注意
誤字、捏造過多。
フェルマイ本作ろうとして没になったやつ。
なんか知らないうちに死んだ。
没理由:フェルマイではない。
気がついた頃から体が弱く、季節が変わる度に熱を出した。
雪を当てられただけで倒れ、何もなくても頭がぐらぐらと揺れ
塩辛いスープを飲めば吐くような、どこもかしこも悪い所が見つからないほど生きるのに適していない体だった。
魔力のせいかとフェルディナンド様がつぶさに体調を見てくれて、
ユレーヴェにも漬かり、少しずつ体が強くなった気はしていた。
それでも時を渡り、私の糸をフェルディナンド様の糸と繋いで結んだ時に気づいてしまった。
残りの糸があまり長くない事に。
なんとなくは分かっていた。元から、7歳までは生きれないような身食いの命だ。
せめて私に出来る事は、ちゃんとお仕舞いにする事だけだった。
思えば遠くまで来てしまった、ただ、私は本が読みたかっただけなのに。
アウブの椅子に座りながら、積み重なる紙の報告書を眺めてみる。
紙はすべすべでインクに引っかかりはなく、最初にルッツと作った、ざらざらの紙に比べたら随分と進んでいるようだった。
「アウブ…何かありましたか?」
仕事を手伝ってくれているフェルディナンド様が、不思議そうにこちらを見てくる。
無事に目覚めてくれたフェルディナンド様は、あれから体に異変は起きず相変わらずアウブ配としてばりばりと仕事をしてくれている。
「いいえ、紙が薄く綺麗になったな、と職人達の技術の向上に嬉しく思っただけです。」
笑いかければ、また本に対する執着かと呆れたような顔をされてしまった。
私が居なくなっても、きっと職人達はベンノさんがなんとかしてくれる。そんな確信があった。
後の心残りは名捧げしてくれた側近達に、フェルディナンド様に、ツェント。
どれほど私に時間が残っているか分からないけれど、せめて今までずっと私を助けてくれたフェルディナンド様へのご恩返しはしようと覚悟を決めた。
あれから、少しずつ隠し部屋で私が知る限りの技術と楽譜を書き連ね、マントの刺繍を始めた。
側近にはきっと本を読んでいる、と思われているのだろう。
それでいい、と私は何も考えていない本狂いを装った。
フェルディナンド様との星結びはあと1年を切っていた。
私が1年以上生きられるかどうかは分からないが、それでも、こんな体が弱くてすぐ死んでしまうような私と星を結ぶのは申し訳ない。
それにアウブ就任をして、またすぐアウブが変わるとは領内の者達には酷く迷惑をかけてしまうと思った私は手紙を書いた。
もし、私が死んだらアウブの全権はフェルディナンド様に託すと言うこと
フェルディナンド様がアウブをされてもいいし、次代のレティーツィアをアウブにしてアウブ配になられてもいい。
勿論エーレンフェストに帰ってもいい。
好きに生きてほしい。
ただ幸せになってほしい。
ふと、私に屋敷をくれたフェルディナンド様もこんな気持ちだったのかな。と勝手に嬉しく思った。
他の皆にも手紙を書いた。
此処まで連れ回して申し訳なかったと言うこと。
皆の幸せを願っていること、長生きしてくれたら嬉しい。
そして有り余る魔力を礎に送り、魔石をとにかく染め上げた。
その頃から脈の弱さが怖くなり、私はフェルディナンド様の健康診断を断るようになった。
フェルディナンド様はお怒りの様子だったが、周りが勝手に情緒が芽生えたのでは?と誤解してくれたので有耶無耶となり
女医をつけた方がいいとコルネリウス兄様の発言で、フェルディナンド様とは少しずつ距離が取れそうだった。
ユストクス様やエックハルト兄様が距離を取る事に、探るように見てきたが目を合わせられず
「少しだけ、1人にしてほしい」と、頼む事が多くなっていった。
「その、一度エーレンフェストに里帰りされてはいかがですか。」
私の発言に、フェルディナンド様が私以外を選ぶのか、と絶望した顔で言ったが私は慌てて首を横に振った。
「いえ、屋敷にいるラザファムと、荷物を取りに行かなくていいのかな。と思っただけです。嫌なら、大丈夫、です。」
「…そうか。」
少しだけほうっとしたフェルディナンド様には申し訳無かったが、なんとなく、自身の体の限界が近い事が分かり始めていた。
フェルディナンド様には無理を言って屋敷に行ってもらう事にした。
ラザファムをこちらにと、荷物の片付けとだ。
ユストクス様やエックハルト様もちょうどいいからと帰省させ、本はあまり読み過ぎないように、と注意してくるフェルディナンド様を見送った。
本は、もう、重くて持てなくなっていた。
頭がぐらぐらする、苦しい、こちらにきた最初の時のようだ。
それでも、側近に見苦しい様は見せられない。
私はアンゲリカを呼び寄せ、名捧げの石を詰まった袋を渡した。
「フェルディナンドが帰ってきたら、渡してください。私は、少し図書館に篭ります。」
石を返して重い体を引きずり、図書館に向かう。
図書館から魔術具を使用して、我が家に。
昼前だったからか、誰も家には居なかった。
「せめて、誰も居ない場所で」
心配も、悲しい顔も、何もさせたくない。
ずっとずっとみんなが笑顔でいて欲しい。
家を抜け、下町に降りると下町の服を着ていない私は遠巻きにされ、貴族様だ、貴族が何故?とひそひそと声が聞こえた。
誰も居ない場所が良かったが、もう目が霞んで何も見えない。
「かみ、さま」
「魔力をかえします。私のからだが、りょうちの、為になりますように」
「みんなが、幸せでありますように」
フェルディナンド様に贈った祝福の祝詞が勝手に口から溢れる。
光でちかちかして、目の前が白くて、暖かい。
波の音が聞こえる。海が近いのだろうか。
「さよなら」
糸が緩んで溶けて、体がすごく軽い。
ローゼマインの体は光に溶けて海の中に消えた。
目を覚ますと、私は本に塗れていた。
地震が来て、本が倒れてきて、それから、それから…随分と長い夢を見ていた気がする。
なんの夢だったか忘れた。
頭が痛いが、本がぶつかったせいだろうか。
そういえば、今日は確か好きな作家の新刊が発売する日だ。
宅配で届いた本に、部屋の片付けも忘れ読みふけると悲恋の話だった。
恋なんて私にはまだ分からない。
それでも、あの人と共に居たかった。
「あの人って誰だっけ…」
身体の中に石が詰まってるような、何かを忘れているような
なんでこんなに寂しいのだろう。
そうして暫く落ち込んでいれば、世話焼きの修ちゃんがすぐに気付いてくれた。
「よく気付くね…でも私もよく分かんないの」
「…気付くさ、一度気づかないで酷い目を見たから。」
苦笑する修ちゃんは私の手を引き、歩いて行く。
昔から、私の手を引くのは修ちゃんだった。
これからも、きっと修ちゃんは私の手を引き歩いてくれるのだろう。記憶にないあの人のように。


























