友だちにこれ書いてと言われてまた書いたドクスト夢です。転載、荒らし、誹謗中傷はやめてください。
・捏造過多
・北米編からスタート
・主人公がスタンリーの弟子
以上、大丈夫な方はどうぞ→
その日、私は父と共にアメリカを訪れていた。何でも、アメリカ軍に所属している親友が任務中に怪我を負ったらしく、お見舞いのためアメリカに行くことになったのだ。
けど、それだけなら私は行く必要はないだろう。だって、私は先方と面識がない。父から話を聞くことはあるが、それだけだ。
それを父に言ったら、返ってきたのは「俺の娘は世界一可愛いだろって自慢したいから」という心底どうでもいいし何なら少し軽蔑する答えだった。
普通入院中の親友に娘の自慢をしに行く?それお見舞いでもなんでもないし、むしろストレスかけて相手を怒らせるだけだよ。我が父ながら、中々にぶっ飛んでるな。
なんて、思っていた時もありました。
さすが自由の国アメリカで育った人間。
父の唐突な訪問兼自慢話に怒るどころか、自分の息子自慢をぶっ込んできやがった。
そんな感じで始まったお互いの子どもの自慢話。
最初は「俺の娘はあーでこーで」「私の息子はね、これがあーで」と言っていたのが次第に白熱していき、現在は「俺の娘の方が!」「私の息子の方が!」とお互いの胸倉を掴み合って言い合いを始めた。
それを死んだ目で見ていると、後から病室に来た父の親友の息子が連れ出してくれた。
「あの、連れ出してくれてありがとうございました」
拙い英語で御礼を述べたところ、青年は驚いた目で私を見た。たぶん、私は英語を喋れないと思っていたんだと思う。
まあ、私が英語を話せるのは、これからは英語も必要になってくるぞ!と宣う父から英会話教室に通わせられているからなんだけどね。今だけは父に感謝。
私が英語を話せると理解した青年は、子どもが苦手なことを必死に隠しつつ、父の親友の娘だからと気を遣って話しかけてくれた。それだけでなく、病院内にあるコンビニでアイスまで買ってくれた。しかも私の好きなイチゴ味。(見た目も相まって一瞬だけ青年が王子様に見えたのは内緒だ。)
それを有り難く感じながら会話を続け、途中でトイレに行きたくなり、断りをいれて向かった帰り道。少し離れた所で騒ぎ声が聞こえた。そちらに目を向けたら、全長2mはあるであろう2匹の鷲に囲まれている私より少し年下の男の子がいた。
鷲はその大きな翼を生かし、バッサバッサと体を左右前後に揺らしながら男の子の周りを飛んでいる。男の子は必死になって周りの大人たちに助けてと叫ぶが、肝心の大人たちは助けたくても鷲が怖くて近寄れないようだ。
少年の泣き声が大きくなる。それに伴って鷲の威嚇するような、攻撃的な羽音も大きくなった。
流石にヤバイと思った私は、近くにあった非常階段を駆け上がった。鷲を狙える距離と高さがある位置につくと、内ポケットから父から護身用にと預かっていた小型のハンドガンを取り出し構える。
ハンドガンと言っても、中身はただよく飛ぶだけのBB弾だ。もちろん、当たったらめっちゃ痛い。
「ふうーーー........」
息を吐いて呼吸を整える。少しでも手元が狂えば周りの人に当たってしまう。それだけは絶対に避けたいため、目を瞑って精神統一を図る。
(大丈夫。普段扱ってる弓矢がハンドガンになっただけだ。いつも通りに、現在の温湿度と風の強さ、向き、それによって変わる速さ....これだと弾速だな。となると、弾にかかる空気抵抗、スピンドリフトも計算に入れて....)←この間1秒
動く的を狙うのはこれで2回目だ。1回目は幼馴染みの実験道具を咥えて逃走した野良犬に、先を潰した矢を当てた時。(もちろん、犬に当てたんじゃなく、口に咥えられている実験道具に当てた。幼馴染みには後で怒られた。)初手を外して3回目でやっと当てたんだっけな。その時初めて動く的に当てる難しさを知った。
──そして今。
実戦というわけでもないが、1回目よりも速く動く的、もとい鷲を撃つ。
緊張からカタカタと震える手。これでは標的が定まらない。一旦心を落ち着かせようと深呼吸をしたとき、後ろから「当てんならもう少し左に寄んな」と声が聞こえた。驚いて後ろを振り向けば、そこにはいつの間にか青年が立っていた。
フリーズする私に構わず傍に来た青年。私の肩を持つと、鷲を見据えながら耳元でゆっくり丁寧にコツを教えてくれた。
「そのハンドガン、中身はBB弾だろ。普通の弾なら今の位置でいいけどよ、BB弾だと軽いから今日の風だと右に流れやすい。だからもう少し左に寄んな。あと、訓練していない女、それも子どもじゃ引き金を引いた時に反動で手元がぶれっかんね。両手で引き金を引くよりも、片手は引き金を引く手に添えな。そんだけでぶれ防止になるし、命中率が上がんよ」
「!は、はいっ!!」
何でそんなに詳しいのか聞きたかったけど、今は目の前にある命を助けるために、言われた通りに動く。
大きな深呼吸を一つ。思い出すは、野良犬に矢を当てたときのこと。
動く的に当てるのは難しい。でも、対象の動きには必ずパターンがある。野良犬だって、ただ闇雲に動き回ってるわけじゃなかった。
「撃つタイミングは分かんな?」
「はい。二匹が重なった瞬間を狙います。その方が照準を合わせるために動く時間や、取り逃がす確率も減るから」
「That's rights」
青年にぽんっと頭を撫でられた。少しドキッとしたけど、目の前の標的に集中しなきゃだから動揺を悟られないように前だけを見つめる。
「来るぞ。3、2、1....」
「(──今!!)」
耳元で聞こえたカウント。それに合わせるように引き金を引いた。
─パンッ パンッ
「ギャウッ」「グキャッ」
「!やったっっ!!」
BB弾は無事命中。二匹の鷲は何が起こったか分かっていないようだが、あまりの痛さに怖くなったのか逃げていった。
「え、なにがおこったの?」
「君!大丈夫かいっ?助けに行けなくてすまなかった。すぐに手当てを────」
何が起こったのか分かっていないのは人間の方もだったようだ。キョロキョロとする男の子のもとに見ているだけだった大人たちが駆け寄っていく。
「銃声は周りの騒音に掻き消されたんだろ。何が起こったのかまるで分かんねえって面してんね、あの坊主」
「ひとまず、あの子が無事でよかったです....」
けらけら笑う青年を横目に、脱力するように塀を背にしゃがみこむ。すると、隣に青年が同じように座り込み、今度はよくやった!と言わんばかりに髪をぐしゃぐしゃにされた。
「やんじゃん!初めて銃撃ったんだろ?にしては上出来だぜ。めでたいね。あんた、スナイパーの素質あんよ」
「えっと、確かに銃は初めてなんですけど、弓道....あー、海外だとアーチェリーになるのかな?とりあえず、それと似た武道を嗜んでいるので、その影響もあるかと....」
「へえ!弓道か。聞いたことあんぜ。確か、ジャパンのデントーブドウとか言うやつだろ?ゼノが言ってたわ」
「伝統武道....まあ、伝統といえば伝統になるのかな?古代からあるし....」
「つーことは、あんたはSAMURAIってことになんのか?Japanese last SAMURAI!」
「待って。それは何か違う気がする」
思わずストップをかける。海外の人って、何でか分からないけど日本に変な夢を持った人が多くない?北欧とかに行くと、日本には今でも忍者や侍がいると信じてる人もいるらしいし....この人もそうなのかな?
考え込む私を他所に、青年はどんどん話を進めていく。話を半分も聞いていなかった私は、「んじゃ、そういうことでいいか?」という青年の問いに、条件反射で「あ、はい!」と返事をしてしまった。
すぐに失言に気付いて慌てて取り消そうとするも後の祭り。
私の返事を聞いた青年は楽しそうに笑った。
「うしっ!絶対だかんね。約束破んなよ。あんたの父親には俺の親父を通して改めて連絡すっから、明日の8時、泊まってるホテルの入口で待っときな」
「え」
「あんたにはスナイパーの素質がある。それも特大の光る原石だ。弟子とかは取んねえ主義だったが、このままあんたが埋もれんのは惜しい。なら、俺自らの手で磨くしかねーじゃん?」
「ちょ、ま、」
「つーわけだ。こっちにいる間、俺が扱いてやんよ」
「いやで、むぐっ」
反論しようとしたら両頬を大きな手で掴まれ、無理やり上を向かされた。
バチッと合う視線。
逃がす気はないと暗に伝えてくるその眼は、鋭くギラギラしている。今の私の気持ちを表すなら蛇に睨まれた蛙がピッタリだろう。
でも、どんなに怖くても視線だけは絶対に逸らさない。逸らしてたまるかっ。だって、逸らしたら何か負けた気がするじゃないか。
そんな思いだけでジッと見ること数秒。青年は「へえ....」と薄く笑い、今更な自己紹介をした。
「取り敢えず、お互いの名前を知らないっつーのも変だし、ここらで自己紹介しとくかね。
俺の名前は──────
「ーーい、おい奏音!何ボーッとしてんだ!狙撃が来るぞ!」
「、あ」
危ない。一瞬だけ意識が過去に飛んでた。
千空に引っ張られなかったら今頃蜂の巣になっていただろう。戦闘中だというのに、とんだ失態だ。
けど、無意識に過去を思い出してしまうほど。今、私たちの上を舞う飛行機の飛行テクニックや先程の狙撃には見覚えがあった。
....いや、見覚えがありすぎるんだ。嫌なほどに。
「ーーっっ」
「!?奏音っ、馬鹿!危ねえっっ」
私の前にいる千空を押し退け、両手を広げながら船頭に立つ。
少し視線を上にあげれば、太陽を背にこちらへ向かってくる原始の飛行機と、そこから身を少し乗り出してマシンガンを片手に構える不気味なマスクをした人間が視界に入った。
─原始の飛行機で安定した飛行テクニック
─片手で操縦しながらの的確なショット
そんな、普通ならできっこないことを平然とやってのける人なんて、私は一人しか知らない。
....ううん。一人"しか"じゃない。一人"だけ"なんだ。
この石世界で、石化を自力で解けて且つそんなことをやってのける人は、
「狙撃を止めてっっ!!スタンリー師匠!!」
──私の師匠、スタンリー・スナイダーだけだ。
**
結果的に言うと、狙撃は止んだ。
私が身を挺してと言ったらあれだが、叫んだ声が届いたのか、師匠は飛行機を直前で旋回。
暫く上空を飛行したあと、飛んできた方向へと帰っていった。
もちろん、私は皆に説教された。特に千空からの説教が怖かった。身を挺して守られても全然嬉しかねーんだよ!!と怒鳴られた時は流石に泣きそうになったなあ。まあ、命を捨てるために飛び出したんじゃないってことは理解してもらえたからいいとしよう。
問題は、皆からしてみれば敵も同然な人間と私が、知り合いどころか師弟関係にあることが判明したことだ。
有り難いことに、皆は私が先方に寝返るとか繋がってるとは思っていないようだ。....それだけは、本当に嬉しかった。皆にちゃんと信用信頼してもらってるってことだから。
取り敢えず、師匠に関する情報を皆と共有しておかなければ。
「──ってわけで、さっきのパイロットは旧世界で私に狙撃の仕方や体術、サバイバル知識、作戦の練り方、隊の動かし方といった軍に必要な知識を叩き込んだアメリカ軍海兵隊、もとい特殊部隊のプロのスナイパーなの。ちなみに、隊長でもあるよ。
正直、撃ち合いになったら勝てるとは思わない方がいい。師匠とサバゲーで何度も勝負してるけど、私の勝率は3割きってるからね。やっぱ経験には勝てないわ」
「ふうん。スタンリーと言ったか?奏音。貴様がそう言うなら、奴は貴様以上の腕ということになる。──いいな!ほしい!」
「奏音の狙撃の腕がプロと遜色ない理由が漸く分かったよ。....うん。プロのスナイパー仕込みなら、狙った的を外さないのも頷ける」
「あ"ー本当にな。俺もずっと疑問だったんだよ。何で弓道しかやっていないお前がコハク並みに体術ができんのかとか、宝島で作ったピストルを誰よりも上手く扱って且つ百発百中なのか、ってな」
....あー、これはもしかしなくとも、
「千空、まだ怒ってる....?」
「別に怒ってねえよ。ただ、子どもの頃からずっと一緒にいたはずの俺に、今日までその事を言わなかったのは何でだって思ってるだけだ」
「怒ってるじゃん~....」
「だ・か・ら!怒ってねえっ!」
「嘘!怒ってるよ!」
「怒ってねえ!」
ぎゃあぎゃあ。ぎゃあぎゃあ。
ペルセウスの甲板の上で久しぶりの大喧嘩をする。それを止めたのはいつも通り大樹だった。大樹の馬鹿力で吹っ飛ばされた私と千空は、それぞれ仲間にキャッチされ、少し冷えた頭でこれからのことを話し始めた。
「で、これからどうするかなんだけど、」
「....まあ、100億%、」
「「私/お前が交渉人として本拠地に赴くのがベストだよね/だろ」」
そう言いきると同時に合わさった視線。お互いに苦笑いを浮かべると、文句を言いたげな皆に向き直った。
「皆には悪いけど、これが最善策だよ」
「理由は言わずとも分かんだろ?」
「....スタンリーは攻撃体勢に入ってたにも関わらず、先頭に立って叫んだ奏音を認めた途端、旋回して帰っていった。....うん。それは、少なくともスタンリー自身には奏音を殺すつもりはないということだね」
「だから貴様自身が赴くことで敵と交渉を図るのだろう?恐らく、というよりほぼ確実に!スタンリーは敵の攻撃部隊の隊長だろう。部下が隊長の命に背くはずがない。つまり、貴様はトップから殺害命令が下されない限り、殺されることはないということだ!違うか!?」
「いや、違わないよ。流石だね、司、龍水」
相変わらずの洞察力に感服する。両手を叩いて敬意を表したいよ。
──まあ、そんな暇はないみたいだけど。
「!レーダーに大きな物体を確認!こっちに近付いてくる....!」
「あー....こっちから行く前に向こうから来ちゃったみたいだね」
羽京の警告を聞き、引き攣る口元をそのままに後ろを振り返る。
遠目にだけど、ペルセウス号より小さめの船がこちらに接近しているのが見えた(視力10.0)。
どう考えても、あの船は師匠側の船だろう。師匠が着けていた不気味なマスクを着けている集団が甲板に集まっているしね。んで、その真ん中に立っているのが師匠だ。あの人の背格好を私が間違えるはずない。
なぜなら、長期休暇の度にアメリカに呼び出され、射撃の特訓という名の鬼レベルの扱きや、時々海兵隊が開いている『お試し入隊』という名の肉体強化訓練をさせられていたからだ。私は嫌だと言っているのに無理矢理連れていくんだよ?嫌でも覚えるわ!
「奏音。あれは....」
「うん。師匠たちだね。バッチリ武装してますな」
「何を呑気なことを言ってるんですか。貴女は後ろに下がっていなさい」
「うん。無理かな!」
「あっ、こら!」
「こっっっ......!!!」
ぶはっ!ひょ、氷月が、あの氷月がこらって....!ちょ、無理っ....お腹捩れそう....!
氷月の手を躱し、必死に笑いを堪えながら甲板へ向かう。いつの間にか敵船は距離を縮めており、目前まで残り400mといったところまで近付いていた。
私の隣には千空と司。後ろには私をすぐに庇えるようにか、龍水、羽京、大樹、追い付いた氷月が控えている。そこまで厳重にしなくてもいいのに....。
「奏音。一応聞いておくけど、君を交渉人として差し出すとして、成功する確率はどれくらいだい?」
「んー五分五分かな。師匠は無闇に人を殺すことはしない。軍人だから、上からそういった指示が下されない限りは絶対。現に、もう射程距離内に入ってるのに私たちを撃ってこないでしょ?....でも、それが今だけだとして、交渉が決裂したら殺せって言われてるなら止めようはないかな。その時は私がさっきみたいに制止しても、私諸共殺すよ。師匠はそういう人だ」
「そんな....っ」
羽京の悲しそうな声が耳に届く。彼は誰一人として死なせたくないという強い意志を持っているから、師匠のスタンスが受け入れられないのだろう。
でも、それは仕方のないことだ。
向こうは命令に忠実であれと鍛え上げられたエリート軍人。
一方、私たちは誰も死なせないで全人類を救うことを目標に掲げる少年科学団だ。
前者からすれば、甘い理想を並べ謳う子ども集団にしか見えない。そもそも、心構えからして違うのだ。
でもまあ、師匠たちを束ねるリーダーがあの人ならワンチャンあるかもだし、そっちに期待しよう。
─ギィ....ガタ、ゴトン
ペルセウス号の僅か10m先に敵船が停まった。
皆に緊張感が走る。そんな中、私は一人だけ船頭に向かって歩を進めた。
後ろから羽京を始めとしたみんなの制止する声が聞こえるが、それを司と龍水、千空が止めてくれたため気兼ねなく船頭に立ち、目の前に佇む約3700年ぶりに見る師匠へ声をかけた。
「やっほ、師匠。3700年ぶりの師弟の再会なのに、いつまでそのマスクしてるつもり?石化から復活したときに御自慢の顔面に盛大にヒビが入ったの?」
「......」
「え。黙り?流石に傷付くよ私」
後ろから馬鹿煽んな!って焦る皆の声が聞こえる。でも、今みたいな冗談混じりの挨拶は私と師匠の間では普通のことだから大丈夫。....なんだけど、師匠は黙り。いつもなら「俺をからかう悪い口はこれか?」とか言って、問答無用で顔面鷲掴みしてくるのに。(まあ、手が届く距離じゃないからそれはないだろうけど。)
無反応の師匠が不思議で首を傾げる。
すると、指1本も動かさなかった師匠がやっと動き、不気味なマスクを徐に外した。
「──....あんたは相変わらずだな。敵が誰か分かんねえうちは迂闊に前に出ず、防御と回避に徹しろって教えたじゃんよ。なのに両手広げてマシンガン保持のパイロットの眼前に飛び出すとか....、もう一度躾直さねえといけねぇか?馬鹿弟子」
そんな軽口と共に露になった久々に見る師匠の顔。
目元から鼻にかけてヒビが入ってるが、それすらも師匠の綺麗な顔を引き立てる要素になっている。
....自分で言っててあれだけど、普通にムカつくな。少しは衰えろよちくしょう....なーんてことは心の中でのみ言うとして、今は久しぶりの再会に挨拶をしないとね。
「....久しぶり、師匠。お変わりないようで何よりだよ」
「そりゃこっちの台詞だ馬鹿弟子。3700年経ってんだし、少しは良い女になってんじゃねーかって思ってたんだけどね。相変わらずBaby faceだし、チビのまんまじゃん」
「うっさいですよ。自分はモデルみたいだからって調子乗らないでよね」
「僻みか?」
「忠告ですっ」
「クックック、忠告ねェ。言うじゃん」
せせら笑いをする師匠にムカついて、噛みつくように叫ぶ。それを見た師匠が愉快だと言わんばかりに笑うから、届かない距離なのに殴りたくなる。
だかしかし!!落ち着け私。師匠に翻弄されてばかりじゃ話は進まないばかりか、良いように持っていかれるだけだ。
軽く咳払いをして、師匠を真っ直ぐ見ながら本題へと入る。
「ねえ、師匠。ここに来たってことは、少なからずそっちにも交渉する気があるってことだよね?」
「ああ、あんぜ。けど、それをすんのは"ここ"でじゃねえ」
「....師匠たちの根城に来いってこと?」
「That's rights. うちのボスがさっきから無線越しに騒いでんだよ。奏音を独り占めすんのはエレガントじゃねーってな」
「「!!」」
あら~....ワンチャン期待してたけど、マジで当たっちゃった。
『エレガント』
そんな口癖を持ち、且つ私のことを知ってる人なんて私が知るだけでも一人しかいない。
NASAの叡知、天才科学者Dr.ゼノ。
師匠たちのリーダーは絶対この人だ。
チラリと後ろにいる千空を見れば、千空も師匠たちのリーダーが誰かに気付いたらしい。まあ、そりゃそうか。だってその人、千空の『科学の師匠』だもんね。嬉しいような悔しいような、複雑な顔をする千空の気持ちは痛いほどに分かる。私だって師匠が空から狙撃してきた時「マジかよ嘘だろ!?」ってなったし。
けど、今は過去を思い出している場合じゃない。狙いがどうであれ、師匠たちは私たちの話を聞く姿勢をしてくれている。それを受け入れないわけにはいかないだろう。
後ろに控えている龍水や司たちに「いいかな?」とアイコンタクトを送って、皆が頷いたのを確認し再び師匠を見上げた。
「分かった。師匠たちのところに行くよ。でも、これだけは約束して」
「内容にもよんね」
「別にそんなに難しくないよ。
──私の仲間たちに一切危害を加えないこと。
....ただ、それだけだよ」
「....自分の命よりも仲間の命、ね。相変わらず甘ェな。まあ、ーーはーーーか」
「....?」
小声で何かを呟いた師匠。紫煙を吐くと、脱いだマスクに手を当て、こちらに聞こえない声量で会話を始めた。恐らく、そこに無線が付いてるのだろう。
数秒やり取りして話がついたのか、師匠は「あんたの条件を呑んでやるってよ。船に乗ったまま付いてきな。案内すっから」と言って船内へ戻っていく。
それに続くように部下の人たちも一人、また一人と戻っていき、とうとう敵船の甲板に誰もいなくなった。....これは舐められてると受け取ればいいのかな?
(にしても、案外あっさり承諾したな、師匠とゼノ。何か裏でもあんのかな?)
あの人たちの悪事に何度も巻き込まれた身としては、ちょっと引っ掛かる。
「奏音」
「!千空。どしたの」
「スタンリーたちのリーダーについて話がある。....お前も心当たりあるんだろ」
「あー、うん。たぶん、というか十中八九あの人だろうな~とは思ってる」
「なら話は早ェ。スタンリーたちの本拠地に着く前にもしも対策しておくぞ。龍水たちも待ってるぜ」
千空が向けた視線の先には、確かに龍水や司、氷月、羽京といった頭脳派たちが集まっていた。それ以外のメンバーは船の出航準備に忙しそうにしている。その様子を見るに、全体に告知するのは話がまとまってからということだろう。
千空の言葉に頷き、龍水たちのもとへ向かう。
ここからは私たちの得意なチーム戦だ。ワンプレーでは負けても、これだけは絶対に負けない。絶対師匠たちに勝ってやる。
──さあ、化かし合いの始まりだ。
季月奏音
スタンリーに半ば無理矢理弟子にされた。スタンリーのことは鬼教官と思ってる。『ドキドキ!お試し入隊~海兵隊編~』の訓練には毎年強制的に参加させられており、その度にスタンリーから愛の鞭という名の集中砲火を受けていた。
訓練終了の号令がかかると、いつも一番先にぶっ倒れて医務室に運ばれており、当時では奏音がぶっ倒れる=地獄の訓練終了というのが海兵隊での認識になっていたとか。
千空とは保育園の頃からの幼馴染み。当時から千空に振り回されており、奏音の都合を考えずに付き合わされることから度々大喧嘩することも。
でも、お互いに一番信用信頼できる人間という認識を持っているため、結局いつも傍にいる。
そのせいか、学校では付き合ってるとからかわれることもあり、何故か千空が否定しないため、代わりに奏音が否定している。
ちなみに、奏音は千空の影響を受けまくっており、科学に関しての知識は千空と同等。だから、射撃訓練では頭の中で一瞬で弾道の計算をしている。
スタンリー・スナイダー
世界一の狙撃の腕を持つ最強軍人。奏音の狙撃の師匠でもある。
奏音を無理矢理弟子にしたのは、このまま弓道だけで終わらせるのは惜しいと思ったから。
奏音から若干の苦手意識を持たれていることには気付いてるが、そんなの関係ないとばかりに扱きまくっている。
一応これでも大切に可愛がっているつもりではある。アメリカに来たときのホームステイ先は自分の家にしてるし、訓練が休みの時は水族館や動物園といったテーマパークに連れて行ってる。それに、訓練が終わった後、ぶっ倒れた奏音に滅多に見せない微笑みを浮かべながら「Good girl. 奏音。流石俺の弟子だ」と言って、お姫様抱っこで医務室に運んだりもしてる。
ちなみに、心の中で「俺の弟子は世界一可愛い」と普通に思ってる。それが恋愛感情かは謎。
石神千空
奏音の幼馴染み兼お隣。小さい頃から一緒にいるため距離感バグってる。奏音の隣に自分や幼馴染み以外の誰かがいると、すぐイラッとするぐらいにはバグってる。
自分の科学談義に着いてこれる奏音のことを小さい頃から好ましいと思っていたが、ずっと親愛だと思っていた。しかし、石世界になってから奏音の周りに沢山の人たち、特に男が集まるようになって漸く恋を自覚した。
スタンリーが奏音の師匠であることをこの時初めて知って、奏音がそれを黙っていたことに怒った。自分の知らない奏音がいることが何よりも悔しい。奏音のことは全て把握しておきたいという強めの執着心がある。
七海龍水
奏音をはちゃめちゃに気に入っている御曹司。
奏音の弓矢の腕は勿論、宝島で狙撃を見たとき、必ず俺のものにする!と固く決意した。
1人の女としても気に入っており、時折冗談5割本気5割の告白をしている。その度に奏音からは「ふざけてる暇があるなら手伝え」と言われて、作業を強制的に手伝わされている。それすらも笑って了承するあたり良い男。
獅子王司
千空を殺した時、殺される幻覚を一瞬見るぐらい強い殺気を奏音から受けて、奏音が只者ではないことを理解する。
そしたら今回、奏音が凄腕スナイパー(アメリカ軍のエリート軍人)の弟子であることが判明し、思わず納得した。
それとは別に、奏音のことは一本筋が通った強い女の子と認識しており、戦闘員の訓練前には必ずトレーニング内容の確認を2人で行っている。
戦闘において、背中を預けれるのは氷月と奏音だけだと無意識に思ってるぐらいには、奏音を信用信頼している。
西園寺羽京
奏音のことを手のかかる妹として見ている平和主義者。
スタンリーが奏音を瞳に映したとき、僅かだが獲物を狙うような眼をしたことに気付く。(海自としての勘。)そのため、着いていくことには賛成だが交渉の場には何がなんでも着いていきたいと思っている。
氷月
奏音のお母さん。


























いつまでも続きを待ちますッ…!!待たせてくださいッ!!!!