小さな覗き穴。
散りばめた色ガラス。
覗く度、光を変え、色を変え。
広がる極彩色は、あの人によく似ていた。
ー「昔はもっとツンツンしてたのにねぇ」
向かい側に座るテヒョンイヒョンが、グラスを傾けて笑う。
「何が?」
「お前が」
にこにこと無邪気に笑うヒョンは、ただ楽しんでるだけ。
だからってそこを掘り返す気は、俺には無いんだけど。
「そうだっけ?」
「俺が話しかけても無視だし、冷たいしさーぁ!」
「覚えてないけど」
「嘘ばっか」
覚えてるよ、だけどそれは忘れたい黒歴史で。
居た堪れなくなるから、思い出したくないだけ。
そんな俺に気付いていそうなヒョンは、何が面白いんだか俺の顔を見てけらけらと笑っていた。
「ヒョン」
「ん?」
「酔ってるでしょ、もうダメ。お酒終わりにして」
「やーだ」
取り上げようとしたグラスを両手で握り、首を竦めながらご機嫌なまま笑う顔に、思ったよりずっと酔ってると気付く。
昔から変わらない笑い方。
変わった事も沢山あるのに、そういう仕草や笑い方だけはずっと変わらないなと思う。
一つ思い出せば色硝子がざらり、回るように次々と昔の記憶が呼び起こされる。
靴の溢れた宿舎の玄関。
ヒョンたちが寝静まってから浴びた、冷たいシャワー。
いつまでも慣れない環境。
不確かだった未来。
あの頃、きっと俺は世界の全てがこわかった。
.
──入ったばかりの頃、普段以上の人見知りを発揮した。
一度殻に籠ってしまえば、どれだけ周りに優しくされようが気遣われようが、もうその殻から出る気にはならなくて。
こんなに人見知りな自分が本当にアイドルになんてなれるのかと、諦めにも似た気持ちがずっと燻っていた。
そして変わらない日常に訪れた、騒音。
テヒョンイヒョンは、音を連れてやって来た。
宿舎の説明をする俺に、年上なのに屈託なく笑って仲良くなりたいと言ったり、どんなに無愛想に接してもお構い無しに戯れてくる変な人。
話してみれば共通点は多かったし、仲良くなれそうな気はしたけど、それでも俺は殻の中の静寂が好きだった。
閉じ籠った殻を両手で叩き割ろうとしてくるような強引さに、最初は何度も距離を取った。
だけど気が付けば殻の中の静寂よりも、殻を叩くその音が気になって。
出るはずのなかった殻から連れ出されたのか、自分から出たのかは覚えていないけど、ヒョンは隣で笑っていた。
あとはもう転がり落ちるみたいに、本当の兄のように慕って、懐くまではあっという間だった。
テヒョンイヒョンがやるなら悪戯でも悪ふざけでも、なんでもやった。
他のヒョンたちに叱られる時はいつだってセットだったし、お互いに罪をなすり付けあって余計に怒られたりもした。
一人なら落ち込んで終わるような事だってヒョンがいれば最後には笑い話にも出来たし、バレないように悪巧みをする時間も楽しかった。
頼もしい兄の顔をしたかと思えば、そのすぐ後には手のかかる弟みたいな顔をするテヒョンイヒョンと一緒に居るのは面白くて、目を離すのは勿体無いとさえ思っていた。
『ざらり、回ったのは淡い色した赤と青』
.
デビューから数年経っても、余裕がある日なんて少しも無かった。
気付かない内に溜まった疲労とストレスは、反抗期という形になって表に現れた。
あんなに好きだったヒョンたちと一緒にいる時間も窮屈で、一言も喋りたくなくなるそんな頃。
みんなが笑う事だって面白くなかったし、くっ付かれる事もそんなに好きじゃなくなった。
それはテヒョンイヒョン相手にも例外じゃなくて、なんならヒョンを相手にした時は格段に酷かったと思う。
ー「ジョングガ、この服どう?」
服が好きなヒョンはにこにこと、買ったばかりの服を体に当てながら聞いてくる。
服なんて興味もない俺に聞く理由も分からないし、聞くならホビヒョンの方がよっぽど話が合うだろうに。
口を開く事も億劫で軽く頷いて終わらせようとした俺に、空気の読めないヒョンは腕を掴んでくるんだから、堪らない。
「ねぇってば」
掴まれた手にもうんざり、この不機嫌が分からないのならとこれ見よがしに溜息を吐いたって、目の前の顔は笑顔のままでそれにも余計苛ついた。
「……良いんじゃないですか、俺には分かんないけど」
仕方なく言った言葉は何も取り繕わない、愛想の一つも無い言葉なのにそれでも嬉しそうにヒョンは笑った。
「これ古着なんだけどめちゃくちゃ今っぽくない?」
掴んだ手を離してもう一度体に当てて、笑ってみせる。
にこにこ、きらきら。
服一枚でそんなにご機嫌になれる単純さが羨ましくて、同じくらい鬱陶しくて。
もう良いだろと結論付けて、それ以上話さないまま背を向けた。
「今度一緒に行こうよ」
「…行かない」
「そっかぁ、残念」
後ろから掛けられた声に、振り返らないまま言った。
こんな嫌な態度取られたら声掛けんの躊躇うだろ、普通。
うんざりだ、うんざり。
振り返ってもどうせさっきと変わらない顔で、何にも気にしてないんだ、あの人は。
こんな嫌な弟、他のヒョンたちみたいに放っておいてくれたら良いのに。
自分の部屋に向かいながら吐いた溜息は、重く湿っていた。
『ざらり、回ったのは怒りを帯びた紅い色』
.
テヒョンイヒョンにべったり懐いていた時期は遠い昔になって、プライベートな話はインタビューや他のヒョンたちから聞いて知るくらいになっていた。
グループのカトクは動いてるけど、個人でのやり取りはもう随分としていない。
俺が無視する必要もないくらい、構われる事も無くなった。
俺が望んだ距離だったのに、結局あんたも他の奴と一緒なんだと呆れたのはあれだけ構われた過去を覚えていたから。
ヒョンとプライベートが重ならなくなって、時間が出来た。
やっと自由だと浮かれて、仲良く出来る友達も増えて充実していた。
自由になって気付いたのは、仕事も宿舎も一緒な状態が多分俺にはキツかった事。
仕事の事を引き摺って宿舎に帰って、そこでもまた仕事の話をする。スイッチをオフにする事も出来ないまま、翌日もまたグループで仕事が続く。
ずっとこの繰り返しだったからメンバーとは違う人たちと遊ぶのは気が楽で、ただの自分でいる事が許されるような、そんな軽さが好きだった。
◇◇◇
ー「お前、明日早いのに何してんの」
酔って帰った夜明け前、リビングにはテヒョンイヒョンが居た。
お説教かよと心底面倒臭くて、そのまま顔に出た。折角楽しい気分で帰ってきたのに冗談じゃない、勘弁してくれと。
何も言わないまま部屋に向かおうとする俺に、テヒョンイヒョンは呆れたような、酷く冷めた眼をしていて思わず足を止めた。
酔って、上手く回らない頭でも分かる。
…この人にそんな眼で見られた事は、きっと無かった。
今までと違う何かを感じて詰まった喉は、生唾さえ飲み込めないでいた。
「言いたくないよ、俺だって。」
普段だったら、ヒョンはこんな時間にリビングに居ない。
わざわざ帰ってくるのを待ってたのかと、緊張に指先が震える。
「……楽しい、のは良いと思う。でも明日の事考えてない、今のお前は違うと思う」
真っ直ぐに、昔と変わらない眼が俺を見る。
変わってしまった自分が少しだけ恥ずかしいような、認められない自分が情けないような、そんな気分になった。
「…シャワー行ってさっさと寝な、朝ちゃんと起きなよ」
それだけ言って、ヒョンはあっさりリビングを出て行った。
もっと長いお説教も覚悟していたのに、あっさりと。
…まるで何も期待してないみたいだと思った。
テヒョンイヒョンは、優しい。
そんな優しいあの人が見せた、あの眼。
これを最後にお前を見限るよと忠告されたような、そんな気配を感じて心臓はずっとうるさかった。
何も言われない事を初めて、こわいと思った。
『ざらり、回ったのは群青と青の冷たい世界』
.
ー「お前もやっと反抗期終わったのかね」
スタジオでの待ち時間、隣に座ったジニヒョンが言った。
他のヒョンたちから遠慮なく向けられた視線は、居心地の良いモノではなかったけど、思ったよりも悪くなかった。
「…そんなのありました?」
「はー?ありましたけど?自覚無いのお前」
「覚えてないっすね」
「お前、この中ちゃんと詰まってんの?」
ぐりぐりと頭に当てられた拳は軽く痛いくらいで、手加減されてるのなんてすぐ分かる。
けらけらと笑うヒョンもいれば、安心したように笑うヒョンもいる。
あれだけ窮屈で息苦しいとさえ思った場所なのに、まだここに居て良いのかと思ったら、鼻の奥がツンとした。
視線を向ければヒョンたちの奥、テヒョンイヒョンが柔らかく笑っていた。
その眼に、この前見た冷たさは無くて少しだけホッとした。
あれから、逃げるように広げた交友関係を整理した。
都合の良い関係は何も考えなくて良かったけど、誰も俺を叱らないし咎める事もしない。
あのまま腐っていくのは目に見えていたのに、何も疑問に思わなかった。
“今のお前は違うと思う”
たった一言。
それだけで見えていた世界が、がらりと色を変えた。
具体的な何かを言われた訳じゃない。
それでも自分を振り返って、アミに胸を張れるかと言われたらそうでもなかったし、なりたい自分でもなかったから。
◇◇◇
ー「ヒョン、飯行きませんか」
隣に座ったテヒョンイヒョンに、言った。
他のヒョンたちとも一人ずつ話す機会が欲しくて誘うつもりだけど、何となく最初はテヒョンイヒョンが良かった。
「…俺?」
「うん」
不思議そうに瞬いてマジマジと向けられる視線は少し居心地が悪いけど、ここで逃げたらきっと俺は変われない。
何年振りに自分から誘ったかは分からないけど、手汗を感じるくらいには緊張していた。
「えっ、俺の事誘ったの?ホントに?」
「ちょ、ヒョン…、近いってば」
きらきら、大きな眼の中に星を集めたみたい。
顔を覗き込むように近付いたヒョンに顔を背けても、掴まれた腕が熱くて意識が向いた。
「いつ行く?今日終わって行く?」
「良いですよ、今日でも」
スマホを手に店を調べ始めたヒョンはやっと俺から手を離すけど、その口元が嬉しそうに笑っていて。
…飯に誘っただけでこんなに喜ぶと思ってなかったから、正直戸惑いの方が大きかった。
「…あ、最近行ったとこなんだけど、ここ行った事ある?」
「ないです」
「じゃあ決まり。肉美味かったから期待してて」
スマホを見せながら笑いかける顔は、昔のまま。
幼さの滲む顔にこの人がヒョンなのを忘れる、そんな顔。
俺はいつから、この顔をちゃんと見ていなかったんだろう。
.
ー「飲み物は?」
「ビールで」
「あーぁ、お前も大人になっちゃったなぁ」
「前も飲んでましたよ」
店に入りメニューを決めて、早々にドリンクが運ばれてくる。
ヒョンはコーラで、この人は変わらないなと思った。
グラスを合わせてから運ばれた前菜を摘んでいれば、正面から向けられた視線に気付く。
「久しぶり」
「…はい」
顔なんてほとんど毎日合わせていたから、言いたいのはきっとこの状況の話なんだと思う。
真っ直ぐに向けられる、ご機嫌な顔は何度見ても擽ったい。
「ヒョンたち誘わなくて良かった?」
「あー…、一人ずつ、誘おうと思って。迷惑かけたし」
言った俺に瞬いてそれからふわり、ヒョンが笑う。
それでもフラッシュバックするように思い出すのは、一度だけ向けられた冷たい眼だった。
「そんなの思ってないよ、大丈夫。ジニヒョンとかジミニは面白がってたし」
「でも態度悪かったし、ちゃんと、話そうと思って」
「…うん、みんな喜ぶと思う」
柔らかい眼で見られるのは落ち着かなくて、グラスを煽る。
身体を揺らして、メニューを見るヒョンはご機嫌だ。
「俺もお酒頼もっかな」
「飲むようになったの?」
「んー、ちょっとだけ。色々試してんの」
何処にいってもコーラか炭酸のヒョンが、自分で酒を選ぶのは知らなかった。
ヒョンが見てるメニューに目をやれば、どう見ても度数が高そうな酒が並んでいて顔が引き攣った。
「これにしよっかな」
「…試しで飲む度数じゃないと思うんだけど」
「でも桃って書いてるし」
「桃ならこっちにしたら?」
ヒョンが指したやつから度数を大分下げた酒を指差せば、じとりとした眼にぶつかって。
「そんなの赤ちゃんが飲むやつじゃん!」
「赤ちゃんみたいなもんやろ、ちょっとしか飲まんのやからこれにしとけって言ってんの」
「やーだね」
「こっの…」
俺の手からメニューを取り上げて、舌を出したヒョンに下唇を噛んで睨めば、けらけらとヒョンが楽しげに笑う。
それに釣られて笑ってしまう自分も大概だけど、こんなやり取り一つも懐かしくて。
「あぁ良いな、これだよこれ!楽しいねぇジョングガ」
「…なにが」
「これ!」
「だから何?」
「こういうの!」
伝わらない事が悔しいのか、ムッとした顔で言って、またすぐに笑い出す。
分かるよ、ちゃんと。
ヒョンは色硝子を回すように、覗く度違う顔を見せる。
だから面白くて、目が離せなかった。
…あぁ、やっぱりこの人と居るのは楽しい。
『ざらり、回ったのは深い緑の柔い温度』
.
──「おーい、聞いてんの?」
「え?」
目の前でひらり、掲げられた手に意識を戻す。
上げた顔の先、酔ったテヒョンイヒョンが苦笑う。
「だからお前昔はもっとツンツンしてたって話」
「若かったからじゃない?」
「二個しか変わりませんけど?」
何が可笑しいのか、けらけらと笑うヒョンは見た目よりもずっと酔いが回っているようだった。
「やっぱ酔ってるやん」
「ちょっとだもん」
言いながら甘く崩れる語尾は子供みたいで、やっぱり酔ってるなと思う。
あの頃よりもずっと高くなった度数、それなりに強くもなったみたいだけど酔った時は相変わらず幼くなる。
どうやって酒を取り上げるかと考えていれば、グラスを置いたヒョンが唐突に俺の目の前に人差し指を立てた。
「酔ってるからー、秘密の話をします」
「…はいはい、どうぞ」
突拍子もないのなんていつもの事。
その秘密の話云々の間にグラスを入れ替えれば良いかな。
「好きな人が出来ました!」
自分で言って、自分で拍手するヒョンはきっと恥ずかしがってるんだろうなと何となく分かる。
分かるんだけど。
「……ヒョンって、人を好きになるんですね」
「なるよ!」
「へぇ…、なんか、意外っていうか」
「お前、俺をなんだと思ってんの」
さっきまでご機嫌だった顔がすぐにムッとしてグラスを煽るから、リアクションを間違えたなと気付く。
…でも、なんていうか、意外だ。
好きな人はみんな好き、みたいなそんなイメージが勝手にあったから。
「どんな人なんですか」
「んー…格好良い、人?」
機嫌を直して貰おうとして聞いたのに、返ってきた言葉が意外で、口にしかけた言葉を一度呑み込んだ。
だって、それも意外だと思ったから。
ヒョンは格好良いけど可愛いモノや綺麗なモノが好きだから、きっと好きになるのはそういう人なんだと思ってた。
「デートとかしたの?」
「んー、デートっていうか、ご飯行っただけだよ。俺の片想いだし」
「なんで告白しないの、絶対上手くいくでしょ」
こんな人から告白されてオッケーしない女なんている?
ヒョンは俺の言葉に苦笑いをして、グラスに残った氷を手持ち無沙汰に指先で遊ぶ。
「えっと、その、んー……女の子じゃない、から?」
「え?」
「相手が」
「…あぁ、そう、なんだ」
言いづらそうに口にして、視線をテーブルに落としたヒョンは何処か不安そうだった。
思ってもみない答えに驚いて、リアクションが上手く取れなかっただけで偏見なんてない。
確かにこの国ではオープンにしにくい事ではあるけど。
「それでも上手くいくよ。だってヒョンは顔もスタイルも良い、優しいし面白いし頭良いし…ダメなとこないやん」
「っ…、褒めすぎ」
「ホントの事言っただけです」
赤くなった顔を手の平で隠して小さくなるヒョンは可愛くて、こんなの誰が見ても好きになるだろって思った。
だから大丈夫だよと、自信を持ってと声にするのは気恥ずかしくて出来ないけど。
「その人も偏見、とか無さそうなんだけど、でもやっぱ自分がってなると違うかもしんないじゃん。だから告白とか難しくてさぁ…」
顔を覆ったまま、ぽつり溢れた本音は頼りなくて。
そんな声で、話すんだと初めて知った。
……なんか、なんだろ。
好きな人が出来て良かったと思うのに、胸の辺りが気持ち悪い。
相手が男だからとか、そんなのじゃなくて。
なんだろ、うまく言葉に出来ないモノが胸に引っ掛かった。
「でも仲良いんでしょ?期待して良いんじゃないの」
「…良いのかなぁ」
覆っていた手を離して照れたように小さく笑う、顔。
そんな顔するんだ、その人の話で。
へぇ。
胸に引っ掛かった何かが膨れたみたいで、気持ち悪かった。
相手が男、それだけが妙に頭に残った。
この業界にいたら男同士だって、別に珍しい事じゃない。
…あぁそういや昔、俺もキスしたっけ。
テヒョンイヒョンと。
「あーもう恥ずかしい!この話終わり!」
「ヒョンが始めたのに」
「終わりったら終わり!」
「…っぶな」
言い切ってトイレに行こうとでもしたのか、立ち上がったヒョンの身体がぐらりと揺れた。
反射的に手を伸ばして立ち上がった自分を褒めてやりたい。
「……ごめん、酔ってた」
「そうだよ、酔っ払い」
「ありがと」
抱き止めた腕の中、ヒョンが照れたように下唇を噛んだ。
なんとなく、その顔を知ってる気がした。
キスした後だっけ、似た顔を見た気がする。
「歩けそう?」
「うん、大丈夫。トイレ行ってくる」
腕から離れたヒョンがしっかりとした足取りで向かうのを見送って、腰を下ろした。
スマホを見る気にもならなくて、温くなったアルコールを口にしてから、ぼんやりと考える。
ヒョンって人を好きになるんだなぁと、当たり前の事をまた考えて妙な気分だ。
それが男だって、格好良い人。
全部、意外だ。
俺が知らない顔も、きっとその人にはするんだろうな。
…あぁなんか、それは面白くないかも。
ヒョンの事なら、俺が一番知ってんのに。
持っていたグラスを、テーブルにただ置くだけだった。
カタン、と個室に響いた不釣り合いな音。
「…あれ」
思ったより大きな音に、自分で少し驚く。
あぁ、俺も酔ってんのかな。
首を傾げながら、氷の溶けた酒を飲み干した。
──ざらり、見ていた景色が色ガラスを崩して形を変えた。
To be continued…














ワクワクしますねぇぇぇ~😚何だかいつもの鴉さんとはちょっと違う文調がまた良きですね💜(心中はドロドロした何かが湧き出てる様ですが😎)続きを楽しみに待ってます💕頁終わりの表現大好きです😊今日も素敵なお話有難うございました🙏