ローエンはもう少しだけ説明をしてくれた。

「栄誉騎士の実力はずっと聞いてたんだが、ナド・クライでもモンドでも戦闘中のお前をほとんど見たことないからな。どんなもんか、実際に見たくなった」
「"どんなもんか、実際に見たくなった"──じゃないぞ! おまえ、本当に戦闘大好きだな……戦闘大好きだと殺気って日常的に見たくなるのか?」

 呆れて何も言えない私の代わりに、パイモンがローエンの声真似をして言い返したのはおもしろいと思いつつ、彼が戦闘狂であることを再確認した。
 そんなことを言われても、今までの旅路で相手を殺めたいと思って戦ったことはない。だけど、仲間や友達に危害を加えようとする敵や魔物に剣を向けることに躊躇はしない。だから、

「ローエンに殺気見せる理由ないよ」

 仲間であるローエンに殺気を見せる必要はない。
 私も理由をちゃんとローエンの目を見ながら説明した。けど、彼はまだ納得はしていない様子だ。

「理由ねぇ……これから模擬戦やらね?」
「そんな理由ならやらない」
「……ざーんねん。じゃあさ」
「やらないって」

 その後も食い下がるローエンをなんとか宥めてこの話は終わった……と、思っていた。

「栄誉騎士~、この後ヒルチャールの集落潰しに行かね?」
「暇つぶし感覚なの? 分かったけど」

 この日は彼と普通の任務に同行。
 どさくさに紛れて、ローエンが私に何度も熱い視線を送っていたのを「こちらも気づいているよ」と、知らせるため軽く視線を送り返すくらいに止めた。あの熱い視線は何を意味していたのか……それが分からないほど、察しは悪くない。まだ諦めていないみたいだ。

「旅人~、これから部下の鍛練やるから一緒に参加しないか?」
「いいけど、ローエンに向かって銃で撃ったりしないよ」

 この日は彼に誘われて鍛錬に参加。
 念を押した後に小さな声で「ちぇ」って言ってたのは聞き逃さなかった。鍛錬自体は難なくこなし、ローエンは終始残念そうな顔をしつつ、次の計画を練っているかのような仕草をしていた。諦めが悪いね。

「蛍~、サシで手合わせしろ~」
「しない~」

 ……という感じに、あれからほぼ毎日のように、ローエンからそれらしい理由をつけては私を戦闘に連れ出そうする。その目的は考えるまでもない、私の殺気を見たいから。最近の理由は最早隠そうともしていない。
 なんだかんだ、のらりくらりとパイモンにも協力してもらいながら彼の誘いを断ってやり過ごしていた。次第にローエンも任務など仕事が重なったのか、直接会う頻度も少なくなっていった。
 ようやく飽きたんだと思って、すっかり安心していた。

 数日後、それは突然だった。

「……?」

 今日もパイモンとドーンマンポートを散策していると、異様な視線を感じ取った。こちらを逃さない、離さないと言いたげな、執拗に絡みつく視線だった。明らかにパイモンじゃなく、私だけを捉えている……こんな街中で私を狙っているの?
 パイモンに目配せをし、視線の相手に気づかれないように作戦会議をする。これから二手に別れてモンド方面のドーンマンポートの出入口合流、もし私が十分以内に合流できなかったら駐留している西風騎士団の誰かに不審者がいると伝える作戦だ。パイモンは少し悩んでいたけど「任せろ!」と返事をしてくれた。

 パイモンと別れ、視線に気づいていないふりをして再び歩き出す。
 なるべく西風騎士団が巡回している道を選んで私がいるということをアピールする。最悪の場合、これで私が最後にどこにいたかのヒントになると思って。それからグルグルといろんな所を歩くけど、やっぱり視線が離れる気配はなかった。相手も私が気づいていると勘づいていると思うけど……

(……そうだ。ここならあそこに近い)

 振り切るのは無理そうと思ったから、広場の大きな花壇をくるっと一周して……私は地面を蹴って走った。そのまま浜辺の方へ降りる石階段を下り、すぐ右手の木箱が積まれた細い裏路地へ飛び込んだ。港側の酒場の裏手にあるこの狭すぎて木箱が雑多に置かれた場所は身を隠すのに丁度いい。それに、相手からしたら急に消えたと思ってもおかしくないくらいの速さで飛び込んだ。もう私を追うことはできないだろう。

(……ふぅ)

 人が一人か二人くらいしか通れないこの場所でしばらく息を潜め、あの視線から解放されたことを確認して安堵のため息を零す。もうすぐ十分経つと思うから反対側から出ようとしたら──後ろを取られた。

 ──ドンッ!!

「?!」

 唐突に大きな音が鼓膜を揺らした。音の正体を探ると、私の腰横の壁を蹴破る勢いで誰かの左足を突き立てられていた。壁が少し欠けて欠片が地面に落ちる……これが大きな音の原因だったんだ。反対側を見ると、誰かの右手にギラリと鋭い光を帯びたナイフ、それを器用に指でクルクルと回していた。そして上を見上げれば……暗い影に浮かぶ赤紫の光を宿した瞳と愉快そうに口を歪めている顔が正面にあった。
 ここまで現状を確認して、誰が私を壁際へ追いやられたと理解した。彼だ。

「……こんな強硬手段を取るなんてね、ローエン?」

 そのまま逃がさないという意思を表すように彼──ローエンは私を見つめる……あの執拗に絡みつく視線がまた私に注がれた。諦めたんだと思って油断していた。まさか、こんな形で追いつめられるなんて。

「俺は目的のためなら手段は問わないぜ」

 ようやく獲物を追い詰めたとでも言いたそうに、その声色は楽しそうにも聞こえた。
 ローエンと私以外の傍目から見れば一般人が宝盗団に絡まれてそうな感じがするかもしれない。けど、この道は木箱も積まれてほとんど人も光も通らない暗くて細い裏路地。そんな『傍目』も発生しないから誰も助けるどころか気づいてもくれない。大声でも出そうかと思ったけど、こんな時に限って酒場の方は大盛り上がりしているのか話し声が騒がしい。大声を出してもかき消されそう。
 つまり、結構ヤバい状況。万事休す。本当に油断した……もしかして、最初からこの状況を作るつもりで私をここへ追い込んだの? すべてが計算尽くだったら、彼は相当の策士だ。

「ローエンは公私混同はしない人だと思った」

 なるべく平静を装い、彼の気を逸らせようと話題を振ってみる。すると、彼はクルクルと回していたナイフをピタリと止めて、そのナイフは後ろに放り投げて光の粒子に変えて消した。その理由はたぶん、ナイフでの牽制は終わったということなんだろう。

「まあ、騎士団に所属している以上それなりにわきまえてはいるが……今日はオフだからな」

 なるほど。あの日々は騎士団としての勤務中の範囲でやってたけど、休みだから手段を選ばずに私を追い込もうと計画していたってことか。いや、そんな理屈あり? ……でも、

「……ずる賢い」

 そう思ってしまう。
 追い詰めた私を見て満足しているのか、ローエンはニヤリと笑う。

「光栄だな……でだ、こんなにお預けされたんだ。そろそろご褒美、くれてもいいんじゃないか?」

 そう言う彼の目は、これからの展開に期待していることを雄弁に語っていた。
 こんなにご褒美という名の殺気を欲しがる戦闘狂、他にいるのかな……あ、一人は心当たりがあった。彼──タルタリヤと随分会っていないけど、今どこで何をしているのかな?

「……おいおい、俺がいるのに考え事か? 妬けちまうな」
「どんなに期待されても、仲間に殺意を向けることはしないよ」
「ハハッ、お前もだいぶ強情だな」

 そんなこと言いながら、ローエンは諦める様子なんて微塵も見せなかった。

(どうしよう……)

 あまり手荒にもしたくない。それに彼はナイフ以外にも武器を隠し持っている可能性がある。下手に抵抗して何かを仕掛けられても困る……やっぱり、異常に気づいたパイモンが助けに来るのを待つのがいいか──と思っていた時、ローエンが笑う。

「──ん~?」

 優しく問いかけるような囁きの声だったのに、私の背中に激しい悪寒が走る。彼の重く圧し掛かる強い威圧が、仄暗い青に映える赤紫の瞳の奥底から鋭い矢のように、私に向かって飛び出して来たのを肌で感じた。

(──ッ!!)

 これは、明確な敵意だ。
 ローエンは今まで私から殺意を引き出すためにいろんな視線を送ってきた。私のことを探るような視線、機会を伺う視線、挑発的な視線……前までは遠くから矢を射る準備をするみたいな視線ばかりだったのが、今は完全に私を狩ろうとする敵意に変わった。

(あ……しまった)

 私もベテランの冒険者。常に警戒を怠ったことがない。たくさんの事件や危険な環境に身を晒し続けた私の感覚は反射的に動いてしまう。だから、敵意を肌で感じた瞬間に臨戦態勢になるしかなかった私は、ローエンを威嚇する視線を送り返してしまった。

「……」
「……」

 すぐ表の酒場は騒がしいのに遠くに感じるほど、私たちの間に静かな沈黙が流れる。なんだか、この裏路地だけ別の空間に切り取られたみたいな感覚に陥った。
 殺気じゃないけど、威嚇でもかなり強く睨んでしまった。ローエンもさっきまで愉快そうな顔から打って変わって、少々ぼんやりした、戦闘中に見せる不敵な笑みとは程遠い……あっけにとられたみたいな表情をしていた。ローエンってこんな表情もするんだと、予想外の発見に驚いていると……下がっていた彼の口角がまた上がった。

「……ああ、堪んねぇな」

 彼は艶のある、うっとりとした声で吐露した。

「威嚇レベルだってのにこの気迫、すげぇゾクゾクする。なんだよ、これ?」

 さっきまでの表情はどこに行ったのか、楽しいことを見つけた子供のように目を輝かせていた。そんな彼の様子を見て、私の頭の中で警鐘が鳴らされた。まずい。

「そんだけでこんなに俺を昂らせるなんてよ……本気の殺気だったらどうなるんだ、なあ?」

 ──暗闇に溶けた灰緑の髪、光が届く場所なら仄青が照らされる瞳は今、妖しく光る赤紫色が際立っていた。それは体を束縛する毒のような光。恍惚とした愉悦の笑み、それは絶対的な強者が出せるものだった。相手の威嚇を楽しむこの男、ローエンは生粋の戦闘狂だ。

(……体が全く動かせない。この瞳にずっと見つめられるのは、本当にまずい)

 どうにかしようと視線をあちこちに巡らす。
 変わらずローエンの左足は私の腰横すぐにあるし、なんならじりじりと距離が縮まっている気さえする。となると、私の左側はナイフがなくなったことで多少は動きやすくなっている。それなら、武器を隠し持っているかもしれないリスクは多少あっても無茶して動くしか──

「まだ俺から逃げられると思ってんの……?」

 視線を下に向けた時、ローエンの空いた右手はいつの間にか私の顎に添えられていた。猫でも撫でるかのような手つきで優しく触られてから、こちらに視線を向けろと言わんばかりに顎を掴まれて顔を上げられた。
 抵抗のつもりで彼の瞳を睨んだけど、その目に理性が完全に失われていることが分かってしまって……すごくゾクッとした。

「……その毅然とした顔もいいなぁ。けど、今はお前の本気が見たくて仕方ねぇんだ。この昂ぶりが治まんねぇうちにさ、一戦やろうぜ?」

 まるで、恋人をデートにでも誘うかのような抑揚で言うローエンに私は混乱してきた。心臓が早くて変な鼓動の打ち方をして、いつの間にか彼の鼻先と私の鼻先がくっつきそうなくらいに彼の顔が近づいていたことに気づく。きっと、ローエンも興奮してそれに気づけていない。

「……ろ──」

 彼を落ち着かせようと彼の名前を呼ぼうとすると、ローエンの顔はますます楽し気に歪ます。でも、私は最後まで彼の名前を呼べなかった……なぜなら。

「ローエン! 今すぐ栄誉騎士から離れるんだ!」

 私よりも先に彼の名前を呼び、命令を出した女の人の声が助けてくれたからだ。この頼もしくてモンドの誰もが知っている彼女は……!

「ジン団長!」
「げ、ジン……団長」

 さすがのローエンも彼女、ジンの声を聞いては理性を取り戻すしかなかったみたい。こんな光もほとんど届かない場所なのに、ジンの後ろには後光が差しているような希望の光に見えた。そして彼女がいるってことは。

「ここにいるのか蛍!? ジンとファルカを連れて来たぞ! ……って、一緒にいるのローエンなのかよ?!」
「……お前たち、こんな狭い所によく入れたな」

 ジン団長の後ろからパイモンとファルカさんの声がした。ようやく助けが来た!

「ローエン?」
「……へーい」

 再度ジンから名前を呼ばれ、やる気のない返事をしたローエンはようやく左足が下ろし、右手も私の顎から離れた。枷となっていた状況から解放され、私は腰が抜けてその場に座り込んでしまった。

「蛍!」

 パイモンがジンの横から飛び出して、私の元に来てくれた。

「事情は双方から聞くが、君の反省室行きは決定だ。こっちに来るんだ」
「おいおい、首根っこ掴むなよ。ウサギの急所だぞ」

 それと入れ替わるように、ローエンはジンに首根っこを掴まれて、ファルカさんの待つ外へ引きずられていた。その姿、まるで大人しい兎……には絶対に見えない。なぜなら余裕そうに私に笑顔で手を振っているくらいだ。

 それから、パイモンに泣かれたり詳細を聞かれたり、他にも騎士団から事情聴取されたり心配されたりで、意図せずとても疲れた一日になってしまった。

 あれから二日後。
 動機はあれだけど、ローエンは本当に私へ危害を加えようしたつもりもなく、私も怪我をさせられた訳でもない。なにより大事にしたくなかったから、ローエンは長期間反省室送りと私への誠心誠意の謝罪でこの件は和解となった。

「ローエンからの謝罪文、随分丁寧だな」

 パイモンが言うとおり、さっき騎士団から届いたローエンからの手紙を受け取って読んでいると、彼が書いたとは思えないほど丁寧な文字と謝罪が綴られていた。疑う訳じゃないけど、反省室に居ながら誰かに代筆をお願いできるものなのか……いや、ガイアなら交渉次第で代筆もするかもしれないと思ってしまった。

「あ、もう一枚あるぜ」
「どれどれ……」

 最初の一枚で謝罪は全部だったと思うけど、そんなことを思いながら二枚目を読み始める……そこには、落胆させられることが一言。

『追伸。本気の殺気、いつか見せてくれよな』

 ……はぁ。手紙を持ったまま腕を天を仰ぐ。

「全然、反省してない」

 私の嘆きは、空へ吸い込まれて消えた。

 一方、反省室。窓から空を見上げるローエン。

(……にしても、あん時の蛍、すんげぇ可愛いかったんだよなぁ……またあの毅然とした顔も見たいが、まずは殺気だな)

 彼がなぜ、その心をくすぐられているかのような穏やかな表情をしているのかは、単に蛍の殺気が見たいだけなのか、別の感情が芽生えたのか……本人も含め、誰も知らない。

— End —

Comments 4

坂月門左衛門3 天前
Sticker
すずこま3 天前
Sticker
すー3 天前
Sticker
なも3 天前
Sticker
Sakuria
Where every work blooms
Click anywhere to skip