俺はアドマイヤグルーヴのトレーナー。只今絶賛彼女募集中だ。
トレ「アプリとかでマッチングするのは性分に合わないし……」
そう思いながらパソコンでネットサーフィンをしていると……って、今は終業後だからね?仕事も片付いてるし。
トレ「ん……?」
『私をパートナーにするメリット/デメリット』……?
トレ「へぇ……?何々?」
発祥は学生のプロフィール帳で、リバイバルブームの折に再び日の目を見た感じか……
トレ「独身をネタにしてるインフルエンサーがバズらせて
流行した感じかぁ……」
成る程、コレで相手を探す事はしなくても、自分の長所短所を見つめ直して、その上でフォロワーさん達から短所の改善点を見つけて貰える……そーすれば出会いが広がるかもっ……!
トレ「コレはやってみるしか無い……!」
アルヴ「……………………」
ーーー🕛️ーーー
さぁ、昨日投稿した『俺を彼氏にするメリット/デメリット』は反響あったかな?っと。
トレ「ゑ゛……?ナニコレェ……ナニコレェ……」
えーっと……?俺は確か昨日家に帰る前に投稿したよな?そしてネタ半分である事もゴリゴリに匂わせたよな?
トレ「なんでリプにも引用にもアドバイスどころか笑い飛ばす言葉が無いんだ……?」
いやね?ガチに受け取る人なんて居ないでしょ!?こんなネタ投稿。居たとしても他のインフルエンサーさんより相対的に多くない!?
トレ「お返しに自分のも書いてる人はまだ良い……なんだよ、『最高の優良物件ですね』とか求婚してくるって!ちょっと怖いよ!」
そんな中ふと、(もーどーせこうなっちまったなら、一番ハネた返信でも見てやるか……)と言うマインドで返信の並び順を『いいねが多い順』にしてみた。
トレ「……へ?」
なんと、俺の投稿に並ぶくらいいいねが付いていた。
トレ「えっと……?」
ーーー
メリット
・浮気は絶対しない。
・優先順位はあなたを一番上にしてくれます。
・待ち合わせは大抵遅れません。
・まどろっこしい言い回しは基本しません。
デメリット
・距離が近くなります。
・気持ち悪い恋愛したいなら他を当たって下さい。
・あまりにも連絡ないと連絡がきます。
ーーー
トレ「なんでこんな投稿に……?」
見落として居たアカウント名を見ようとしたら、トレーナー室の扉が叩かれた。
トレ「うおっ……はーい、どうぞー?」
そう言ってすぐにがちゃりと開けられた扉からはつい先程トレーニング後のデフリーディングを終えて寮に帰したはずのアルヴだった。
アルヴ「失礼します」
トレ「アルヴ!どうしたの?」
アルヴの声音がいつも通りだったので気付かなかったが、アルヴの頬は薄桃に染まっており、少しだけそわそわしているように感じる。
アルヴ「やはり……直接伝えたくて……」
彼女は両手を組み、離したかた思うと、一枚の付箋をデスクに置いて、しゃがんでしまった。
トレ「え……?」
目の辺りまでひょこっと顔を出し、落ち着かないと言わんばかりに耳を動かしながら俺を見つめるアルヴ。
トレ「えっと、なになに……?」
私を彼女にするメリット……浮気は絶対しない。優先順位はあなたを一番上にしてくれます。待ち合わせは大抵遅れません。まどろっこしい言い回しは基本しません。デメリット、距離が近くなります。気持ち悪い恋愛したいなら他を当たって下さい。あまりにも連絡ないと連絡が来ます……
トレ「……………………」
アレ?コレどっかで……
アルヴ「……………………」ジーッ……
心当たりを確かめる為に、最小化していたSNSの画面を開く。
ーーー
〇アドマイヤグルーヴ
メリット
・浮気は絶対しない。
・優先順位はあなたを一番上にしてくれます。
・待ち合わせは大抵遅れません。
・まどろっこしい言い回しは基本しません。
デメリット
・距離が近くなります。
・気持ち悪い恋愛したいなら他を当たって下さい。
・あまりにも連絡ないと連絡がきます。
ーーー
トレ「えっ……?アルヴ?」
視線をアルヴに落とすと、アルヴの頬が膨らんで居た。
アルヴ「私がどんな気持ちであなたのアカウントに返信したと思ってるんですか……?」
トレ「へっ……?」
アルヴはそう言うと、氷青と桃紫のオッド・アイを潤ませ、震えた声で言った。
アルヴ「あなたはどんな気持ちで投稿したんですか?」
立ち上がって顔を詰めるアルヴ。
トレ「い、いや〜……その、自分の長所と短所を見つめ直して、あわよくば短所をどう埋めるかアドバイスが欲しかったな〜って、軽い気持ちで……」
アルヴ「私は、あなたに向けて贈りました」
トレ「え……?」
アルヴ「私はあなたが本気で誰かと愛し合おうとしていると思ったから、誰かにあなたを取られちゃうかも知れないと思ったから……私はあなたのパートナーとして、誰にも負けたくないし、誰かに靡く前に私と一緒に居る利点と欠点を知って、選んで欲しかったから、送ったの……!」
アルヴの俯いた顔から暖かい星光の粒が落ちる。
トレ「アルヴ……」
アルヴ「私とあなたとの『契約』は無期限よね……?今更誰かと変えるなんて事はしないわよね……?」
俺は以前彼女と交わした『無期限の契約期間』の事を思い出した。そうか、あれはアルヴなりの……
トレ「ふふっ……ごめんね、アルヴ。今ようやくその意味に気付けた」
平静を保とうとしているが崩れた表情をしたアルヴに優しく笑いかけ、俺は彼女のあの言葉の返事をする。
トレ「今は君との契約は書類上、社会上では『ウマ娘とトレーナー』だ。だけど、卒業したら……」
そう言うとアルヴは俺の言葉を全て聞く前に飛び込んで来た。
アルヴ「嫌です」
俺の胸元を濡らしながらアルヴは言った。
アルヴ「卒業してなくても、二人きりの時はあなたの『特別』で居たい……」
この後、俺とアルヴの関係はすぐにバレた。だけど、あの時の投稿の時点で既に『匂わせ……?』だの『ナニイッテンダコイツ』とか『新手の惚気……?』などと言われていたので対してダメージは無かった……のか?






















距離が近くなるのはメリットでしかない