前提
超かぐや姫!の本編後の二次創作。YC型の完成を目指す話で、主人公はオリキャラです。
◆
最近話題の酒寄博士が所長を務める研究所。
私がそこに勤めることになったのは、恩師の紹介と、いくつかの偶然が重なった結果だった。
「正直なんで私が……って思うけど……でも、チャンスは掴まなきゃ……!」
気合を入れて、支給された新しい白衣の襟を正し、案内された「仕事部屋」だという扉を開く。
第一印象が大事だ。ここは元気よく行こう。
「失礼します!」
「うぅぇぇ……ヤチヨぉぉぉ……やっぱり無理だよぉぉぉ……」
小さい女の子に抱き付く成人女性が部屋の中にいた。
大変、通報しなきゃ。
「大丈夫だよぉいりょは。いりょはも忙しいんだかりゃ、やちょに構ってばかりじゃ駄目でしょ?」
「わ、私がいなくて寂しくない……? 大丈夫……? うぅ、やっぱりこのまま私が……」
どうやら女の子とこのロリコンは知り合いのようだ。
抱き付かれている女の子は、年齢にして六歳くらいだろうか。
銀色の髪をツインテールにまとめ、大きな瞳をパチパチと瞬かせている。
服装は、体に対して少し大きめな患者衣。
抱き付いている方は……
「……ん? 今、いりょはって……いろは……? もしかして酒寄彩葉……?」
まさかそんなことは無いと思いつつ、この研究所の所長の名前を口にする。
すると、屈みこんでいたロリコンが立ち上がり、振り返った。
そこにいたのは、件の酒寄所長だった。
「あ、ごめん、お見苦しいところを……これ、引継ぎ資料」
「え? あ、は、はい!?」
ぽん、と手渡された物凄い分厚い資料の束。
え、私、酒寄所長の研究を引き継ぐの!?
「……あれ?」
手渡された資料が、その場から動かない。
酒寄所長が手を離さないからだ。
「これを渡したら……ヤチヨが……ヤチヨがぁぁぁ……」
また泣き出した。
なんなのこの所長、と思っていたら、背後の扉が勢い良く開く。
「彩葉発見! 確保ー!」
入って来たのは金髪の少女と二機のドローン。
ドローン同士は縄で繋がっていて、酒寄所長に突撃したと思ったら周りを旋回し、一瞬でお縄にしてしまった。
「ほら行くよ! 五分後に会議! あ、新人さんだね! ごめん、ヤチヨ任せた!」
「ヤチヨぉぉぉ……」
絡めとった縄をドローンから外して自分の手で持ち、酒寄所長を引きずっていく金髪の少女。
私は何を任されたのか分からぬまま、分厚い書類とヤチヨなる少女と共に「仕事部屋」に取り残された。
◆
「つまり、私は貴方のお世話をする仕事を任された、ってことでいいのかな?」
「そうなのです」
膨大すぎる資料を遠い目で読み始めた私に救いの手を差し伸べてくれたのは、まさかの少女……ヤチヨちゃんだった。
彼女の体は、なんとこの研究所で開発されたアバターボディなる発明品らしい。
私は義体の研究に興味を持って来た口だったため、それはそれは驚いた。
人間にしか見えない。
と言うか今の今まで人間だと思っていた。
で、そんな人類の英知の結晶ヤチヨちゃんのお世話をするのが、私の仕事……?
資料によると、ヤチヨちゃんの体は未完成らしく、「適合率」を上げる必要があるとのこと。
「やちょとしてはまだまだ赤ちゃんなのですー」
とヤチヨちゃん談。
最終目標は十七歳の体に人格を入れることとある。
なんでも、肉体を持ったことの無い人格を急にそんな大きな体に入れたら適合しないらしく、赤ちゃんから慣らす必要があるとのこと。
これまで、新生児、一歳、三歳と少しずつ人格を肉体に慣らしていったらしい。
で、この六歳の体に入ってから適合率が伸び悩み、これ以上付きっ切りでお世話するのが難しくなった……いや、周りから引っぺがされた?酒寄所長の代わりに、新人の私が担当することになったとのこと。
(……アバターボディってことは、人格はプログラムじゃなくて人間……だよね?)
それなのに、赤ちゃんから成長させるとはどういうことなのだろうか。
それとも、この子の人格はプログラム?
まさか、本物の赤ちゃんの人格を使っている……?
うーん……考えたらキリが無さそうなので、一旦その思考は止めた。
「具体的に、私は何をすればいいの? 適合率……っていうのは、どうやって上げるのかな」
「それがぁ、やちょにも分からないんだぁ。だから何をしたら上がるのか調査から。あ、あと……資料の九十ページを見てもりゃえると……」
赤面したヤチヨちゃんに促されて資料をめくる。
そこには、食道器官、消化器官、排泄器官を正常に動かす脳波信号及び肉体制御が未熟なため補助が必要とある。
要約すると、食事とトイレの世話もしろってことだね。
「なるほどマジか……」
「お願いしまー」
ヤチヨちゃんは丁寧に頭を下げ……頭の重みででんぐり返ししてしまった。
えへへーと笑ってごまかしている。
うわー、可愛い。
これはプログラミングされた行動?
それとも自己学習した好かれるための行為?
うーむ、可愛いと言うことしか分からない。
まぁ、可愛いから、いっか。
ともあれ、これが私のこの研究所での最初の仕事だった。
現在の適合率 5%





















何このかわいい生き物……