5/17(日)インテックス大阪で開催される関西コミティア76のお品書きや頒布物、詳細をまとめたブログをコレクションしました✨
幼なじみが神隠しにあって、もうすぐ六年になろうとしている。 家出、誘拐、事故…… いろいろと言われていたけれど、結局その子は見つからないまま、捜索も打ち切られてしまった。 「籐花ちゃん、もう学校に行く時間じゃないの?」 居間に飾ってある幼なじみの写真と向き合っているところに、後ろから声がかけられた。 「え、もうこんな時間⁉︎ありがとうおばさん!」 慌ててカバンを手元に引き寄せて、玄関へと急ぐ。 両親共が海外に居る為、私は幼なじみの家にお世話になっている。母同士が仲が良かったのもあって、幼なじみとは、小さな頃からずっと一緒だった。だから、おばさんがどれだけ悲しんでいるかも、私は見てきている。 私が高校に合格したくらいに、父の海外赴任が決まって、母は「もう一人暮らししてもいい年頃だ」とかなんとか言って、父について行…
私はなぜここにいるんだろう? 幼なじみが消えてから、こんな疑問を元居た世界では頻繁に持っていた。思い出しては考え、分からないまま放置していた。 今ではそんなことを思う暇がない。目覚めると戦場で、素早く身仕度をして孔翼さんのところに行かなくてはいけない。 「おはようございます」 「おはよう、籐花。今飯が届いたところだ。みなで食おう」 「はい、じゃあ私、配るの手伝ってきます」 「あぁ、……」 孔翼さんは生返事をし、私をじっと見る。 「なんですか?」 「いや、すっかり顔つきが変わったな。その、しっかりしてきた……」 「え、そうですか?男の人たちが多いからかな……」 思えば、色も黒くなってきたかもしれない。気にしてる場合じゃないけど、お肌が瀕死だったりする⁉︎ 頬に手を当ててあわあわと動いていると、孔翼さんは私の頭をく…
ユグドリア国王都、賑やかな表通りから細い路地へ入る。人目につきにくいその場所に、小さな看板が出ていた。 ──『ジェイスのアイテム屋』 外からでもわかるくらい、店内には草木が大量に置かれている。営業しているのか定かではないその店の扉を開け、軍服の男が入っていく。 ゴツッ。と革靴の先に何か当たり、男はしゃがんで当たったものに声をかける。 「ジェイス、また変なもんを食べたのか」 ため息混じりにそう言うと、青い顔をして倒れている店主ジェイスは「うぅ…」と呻いて答えた。細くて長い髪が地面に広がってしまっており、軍服の男は髪が絡まないように丁寧に抱き起こすと、片方の手を広げて短い呪文を唱える。と、広げた手の先にプワンと透明な液体が浮かんだ。 「ほら、口開けろ」 「……ぁ」 弱々しく開けられた口に、するんと液体が入っていく。…
ユグドリア王国王都、大通りの喧騒から離れた路地裏に『ジェイスのアイテム屋』はある。 知る人ぞ知るその店は、一見開店してるかどうかもわからないが、店主のジェイスはほぼ店に引きこもっているので、ドアが開いていれば問題なく店は開いている。 今日も店ではジェイスが素材を煮詰めている。その姿を、背中に触れそうな距離でアグロヴァルが見ていた。 「ヴァ、ヴァル、なんか近くない…?」 鍋をかき混ぜながら、ちらちらと後ろを気にするジェイスの頬に、はらりと緑金の細い髪がかかる。 「そうか…そんなに近い?」 言うとアグロヴァルは更に近づいてジェイスの耳元で囁く。 「もう、からかわないでよ!」 ジェイスは真っ赤な顔でアグロヴァルを振り払うと、再び鍋の方に体を戻す。 (あの日からヴァルの事を変に意識しちゃってまともに顔が見れないよ…。も…