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嫉妬の向く先

聖龍@どや乳.7月5日ツ28a聖龍@どや乳.7月5日ツ28a

付き合ってる狂聡で、嫉妬心にかられる狂じの話です。なお、いつも通りのラブラブハピエンなので安心してご覧下さい。 マ.ナちゃん出てきて、後半少しいかがわしいですが、私の趣味です。    4520想定です。   昨日上げた聡みくんの嫉妬話 novel/28103922 と対になるように書きました。 狂じは嫉妬したら、全力でヘイトが浮気相手に向くなあとなった話です。 ちょっとマルマナコンビネタを書きたくて、この話の裏側みたいな話 novel/28130912 を書きました。

嫉妬の向く先

これはほんま、ただの偶然やったんや。
ちょっと組の野暮用で急遽、東京の方へ足を運ぶ事んなって、ちょうど用事が片付いたんが平日の昼下がりで、解散した場所が何と愛しい聡実くんの住まいのある蒲田の駅前やったんや。
いつもやったら「聡実くん今暇?俺今蒲田やねーん!」と一本電話を入れるとこやけど、今日はあらかじめ被せといた休みやない。突発的な仕事やったし、何より連絡なしにひょっこり現れて、聡実くんのあの「うわ、何で居るんですか?」って言う嬉しそうな、煙たそうな、何とも言えん可愛い顔が見たかった。
やからそんな子供みたいな悪戯心を抱えて、いつもの四畳半のアパートへ向かおうとした、まさにその時やった。

あ。

ピタリと、足が止まってもうた。
駅前の賑やかなロータリーの片隅。
人混みの中で、嫌でも俺の目を引く、あの細っこくて目を引く、綺麗な後ろ姿があった。
間違える筈がない。それは俺が世界で一番愛しとる、俺の聡実くんやった。
やれどなんやその隣に、聡実くんに負けず劣らず可愛らしい同い歳くらいの女の子が、聡実くんと並んで歩いとるのを見て、俺の心臓が嫌な音を立てて軋んで、急激に冷え出してもうた。
女の子は時おり聡実くんの顔を覗き込むようにして楽しそうに笑い、対する聡実くんも、いつものツンとした顔やなくて、どこか柔らかい、年相応の男の子らしい笑顔を浮かべて、仲睦まじく言葉を交わしとる。
何か探しとるんか、スマホを覗き込みながら周りをキョロキョロと見渡しながら並んで歩く二人の姿は、傍目にはどう見ても仲の良い大学生のカップルで、デート風景そのものやった。

え?

それを眺めながら、俺の胸の奥がチクチクと痛んだ。
やっぱ聡実くんも、あんな風に同い年くらいの、普通の女の子と一緒に居る方が幸せなんやろか?
こんな俺みたいな、歳も倍以上離れた薄汚れたヤクザもんやなくて、あっちの世界の、眩しい光の中に居る方が、聡実くんは幸せなんやろか……。
そんな柄にもない弱気が、一瞬俺の頭をよぎったんやけど、次の瞬間には、俺の腹の底からドロリとした独占欲が鎌首をもたげてきよった。

いや、そんなん関係あらへんわ!

ぽっと出の女なんかに、俺の愛しい聡実くんを譲れる訳あるか!そんなん、おいそれと渡せる訳ないやろ、ボケが!
そこ迄考えて完全に腹が決まった俺は、長年培ってきた男としての色気と、ヤクザの圧をこれでもかと表面に晒して、楽しそうに並んどる二人の背後へとツカツカ足を進めた。

「な〜聡実く〜ん?俺と言うもんがありながら、何可愛ええ子とデートしとるん〜?」

そうわざとらしく、やけど低く耳に響くような声で後ろから声をかけると、案の定、聡実くんの身体がビクッと大きく跳ね上がった。
その眼鏡の奥の目を丸くして、幽霊でも見たんかちゅー顔で振り返る聡実くん。

「はあ?!狂児、お前何っ?!てか何でここ居んねん……っ!?」

驚きのあまり、公衆の面前やというのに大阪弁全開で呼び捨てにしてきよる。
そんな可愛い反応を愉しんどると、隣にいた女の子がマジマジと俺の姿を見ると、俄然目を輝かせた。

「え?!ひょっとして、あなたが岡ピの激強彼氏さんですか?!」

岡ピ。激強彼氏。
あまりに聞き馴染みのない単語の応酬に、さしもの俺も一瞬だけ虚を突かれてしもうた。

「お、岡ピの彼氏て……まあその、聡実くんの彼氏させてもろてます、成田狂児言います」

咄嗟にそう答えてもうたけど、いかんいかん。相手にペースを乱されとる場合やない。俺はすかさず、女の子に向けて「この子は俺のもんなんで」と言わんばかりの、牽制丸出しな彼氏オーラをこれでもかと放出してやった。
ところがや、その女の子(後で聞いた名前はマナちゃん言う聡実くんの同級生の子)は、俺の牽制等どこ吹く風で、そこから更に興奮した様子でうんうん!と納得顔で頷くと、俺に向かって勢いよく話しかけてきよった。

「えー!岡ピから散々話聞いてたけど、想像してた倍イケオジじゃん!?私こう……もっとはっちゃけた感じのおじさんかと思ってたけど……え?岡ピひょっとして面食い?あ〜でもこの顔なら、物理的にハグしちゃう程好きになるのも仕方ないかあ?これは岡ピがいつも惚気るのも仕方ないなあ〜……うんっ納得した!」
「いやそれはっ!ちゃう、ちゃうからっ……てかマナちゃん、今その話は……っ!」

目の前の女の子の口から飛び出した衝撃の発言に、聡実くんは見る見る内に耳の付け根迄真っ赤になってもうて、そこから必死になって止めようと焦り散らかしとる。
ハグしちゃう程好き?岡ピがいつも惚気る?

待って、この子今、何て言うた?

俺の脳内は、一瞬でさっきの嫉妬が消し飛んで、ワクワクとした気持ちでいっぱいになってもうた。
あ、これ浮気ちゃうな?ちゅーか聡実くん、俺の知らんとこで、この同級生の子に俺の惚気話、ガッツリ話しとるん?
え〜何々?俺の事「ハグしちゃう程好き」って言うたん?
え〜ほんま何それ、可愛過ぎひん?
俺がデレデレと締まりのない顔になっていくのを察したマナちゃんは、それはそれは大層楽しそうにウインクをして見せた。
これはなかなかに察しが良うて、えらい気ぃの利くお嬢さんやわ。

「何か突然来られたみたいだし、私お邪魔みたいだから今日帰りますね?あ、岡ピ!丸山にも私から連絡しとくから、もっちゅりんは又今度改めて行こうね?それと彼氏さんも!折角来たんだし、岡ピと二人、楽しんで下さいね!何か最近彼氏さんから連絡なくて、岡ピちょ~寂しがってましたよ?」
「ちょ、マナちゃん!僕別に寂しがってなんておらへんて……ちょおっ!」

後で聞いた話やと、何や同級生の友だち同士で、ミスドの限定ドーナツを一緒に食べに行く予定で、遅刻したもう一人の同級生の丸山くんを待っとったらしいんやけど、その丸山くんへの連絡を引き受けながら、気の利くお嬢さんことマナちゃんは「バイバーイ!」と笑顔で手を振ると、軽快に去っていってしもうた。
そんで後に残されたのは、思わぬ聡実くんのデレ話を聞いて機嫌を良うして顔を蕩けさせとる俺と、まな板の上の鯉状態になっとて真っ赤になっとる聡実くんの二人になった。

「なあ聡実くん」
「……何ですか?」

俺は笑顔のまま、逃がさへんように聡実くんの白くて細い手首をがっしりと掴まえた。

「何やそのもっちゅりんとかもええけど、とりあえず今は、聡実くん家に帰ろか?」
「ちょ、狂児さん?!引っ張らんといて下さい……っ!」 

抵抗する恋人を半ば強引に促すと、通い慣れた蒲田の狭い四畳半のアパートへ連行する。
後ろ手にガチャリと鍵を閉めるなり、俺は聡実くんを玄関の壁に軽く押し付けるようにして、その薄い唇にチュッチュと何度も細かくキスを落とした。

「んっ、んぅ……狂児さん、当たり前みたいに僕ん部屋入ってこんといて下さ……ふぅっ」
「俺が聡実くんの部屋に入るんくらい、普通やろ?やって俺、聡実くんが普段から惚気る程の彼氏やねんから……な?」

俺がわざとらしくそう言えば怒ったように睨んでくる聡実くんの、その目元にかけられた眼鏡をそっと外す。そして改めて深い、深いキスを落としてやった。そうして聡実くんの薄く、柔らかい唇を存分に堪能してから一旦唇を離すと、そのまま耳元に顔を寄せて、わざと意地悪く囁いてやった。

「なあ聡実くん。最近俺からの連絡のうて、そない寂しかったん〜?」
「っ、そんなん言うてへんわ!あれはそやっ、マナちゃんが勝手に誇張して言うただけです!」
「へえー……でも俺の事ハグしちゃうくらい好きなんは、ほんまの事なんやろ?俺付き合う前に、聡実くんから急にハグされた事あるし?」
「うるさいっ、黙れアホッ……!」

羞恥で涙目になりながら俺の胸をポカポカ叩いてくる聡実くんが、ほんまに愛くるしうて堪らん。

「堪忍。堪忍やで?聡実くんが可愛過ぎて、つい意地悪なってしもたわ。やけどほんま、寂しい思いさせてごめんなあ?」

今度は優しく、包み込むように抱き締めると、そのサラサラとした黒髪に何度も唇を寄せる。

「別に……寂しい思いなんてしてないです」

俺の胸に顔を埋めたまま、小さな声でツンと強がる聡実くん。
やけどその細い腕が、俺の背中にぎゅっと回されて、離れへんように縋り付いてくる。
あーほんま、このツンデレな猫ちゃん可愛過ぎへんかあ。
俺はこれ以上ないくらい優しく目の前の愛しい恋人を抱き締めてやると、そのまま靴を脱ぐのももどかしく、苦心しながら部屋に上がり、もつれ合うように四畳半の畳の上に押し倒した。

「今日はもう、どこにも行かせへんで、たっぷり甘やかしたるからな」
「アホばっかり言うて……もう知らんわ」

ぷいと顔を背けながらも、俺の手を拒まない可愛い恋人の呟きに、俺の胸の奥がこれでもかと甘く疼いた。
畳に押し付けるように顔を隠したまま、じっと動かなくなった聡実くんの顎を、そっと伸びした指先で掬い上げる。
見れば耳迄真っ赤になっており、眼鏡を外した潤んだ瞳が、静かに俺を見上げていた。
言葉とは裏腹に俺を求めてくれとる熱い視線に、俺は堪らなくなって、その柔らかい唇に顔を近付けた。

「んっ……」

​小さく鼻を鳴らした聡実くんの唇に、啄むように優しく、何度も音を立てて吸い付く。
チュッと密やかな音が、狭い部屋の中に何度も優しく響いた。
おでこに、鼻筋に、そしてまた少し開いた唇に、これでもかと細かくキスを降らせていくと、聡実くんは観念したようにふっと細い息を吐き出した。

​「……んっ、狂児さん、くすぐったい」

​文句を言いながらも口元は微かに綻んで、俺の首に回された腕にぎゅっと力がこもる。
さっき迄ツンとそっぽを向いとった顔は、今はすっかり俺の熱に馴染むように柔らかく溶けて、何やったら自分から少しだけ、俺の唇を迎えにくるように頭を寄せてきよるんやからなあ。
ほんままんざらでもない顔しとるのに、言葉では絶対に認めへん。やけど、身体の方はこないにも俺を歓迎してくれとる。

​「なあ聡実くん、大好きやで」
「……そんなんっ、よう知ってます」

​そんな答えに満足しながら、俺は目の前の愛しい恋人とともに、深い熱の中へと溺れていった。

— End —

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