酒寄研究所、そこは数多のブレイクスルーを引き起こし設立から10年も経たない内に殆ど人間と遜色のない義体を作り上げるといった快挙を成し遂げた不思議な研究所。
そんなすごすご研究所の一般研究員である筈の私は……
「それでね!彩葉ってば『あそぼー』って不器用に誘ってくれてね!それはもうちょー可愛かったの!」
「所長がそんな可愛い誘い方してたんですかー?」
何故か子守りをさせられていた。
「そう!そうなんだよ!いつも皆には私、クールですから(キラッ)みたいなオーラ出してるけど、普段の彩葉は超可愛いの!」
このハイテンションで所長の対外的イメージをぶち壊しまくってるのはかぐやちゃん。
10年程前にたったの2ヶ月ぐらいで超人気ライバーの階段を駆け上がり、爆速で引退していった破天荒ガール張本人。
この研究所で作った義体の身体で、今日も元気いっぱいですよ。
最近復活ライブをしてました。超良かったです。
「褒めると満更でも無さそうに照れちゃったりしてさぁ!」
「そうなんですねー」
と、まぁこんな感じでかれこれ3時間ぐらい所長の良い所だったり惚気だったりを聞かされ続けてます。
一応私『かぐや』のファンではあるんですが、それがあまり仕事に影響しない様にこの子の事は『かぐやちゃん』として接しているんです。
つまり何が言いたいかというと……流石に疲れて来ましたー。
親戚の子供の止まらないマシンガントークを3時間ぐらい受け続けている感じですねー。
「そんで花火が上がってる時に手を握ろうとしたら手首をキュッと引き寄せてくれてもう!メロメロになっちゃうよね!あれはもうメロ葉だよメロ葉!」
「そうなんですかー」
所長、時間的にそろそろ帰ってくるはずなんですけどねー。
大事な会議とはいえ今までの傾向的にそこまで長引く事は無いはず……。
あ、所長っていうのはこの子の保護者、つまり今過去の出来事暴露大会開催中の酒寄彩葉所長こといろpですね。
『かぐや』のプロデューサーで、『かぐや』引退後はあのツクヨミ管理人の『月見ヤチヨ』とコラボしたりして一時期乗り換えたのか?とか思われてたりしてましたが、10年後に全身義体の開発者として名を上げてすぐに『かぐや』復活ライブを果たしたヤベー人です。
そんで今はこの木っ端研究員に子守りを任せて重要な会議に行ってる人です。
まぁ上からの命令ですしー?「ーーさん器用だから何かあった時の調整とかの為に残ってくれると凄い助かるの!お願い!」とか言われたらやるしか無いんですけどねー。
「んでそれはもう群がる敵をバッタバッタと薙ぎ倒してかぐやを守ろうとしてくれたの!あれは惚れるね!惚れた!」
「バッタさんですかー」
適当に返事をしているとドアの向こうで足音が聞こえてきました。
どうやら帰ってきたようですねー。
「その時かぐやは違う姿だったんだけどね!彩葉ったら『全部聞かせて』って!全米が泣くレベルの口説き文句だよ!」
「お米ですねー」
……どうしてドアの前で立ち止まってるんです?
おーい?所長ー?早くこの破天荒長話ガール引き取って欲しいんですけどー?
まぁそんな事思ってても扉が開く訳が無く……さてはかぐやちゃんの所長語りに照れて入ってきにくくなってますね?
そこに立ってちゃ他の研究員が入れないじゃないですかって考えたんですけども、今日は皆会議終わったら帰る予定でした。
流石酒寄研究所、ホワイトですね。私にもホワイトで居て欲しい。
はてさてどうしましょう、このままだともう3時間ぐらい語られてしまいそうですねー……ふむ?
あっそうだ。
「それでかぐやを抱きしめてくれてね!『かぐやと居たい……』って!もう世界中がスタンディングオベーションって感じで!」
「そうなんですかー、流石は酒寄所長ですねー」
「でしょ!それでね」
「あー、かぐやちゃんから色んな所長の1面を聞いてるとですねー」
「何だか所長の事、”好き”になって来ちゃったかもですねー」
遊んじゃおう。
「え゛っ」
「いやー、よくよく考えなくても所長って顔が良いじゃないですかー、だからわりと人気高いんですよー」
「それにさっきの話を聞いてると普段はツンデレ属性まで兼ね備えてると……素晴らしいですね」
「ツンデレがデレる瞬間程可愛らしい物はないですからねー。私も生で見たかったですー」
「えっちょっ」
どうして顔が引きつっているんでしょうねー?
私はただ先程かぐやちゃんが褒め倒してたのと同じように褒めてるだけなのに?
「普段は清楚で完璧超人が歩いてるかの様な所長がプライベートではそんなお可愛らしい姿に……最高ですよねー?」
「あ、そういえば所長ってまだ独身でしたねー」
「い、彩葉は……」
「それならいっその事私が……」
「彩葉はかぐやのだもん!!!」
……あー!これ!これですよ!
この美少女の嫉妬満載の瞳!堪らないと思いません!?
普段天真爛漫の少女が恋敵に見せる独占欲!これに勝るものはありませんよ!
それに見てくださいよ!この潤んだ瞳!
大切な人を盗られそうになって震えているこの細身!
嗚呼!最っ高!
……おっと、いけないいけない。
もう1つの目的も果たさなくちゃですねー。
「らしいですよー?所長ー」
「えっ?」
「……悪趣味も程々にしといた方がいいと思うよ?その内刺されそう」
「い゛ろ゛は゛ぁ゛!」
「性分ですのでー♪」
嫉妬心を揺さぶれられた後の本人への突撃!
感情ごちゃ混ぜのまま自分でも何で抱きついてるのか分からずというか考えずに抱きしめてるかぐやちゃんと聞いてたから顛末は分かってるし呆れてもいるけどそれはそれとして抱きしめられて嬉しい所長……これは絵になりますねー。
「い゛ろ゛は゛は゛わ゛た゛さ゛な゛い゛も゛ん゛!」
「はいはい、あれは揶揄われてるだけだって」
「目が本気だったもん!ハイライト無かったもん!」
「あの人元々ないでしょ」
あ~!!!!!!!
ギャン泣きで嫉妬するかぐやちゃん可愛い~!!!!
もうこの光景思い出すだけで白飯が5杯はいけますねー!
と、まぁその後ギャン泣きのかぐやちゃんをあやしながら2人は帰っていったのでした。
とても良いものを見れました♡
これは余談なんですが、翌日何故かタスクが2倍に増えてました?
何ででしょうね?






















思った以上のバケモンだった 嫉妬心を喰らう怪物がよ…