暗闇に秒針の音だけ響く。
ホソクは目の前の広い背中を闇に慣れた目で見つめた。
広くて、安心する彼の背中。
縋るように触れる。
ユンギはすぐ気づくと、振り向いた。闇夜にきらめくホソクの瞳に気づき、頬を撫でた。
「どうした?」
「...寝れない。」
ユンギはホソクの額の生え際をなぞり、「不安で?」と尋ねる。
「...ううん。わかんない。」
「......そうか。寝たいのか?」
ホソクは微睡むように目を伏せた。そしてはっとユンギを見上げ、「ヒョンと一緒にいたい」
と告げた。
「いるだろ。ここに。」
「ううん。いるけど。遠いの。」
ユンギはフフ、と笑ってホソクを引き寄せた。隙間ないくらいに、お互いの鼓動が響き逢う程、近く。
「あったかい」
「俺は代謝いいからな。お前はいつも手が冷てぇ」
「うん。」
項に手を当てて撫でる。
「ずっと一緒にいようね。ひょん。」
ユンギはそれには答えずにホソクの肩口に鼻先を擦り付けた。服越しに伝わるホソクの素肌。
「恋人ができてもさ、子供が出来ても、ヒョンと踊って歌いたい。」
「......あぁ。」
肩を抱きしめ、腰を撫でる。
「笑うのも、泣くのも、ひょんとじゃなきゃ嫌だよ」
「ハハ。お前はいつまでも兄離れしねぇな」
「ヒョン...」と不安げにホソクがユンギの腕の中で顔を上げる。
「わかってる。俺もお前がいねぇとダメだよ」
微笑みながら額を合わせる。
ホソクはしばらくユンギを見つめ、そして瞼をゆっくりと下ろした。ゆるやかに上下する胸。
寝たのを確認すると、ユンギはおもむろにホソクの首筋にキスを落とした。
ユンギは溢れてくる思いをため息とともに吐き出した。
ホソク、俺はお前をどうにかしたくてたまらないよ。
兄弟愛ともとれないこの感情にどう名前を付けようか。
サランヘヨじゃ伝わらない、果てしなく遠くて深い思い。だが報われないと確実に分かる思い。
いっそ死んでしまいたい。
ありがとうホソク。そしてごめん。お前と共に居ればいるほど、俺は蝕まれて焦がしていく。
いつかそれが頂点に達した時、お前を穢してめちゃくちゃに壊すんだろう。
もうお前を弟として見れなくなっちまった。
もう俺をヒョンと呼ばないで欲しい。
これを愛と呼べたならどんなに幸せだろうか。
ユンギはそっとホソクから離れ、静かにベッドから消えた。






















