ヤラシイ意味ではなく、月のものに関する描写などがありますので、苦手な方はご注意下さい。
「う、う、ウッ、いってえ!」
「ルチア・レッド?そんな所で何をしている」
「わあぁ、天の助け。スネイプ先生、くすりを下さい!今すぐ!」
「ハッ?」
「薬、鎮痛剤下さい!!生理痛に効くやつ!体質のせいかマグルの薬効かないんですよ!生理は病気じゃないとか、ふざけた事いいませんよね?勉学に支障きたすくらいの痛み放置しろと?いくら劣等生と言われるハッフルパフでも、私、ちゃんとやってますよね?グレンジャーには負けますけど。ダメならピル下さい。コッチってないんですか?なら開発しましょう!私実験台になってレポート書くんで!」
「分かったから少し落ち着きなさい!」
スネイプ先生の部屋に連れて行かれ、苦い液体状の薬を平然と飲み干し、寮に戻ろうとしたら引き留められた。
フワフワのクッション付きのソファーに座らされ、膝掛けを渡され、足元には暖房器具。
何処からともなく、マシュマロ入りのココアまで手元にやってきた。
「ヤバっ!先生って見かけ通りツンデレなんですね!対応もちゃんとした大人だし」
「貴様が吾輩をどう見ているかよく分かった。ハッフルパフ1点減点」
「わっわっ、冗談です。優しくて気遣いできるスネイプ先生ステキー」
「ふん。それを飲んだらサッサと帰りたまえ」
「はーい」
ブラック企業に使い捨てられ、半分過労死半分自殺のような死に方をした私。
生まれ変わったらのんびりしたいと思っていたが、中々上手くはいかないようだ。
結構ひどい環境に生まれ、ハリー達と同い年。
直接関わる気はないけど、波瀾万丈な学校生活になりそうな予感。
んー、正直嫌だ。だってそうでしょ?
何にもしないとイケメンの先輩死んじゃうし、スネイプ先生だって苦労するし、学校もめちゃくちゃになっちゃうって、普通に考えるとダメでしょ。
原作重視派には悪いが、私は平和な学校生活を送りたい。
ヘビもハゲもヒゲもクモもお断り。
とは言っても、現実は厳しい。
マグル界育ちの半純血にはツテもコネもない。
スリザリンでもないからねえ。
「とりあえず、スネイプ先生の手伝いするか」
恩は返すタイプですよ、私。
「んー、私は大丈夫ですけど苦すぎません?あと、コッチの薬ってどうして液状が多いんですかね。錠剤タイプもっと増やせれば、もっと流通しやすくなるのに。というより、魔法族って不妊や避妊に対しての知識ザルすぎません?何でもかんでも呪いのせいにしとけばいいって思ってそう。現代において生理の回数って多すぎるんですよ。病気予防の観点からも、薬でコントロールすることは悪い事じゃないのに。頭固すぎる」
「…まだ1年の君とこんな話をしている事に、頭痛がしてくるのだが」
「そこは諦めてもらって。機会がなかったのは当然かと。先生に臆することなく接してくるのって、よっぽどの命知らずか空気読めない子がほとんど。建設的な話できそうなスリザリン女子は貴族の御息女。こんなあっぴろげな話出来ませんよ」
あれから1ヶ月。
ちょくちょくスネイプ先生の部屋や薬学教室にお邪魔し、薬や魔法界について議論を繰り広げている。
ハーマイオニーという天才がいるおかげで、さして疑問にも思われていないのは上好。
先生頭いいから子供の相手は退屈というより、合わないのは肌で感じる。
もっと上の世界で、研究に勤しむべき人材なんだろうなあ。
ヒゲは本当に余計な事してくれた。
ハリーを守るって使命を自分に課してるけど、アレって別に先生に責任ないよね?
秘密でもない預言を帝王に漏らしたのだって、校長の策略だし。
対策も甘かったうえ、ポッター家襲撃したのは帝王の独断と偏見だし。
マルフォイ氏、サッサと抱え込んで先生を楽にさせてくれないかな。
云々と考えこんでいると、ドラコからイチャモンをつけられた。
ハロウィン終わったので、仲良し三人組が行動してるのボケーっと見てた所に、ドラコが嫌味言ってる場面に出くわし、何故か私もターゲットにされた。
「えーと、マルフォイ。何でなんの関わりもない私まで嫌味言われないといけないの?」
「とぼけるな!マグル界育ちのハッフルパフの分際で、スネイプ先生に付き纏っているだろう!」
なんと!ドラコから嫉妬されようとは。
ヤベェ、役得ってやつ?か、かわいい。スネイプ先生慕われてるう。
「付き纏ってるのは事実だけど、生まれは私のせいじゃないよ?マルフォイは違うだろうけど、碌でもない純血貴族なんて腐るほどいるし」
「何だと」
「ただのマグルの母親に魔法薬使って手篭めにした挙句、妊娠分かった途端忘却術使って、証拠隠滅しようとした生物学上の父親を碌でもないと言わずして何というんだろうねえ」
「え」
「間一髪魔法警察の人が駆けつけてくれて事なきを得たんだけど、母親敬虔なクリスチャンで決まってた結婚もご破産。しかもクソ親父、養育費も慰謝料も払わねえと言い出した」
「ハ?」
「心配ご無用!ブチ切れた奥方様が面倒な事全て引き受けてくれて、お金やアフターケアなんかの諸々やってくれたから!純血貴族の鏡だわあ。かの凶悪犯のシリウス・ブラックの尻拭いも、お母上がやったんでしょう?母、女は強いわあ」
「ング!!」
「まあウチはブラックとは関係ない家だけどね。マルフォイは親戚なんだっけ?色々大変でしょ」
「グッ!」
「先生とお近づきになりたいんなら、マルフォイも一緒に研究しようよ。今やってるの女性の月のものや、婦人科系に関する病気の研究だけど」
「え、遠慮する!!」
顔を真っ赤にして去っていくドラコ。
これってセクハラになっちゃう?
いや、将来ヒーラーになるんなら、これくらいの事は試練でも何でもないよね?
ゴゴゴと、背後から殺気を感じた。
「レッド。放課後魔法薬学の教室に。罰則はおって言い渡す」
「イエッサー」
純真無垢なお坊ちゃんを揶揄ってはいけません。
「先生来たよー」
「あ」
放課後教室に赴くと先客がいた。
「ポッターも罰則ー?あ、私ルチア・レッド」
「う、うん、よろしく」
「レッド、おしゃべりはそこまでだ。この葉を細かく切って煎じ、冷めたら容器に。ポッターはあそこに置いてある器具を全て洗いたまえ」
「はーい」
「…はい」
詳しい流れ忘れちゃったけど、もう険悪な時期だったけ?最初から?
先生が大人気ないって意見もあるけど、大っ嫌いないじめっ子とそっくりな子供に、にこやかに接するのも無理な話だろう。
私は先生の味方です。
手を動かしながら先生に話しかける。
「先生ー、相談があるんですけど」
「何だ」
「私の後見人になってくれませんか?」
「ええ?!」
「レッド。そういう話は冗談でも、人前ではしない方が賢明だ」
「聞かれて困る話はしませんよ。真昼間に出自暴露してる私に、今更隠し事もありませんし」
「そうだが、何故後見人が必要なんだ。母親はまだ健在だろう」
「健在だからですよ。まだ若いし、やり直すんなら私の存在ごとなかった事にしてもらった方が、コッチも都合がいいんです。向こうの奥様や、私の面倒見に通ってくれてた魔女さんや、聖マンゴの忘却術士にも相談済みですし、学校入った今がいいタイミングなんですよ」
「そこまで具体的に進んでいるのなら、私でなくともよかろう」
「人のいいスプラウト先生に、ウチの泥沼劇赤裸々に語るのは流石の私も躊躇しますよ。先生とはコレから共同研究してく仲ですし、手続きの手間考えたら楽かなあと。学生のうちに稼げる目処つけて、向こうの奥様に少しでも恩返ししたいんですよ」
「…」
「えっと、ごめんレッド。口出すつもりはないんだけど、どうしてひどい目にあわされた家に恩返ししたいの?僕、よく分からないよ」
「手厚く支援してもらったから。普通は金払って終わりだけど、奥様は出来た人なのよ。普通のマグルに魔力がある子の子育ては大変だろうからって、わざわざ人寄越してくれたり、自ら赴いてくれたり。純血貴族のお嬢様育ちが普通はしないよ。クソ親父はもう死んでるし、息子さんも亡くして、本家の方は皆アズガバンって言う牢獄行き。嫁に来ただけなのに可哀想すぎるでしょ!」
「そ、そうだね。えっと、魔法使いの子育てって、大変なの?」
「当たり前でしょ。人にもよるけど魔力暴走はあって当たり前。泣けばガラス割れ、癇癪起こせば家具が飛ぶ。レパロ使えないマグルにとっては金がいくらあっても足りないよ。ポッターの家はお金持ちだからいいだろうけど」
「えっと、僕の家、お金持ちなの?金庫に沢山お金はあったけど、父さんは無職だって、叔父さんが」
「無職は無職でも、遊んで暮らせるくらいの財産はあった筈だよ?先生、ポッター家って農園や薬草園沢山持ってたんでしょ?」
「そう聞いている」
「えっ」
「叔母さんの家に弁護士さんや税理士さん訪ねてこなかったの?養育費とか月々の税金どうやって払ってたの?タダで預けられてたとか?まさかねー。魔法界にも納税の義務はあるし、働いてた人もいるんだから、ちゃんとしてるでしょ。働きもせずにボランティア活動に従事して引きこもってたんだから、事務手続きくらいはしっかりしてくんなきゃ貴族とは言えないよねー」
「僕、何も知らないし、人が訪ねて来た事も、手紙が来た事もないよ。お金も、ないと思ってたから」
「ふーん。気になるんなら自分で調べたら?こういう事に一番詳しいのはマルフォイだけど、嫌ならロングボトムとかアボット。グリーングラス姉妹も親切にしてくれると思うよ」
「キミは、助けてくれないの?」
「残念だけど、私には義理も義務もツテもコネもない。純血貴族の力は大分弱まってるとはいえ、結局は血筋と家柄が魔法界ではものを言う。ひとつアドバイスするなら、叔母様の話はよく聞いて、よーく考えること。敵は身近な所に潜んでいるものよ」
「?手紙書けばいいの」
「それは悪手。クリスマス家に帰って腹割って話しなさい」
「それは、」
「嫌だと言うならそれはそれでいいと思うよ」
罰則を終え、しょんぼりとポッターは寮に戻って行った。
「先生はこの件に関してはノータッチ貫いて下さいね。ルシウス様に話すのは構いませんが」
「お前は、何者だ。何を知っている」
「全てとでも言ってほしいんですか?私がした事に意味があるかないかは、この後彼がどう行動するか次第です。気になるなら手元に置いて、見張っていれば良いのでは?」
「生意気な口をきく子供だな」
クリスマス休暇。
母と永遠のさよならをし、名字は変わらずレッドのまま、スネイプ先生のボロ屋で数日を過ごした。
「お父さーん、チキン食べたーい」
「誰がお父さんだ!」
「養育費どころか、紙切れ一枚で寒空の中置いていかれてたんだって。しかも、その後何の支援もなかったって言われた」
「叔母さんが良識ある人で良かったね」
「ホントだよ。施設に預けようにも、都合良く皆忘れて、最初からなかったようにされるのが何回も続いて諦めたらしいし」
「ホラーだわあ。魔法使い嫌いになるのも納得」
「そうだよね。母さんの学生時代の手紙も何通か見せてもらったんだけど、その、スネイプ先生」
「言うな、聞くな、喋るな。貴様の母親に酷いことを言ったのは私が未熟だったからだ。父親にされた事は未来永劫忘れんが、貴様に謝ってもらう謂れもない。それよりも、その書類の束をどうにかした方がよろしいのでは、英雄どの?」
クリスマス休暇明け。
グロッキー状態のハリーが、スネイプ先生を訪ねてきた。
ペチュニアさんと話し合って、自分が大分アレな状態だと察したらしい。
無知とは恐ろしいものだ。
周りの勧めもあり、マルフォイに頼んでポッター家周りの財政状況を確認してもらったら、あら大変。
出るわ出るわ未処理の案件の山、山、山。
名付け親が牢獄に加え、一族郎党死に絶えてる家。
やっと出てきた一人息子は、普段は堅牢なホグワーツで過ごし、夏休みは魔法族が近づけないお家に。
接触する機会がほぼねえ。
「父さん、必要最低限の事しかやってなかったみたいで。僕、こんなに沢山のことこなせないよ。書類見ても訳がわからないし」
自分が死ぬとは微塵も思ってなかったんだろうなあ。どっから来てたんだだろう、その自信。
ピーターさんもリリーさんも可哀想に。
「ふん。今まで何も考えず放置してきた結果だろう」
「先生。その言葉、自分に返ってきても知りませんよ?面倒くさいなら必要最低限分だけ保持して、放棄しちゃえば?何もしてない赤ん坊、英雄として祭り上げてる魔法界なんて見捨てちゃっても構わないんだし。卒業したらマグルの世界に戻って生活しても、バチ当たらないよ」
「なっ?!」
「えっ、それっていいの?僕が、名前を言っちゃいけない人?倒したんじゃないの?」
「自分が神にでもなったつもり?普通に考えて、一番近くにいたお母君が命を賭した魔法使って、君を守ったって考えるのが自然じゃないの?」
「!!」
「そ、そうだよね。普通はそうかも」
「禁じられた魔法の一種だったのかもしれないね。大っぴらに出来ないし、真実を知るのは帝王のみ。何も知らない君をスケープゴートにして、何かあったら英雄様がどうにかしてくれる。大人達に都合の良い操り人形の完成ってね」
「あっ、あ、僕が、人形?」
「レッド!!」
「あくまで私の推測。勝手な妄想だよ。これからどうするかは君次第だよポッター」
「僕、ぼく、死にたくない。英雄なんて興味ないし、帝王と戦いたくなんかない!普通にロンやハーマイオニー達と遊んで、クィディッチしてたい。叔母さんの家にもお金払いたいし、この書類どうにかしないと、困る人沢山いるんだよね?」
「イエス。マグル界での保護者は叔母さん一家だけど、魔法界は別。本来なら後見人がやるべき仕事なんだけど」
「名付け親のシリウスって人、刑務所みたいな所にいるんだよね。先生に酷いことしてたんでしょ?僕、会いたくない」
「冤罪の可能性もあるらしいけど、誰も助けないって事は、性格に難ありな人物って事でしょ。委任状マルフォイさんに託した方が、今後スムーズに事は進むと思うけど嫌がるかも」
「ええ。なんか、ちょっとめんどくさい人なのかな。先生、あ、何でもないです」
スネイプ先生の眉間の皺よ。
憤怒の表情で、頭の中整理してるっぽい。
校長は信用できない中、ハリーの安全を確保しつつ、帝王やデスイーターの残党に目を光らせ、降ってわいたポッター家の財政管理。
賢者の石は置いといて、クィレル先生は先に片付けちゃおうかな。
接触で退治可能なら、転んだフリしてハリーと密着させればいいんだし。
「クリスマスにプレゼントが届いたんだけど、箱を開けたら汚いマントが入ってて、叔母さんにすっごく怒られたんだよ」
「へえ。そのマントどうしたの?」
「物置き部屋に置いてきた」
ヒゲザマァ。
そもそもアレ、ポッター家の物でしょ?
借りパクしてたの返しただけっしょ。
透明マント、みぞの鏡、森での騒動、ワンワンパニックだっけ?
詳しい事覚えてなーい。おばちゃんだから仕方がないんですよ。
「僕、勉強したい。ドラコはあんまり好きじゃないけど、色んなこと知ってて、悔しいけど頼りになるから聞くようにする」
「それがいいと思う。生まれた時から貴族教育叩き込まれてるから、私達とは土台が違う。イラッとしたら深呼吸して、お坊ちゃんが粋がってると思えば可愛いもんよ。お父上のルシウスさんは金儲け上手だから、将来ドラコは管理がめちゃくちゃ大変になるから、温かい目で見なきゃ」
「そうなんだ。うわあ僕より大変そう。けど、ロンがちょっと、」
「あの子はウィーズリーとは言っても勘当されてる家のうえ、スリザリンヘイトが酷いご両親に育てられたから、ちょっと偏った思想が根付いてる。切れとは言わないけど、勉強の邪魔してくるんなら、距離置いた方が今後の為にもいいよ。ポッターだってイライラしながら日々を過ごしたくはないでしょ?」
「けど、初めて出来た友達だから」
「友達なら何してもいいわけじゃないよ。これからスリザリンの子達に親切にされたら、スパイだ裏切り者だって言われる。その時、ハリーはポッター家当主として、毅然とした態度で立ち向かっていかないといけないんだよ?貴族の家継ぐってそういう事」
「毅然と」
「ウィーズリーやグレンジャーには出来ない。残念だけど事実だし、私も相談に乗るくらいしかやれる事はない」
「…」
キャパオーバーかもしれないけど、今のうちに考える力をつけさせないと校長の思う壺だ。
分霊箱は大人達に任せるにしても、ハリー自身を危険から遠ざけないと意味がない。
数日後、難しい顔をして書類に向かいあっているハリーの姿があった。
ロンは面白くなさそうにしていたが、ハーマイオニーや貴族の子達にたしなめられ、大人しくしている。
賑やかな双子からも苦言呈された所を見ると、上級生達の中にも、今までのポッター家の状況を疑問に思う子が出てきたんだろう。
よしよし。校長ってちょっと怪しくね?という動きがグリフィンドールから出てくればいいのだ。
頭がいい家は、ヒゲからも距離を置きたがっているのは調査済み。
無害なハッフルパフはこういう時便利。
騒ぎ起こすのは大抵、グリフィンドールかスリザリンだからねえ。
「ダンブルドア先生が夜中出歩かないのかとか、もう少し冒険した方がいいとか言ってくるんだけど、無視していいよね?」
「いいけど、あんまり露骨だと心除いてくるよ」
「え?」
「開心術って言う心を除く魔法の使い手だから校長。目と目を合わせないといけないから、使ってるのは一発で分かるけど」
「何それ気持ち悪い!勝手に心の中除く?防げないのそれ」
「目を合わせないか、閉心術って言う魔法覚えるかだけど、ポッター、ダンブルドアフリークじゃなかったっけ。いきなりどしたの」
「スリザリン以外の貴族の子の悪口?みたいなの言われて、イラッときちゃって。思い返すとあの人、肝心なこと何も言ってないなって」
「成長したねえ。人心掌握術のひとつだよ。思わせぶりな事言いつつ自分は関知しない。本人が勝手にその気になって思い通りに動く。政治家や軍の総帥としては打ってつけのタイプだ」
「あの人校長だよね?ここ学校だし」
「軍士官学校だと思えば、間違ってはないけどねえ。悪の帝王と戦う為の駒の育成場」
「駒」
「同じ土壌で闇の魔法使いも育つから、成功してるとは言いがたいけどねー。案外それが狙いだったりして」
「どういう意味?」
「敵がいないと正義の味方は輝かない。死ぬまで名声を手に入れたいんなら、自分の都合よく動く手駒が沢山必要。永遠に続くスパイラルを育てる場が、近場にあったら?手に入れたいと思うよね?」
「…!」
「魔法界全体そうだけど、昔からホグワーツは親マグル派と純血主義派が小競り合い起こしてる。あとはひと匙の悪意を意図的に混ぜれば、何もせずとも勝手に踊ってくれるって寸法」
「こ、怖すぎるよ!じゃあ、ダンブルドアには気をつけろって言ってくれてる人達って」
「色々思惑はあるだろうけど、良識ある家の人達だね。考える頭があるとも言う」
「僕、怖いよ。レッドは閉心術?使えるの?」
「学校入る前に習って、スネイプ先生との特訓で強化済み」
「うわあ、うわあ。ぼ、僕も習う」
「慣れないと吐くと思うけど頑張ってー」
「!!」
自分がヤベェ場所で飼育されていると、本気で自覚したようだ。
あのヒゲの本当の思惑は分からない。
もう歳だから半分ヤケになってる感も否めないし、帝王と対峙するの自分じゃないから、流れに任せてる気もする。
ただそんなこと、子供は知った事ではない。
大人しく従う義理はない。
スネイプ先生を死なせない為に、私はやるぜ。
「お初にお目にかかりますルシウス様。ルチア・レッドと申します。手土産にコレを」
「何だい、この砂と瓶詰めは」
「崩れちゃったクィレル先生の肉体と、引っ付いてた帝王の本体?です」
「ブッ?!?」
「お前はなんてものを持ってきたんだ!」
「そう言われましても。怪しいヒゲが雇った怪しい先生なんて、どう考えてもおかしいですよね?上級生辺りが藪突いてくれるの待ってたんですけど、誰もやらないし臭いしで、サクッとやっちゃいました」
弱っていた帝王の確保は驚くほどアッサリ済み、困惑するハリーをいいくるめつつ、イースター休暇にシレッと持ってきた次第。
「ルシウスさん。デスイーターや帝王の影に怯える人生終わりにしましょうよ。怪しいアイテムの保管も困ってません?」
「な、何故それを知っている」
「その瓶詰めと似た嫌な気配のやつ、ホグワーツにもあるんですよねー。どうせ禁じられた魔法の媒介か何かでしょう?頑張って全部見つけて葬りされば、復活も無くなりますよ。ダッセェマーク消えればミッションクリア。単純な話です」
「うっ、しかしだな」
「何か言われたら、私とスネイプ先生のせいにして逃げ切ればいいじゃないですか。得意ですよね?」
「うう」
「待て。何故吾輩まで道連れにしようとしている」
「えー、いいじゃないですか。私の後見人なら最期まで面倒見て下さいよ。先生だってダブルスパイなんて面倒な立場、さっさと降りたいでしょ?」
「なっ?!」
「嫌いな奴の子供の面倒見てる理由考えれば、答えなんて簡単に想像つきますよ。ハリーの身の安全保障されれば、先生も楽になりますよね?」
「確かにそうだが」
「待ってくれ。卿をどうにか出来ても、ダンブルドアがのさばったままでは意味がない」
「それについては当てがありますので、夏休みまでお待ち下さい」
「待て。何をする気だ」
「内緒です」
すっごい顔で睨まれたが、知らんぷり。
先生にはまだ、校長の気を引いててもらわなきゃ困るのだ。
数時間の話し合いの末、砂は大海原に撒かれ、日記と本体は悪霊の炎で焼かれた。
「おっ。いけ好かない入れ墨薄くなってますね。この調子でぶっ壊していきましょう!」
「か、軽い」
「人ごとですから。そんなダッセェおそろいのマーク入れさせて、親御さん達の世代何がしたかったんですか?魔法界征服したいんなら、マルフォイの金稼ぎ応援すれば簡単に済むでしょうに」
「何?」
「雇用を純血主義派でガッチガチに固めて、親マグル派マグル界に追い出せばいいだけの話ですよね?」
「…」
「半純血の扱いが難しいとこですけど、家で上手くいってない子は幼少期に保護して恩売っとくとか、適当な家の養子にするとか、やりようはいくらでもあるのに。闇側って金持ちなんですよね?どうして今までやってこなかったんですか?」
「レッド。もう黙りたまえ。幼少期の吾輩が不憫に思えてきた」
「先生の不憫は今に始まった事じゃないから大丈夫ですよ。これから私が少しずつ解消してくんで、ドーンと構えてて下さい」
大人二人は大層しょっぱい顔をしていた。
結局経済力がもの言う世界。
狭いイギリス魔法界だけなら、やり方さえ間違えなければ、独裁政権敷くのも充分可能だったのだ。
帝王はそこ履き違えて、マグル抹殺なんてよ迷い事ほざき出した。
部下は上手く使ってナンボでしょう。
マジで勿体ない事しちゃったねえ。
それとなくヒント出しておいたから、分霊箱と身内の骨は上手い事処理してくれるだろう。
ロケットはナルシッサさんやアンドロメダさんいれば屋敷行けるだろうし、後回しでも問題ない。
髪飾りは探してる最中だし、あとは、ネズミさんを上手く使えばオールオッケー。
「貴方の正体は知ってるけど、私はどうこうする気は全くない。協力してくれたら、今後の身の安全と衣食住は保証するよ」
「!」
学校に戻り、ロンからきったねえネズミを、幾ばくかの金で譲り受けた。
「森のアクロマンチュラと、秘密の部屋の蛇の様子を調べてほしい。帝王の方も今対策してる最中だから、安心して。一緒にヒゲを引きずり落とそう!」
約5分。ネズミと見つめ合う。
諦めたのか、小太りのオッサンが姿を現した。
「イエスと捉えても?ピーターさん」
「…君は、僕を魔法省に突き出さないの?」
「さっきも言いましたけど、私は貴方達のいざこざに全く興味はないです。知ってると思いますけど、ハリーもシリウス・ブラックには会いたくないと言ってますし、大人達も問題起こすから、今は牢に入れとけって意見です。流石に可哀想だから、ハリーが成人した頃に再審請求してやるかって感じです」
「うわあ、そんな事になってるの?シリウス、悪い奴ではないんだよ?」
「貴方がそれを言いますか」
「それもそうだね。君たちに協力する。あと、信じてくれないかもしれないけど、母が亡くなったら自首するよ。後悔はしてないけど、亡くなったマグルの人や、リリーには申し訳ないと思ってる」
「そうですか。ルシウスさんに頼んでいい弁護士さんつけてもらいますよ。面会にも行きますので!」
「なんか、楽しそうだね。スネイプが振り回されてる理由が分かったよ」
「気をつけて下さいね。先生に見つかったら、何されるか分かりませんから」
「肝に命じておくよ。森は本当に危ないから、絶対に入っちゃダメだよ?使えそうなネタ、色々調べてみるから、君はほどほどに動いてね?」
「スキャバーズ。それはフリかい?」
「違うからね?!頼むから大人しくしててね」
「はーい」
スネイプ先生の目が厳しいから、派手に動くのはやめようと思っていたから、ピーターさんを味方につけられたのはデカい。
夏休みまでのんびりしてようと呑気に構えていたら、暗い顔をしたハリーがやってきた。
この子、私やスネイプ先生をカウンセラーか何かかと思ってるんじゃなかろうか。
面白いからほっとくけど。
「ポッター家のお金がなくなってたみたいなんだ」
「誰かが不正利用してたって事?」
「多分。イースター休暇、ネビルのおばあさんに会って色々聞かれたんだ。そしたら、金庫がひとつしかないのはおかしいって言われて」
「調べたら金庫がいくつも出てきたと」
「うん。まだ詳しい概要がわからないし、鍵があれば誰でも出入りできたから、犯人探すのはちょっと難しいみたい」
「ゴブリンは魔法族に興味ないからねえ。管理は自己責任。金貨も貸してやってるって感覚」
「そうみたいだね。すっごく悔しいけど、そんな事構ってられないくらい、沢山の書類がまた出てきて。僕が成人するまでは、動かせない案件もいっぱいあるらしいし。もう、パニック寸前だよ」
「おお。後見人の方はどうなってるの?」
「シリウスさん?が駄々こねてるって。手紙も書いてみたけど話通じなくて困ってる。僕、父さんの事何も知らないから、一方的に思い出語られても正直困るんだよね。しかも、自慢話ばっかり。先生イジメてた話聞いて喜ぶと思ってるのかな?」
シリウス・ブラック。アウトーー!
長い牢獄暮らしで精神病んでるとはいえ、マジで使えね〜お坊ちゃんだな。
「時間が勿体ないから、次で最後にしちゃえば?良くしてもらってる先生の悪口書いてくる、人格破綻者とは金輪際縁切りますくらい言っちゃえ」
「うーん。逆ギレしてこないかなあ」
「その辺の匙加減はルシウスさんに任せれば?法的にも魔法界的にも、牢に入ってる人が後見人ってイメージ悪すぎるよ。何かあった時困るのはポッター自身っていうのを、シリウスさんは考えてない。いい大人がそれじゃあ駄目すぎ。話し合う価値すらない」
「し、辛辣だね」
「後ろ盾ない私達は頭使わないと。家柄がいい貴族連中に使い潰されて、ハイ終わりなんてことにもなりかねないんだよ?」
「レッドは絶対に大丈夫そうだけど」
「何か言ったかなあ?ポッター。マルフォイと一緒に、魔法界における出生率の低下の要因について議論したい?」
「遠慮します。僕、ドラコに帳簿のつけ方習いにいかなくちゃいけないから、またね」
軟弱な男子どもめ。
魔法界で人工授精の講義なんて、夢のまた夢だな。
「先生ー。低学年でも使えるピルの開発さっさとしましょうよー」
「なんだいきなり」
「面倒事がなくなれば、次は経済発展に尽力するのは世の常でしょう。マルフォイばっかに金儲けさせてたまりますか!闇側の純血貴族がアズカバンから出てきたら、婚活して子作りに励んでもらいたいですし」
「待て!デスイーター達を牢獄から出す?」
「マーク消えたら後追いする人もいるかもしれませんが、無駄に生命力高そうな人達だから、意地でも生きてそうだなって。ダンブルドア主導で、ろくに裁判もせずにぶち込んだんでしょう?捕まえた人数と、当時の犯罪件数と案件。明らかにあってない部分が多数。魔法界って、同族殺しとマグル殺し、どっちに罰の比重置いてるんでしたっけ?」
「!!」
処刑もしない。ディメンダーのキスも何年も執行されない。
純血貴族に対して忖度が働いていた証拠、あるいはダンブルドアの差し金。
帝王が復活した時、配下の人間がいなきゃ面白くならないからねえ。
「宙に浮いてる金は闇側のほうが圧倒的に多い。純血がーとか言ってきたら、マグル側に学校作ってって言えばいいだけ。魔法省は後ろ暗いとこ沢山あるうえ、プライド高いから反対はしないと思いますよ?」
「ウプッ。胃に穴が開きそうだ」
「これくらいで参ってたらこの先やっていけませんよ?もっとやべえネタ出てきますからね?」
「吾輩の平穏を返せ」
「先生の人生に平穏な日々ってあったんですね。初耳です」
無言で前髪がパッツンになる呪いをかけられた。
お返しにパンチパーマの呪いをお見舞いしたら、バチくそ怒られた。
「痛かったら言ってね?」
「そっとだよ?そっと、イッタイイ!!」
「ごめんごめん。おっ、やっぱり効果あったね。傷は綺麗さっぱり消えたよ」
「本当?!鏡見せて!」
「はいよー」
夏休み明け。何してるかって?
希釈したバジリスクの毒、ハリーの傷跡に塗っておりました。
いやあ、上手くいった。帝王はこれで綺麗さっぱりないないされた。
スネイプ先生が微妙な顔でマークがあった部分を見ていたから、実験は大成功!
「ルシウスさん、お待たせ致しました!森に蔓延ってるアクロマンチュラの地図と、秘密の部屋に繋がっている場所示した書面です。中にいる蛇は寝てるみたいですけど、退治するんなら牙か毒は回収して下さいね?ちょっと試したい事があるので」
「は?」
「あと校長が賢者の石学校に隠してるみたいなんで、それもどうにかして下さい」
「え」
「それと、ハリーがお宅に遊びに行きたいって言ってたんで、手配してあげて下さい。ドラコもソワソワしてましたよ。マナーは多目に見てあげて、って大丈夫か。小汚いスネイプ少年の面倒見てたの、ナルシッサ様とルシウス様ですもんね」
「そう、だな」
「ルシウス!気を確かに持て!この娘の言う事を理解して返事をしろ!」
「先生、とうとう私を娘と。あっ、これ呪われた髪飾りです。処分よろでーす」
「口を閉じろ!!」
ハリーの大冒険はハロウィンで幕を閉じた。
終わらない書類と勉強と、たまにクィディッチで夜はぐっすりおねんね。
ダンブルドアに疑問を抱いていた上級生達が、ポッター家財産横領疑惑を知り、ガードしてくれるようになったのも大きい。
冷静に考えれば、光側で指揮取ってたヒゲが一番の容疑者だもんね。
口に出すと揉めるの分かってたから皆黙ってたけど、スリザリンの子とか秘密裏に調べてたし。
捕まったら一気に出す算段つけてたんだろう。
たくましい限りですよ、全く。
「マルフォイ邸はどうだった?」
「凄かったよ!孔雀はいるし、何か高そうな絵画とか花瓶とか飾ってあった。ドラコのお母さんにも良くしてもらったよ。変なハウスエルフ?もいたけど、偉いのは僕じゃなく亡くなった母さんだって説明したら、ちょっと落ち着いたけど」
「へー」
もう少ししたら、ドビーの配置転換提言しよ。
ルシウスさん益々忙しくなるから、余計なストレスは溜めないよう、配慮してあげるのも私の努めだ。
所々戦闘の爪痕が残る廊下を歩いていると、(クモが暴れたんだろう)臨時で校長に就任したマクゴナガル先生に遭遇。
「先生大丈夫ですか?大分お疲れの様ですが」
「大丈夫と言いたい所ですが、嘘はつけませんね。生徒の信頼を損ねる非道に気付けなかったのが、情け無くて」
夏休み、魔法界はダンブルドア関連の記事一色に染まり、教授達は後始末に追われた。
「先生薬草がもうないよう」
「問屋を叩き起こせ!無ければ取ってこい!」
「えー、人使いが荒い」
「誰のせいでこんな騒ぎになっていると?」
「ダンブルドアとハグリッド。もしくは昔キチンとアクロマンチュラを処分しなかった、当時の教員の方々ですかね。バジリスクに至っては、偉大なる創設者のスリザリン氏の置き土産ですし。スリザリンの純血貴族の人達、なんで喜んでないのか不思議で」
「貴様に聞いた吾輩が間違っていた。黙ってこの鍋をかき混ぜていろ」
「ラジャー」
「先生、お茶淹れたんで一息ついて下さい」
「ありがとうございます。お言葉に甘えます」
校長室にお邪魔した。
「闇のアイテムも相当出てきたと聞きましたが、先生この部屋にいても大丈夫なんですか?」
「どう言う意味ですか?」
「隠し部屋とかありそうじゃないですか、ここ。ダンブルドア先生、何年ホグワーツにいましたっけ。学会の時以外あんまり出かけてもいなかったようですし、秘密の部屋のひとつや二つ、勝手に作っててもおかしくないかなあって。考えすぎですかね?」
真っ青な顔をしたマクゴナガル先生は、すごい勢いで部屋中を調べまくった。
クモや闇のアイテムの所持だけだと、言い逃れ出来ちゃうからね。
余罪は多ければ多い程いい。
家捜しした結果、グリンデルバルト氏との愛の日記は置いといて、借りパクしたらしきアイテムがわんさか出てきた上、幾つもの鍵もついでに出てきた。
「ポッター家以外の鍵ですね。賠償金いくらになるか楽しみです」
マクゴナガル先生は倒れた。
「ピーターさん久しぶり!ちょっと忙しくて。ちゃんと食べてる?辛くなったら無になって、たまにネズミに変身しなよ?」
「ありがとう。今のところは大丈夫だよ」
私達が4年生に上がってすぐ、ピーターさんは自首をした。
平行して、デスイーターの裁判のやり直しや保釈手続きが行われた。
まだ刑に服してる人もいるし、釈放された人もいる。
駄犬?
屋敷に引きこもってるらしいですよ。
ハリーは成人するまで会わないとキッパリ書面で通達し、家に帰ればクリーチャーから、弟の死の真実を聞く羽目に。
同情はするけど、自業自得だ。
しっかりと自分を見つめ直して、今後の魔法界に貢献して下さい。
「ベラトリクス様とやり合ったって、噂で聞いたんだけど、嘘だよね?」
「ピーターさん耳が早い。やり合ってはいませんよ。口で言いまかしただけ」
「え」
「ほらほら、さっさと股開いて」
「お前ええ!!半純血の恥知らずが!!」
「何今更カマトトぶってんですか。既婚者のくせに卿に股開いてたアバズレが」
「なっ、なっ?!」
「私、生まれがアレなんで、浮気する奴は男でも女でも死ねばいいと思ってるんです。けど、お世話になった人達に恩返ししたいから、魔法界の発展に貢献したい気持ちもあるんです」
「そ、それとこれがどう結びつくんだい」
「単純な話ですよ。純血貴族は金がある。魔力と才能ある子供が増えれば、自ずと経済の循環も生まれる。金稼ぐためには雇用増やして、利益をあげるしかない。魔法界が活気づく」
「…」
「純血増やしたいんなら子供産めば良いんですよ。経済支配して、マグル追い出せばいいだけ。卿に追従するだけで、なんでこんな単純な事思いつかなかったんですか?純血貴族が聞いて呆れますよ」
「うるさい!!」
「うるさいのはそっちですよ。魔法使いが長寿とは言っても、今から出来ても高齢出産。不妊の原因調べて少しでも確率あげなきゃ、お先真っ暗ですよ?せっかくお日様の下に戻ってこれたのに、文句ばっか言って財産食いつぶして終わり?ふざけんなよ。アンタらが殺した人達にも、家族や恋人や大事な人がいた事忘れんなよ。純血貴族だから生かされてる自覚ないんですか?マジ甘やかされたお嬢様だな。反吐が出る」
「っ!!」
「今更罪の意識芽生えてきたんですか?生まれてきた子供に罪はないなんて綺麗事、この世には存在しませんよ。覚悟決めたんなら、台乗って足開け。出来ないのなら、二度と私に頼るな」
「てな感じで言い負かした」
「相変わらず無茶するねえ。殺されなくて本当に良かったよ」
「ですね。不妊治療は精神的負担大きいから、なるべく優しくしたいと思ってるんですけど。罪の自覚ない純血貴族達前にすると、すっごいイラッとしちゃって。シリウスさんが最高峰の馬鹿ってだけで、ルシウスさん除いて、上の世代って似たり寄ったりが集まってたんですねえ」
「それ、僕も含まれてるよね?スネイプにも言っちゃったの?」
「罰として、北海の海にある海藻獲りに行かされました。めっちゃ寒かったです」
「た、大変だったねえ。え、けど、この場合大変なのはスネイプなんじゃあ?」
「ピーターさん。そこは考えちゃダメです。また来ますから、体に気をつけてくださいねー」
「うん」
「先生ー。子作りしません?」
「ブッ?!」
「きたなっ。ちょっと種提供してくれるだけでいいんで」
「貴様っ、命を何だと思っている!実験に使うなど言語道断だ!」
「命の選別平気でやってる魔法族が何言ってるんですか。マグルの不妊治療は、イギリス世界トップクラスでいいんですよ?人工授精、体外授精も珍しくない時代ですし」
「グッ!!」
「自然妊娠が一番いいのは分かってますよ。けどこの先を考えると、そっち方面の研究もしてかないと」
「しかしだな、お前と私は、その、曲がりなりにも、親娘のような関係だ。それを不自然に崩すのは、倫理的に、まずいだろう」
「へ?先生私と子作りしたいの?」
「は?」
「嫌だなあ。いくら私でもそこまで恥知らずじゃないですよ。もとは誰でもいいから、子供だけ欲しいって女性は魔法族でも多いんですよ」
「…」
「合理的なのはどこでも一緒ですねー。ゆくゆくは保存する機関も作らなきゃですけど、まずは実績作りと年寄り共の説得が先ですね。人も増やしたいし、ってスネイプ先生。なんて顔して固まってるの」
「お、お、お前と言うヤツは、」
「なんですか」
「男心が分かるまで帰ってくるな!!」
スネイプ先生は想像以上にピュアだった。
チェリーボーイ?と聞かなかった事を、誰か褒めて下さいませ。



















