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誤解で魔王と呼ばれ殺された一国の姫の話

桜狐桜狐

2025/6/2 加筆修正しました。

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ここは人々から恐れられる凶暴な魔物が存在する不思議な世界。
そんな小さな国に産まれた姫のお話です。

ある所に小さな国がありました。
名前は星の国。

星の国は大国である光の国、影の国などの国々との交流があまり無く仲が良くありませんでした。

特に月の国と呼ばれる1番の大国とは200年前から
仲が悪く各国の国王とお妃様が呼ばれるお茶会も星の国だけ呼ばれない、と言った具合です。

そんな星の国は「小さくて貧乏な国」と他の国々から嘲笑われるようになってしまいました。
ほとんどの国は月の国の莫大な支援を受けていたので月の国を肯定しなければなりませんでしたから。
庇えば自国が崩れ落ちてしまいます。

もとより月の国と星の国は自分達と仲良くしてくれる国には丁寧にもてなします。

何もなしにこんなに仲が悪いわけではなかったのです。

それは仲が悪くなった200年前、月の国の姫が駆け落ちして星の国の王子と結ばれたのです。

娘を誑かしたと激怒した月の国王は星の国との交流を一切絶った、という訳でそこから星の国は物資や食料を輸入できず貧困に喘ぐようになりました。

ですがそれでも民は星の国の国王を慕っていました。
国王達、王族も国の民の事が大好きで小さい国ながらも皆を思いやりながらなんとか今日も皆が生きていました。

そして時を戻して現在
お妃様が子供を授かりました。

国民達は自分事のように祝い、喜びました。
それはもう大喜びで妊娠の知らせが入った日から皆が浮き足立ち喜色の空気がみるみるうちに国中へと広がったくらいです。

そしてついに待望の子供が産まれました。

女の子です。
名前は エストレーラ・ウニヴェルソ
星、という意味です。

エストレーラは古代より星の国で縁起が良いとされる
蜂蜜をトロリと溶かしたような目、髪は美しい射干玉色で毛先にいくにつれて美しい白色を賜り産まれてきました。

このような子供を星の子、と星の国では呼んでいました。

姫が星の国に誕生し
ウニヴェルソ家に直系の姫が産まれるのは300年ぶりでした。

300年ぶりの姫、しかも星の子ときた
これには神の使いに違いないと国民達はまたもや大騒ぎ祝福が溢れました。

エストレーラはそんな国民達と王族達に愛されてすくすくとそれはもう愛らしく育ちました。

成長するにつれ美しい髪は可愛く結われ、白い肌にぽってりとしたピンク色の果実のような唇。
その蜂蜜色の目に映された者は皆一様に破顔したといいます。

すくすく育ちついに6歳
エストレーラは不思議な力を手に入れます。

それはどんな人も動物も植物も癒す特別な力でした。
それは魔物も例外ではありません。

エストレーラは心優しい女の子でしたから怪我をした人はもちろん、動物や植物も診てやりました。

美しい容姿に魔法の力、そんなエストレーラを皆は聖女と呼び、
助けを求める者はエストレーラのいる場所へ向かうようになりました。

そうなるととても忙しいはずですが彼女は嫌な顔ひとつせず丁寧に診てあげたそうです。

そんなある日森で怪我をした鹿を診てやり手当し帰宅途中、
ボロボロの魔物とその魔物を庇うように背に画している魔物を見つけました。

コウモリの羽が生えた猫のような魔物がボロボロになり怪我をして倒れていて、
庇うようにして立っていた魔物は龍の角を持ち手足が6本ある尾が魚の何とも面妖な魔物でした。

猫のような魔物は確かキーシー、尾が魚のような魔物はユライテスという魔物だった気がする、と咄嗟に考えていた
エストレーラは段々この魔物達が可哀想に思えてきました。

通常この2種なら民に追われても逃げ切れますが
怪我をしていたら捕まって殺されてしまうかもしれません。

心優しいエストレーラは魔物に近づきながら話しかけました。
そこの子の怪我を治させて貰えませんか?と。

彼女をじっと見たユライテスは威嚇をやめて大人しく座りました。

その動きを了承とみたエストレーラはキーシーの治療をし治ったキーシーは2匹で走り去っていきました。

その後2匹はお礼を言いにエストレーラの庭に通い
人語を喋れることにエストレーラが驚いたりと
仲良く過ごしていました。

時々怪我をした友達の魔物を連れてきて治療し、
仲良くなり魔物の友達が沢山でき始め楽しく過ごしていました。

ですがほとんどの人は魔物にいいイメージはありません。
それはまだ幼いエストレーラでもわかりました。

畑や果樹園を荒らされたり牧場にいる動物が食べられたりすることがあるからです。
バレたら大目玉を食らうとわかっていても
この友人達とは離れたくありませんでした。

そんな秘密の交流を続けて3年。
エストレーラは9歳になりました。

城で盛大に開かれたパーティのご馳走をこっそり持ち出して友達と分け合っていたところを
招待客に見られてしまったのです。

…噂は瞬く間に広まりました
「姫のエストレーラは魔女だ。」
と。

不思議な力は人を惑わし食ったから身についた力だ。

魔物を従えて王座を奪おうと狙っている。

ありもしない噂がドンドン広まり遂には王の耳に入りました。
星の国だけでなく他国にもその噂は流れてしまい色々な国々から疑いと嫌悪の目で見られるようになり

国王は愛娘に裏切られたような気持ちと他国による声で事情を聞こうと止めるお妃様の声を無視しエストレーラを勘当してしまいました。

行き場を失った可哀想なエストレーラは友達の故郷、魔物の郷に迎えられました。

暖かく歓迎した魔物達に感謝しエストレーラは思わず声を上げて泣いてしまいました。

いくら聖女と持て囃されしっかりしていたとはいえエストレーラはまだ幼い女の子なのです。

いきなり大切な両親、国民から憎悪を向けられ辛くないはずがありませんでした。

拾われて数年が経ち
すっかりみんなの輪に馴染んだエストレーラは
前任の長は高齢で隠居するため代わりに
エストレーラに長になってくれと頼まれました。

長になるには前任の長の血を飲み眷属にならなければいけず、寿命や見た目も変わってしまうと、
人ではなくなってしまうと

それでもいいか、と魔物達は聞きましたが皆が大好きなエストレーラは快諾しました。

家族に迎える為、前任長の血を飲みエストレーラは正式に魔物の眷属と変貌しました。
耳が尖り自慢の目の色も髪色も全てが赤く染まり、
名前を捨て、新たにレジーナという名前を貰いました。

長になったからとレジーナは威厳のため口調を変え、服の好みを変えました。
ですがレジーナの心の底の優しさは変わらず魔物達はレジーナを慕いました。

時には狩りをし、子供たちと遊び、皆で食卓を囲む。
毎日が刺激的で楽しい暮らしを送っていました。

そこから長い長い月日が流れ
100年が経ちました。

家族の魔物達と築き上げた城にレジーナはいました。
魔物の長として取り仕切りそこで暮らしていたのです。

そこにある人達が攻めてきます。

いきなりでしたがレジーナは快く応対し
お互いに怪我をしようにレジーナの部屋に通しました。

その人物達は「勇者一行」と名乗り
無防備なレジーナに攻撃を仕掛けてきました。

咄嗟のことで避けれずレジーナの肩から腰にかけてバッサリと切られてしまいました。
一応魔物の眷属なのでよっぽどの傷でない限り死にはしませんが直ぐに治る訳ではなく時間がかかります。
それに痛いですし跡も残ります。

突然の事で周りの魔物達も呆気に取られ勇者一行の魔法使いの出した檻に閉じ込められてしまいました。
瞬時に回復する魔物はこうした方が効率が良いとペラペラと勇者は語りました。

昔から勇者の住む国だけでなくこの世界全体で問題になっている魔王がいる、と。

その魔王は元々王族で追い出された恨みで今も人を襲い続けていると。

食料を求めて夜な夜な襲いかかって村を潰すと。

レジーナ達はそんなことはしていません。
全くの根拠の無い噂です。
それに魔物の長の立場に就いてからは魔物達と畑を作り食料や動物を盗ってきたりはしませんでした。

噂に尾鰭が着いたのでしょう。
今のこの世界ではレジーナは魔王となっていました。

説明しようとしても勇者達に攻撃され続け何も出来ずただただその事実に呆然と打ちひしがれることしか出来ませんでした。

そしてレジーナがぐったりと床に倒れ伏し大量の血を流した時に勇者と話す時間が出来ました。

レジーナはしていない、と周りの魔物も騒ぎ出しました。
というかずっと騒いでたのに一方的な暴力による騒音で勇者たちの耳まで届かなかったのです。

声を張上げ、掠れ、喉から血が出ても魔物たちは叫び続けていました。
家族を、レジーナを傷つけられているのに自分たちは檻の中から何も出来ず見ているだけ。
悔しくて悲しくてたまりませんでした。

勇者は噂に聞いていた邪悪な魔王とあまりに違う攻撃もせず対話しようと試みるレジーナを見てやっと理解しました。
そして一方的に傷をつけたことを詫びました。

まぁ謝罪しようにも本人が息をしていなかったので無駄なんですけどね。

そして意気消沈した勇者達は魔物に責め立てられ
追い出され、そのまま国に戻りました。

事情を全て包み隠さず己の罪を国王やお妃様、国民に泣きながら懺悔すると

「人殺し!!!」

と責められてしまいました。

そして勇者一行は罪の無い者の命を摘み取ったとして一生付き纏い続ける罪悪感と民衆の目と共に生きていくことになりましたとさ。

このお話の悪人は誰だったのでしょうか。

— End —

Comments 10

志夜4 个月前

死体に向かってお詫びしてんの笑うわ ごめんなさいより先にすることあるだろ

月影敬10 个月前

作者

鍵っ子1 年前

良…みんな共犯者やね……

花ちゃん2 年前

星の国 意外と優しくなかった みんなで助け合って暮らしていた割には 手のひら返しが激しい

1
123456789104 年前

一番なのは王様ですかね…実の娘の話を聞かずに追い出すから。王妃はきちんと聞こうと提案できたのに

キラヤマ4 年前

救いはないのですか〜?

Sakuria
Where every work blooms
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