Novel29 days ago · 4.8k chars · 1 pages

綾紬芦花さんが酒寄彩葉さんと初めて同衾した時のお話

翡翠石翡翠石

超ネタバレ注意です。 タイトル通りのお話だよ、チョイ役で真実さんの彼氏さん出てくるから一応注意ね。

注意
チョイ役で真実さんの彼氏さん出てくるよ

真実が二十歳の誕生日を迎えて、私たち全員がお酒を飲めるようになった。
誰の提案だったか、全員揃うまでお酒は我慢しようという約束は果たされて、三人集まって人生初のお酒を体験しに街に繰り出した、そんな日だった。

「酒寄、綾紬、真実連れて帰っちゃうけど……ホントに送らなくて大丈夫かお前ら?」

夜の十一時、二軒目の会計を済ませた私たちは、真実を迎えに来た彼氏さんに、彼女を引き渡したところで。
思ったよりお酒に弱く、酔いつぶれてしまった真実を支えながら、真実の彼氏さんはなんだったらついでに送るぞ?と私たちを心配してくれる。

「だいじょーぶ!私のマンションすぐそこだから!今から芦花と宅飲みで二次会で〜す」

お酒のせいか、若干テンション高めな彩葉が私の右腕に抱き着きながらそう答える。

「……ま、酒寄はともかく綾紬は平気そうだし大丈夫か、んじゃ帰るわ、真実と仲良くしてくれてありがとな、じゃ」

そう言って彼は真実を連れて帰ってしまう、彩葉と二人きりだ。
因みに私は全然酔ってない、彩葉も真実もそんなに強くないみたいだし私がストッパーかなぁ。

「よし!芦花!コンビニでお酒とおつまみ確保して帰るよ!」

「おー」

えらいハイテンションの彩葉についていく、ふらふらしてるし手綱をしっかり握らねば。
因みに私は全然酔ってないよ。

「芦花〜?お酒なに買う〜?」
「とりあえずサワー系でいいんじゃない?私ら全員ビールダメだったし」
「あれ苦い」
「それが美味しいんじゃないの?分かんないけど」
「私はジュースみたいなのがいいなぁ」
「じゃあやっぱりサワーだねぇ」
「おつまみどーしよ芦花」
「スナック菓子買ってこうか」

そんな会話をしながら何本かのお酒と、おつまみを確保する、どうやら彩葉は酔うと若干幼くなるっぽい、可愛い、因みに私は酔ってないよ。

コンビニを出て、彩葉のマンションまで辿り着く。

「いらっしゃいませ~お客様何名様でしょうか」
「一名で〜す」
「ではテーブルこちらで〜す」

先に部屋に入った彩葉が接客の真似を始める、本当に可愛いな彩葉。

彩葉が机の上におつまみを広げている最中に違和感に気づく。

「あれ?ヤチヨは?」

いつもなら私たちが来たら、待ってましたと言わんばかりにタブレットの画面に出てくる彼女がいつまでたっても現れないのだ。

「ん?えーっと……あ、ヤチヨスリープの時間だ」

スマホでヤチヨのスケジュールを確認した彩葉の返しに道理で、と納得する。
じゃあ本当に二人きりなんだ……。

「スリープなら仕方ないし、飲もう芦花!」

「はいはい、手洗いうがいが先ね」

「はーい」

なんか本当に今日の彩葉可愛い。
二人共手洗いうがいを済ませてテーブルにつく。

「どれから飲む?芦花?」

彩葉のチョイスに任せた結果、見事にフルーツ系で統一されている缶のお酒たち。
さっと記載されている数字を確認し、一番高いものを選択する。
彩葉結構酔ってるっぽいし度数高いのは私が引き受けよう。

「芦花レモンの……じゃあ私はオレンジ貰おうかな」

「えへへ、かんぱーい!」
「かんぱ〜い」

彩葉の缶と軽く触れ合わせ、呷る。
美味しい、が、普通にジュースの方が美味しくないか?と思う私はまだ子供なのかもしれない。
彩葉のほうを見ると、両手で缶を持って、くぴくぴという効果音が似合いそうな飲み方をしている、可愛いし本当に美味しそうに飲むな。

「美味しいね芦花」

その酔いのせいでとろんとした目で見つめてくるのは反則じゃないか?

「ホント、美味しいね」

「芦花、芦花、おつまみ開けていい?」
「はいはい、どうぞ」

そう言って彩葉が手に取ったのは、よくかぐやちゃんが食べてたお菓子で。

「……かぐやともこうしてお酒飲めるように頑張らなくっちゃね」

袋を開ける直前にそう呟いた彩葉の言葉は、私の耳にもはっきりと届いて。
やっぱり彩葉の心に居るのはかぐやちゃんなんだなぁってノスタルジックな気分になりかけた瞬間、パンッという破裂音と共に袋の中身が机の上に飛び散った。

「…………やってもうた」

自分自身も飛び散ったお菓子に塗れながら、犯人が呆然と呟く。

「……ふふっ」
「えへへ」

そんな犯人と顔を見合わせてどちらともなく笑い出す。

「あははは!もー何してんの彩葉!漫画でしか見たことないよこんなの!」
「うひひひ……ふ、普通に開けたんやけど!?」
「はいはい、お皿持ってくるから集めといて」

お皿を持ってきて散らばったお菓子を集める、ほとんどが机の上に散らばったので粗末にせずに済んだ。

「あーもーびっくりした」
「それ、私のセリフなんですけど?」
「えへへ、ごめん……あ、お酒なくなってもうた」

彩葉が次に手にしたのは期間限定と銘打たれたバナナ味らしいお酒。
彩葉に合わせ飲み終えた私も次の缶へ手を伸ばす。

「(7%……さっきの9だっけ?まあでも酔ってる感じはしないし大丈夫か)」

既に雰囲気がふわふわしている彩葉にこんな度数の酒を飲ませるわけにはいかないと、缶を開け、彩葉の乾杯に応じる。
そう、私は全然酔ってないのだから。

「芦花、かんぱーい」
「いえーい」

―――そんなやりとりが二、三回続いて。

「……芦花?」

度数の高い酒ばかり選んで引き受けた私は完全に出来上がっていた。
こんなに急に酔いって回るのか、と調子に乗っていた己を呪いながら、水を求めて立ち上がる。

「芦花危ないって」

ふらついた所を彩葉に支えられる、情けない。

「水?持ってくるから座ってて」

どう見ても酔っ払ってる私を見て酔いが覚めたのか、いつもの様子に戻った彩葉に半ば無理やり椅子に座らされ、持ってきてくれた水を渡される。
情けなさや恥ずかしさで熱くなった身体を冷やすように水を呷り。この水が一番美味しいんじゃないかという本末転倒にも近い感想を抱きながら一息つく。

「大丈夫?芦花?ごめんね度数強いのわざと選んでたでしょ?」

気を使わせちゃってごめんと言われ、そこまで見透かされてたのかと恥ずかしさが倍増する。

「大丈夫だいじょうぶ……私が勝手に選んだだけだから……」
「でもこれ以上は飲めなさそうだしそろそろ帰るね?」

時間もそろそろマズい、流石にこの調子で歩いて帰る気にはなれない。

「そんなフラフラな状態で外出せないって、今日は泊まっていって」

「いやいや……悪いよ……」

立ち上がろうとして、体勢を崩し、彩葉に抱き抱えられるように受け止められる。

「だーめ、こんな状態じゃ心配で私が寝れなくなるから、私のためと思って」

それはずるい、ただでさえ少ない彩葉の睡眠時間を盾にされては反論のしようがない。

「……わかった、ごめんソファ借りるね」

「え?いやいやお客様をソファで寝かせるわけにもいかないし私がそっちで寝るよ」

まさかの意見の衝突である、アルコールのせいで頭が回っていないが、彩葉にはちゃんとした環境で寝てもらわなければ。

……正確にはこの家にはもう一つベッドがある、だがそれは私にも彩葉にも使えないもので。

「家主なんだし、睡眠時間盾に泊まってって言ったんだから彩葉がベッド使って」

「私しょっちゅう机に突っ伏して寝てるからソファでも十分だって」

「ちょ……机で寝てるってそれ聞き捨てならないんですけど」

「うっ……今は関係ないでしょ、とにかく芦花が私のベッド使って」

完全に平行線、しかもアルコールのせいなのか私も彩葉も意固地になっていて。
そんな無益な応酬が三分ほど続き、遂に彩葉がキレた。

「だあああああ!わかった!私のベッド広いからもう一緒寝るよ芦花!」

「…………へ?」

確かに、大学入学と同時に、私とヤチヨが彩葉に買い替えさせたベッドはかなり大きかったはず、私と彩葉なら余裕で一緒に入れるだろう。

「ちょっと……彩葉?」

手を引かれ、彩葉の部屋に連れ込まれる。
抵抗する間もなくベッドに寝かされ、目を白黒させているうちに彩葉もベッドに入り込んでくる。

「……なんか芦花が私のベッドに居るの不思議な感じする」

「だから私はソファで……わっ」

起き上がり、ベッドから降りようとしたところ、彩葉に手首を握られ引き戻される。

「だーめ」

そのまま彩葉と向き合うように寝かされ、ちょうど彩葉の胸元に顔が来るようなカタチで収まってしまう。

「芦花ほかく〜、絶対勝手にソファ行こうとするしこのまま〜」

また酔いが回ってきたのか、少し幼い感じを醸し出す彩葉は、私の手首を握って離してくれない。

色々と反論も抵抗もしたかったが、彩葉から伝わる体温、ふかふかのベッド、アルコールと彩葉の香りが混ざった匂い、それら全てが私を睡眠へと誘い、身体が動かせない。

「……は……ばか」

最後にせめてもの抵抗を試みて、私の意識は夢の世界へ落ちていった。

―――遠くで声が聞こえる。

『おーい!彩葉ー!芦花ー!おきてー!』

ヤチヨの声、スリープ終わったんだ。
……ん?なんでヤチヨが私と彩葉を同時に起こそうとしているんだ?

『おーきーてー!もうお昼ですよ〜!というかスリープから目覚めたら二人が同衾しててヤッチョ驚き桃の木なんですけど〜!?』

その言葉で意識が一気に覚醒する、目を開けると、同じく今起きたであろう彩葉の顔が。

「「っっっっーーーー!!!!」」

二人して跳ね起き、互いにベッドの反対側に腰掛ける。

『あ、起きた、二人とも仲がいいですねぇ……それとも……ゆうべはおたのしみでしたねってやつだったり?』

よくわからないことを言っているヤチヨを尻目にこっそりと服を確認する、乱れてはいるが、外出用の服で寝たのが原因っぽい、間違いは起きていないはず。

「あー……思い出した、ごめん芦花、昨日結構無理やりベッドに連れ込んだね……」

タブレットの中のヤチヨが『え!?無理やり!?』と赤くなってる、やめて。

「いや……こっちこそ……あーうんよく眠れましたうん」
「……えっと、ごめんトイレ借りるね」

「あ、ご自由に……」

トイレに駆け込み、ポケットに入れっぱなしだったスマホを取り出す。
自分でももうどうしたらいいか分からない、こういう時に思い浮かぶのはもう一人の親友の顔で。

―――よく寝たと伸びをする。
窓から入る光は快晴と、お昼近い時間とお寝坊を私に伝えてくれる。

「お、起きたか」

「おはよー、昨日は迎えに来てくれてありがとね〜」

「気にすんな、それよりさっきスマホ鳴ってたぞ?」

「ん?ありがと〜」

彼からの指摘の通り、私のスマホの通知欄は親友二人からのメッセージで埋まっていて。

「ん〜?私心配されるほど酔いつぶれてた……?」

そう思いながらメッセージを開くとそこには。

『どうしよう真実、お酒のせいで彩葉と寝ちゃった』

「……んん?」

『助けて真実、酔った勢いで芦花をベッドに無理矢理連れ込んじゃったんだけどめっちゃ気まずくて』

「…………はい?」

私がお寝坊している間に届いていたいくつかのメッセージは、いずれもそういう状況を示唆していて。

「………………ひょわああああああああああああああああああああ!?」

帝様に名前を呼ばれた時以上の衝撃に絶叫する。
どうした!?と駆け込んできた彼をよそに盛大に頭を抱えるのであった。

後日、紛らわしい表現やら、言葉足らずは致命的な誤解を招くと、お騒がせ両片想いおバカたちに叩きんだりするのだが、それはまた別のお話。

— End —

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