ヒョンの様子がおかしい。
長年のルームメイトの感が働く。
ヒョンにはいつも笑っていて欲しいのに、こんな顔させるやつは、、、あいつしかいないか。元気ないヒョンにはお砂糖モードを発動させることにする。
「ヒョン、飲みますか。」
とっておきのウィスキーを見せて誘う。
ヒョンはゆっくりとこっちに視線をむけてから、また俯く。
「…んん。ウィスキーより焼酎のがいい。」
「わかりました。そういえば日本のお土産でもらった焼酎あったんで、それ開けますか。」
「んんん。」
やっぱりテンション低い。
どうしたら元気になるかな。
元気のないヒョンを見るのはとても心が痛くて、なんとかしたくて考えをめぐらせる。
「なにか作りますか?」
「ん。」
「何がいい?」
俺の精一杯の優しさ、ヒョンに伝わってる?
「ユンギの作ってくれるものならなんでもいいよ」
弱弱しく笑って逆に俺に気を使ってくれるヒョンが痛々しい。
あるもので簡単につまみを作り、氷とグラスを準備してテーブルに置く。
「ちょっと飲みましょう。」
ん。っとグラスを受け取るヒョン。
何を言えばいいのかわからなくて、しばらく静かにグラスを傾けていた。何も話さなくても居心地が悪くないのは、長年のルームメイトだった俺たちの歴史の証。話したくないなら、話さなくてもいいけど、もしかしたら話したいのかもしれないなって思ってなるべく感情を込めないで言葉を繰り出す。
「何かあったんですか」
「んん。」
なんにも言わないヒョン
俺もそれ以上は聞かない。
しばらく沈黙が続く。
「またさ、ユンギとルームメイトになったらさ
僕たち楽しくできそうじゃない?」
ふと思いついたみたいに、ヒョンがいう。
「いいですよ」
即答で答えるとヒョンは、えって目で僕を見る。
「一緒に暮らしましょうか」
静かに言葉にすると
冗談だと思ったのか、ふふふって笑ってヒョンが言った
「ユンギヤは優しい子だね」
「俺だったらヒョンにそんな顔はさせませんよ。」
精一杯の思いを言葉にしても、やっぱり届かない。
ンフフフ、膝に顔を埋めて笑ってる。
思いは届かない。でもヒョンが笑ってくれたからそれだけでも俺の存在価値はあるのかなと思う。
「ホント優しい子だね」ってこっち見て笑う瞳。
手を伸ばして、俺の頭を撫でてくれる。
ヒョンの撫でてくれる手の感触が気持ちいい。しばらくヒョンにしたいようにさせていると、少し元気がでてきたのかニコニコしてきた。
「なんかこうしてると、猫を撫でてる気分になってきた」
「寝転んでもいいですか」
「ん、ここおいで。」とぽんと太ももを叩いてくれる。
ずずいってヒョンの太ももに頭をのせて膝まくらしてもらう。髪をずっと撫でられて、俺のことを本当に猫と思って撫でるみたい。柔らかい手つきが気持ちよくて、瞼が重くなる。
こんなに近くにいても、指一本自分からは手を出せない。そんな自分だから、心を許してくれるのもわかってる。
それ以上何もできない自分はヒョンの永遠のルームメイト。


















