
キリト・ついにヨガに目覚める!?
illust/145754900の続きです。 ――それから数日後。 「もしも、あの時……」という、あり得ないけれど、どこか現実味を帯びた不思議な現象。俺――いや、「私」の身体は、鏡を見るまで信じられないほど、しなやかで、細く、そして見事な曲線を描く「少女」へと変貌を遂げていた。 ……まあ、細かい理由はいい。いわゆる、『ご都合主義』というやつだ。 とりあえず、この姿でヨガ教室へ行くことになった。 「ふぅ……っ、ん……」 スタジオに、静かな呼吸音だけが響く。 私はマットの上で、インストラクターの指示通りにポーズをとっていた。 不思議なことに、この身体――女性としての感覚は、驚くほど集中力を高めてくれた。自分の内面と向き合い、筋肉の伸びを意識し、深い呼吸を繰り返す。 (……いい。すごく集中できる。なんだか、心が澄み渡っていくみたいだ……) アスナの時も、直葉の時も、あんなに視覚的な刺激に翻弄されて、インストラクターの言葉なんて一言も頭に入ってこなかったのに。 今の私は、ただ「ヨガ」という修行そのものに没入できている。自分自身の肉体の動き、呼吸、そして静寂。これこそが本来あるべき、精神統一の姿なのだ。 (……ああ、最初からこうしていればよかったんだ。性別なんて関係なく、ただ一人の人間として、この静謐な時間を楽しむ。これこそが真のヨガなんだ……) 私は、満足感に浸りながら、ふと自分の手を見つめた。 白く、細い指先。汗で少し湿った、滑らかな肌。 そして、ふとした動きに合わせて、胸元に感じる「重み」と、ウェアの布地が擦れる独特の感覚。 ……ん? ふと、思考が止まった。 視界の端に映る、自分の――いや、「私」の、あまりにも女性的な、艶めかしい身体のライン。 ポーズを変えるたびに強調される腰の曲線、そして、自分でも意識せずとも揺れてしまう胸の膨らみ。 「………………っ」 脳裏をよぎったのは、先日のアスナや直葉を見た時の、あの「落ち着かない、昂ぶるような感覚」だった。 もし、この姿で、あんな風に魅力的な女性たちの前に現れたとしたら……? あるいは、この「私」自身が、誰かの視線を集める存在になってしまったとしたら……? (待てよ。……集中……集中しろ、キリト……いや、私!) 必死に理性を保とうとするが、自分の身体から放たれるあまりにも「女性的な色香」が、自分自身の意識を乱し始めている。 これは、精神修行なのか、それともただの自意識過剰な誘惑なのか。 「………………いや、俺は男だ。よくなーい!!」 静まり返ったヨガスタジオに、私の(あるいは、彼の)困惑に満ちた、情けない叫びが虚しく響き渡った。

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