Novel1 years ago · 2k chars · 1 pages

全体公開/SGJH in the bar @Soul

うみねこうみねこ

[期間限手で全体公開しております] SUGAペンさんお元気ですか! HOTSご一緒に楽しめたら嬉しいです。 Mic dropのSUGAパート、RMパートの完コピ(オタク)レベルに ガチで二人をリスペクトしていて大好きなんだな、と感激しています。 感激を通り越して恥ずかしかったりします。(どれだけ聴き込んだんだろ) 共感してただけましたら、put your hands up !笑

SGJH in the bar

軽く食事して隣接のバーに移動したらサプライズで打ち上げのセッティングがされていた。ひとまずお疲れ様です、おめでとうこざいます、で乾杯してもらった後、一人づつに声かけていったけど、何故だろう、ここ数日の異常な緊張感が解けた開放感からか、みんないつになく酒のペースが速く気持ちよく酔っていて、気がつけばあっという間に学生の飲み会みたいな騒ぎになっていた。

さっき空腹だったはずが、いざ、料理を前にしたら思ったより食べられなかった。乾杯の一杯は手にして話しているうちにぬるく甘みが増したように感じて飽きてしまったから形式的に飲み干した。それ美味しいですよね、と馴染みのスタッフに笑顔で言われ、そうですね、と返した。j-hopeさんのグラスが空いているよ、と大声で伝えられ、すぐに二杯目を手渡された。
同じもので良かったですか?お疲れ様です、素晴らしかったです、怪我をしませんでしたか?体調はいかがですか?いや、疲れていますよね、連日のステージを終えたのだから、と矢継ぎ早に訊かれたので、何から答えたらいいのか分からず、僕は問題ありません、と言ったら彼は声を出して笑った。

「よく休んで、フライトに備えてくださいね」
「ありがとうございます。あなたも」

身体は疲労しているはずなのに思考が止まらず、ずっとギアがハイに入っていて落ち着かない。一人一人の話し声が自動的に全て鼓膜に吸い込まれてくる。カウンターに並んだウィスキーとジンのラベル左から右に全部読んだ、埋め込まれた小さな間接照明の数、配列の規則性、壁面にA5サイズにラミネートされ掲示されているQRコードの形状。吠えているライオンの顔に見える、その下には中央揃えにURLが流してあって、カカオトークのリンクも。それで情報は充分か?もっとシンプルで効率的な方法ってないのだろうか?あらゆるものが視界に飛び込んできてそれらについて考えようとする思考が止まらない。必要はない、止めないと、と思えば思うほど止まらない。自分の中で自分の声がうるさくて誰かとまともに会話できそうにない。BGMに集中して気を紛らわそうとしたけれどでもそれは当たり前に僕がリリースした曲がヘビロテされていて、そしたら気になって細部まで自分の仕事をジャッジしてしまうから、返って感情まで動かされて尚更良くない。全然良くない。

僕はそんな風なのに、入れ替わり立ち替わり、お疲れ様でした、よくやったね、と労いと身に余る賞賛の言葉をかけに仲間たちが笑顔でやってきてくれる。内容が入ってこない。僕はきっと笑顔で何か喋っているけれど、相手も笑っているけれど、自分がどう答えているのか自分でもわからない。

自分が離れそうになっている。
コントロールできていない。
このままでは眠ってしまうかもしれない。
もうそんなことはないはずだけど、ずっとそれはおきていないけれど、絶対にない、という自信はない。
どうしよう。誰か。

薄暗い店内に目を凝らしてマネージャーを探した。奥のテーブル席でタブレットを広げて、数人と、あれはきっと打ち合わせをしている。
耳を澄ませば会話を聴き取ることができそうだけど、今その必要はないし、いちいち目の前の物事に反応して興奮してはだめだ。
どうしよう。誰か。

人々の動きがスローモーションで認識できる。集中力が研ぎ澄まされていて、身体の細部まで思い通りに動かすことができる。
二杯目は冷たく、ほのかに柑橘の香りがして、喉をするりと浄化するようで美味しかった。ひりひりと喉に少しの痛みが残り、もしかしたら炎症を起こしているのかもしれなかった。

誰か。
スマートフォンを出して、連絡を取ろうと思った。
そういえば着信に折り返すのを忘れていた。
…ジョングク。

ネルシャツの袖にグリップが引っかかり、スマートフォンが手のひらを滑った。左手で受け止めようとしたら、タイミングを誤って指先で弾いてしまい、フロアに落下した。間に合わない、と直感で分かり重力に引っ張られ着地するまでを傍観した。物体の動きをスローモーションで認識できる。
だけど、ステージを降りた今はもう必要のない能力だ。それは脳に負担がかかるからすぐに止めなければいけない、あなたは他の誰よりもたくさん休まなければいけない、と言われているのに、切り替えることができない。

スツールを降りてカウンターの下に手を伸ばしたら、先に拾い上げる大きな手があった。反射的に手を引いて、すみませんありがとう、と言いかけ顔を上げたら、

「はい、」

ラッシュアワーのように騒がしかった脳内の全部の音が止まって、はい、というその低い声だけが鼓膜を支配した。
鼓動が大きくなっていく。
フレームの太い眼鏡をかけ、キャップを目深に被ったユンギさんが僕にスマートフォンを差し出して、口元だけで少し笑った。

続きます!

— End —

Comments 0

No comments yet
Sakuria
Where every work blooms
Click anywhere to skip