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最強少年フェルディナンド~3

柏木しおん柏木しおん

イタズラ好きな女神リーベスクヒルフェの思い付きで、洗礼式直前の7歳のフェルディナントは20年先までの記憶と知識、そしてシュタープと完全版メス書まで与えられました。これはその後のお話です。 エーレンフェスト城に暮らす様になったフェルディナンド。城でのお食事はもちろん毒入りです。それにお部屋に勝手に侵入する不届き者も現れます。少年魔王はどの様に対処するのでしょうか? いろいろ捏造あり、原作との違いもあると存じますが、どうかお見逃し下さいm(_ _)m。

<ユストクス>
それからきっちり3日後、フェルディナンド様と私は再び城を訪れました。あの側近二人組がフェルディナンド様をお出迎えにやって来ましたが、前回と違い、ずいぶんと腰が低くなりました。目には怯えが表れておりますねぇ。さて、部屋の様子はどうでしょう?

「ほぉ、見違える様に綺麗になりましたね。」

家具はきちんと並べられ、ぼろぼろだったカーテンは別の物に変わっておりました。散らばっていた衣服も引き出しに納められた模様。床も磨き上げられております。一応チェック致しましたが……さすがに、今回毒は仕込んでいない様ですね。

しばらくすると夕食です。

私と二人組はフェルディナンド様に伴い食堂へ。すると……いましたいました、ヴェローニカ様!相変わらずお顔に性格の悪さが滲みでておりますねぇ。フェルディナンド様が非常にご丁寧な挨拶をされましたが……

「ふん。」

無視ですか。大人気ないですねぇ。アウブはヴェローニカ様のあからさまな態度に気付いているはずなのですが、まったく注意しません。フェルディナンド様がおっしゃっていらした様に、本当はこの方を引き取りたくなかったのでしょうかねぇ。
そこに、ジルヴェスター様がやって来ました。

「父上、母上、遅れて申し訳ございません。お!弟よ、来たか!!」

ジルヴェスター様はにっと笑い、フェルディナンド様の頭をわしゃわしゃと撫でました。それをヴェローニカ様は苦々しく見ております。

「ジルヴェスター、その子に構ってはいけません。」
「なぜですか、母上?私の弟ですよ?」
「その子は本来、いないはずなのです。」
「いないはず?いるじゃないですか、ここに。」

この噛み合わない会話。ジルヴェスター様は、ヴェローニカ様のお考えを全く理解していない模様です。私は笑いを堪えるのに必死です。

「二人とも止めよ。」

アウブも堪らなくなったのでしょう、二人を制止し、食事開始を告げました。フェルディナンド様の給仕に入ったのは二人組の片割れです。これはフェルディナンド様の指示によるものです。

「おそらくヴェローニカは嫌がらせのために弱い毒、おそらく下剤か軽い痺れ薬辺りを仕込むに違いない。それらをあの契約を結んだ人間が私に差し出せば……弱毒の効果は私ではなく給仕に出現するはずだ。面白いではないか。」

確かに!さすがはフェルディナンド様、悪辣です!これは楽しみですねぇ。

さて、食事が運ばれて来ました。例の側仕えが心持ちぎこちなく……きっとヴェローニカ様に命令され軽い毒を仕込んだのでしょう……フェルディナンド様の前に皿が置かれます。フェルディナンド様は、毒などまるで気にせず、美しい所作でお食事をなさいます。顔色一つ変えません。ヴェローニカ様は、フェルディナンド様の様子を横目で観察しております。食事の動作に不手際があれば、罵倒するつもりなのでしょうが……フェルディナンド様には全く隙がありませんので、文句のつけようがありません。ヴェローニカ様の顔がどんどん不機嫌になって行くのがわかります。そのうち、いくら待っても毒の効果が出ないので、焦り始めた様です。時々フェルディナンド様から目を離し、給仕役の方に目を向けていますね。給仕役はというと……あらあら、お顔が真っ青ですよ。ちょっと足が震えていますね。そして……

ガシャーン

と大きな音。給仕役がお盆を床に落としました。そして

「申し訳ございません。」

と、悲鳴に近い声で謝罪し、その場から走り去りました。おそらく……ご不浄に向かったのでしょうねぇ。下剤入りでしたか。ヴェローニカ様のお顔を見れば……とても悔しそうなお顔をされております。アウブは見て見ない振り、ジルヴェスター様はといえば、

「なんだなんだ?なぜ逃げたのだ?」

と、まるでわかっていない様子。この方は実に鈍いお方ですねぇ。でもってフェルディナンド様は全く動じず、食事を続けていらっしゃいます。
二人組のもう一人が慌てて給仕に入ったは良いのですが彼も給仕途中で走り去り、最後は私が給仕する羽目に。念の為、私はフェルディナンド様に毒無効の魔法陣入りのハンカチをこっそり渡した上、給仕をさせていただきました。

この日の夕食は、フェルディナンド様には何事も起きずに終わりました。食堂を去る際、食堂に戻って来たあの二人組が、ヴェローニカ様に

「後で話はあります。」

と言われ、顔色を無くしておりましたのには笑えましたね。がっつりと叱責を受けるのでしょうねぇ。

離れの部屋に戻り、入浴の用意のため浴槽をチェックしたところ、弱毒が塗られているのが判明致しました。この毒が溶けた湯に浸かると皮膚が赤く腫れる、というやつですね、これは。先程の下剤もですが、なんとも嫌らしい罠を仕掛けてきますねぇ。あ、着替えの部屋着にもまでこの毒が!合わせて全部ヴァッシェンですね。

「なるほど。夕食の間にあの二人組以外の誰かが侵入したのだな。どんなヤツが来たのか、見てみないか?」

早速、映像記録の魔術具を再生してみると……一人の見知らぬ男が部屋に入り、浴室区画に去って行きました。

「また新たなヤツが来たな。……いちいち個別に対応するのは面倒だな。……どうすれば良いだろうな。」

フェルディナンド様が考え込みます。……でも何となく楽しそうですよ。こういう策略を練るの、大好きなのでしょうねぇ。

「なぁユストクス、神殿の神具に一定の魔力を奉納すると、シュタープを神具に変形出来る様になるのは知っているか?」

そんな話、初耳です!

「本来神殿の神具は、シュタープ構築するための雛形なんだと思う。例えば……シュタープ、ランツェ!」

うわ!!フェルディナンド様、ライデンシャフトの槍をお出しになった!

「どうだ、ユストクス。其方も出してみたくなっただろう?」
「はい!」
「そのうち神殿を掌握するつもりなので、それから存分に魔力を注ぐとよろしかろう。……でだ、私が何を言いたかったかというとだな。………ゲッティルト!」

キンという金属音が響いたかと思うと、フェルディナンド様が半透明の黄色い半球に覆われました。普通のゲッティルトとは違います。

「これは?」
「神具シュツェーリアの盾だ。この盾は、中に入っている人間に対し害意を持つ者を弾く。ユストクス、試しにこの盾の中に入ってみよ。」
「了解しました。」

私がフェルディナンド様に害意を持つなど有り得ません。もちろん、すんなり盾の中に入れました。

「では、私に対しメッサーを向けてみろ。」

言われる通りにしたところ……

「うわ!」

盾の中から弾き飛ばされ、部屋の壁に背中から激突しました。いたたたたた……背中が痛みます。でも、これは凄い盾ですよ!確実に敵味方の判別を付けられるのですから。

「ユストクスにルングシュメールの癒しを。」

背中の痛みがすっと退きます。おや、お優しいところもあるのですねぇ、この方には。

「ありがとう存じます、フェルディナンド様。あなたのお考えになられた事がわかりました。この盾を部屋の入口に張る、という事ですね。」
「正解だ。ただ就寝中にずっと張り続けるのは厳しいし、私が部屋に不在な場合は張れないことになる。それで、シュツェーリアの盾の魔術具を作成の上、扉に設置したいと思う。」
「そんな魔術具があるのですか?」
「前回、私が開発した。」

フェルディナンド様、あなたはどれだけ有能なのですか!?

「窓からの侵入も考えられた方が良いのでは?」

と提案してみると……

「そうだな。魔力の消費量が増えるが、その程度なら問題なかろう。」

そんな魔術具を維持するなんて、普通の人なら問題ある魔力消費量なはずですよ。それを『問題なかろう。』などと……。どれだけの魔力量をお持ちなのですか!?思わず遠い目になってしまいます。そんな事を考えている間に、フェルディナンド様は木札に必要素材を書き出して下さいました。

「この素材を集められるか?」

木札を拝見すると……

「これら全部、私が既に持っております。すぐご用意できますよ。」
「さすが、ユストクスだな。」

あ、ちょっと呆れてますね。素材も情報も、何でも集めるのが私の趣味ですよ。この程度で呆れないで下さい!

ということで……夜のうちに魔術具は完成してしまいました。鐘一つもかからなかったですよ。本当にこの方は規格外です。

そして、早速シュツェーリアの盾の魔術具を扉のみならず各窓に展開しました。さて、どうなることやら。

朝。部屋の扉を開けると……おや、扉と反対側の壁の前に、男が一人倒れておりますねぇ。あ、この男、浴槽などに毒を仕掛けた男ではないですか?夜の間に再び侵入し、悪事を働こうとしていたのですね!それにしてもなぜ、意識を失っているのでしょう?

「盾に吹き飛ばされた際、壁に頭をぶつけたのであろう?打ち所が悪かったと見える。」
「運が悪かったのですねぇ。で、こいつ、どうします?」
「せっかく我が部屋にいらしてくださったのだ。ただでお帰りいただくのは忍びないな。とりあえずユストクス、その男をシュタープで縛り上げて、部屋に入れてくれ。」

意識の無い男を縛り、部屋に入れました。

「あ、意識が無ければ、盾に弾かれないのですね。」
「意識が無ければ害意も消えるのだろうな。」

フェルディナンド様はその男に癒しをかけ、意識を取り戻させた上、豊富な魔力を活かした威圧で脅し、あの側仕え二人組と同じ契約を無理矢理結ばせました。ちなみにこの男はヴェローニカの息の掛かった文官で、フェルディナンド様の側近になる予定だったそうです。

「丁度良かった。それならば予定より早いが側近として迎えよう。私のために存分に働いてくれ。よろしく頼む。」

と魔王の笑みで言われ、その文官の顔は土気色に変わりました。

二の鐘が鳴りましたが………あの二人組が来ません。どうしたのでしょう?と思い始めた矢先、オルドナンツが飛んで来ました。

「ユストクス様!フェルディナンド様のお部屋に入ろうとしても、飛ばされて入れないのです!どうしたら良いのでしょう?」

あぁそうでした。シュツェーリアの盾の魔術具の作動させていましたね。あやつら、フェルディナンド様に逆らえなくなったとはいえ、害意はそのままだった様ですね。なるほど……では徹底的に心を入れ替えてもらいましょうかね?

それと、後で知ったのですが、夜間に窓から侵入しようとした不届き者がいた様です。そいつももちろん盾に吹き飛ばされ騎獣を失い落下、地面に身体を打ちつけ背骨を折る重傷を負い、もう一生歩く事が出来ない身体になってしまったらしいですよ。ま、自業自得ですね。

<ヴェローニカ>
あの二人組、結構使える側仕えだと思っていたけれど、だめねぇ。あの私生児の皿の中に下剤を入れたつもりで自分の手にでもつけてしまったのかしら?それとも、あの私生児にはあの程度の下剤は効かないのかしら?失敗理由を聞いても、

「すみません、すみません。」

と謝るばかりで、お話にならなかったわ。次はもっと強い下剤にするか……別の毒にしてみようかしらね?
それにしてもあの私生児、どこから来たのかしらね。とても綺麗で上品な顔をしているし、あの所作……上位領地や王族並みよね。悔しいけど、うちのジルヴェスターとは比べ物にならないわ。………本当にうちの人の息子なのかしら?もしかしたら大領地か王族の……訳ありの子なのかもしれないわね。それを気の弱いうちの人に押し付けた……可能性はあるわ!それでも気に食わない!あの取り澄ました顔、思い出すだけでいらっとするわ!!あの顔を絶対に歪ませてやる!覚えてらっしゃい!!

— End —

Comments 21

1 个月前

常備薬のユーレバーで重症も治るはず

いんこ1 年前
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R
rkira1 年前

ユッスーの柔軟さには驚かされます(腰がヒける程度に)😓

Σ
Σლ(゚Д゚ლ)ヨマセテェ~1 年前
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すず1 年前
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柏木しおん1 年前

コメント・スタンプありがとうございます!次回は捏造だらけになりそうです(^_^; 。ご了承くださいませ。

メル1 年前

フェルさまさすがです❣次回はどんな風にやり返すのでしょうか👍

フラグ1 年前
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はにゃ1 年前

次回も反撃楽しみです🎶

柏木しおん1 年前

コメント・スタンプありがとうございます!次回はフェル様が反撃しますが……女性にとってはかなり嫌な方法でヴェロを苦しめる予定です。

Y
Yu3a51 年前
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A
allians1 年前

政変終結後に、ヴェローニカは王族にフェルディナンドの存在をチクリに行きそう。

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