一夜漬けのため文章推敲はできていないため、心の目で読んでください
書きたいところだけを書いています
新たな世界に生まれるのは今回で三度目だ。
一度目の世界ではシステムエンジニアとして働いていたが、三十代頃に日頃の不摂生のせいでぽっくりと死んだ。
二度目の世界では双子の弟として生まれた。ある事情で2000万が必要になり、子供ながらに悪いことをしながら二人で金を稼いだ。そのせいで犯罪組織で生きることとなり、殺されて死んだ。
三度目の世界はアメリカの一般家庭の一人息子として生まれた。
金さえあれば大抵の物が買える。
二度目の人生からの信条であるそれは、三度目の人生でも魂に刻まれていた。
だからこそ、家では常に金を稼ぐための行動をしていた。幸い親は二人しておっとりとした人物で、投資をしていようが、何かのプログラムを開発していようが、すごいねと頭を撫でるだけだった。
前世では兄と共に日本一の犯罪組織幹部で金稼ぎに精を出していたため、マネーロンダリングはお茶の子さいさいだった。
金を稼ぐために学校に通う必要性は皆無だったため、アメリカの制度であるホームスクーリングを有効活用させてもらい、飛び級して学校学習を終了させた。
高校程度の飛び級ならそこそこの人数がいるだろうと9歳の時に終わらせた。
後の時間はパソコンを使って、金を稼ぐ行動をしていた。
この世は金で動いている。金があれば、人の命を救うことだってできるし、人を殺すことだってできる。
だが、金を稼いでも世界で戦争が起きたら貯めてきた金が無駄になる。
前々世と前世で磨いてきたハッカー能力を駆使して、かつ暇つぶしも兼ねて世界有数の政府組織の情報をハッキングして戦争を起こそうとしていないか、無差別殺戮兵器を作ろうとしていないかを監視していた。前々世では2026年まで生きており、今は2010年のため、いくら政府からデータを抜くにしても簡単に実行できた。
両親以外の人間と関わることはほぼないし、金稼ぎだけだと暇すぎるから良い気分転換になった。
25歳になる頃には必要額を貯めて、南国にでも家を買ってハウスキーパーを雇って毎日海でも見て過ごそう。
24歳になったときには必要金額が貯まり、後は家を厳選、もしくは建築する段階になった。
世界は未だ平和で、前の人生二つで見てきた兵器以外は開発されておらず、戦争の気配も薄かった。
諸々の手続きが終わり、そろそろトンズラ扱くかという時に母親から待ったがかけられた。
隣家の息子が俺に用があると言うらしい。
明日、ピナクルズ国立公園に来て欲しいそうだ。何のようかは知らないが、無視するとその息子から母親に話がいくし、俺は連絡先を知らない。人との関わりがない俺と隣家の息子を仲良くさせたい母は、断らせる気はない。
明日一日だけ我慢すれば、あとは悠々自適な隠居ライフが待っているのだ。
胸に希望を抱き、隣家の息子とは簡単に挨拶をして分かれた後はピナクルズ国立公園で壁の花になっていた。
なにやらざわざわしているが、興味がないため空を眺めていた。
突如として空に緑色の何かが広がったとき大声が聞こえた。"石化"と"意識を飛ばすな"の言葉を聞き取った。
兵器として作られているなら俺が知らないはずがない。そう思い、空から地上に、光の方向にいる人に目を向けた。
…石になっていた。兵器として作成されたなら俺が知らないはずがない。あり得ない。つい一週間前にも各国の軍事データを確認していた。独自のネットワークを使用していようが、綻びは確実にある。世界はまだ2016年なんだ。未だネットワークは脆弱だし、AIだって開発されている物は前々世の2026年には遠く及ばない。一体どこの誰が俺に気づかれずにこんな物を開発できる。この世界で一番のハッカーである俺をかいくぐることができた?
そう思考しているうちに視界は黒に染まり、体は一切動かない状態になった。
意識を飛ばさない、そのことしか今はできない。
幸い、考えることはある。
誰が、人を石化する兵器を作ったのか。それを考えるのだ。思考をやめないことしか今はできないのだから。
ゼノ・ヒューストン・ウィングフィールドには幼なじみが二人いる。
一人は素晴らしい狙撃の才能を持つスタンリー・スナイダー。
もう一人はゼノの隣家に住んでいる機械を操作させれば右に出る者がいない才能を持つリアム・ウォード。
スタンリーと違い、リアムとは共に過ごした時間は少ないが、互いに互いが優秀な人物であると認識するのには十分な時間だった。
ゼノから見たリアムは常に何かに怯えており、金を稼ぐことでその不安や恐怖からやっと解放されているように見えた。
ゼノが11歳、リアムが9歳のときに母親が二人結託して引き合わされたとき、リアムは既に何かに怯えて金を稼ぐためにパソコンをさわっていた。
10歳にも満たない少年が作成したとは思えないプログラミングを販売し、その金で投資をしている少年を見たゼノの心中は計り知れないだろう。
リアムはある程度の科学を知っており、ゼノの話題に理解はあったのだろうが、リアムの優先順位はどうあっても金が一番に来ていた。
だから、ゼノがリアムと交流を計ろうとしても、どうやっているのかリアムはゼノから逃げた。リアムの母親を経由しないと、ゼノはリアムに会うことはできなかった。
だからこそ、石化光線が放たれた某日も機械のプロとしてリアムを母親経由で呼び出していた。
パキパキと何かが砕ける音がした後、視界が明るくなった。目の前には、隣家の息子、ゼノが立っていた。
「やはり君は起きると思っていたよ。リアム」
「まさかとは思うが、あれから人類全員が石化していて、栄えある蘇り第一陣だなんて言わないよな?」
「残念だが、その可能性が高そうだ」
自身の見解を肯定されてこんなにも嬉しくないことがあるだろうか。思わず膝をつきうなだれる。
「何してんだ。こんなとこで」
ゼノの友人、スタンリーまでいる。科学チートと武力チートの二人がいるなら俺はいらないだろ。なぜ、今、文明のぶもないような今俺を起こしたんだ。
「ゼノ、一個質問がある」
「なんだい?」
首を傾げて、こちらを見下ろすゼノに軽い殺意を覚えながら聞いた。
「機械を多少いじれる程度の俺を今起こす意味あったか?」
「ふむ、君はパソコンを部品から作成できるし、車の修理、改造をしていたことも知っている。バイクも一から作成していたね。その技術力は今我々に必要だろう」
こいつにパソコンを組んでやったことと、こいつの母親の車を修理してやったことが仇となって帰ってきている。
良いことするんじゃなかったな。
「考えたことはないか? 科学があれば賢い人間が衆愚を正しく導き支配することができる、と」
それはそれは悪い顔で聞いてきているがそんなもの答えは決まっている。
「どうでもいい。政治の頂点が誰かなんて。俺のしたいこと、する事は変わらない。機械をいじって金を稼ぐ、それだけだ」
金さえあればどうとでもなるんだ。人の命だってどうとでも。
「…残念だけれどこの世界に通貨という概念はないね亅
「…。金でも掘るか」
原始時代で生きるとは思っていなかったから、信条が機能しない日が来るとはな。
まあ、カネではなくとも価値のある物ならいい。キンでいいか。
ゼノの手腕によりだいぶ復興した。戦闘機は作ったことがなかったから少しわくわくした。メカニックのブロディとは少し話をする間柄になった。
相変わらず、ゼノは野望を果たそうとしているし、スタンリーはゼノをその武力でもって支えている。反乱など起こりそうもないし、起こす派閥もない。ゼノの一強だ。
それこそ、ゼノが人類を支配するのを止めるのは外部から同程度の科学力を持つ、平和的思想の人間か、圧倒的武力のどちらかでしか成し得ないだろう。
そんな都合の良い話はない。
まあ、一説によると優秀な独裁者が民のための政治をする国はユートピアと違いないという。優秀な科学者が衆愚を賢く支配する国は、ユートピアと成り得るのだろうか。
三度生きていても、できることは少ない。今は20そこそこの青年がこれ以上道を踏み外さないように見守ることしかすることがない。知っている顔が革命を起こされて処刑なんてことになったら気分が悪い。そうならないように手助けをしよう。この男の独裁以外に道がないのなら、優秀なこの男の手足になるしかないのだから。
機械に通じていること、モールス信号ができること、信頼に足ること、ほかにも幾つかある条件を達成しているため、通信機器を管理する権限を与えられている。
機械のメンテナンス以外ではする事もなく、海も眺められないこの立地では空を見るしかない。
あまりの暇さに通信機器のメンテナンスを毎日するようになった。
通信するにしてもスタンリーたちが外に行くときの通信用程度でしか使用することがないため、通信機器をおいている部屋に人が来ることはほぼなかった。
だから、日本からはるばるアメリカまでやってきた少年科学団とゼノ科学王国が接敵したときもその場にいたのだ。
「良いのか? その口振りだと親しかったんだろ?」
通信を終えたゼノは俺を見た。
「科学者は僕一人で十分だ」
覚悟が決まった男の顔だった。
…何を言っても意味がないな。目的のためなら人を殺す決断ができる男だ。そして、その命令を受けた男も人を殺せる男だ。
確実にその千空も狙撃されるだろう。
狙撃されて死なないほどの強運の持ち主なら、こいつを止めれるだろう。
もし、千空がそうならば…。
狙撃後の夜、一人で通信機器の前に立つ。
深夜のこの時間には見張りしか起きていない。
その見張りも外部の警戒要因で内部を警戒する人はいない。
だからこそ、今、外部を警戒し、内部に目を向けていない今、ゼノに相対している彼らに聞きたいことがあったのだ。
今日の通信に彼らが反応し、期待する答えがもらえるのなら俺はゼノを裏切る。
期待外の返答の場合は、責任を持ってゼノを世界の支配者として支持する。その先が地獄だとしても、どこまでも付き合う。
覚悟は決めた。後は天命に任せるだけだ。
通信機器を起動する。
一秒、二秒、…ッ。誰かが出た。
「こんばんわ、少年科学団。俺はリアム・ウォード。こちらではどういう役割をしているかはそちらにいるルーナに聞いてもらえれば分かるから省略させてもらう」
カルロスとマックスどちらもこの拠点に帰ってきていないということは、ルーナは少年科学団に取り残されている。どういう扱いを受けているかは知らないが、一応医学生だったのだから、悪いようにはされていないだろう。
「…フウン。貴様がどういう意図でこちらに繋いできたのか検討つかんが、こんな夜中に通信してきたということは、仲間に聞かれたくない内容だろう! 違うか?」
話が早いタイプで助かる。いくら内側に目を向けている者がいないにしても長々と通信機を使うことで、不信感を与える可能性がある。大抵メンテナンスでも5分かからないのだから、その時間が限度だろう。
「その通り。聞きたいことは二つある。千空は生きているのか、もう一つは、君たちのスタンスについてだ」
すぐに返答はなく、数秒間が空いた。
「貴様は、ゼノに不満を抱いている。だから、こちらに寝返るに値する情報を知りたい。というわけか?」
頭の回転が速く、話に無駄がない。完全に俺の意図を察されているし、腹芸をする意味もない。
「あんたの考えてるとおりだ。俺からするとゼノの考えには賛同できない。だから、そちらさんの考えを知りたい」
「千空の考えは、全人類を復活させる、石化の現況を突き止めるの二点につきるな。奴はその科学でどうこうする気はない。科学にしか興味のない奴だからな」
「一つだけ良いか。君は誰だ」
「俺はこの船の船長だ」
通信機器越しの彼の話をすべて信用することはできないが、リーダー足りそうな人物が2名以上いる状態なことは確実だ。科学者の千空と今話している船長の彼。話しぶりからしても人の前に立つタイプの雰囲気を醸し出している。
千空がゼノタイプなら、コミュニティの管理がしにくくなる彼のようなタイプを捨て置くことはしないだろう。
今はなしている彼自身が、千空のスタンスの信憑性を高めてくれている。
「君たちのスタンスは分かった。俺は今からをもって、君達に付こう。俺の夢は隠居なのでな。ゼノのところではいつまで経っても目的は達成されない。君たちは全人類を起こして前時代を復活させようとしている。俺一人抜けたところで問題なさそうだ」
すべての人間を起こすことに問題がないとはいえないが、神ではないのだから選別などできるわけもない。
「君たちは今後どうするつもりだ? ゼノを言葉で説得することはできないし、千空を狙撃したスタンリーは優秀な軍人だ。武器も持っているのだから、万に一つも勝てる確率はない」
「勝つ必要がないとしたら」
「…は? 何を」
「それ以上は貴様が本当にこちらに付くと信用できなければ話せない内容だ。これ以上話すことはない」
「…わかった。有意義な通信だった。ありがとう」
勝つ必要がない。
全く持って意味が分からない。だが、勝算はあるのだろう。千空も恐らく生きている。何をするのかは分からないから、後はなるようにしかならないだろう。
シャーロットが戦闘機に乗る前の最後の点検だ。
「最高の状態に仕上げてある」
シャーロットは俺に目線を向けた後、戦闘機に乗り込み、飛び立った。
今日ことは動くのだろう。どうなるかは分からないが、ひとまずゼノの様子を見に行くとしよう。
何だか周囲が騒がしい。もう決着は付いてしまったのか?
はやる気持ちを抑えながらゼノの元へ向かう。
「おお、来たのかリアム。スタンが少年科学団の元に着いた。もう決着は決まったようなものだ」
「そうか」
こちらが最高戦力を船に差し向けたように、彼らもこちらに最高戦力を送っている可能性はないのか?
「チェックメイトじゃあないか!」
ゼノが興奮して言った後、見知らぬ青年が巨大な剣をゼノに突きつけた。
こちらもチェックメイトか。
「…僕の思い違いでなければ、リアム、君も武術の心得があったはずだが」
「ないとはいえないけど、刃物突きつけられてる人質がいるし。第一、おまえが千空を狙撃させた夜から俺はおまえを裏切ってるから、手は貸さないぞ」
「…は?」
ゼノがこの後はどうなるかは知らない。だが、彼らは返り血を浴びていないし、ここまでの奴らを殺してきていないのだから、殺されることはないだろう。
「当分お別れか? ゼノ」
「ハ! 貴様がリアムか。龍水から可能なら貴様も連れて来いと言われているのでな。付いてきてもらうぞ」
「…ん?」
言うや否や長髪の青年に抱えられる。
明らかに残った方が隠居に近づくだろう。青年の腹めがけて装着していたナックルを振ったが、拳が握られる。
「大人しくしておいた方がいい。縛られたくはないだろう」
あり得ないほどの握力とぶれない体感、俺では到底適わない強者だ。万が一拘束から逃れられても逃げ切ることは出来ないだろう。
「ああ、力量の差がよく分かった。今後は大人しくしておくさ」
体から力を抜いた。なるようにしかならない。今更俺に何かできることはない。
力つきたので、書きたかったところを
これほどの量の石化装置が存在しているとは思ってもみなかった。
大量の兵器を作っているのなら俺が知っているはずだ。この規模の量となると大国でないと不可能だ。アメリカ、ロシア、中国、ヨーロッパの政府、軍のハッキングは逐一していたし、鉄、鋼、銅等の鉱物の移動にも目を光らせていた。
俺が知らないはずがない。知っているべきなんだ。
「リアム。どうしたんだい、体調が悪そうだが」
「あり得ない! これだけの物を旧時代で作れたはずがない!」
「なぜだ? もしかしたら、どこかの国が兵器で作っていた可能性が現状一番高いだろう」
「それがあり得ないんだ! すべての国の政府機関、軍機関、特殊機関すべてをリアルタイムでハッキングしてAIに管理させていたんだ! 武器、戦車、戦闘機等の製作案以上の金属の取り扱いはどの国もなかった! 無からこんな構造物大量に湧いて出てくるわけがないんだよ!」
自身の目での情報チェックは週一でやっていた。見逃すとまずい情報が出る可能性を考慮してハッキングAIと情報管理AIを作成してリアルタイムで監視させていた。俺の作ったAIに対処できるほどの能力が2016年の各国にあるわけがない。
「あー。だいぶやべえことゲロってっけどいいのか」
「…今そんなことどうでもいい。俺が知らないところでこんな物が大量に作られていることの方が問題だ。ネットに上がっている兵器の情報はすべて管理していたのになぜこんなものが」
材料の観点からしてありえない。なぜだ。どこからこんな物が。それこそ宇宙人からの侵略とかか?
それこそあり得ない。石化させた後に何もしてこないのはあまりにも不自然だ。
「前々から君の機械の才能はエレガントだと思っていたが、僕の予想の遙か上だったとはね」
一人ご満悦の男はその顔に満面の笑みを浮かべて俺を見ていた。
リアム・ウォード
三度目の人生を謳歌中
前世が波瀾万丈だったため、燃えつき症候群気味ではあるが、
やるべき目的がある今は何とか動けている
復興が完了した暁には元来の目的である隠居生活を送る予定
前世の時の名前は准
金を稼ぐ天才の兄と共に犯罪組織に所属していた。
その頃は機械類、武器の売買、整備等を担当していた。
十代の頃は不良、二十代はヤクザと腕っ節に多少の心得はある。
双子の兄を庇い、そのときの怪我で死亡した。





















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