Novel1 years ago · 2.4k chars · 1 pages

HOPE ON THE…

キートンキートン

RPS作品です。実在の人物、事象とは全く無関係のフィクションです。 はじめて、あの丸いスティック振りました〜! 子供がどう、仕事がどう、そもそも当選しないし、もう一生彼らのコンサートには行ける気がしなかったんです。それが、それが…あの日突然夢が叶いました。 感動を刻んでおきたくて、お話とも言えないような拙い小品ですが勢いで書きました。 光の中の彼は、ほんとうにかっこよかったです(語彙力💦)

そのメッセージを見た時、ユンギは最近少しだけ度を上げた眼鏡のフレームを持ち上げた。

四角い画面に、一行だけ。

〘終わったよ。〙

シンプルな文字を見つめながら、ソファに沈む。

…さて、なんと返信するか。

スマホが震える少し前。
Xか何か忘れたが、真っ赤な、4万とも5万ともつかない光を見た。それは星屑のようにも見え、信じられないことに、その一粒一粒は人間であり、ステージの、ただ一人を見つめている。
瞳にありったけの期待を込めて。

__何万人もの人から歓声を浴びるってどんな気持ち?

これまで、家族も含め何度となく尋ねられた。だが、上手く言葉にできた試しがない。

「鳥肌が立つよね」

「一言で言えば…感動?」

実のところ、頭を空っぽにして声援を味わうことは滅多にない。いつまでもぼぉっと立っているわけにはいかず、決められた次の進行をミスなくこなさなくてはならない。
それでも。
あまりのエネルギーに、「現実が遠のく」感覚は確かにある。そして、そんな時は…なぜか涙腺に来る。
今、光の中にいる男の目にも涙があった。垂れた目尻が光っていた。

ソファにさらに深く沈み、何となくスウェットのフードをかぶった。
じっとしていると、フードの中、薄暗くなった視界に懐かしい感覚が蘇り、眼裏に星屑を映した。地響きのような歓声を聞いた。今から3年前、自分も確かに、たった一人光の中にいたんだ。

あれはホソクがまだ兵役中のことだ。最初の休暇で相談を受けた。

__転役したら、ツアーをしたい。

「オーケー まず、ストーリーだな」

「セトリは緩急。ソロコンってマジで休む時間ないからさ」

「誰に演出を頼むか、早めに決めないと」

アイツは目を輝かせて聞いていたし、途中から頭の中でどんどんイメージが膨らんでいくのが、手に取るようにわかった。

「でさ、スクリーンなんだけど、」

「……」

「おい、聞いてる?」

「ん?」

見事にキョトンとした顔。
聞いてねぇじゃんって、思い切り腹をくすぐってやったら、ぎゃハハハ……身を捩って笑い転げた。
髪を短く刈った、少年のような顔が忘れられない。

それからは休暇の度にツアーの話をしていたが、転役し、本格的に準備が始まると言ってやれることはだんだん減って、俺の口からは、一にも二にも体調管理しか出なくなった。
聞けば、演出にはそれほど凝らず、歌とダンスで真っ向から勝負するライブだという。つい心配を漏らすと、
「だってヒョンみたいにギターとか弾けないもん。……あ、でも、火はバーって派手に出すよ」と笑った。

世界15都市を巡る全31公演。ソウル3デイズからの滑り出しは上々だったが、海外を転戦するうち、恐れていた通り体調を崩した。当然だ。どんなに気をつけていても、軍で鍛えてきたと言えど、キャパシティ (容量)を超えるエネルギーを使っている。
例えばアスリートは、国際大会の2週間前には現地入りするという。その場の気温、時差にアジャストするのにそれくらい必要だそうだ。それが、俺たちのスケジュールときたら。身体が悲鳴を上げるのも無理はない。

俺の場合、体調不良は喉の違和感からはじまった。すぐにヒリヒリとした痛みに変わり、身体のダルさ、そして発熱…
あの不安と絶望感はちょっと忘れられない。倒れても、代わりにステージをしてくれる仲間はいないという、当たり前の事実がギリギリと心を苦しめる。

だから誇張ではなく、ホソクの不調を聞いた時には胸が潰れる思いだった。メンバーも皆心配してたと思う。ジミンなど一度連絡もしてきた。
「ねぇ、どうしたらいいの? ヒョン経験者でしょ、ねぇ、ホビヒョンに教えてあげてよ!」

ジミンに言われるまでもなく、言ってやりたいこと、俺だから言えることはあったと思う。だけど、どんな言葉も慰めにならないこともまた知っていた。
俺は、たんたんとデスクワークをこなしながら「お前のせいじゃないから」そう、胸のなかで繰り返した。

ん、あーーーー
はい、オシマイ

わざと声を出し伸びをする。
ちょっと切ない記憶とはおさらばだ。まだアンコンがあるとは言え、アイツは無事ツアーを完走したんだから。

フードを下ろし、眼鏡も外すと物思いから覚める。明日からまた勤務。転役を間近に控え急ピッチで引き継ぎを進めなくてはならない。
そろそろ寝よ。
返信……いや、電話にしようか。
そう思ってスマホを取り上げると、柄にもなく少しドキドキした。

ホソクとは2週間ほど前、ビデオ通話で話した。画面に現れたアイツはやけに落ち着いた大人びた雰囲気で、一瞬ドキッとした。撮影帰りなのかまだメイクも落としておらず、普通にめちゃくちゃきれいだった。
どうも調子が狂う。

「ラストは日本?」

「うん、大阪だよ。ドーム。OSAKA  Brr Brr…」

「凄いじゃん」

「大丈夫かなぁ…もぉ、ヒョンが、大きな箱でやれって言ったんだからね、ヒョンのせいだ」

口を尖らせ、軽口を叩くホソク。でも一瞬だけ、瞳が不安気に揺れたのが見えた。
その時俺はどう言ったんだっけ。

「システマチックにやるだけ」
「順序通り。わかるよな」

「うん」

「大丈夫、終わるから」

「うん。そうだね」

〘ツアー完走おめでとう。俺たちが帰るまでの期間限定と、時間を惜しむように、死にものぐるいでやってきたよな。そして今、お前は揺るぎない場所を見つけたんだ。ステージという場所を〙

そこまで書いて、ユンギは✕(Delete)ボタンをタタタ…と押した。しばらく書いては消しを繰り返し、送信ボタンを押したときには結局一言になっていた。

〘おつかれ。早く帰ってこい〙

— End —

Comments 4

C
Chierm1 年前

わーキートンさんも行かれてたんですね!私も京セラD2に娘と友人といました!友人が強火3ペンでライブ後胸が一杯で食べられないと言って夕食抜きでした(笑)ほんとにこの人(たち)この世に存在するんだなあとずーっと思ってた気がします。最後に結局「お疲れ、早く帰って」になるのわかるなあ..

K
k1 年前

帰ってきた彼を思う存分癒してあげてほしい‥‥続きのお話もぜひ読んでみたいです💜 私も京セラ2DAYSに娘と行ってきました。サバサを持ってソロライブに行ける日が来るなんて夢のようでした。メンバー全員そろったライブはもちろんですが、彼のソロツアーもまた期待しています✨

Sakuria
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